JP2986422B2 - マイタケ入りパン類及び菓子類の製造方法 - Google Patents

マイタケ入りパン類及び菓子類の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイタケ入りパン
類及び菓子類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】古来より東洋においてはある種のキノコ
が伝承的に若さと健康を保ち、長寿に役立つ食物として
評価され食されているが、中でもマイタケは香り、味と
もに良く、マツタケと並ぶキノコとしてもてはやされて
いる。特に最近はマイタケの薬効にも注目され、抗腫瘍
作用、免疫増強作用、血圧降下作用、血糖降下作用等に
ついても研究が行われている。
【0003】また、食品分析表(四訂)によれば、生マ
イタケ100g中に含まれる炭水化物は3.8gでその
うち食物繊維が3.5g、即ち炭水化物に対する食物繊
維の占める比率が92.1%とキノコ類の中でも炭水化
物中の食物繊維含有比率の高いキノコで、食物繊維の補
給に適した食物であると言える。従来技術として、坦子
菌類の子実体を粉砕して得た粉末を加工食品の原料中に
混合することを特徴とする坦子菌類粉末を含む食品の製
造方法がある(特開平6−38667)。
【0004】しかしながら、この製造方法で製造試作し
てみた結果、原料を練ってパン生地を作成しそれを発酵
させる工程において、パン生地が軟化して外形がくずれ
る現象が見られた。また、発酵工程を経た後の焼き上げ
工程において、パンの頂部外皮が大きく膨張した後凹ん
だり、もしくは陥没した外観を呈するものとなったほ
か、パンのふくらみ、膨張の度合いが小さなものしか得
られず、マイタケの香りもなかった。
【0005】そして、マイタケ粉の混合比率を増すと、
この傾向は一層顕著となり商品価値のあるパンを製造す
ることはできなかった。厚生省監修第5次改定「日本人
の栄養所要量」(第一出版株式会社発行)の58〜59
ページには「アメリカ食品医薬品局は国民の食物繊維の
推奨量として20〜35g/日を設定している」とし疫
学調査の結果より「日本人に対する1日当たりの目標摂
取量は、成人の値で20〜25g(10g/1000k
cal)と推算される。幼児や学童、高齢者についても
1000kcal当たり10gを目安にすれば適当とみ
なされる。」と記述されているところからも明らかな様
に、特開平6−38667に例示されている程度のパン
では、食物繊維の補給という栄養学的観点からすると満
足しうるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】マイタケを用いて食物
繊維を多く含有し、味、香り、外観の優れたパン類及び
菓子類を製造することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は炭水化物中
の食物繊維の比率がキノコ類中、最も高い部類に属する
マイタケを使用し、しかも味、香り、外観等が優れたパ
ン類及びカステラ、ケーキ類、クッキー、ビスケット等
菓子類を製造し得ないものかと鋭意研究を行った結果、
予めマイタケを水の存在下一定の条件で加熱処理するこ
とにより、 (1)食物繊維を高含量混合でき (2)味、香り、外観等優れた パン類及び菓子類を製造し得ることを見出して本発明を
完成した。
【0008】すなわち、本発明は(1)マイタケ入りパ
ン類及び菓子類を製造するに際して、予めマイタケを水
の存在下90℃以上で加熱処理した後主材料となる穀物
粉に混入することを特徴とするマイタケ入りパン類及び
菓子類の製造方法、(2)マイタケが生マイタケであ
り、加熱処理前の重量換算で、生マイタケと穀物粉との
合計を100として生マイタケが55以下であることを
特徴とする(1)に記載のマイタケ入りパン類及び菓子
類の製造方法、(3)マイタケが乾燥マイタケもしくは
乾燥マイタケ粉であり、加熱処理前の重量換算で、乾燥
マイタケもしくは乾燥マイタケ粉と穀物粉との合計を1
00として乾燥マイタケもしくは乾燥マイタケ粉が15
以下であることを特徴とする(1)に記載のマイタケ入
りパン類の製造方法、(4)菓子類がカステラ、ケーキ
類、クッキー又はビスケットであることを特徴とする
(1)又は(2)に記載のマイタケ入り菓子類の製造方
法、(5)マイタケが乾燥マイタケもしくは乾燥マイタ
ケ粉であり、加熱処理前の重量換算で、乾燥マイタケも
しくは乾燥マイタケ粉と穀物粉との合計を100として
乾燥マイタケもしくは乾燥マイタケ粉が35以下である
ことを特徴とする(1)に記載のマイタケ入りカステラ
あるいはケーキ類の製造方法、(6)マイタケが乾燥マ
イタケもしくは乾燥マイタケ粉であり、加熱処理前の重
量換算で、乾燥マイタケもしくは乾燥マイタケ粉と穀物
粉との合計を100として乾燥マイタケもしくは乾燥マ
イタケ粉が60以下であることを特徴とする(1)に記
載のマイタケ入りクッキーあるいはビスケットの製造方
法に関する。
【0009】以下、本発明について詳述する。マイタケ
は、子実体及び菌糸体のいずれも使用でき、子実体は傘
部、枝部(柄部)、茎部いずれでもよく、また生のも
の、乾燥品及び乾燥粉等どのような形態のものも使用可
能である。
【0010】水の存在下とは、通常は熱湯中に入れて加
熱するか或いは水蒸気で蒸しながら加熱することを意味
するが、生マイタケを使用する様な場合は、それ自体水
分を含有しており、そのまま加熱処理しても良いが、容
器や袋に入れて水分の散逸をできるだけ少なくする様に
保って加熱処理することもできる。また必要に応じて水
を入れた容器中に入れ電子レンジで加熱するかもしくは
オートクレーブ中で加圧下加熱しても良いし、あるいは
極めて単純に加熱した鉄板上において適宜水分を補給し
ながら加熱してもよい。乾燥マイタケを使用する場合
は、水もしくは適当な温度の湯に浸して十分吸収させた
後生マイタケと同様に処理してもよい。
【0011】加熱は90℃以上の温度で行う。90℃で
はおよそ50〜60分加熱するのが好ましいが90℃を
超える温度領域においては加熱温度の上昇にともない加
熱時間を短縮することができる。例えば、乾燥粉末の場
合は図1、生のものは図2に最低限の条件を示したが、
該グラフを目安に適宜条件を選択することができる。例
えば、加熱処理をより確実なものとするため100℃以
上加圧下に行うこともできる。
【0012】常圧の場合も、加圧下においても材料であ
るマイタケの形態や加熱処理する方法の違いにより処理
時間に若干誤差が生じるものであることはいうまでもな
い。例えば、上述のように生マイタケを容器や袋に入れ
て加熱処理する場合は、容器や袋の性状、更には空隙容
積などの違いにより、熱の伝達速度が異なるため加熱処
理時間を適宜変動したほうが良い場合もあることを考慮
する必要がある。
【0013】以上のような処理によってマイタケの含量
が高くしかも美味で商品価値の高いパン類及び菓子類を
製造できるようになった。これは、マイタケ中には耐熱
性のタンパク質分解酵素が含まれており、上記の様な条
件で加熱処理することにより該酵素を失活させることが
でき、その結果穀物粉中に含まれている蛋白質、例えば
グルテン等が分解変質をしないことによるものと推測さ
れる。
【0014】なお、パン類としては、食パン、ジャムパ
ン・アンパン等の菓子パン及びその他の種々のパン等を
含み、菓子類としては、カステラ、ケーキ類、クッキ
ー、ビスケット等が好適である。
【0015】加熱処理したマイタケはそのままパン類、
カステラ、ケーキ類、クッキー、ビスケット等菓子類の
主原料となる穀物粉と直接混合しても良いが、予め良く
練合してから穀物粉と混合しても良いし、ないしは加熱
処理後通常の方法で乾燥して必要に応じて粉末とした後
穀物粉と混合しても良い。熱湯中で加熱処理した場合
は、マイタケの含有成分が熱湯中に溶出してくるので、
その熱湯を冷却した液を、原料と練合する際に、水の代
わりに用いればマイタケ中の可溶性の食物繊維やその他
有効成分を余すことなく利用できる。
【0016】マイタケの混合量は、乾燥マイタケ粉、乾
燥マイタケ、生マイタケのどれを選択するか、また目的
製品が何かによっても異なる。発明者等は種々実験を行
った結果下記表1に示す様な混合比を目安にすると外部
に凹みができたり、内部のキメが悪くなったり、またパ
ン類、菓子類が本来持っている特質を変えることなく高
品質の製品が得られることを見出した。しかし、この数
値は目安であって、これに限定されるものではない。す
なわち、マイタケの配合量が1以下であったとしても、
本発明の効果を奏することは、言うまでもない。
【0017】
【表1】
【0018】穀物粉とは、主に小麦粉、ライ麦粉を指す
が、大麦、エンバ、トウモロコシ等及びこれらを配合し
た雑穀粉も意味する。言うまでもないことであるが、小
麦粉の中の湿グルテン量が35%以上の強力粉、25%
〜35%中力粉、25%以下薄力粉も含まれパン類の製
造には強力粉、菓子類には薄力粉を使用するのが好まし
い。
【0019】従来一定の品質を保って、食物繊維の豊富
なマイタケを栄養学的見地から意味ある程度の量をパン
類、菓子類に配合することは困難であったと考えられる
が、本発明により意味のある量を配合し、なおかつ一般
のパン類と菓子類を比較して何ら外観、品質面で遜色が
なく、マイタケの香りのある美味なパン類、菓子類を提
供できる意義は極めて大きいと考えられる。以下に本発
明の実施例を記載するが、併せて本発明の条件外でのマ
イタケ配合例を比較例として例示する。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施例1) (乾燥マイタケ粉を使用した食パン製造実施例)
【0021】
【表2】
【0022】水210mlを入れたビーカーを加熱ヒー
ターが組み込まれたウォーターバスに浸してビーカー内
の水温を95℃に保ち、そこへ乾燥マイタケ粉20gを
加えてよくかきまぜ、ときどき攪拌しながら30分間処
理したあと室温まで冷却して懸濁液を作成する。なお、
乾燥マイタケ粉を加えた瞬間、水温は8℃前後低下する
のでウォーターバスの水温を一時的に約100℃に上げ
てビーカー内の水温を95℃に回復させる。回復までの
時間は攪拌の仕方等によって異なるが、およそ10分間
前後を要した。95℃で20分加熱処理を行った。
【0023】次に小麦粉、砂糖、塩、スキムミルク、バ
ターをそれぞれ表2の量だけ混合したものに、上記処理
したマイタケ懸濁液を加えて練り、さらに生地の硬さが
適度になるように水を0〜30ml程度追加してよく練
り合わせ、最後にドライイースト3gを加えて再度よく
練って丸め、パン生地を作成する。パン生地を適当な大
きさのフタ付き容器に入れ約26℃の温度下で約1時間
放置して第一次発酵を行った後、ガス抜きを行い軽くこ
ねて丸める。
【0024】容器のフタをして、そのまま20〜30分
間第2次発酵を行い、ガス抜き後再び丸め容器のフタを
して、そのまま50〜60分間第3次発酵を行う。発酵
後生地を丸め、パン焼き器の型に入れ、145〜150
℃で40〜50分で焼き上げた。ふくらみが大で外皮に
弾力があり、内部のきめも細かく、美味で良好なパンが
得られた。以下、表3に実施例1で得られた結果(No
4)も含め、同様に条件を変えて実施した結果を示す。
【0025】
【表3】
【0026】この結果をみれば、明らかなように、比較
例ではふくらみが小さく、頂部が陥没したり、あるいは
外皮が硬く、きめの粗い食パンとなるのに対して、本発
明の方法では、ふくらみが大きく、きめの細かい良好な
パンを製造することができる。
【0027】(実施例2) (生マイタケを使用した食パン製造実施例)水約400
mlを入れたビーカーをウォーターバスに入れて水温を
95℃に保ち、生マイタケ200gを1〜2cm程度の
細片にして加える。生マイタケを加えた瞬間、ビーカー
の水温は23℃前後低下するのでウォーターバスの水温
を約100℃に上げてビーカー内の水温を95℃まで約
10分前後かけて回復させる。その後温度を95℃前後
に保って時々攪拌しながら20分間処理した後室温まで
冷却する。
【0028】マイタケを全量網ですくい、水滴を適当に
除去して、市販家庭用製パン機械(ホームベーカリーと
称される)の容器に入れる。次いで水の代わりに上記熱
処理時に生じた溶出液70ml、小麦粉290g、砂糖
14g、塩4g、スキムミルク6g、バター15g、ド
ライイースト3gを加え、機械の運転を開始する。こね
る工程の途中でパン生地の硬さを確認し、水を0〜15
ml程度適宜加えて生地が適度な硬さになるようにす
る。
【0029】本実施例で使用した製パン機械では2時間
40分で実施例1と同様の作業が自動的に行われパンが
焼き上がる。なお、発酵は約35℃と約42℃の2段階
の温度で行われている。表4のNo3で示される如く、
ふくらみが大で外皮に弾力があり、内部のきめも細か
く、美味で良好なパンが得られた。
【0030】本実施例では手作業がないため同一条件下
でパンができるので、マイタケを混合することによるパ
ンのでき具合を比較する上で好都合である。(なお、製
パン機械の種類により発酵工程の温度と時間が異なるた
め、マイタケの熱処理が不十分な場合、残存するタンパ
ク質分解活性の作用の程度が異なって現れることは言う
までもないことである。) 以下、表4に本実施例で得られた結果(No3)を含め
同様に条件を変えて実施した結果を示す。
【0031】
【表4】
【0032】表4から明らかなように、実施例1と同じ
く比較例に比し、本発明方法による良好な食パンを製造
することができる。
【0033】(実施例3) (乾燥マイタケを使用した食パン製造実施例)乾燥マイ
タケを1〜2cm程度に砕いた小片20gを水に浸して
十分に吸水させ、全量を網ですくいとる。一方、水約4
00mlを入れたビーカーをウォーターバスに入れて水
温を95℃に保ち、そこへ上記吸水処理を行ったマイタ
ケを加え、95℃前後に保って時々攪拌しながら30分
間熱処理した後、室温まで冷却し、全量を網ですくい軽
く水滴を除去し、実施例2で使用したものと同じ家庭用
製パン機械の容器に入れる。
【0034】次に、水約70ml、砂糖14g、塩4
g、スキムミルク6g、バター15g、小麦粉290
g、ドライイースト3gを加え製パン機械の運転を開始
する。こねる工程の途中でパン生地の硬さを確認し、適
度な硬さになるように水を適当量加える。焼き上がった
パンは、ふくらみが大で外皮に弾力があり、内部のキメ
も細かく良好で、マイタケの香りを発する美味なパンが
得られた。
【0035】このように乾燥したマイタケを使用した場
合でも、十分に吸水させた後、生マイタケに準じた熱処
理を施せば、生マイタケ及び乾燥マイタケ粉を使用した
場合と同様に美味なパンが得られることが判った。
【0036】(実施例4) (乾燥マイタケ粉を使用したカステラ製造実施例) 材料 小麦粉(薄力粉) 560g 卵 約560g 砂糖 560g ベーキングパウダー 約5g 重曹 約3g 上記材料を混合した生地を約280gずつに6等分し、
乾燥マイタケ粉を以下の各量ずつ混合する。
【0037】乾燥マイタケ粉 0g 2.5g (未熱処理) 5.0g (未熱処理) 10g (熱処理済み) 20g (熱処理済み) 40g (熱処理済み) 水:適当量 乾燥マイタケ粉を2.5g及び5gずつビーカーに計量
し、水をそれぞれ150mlずつ加えて混合し、熱処理
を行わないサンプル、とする。
【0038】また、乾燥マイタケ粉を10g、20g及
び40gずつビーカーに計量し、水をそれぞれ160m
l、180ml、220mlずつ加えて混合し、それら
を加熱ヒーターで水を沸騰させた容器に入れて、時々攪
拌しながらビーカーの水温を95℃まで上昇させその水
温を保つように加熱ヒーターを調節して、10分間熱処
理を行った後、取り出したビーカーを室温にまで冷却
し、熱処理を行ったサンプル、、とする。
【0039】鶏卵約560gを卵黄と卵白に分け、卵黄
をボールにいれてよく攪拌したところに砂糖560gを
入れてよく混合する。一方、卵白を電動ミキサーで攪拌
し、よく泡立てたところに、上記卵黄と砂糖の混合物と
ベーキングパウダー約5g及び重曹約3gを入れてよく
攪拌し泡立てたところに小麦粉560gを加えて混合
し、カステラ生地とする。
【0040】カステラ生地を約280gずつに6等分
し、マイタケ粉の各サンプルを加えてよく混合して容器
に流し込み、オーブンにいれて約160℃で50分間焼
き上げる。各試作品の混合量、混合比は下記表5の通り
である。
【0041】
【表5】
【0042】前述したように、表5において、、は
熱処理を行わなかったものであり、、、は熱処理
を行ったものであるが、熱処理を行ったマイタケ粉を混
合したカステラは、、に比べて乾燥マイタケ粉が多
いにもかかわらず、いずれもと同様に内部の気泡空間
が豊富かつ均一で歯触りもやわらかく、しかもにない
マイタケ独特の風味が味わえるものであった。
【0043】一方、熱処理を行わなかったマイタケ粉を
混合したカステラは、混合量が少ないためにマイタケの
風味が乏しい上、いずれも縦に切断した面の上部と下部
とで、外観及び性状が異なっていた。すなわち、上部は
気泡空間に富み、歯触りも柔らかい反面、下部は気泡空
間が乏しく塊状になり、カステラとしての食感が失われ
ていた。
【0044】これは、カステラ生地の重量に対して乾燥
マイタケ粉は0.9%または1.8%と少量にもかかわら
ず、マイタケに含まれるタンパク質分解酵素の作用によ
り、卵白のタンパク質が分解されて低分子になり、粘性
が低下して気泡が失われて比重が大きくなり、下部に溜
まった結果と考えられる。従って、乾燥マイタケ粉を増
量すると、ますますカステラとしての食感が失われる傾
向が強くなることは明らかである。
【0045】(実施例5) (乾燥マイタケ粉を使用したクッキーの製造実施例) 材料 卵白 約160g(鶏卵4個分) 砂糖 160g バター 60g 小麦粉(薄力粉) 80g マイタケ粉 適宜量
【0046】乾燥マイタケ粉50gをビーカーに計量
し、水300mlを加えてよく混合し、市販の電子レン
ジで高周波加熱し、沸騰させて混合物の重量が約200
gになるまで水分を蒸発させてから室温に冷却したもの
を加熱処理を行った練りマイタケ粉とする。なお、加熱
に要した時間はおよそ15分であった。一方、乾燥マイ
タケ粉50gをビーカーに計量し、水150mlを加え
てよく練り、加熱処理を行わない練りマイタケ粉とす
る。
【0047】鶏卵4個から分離した卵白約160gをボ
ールに入れてよく攪拌し、そこへ砂糖160gを加えて
さらによく攪拌して十分に泡だてたところに、小麦粉8
0gを加えてなめらかになるまで軽く混ぜ、さらにバタ
ー60gを温めて液状にしてから冷ました液を加え、軽
く混ぜてクッキーの生地とする。クッキーの生地を40
gずつビーカーに入れ、そこに加熱処理を行わない練り
マイタケ粉を1.6g及び3.2gずつ加えて軽く混ぜあ
わせ、適量を焼き型に入れる。
【0048】同じくクッキーの生地を40gずつ入れた
ビーカーに加熱処理を行った練りマイタケ粉をそれぞれ
8g、16g、32gずつ加えて軽く混ぜ合わせ、適量
を焼型に入れる。各試作品の混合量、混合比は下記の通
りである。
【0049】
【表6】
【0050】生地を入れた各焼型をオーブンに入れ、約
180℃で17分間焼き上げる。熱処理を行った練りマ
イタケ粉を混合したクッキーC、D、Eは、いずれも表
面がなめらかで、ややソフトな歯触りがあり、特に10
%以上の高含量のものではマイタケ独特の風味を十分に
味わえるものであった。これは卵白によって形成された
気泡空間がよく保たれている結果と考えられる。
【0051】他方、熱処理を行わない練りマイタケ粉を
混合したクッキーA、Bは、乾燥マイタケ粉の混合比が
低いにもかかわらず、いずれも表面が凸凹でひび割れを
生じ、硬くて弾力がないもので、マイタケの風味も感じ
られないものであった。また、焼き上げが1回では固ま
らず、厚さによって2〜3回の焼き上げを必要とした。
1回目の焼き上げを行った生地はまだ半乾きで弾力もな
かった。これらの事柄はいずれも使用した乾燥マイタケ
粉は少量にもかかわらず、マイタケに含まれるタンパク
質分解酵素により卵白のタンパク質が分解されて低分子
となり、粘性が低下した結果と考えられる。
【0052】
【発明の効果】本発明のパン類、菓子類の製造方法によ
り、マイタケの風味を保ちつつ、食物繊維を多く供給す
ることができ、パンあるいは菓子としての味、香り、外
観等が優れたものを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾燥マイタケ粉を使用した場合の加熱温度と処
理時間との関係を示す。
【図2】生マイタケを使用した場合の加熱温度と処理時
間との関係を示す。
【図3】加熱処理した乾燥マイタケ粉を配合したパン
(表3実施例4)と未処理乾燥マイタケ粉を配合したパ
ン(表3比較例1)との対比写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A21D 2/36

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイタケ入りパン類及び菓子類を製造す
    るに際して、予めマイタケを水の存在下90℃以上で加
    熱処理した後主材料となる穀物粉に混入することを特徴
    とするマイタケ入りパン類及び菓子類の製造方法。
  2. 【請求項2】 マイタケが生マイタケであり、加熱処理
    前の重量換算で、生マイタケと穀物粉との合計を100
    として生マイタケが55以下であることを特徴とする請
    求項1に記載のマイタケ入りパン類及び菓子類の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 マイタケが乾燥マイタケもしくは乾燥マ
    イタケ粉であり、加熱処理前の重量換算で、乾燥マイタ
    ケもしくは乾燥マイタケ粉と穀物粉との合計を100と
    して乾燥マイタケもしくは乾燥マイタケ粉が15以下で
    あることを特徴とする請求項1に記載のマイタケ入りパ
    ン類の製造方法。
  4. 【請求項4】 菓子類がカステラ、ケーキ類、クッキー
    又はビスケットであることを特徴とする請求項1又は2
    に記載のマイタケ入り菓子類の製造方法。
  5. 【請求項5】 マイタケが乾燥マイタケもしくは乾燥マ
    イタケ粉であり、加熱処理前の重量換算で、乾燥マイタ
    ケもしくは乾燥マイタケ粉と穀物粉との合計を100と
    して乾燥マイタケもしくは乾燥マイタケ粉が35以下で
    あることを特徴とする請求項1に記載のマイタケ入りカ
    ステラあるいはケーキ類の製造方法。
  6. 【請求項6】 マイタケが乾燥マイタケもしくは乾燥マ
    イタケ粉であり、加熱処理前の重量換算で、乾燥マイタ
    ケもしくは乾燥マイタケ粉と穀物粉との合計を100と
    して乾燥マイタケもしくは乾燥マイタケ粉が60以下で
    あることを特徴とする請求項1に記載のマイタケ入りク
    ッキーあるいはビスケットの製造方法。
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