JP3960503B2 - オイルダンパ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、地震等が発生した時に構造物の制振を行なうのに適するオイルダンパの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、およそオイルダンパは、外部入力で伸縮する際に減衰作用をして所定のエネルギー吸収を実現し得るように設定されるが、多くの場合に、常用されるピストン速度の低速域から中速域にかけての伸縮時に所定の減衰作用をしながら、言わば異常となるピストン速度の高速域時にはリリーフ機能を発揮するように設定されている。
【0003】
すなわち、たとえば、図4に示すオイルダンパにあって、まず、ダンパ本体1は、シリンダ体11とこのシリンダ体11内に出没可能に挿通されるロッド体12を有してなると共に、シリンダ体11内にはロッド体12に連設されながら摺動可能に収装されてこのシリンダ体11内に二つの油室R1,R2を区画するピストン13を有してなるが、このピストン13に二組の減衰弁2,3およびリリーフ弁4,5を有している。
【0004】
ちなみに、二つの油室R1,R2は、ダンパ本体1がシリンダ体11の両端からロッド体12をそれぞれ突出させるいわゆる両ロッド型に設定されていることから、同じ受圧面積を有している。
【0005】
そして、減衰弁2は、一方の油室R1が高圧側となるときに他方の油室R2への油の通過を許容し、また、減衰弁3は、他方の油室R2が高圧側となるときに一方のR1への油の通過を許容し、その際にそれぞれ所定の減衰力を発生するように設定されている。
【0006】
また、リリーフ弁4は、一方の油室R1が異常高圧となるときに他方の油室R2への流出を許容し、また、リリーフ弁5は、他方の油室R2が異常高圧となるときに一方のR1への油の流出を許容するように設定されている。
【0007】
一方、このオイルダンパにあっては、上記の油室R1,R2がダンパ本体1の外部に配在のバイパス路Lを介して互いに連通されているが、このバイパス路L中には油室R1,R2間における油の逆流をそれぞれ阻止するチェック弁6,7が配在されると共に、各チェック弁6,7にそれぞれ並列するオリフィス絞り8,9が配在されている。
【0008】
そして、上記のバイパス路Lには、上記の各チェック弁6,7の間となる部位でアキュムレータ10が接続されている。
【0009】
上記のオイルダンパにおいて、ピストン13が移動して一方の油室R1又はR2の内圧がいずれの減衰弁2又は3のクラッキン圧にも達しない時のピストン速度を低速域とし、同じく上記内圧がいずれかの減衰弁2又は3は開くがいずれのリリーフ弁4,5のクラッキング圧にも達しない時のピストン速度を中速域とし、上記内圧がいずれかのリリーフ弁4又は5のクラッキング圧に達してこのリリーフ4又は5を開くときのピストン速度を中高速域とすると、外部入力で、たとえば、ピストン13がシリンダ体11内を図4中で左行して一方の油室R1が高圧側となるときに、ピストン速度が低速域にあるときには、一方の油室R1からの油がバイパス路L中のオリフィス絞り8およびチェック弁7を通過して他方の油室R2に流入する。
【0010】
そして、ピストン速度が中速域になると、一方の油室R1からの油が減衰弁2を通過して他方の油室R2に流入し、ピストン速度が高速域になると、一方の油室R1からの油がリリーフ弁4を介して他方の油室R2に流入する。
【0011】
また、上記と逆に、ピストン13がシリンダ体11内を図4中で右行して他方の油室R2が高圧側となるときには、他方の油室R2からの油が、ピストン速度が低速域にあれば、バイパス路L中のオリフィス絞り9およびチェック弁6を通過して、また、ピストン速度が中速域になれば、減衰弁3を通過して、さらに、ピストン速度が高速域になれば、リリーフ弁5を介して、一方の油室R1に流入することになる。
【0012】
その結果、上記のオイルダンパにあっては、図5に示すように、ピストン速度の低速域には、オリフィス特性の減衰力が発生すると共に、ピストン速度の中速域以上では、減衰弁2,3とリリーフ弁4,5がバルブ特性の減衰力を発生するように設定されることで、所期の減衰作用を実現し得ることになる。
【0013】
ちなみに、油室R1,R2における油温上昇で油が膨張したときには、この膨張分の油がオリフィス絞り8,9を介してアキュムレータ10に流出されると共に、油室R1,R2における油温低下で油が収縮したときには、油室R1,R2において不足することになる油がオリフィス絞り8,9を介してアキュムレータ10から補給される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したオイルダンパにあっては、まず、ピストン速度が低速域にあるときの減衰力がいわゆるダレてしまい、必要な大きさの減衰力が得られなくなる不具合がある。
【0015】
すなわち、上記のオイルダンパにあっては、ピストン速度の低速域における減衰力発生を保障することから当然であるが、バイパス路L中にアキュムレータ10を有していて、ダンパ本体1における油量補償はもちろんのこと、ダンパ本体1における温度補償をも可能にしていることから、上記のバイパス路L中へのオリフィス絞り8,9の配設を省略できないことになる。
【0016】
その結果、ピストン速度が低速域にあるときの減衰力を全体的に大きくしようとしてもこれを実現できないことになる。
【0017】
つぎに、上記したオイルダンパにあっては、ダンパ本体1の外部にバイパス路Lを設けると共に、このバイパス路L中にチェック弁6,7およびオリフィス絞り8,9を配在し、さらに、このバイパス路Lにアキュムレータ10を接続する構成とされている。
【0018】
それゆえ、オイルダンパの具体化にあって、バイパス路L,チェック弁6,7およびオリフィス絞り8,9は、多くの場合に、ダンパ本体1の外部に設けられるであろうバルブブロック内に配在されることになり、また、アキュムレータ10は、多くの場合に、このバルブブロックに連設されることになる。
【0019】
その結果、上記のバルブブロックがダンパ本体1に連設される場合には、オイルダンパにおける全体的な大型化が招来されることになり、たとえば、このオイルダンパが建築物における耐震性を向上させるためのブレースに接続された状態で建築物における壁スペースに配在されて制振装置を構成するとする場合に、その配備性を低下させることになる不具合がある。
【0020】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、ピストン速度が中速域以上となるときに所定の減衰作用が実現されるのはもちろんのこと、ピストン速度が低速域にあるときにも必要な大きさの減衰力発生が可能になり、しかも、全体的な大型化を招来させずして、その汎用性の向上を期待するのに最適となるオイルダンパを提供することである。
【0021】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、シリンダ体と、シリンダ体に摺動自在に挿入されたピストンと、ピストンの両側に連設されてシリンダ体に出没可能に挿通されたロッド体と、シリンダ体内にピストンを介して区画された第1,第2の二つの油室と、ピストン内に設けられて第1の油室から第2の油室へおよび第2の油室から第1の油室にそれぞれ油の流れを許容する一対の減衰弁および一対のリリーフ弁と、第1,第2の油室を連通する油路中に設けられて一方の油室から他方の油室に油の流れを阻止する一対のチェック弁と、一対のチェック弁間の上記油路に接続されたアキュムレータとを備えているオイルダンパにおいて、シリンダ体に連設されたハウジング内にアキュムレータを設け、上記油路と一対のチェック弁とをピストン内に設け、更に上記油路とアキュムレータを接続する通路がピストンとロッド体内に設けられると共に当該通路が上記各減衰弁の下流側に連通し、かつ上記各減衰弁がピストン速度の低速域から中速域において油の流れを許容するように設定されてなることを特徴とするものである。
【0022】
この場合、アキュムレータが油室と気体室又は油室と気泡をもったスポンジとで構成しているのが好ましい。
【0023】
同じく、減衰弁がポペット型の弁体を備えているのが好ましい。
【0024】
それゆえ、ダンパ本体の外部には、各チェック弁および油路が配在されなくなり、全体的な大型化を招来させないのみならず、積極的なコンパクト化を可能にする。
【0025】
そして、減衰弁がポペット構造に形成することで、オリフィス絞りによらずしてピストン速度の低速域における大きい減衰力の発生を可能にし、しかも、その際の発生減衰力の特性をバルブ特性にし得る。
【0026】
また、上記の減衰弁では、ピストン速度の低速域に引き続いてピストン速度の中速域における減衰力発生をも可能にするから、段差のないリニアな特性の減衰力発生が可能になる。
【0027】
そして、上記のポペット構造に形成される減衰弁では、ポペット弁における初期荷重がほぼ零になるように設定されることで、この減衰弁の上流側となる油室における油温上昇で膨張した分の油のこの減衰弁を介してのアキュムレータ側への漏出を可能にする。
【0028】
また、上記のようにポペット弁における初期荷重がほぼ零になるように設定される場合には、ピストンがシリンダ体内を摺動する初期に高圧側となる油室で油が圧縮し、反対側の低圧側の油室で油量不足となるときに、不足分に相当する量の油がアキュムレータからチェック弁を介して供給されて、低圧側の油室にある油中での気泡発生を回避可能にする。
【0029】
そして、上記から反転してピストンがシリンダ体内を摺動する初期にそれまで低圧側であった油室において過剰となる油が減衰弁を介してアキュムレータに流入し、それまで高圧側にあった油室が低圧側に転じようとする場合の残圧発生を回避可能にする。
【0030】
さらに、減衰弁の下流側における最低油圧がアキュムレータにおける背圧で適宜に設定されることで、減衰弁に上記した油温上昇時の膨張した分の油の漏出作動と、ピストン速度の低速域における減衰力発生と、これに引き続くピストン速度の中速域における減衰力発生とを保障させることが可能になり、また、ピストン速度の高速域におけるリリーフ弁の作動をも保障させることが可能になる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、図示したところに基づいて、この発明を説明するが、この発明によるオイルダンパにあっても、図1に示すように、基本的には、前記した図4に示す従来例としてのオイルダンパと同様の要素を有して構成されている。
どころで、以下の説明においては、ピストン13が移動して一方の油室R1又はR2の内圧がいずれの減衰弁2又は3のクラッキンググ圧にも達しない時のピストン速度を低速域とし、同じく上記内圧がいずれかの減衰弁2又は3は開くがいずれのリリーフ弁4,5のクラッキン圧にも達しない時のピストン速度を中速域とし、上記内圧がいずれかのリリーフ弁4又は5のクラッキング圧に達してこのリリーフ4又は5を開くときのピストン速度を高速域とするものとする。
【0032】
即ち、本発明のオイルダンパは図1に示すように、シリンダ体11と、シリンダ体11に摺動自在に挿入されたピストン13と、ピストン13の両側に連設されてシリンダ体11に出没可能に挿通されたロッド体12,12と、シリンダ体11内にピストン13を介して区画された第1,第2の二つの油室R1,R2と、第1の油室R1から第2の油室R2へおよび第2の油室R2から第1の油室R1にそれぞれ油の流れを許容する一対の減衰弁2,3および一対のリリーフ弁4,5と、第1,第2の油室R1,R2を連通する油路14中に設けられて一方の油室から他方の油室に油の流れを阻止する一対のチェック弁6,7と、一対のチェック弁6,7間の油路14に接続されたアキュムレータQとを備えている。
【0033】
更に、シリンダ体11に連設されたハウジング15内にアキュムレータQを設け、上記油路14と一対のチェック弁6,7とをピストン13内に設け、更に上記油路14とアキュムレータQを接続する通路16がピストン13とロッド体12内に設けられると共に当該通路16が上記各チェック弁6,7の下流側に連通し、かつ上記各減衰弁2,3がピストン速度の低速域から中速域において油の流れを許容するように設定されている。
【0034】
アキュムレータQは、図1に示すように、油室17と気体室18とで構成しているが図2に示すように油室17と気泡をもったスポンジ19とで構成してもよい。
【0035】
図2に示すオイルダンパは、スポンジ19を除いて他の構成,作用,効果は図1のオイルダンパと同じである。
【0036】
尚、この発明によるオイルダンパにあって、その構成が上記の従来例と同様となるところについては、図1中におよび以下に図示する実施の形態において、同一の符号を付している。以下、この発明において特徴となるところを中心に説明する。
【0037】
すなわち、まず、この発明によるオイルダンパは、図1に示すように、二組の減衰弁2,3およびリリーフ弁4,5がピストン13に配在されてなるとするのはもちろんのこと、このピストン13にはチェック弁6,7が配在されてなるとし、かつ、シリンダ体11に一体に成形されたハウジング15内にアキュムレータQが内蔵されてなるとして、ダンパ本体1のみからなる外観を呈している。
【0038】
これによって、ダンパ本体1の外部にバイパス路(図4中の符号L参照)を配在させることを要しなくなり、このバイパス路を設けるための、また、このバイパス路中にチェック弁6,7およびオリフィス絞り8,9を配在させるためのバルブブロックの連設などを省略できることになる。
【0039】
つぎに、この発明によるオイルダンパでは、ハウジング15内にアキュムレータQが配在されてなるとするが、このアキュムレータQは、ピストン13に配在の二つの減衰弁2,3の下流側に連通している。
【0040】
これによって、ダンパ本体1の外部にアキュムレータQを設けることによる不具合を、また、たとえば、上記したバルブブロックにアキュムレータQを連設することによるオイルダンパの全体的な大型化を阻止できることになる。
【0041】
一方、この発明によるオイルダンパでは、減衰弁2,3がピストン速度の低速域における油の通過とこれに引き続くピストン速度の中速域における油の通過を許容し得るように設定されてなるとしている。
【0042】
これによって、まず、前記した従来例におけるオリフィス絞り8,9を配在することなくして、ピストン速度の低速域における減衰力発生をこの減衰弁2,3に担保させることが可能になる。
【0043】
したがって、たとえば、減衰弁2,3をポペット型の弁体を備えたポペット構造に設定することで、図3に示すように、前記した従来例(図5参照)に比較すれば、バルブ特性の大きい減衰力の発生を可能にし得ることになる。
【0044】
つぎに、この減衰弁2,3がピストン速度の低速域における油の通過に引き続いてピストン速度の中速域における油の通過をも許容するように設定されることで、図3に示すように、ピストン速度の低速域から中速域にかけての発生減衰力を段差のないリニアな特性のものとして具現化できることになる。
【0045】
さらに、この減衰弁2,3における初期荷重がほぼ零になるように設定されることで、すなわち、減衰弁2,3がポペット構造に設定されるときのポペット弁における初期荷重がほぼ零になるように設定されることで、各減衰弁2,3の上流側となる油室R1,R2における油温上昇で油が膨張したときに、この膨張分の油が上記のポペットを押し開くようにしてアキュムレータQ側に漏出することを可能にし得ることになる。
【0046】
また、上記のようにポペット弁における初期荷重がほぼ零になるように設定されることで、ピストン13がシリンダ体11内を摺動することによって生じ得る油室R1,R2内におけるいわゆる残圧発生を回避し得ることにもなる。
【0047】
すなわち、たとえば、ピストン13がシリンダ体11内を図1中で左行するように摺動する初期には、油室R1が高圧側となると共に、このときに、油室R1の油が圧縮する。
【0048】
それに対して、反対側の低圧側の油室R2では油量不足を生じ、したがって、このときには、油室R2で不足することになる量に相当する分の油がアキュムレータQからチェック弁7を介して補給されることになり、その結果、低圧側の油室R2にある油中での気泡発生が回避されることになる。
【0049】
そしてまた、上記から反転してピストン13がシリンダ体11内を図1中で右行するように摺動する初期には、それまで低圧側であった油室R2においては、すなわち、高圧側に転じようとしている油室R2においては、アキュムレータQから補給された分の油が過剰となる。
【0050】
しかし、この過剰となる油は、減衰弁3を介してアキュムレータQに直接流入することになり、それまで高圧側にあった油室R1が低圧側に転じようとする場合の油室R1における残圧発生が回避されることになる。
【0051】
ところで、この発明によるオイルダンパでは、減衰弁2,3の下流側における最低油圧がアキュムレータQにおける背圧で設定されている。
【0052】
これによって、減衰弁2,3に上記の残圧発生に関与する油の排出作動と、前記の油温上昇時の膨張した分の油の漏出作動と、ピストン速度の低速域における減衰力発生と、これに引き続くピストン速度の中速域における減衰力発生とを保障することが可能になると共に、さらには、ピストン速度の高速域におけるリリーフ弁4,5の作動をも保障することが可能になる。
【0053】
ちなみに、アキュムレータQにおける背圧に起因する減衰弁2,3の下流側における最低油圧は、多くの場合に、3キロ程度に設定される。
【0054】
また、減衰弁2,3の下流側は、前記したチェック弁6,7のいわゆる上流側に連通している。
【0055】
以上のように構成されたこの発明によるオイルダンパの作動は、以下のようになる。
【0056】
すなわち、ダンパ本体1が外部入力で、たとえば、ピストン13がシリンダ体11内を図1中で左行して一方の油室R1が高圧側となるときに、ピストン速度が低速域にあるときおよび中速域にあるときには、一方の油室R1からの油が減衰弁2およびチェック弁7を介して他方の油室R2に流入する。
【0057】
そして、ピストン速度が高速域になると、一方の油室R1からの油がリリーフ弁4を介して他方の油室R2に流入する。
【0058】
また、上記と逆に、ピストン13がシリンダ体11内を図1中で右行して他方の油室R2が高圧側となるときには、他方の油室R2からの油が、ピストン速度が低速域および中速域にあれば、減衰弁3およびチェック弁6を介して一方の油室R1に流入し、ピストン速度が高速域になれば、リリーフ弁5を介して一方の油室R1に流入することになる。
【0059】
さらに、ダンパ本体1が伸縮しているか否かにかかわりなく、油室R1,R2における油温上昇で油が膨張したときには、この膨張分の油が減衰弁2,3を介してアキュムレータQに流出されると共に、油室R1,R2における油温低下で油が収縮したときには、油室R1,R2において不足することになる油がチェック弁6,7を介してアキュムレータQから補給される。
【0060】
それゆえ、このダンパ本体1における作動は、基本的には、前記した従来例における場合と同様であるが、ピストン速度の低速域の油が、また、油室R1,R2における油温上昇で膨張した分の油が減衰弁2,3を通過するとした点に前記した従来例との差異がある。
【0061】
そして、特に、ピストン速度の低速域の油が減衰弁2,3を通過することで発生される減衰力が少なくともオリフィス特性にならず、したがって、減衰弁2,3を、たとえば、ポペット構造に設定することを条件に、バルブ特性の減衰力発生を実現できることになる点で有利となる。
【0062】
また、残圧発生を減衰弁2,3によって回避し得ること、特に、減衰弁2,3を通過した油がオリフィス絞り(図4中の符号8,9)などを介さずして直接アキュムレータQに流入し得ることから、速やかな残圧解消が可能になり、以降にこの減衰弁2,3の作動で発生される減衰力を安定させる点で有利となる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、この発明にあっては、減衰弁,リリーフ弁,チェック弁がピストン内に設けられ、アキュムレータにシリンダ体に連設したハウジング内に設けられているから、全体的な大型化を招来させないのみならず、積極的なコンパクト化を可能にする。
【0064】
そして、減衰弁がポペット構造に形成したことにより、オリフィス絞りによらずしてピストン速度の低速域における大きい減衰力の発生を可能にし、しかも、その際の発生減衰力の特性をバルブ特性にし得ることになる。
【0065】
また、減衰弁がピストン速度の低速域に引き続いてピストン速度の中速域における減衰力発生をも可能にするから、段差のないリニアな特性の減衰力発生が可能になる。
【0066】
そして、減衰弁がポペット構造に形成され、ポペット弁における初期荷重がほぼ零になるように設定した場合には、この減衰弁の上流側となる油室において油温上昇で膨張した分の油をこの減衰弁を介してのアキュムレータ側に流出させる得ることになる。
【0067】
また、ポペット弁における初期荷重がほぼ零になるように設定される場合には、ピストンがシリンダ体内を摺動する初期に高圧側となる油室で油が圧縮し、反対側の低圧側の油室で油量不足するときに、この不足分に相当する量の油がアキュムレータから供給されることになり、低圧側の油室にある油中での気泡発生を回避可能にする。
【0068】
そして、上記から反転してピストンがシリンダ体内を摺動する初期にそれまで低圧側であった油室において過剰となる油が減衰弁を介して直接アキュムレータに流入し、それまで高圧側にあった油室が低圧側に転じようとする場合の残圧発生を回避可能にする。
【0069】
さらに、減衰弁の下流側における最低油圧がアキュムレータにおける背圧で適宜に設定されることで、減衰弁に上記した残圧発生阻止作動と、油温上昇時の膨張した分の油の漏出作動と、ピストン速度の低速域から中速域における減衰力発生とを保障させ得ることになり、また、ピストン速度の高速域におけるリリーフ弁の作動をも保障させる得ることになる。
【0070】
その結果、この発明によれば、ピストン速度が中速域以上となるときに所定の減衰作用が実現されるのはもちろんのこと、ピストン速度が低速域にあるときにも必要な大きさの減衰力発生が可能になり、しかも、全体的な大型化を招来させずして、たとえば、オイルダンパが建築物における耐震性を向上させるためのブレースに接続された状態で建築物における壁スペースに配在されて制振装置を構成するとする場合に、その配備性が向上されることになり、その汎用性の向上を期待するのに最適となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係るオイルダンパを原理的に示す概略縦断面図である。
【図2】この発明の他の実施の形態に係るオイルダンパを原理的に示す概略断面図である。
【図3】図1に示すオイルダンパによる減衰特性を示すグラフである。
【図4】従来例としてのオイルダンパを図1と同様に示す図である。
【図5】図4に示すオイルダンパによる減衰特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ダンパ本体
2,3 減衰弁
4,5 リリーフ弁
6,7 チェック弁
11 シリンダ体
12 ロッド体
13 ピストン
Q アキュムレータ
R1 第1の油室
R2 第2の油室
Claims (3)
- シリンダ体と、シリンダ体に摺動自在に挿入されたピストンと、ピストンの両側に連設されてシリンダ体に出没可能に挿通されたロッド体と、シリンダ体内にピストンを介して区画された第1,第2の二つの油室と、ピストン内に設けられて第1の油室から第2の油室へおよび第2の油室から第1の油室にそれぞれ油の流れを許容する一対の減衰弁および一対のリリーフ弁と、第1,第2の油室を連通する油路中に設けられて一方の油室から他方の油室に油の流れを阻止する一対のチェック弁と、一対のチェック弁間の上記油路に接続されたアキュムレータとを備えているオイルダンパにおいて、シリンダ体に連設されたハウジング内にアキュムレータを設け、上記油路と一対のチェック弁とをピストン内に設け、更に上記油路とアキュムレータを接続する通路がピストンとロッド体内に設けられると共に当該通路が上記各減衰弁の下流側に連通し、かつ上記各減衰弁がピストン速度の低速域から中速域において油の流れを許容するように設定されてなることを特徴とするオイルダンパ。
- アキュムレータが油室と気体室又は油室と気泡をもったスポンジとで構成していることを特徴とする請求項1のオイルダンパ。
- 減衰弁がポペット型の弁体を備えていることを特徴とする請求項1又は2のオイルダンパ。
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