JP3848776B2 - 乳化組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーキ、クッキー、パイ、パン等のベーカリー食品に配合するための乳化組成物に関し、さらに詳細には、ケーキ、クッキーの生地に起泡性を与え、また前記ベーカリー食品に、口どけ、ソフト性、しとり感などの好ましい食感、風味をもたらすことができる乳化組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、前記のごときベーカリー食品は、主たる原料として小麦粉、砂糖及び卵が配合されていたが、さらに油脂を添加して口どけ等の食感や風味を高めたものが一般に好まれるようになり、添加する油脂として種々の特徴を有するものが検討されてきた。例えば、バター、マーガリン等の油脂は消泡性を有することが多いので、材料の添加のタイミング、攪拌の強さ、微妙な温度調整等、製造時に種々留意しつついわゆる「職人芸」に依存せざるを得ず、食品製造のための作業性が低下したり、製品の安定供給や一般家庭での手軽な製造を困難ならしめる原因となっていた。
【0003】
特に近年になって、ソフトで口どけが良く、風味の良好な食品に仕上げることができる油脂組成物が希求されるに至り、例えば、製菓用ショートニング(固形または液体)、起泡性乳化油脂組成物等が開発されてきた。しかしながら、これらを用いて製造された菓子は、液体油脂、油中水型乳化物等を含むために起泡性が確保されていても口どけが悪くクチャつきがある、もしくは起泡性が低いために食感が重い、あるいは、起泡性に優れソフトで口どけがよくても乳化剤や不純物に基づく異臭が生じることが多い等、種々の要求を充分に満足させるには至っていない。従って、ソフトで口どけが良く、風味の良好なベーカリー食品に仕上げることができる油脂組成物が求められ続けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、ベーカリー食品の生地に起泡性を与え、それら食品に好ましい食感、例えば口どけ、ソフト性、しとり感等をもたらすことができ、しかも乳化剤に起因する異臭を生じさせることのない乳化組成物を提供することをその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、水相及び油相にそれぞれ好ましい乳化剤を選択し、且つ油脂として、高融点を有し食感改善の効果が高いものを選択し、これらに基づく水中油型の乳化組成物を調製することによって上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)乳化組成物の総重量に基づき、HLB値9以上のショ糖脂肪酸エステル1〜10重量%及びグリセリン脂肪酸エステル0.1〜5重量%を含む水相部乳化剤、ならびに水30〜78.8重量%を含む水相部と、植物液体油、動物油、植物固体脂、乳脂、硬化油、分別油、エステル交換油、及びこれらの組合せよりなる群から選択される、15℃以上の融点を有する少なくとも1種の油脂20〜60重量%、ならびに少なくとも1種の油相部乳化剤0.1〜5重量%を含む油相部より形成される乳化組成物であって、前記水相部が連続相をなすことを特徴とする乳化組成物、
(2)乳化組成物の製造方法であって、当該乳化組成物の総重量に基づき、水30〜78.8重量%、HLB値9以上のショ糖脂肪酸エステル1〜10重量%を加温溶解した後グリセリン脂肪酸エステル0.1〜5重量%を加え、攪拌して水相部を調製し、植物液体油、動物油、植物固体脂、乳脂、硬化油、分別油、エステル交換油、及びこれらの組合せよりなる群から選択される、15℃以上の融点を有する少なくとも1種の油脂20〜60重量%、ならびに少なくとも1種の油相部乳化剤0.1〜5重量%を加熱溶解して調製した油相部を前記水相部に添加し、及び乳化させる工程を含むことを特徴とする製造方法、ならびに
(3)本発明の乳化組成物が1〜30重量%配合されて製造されたベーカリー食品
をその要旨とするものである。
【0007】
上記(1)の構成に従い、水相部が連続相をなす水中油型(o/w)の乳化組成物を形成すると、油脂によってもたらされうる消泡性を抑えることができ、ソフトな食品を調製できるという効果がもたらされ、固形油脂を適量含むために特に風味・口どけの良いものが得られる。また、この組成物により、食品生地に起泡性を付与できるので、従来の食品製造の工程にて必要であった微調整を行わなくても安定的に良好なソフト性を有する食品を提供することが可能となり、作業性の向上につながる。この乳化組成物を配合してベーカリー食品を製造すると、大量に使用した場合にも、乳化剤による異臭をもたらすことがない。
【0008】
上記(2)の製造方法は、従来油相部の乳化剤として使用されていたグリセリン脂肪酸エステルを水相部に添加して乳化し、水相部が連続した水中油型の乳化組成物を得るためのものである。
【0009】
上記(3)の構成により得られたベーカリー食品は、消費者の要求を満たすことのできる、ソフトで、食感、風味に優れたものとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。ここでの単位の「重量%」はすべて、乳化剤組成物の総重量に基づくものとする。
【0011】
本発明の上記乳化組成物は、乳化組成物総重量に基づき、30〜78.8重量%、好ましくは35〜70重量%、最も好ましくは40〜50重量%の水を含む。水の配合量が少なすぎると水相部が連続相をなした乳化組成物を形成し難く、また多すぎると油脂によってもたらされる食感改善効果が弱められる可能性が生じる。
【0012】
上記乳化組成物の水相部乳化剤として配合されるショ糖脂肪酸エステルには、9以上、好ましくは10以上、最も好ましくは11〜16のHLB値を有するものが選択され、1種以上のショ糖脂肪酸エステルの混合物であってもよい。かかるショ糖脂肪酸エステルのHLB値が低すぎると、本発明の目的である口どけ、ソフト性の改善効果が現れない。また、このショ糖脂肪酸エステルは、1〜10重量%、好ましくは1〜7重量%、最も好ましくは2〜5重量%の量で使用される。使用量が少なすぎればやはり食感改善効果が不充分となり、また多すぎると乳化剤による異臭の原因になる。
【0013】
上記乳化組成物のさらなる水相部乳化剤として配合されるグリセリン脂肪酸エステルは、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%、最も好ましくは1〜2.5重量%使用される。グリセリン脂肪酸エステルもやはり、使用量が少なすぎれば乳化が不充分となり、また多すぎると乳化剤による好ましくない異臭の原因になる。
【0014】
乳化組成物の油相を形成する油脂は、菜種油、コーン油、大豆油、綿実油、サフラワー油、米糠油、ヒマワリ油、オリーブ油、落花生油、クルミ油などの植物液体油、豚脂、牛脂、魚油などの動物油脂、パーム油、ヤシ油などの植物固体脂、これら動植物油脂、乳脂の硬化油、分別油、エステル交換油、及びこれらの組合せよりなる群から選択されるとよい。
【0015】
この油脂としては、15℃以上、好ましくは25〜40℃、最も好ましくは28〜36℃の融点を有する、いわゆる固形油脂が選択される。このような油脂を選択することで、食感や風味の改善効果を有し、特に食品の口どけ等を向上させることができる組成物を提供することが可能になる。
【0016】
また、かかる油脂の乳化組成物中への配合量は、20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%、最も好ましくは40〜45重量%である。油脂の配合量が少なすぎると、油脂によってもたらされる所望の食感改善効果が期待し難くなり、多すぎると水中油型の乳化組成物の形成が困難になりうる。
【0017】
次に、本発明の乳化組成物の油相部を形成する油相部乳化剤は、ポリグリセリン縮合リシノレン酸エステル、テトラグリセリンモノステアレートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノステアレートなどのグリセリン脂肪酸エステル及びこれらの誘導体、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルならびにこれらの組合せよりなる群から選択されることが好ましい。ここで誘導体とは、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸などの有機酸誘導体を称する。油相部乳化剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えばテトラグリセリンモノステアレート)、グリセリン脂肪酸エステル(例えばグリセリンモノステアレート)、レシチン(例えば大豆レシチン)、ソルビタン脂肪酸モノエステル及びこれらの組合せより、3種以上の乳化剤を混合したものが、乳化安定性の点で特に好適である。
【0018】
以上記載した種々の乳化剤において、脂肪酸は、脂肪酸単位として炭素原子数12〜22、好ましくは16〜18を有する、直鎖状または分岐鎖状、好ましくは直鎖状の脂肪酸が好適に使用され、特に炭素数16〜18の直鎖状飽和脂肪酸が好ましい。
【0019】
かかる油相部乳化剤の配合量は、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%、最も好ましくは0.5〜2重量%である。この油相部乳化剤が少なすぎると水中油型の乳化組成物の形成が不充分となり、また多すぎると乳化剤に起因する異臭が発生する原因になりうるとともに、やはり水中油型の乳化組成物の形成が不充分になってしまう。
【0020】
このような構成をもって本発明の乳化組成物を調製するが、その方法は、一般的な水中油型の乳化組成物の調製法に従うものである。すなわち、水相部及び油相部をほぼ同じ温度に加熱(例えば、70〜80℃、好ましくは約75℃)して、それぞれ均質な溶液とし、水相部の中に油相部を投入して、充分に、例えばホモミキサーやホモゲナイザーなどを用いて乳化させる。本発明は、かかる乳化組成物の製造方法も意図するものである。
【0021】
このようにして得られる乳化組成物の平均粒径は、1〜50μm、好ましくは1〜20μm、最も好ましくは1〜10μmである。この平均粒径は、組成物の構成成分及び量比、ならびに製法、例えば乳化条件などに依存して変化するので、随時調整することが好ましい。平均粒径が小さすぎると再凝集を起こしやすく、乳化物の物性変化が大きくなりがちであり、また大きすぎると乳化の安定性に欠け、生地起泡性が劣る傾向がある。
【0022】
また、本発明の乳化組成物は、特にパウンドケーキ等のバターケーキ、スポンジケーキ、ロールケーキ、スイスロール、ブッセ、スナックケーキ、蒸しケーキ、バームクーヘンなどのケーキ類に好適に適用され、乳化剤による異臭をもたらすことなく、これらケーキ類の食感や風味、特に口どけ、しとり感、ソフト性等を向上させることができる。ケーキ類の他、例えばクッキー、パイ、シュークリーム、パンなどのベーカリー食品にも、本発明の乳化組成物を適用できる。
【0023】
なお、本発明の乳化組成物には、必要に応じて、乳製品、香料、糖類などの香味成分、補助成分としてビタミン類、ガム質、糊料、保存剤、酸化防止剤、着色料等を添加することもできる。
【0024】
如上の乳化組成物が配合された本発明のベーカリー食品において、かかる乳化組成物の配合量は、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、最も好ましくは5〜15重量%である。この配合量が少なすぎれば、乳化組成物によってもたらされる効果が低く、また多すぎると乳化剤による異臭の原因となることがある。
【0025】
本発明の乳化組成物を含むベーカリー食品は、従来パウンドケーキの製造に適用されてきたフラワーバッター法、シュガーバッター法、オールインミックス法等、あるいはスポンジケーキの製造に適用されてきた共立て法、後粉法、オールインミックス法等を含む、種々のベーカリー食品の製造方法に準じ、適宜の方法を選択して製造することができ、その際の乳化組成物の添加・混和のタイミング等の条件も特に限定されるものではない。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に基づいて限定的に解釈されるべきものでないことは勿論である。
【0027】
実施例1
水2.5kgにHLB値16のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、S−1670)0.25kgを加え、75℃まで加温し、さらにグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製、エマルジーMS:グリセリンモノステアレート)0.075kgを加えてホモミキサーで6000rpmにて、3分間攪拌して水相部を調製した。別容器に硬化大豆油(融点36℃)1.11kg、パーム油(融点36℃)1.0kg、グリセリン脂肪酸エステル(前記に同じ)0.005kg、大豆レシチン(ツルーレシチン工業(株)製、SLPペーストSP)0.01kg、ソルビタン脂肪酸モノエステル(理研ビタミン(株)製、ポエムS−60)0.025kg、テトラグリセリンモノステアレート(阪本薬品工業(株)製、MS−310)0.025kgを75℃で溶解させて油相部を調製した。上記のように調製した水相部に油相部を加えて、ホモミキサー(特殊機化工業社製、TK−ホモミクサーMARKII)にて8000rpmで10分間攪拌し、水中油型の乳化組成物を得た。
【0028】
この乳化組成物100gを用い、マーガリン100g、砂糖200g、卵液200g及び小麦粉200gに加えて混和して、パウンドケーキ生地を調製した。生地の調製は、シュガーバッター法に準じて行った。
【0029】
得られた生地200ccをカップに入れ、その内容重量を測定することにより、生地比重を求めた。
【0030】
次いで、得られた生地のうち360gを金属製のパウンドケーキ型(20cm×7cm×5cm)に計り取り、175±5℃に設定した電気窯の中で45分間焼成した後、室温に一昼夜放置した。こうして製造されたケーキの食感すなわち、ソフト性、口どけ、しとり感及び風味を評価した。
【0031】
実施例2
水2.5kgにHLB値16のショ糖脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.1kg及びHLB値11のショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、S−1170)0.15kgを加え、75℃まで加温し、さらにグリセリン脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.075kgを加えてホモミキサーで6000rpmにて3分間攪拌して水相部を調製した。別容器に硬化大豆油(融点36℃)1.085kg、パーム油(融点36℃)1.0kg、グリセリン脂肪酸エステル(前記に同じ)0.005kg、大豆レシチン(実施例1に前記したものに同じ)0.01kg、ソルビタン脂肪酸モノエステル(実施例1に前記したものに同じ)0.025kg、テトラグリセリンモノステアレート(実施例1に前記したものに同じ)0.025kgを75℃で溶解させて油相部を調製した。上記のように調製した水相部に油相部を加えて、ホモミキサーにて5000rpmで5分間攪拌して予備乳化を行い、さらにホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリー社製、HV−OA)を用い、均質圧50kg/cm2にて2回処理して、水中油型の乳化組成物を得た。
【0032】
得られた組成物を用い、実施例1と同様にパウンドケーキ生地を調製してその比重を測定し、さらにその生地を焼成して、同様に評価を行った。
【0033】
比較例1
水2.6kg及びHLB値16のショ糖脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.25kgを加え、75℃まで加熱して水相部を調製した。硬化大豆油(融点36℃)1.11kg、パーム油(融点36℃)1.0kg、グリセリン脂肪酸エステル(実施例1に記載したものに同じ)0.005kg、大豆レシチン(実施例1に前記したものに同じ)0.01kg、ソルビタン脂肪酸モノエステル(実施例1に前記したものに同じ)0.025kg、テトラグリセリンモノステアレート(実施例1に前記したものに同じ)0.025kgを75℃で溶解させて油相部を調製し、実施例1と同様の工程により水中油型の乳化組成物を得た。
【0034】
得られた組成物を用い、実施例1と同様にパウンドケーキ生地を調製してその比重を測定し、さらにその生地を焼成して、同様に評価を行った。
【0035】
比較例2
水相部に水2.5kg及びグリセリン脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.075kgを配合し、油相部には硬化大豆油(融点36℃)1.085kg、パーム油(融点36℃)1.0kg、グリセリン脂肪酸エステル(実施例1に記載したものに同じ)0.005kg、大豆レシチン(実施例1に前記したものに同じ)0.01kg、ソルビタン脂肪酸モノエステル(実施例1に前記したものに同じ)0.025kg、テトラグリセリンモノステアレート(実施例1に前記したものに同じ)0.025kgを配合し、実施例1と同様の工程により水中油型の乳化組成物を得た。
【0036】
得られた組成物を用い、実施例1と同様にパウンドケーキ生地を調製してその比重を測定し、さらにその生地を焼成して、同様に評価を行った。
【0037】
比較例3
硬化大豆油(融点36℃)2.335kg、パーム油(融点36℃)1.0kg、グリセリン脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.005kg、大豆レシチン(実施例1に前記したものに同じ)0.01kg、ソルビタン脂肪酸モノエステル(実施例1に前記したものに同じ)0.025kg、テトラグリセリンモノステアレート(実施例1に前記したものに同じ)0.025kgを75℃で溶解させて油相部を調製した。水1.25kgにHLB値16のショ糖脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.1kg、HLB値11のショ糖脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.15kgを加え、75℃まで加温し、さらにグリセリン脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.075kgを加えてホモミキサーで6000rpmにて、3分間攪拌して水相部を調製した。上記のように調製した油相部に水相部を加えて、ホモミキサーにて8000rpmで10分間攪拌し、油中水型の乳化組成物を得た。
【0038】
得られた組成物を用い、実施例1と同様にパウンドケーキ生地を調製してその比重を測定し、さらにその生地を焼成して、同様に評価を行った。
【0039】
比較例4
水相部に水2.5kg、HLB値16のショ糖脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.1kg、HLB値11のショ糖脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.15kg及びグリセリン脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.075kgを配合し、油相部には大豆油2.035kg、グリセリン脂肪酸エステル(実施例1に記載したものに同じ)0.005kg、大豆レシチン(実施例1に前記したものに同じ)0.01kg、ソルビタン脂肪酸モノエステル(実施例1に前記したものに同じ)0.025kg、テトラグリセリンモノステアレート(実施例1に前記したものに同じ)0.025kgを配合し、実施例1と同様の工程により水中油型の乳化組成物を得た。
【0040】
得られた組成物を用い、実施例1と同様にパウンドケーキ生地を調製してその比重を測定し、さらにその生地を焼成して、同様に評価を行った。
【0041】
比較例5
水相部に水2.5kg及びグリセリン脂肪酸エステル(実施例1に前記したものに同じ)0.075kgを配合し、油相部には硬化大豆油(融点36℃)1.085kg、パーム油(融点36℃)1.0kg、グリセリン脂肪酸エステル(実施例1に記載したものに同じ)0.005kg、大豆レシチン(実施例1に前記したものに同じ)0.01kg、ソルビタン脂肪酸モノエステル(実施例1に前記したものに同じ)0.025kg、テトラグリセリンモノステアレート(実施例1に前記したものに同じ)0.025kgを配合し、実施例2と同様の工程によりホモゲナイザーを用いて水中油型の乳化組成物を得た。
【0042】
得られた組成物を用い、実施例1と同様にパウンドケーキ生地を調製してその比重を測定し、さらにその生地を焼成して、同様に評価を行った。
【0043】
比較例6
実施例1のパウンドケーキ生地において、本発明の乳化組成物の代わりに市販の起泡性乳化組成物A(水中油型)を100g用い、それ以外は実施例1に記載したと同様の工程によってパウンドケーキ生地を調製してその比重を測定し、さらにその生地を焼成して、同様に評価を行った。結果は表2に示す通りである。
【0044】
以上、実施例1及び2ならびに比較例1〜5の乳化組成物の各配合成分を、以下の表1にまとめて記載する。数値はすべて、乳化組成物総重量に基づく重量%で表した。
【0045】
【表1】
Figure 0003848776
【0046】
また、上記実施例及び比較例に基づいて得られた生地の比重及び各組成物の乳化型、ならびに作製したパウンドケーキの評価の結果を、以下の表2に示す。
【0047】
生地の比重は、乳化組成物による起泡性を示すものであるが、およそ0.8g/cc以下の生地比重をもたらすものが、食品のソフト性を安定的に供給でき、作業性を向上させるために好ましいと考えられる。
【0048】
【表2】
Figure 0003848776
【0049】
表2に示されるように、実施例1及び2の乳化組成物は、好ましい起泡性を提供し、得られた食品の種々の特性は、非常に優れたものであった。一方、グリセリン脂肪酸エステルを水相部に含まない比較例1の乳化組成物では、起泡性はある程度得られるものの、食感に劣る食品しか製造できなかった。また、水相部にショ糖脂肪酸エステルを含まない比較例2及び5においては、起泡性にやや劣り、好ましくない食感の食品しか製造できないことが示唆された。油脂を多量に配合し(合計67.1重量%、融点36℃)、油中水型の乳化物とした比較例3では、起泡性が格段に劣り、従って得られる食品のソフト感は特に優れず、また、食感についてのその他の評価も極めて悪かった。液体油脂(大豆油)を用いた比較例4の場合、起泡性は満足できるものであったが、特に口どけが悪くクチャつきのある食感を呈する食品が得られた。
【0050】
実施例3
実施例2で得られた乳化組成物を用いて、以下の配合によりイギリスパンを調製した。
【0051】
先ず、ドライイースト6gを35℃の温水30gになじませておいた。強力粉(日清製粉株式会社製、カメリア)300g、砂糖18g、食塩5gと、前記イーストを、立て型ミキサーで軽く混ぜ合わせた。次いで水170gを添加して、ミキサーで混合した。さらに前記乳化組成物15gをミキサーで練込み、生地を調製した。
【0052】
調製した生地を28℃、湿度80%にて40分間発酵させ、続いて20分程度休ませた。これをパン型に入れ、40℃、湿度85%にて30分間発酵させた後210℃に設定したオーブンの中で約30分間焼成した。
【0053】
比較例7
実施例3において、乳化組成物の代わりに同量(15g)のバターを用いたことを除いては同様の工程に従い、パンを調製した。
【0054】
上記実施例3及び比較例7において得られたパンを、それぞれ焼成後室温に20時間放置した後、比容積を測定し、さらに以下の表3に示す項目について評価した。
【0055】
【表3】
Figure 0003848776
【0056】
表3に示されるように、本発明の乳化組成物を配合して調製した実施例3のパンは、ソフト感、しとり感が良好であり、パサツキにくいなどの点で、バターが配合された比較例7のパンに比べて優れたものであった。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によって、ベーカリー食品に配合することにより、油脂によってもたらされうる消泡性を抑えることができ、ソフトな食品を調製できるという効果がもたらされ、特に風味・口どけの良い食品を製造できる乳化組成物が得られる。また、この組成物により、食品生地に起泡性を付与できるので、従来の食品製造の工程にて必要であった微調整を行わなくても安定的に良好なソフト性を有する食品を提供することが可能となり、作業性の向上につながる。この乳化組成物を配合してベーカリー食品を製造すると、大量に使用した場合にも、乳化剤による異臭をもたらすことがない。
【0058】
さらに本発明によって、従来油相部の乳化剤として使用されていたグリセリン脂肪酸エステルを水相部に添加して乳化し、水相部が連続した水中油型の乳化組成物を得る製造方法が提供される。
【0059】
また、本発明のベーカリー食品は、消費者の要求を満たすことのできる、ソフトで、食感、風味に優れたものである。

Claims (9)

  1. 乳化組成物の総重量に基づき、HLB値9以上のショ糖脂肪酸エステル1〜10重量%及びグリセリン脂肪酸エステル0.1〜5重量%を含む水相部乳化剤、ならびに水30〜78.8重量%を含む水相部と、
    植物液体油、動物油、植物固体脂、乳脂、硬化油、分別油、エステル交換油及びこれらの組合せよりなる群から選択される、15℃以上の融点を有する少なくとも1種の油脂20〜60重量%、ならびに少なくとも1種の油相部乳化剤0.1〜5重量%を含む油相部より形成される乳化組成物であって、
    前記水相部が連続相をなすことを特徴とする乳化組成物。
  2. 前記油相部乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びこれらの誘導体、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルならびにこれらの組合せよりなる群から選択される請求項1記載の乳化組成物。
  3. 前記油相部乳化剤が、3種以上の乳化剤の混合物である請求項1または2記載の乳化組成物。
  4. 前記油脂が、菜種油、コーン油、大豆油、綿実油、サフラワー油、米糠油、ヒマワリ油、オリーブ油、落花生油、クルミ油、豚脂、牛脂、魚油、パーム油、ヤシ油、乳脂、これらの硬化油、分別油、エステル交換油、及びこれらの組合せよりなる群から選択される請求項1乃至3のいずれかに記載の乳化組成物。
  5. 前記油脂が、25〜40℃の融点を有するものである請求項1乃至4のいずれかに記載の乳化組成物。
  6. 乳化組成物の平均粒径が、1〜50μmである請求項1乃至5のいずれかに記載の乳化組成物。
  7. ケーキ用である請求項1乃至6のいずれかに記載の乳化組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の乳化組成物の製造方法であって、以下の工程すなわち、
    乳化組成物の総重量に基づき、水30〜78.8重量%、HLB値9以上のショ糖脂肪酸エステル1〜10重量%を加温溶解した後グリセリン脂肪酸エステル0.1〜5重量%を加え、攪拌混合して水相部を調製し、
    植物液体油、動物油、植物固体脂、乳脂、硬化油、分別油、エステル交換油、及びこれらの組合せよりなる群から選択される、15℃以上の融点を有する少なくとも1種の油脂20〜60重量%、ならびに少なくとも1種の油相部乳化剤0.1〜5重量%を加熱溶解して調製した油相部を前記水相部に添加し、及び
    乳化させる工程を含むことを特徴とする製造方法。
  9. 請求項1乃至7のいずれかに記載の乳化組成物が1〜30重量%配合されて製造されたベーカリー食品。
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