JP4084522B2 - イーストドーナツの製法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、イーストドーナツの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、イーストドーナツにおいても、簡便志向、本物志向により、簡便に作られて、しかも、食感、風味ともにより優れたイーストドーナツが求められるようになってきた。すなわち、プレミックスを使用して簡便に製造でき、かつ、食感が軽く、深みのある優れた風味のイーストドーナツが求められるようになってきた。現在、イーストドーナツを製造するにあたっては、プレミックスを使用する方法が主流となっており、一般に、製造は短時間で、製品はボリュームがあり、食感、風味ともに高品質のものが得られている。しかし、更に食感が軽く、かつ、深みのある優れた風味のイーストドーナツが欲しいという、消費者のニーズに対して、現行の製造方法では未だ十分応えられていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非常に軽い食感で、しかも、深みのある優れた風味のイーストドーナツを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するためにイーストドーナツの製造方法に着目し、鋭意研究した結果、本発明を完成した。即ち本発明は、小麦粉と、砂糖と、油脂と、食塩と、膨張剤と、卵と、イーストと、水とを混合・混捏して調製したイーストドーナツ生地100重量部、又は、小麦粉と、砂糖と、油脂と、食塩と、膨張剤とを予め混合調製したプレミックスと、卵と、イーストと、水とを混合・混捏して調製したイーストドーナツ生地100重量部を15〜30℃で1〜6時間保置して発酵させた後、当該イーストドーナツ生地と同一の配合割合となるように別途計量したイーストドーナツ原料混合物100〜300重量部と当該イーストドーナツ生地とを混合・混捏し、これを用いて常法通り、フロアタイム、分割、ベンチタイム、成型、ホイロ、フライ工程という製造工程を経ることで、前項記載の諸問題を解決出来、良好なイーストドーナツが製造出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明においてイーストドーナツとは、通常のイーストドーナツ、即ち、小麦粉、砂糖、油脂、食塩、膨張剤等、またはこれらのプレミックスと、卵、イースト、及び、水等を混合・混捏し調製したイーストドーナツ生地を、フロアタイム、分割、ベンチタイム、成型、ホイロという工程を経てフライ処理したものを言う。
【0006】
本発明における小麦粉は、イーストドーナツに通常用いられているものであればいずれでもよい。強力粉を主体に、必要に応じて、中力粉、薄力粉あるいはその他の穀粉を適当量加えて良い。
【0007】
砂糖、油脂、食塩、膨張剤、イースト、卵についても、一般にイーストドーナツに用いられている砂糖、油脂、食塩、膨張剤、イースト、卵であるならば、種類を問わず利用可能である。
【0008】
イーストドーナツ生地とは、通常、イーストドーナツの材料として使用される、小麦粉、砂糖、油脂、食塩、膨張剤等、またはこれらのプレミックスと、卵、イースト、及び、水を混合・混捏し、調製したものを言う。添加の順番、混合方法は常法に従う。必要に応じて、脱脂粉乳などの乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、ナッツ類、香料、香辛料、乳化剤等を使用しても何ら効果に支障をきたさない。
【0009】
また、ここでいうプレミックスとは、小麦粉、砂糖、油脂、食塩、膨張剤、その他必要に応じて、脱脂粉乳などの乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、ナッツ類、香料、香辛料、乳化剤等があらかじめ混合調製されたものをいう。これらプレミックスを一部、あるいは全面的に使用しても全く構わない。
【0010】
必要に応じて用いる脱脂粉乳などの乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、ナッツ類、香料、香辛料、乳化剤は、一般にイーストドーナツに用いられている脱脂粉乳などの乳製品、澱粉類、砂糖以外の糖類、ナッツ類、香料、香辛料、乳化剤であるならば、種類を問わず利用可能である。
【0011】
以下に、本発明の製造方法について説明する。まず、小麦粉、砂糖、油脂、食塩、膨張剤、イースト、卵、水等を混合・混捏し、イーストドーナツ生地を調製する。ミキサーへの原料の投入の順序などは常法に従う。ミキサーとしては、製パン製菓用の縦型ミキサー(フックを使用)、横型ミキサー、スパイラルミキサー等が挙げられる。
【0012】
このイーストドーナツ生地を生地温度15〜30℃で1〜6時間、望ましくは20〜25℃で2〜4時間発酵させる。次に、別途、重量部で小麦粉、砂糖、油脂、食塩、膨張剤、イースト、卵、水等を計量し、これらの原料混合物:前記の発酵した生地が、1〜3:1の割合になるように、前記原料混合物と前記の発酵した生地とを混合・混捏して、イーストドーナツ生地を調製する。もし、発酵したイーストドーナツ生地の混合割合が、発酵していないイーストドーナツ原料混合物の混合割合よりも高い場合は、発酵臭が強くなりすぎ返って風味が悪くなる。又、発酵していないイーストドーナツ原料混合物の混合割合が、発酵させたイーストドーナツ生地の混合割合の3倍を超える量になった場合、当該発明の効果が薄れ、従来の製品の風味と同じになる。以下、常法通り、生地温度25〜30℃でフロアタイム10分間とった後、分割し、ベンチタイムを15分間とる。その次に、成型後、ホイロを38〜42℃で30〜40分間とる。最後に、フライ処理を行なう。フライ装置については特に問わない。
【0013】
以上の工程を経て得られたイーストドーナツは、通常の製造方法で造った場合に比べて、より食感が軽く、より深みのある優れた風味のものが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。
【0015】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0016】
実施例1
重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を加えて、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行った。得られた生地は生地温度20℃で3時間発酵させた。別途、重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を計量し、これらの原料混合物に前記の発酵した生地を1:1で加え、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行なった。次に、26℃でフロアタイム10分間をとった。分割後、ベンチタイムを15分間とった。その次に、成型後、ホイロを38℃で40分間とった。これを180〜190℃に加熱したサラダ油に入れ、片面50秒間の反転式でフライを行った。
【0017】
実施例2
重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を加えて、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行った。得られた生地は生地温度20℃で3時間発酵させた。別途、重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を計量し、これらの原料混合物:前記の発酵した生地が3:1の割合になるように、発酵した生地を加え、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行なった。フロアタイム以下の工程は、実施例1と同じ方法で製造し、製品を得た。
【0018】
実施例3
重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を加えて、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行った。得られた生地は生地温度30℃で2時間発酵させた。別途、重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を計量し、これらの原料混合物に前記の発酵した生地を1:1で加え、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行なった。フロアタイム以下の工程は、実施例1と同じ方法で製造し、製品を得た。
【0019】
比較例1
重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を加えて、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行った。フロアタイム以下の工程は、実施例1と同じ方法で製造し、製品を得た。
【0020】
比較例2
重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を加えて、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行った。得られた生地は生地温度20℃で3時間発酵させた。別途、重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を計量し、これらの原料混合物:前記の発酵した生地が4:1の割合になるように、発酵した生地を加え、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行なった。フロアタイム以下の工程は、実施例1と同じ方法で製造し、製品を得た。
【0021】
比較例3
重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を加えて、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行った。得られた生地は生地温度25℃で8時間発酵させた。別途、重量部で小麦粉100に対し、砂糖10、食塩1.3、膨張剤1、バニラ香料0.1、卵15、マーガリン12、イースト4、水45を計量し、これに前記の発酵した生地を1:1で加え、縦型ミキサーを用いて低速で3分間、中速で10分間の順の条件でミキシングを行なった。フロアタイム以下の工程は、実施例1と同じ方法で製造し、製品を得た。
【0022】
上記実施例1〜3、比較例1〜3の各イーストドーナツ製品を、10名の専門パネラーが評価した。尚、イーストドーナツ製品の食感、風味の評価は、表1、2に示した基準に従って、10名の専門パネラーにより点数評価し、その平均値を採った。評価結果は、表3に示す。
【0023】
【表1】
イーストドーナツの食感(軽さ)評価
【0024】
【表2】
イーストドーナツの風味評価
【0025】
【表3】
評価結果
【0026】
実施例1〜3はいずれも比較例1〜3よりも食感、風味ともに優れ、食感は軽く、味に深みがある風味であった。
【0027】
【発明の効果】
本発明のイーストドーナツの製造方法を用いることで、従来の技術では困難とされていた、食感が軽く、かつ、味に深みがあり風味に優れているイーストドーナツを製造することが可能なり、これによって、消費者のニーズに十分に応えることが出来るようになった。
Claims (1)
- 小麦粉と、砂糖と、油脂と、食塩と、膨張剤と、卵と、イーストと、水とを混合・混捏して調製したイーストドーナツ生地100重量部、又は、小麦粉と、砂糖と、油脂と、食塩と、膨張剤とを予め混合調製したプレミックスと、卵と、イーストと、水とを混合・混捏して調製したイーストドーナツ生地100重量部を15〜30℃で1〜6時間保置して発酵させた後、当該イーストドーナツ生地と同一の配合割合となるように別途計量したイーストドーナツ原料混合物100〜300重量部と当該イーストドーナツ生地とを混合・混捏し、これを用いてイーストドーナツを製造することを特徴とするイーストドーナツの製造方法。
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