JP3960228B2 - レーダ装置,プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーダ波の送受信信号を混合してなるビート信号を処理して、レーダ波を反射した物標を検出するレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電波を送信し、その反射波を受信して前方車両や路側物等の各種物標に関する情報(距離,相対速度,方位)を求める車載用のレーダ装置が知られている。このようなレーダ装置では、図10に示すように、物標にて反射した反射波を直接受信したとき(図中実線で示す経路)には、その物標は正しく認識される。しかし、物標(ターゲット車両)Tにて反射され、更にガードレールや防風壁等の路側物やトンネルの壁面(以下、総称して単に「路側物」と称する。)Rにて再反射された反射波を受信したとき(図中一点鎖線で示す経路)には、あたかも路側物Rの外側に物標Gが位置するかのように認識され、いわゆる虚像(ゴースト)による誤認識が生じるという問題があった。
【0003】
これに対して、静止した物標を抽出し、これらの物標が形成するラインに基づいて、ガードレール等の路側物が存在する位置を示す基本ラインを設定し、この基本ラインの外側に位置する物標を、虚像と判定し消去する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−116839号公報
(段落[0016]〜[0020]、図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この装置では、各測定サイクルで認識された物標を、その測定サイクル内で、基本ラインとの位置関係だけに基づいて、虚像か実像かを判断している。このため、例えば、コンクリートの壁が続く場合など、静止物標が検出されにくい状況では、この基本ラインを構成することができないことがあり、その結果、虚像の判定が困難になるという問題があった。
【0006】
また、虚像と判断された物標については、実像と関連づけることなく単に消去されており、虚像に含まれる実像についての情報が有効利用されていないという問題もあった。
そこで本発明は、上記問題点を解決するために、レーダ装置において、認識した物標が虚像であるか実像であるかの判定精度を向上させることを第1の目的とし、更に虚像と判定された物標の情報を有効利用して物標の認識精度を向上させることを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた本発明のレーダ装置では、物標認識手段が、予め設定された測定サイクル毎に、レーダ波を送受信することで得られる情報に基づいてレーダ波を反射した物標を認識する。すると、仮判定手段が、その認識された物標のうち、距離及び速度がほぼ同じとなる複数の物標のそれぞれについて、その物標が虚像である可能性及び実像である可能性を、測定サイクル毎に仮判定し、評価手段が、その判定結果を物標毎に時系列的に評価する。そして、虚実判定手段が、評価手段での評価値に従って、物標が虚像であるか否か、及び実像であるか否かを判定する。
【0008】
つまり、本発明では、認識した物標が実像であるか虚像であるかを、単独の測定サイクルだけで判定するのではなく、その物標の履歴を評価して判定している。
このため、本発明によれば、仮判定手段による判定の信頼性が一時的に低下したとしても、これに影響されることなく、認識した物標が実像であるか虚像であるかを、常に精度よく判定することができる。
【0009】
なお、仮判定手段は、測定サイクル毎にそのサイクルで認識された物標が実像であるか虚像であるかを判定するものであればどのような方法を用いてもよく、例えば、特許文献1に記載の方法を用いてもよい。
そして、特に、請求項1に記載のレーダ装置では、評価手段は、例えば、仮判定手段から物標が虚像である可能性が高いことを示す判定結果が得られた場合に減点され、実像である可能性が高いことを示す判定結果が得られた場合に加点される得点を前記評価値として用い、虚実判定手段は、物標のうち、評価値が予め設定された虚像判定しきい値を越えて小さくなったものを虚像、予め設定された実像判定しきい値を越えて大きくなったものを実像と判定する。
【0010】
なお、ポイントの加点/減点は、上述したものとは逆に、虚像である可能性が高い場合ことを示す判定結果が得られた場合に加点し、実像である可能性が高いことを示す判定結果が得られた場合に減点するようにして、評価値が、虚像判定しきい値を越えて大きくなったものを虚像、実像判定しきい値を越えて小さくなったものを実像と判定するように構成してもよい。
【0011】
更に、請求項1に記載のレーダ装置では、虚実判定手段にて使用される虚像判定しきい値及び実像判定しきい値は、ヒステリシスを有している。
従って、虚実判定手段での判定結果が測定サイクル毎に頻繁に変化することが防止されるため、安定した判定結果を得ることができる。
【0012】
また、請求項2及び請求項3に記載のレーダ装置では、前回の測定サイクルで認識された物標である前サイクル物標が、今回の測定サイクルで物標認識手段にて認識された物標である今サイクル物標のいずれとも履歴接続がない場合、外挿手段が、前サイクル物標から予測される物標を、実際に認識されたものとして外挿する。
【0013】
このように構成された本発明のレーダ装置では、マルチパスの影響で認識中の物標を一時的にロストしたとき等に、その都度、物標の認識を途絶えさせてしまうことがなく、物標の認識を安定して行うことができる。
更に、本発明のレーダ装置に反射面推定手段を設け、この反射面推定手段が、虚実判定手段により虚像と判定された物標である虚物標、及び実像と判定された物標である実物標がいずれも認識されている場合、両物標に基づいて、虚像を発生させた反射面の位置を推定するように構成してもよい。この場合、外挿手段は、前サイクル物標が虚物標又は実物標であり、且つその前サイクル物標と履歴接続された物標が対になるべき今サイクル物標である対応物標が認識されており、且つ現在に至る予め設定された許容期間内に、反射面推定手段にて対応物標に関わる反射面の位置が推定されている場合、その反射面の位置と対応物標とに基づいて外挿すべき物標を予測するように構成すればよい。
【0014】
但し、「対になるべき今サイクル物標」とは、「前サイクル物標と履歴接続された物標」が実像である場合にはその虚像のことであり、「前サイクル物標と履歴接続された物標」が虚像である場合にはその実像のことである。
このように構成された本発明のレーダ装置では、虚像が発生する状況において、マルチパス等の影響により実像又は虚像のうちいずれか一方が認識されなかった場合でも、その認識されなかった一方についての情報(位置や速度)を、認識された他方から精度よく求めることができる。つまり、虚像を単に消去するのではなく、虚像の持つ情報を有効利用して、物標(特に実像)認識の精度や安定性を向上させることができる。
【0015】
なお、上述したように、一時的に物標をロストしたときには、物標の外挿が有効であるが、実際に物標が認識可能な範囲外に移動してしまう等したときには、実在しない物標についての外挿が行われ続けてしまう場合がある。
そこで、外挿手段を備えている場合には、更に、予め設定された規定回数の外挿が既に行われている前サイクル物標に対して、外挿手段による外挿を禁止する外挿禁止手段を備えることが望ましい。
【0016】
ところで、上記レーダ装置を構成する各手段は、コンピュータを機能させるためのプログラムとして構成してもよい。
この場合、そのプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶させ、その記憶させたプログラムを必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。なお、記録媒体は、持ち運び可能なものであってもよいし、コンピュータシステムに組み込まれたものであってもよい。また、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステムにロードするものであってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、実施形態のレーダセンサ1の構成、及びレーダセンサ1を用いて構成したクルーズ制御システムの概略構成を示したブロック図である。
【0018】
クルーズ制御システムは、車間制御電子制御装置(以下「車間制御ECU」と称す。)30、エンジン電子制御装置(以下「エンジンECU」と称す。)32、ブレーキ電子制御装置(以下「ブレーキECU」と称す。)34を備え、これらはLAN通信バスを介して互いに接続されている。また、各ECU30,32,34は、いずれも周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、少なくともLAN通信バスを介して通信を行うためのバスコントローラを備えている。尚、本実施形態では、LAN通信バスを介して行うECU間のデータ通信は、車載ネットワークで一般的に利用されているCAN(ドイツ、Robert Bosch 社が提案した「Controller Area Network」)プロトコルを用いている。
【0019】
また、車間制御ECU30には、図示しない警報ブザー、クルーズコントロールスイッチ、目標車間設定スイッチ等が接続されている他、本発明のレーダ装置に相当するレーダセンサ1が接続されている。
ここで、レーダセンサ1は、FMCW方式のいわゆる「ミリ波レーダ」として構成されたものであり、周波数変調されたミリ波帯のレーダ波を送受信することにより、先行車や路側物等の物標を認識し、これら認識した物標に関する情報である物標情報や、レーダセンサ1自身のダイアグ情報等を生成して、車間制御ECU30に送信する。なお、物標情報には、少なくとも相対速度及び位置(距離データ及び横位置データ)が含まれている。
【0020】
ブレーキECU34は、ステアリングセンサ、ヨーレートセンサからの検出情報(操舵角,ヨーレート)に加え、M/C圧センサからの情報に基づいて判断したブレーキペダル状態を、LAN通信バスを介して車間制御ECU30に送信すると共に、その判断したブレーキペダル状態に従って、ブレーキ力を制御するためにブレーキ油圧回路に備えられた増圧制御弁・減圧制御弁を開閉するブレーキアクチュエータを制御するように構成されている。
【0021】
エンジンECU32、車速センサ、スロットル開度センサ、アクセルペダル開度センサからの検出情報(車速,エンジン制御状態、アクセル操作状態)を車間制御ECU30に送信すると共に、車間制御ECU30からは目標加速度、フューエルカット要求、ダイアグ情報等を受信し、これら受信した情報から特定される運転状態に応じて、内燃機関(ここでは、ガソリンエンジン)のスロットル開度を調整するスロットルアクチュエータ等に対して駆動命令を出力するように構成されている。
【0022】
車間制御ECU30は、エンジンECU32から現車速やエンジン制御状態、ブレーキECU34からは操舵角、ヨーレート、ブレーキ制御などの制御状態等を受信する。そして、レーダセンサ1から受信した先行車情報に基づいて車間距離制御すべき先行車を決定し、クルーズコントロールスイッチや目標車間設定スイッチからの検出信号に基づき、先行車との車間距離を適切に調節するための制御指令値として、エンジンECU32には目標加速度、フューエルカット要求、ダイアグ情報等を送信し、ブレーキECU34には、目標加速度、ブレーキ要求等を送信する。また、車間制御ECU30は、警報発生の判定を行い、警報が必要な場合には警報ブザーを鳴動させるように構成されている。
【0023】
次に、レーダセンサ1は、時間に対して周波数が直線的に増加する上り区間、及び周波数が直線的に減少する下り区間を有するように変調されたミリ波帯の高周波信号を生成する発振器10と、発振器10が生成する高周波信号を増幅する増幅器12と、増幅器12の出力を送信信号Ssとローカル信号Lとに電力分配する分配器14と、送信信号Ssに応じたレーダ波を放射する送信アンテナ16と、レーダ波を受信するn個の受信アンテナからなる受信側アンテナ部20とを備えている。
【0024】
また、レーダセンサ1は、受信側アンテナ部20を構成するアンテナのいずれかを順次選択し、選択されたアンテナからの受信信号Srを後段に供給する受信スイッチ21と、受信スイッチ21から供給される受信信号Srを増幅する増幅器22と、増幅器22にて増幅された受信信号Sr及びローカル信号Lを混合してビート信号BTを生成するミキサ23と、ミキサ23が生成したビート信号BTから不要な信号成分を除去するフィルタ24と、フィルタ24の出力をサンプリングしデジタルデータに変換するA/D変換器25と、発振器10の起動,停止や、A/D変換器25を介したビート信号BTのサンプリングを制御すると共に、そのサンプリングデータを用いた信号処理や、車間制御ECU30との通信を行い、信号処理に必要な情報(車速,道路形状情報)、及びその信号処理の結果として得られる情報(物標情報,ダイアグ情報等)を送受信する処理等を行う信号処理部26とを備えている。
【0025】
このうち、受信側アンテナ部20を構成する各アンテナは、そのビーム幅がいずれも送信アンテナ16のビーム幅全体を含むように設定されている。そして、各アンテナがそれぞれCH1〜CHnに割り当てられている。
また、信号処理部26は、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、更に、A/D変換器25を介して取り込んだデータについて、高速フーリエ変換(FFT)処理等を実行するための演算処理装置(例えばDSP)を備えている。
【0026】
このように構成された本実施形態のレーダセンサ1では、信号処理部26からの指令に従って発振器10が起動すると、その発振器10が生成し、増幅器12が増幅した高周波信号を、分配器14が電力分配することにより、送信信号Ss及びローカル信号Lを生成し、このうち送信信号Ssは、送信アンテナ16を介してレーダ波として送出される。
【0027】
そして、送信アンテナ16から送出され物標に反射して戻ってきたレーダ波(反射波)は、受信側アンテナ部20を構成する全ての受信アンテナにて受信され、受信スイッチ21によって選択されている受信チャンネルCHi(i=1〜n)の受信信号Srのみが増幅器22で増幅されたあとミキサ23に供給される。すると、ミキサ23では、この受信信号Srに分配器14からのローカル信号Lを混合することによりビート信号BTを生成する。このビート信号BTは、フィルタ24にて不要な信号成分が除去された後、A/D変換器25にてサンプリングされ、信号処理部26に取り込まれる。
【0028】
なお、受信スイッチ21は、レーダ波の一変調周期の間に、全てのチャンネルCH1〜CHnが所定回(例えば512回)ずつ選択されるよう切り替えられ、また、A/D変換器25は、この切替タイミングに同期してサンプリングを行う。つまり、レーダ波の一変調周期の間に、各チャンネルCH1〜CHn毎かつレーダ波の上り/下り各区間毎にサンプリングデータが蓄積されることになる。
【0029】
ここで、レーダセンサ1の信号処理部26が実行するメイン処理を、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
本処理では、まず車間制御ECU30から、現車速,道路形状情報(ここでは推定R値)を受信すると(S10)、VCO10を起動することでレーダ波の送信を開始し(S12)、A/D変換器25を介してビート信号BTのサンプリング値を取り込む(S14)。必要なだけサンプリング値を取り込むと、VCO10を停止することでレーダ波の送信を停止する(S16)。
【0030】
次に、取り込んだサンプリング値について周波数解析処理(ここではFFT処理)を実行して、各チャンネルCH1〜CHn毎かつ上り/下り各区間毎にビート信号BTのパワースペクトルを求める(S18)。
このようにして求められたパワースペクトルを、各区間毎に全チャンネルについて平均化することで得られた平均化パワースペクトル上のピークであって、パワー値が予め設定されたしきい値より大きいものを抽出する(S20)。
【0031】
そして、この抽出されたピークに基づき、上り区間のピークと下り区間のピークとの組み合わせを設定し、その設定したピークの組合せのうち、組み合わせた両ピークのパワー差及び角度差が予め設定された許容範囲内にあるものを抽出する。更に、FMCWレーダにおける周知の方法にて、両ピークから特定されれる物標の距離,横位置,相対速度を算出し、その算出距離が予め設定された上限距離より小さく、且つその算出速度が予め設定された下限速度より大きく,上限速度より小さいもののみをピークペアとしてペア登録する。なお、ピークペアには、それぞれ検出カウンタが割り当てられ、そのカウント値CNTiはゼロに初期化される(S22)。
【0032】
以下、S22にてペア登録されたピークペアに基づき、履歴追尾(S24)、物標認識(S26)、物標外挿(S28)、ゴースト判定(S30)、出力物標選択(S32)を行い、更に、出力物標選択にて選択された物標についての物標情報(速度,位置)やレーダセンサ1のダイアグ情報を車間制御ECU30に送信(S34)して本処理を終了する。
【0033】
以下では、S24〜S32に示した各処理の詳細について順番に説明する。
まず、S24の履歴追尾では、図3のフローチャートに示すように、前サイクルにてペア登録されたピークペア(以下では「前サイクルペア」と称する。)の個数がゼロであるか否か(S240)、また、今サイクルにてペア登録されたピークペア(以下では「今サイクルペア」と称する。)の個数がゼロであるか否か(S241)を判断し、いずれか一方でもゼロであれば、本処理を終了する。
【0034】
前サイクルペアの個数、及び今サイクルペアの個数のいずれもがゼロでなければ、今サイクルペアと前サイクルペアとの組み合わせを設定し(S242)、その組み合わせたペア(以下では「組合せペア」と称する。)のいずれか一組を取り出す(S243)。
【0035】
取り出した組合せペアのうち、前サイクルペアの情報に基づいて、その前サイクルペアに対応する今サイクルペアの予測位置及び予測速度を算出する(S244)。なお、予測位置の算出は、S10にて道路形状情報として取得した推定R値(車両の推定走行軌跡の曲率半径)を利用して行うものとする。
【0036】
そして、算出した予測位置,予測速度と、今サイクルペアから求めた検出位置,検出速度とに基づいて、両者の位置差分,速度差分を求める(S245)。
その位置差分が予め設定された上限位置差DRTSDより小さく、且つ速度差分が予め設定された上限速度差DVTSDより小さいか否かを判断し(S246)、いずれも小さい場合にのみ、組合せペアを構成する両ピークペアは履歴接続があるものとして、今サイクルペアの検出カウンタCNTiを、前サイクルペアの検出カウンタCNTiに1を加算した値で更新する(S247)。
【0037】
そして、先のS242にて設定した全ての組合わせペアについて、上述の処理(S243〜S247)を実行したか否かを判断し(S248)、未処理の組合わせペアがある時はS243に戻り、一方、全ての組合わせペアについて処理が終了していれば、本処理を終了する。
【0038】
つまり、本処理を実行することにより、前サイクルペアとの履歴接続がある今サイクルペアには、対応する前サイクルペアの情報(検出カウンタのカウント値CNTi)が引き継がれ、一方、前サイクルペアとの履歴接続がない今サイクルペアについては、検出カウンタのカウント値CNTiはゼロのままとなる。
【0039】
次にS26の物標認識では、図4のフローチャートに示すように、今サイクルペアの個数がゼロであるか否かを判断し(S260)、ゼロであればそのまま本処理を終了する。一方、今サイクルペアの個数がゼロでなければ、その今サイクルペアの中の一つを取り出し(S261)、取り出した今サイクルペアの検出カウンタのカウント値CNTiが予め設定された認識しきい値CNTTSD以上であるか否かを判断する(S262)。
【0040】
検出カウンタのカウント値CNTiが認識しきい値CNTTSD以上であれば、今サイクルペアは物標を表すものであるとして、認識物標登録を行い(S263)、その登録された物標についての外挿回数を示す外挿カウンタのカウント値ICNTi、及びその物標が実像であるか虚像であるかを評価するための評価値であるゴーストポイントGSPiを0クリアすると共に、物標が虚像(ゴースト)であると判定された場合に1にセットされるゴーストフラグGSFi、及び物標が実像であると判定された場合に1にセットされるツルーフラグTRFiを0にリセットする(S264)。
【0041】
そして、全ての今サイクルペアについて上述の処理(S261〜S264)を実行したか否かを判断し(S265)、未処理の今サイクルペアがあれば、S261に戻り、全ての今サイクルペアについて処理が終了していれば、本処理を終了する。
【0042】
つまり、本処理では、認識しきい値CNTTSD以上の履歴接続が確認されたピークペアを認識された物標として登録し、その物標についての各種パラメータを初期化する。
次にS28の物標外挿では、図5のフローチャートに示すように、前サイクル物標の個数がゼロであるか否かを判断し(S280)、ゼロであればそのまま本処理を終了する。一方、前サイクル物標の個数がゼロでなければ、その中から一つを取り出し(S281)、取り出した前サイクル物標が、S243にて登録された物標、即ち今サイクル物標との履歴接続があるか否かを判断する(S282)。
【0043】
そして、履歴接続があれば、そのままS287に移行し、一方、履歴接続がなければ、その前サイクル物標の外挿カウンタのカウント値ICNTiが外挿上限サイクル数ICNTTSDより小さいか否かを判断する(S283)。カウント値ICNTiが外挿上限サイクル数ICNTTSDより小さければ、外挿を許可するものとして、外挿ペア作成を実行し(S284)、作成された外挿ペアを認識物標登録する(S285)。そして、登録された物標に、前サイクル物標の外挿カウンタのカウント値ICNTiを引き継がせ、そのカウント値に1を加算することで外挿カウンタを更新する(S286)。
【0044】
一方、先のS283にて、前サイクル物標の外挿カウンタのカウント値ICNTiが外挿上限サイクル数以上であれば、外挿を許可しないものとして、そのままS287に移行する。
そして、全ての前サイクル物標について上述の処理(S281〜S286)を実行したか否かを判断し(S267)、未処理の前サイクル物標があれば、S281に戻り、全ての前サイクル物標について処理が終了していれば、本処理を終了する。
【0045】
つまり、本処理では、前サイクル物標の中で今サイクル物標との履歴接続がないもののうち、外挿上限サイクル数ICNTTSDで決まる外挿期間以内のものについては、ピークペア(ひいては物標)の外挿を許可することにより、物標の登録を継続し、一方、外挿期間を経過しても履歴接続のある今サイクル物標が検知されないものについては外挿を行わないことにより、その物標の登録を削除するようにされている。
【0046】
ここで、S284で実行する外挿ペア作成の詳細を、図6に示すフローチャートに沿って説明する。
この外挿ペア作成では、S281にて取り出した前サイクル物標iのゴーストフラグGSFi又はツルーフラグTRFiのうち、いずれか一方でも1にセットされているか否かを判断し(S290)、いずれもセットされていなければ、そのままS293に移行する。一方、両フラグGSFi,TRFiのうち、いずれか一方でもセットされていれば、前サイクル物標iと対になる前サイクル物標i’を取り出す(S291)。なお、対になる前サイクル物標i’とは、前サイクル物標iが実像であれば、これに対応する虚像のことであり、また、前サイクル物標iが虚像であれば、これに対応する実像のことである。
【0047】
そして、今サイクル物標の中で、ツルーフラグTRFjが1にセットされ、且つ前サイクル物標i’が今サイクルで検出された場合にもつべき距離(予測距離)との距離差の絶対値が所定値C1(本実施形態では2.0m)より小さく、且つ前サイクル物標が今サイクルで検出された場合に持つべき速度(予測速度)との速度差の絶対値が所定値C2(本実施形態では2.0m/s)より小さい今サイクル物標jが存在するか否かを判断する(S292)。
【0048】
指定されたような今サイクル物標jが存在しなければ、前サイクル物標iから求めた予測位置,予測速度を持つような外挿ペアを作成(S293)して、本処理を終了する。
一方、S292にて指定されたような今サイクル物標jが存在すれば、過去2サイクル内に、その物標jに基づいて算出された壁座標W(S326参照)が存在するか否かを判断し(S294)、存在しなければS293に移行して、今サイクル物標jが存在しない場合と同様の方法で外挿ペアを作成する。なお、壁座標Wとは、ゴーストを発生させた反射面の位置を示す座標のことである。
【0049】
また、物標jに基づいて算出された壁座標Wが存在すれば、その物標j及び壁座標Wに基づいて、壁座標Wにて示される壁を挟んで、物標jとは線対称な位置、物標jと同じ速度を持つような外挿ペアを作成する(S295)。
更に、この外挿ペアから特定される外挿物標の前サイクルからの変位量が、所定値C5(本実施形態では1.8m)より大きいか否かを判断し(S296)、大きければ、その変位量が予め設定された上限値に制限されるような外挿位置を持つ標に外挿ペアを再計算(S297)した後、本処理を終了し、変位量が所定値C5以下であれば、そのまま本処理を終了する。
【0050】
つまり、物標外挿では、前サイクルまでゴーストが検出されていた物標である場合には、検出されなかった物標と対になるべき今サイクル物標jが存在し、且つ許容サイクル内に壁座標Wが求められていれば、これら物標jと壁座標Wとに基づいて外挿ペアが作成され、それ以外の場合には、前サイクル物標に基づいて外挿ペアが作成される。
【0051】
また、物標jと壁座標Wとにより外挿ペアを作成した場合には、利用可能な壁座標Wの情報を許容サイクル内と限定しているため、実在する反射面の位置から大きく誤る可能性は低いが、この壁座標Wが誤っていると、算出される外挿ペアの位置も大きく誤ったものとなる。このため、外挿ペアにて求められる位置が、前サイクル物標iの位置から、大きく変位している時には、壁座標Wが誤っている可能性があるものとして、変位量を制限するようにされている。
【0052】
次に、S30のゴースト判定では、図7のフローチャートに示すように、今サイクル物標の個数がゼロであるか否かを判断し(S300)、ゼロであればそのまま本処理を終了する。一方、今サイクル物標の個数がゼロでなければ、その中から一つを取り出し(S301)、取り出した今サイクル物標iと対になる今サイクル物標i’が存在するか否かを判断する(S302)。具体的には、今サイクル物標iとの距離差の絶対値が所定値C1より小さく、且つ速度差の絶対値が所定値C2より小さい今サイクル物標i’が存在するか否かを判断する。
【0053】
そして、指定された今サイクル物標i’が存在しなければ、その物標iはゴーストではなく、またその物標iのゴーストも発生していないものとして、物標iのゴーストフラグGSFi及びツルーフラグTRFiを、いずれも0にリセットすると共に、ゴーストポイントGSPiを0にクリアする(S307)。
【0054】
一方、指定された今サイクル物標i’が存在すれば、ゴーストが発生している可能性があるものとして、今サイクル物標iは実像である可能性が高いか否か、また虚像である可能性が高いか否かを判定するためのゴースト瞬時判定を実行する(S303)。
【0055】
このゴースト瞬時判定では、物標iが自車線より外側の領域に存在し、且つ物標jが自車線上に存在する場合には、物標iは虚像(ゴースト)である可能性が高いものと判定し、逆に物標iが自車線上に存在し、且つ物標jが自車線より外側の領域に存在する場合には、物標iは実像である可能性が高いものと判定し、これら以外の場合には、判定不能とする。
【0056】
そして、物標iは虚像である可能性が高いと判定された場合は、物標iのゴーストポイントGSPiを1だけ減算し(S304)、実像である可能性が高いと判定された場合は、物標iのゴーストポイントGSPiを1だけ加算し(S305)、判定不能である場合は、ゴーストポイントGSPiを操作することなく、次ステップに進み、ゴーストポイントGSPiに応じたゴーストフラグGSFi,ツルーフラグTRFiの設定を行う(S306)。
【0057】
そして、全ての今サイクル物標について上述の処理(S301〜S307)を実行したか否かを判断し(S308)、未処理の今サイクル物標があれば、S301に戻り、全ての今サイクル物標について処理が終了していれば、本処理を終了する。
【0058】
ここで、S306で実行するフラグ設定の詳細を、図8に示すフローチャートに沿って説明する。
このフラグ設定では、まずゴーストポイントGSPiが虚像判定しきい値C31(本実施形態ではC31=−15)より小さいか否かを判断し(S310)、小さければ、ゴーストフラグGSFiを1にセットして(S311)、本処理を終了する。
【0059】
また、ゴーストポイントGSPiが虚像判定しきい値C31以上であれば、ゴーストポイントGSPiが実像判定しきい値C41(本実施形態ではC41=8)より大きいか否かを判断し(S312)、大きければ、ツルーフラグTRFiを1にセットして(S313)、本処理を終了する。
【0060】
また、ゴーストポイントGSPiが実像判定しきい値C41以下であれば、今度は、ゴーストフラグGSFiが1にセットされ、且つゴーストポイントGSPiが虚像解除しきい値C32(本実施形態ではC32=−1)より大きいか否かを判断し(S314)、肯定された場合には、ゴーストフラグGSFiを0にリセットして(S315)、本処理を終了する。
【0061】
また、S314にて否定された場合には、更に、ツルーフラグTRFiが1にセットされ、且つゴーストポイントGSPiが実像解除しきい値C42(本実施形態ではC42=1)より小さいか否かを判断する(S316)。
そして、肯定された場合には、ツルーフラグTRFiを0にリセットして(S317)、本処理を終了し、一方、否定された場合には、そのまま本処理を終了する。
【0062】
つまり、ゴースト判定では、各測定サイクル毎に行われる仮判定の結果を、ゴーストポイントGSPiとして蓄積し、その蓄積した結果に基づいて、その物標が虚像であるか否か、実像であるか否かを判定し、その判定結果を、ゴーストフラグGSFi、ツルーフラグTRFiにて示すようにされている。
【0063】
次に、S32の出力物標選択では、図9のフローチャートに示すように、今サイクル物標の個数がゼロであるか否かを判断し(S320)、ゼロであればそのまま本処理を終了する。一方、今サイクル物標の個数がゼロでなければ、その中から一つを取り出し(S321)、取り出した今サイクル物標iのゴーストフラグGSFiが1にセットされているか否かを判断し(S323)、1にセットされていなければ、今サイクル物標iを出力物標登録する(S324)。一方、ゴーストフラグGSFiが1にセットされていれば、今サイクル物標iは虚像であるため、この虚像に対する実像である今サイクル物標jが存在するか否かを判断する(S325)。具体的には、ツルーフラグTRFjが1にセットされ、且つ今サイクル物標iとの距離差の絶対値が所定値C1以下であり、且つ今サイクル物標iとの速度差の絶対値が所定値C2以下である今サイクル物標jが存在するか否かを判断する。
【0064】
このとき、指定された今サイクル物標jが存在すれば、これら二つの今サイクル物標i,jから、虚像である今サイクル物標iを発生させた反射面の位置を表す壁座標Wijを算出する(S326)。
そして、全ての今サイクル物標について上述の処理(S321〜S326)を実行したか否かを判断し(S327)、未処理の今サイクル物標があれば、S321に戻り、全ての今サイクル物標について処理が終了していれば、本処理を終了する。
【0065】
つまり、本処理では、ゴーストフラグGSFiが1にセットされた物標i以外の物標が、全て出力物標登録される。そして、その出力物標登録された物標の物標情報は、S34にて車間制御ECU30に提供される。また、ある物標についての虚像と実像とがいずれも認識されている場合には、これらの位置情報に基づいて、虚像を発生させた反射面の位置を示し外挿ペア生成の際に使用される壁座標Wが求められる。
【0066】
以上のように構成された本実施形態のレーダセンサ1では、物標としての条件を満たすピークペアを、虚像,実像に関わらず全て物標として認識する。また、今サイクルペアとの履歴接続がない前サイクル物標に対する外挿も、虚像,実像に関わらず全ての前サイクル物標を対象として行う。
【0067】
そして、認識(外挿されたものを含む)した物標のそれぞれについて、虚像であるか否か、実像であるか否かの判定を行う。但し、この判定は、測定サイクル毎に瞬時的に判定(仮判定)されたものをそのまま使用するのではなく、その仮判定による判定結果を積算したゴーストポイントGSPiに基づき、このゴーストポイントGSPiが所定値に達したか否かにより判定した結果を使用する。
【0068】
また、本実施形態では、外挿ペアを、基本的には、前サイクル物標に基づいて生成する。但し、虚像(ゴースト)が発生している状況で、これに関わる虚像及び実像のうち、いずれか一方の今サイクル物標のみが認識されている時には、他方の今サイクル物標と、その今サイクル物標に関わる壁座標Wとに基づいて生成する。
【0069】
このように、本実施形態のレーダセンサ1では、認識した物標が実像であるか虚像であるかを、単独の測定サイクルだけで判定するのではなく、その物標の履歴を評価して判定しているため、ゴースト瞬時判定(S303)での判定の信頼性が一時的に低下したとしても、これに影響されることなく、認識した物標が実像であるか虚像であるかを、常に精度よく判定することができる。
【0070】
また、本実施形態のレーダセンサ1では、ゴーストポイントGSPiと比較することで虚像であるか否かを判定するためのしきい値C31,C32、及び実像であるか否かを判定するためのしきい値C41,C42に、ヒステリシスを持たせていることで、その判定結果が測定サイクル毎に頻繁に変化することを防止しているため、安定した判定結果を得ることができる。
【0071】
更に、本実施形態のレーダセンサ1では、虚像と判定された物標を単に消去するのではなく、虚像の持つ情報を、物標の外挿を行う際に積極的に利用しているため、物標(特に実像)認識の精度や安定性を向上させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0072】
例えば、本実施形態では、虚像であるか否か、実像であるか否かを判定するための各しきい値は、C41>C42>C32>C31となるように設定したが、C41≧C42>C31かつC41>C32≧C31であれば、どのように設定してもよく、特に、C32とC42との関係は、C32<C42でも、C32>C42でも、C32=C42でもよい。また、C31≠C32であれば、虚像か否かを判定するためのしきい値がヒステリシスを持ち、同様に、C41≠C42であれば、実像か否かを判定するためのしきい値がヒステリシスを持つことになる。
【0073】
また、上記実施形態では、道路形状情報として、推定R値を用いているが、例えば、レーダセンサ1により認識される物標の中から停止物(路側物など)を抽出し、その停止物から推定される道路形状に沿った角度や、車両がGPS等、車両の現在位置を測定する装置を備えている場合には、その装置から得られる位置情報と、その位置情報が示す位置に対応した地図データとから得られる道路形状に沿った角度等を用いてもよい。また、これらの情報(推定R値や角度)から演算される車両進行方向角度を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 レーダセンサの構成、及びレーダセンサを用いて構成したクルーズ制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】 レーダセンサの信号処理部が実行するメイン処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】 メイン処理で実行する履歴追尾の内容を示すフローチャートである。
【図4】 メイン処理で実行する物標認識の内容を示すフローチャートである。
【図5】 メイン処理で実行する物標外挿の内容を示すフローチャートである。
【図6】 物標外挿で実行する外挿ペア作成の内容を示すフローチャートである。
【図7】 メイン処理で実行するゴースト判定の内容を示すフローチャートである。
【図8】 ゴースト判定で実行するフラグ設定の内容を示すフローチャートである。
【図9】 メイン処理で実行する出力物標選択の内容を示すフローチャートである。
【図10】 虚像(ゴースト)が発生する理由を示す説明図である。
【符号の説明】
1…レーダセンサ、10…発振器、12,22…増幅器、14…分配器、16…送信アンテナ、20…受信側アンテナ部、21…受信スイッチ、23…ミキサ、24…フィルタ、25…A/D変換器、26…信号処理部、30…車間制御ECU、32…エンジンECU、34…ブレーキECU。
Claims (6)
- 予め設定された測定サイクル毎に、レーダ波を送受信することで得られる情報に基づいて前記レーダ波を反射した物標を認識する物標認識手段と、
該物標認識手段にて認識された物標のうち、距離及び速度がほぼ同じとなる複数の物標のそれぞれについて、該物標が虚像である可能性及び実像である可能性を、前記測定サイクル毎に仮判定する仮判定手段と、
該仮判定手段での判定結果を前記物標毎に時系列的に評価する評価手段と、
該評価手段での評価値に従って、前記物標が虚像であるか否か、及び実像であるか否かを判定する虚実判定手段と、
を備え、
前記評価手段は、前記仮判定手段から前記物標が虚像である可能性が高いことを示す判定結果が得られた場合に減点され、実像である可能性が高いことを示す判定結果が得られた場合に加点される得点を前記評価値として用い、
前記虚実判定手段は、前記物標のうち、前記評価値が予め設定された虚像判定しきい値を越えて小さくなったものを虚像、予め設定された実像判定しきい値を越えて大きくなったものを実像と判定し、
前記虚実判定手段にて使用される前記虚像判定しきい値及び前記実像判定しきい値は、ヒステリシスを有することを特徴とするレーダ装置。 - 前回の測定サイクルで認識された物標である前サイクル物標が、今回の測定サイクルで前記物標認識手段にて認識された物標である今サイクル物標のいずれとも履歴接続がない場合、前記前サイクル物標から予測される物標を、実際に認識されたものとして外挿する外挿手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
- 予め設定された測定サイクル毎に、レーダ波を送受信することで得られる情報に基づいて前記レーダ波を反射した物標を認識する物標認識手段と、
該物標認識手段にて認識された物標のうち、距離及び速度がほぼ同じとなる複数の物標のそれぞれについて、該物標が虚像である可能性及び実像である可能性を、前記測定サイクル毎に仮判定する仮判定手段と、
該仮判定手段での判定結果を前記物標毎に時系列的に評価する評価手段と、
該評価手段での評価値に従って、前記物標が虚像であるか否か、及び実像であるか否かを判定する虚実判定手段と、
前回の測定サイクルで認識された物標である前サイクル物標が、今回の測定サイクルで前記物標認識手段にて認識された物標である今サイクル物標のいずれとも履歴接続がない場合、前記前サイクル物標から予測される物標を、実際に認識されたものとして外挿する外挿手段と、
を備えることを特徴とするレーダ装置。 - 前記虚実判定手段により虚像と判定された物標である虚物標、及び実像と判定された物標である実物標がいずれも認識されている場合、両物標に基づいて、前記虚像を発生させた反射面の位置を推定する反射面推定手段を備え、
前記外挿手段は、前記前サイクル物標が虚物標又は実物標であり、該前サイクル物標と履歴接続された物標が対になるべき今サイクル物標である対応物標が認識されており、且つ現在に至る予め設定された許容期間内に、前記反射面推定手段にて前記対応物標に関わる前記反射面の位置が推定されている場合、該反射面の位置と前記対応物標とに基づいて外挿すべき物標を予測することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレーダ装置。 - 予め設定された規定回数の外挿が既に行われている前サイクル物標に対して、前記外挿手段による外挿を禁止する外挿禁止手段を備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれ かに記載のレーダ装置。
- コンピュータを、請求項1〜5のいずれかに記載のレーダ装置を構成する各手段として機能させるためのプログラム。
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