JP3966181B2 - レーダ装置,プログラム - Google Patents
レーダ装置,プログラム Download PDFInfo
- Publication number
- JP3966181B2 JP3966181B2 JP2003011491A JP2003011491A JP3966181B2 JP 3966181 B2 JP3966181 B2 JP 3966181B2 JP 2003011491 A JP2003011491 A JP 2003011491A JP 2003011491 A JP2003011491 A JP 2003011491A JP 3966181 B2 JP3966181 B2 JP 3966181B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- target
- peak
- pair
- lost
- extracted
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Radar Systems Or Details Thereof (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーダ波の送受信信号を混合してなるビート信号を処理して、レーダ波を反射した物標を検出するレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、先行車を検知して車間距離を適切に保つ車間距離制御装置や、車間距離が必要以上に接近した場合に運転者に報知する車間距離警報装置等に利用される車載レーダの一つとして、ミリ波帯を使用するFMCW方式のレーダ(以下「FMCWレーダ」と称する。)が知られている。
【0003】
このFMCWレーダでは、時間に対して周波数が三角波状に直線的に増減するよう変調されたレーダ波を使用し、このレーダ波の送信信号と、物標に反射したレーダ波(反射波)の受信信号とを混合することにより得られるビート信号に基づいて、レーダ波を反射した物標についての情報を得るようにされている。
【0004】
具体的には、レーダ波の周波数が増加する上り区間、及び周波数が減少する下り区間のそれぞれについて、ビート信号に対し高速フーリエ変換(FFT)に代表される周波数解析処理を施すことにより、ビート信号の各区間毎のパワースペクトルを求める。そして、パワースペクトルから抽出したピーク周波数成分(以下では単に「ピーク」と称する。)を両区間の間で適宜組み合わせて、その組み合わせたピーク(以下では「ピークペア」と称する。)の周波数を、FMCWレーダにおいて周知の計算式に当てはめることにより、そのピークペアにて特定される物標との距離や相対速度を求めている。
【0005】
なお、実際の使用環境においては複数の物標が同時に存在するため、上り区間及び下り区間のそれぞれにて、物標の数に応じた複数のピークが検知される。また、FMCWレーダ装置を搭載した移動体と検知される物標との移動速度が異なる(相対速度V≠0)場合には、ドップラー効果によってピーク周波数がシフトする。つまり、複数の物標が同時に存在する場合、周波数軸上の各ピークは、必ずしも物標までの距離順に並ぶわけではないため、上り区間側と下り区間側とでピークを組み合わせる際に、単純に周波数順に組み合わせてしまうと、物標についての正確な情報を得ることができない。
【0006】
そこで、従来では、今回の測定サイクルで抽出されたピークペア(以下では「今サイクルペア」と称する。)のうち、前回の測定サイクルで抽出されたピークペア(以下では「前サイクルペア」と称する。)と履歴接続されているものを、正しく組み合わされたもの、即ち物標を表すものとして認識していた。但し、前サイクルペアの情報に基づいて求めた予測値に適合する今サイクルペアが存在する場合に、この両者は履歴接続されているものと判断する(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
そして、実用上では、物標以外のものを誤って認識することを防止するために、現時点に至る予め設定された確認期間以上連続して履歴接続が確認されたピークペア(今サイクルペア)のみを、物標として認識(登録)するようにされている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−262130号公報
(段落[0043]〜[0051]、図2〜4)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、物標から直接受信される電波と、道路などに反射して受信される電波とが干渉し合ういわゆるマルチパス現象により、物標からの反射が一時的に消えてしまうことがある。この場合、その物標に対応した今サイクルペアが抽出されないため、物標をロストしてしまうことになる。
【0010】
このように物標を一旦ロストすると、仮に、対応するピークペアが次の測定サイクルで抽出されたとしても、再び確認期間を経た後でなければ物標として認識されず、再認識されるまでに時間を要してしまうという問題があった。つまり、物標が再認識されるまでの間、その物標に関する情報を得ることができず、当該装置のユーザに対する情報の提供が中断してしまうのである。
【0011】
これに対して、前サイクルで認識された物標(前サイクル認識物標)に対応した今サイクルペアが抽出されなかった場合、その前サイクル認識物標の情報から求めた予測値に適合するピークペア(以下では「予測ピークペア」と称する。)が抽出されたものとして、この予測ピークペアを外挿し、予め設定された外挿期間の間、一度も対応するピークペアが抽出されなかった場合にのみ、その物標をロストしたものとして処理する方法が知られている。
【0012】
つまり、認識物標に対応する今サイクルペアが抽出されなくても、外挿期間内であれば、今サイクルペアが抽出されたものとして処理されるため、認識物標としての登録が解除されてしまうこと、即ち認識物標をロストしてしまうことがないのである。
【0013】
しかし、このような外挿を行った場合でも、今サイクルペアの抽出できない状態が、外挿期間以上継続した時には、その時点で認識物標としての登録が解除されてしまうため、その後、対応する今サイクルペアが抽出された時には、確認期間を経なければ物標として認識(登録)されず、再度、物標として認識されるまでに長い時間がかかってしまうとういう問題があった。
【0014】
なお、この問題は、外挿期間を長くすれば解決されるが、外挿期間を長くすると、今度は、実際に物標が検知範囲から外れることでその物標をロストした場合に、実在しない物標についての情報を、長期間に渡って(外挿期間の間)出力し続けてしまうという問題があった。
【0015】
そこで本発明は、上記問題点を解決するために、外乱等によって一時的にロストした物標を、短時間で再び認識することが可能なレーダ装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた本発明のレーダ装置では、ピーク周波数検出手段が、周波数が漸次上昇する上り区間及び周波数が漸次下降する下り区間を有するレーダ波の送信信号と、物標により反射されたレーダ波(反射波)の受信信号とを混合することにより得られるビート信号から、信号強度がピークとなる信号成分の周波数であるピーク周波数を、予め設定された測定サイクル毎に検出する。
【0017】
そして、ピークペア抽出手段が、ピーク周波数検出手段にて検出された上り区間のピーク周波数及び下り区間のピーク周波数の組合せであるピークペアを抽出し、予測手段が、前回の測定サイクルで認識された認識物標(即ち前サイクル認識物標)の情報に基づき、ピークペア抽出手段にて抽出されるべきピークペアの予測値を求める。
そして、物標認識手段が、その抽出されたピークペアのうち、現時点に至る予め設定された確認期間の間に抽出されたピークペアとの履歴接続があるもの抽出することで、その抽出されたピークペアに対応する物標を認識する。但し、ピークペア抽出手段にて抽出されたピークペアの中に、予測手段での予測値と適合するものがものが存在すれば、そのピークペアと予測値に対応する認識物標との間に履歴接続があるものとする。
【0018】
また、前回の測定サイクルで認識された認識物標が、ピークペア抽出手段にて抽出されたピークペアのいずれとも履歴接続がない場合、外挿入手段が、その認識物標についての履歴接続が最後に確認されてから、予め設定された外挿期間内であれば、予測手段にて予測されたピークペアを、実際に検出されたものとして外挿する。
更に、外挿期間内に、物標認識手段にて履歴接続のあるピークペアが抽出されないことにより認識物標をロストした場合、消失物標登録手段が、ロストした認識物標を消失物標として登録し、物標再認識手段が、その登録された消失物標のロスト以前の情報に基づいて、ピークペア抽出手段にて抽出されるべきピークペアの予測値を求め、ロスト後予め設定された猶予期間内に、予測値通りにピークペアが抽出されると、これに対応する消失物標を物標として再認識する。
【0019】
このように構成された本発明のレーダ装置では、認識物標に対応するピークペアの抽出が、マルチパス等の外乱によって一時的に不可能となり、認識物標をロストしてしまったとしても、その後、対応するピークペアが抽出されると、確認期間を経ることなく、直ちに物標として再認識され、その物標に関する情報を直ちに得ることができる。
【0022】
また、本発明のレーダ装置では、外乱によって認識物標に対応するピークペアを一時的に抽出できなくても、直ちには損失物標として登録されることはなく、外挿期間を経過しても対応するピークペアが抽出されなかった場合にのみ、はじめて損失物標として登録される。
【0023】
従って、本発明によれば、外挿期間を短く設定して、存在しなくなった物標に関する情報をいつまでも出力し続けることを確実に防止できるだけでなく、外挿期間の代わりに猶予期間を充分に確保することで、外乱等によってロストした物標に対応するピークペアが抽出された時には、確認期間を経ることなく、その物標を速やかに再認識することができる。
【0024】
なお、予測手段は、予測値として少なくとも位置と相対速度とを求めるように構成することが望ましい。
また、当該装置を車両に搭載した場合には、当該装置を搭載した走行中の車両と他車両や路側物との相対位置関係は、道路形状の影響を受けて変化するため、情報入力手段が、走行中の道路形状を示す道路形状情報を入力し、予測手段は、その入力された道路形状情報を用いて、位置の予測を行うように構成することが望ましい。
【0025】
この場合、道路形状情報は、例えば、車両の操舵角,走行速度から算出される推定R値に沿った角度、又は該推定R値から演算される車両進行方向角度でもよいし、当該レーダ装置が検出した停止物から推定される道路形状に沿った角度、又は該道路形状から演算される車両進行方向角度でもよいし、当該レーダ装置の位置情報と、該位置に対応した地図データとから特定される道路の道路形状に沿った角度、又は該道路形状から演算される車両の進行方向角度でもよい。なお、推定R値とは、車両の推定走行曲線の曲率半径のことであり、例えば、特開平7−262499号公報等に詳述されているため、ここではその説明を省略する。
【0026】
ところで、上記レーダ装置を構成する各手段は、コンピュータを機能させるためのプログラムとして構成してもよい。
この場合、そのプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶させ、その記憶させたプログラムを必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。なお、記録媒体は、持ち運び可能なものであってもよいし、コンピュータシステムに組み込まれたものであってもよい。また、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステムにロードするものであってもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、実施形態のレーダセンサ1の構成、及びレーダ装置1を用いて構成したクルーズ制御システムの概略構成を示したブロック図である。
【0028】
クルーズ制御システムは、車間制御電子制御装置(以下「車間制御ECU」と称す。)30、エンジン電子制御装置(以下「エンジンECU」と称す。)32、ブレーキ電子制御装置(以下「ブレーキECU」と称す。)34を備え、これらはLAN通信バスを介して互いに接続されている。また、各ECU30,32,34は、いずれも周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、少なくともLAN通信バスを介して通信を行うためのバスコントローラを備えている。尚、本実施形態では、LAN通信バスを介して行うECU間のデータ通信は、車載ネットワークで一般的に利用されているCAN(ドイツ、Robert Bosch 社が提案した「Controller Area Network」)プロトコルを用いている。
【0029】
また、車間制御ECU30には、図示しない警報ブザー、クルーズコントロールスイッチ、目標車間設定スイッチ等が接続されている他、本発明のレーダ装置に相当するレーダセンサ1が接続されている。
ここで、レーダセンサ1は、FMCW方式のいわゆる「ミリ波レーダ」として構成されたものであり、周波数変調されたミリ波帯のレーダ波を送受信することにより、先行車や路側物等の物標を認識し、これら認識した物標(以下「認識物標」と称す。)に関する情報である物標情報や、レーダセンサ1自身のダイアグ情報等を生成して、車間制御ECU30に送信する。なお、物標情報には、少なくとも認識物標との相対速度、及び認識物標の位置(距離データ及び横位置データ)が含まれている。
【0030】
ブレーキECU34は、ステアリングセンサ、ヨーレートセンサからの検出情報(操舵角,ヨーレート)に加え、M/C圧センサからの情報に基づいて判断したブレーキペダル状態を、LAN通信バスを介して車間制御ECU30に送信すると共に、その判断したブレーキペダル状態に従って、ブレーキ力を制御するためにブレーキ油圧回路に備えられた増圧制御弁・減圧制御弁を開閉するブレーキアクチュエータを制御するように構成されている。
【0031】
エンジンECU32、車速センサ、スロットル開度センサ、アクセルペダル開度センサからの検出情報(車速,エンジン制御状態、アクセル操作状態)を車間制御ECU30に送信すると共に、車間制御ECU30からは目標加速度、フューエルカット要求、ダイアグ情報等を受信し、これら受信した情報から特定される運転状態に応じて、内燃機関(ここでは、ガソリンエンジン)のスロットル開度を調整するスロットルアクチュエータ等に対して駆動命令を出力するように構成されている。
【0032】
車間制御ECU30は、エンジンECU32から現車速やエンジン制御状態、ブレーキECU34からは操舵角、ヨーレート、ブレーキ制御などの制御状態等を受信する。そして、レーダセンサ1から受信した先行車情報に基づいて車間距離制御すべき先行車を決定し、クルーズコントロールスイッチや目標車間設定スイッチからの検出信号に基づき、先行車との車間距離を適切に調節するための制御指令値として、エンジンECU32には目標加速度、フューエルカット要求、ダイアグ情報等を送信し、ブレーキECU34には、目標加速度、ブレーキ要求等を送信する。また、車間制御ECU30は、警報発生の判定を行い、警報が必要な場合には警報ブザーを鳴動させるように構成されている。
【0033】
次に、レーダセンサ1は、時間に対して周波数が直線的に増加する上り区間、及び周波数が直線的に減少する下り区間を有するように変調されたミリ波帯の高周波信号を生成する発振器10と、発振器10が生成する高周波信号を増幅する増幅器12と、増幅器12の出力を送信信号Ssとローカル信号Lとに電力分配する分配器14と、送信信号Ssに応じたレーダ波を放射する送信アンテナ16と、レーダ波を受信するn個の受信アンテナからなる受信側アンテナ部20とを備えている。
【0034】
また、レーダセンサ1は、受信側アンテナ部20を構成するアンテナのいずれかを順次選択し、選択されたアンテナからの受信信号Srを後段に供給する受信スイッチ21と、受信スイッチ21から供給される受信信号Srを増幅する増幅器22と、増幅器22にて増幅された受信信号Sr及びローカル信号Lを混合してビート信号BTを生成するミキサ23と、ミキサ23が生成したビート信号BTから不要な信号成分を除去するフィルタ24と、フィルタ24の出力をサンプリングしデジタルデータに変換するA/D変換器25と、発振器10の起動,停止や、A/D変換器25を介したビート信号BTのサンプリングを制御すると共に、そのサンプリングデータを用いた信号処理や、車間制御ECU30との通信を行い、信号処理に必要な情報(車速,道路形状情報)、及びその信号処理の結果として得られる情報(物標情報,ダイアグ情報等)を送受信する処理等を行う信号処理部26とを備えている。
【0035】
このうち、受信側アンテナ部20を構成する各アンテナは、そのビーム幅がいずれも送信アンテナ16のビーム幅全体を含むように設定されている。そして、各アンテナがそれぞれCH1〜CHnに割り当てられている。
また、信号処理部26は、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、更に、A/D変換器25を介して取り込んだデータについて、高速フーリエ変換(FFT)処理等を実行するための演算処理装置(例えばDSP)を備えている。
【0036】
このように構成された本実施形態のレーダセンサ1では、信号処理部26からの指令に従って発振器10が起動すると、その発振器10が生成し、増幅器12が増幅した高周波信号を、分配器14が電力分配することにより、送信信号Ss及びローカル信号Lを生成し、このうち送信信号Ssは、送信アンテナ16を介してレーダ波として送出される。
【0037】
そして、送信アンテナ16から送出され物標に反射して戻ってきたレーダ波(反射波)は、受信側アンテナ部20を構成する全ての受信アンテナにて受信され、受信スイッチ21によって選択されている受信チャンネルCHi(i=1〜n)の受信信号Srのみが増幅器22で増幅されたあとミキサ23に供給される。すると、ミキサ23では、この受信信号Srに分配器14からのローカル信号Lを混合することによりビート信号BTを生成する。このビート信号BTは、フィルタ24にて不要な信号成分が除去された後、A/D変換器25にてサンプリングされ、信号処理部26に取り込まれる。
【0038】
なお、受信スイッチ21は、レーダ波の一変調周期の間に、全てのチャンネルCH1〜CHnが所定回(例えば512回)ずつ選択されるよう切り替えられ、また、A/D変換器25は、この切替タイミングに同期してサンプリングを行う。つまり、レーダ波の一変調周期の間に、各チャンネルCH1〜CHn毎かつレーダ波の上り/下り各区間毎にサンプリングデータが蓄積されることになる。
【0039】
ここで、レーダセンサ1の信号処理部26が実行するメイン処理を、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
本処理では、まず車間制御ECU30から、現車速,道路形状情報(ここでは推定R値)を受信すると(S10)、VCO10を起動することでレーダ波の送信を開始し(S12)、A/D変換器25を介してビート信号BTのサンプリング値を取り込む(S14)。必要なだけサンプリング値を取り込むと、VCO10を停止することでレーダ波の送信を停止する(S16)。
【0040】
次に、取り込んだサンプリング値について周波数解析処理(ここではFFT処理)を実行して、各チャンネルCH1〜CHn毎かつ上り/下り各区間毎にビート信号BTのパワースペクトルを求める(S18)。
このようにして求められたパワースペクトルに基づき、周波数ピーク,ピークペア抽出(S20)、履歴追尾(S22)、物標認識(S24)、消失物標再検出(S26)、物標外挿(S28)、消失物標更新(S30)を行い、更に、これらの処理の結果に基づき、認識物標に関する物標情報(速度,距離,横位置)やレーダセンサ1のダイアグ情報を車間制御ECU30に送信(S23)して本処理を終了する。
【0041】
以下では、S20〜S30に示した各処理の詳細について順番に説明する。
まず、S20の周波数ピーク抽出では、図3のフローチャートに示すように、履歴追尾ピーク抽出(S200)、消失物標ピーク抽出(S202)、通常ピーク抽出(S204)、ペア作成(S206)を行う。
【0042】
このうち、S200の履歴追尾ピーク抽出では、図4のフローチャートに示すように、まず前回の測定サイクル(以下「前サイクル」と称する。)にて登録された認識物標(以下「前サイクル認識物標」と称する。)の個数がゼロであるか否かを判断し(S2000)、前サイクル認識物標の個数がゼロであれば、そのまま本処理を終了する。一方、前サイクル認識物標の個数がゼロでなければ、その前サイクル認識物標を一つ取り出し(S2001)、取り出した前サイクル認識物標が今回の測定サイクル(以下「今サイクル」と称する。)で検出された場合に持つべき情報(相対速度,位置)の予測値を求め(S2002)、その予測値に適合するピーク周波数成分(以下単に「ピーク」と称する。)が、S18にて求めたパワースペクトル上に存在するか否かを判断する(S2003)。なお、適合するとは、予め設定された許容範囲内で一致することを意味するものとする(以下同様。)。また、予測値のうち、特に横位置(方位)の算出は、S10にて取得した推定R値を利用し、道路形状を考慮して行うものとする。
【0043】
そして、予測値に適合するピークが存在しなければS2009に移行し、一方、予測値に適合するピークが存在すれば、そのピークをピーク登録する(S2004)。更に、上り区間及び下り区間の両方にて、予測値に適合するピークが検出されたか否かを判断し(S2005)、一方のピークのみ検出された場合にはS2009に移行する。また、両ピークとも検出された場合には、両ピークのパワー差及び角度差が、いずれも予め設定された許容範囲内にあるか否かを判断し(S2006)、いずれか一方でも許容範囲内にない場合には、S2009に移行する。一方、両方とも許容範囲内である場合には、両ピークに基づき、FMCWレーダにおける周知の方法を用いて、距離及び相対速度を算出すると共に、複数チャンネルにて検出された同一ピークの位相差から方位を求め、その方位と距離とに基づいて横位置を算出し(S2007)、両ピーク(ピークペア)をペア登録する(S2008)。
【0044】
このようにして、S2001にて取り出した前サイクル認識物標について、上述の処理(S2002〜S2008)が終了すると、この処理を全ての前サイクル認識物標について実行したか否かを判断し(S2009)、実行していない未処理の前サイクル認識物標があれば、S2001に戻って、その未処理の前サイクル認識物標について同様の処理を実行し、一方、全ての前サイクル認識物標について処理が終了していれば、本処理を終了する。
【0045】
次にS202の消失物標ピーク抽出では、図5のフローチャートに示すように、まず登録されている消失物標(後述するS287参照)の個数がゼロであるか否かを判断し(S2020)、消失物標の個数がゼロであれば、そのまま本処理を終了する。一方、消失物標の個数がゼロでなければ、その消失物標を一つ取り出し(S2021)、取り出した消失物標が今サイクルで検出された場合に持つべき情報(相対速度,位置)の予測値を求め(S2022)、その予測値に適合するピークが、S18にて求めたパワースペクトル上に存在するか否かを判断する(S2023)。なお、この場合も、S2002の場合と同様に、推定R値を利用して、横位置(方位)を算出するものとする。
【0046】
そして、予測値に適合するピークが存在しなければS2029に移行し、一方、予測値に適合するピークが存在すれば、そのピークをピーク登録する(S2024)。更に、上り区間及び下り区間の両方にて、予測値に適合するピークが検出されたか否かを判断し(S2025)、一方のピークのみ検出された場合にはS2029に移行する。また、両ピークとも検出された場合には、両ピークのパワー差及び角度差が、いずれも予め設定された許容範囲内にあるか否かを判断し(S2026)、いずれか一方でも許容範囲内にない場合には、S2029に移行する。一方、両方とも許容範囲内である場合には、両ピークに基づき、FMCWレーダにおける周知の方法を用いて、距離及び相対速度を算出すると共に、複数チャンネルにて検出された同一ピークの位相差から方位を求め、その方位と距離とに基づいて横位置を算出し(S2027)、両ピーク(ピークペア)を再検出ペア登録する(S2028)。
【0047】
このようにして、S2021にて取り出した消失物標について、上述の処理(S2022〜S2028)が終了すると、この処理を全ての消失物標について実行したか否かを判断し(S2029)、実行していない未処理の消失物標があれば、S2021に戻って、その未処理の消失物標について同様の処理を実行し、一方、全ての消失物標について処理が終了していれば、本処理を終了する。
【0048】
次に、図3に戻り、S204の通常ピーク抽出では、S18にて、チャンネル毎、各区間毎に得られたパワースペクトルを、各区間毎に全チャンネルについて平均化することで得られた平均化パワースペクトル上のピークであって、履歴追尾ピーク抽出にて抽出されたもの以外のピークのうち、パワー値が予め設定されたしきい値より大きいものをピーク登録する。
【0049】
そして、S206のペア作成では、S2004,S2024,S204にてピーク登録されたピークに基づき、S2008にてペア登録されたもの、及びS2028にて再検出ペア登録されたものを除いて、上り区間のピークと下り区間のピークとの組み合わせを設定する。そして、この設定した組み合わせの中から、組み合わせた両ピークのパワー差及び角度差が予め設定された許容範囲内にあるもののみを抽出する。更に、抽出された各組み合わせについて、距離,横位置,相対速度を算出し、その算出距離が予め設定された上限距離より小さく、且つその算出速度が予め設定された下限速度より大きく,上限速度より小さいもののみを、ピークペアとしてペア登録する。
【0050】
なお、S2008,S206にてペア登録されたピークペアには、それぞれ検出カウンタが割り当てられ、そのカウント値CNTiはゼロに設定される。
また、S2028にて再検出ペア登録されたピークペアには、対応する消失物標に関する情報を引き継がせる。
【0051】
このように、周波数ピーク,ピークペア抽出(S20)では、物標からの反射波に基づくピークの抽出、及び同一物標からの反射波に基づくピークの組合せである可能性があるピークペアの抽出が行われると共に、一旦消失(ロスト)した物標と履歴接続のある再検出ペアの抽出が行われる。
【0052】
次に、S22の履歴追尾では、図6のフローチャートに示すように、前サイクルにてペア登録されたピークペア(以下では「前サイクルペア」と称する。)の個数がゼロであるか否か(S220)、また、今サイクルにてペア登録されたピークペア(以下では「今サイクルペア」と称する。)の個数がゼロであるか否か(S221)を判断し、いずれか一方でもゼロであれば、本処理を終了する。
【0053】
前サイクルペアの個数、及び今サイクルペアの個数のいずれもがゼロでなければ、今サイクルペアと前サイクルペアとの組み合わせを設定し(S222)、その組み合わせたペア(以下では「組合せペア」と称する。)のいずれか一組を取り出す(S223)。
【0054】
取り出した組合せペアのうち、前サイクルペアの情報に基づいて、その前サイクルペアに対応する今サイクルペアの予測位置及び予測速度を算出する(S224)。なお、予測位置の算出は、S2002,S2022の場合と同様に、推定R値を利用して行うものとする。
【0055】
そして、算出した予測位置,予測速度と、今サイクルペアから求めた検出位置,検出速度とに基づいて、両者の位置差分,速度差分を求める(S225)。
その位置差分が予め設定された上限位置差DRTSDより小さく、且つ速度差分が予め設定された上限速度差DVTSDより小さいか否かを判断し(S226)、いずれも小さい場合にのみ、組合せペアを構成する両ピークペアは履歴接続があるものとして、今サイクルペアの検出カウンタCNTiを、前サイクルペアの検出カウンタCNTiに1を加算した値で更新する(S227)。
【0056】
そして、先のS222にて設定した全ての組合わせペアについて、上述の処理(S223〜S227)を実行したか否かを判断し(S228)、未処理の組合わせペアがある時はS223に戻り、一方、全ての組合わせペアについて処理が終了していれば、本処理を終了する。
【0057】
つまり、履歴追尾では、前サイクルペアとの履歴接続がある今サイクルペアには、対応する前サイクルペアの情報(検出カウンタのカウント値CNTi)が引き継がれ、一方、前サイクルペアとの履歴接続がない今サイクルペアについては、検出カウンタのカウント値CNTiはゼロのままとなる。
【0058】
次にS24の物標認識では、図7のフローチャートに示すように、今サイクルペアの個数がゼロであるか否かを判断し(S240)、ゼロであればそのまま本処理を終了する。一方、今サイクルペアの個数がゼロでなければ、その今サイクルペアの中の一つを取り出し(S241)、取り出した今サイクルペアの検出カウンタのカウント値CNTiが予め設定された認識しきい値CNTTSD以上であるか否かを判断する(S242)。
【0059】
検出カウンタのカウント値CNTiが認識しきい値CNTTSD以上であれば、今サイクルペアは物標を表すものであるとして、認識物標登録を行い(S243)、その登録された認識物標についての外挿可能回数を示す外挿カウンタのカウント値GCNTiを、外挿上限サイクル数GCNTTSD(本実施形態では4)に設定する(S244)。
【0060】
そして、全ての今サイクルペアについて上述の処理(S241〜S244)を実行したか否かを判断し(S245)、未処理の今サイクルペアがあれば、S241に戻り、全ての今サイクルペアについて処理が終了していれば、本処理を終了する。
【0061】
つまり、物標認識では、認識しきい値CNTTSD以上の履歴接続が確認されたピークペアのみを認識物標として登録し、その外挿カウンタのカウント値GCNTiを初期化する。
次にS26の消失物標再検出では、図8のフローチャートに示すように、先のS2028にて登録された再検出ペアの個数がゼロであるか否かを判断し(S260)、ゼロであればそのまま本処理を終了する。
【0062】
一方、再検出ペアの個数がゼロでなければ、その再検出ペアの中の一つを取り出し(S261)、その再検出ペアをペア登録し(S262)、この登録したピークペアの検出カウンタのカウント値CNTiを、再検出ペアに対応した消失物標の検出カウンタ保持値SCNTi(後述する)に1を加えた値に設定する(S263)。
【0063】
更に、ペア登録された再検出ペア(ピークペア)を、認識物標登録し(S264)、その登録された認識物標の外挿カウンタのカウント値GCNTiを、外挿上限サイクル数GCNTTSDに設定する(S265)と共に、再検出ペアに対応する消失物標の再検出フラグFrdをセット(Frd←1)する(S266)。
【0064】
そして、全ての再検出ペアについて上述の処理(S261〜S266)を実行したか否かを判断し(S267)、未処理の再検出ペアがあれば、S261に戻り、全ての再検出ペアについて処理が終了していれば、本処理を終了する。
つまり、消失物標再検出では、再検出ペアを直ちにペア登録すると共に、これを認識物標登録し、ペア登録されたピークペア(再検出ペア)には、消失物標として登録される以前の認識物標の情報(検出カウンタ)を、引き継がせるようにされている。
【0065】
次にS28の物標外挿では、図9のフローチャートに示すように、前サイクル認識物標の個数がゼロであるか否かを判断し(S280)、ゼロであればそのまま本処理を終了する。一方、前サイクル認識物標の個数がゼロでなければ、その中から一つを取り出し(S281)、取り出した前サイクル認識物標が、S243にて登録された認識物標、即ち今サイクル認識物標との履歴接続があるか否かを判断する(S282)。
【0066】
そして、履歴接続があれば、そのままS290に移行し、一方、履歴接続がなければ、その前サイクル認識物標の外挿カウンタのカウント値GCNTiがゼロより大きいか否かを判断する(S283)。カウント値GCNTiがゼロより大きければ、外挿を許可するものとして、その前サイクル認識物標についての予測値に基づいて外挿ペアを作成し(S284)、その外挿ペアを認識物標登録する(S285)。そして、登録された認識物標に、前サイクル認識物標の外挿カウンタのカウント値GCNTiを引き継がせ、そのカウント値から1を減算することで外挿カウンタを更新する(S286)。
【0067】
一方、先のS283にて、前サイクル認識物標の外挿カウンタのカウント値GCNTiがゼロ以下であった場合には、外挿を許可しないものとして、その前サイクル物標を消失物標として登録し(S287)、この消失物標に、前サイクル認識物標についての情報(位置及び相対速度など)を引き継がせる。
【0068】
これと共に、その消失物標の存続可能な残りサイクル数を示す消失トラッキングカウンタのカウント値TCNTiを、消失猶予サイクル数TCNTTSD(本実施形態では10)に設定し(S288)、更に、検出カウンタ保持値SCNTiとして、前サイクル認識物標の検出カウンタのカウント値CNTiに1を加算した値を設定する(S289)。
【0069】
そして、全ての前サイクル認識物標について上述の処理(S281〜S289)を実行したか否かを判断し(S267)、未処理の前サイクル認識物標があれば、S281に戻り、全ての前サイクル認識物標について処理が終了していれば、本処理を終了する。
【0070】
つまり、物標外挿では、前サイクル認識物標の中で今サイクル認識物標との履歴接続がないもののうち、外挿上限サイクル数GCNTTSDで決まる外挿期間以内のものについては、ピークペア(ひいては物標)の外挿を許可し、外挿期間を経過しても履歴接続が回復しないものについては、これを消失物標として登録するようにされている。
【0071】
次に、消失物標更新では、図10のフローチャートに示すように、登録されている消失物標の個数がゼロであるか否かを判断し(S300)、ゼロであればそのまま本処理を終了する。一方、消失物標の個数がゼロでなければその中から一つを取り出し(S301)、取り出した消失物標の消失トラッキングカウンタのカウント値TCNTiがゼロより大きいか否かを判断し(S302)、カウント値TCNTiがゼロより大きければ、今度はその消失物標の再検出フラグFrdがリセット(Frd=0)されているか否かを判断する(S303)。
【0072】
そして、カウント値TCNTiがゼロ以下であるか、又は再検出フラグFrdがセット(Frd=1)されている場合には、その消失物標の登録を削除して(S307)、S308に進む。
一方、再検出フラグFrdがリセットされていれば、消失物標の今サイクルでの位置及び相対速度の予測値を求め(S304)、その求めた予測値により、消失物標の位置及び相対速度を更新する(S305)と共に、消失物標の消失トラッキングカウンタのカウント値TCNTiをデクリメント(1を減算)することで更新する(S306)。なお、S304では、S2002,S2022,S224の場合と同様に、予測位置を、推定R値、又は推定R値から演算される車両進行方向角度に基づいて求めるものとする。
【0073】
そして、全ての消失物標について上述の処理(S301〜S307)を実行したか否かを判断し(S308)、未処理の消失物標があれば、S301に戻り、全ての消失物標について処理が終了していれば、本処理を終了する。
つまり、消失物標更新では、消失物標のうち、消失物標再検出にて再検出されたもの、及び消失猶予サイクル数TCNTTSDで決まる猶予期間の間に再検出されなかったものを削除するようにされている。
【0074】
このように構成されたレーダセンサ1では、図11に示すように、測定サイクル毎にピークペアを抽出(ペア登録)し、その抽出されたピークペア(未確認物標)のうち、認識しきい値CNTTSDで決まる確認期間以上の間連続して履歴接続が確認されたもの(対応ペアあり/CNTi≧CNTTSD)を、物標として認識(認識物標登録)する。
【0075】
なお、履歴接続は、必ずしも確認期間の間すべて連続している必要はなく、例えば、予め設定された割合以上の履歴接続が確認されていれば、物標として認識するように構成してもよい。
そして、認識物標が登録された場合、以後の測定サイクルでは、その認識物標(前サイクル認識物標)と履歴接続されたピークペア(今サイクルペア)が存在するとき(対応ペアあり)は、その今サイクルペアを認識物標登録し、その認識物標(今サイクル認識物標)に前サイクル認識物標の情報を引き継がせると共に、抽出した今サイクルペアに基づいて、その認識物標に関する最新の情報を求める。
【0076】
一方、認識物標(前サイクル認識物標)と履歴接続されたピークペア(今サイクルペア)が存在しないときは、その認識物標と履歴接続されたピークペアが最後に抽出されてから、外挿上限サイクル数GCNTTSDで決まる外挿期間内(対応ペアなし/GCNTi>0)であれば、前サイクル認識物標の情報から求めた予測値に適合するピークペア(外挿ペア)が抽出されたものとして、この外挿ペアを認識物標登録し、その認識物標に関する最新の情報として前サイクル認識物標から求めた予測値を用いる。
【0077】
また、外挿期間の間に、履歴接続のあるピークペアが一度も抽出されなければ(対応ペアなし/GCNTi≦0)、その物標をロストしたものとして消失物標登録をする。
消失物標が登録された場合、以後の測定サイクルでは、消失物標と履歴接続されたピークペア(今サイクルペア)が存在するときは(対応ペアあり)、その今サイクルペアを認識物標登録し、その認識物標(今サイクル認識物標)に、消失物標が引き継いだ情報を引き継がせると共に、消失物標登録を削除する。
【0078】
一方、消失物標と履歴接続されたピークペア(今サイクルペア)が存在しないときは、消失物標が登録されてから消失猶予サイクル数TCNTTSDで決まる猶予期間内であれば(対応ペアなし/TCNTi>0)、その消失物標登録を維持し、猶予期間を超過していれば(対応ペアなし/TCNTi≦0)、そのまま消失物標登録を削除する。
【0079】
つまり、本実施形態のレーダセンサ1によれば、認識物標に対応するピークペアが抽出できない時には、以前の情報から求めた予測値に適合するピークペアを外挿して、物標が認識された状態を維持するようにされているため、マルチパス等の外乱によって、断続的にピークペアが抽出されるような状況でも、物標の認識を安定して行うことができる。
【0080】
また、本実施形態では、予測値に適合するピークペアが外挿期間内に抽出されず、認識物標をロストした場合には、これを消失物標として登録し、その後の猶予期間内に、消失物標と履歴接続のあるピークペアが抽出されれば、確認期間を経ることなく、直ちに物標として再認識するようにされている。
【0081】
従って、実際にロストした物標に関する情報が、長期間に渡って出力されることも防止するために外挿期間を短く設定したとしても、猶予期間が充分に確保されていれば、認識物標を一時的にロストした時に、その物標を短時間で再認識することができ、外挿期間を長く設定した場合と同等の効果を得ることができる。
【0082】
ここで、図12は、レーダセンサ1の動作状態の一例を示す説明図である。
なお、比較例は、消失物標の登録を行わず、猶予期間がない以外は、本実施形態のものと全く同様に構成されたものである。
図12に示すように、本実施形態のものと比較例のものとでは、未確認物標(確認期間)、認識物標:検出中、認識物標:外挿中までは、全く同様に動作する。外挿期間の間に認識物標に対応する(履歴接続する)ピークペアが検出されず、外挿期間が終了すると、比較例では、直ちに物標情報が消去され、その後、この消去された物標に対応するピークペアが検出された時には、再び、確認期間を経た後に物標として登録される。一方、本実施形態では、外挿期間が終了すると、その物標の物標情報は消失物標に引き継がれ、その後、この消失物標に対応するピークペアが検出された時には、直ちに物標として認識されると共に、物標情報が消失物標を介して再認識された物標に引き継がれる。
【0083】
つまり、認識物標をロストした後、その物標に対応するピークペアが検出された時に、本実施例のレーダセンサ1では、物標を再認識するまでの認識中断期間を、比較例と比較して少なくとも確認期間分は短縮できることがわかる。
また、本実施形態では、履歴接続を確認する際に用いる物標の予測位置を、道路形状情報を利用して求めているため、高い精度で予測位置を求めることができ、処理の信頼性を向上させることができる。
【0084】
なお本実施形態において、S204,S2003〜S2004,S2023〜S2024がピーク周波数検出手段、S206,S2005〜S2008がピークペア抽出手段、S24が物標認識手段、S287〜S289が消失物標登録手段、S202,S26が物標再認識手段、S2002が予測手段、S28(但しS287〜S289を除く)が外挿手段、S10が情報入力手段に相当する。
【0085】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、前サイクル認識物標に対応する今サイクルペアが存在しない場合に、外挿期間内であればピークペアの外挿を行うように構成されているが、外挿期間を設けることなく、直ちに消失物標として登録するように構成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、道路形状情報として、推定R値を用いて予測位置を求めているが、推定R値から演算される車両進行方向角度を用いてもよい。また、レーダセンサにより認識される認識物標の中から、停止物(路側物など)を抽出し、その停止物から推定される道路形状に沿った角度、又はその道路形状から演算される車両進行方向角度を、道路形状情報として用いてもよい。更に、車両がGPS等、車両の現在位置を測定する装置を備えている場合には、その装置から得られる位置情報と、その位置情報が示す位置に対応した地図データから得られる道路形状に沿った角度、又はその道路形状から演算される車両進行方向角度を、道路形状情報として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 レーダセンサの構成、及びレーダセンサを用いて構成したクルーズ制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】 レーダセンサの信号処理部が実行するメイン処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】 メイン処理で実行する周波数ピーク,ピークペア抽出の内容を示すフローチャートである。
【図4】 周波数ピーク,ピークペア抽出で実行する履歴追尾ピーク抽出の内容を示すフローチャートである。
【図5】 周波数ピーク,ピークペア抽出で実行する消失物標ピーク抽出の内容を示すフローチャートである。
【図6】 メイン処理で実行する履歴追尾の内容を示すフローチャートである。
【図7】 メイン処理で実行する物標認識の内容を示すフローチャートである。
【図8】 メイン処理で実行する消失物標再検出の内容を示すフローチャートである。
【図9】 メイン処理で実行する物標外挿の内容を示すフローチャートである。
【図10】 メイン処理で実行する消失物標更新の内容を示すフローチャートである。
【図11】 レーダセンサにて検出される物標の状態を示す状態遷移図である。
【図12】 レーダセンサの動作例、及び効果を示す説明図である。
【符号の説明】
1…レーダセンサ、10…発振器、12,22…増幅器、14…分配器、16…送信アンテナ、20…受信側アンテナ部、21…受信スイッチ、23…ミキサ、24…フィルタ、25…A/D変換器、26…信号処理部、30…車間制御ECU、32…エンジンECU、34…ブレーキECU。
Claims (7)
- 周波数が漸次上昇する上り区間及び周波数が漸次下降する下り区間を有するレーダ波の送信信号と、物標により反射された前記レーダ波の受信信号とを混合することにより得られるビート信号から、信号強度がピークとなる信号成分の周波数であるピーク周波数を、予め設定された測定サイクル毎に検出するピーク周波数検出手段と、
該ピーク周波数検出手段が検出する前記上り区間のピーク周波数及び前記下り区間のピーク周波数の組合せであるピークペアを抽出するピークペア抽出手段と、
該ピークペア抽出手段にて抽出されたピークペアのうち、現時点に至る予め設定された確認期間の間に抽出されたピークペアとの履歴接続があるものを抽出することで、該抽出されたピークペアに対応する物標を認識する物標認識手段と、
前回の測定サイクルで認識された認識物標についての情報に基づき、前記ピークペア抽出手段にて抽出されるべきピークペアの予測値を求める予測手段と、
を備え、前記物標認識手段は、前記ピークペア抽出手段にて抽出されたピークペアの中に、前記予測手段での予測値と適合するものが存在すれば、該ピークペアと前記予測値に対応する認識物標との間に履歴接続があるものとするレーダ装置において、
前回の測定サイクルで認識された認識物標が、前記ピークペア抽出手段にて抽出されたピークペアのいずれとも履歴接続がない場合、該認識物標についての履歴接続が最後に確認されてから、予め設定された外挿期間内であれば、前記予測手段にて予測されたピークペアを、実際に検出されたものとして外挿する外挿手段と、
前記外挿期間内に、前記物標認識手段にて履歴接続のあるピークペアが抽出されないことによりロストした認識物標を、消失物標として登録する消失物標登録手段と、
該消失物標登録手段にて登録された消失物標のロスト以前の情報に基づいて、前記ピークペア抽出手段にて抽出されるべきピークペアの予測値を求め、ロスト後予め設定された猶予期間内に、前記予測値通りにピークペアが抽出されると、前記消失物標を物標として再認識する物標再認識手段と、
を備えることを特徴とするレーダ装置。 - 前記予測手段は、前記予測値として、少なくとも位置と相対速度とを求めることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 当該装置は車両に搭載されると共に、
走行中の道路形状を示す道路形状情報を入力する情報入力手段を備え、
前記予測手段は、前記情報入力手段により入力された道路形状情報を用いて、位置の予測を行うことを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。 - 前記道路形状情報は、前記車両の操舵角,走行速度から算出される推定R値に沿った角度、又は該推定R値から演算される車両進行方向角度からなることを特徴とする請求項3記載のレーダ装置。
- 前記道路形状情報は、当該レーダ装置が検出した停止物から推定される道路形状に沿った角度、又は該道路形状から演算される車両進行方向角度からなることを特徴とする請求項3記載のレーダ装置。
- 前記道路形状情報は、当該レーダ装置の位置情報と、該位置に対応した地図データとから特定される道路の道路形状に沿った角度、又は該道路形状から演算される車両の進行方向角度からなることを特徴とする請求項3記載のレーダ装置。
- コンピュータを、請求項1〜6いずれかに記載のレーダ装置を構成する各手段として機能させるためのプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003011491A JP3966181B2 (ja) | 2003-01-20 | 2003-01-20 | レーダ装置,プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003011491A JP3966181B2 (ja) | 2003-01-20 | 2003-01-20 | レーダ装置,プログラム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004226120A JP2004226120A (ja) | 2004-08-12 |
JP3966181B2 true JP3966181B2 (ja) | 2007-08-29 |
Family
ID=32900381
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003011491A Expired - Lifetime JP3966181B2 (ja) | 2003-01-20 | 2003-01-20 | レーダ装置,プログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3966181B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4480632B2 (ja) * | 2005-06-20 | 2010-06-16 | アルパイン株式会社 | 車載レーダ装置 |
JP4757146B2 (ja) * | 2006-08-24 | 2011-08-24 | 本田技研工業株式会社 | 物体検知装置 |
JP2009092410A (ja) * | 2007-10-04 | 2009-04-30 | Fujitsu Ten Ltd | レーダ装置、及び物標検出方法 |
JP2011145204A (ja) * | 2010-01-15 | 2011-07-28 | Ihi Corp | レーザセンサ及びこれを用いた検出対象判定方法 |
JP5174880B2 (ja) * | 2010-10-22 | 2013-04-03 | 三菱電機株式会社 | 車載用レーダ装置 |
JP6074930B2 (ja) * | 2012-07-10 | 2017-02-08 | 株式会社デンソー | 警報装置 |
JP6265617B2 (ja) | 2013-03-29 | 2018-01-24 | 株式会社デンソーテン | レーダ装置、及び、信号処理方法 |
-
2003
- 2003-01-20 JP JP2003011491A patent/JP3966181B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004226120A (ja) | 2004-08-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6970129B2 (en) | Radar apparatus, and program therefor | |
US9618608B2 (en) | Target detection apparatus and vehicle control system | |
JP6303964B2 (ja) | レーダ装置 | |
JP3801068B2 (ja) | Fmcwレーダ装置,プログラム | |
JP3938686B2 (ja) | レーダ装置、信号処理方法及びプログラム | |
JP4736777B2 (ja) | 車両用道路形状認識装置 | |
EP1310804B1 (en) | Scan type radar device | |
EP1385020B1 (en) | Fm-cw radar apparatus | |
EP1318415B1 (en) | Mispairing determination method for FM-CW radar | |
US9874634B1 (en) | Radar apparatus | |
JP2015137915A (ja) | レーダ装置、車両制御システム、および、信号処理方法 | |
US10656247B2 (en) | Target detection apparatus for detecting low-level target and target detection method for detecting the same | |
JP3960228B2 (ja) | レーダ装置,プログラム | |
JP2004233275A (ja) | 車載レーダ装置 | |
JP4079739B2 (ja) | 車載用レーダ装置 | |
US20050024258A1 (en) | Method and apparatus for recognizing predetermined particular part of vehicle | |
JP3966181B2 (ja) | レーダ装置,プログラム | |
JPWO2005066656A1 (ja) | 車載レーダ装置およびその信号処理方法 | |
JP4075624B2 (ja) | 車載レーダ装置,プログラム | |
CN104483667A (zh) | 一种车载雷达装置 | |
JP3703756B2 (ja) | レーダ装置 | |
JP2010271337A (ja) | レーダ装置 | |
JP2003185744A (ja) | レーダ装置 | |
JP2001141812A (ja) | Fm−cwレーダ装置 | |
JP5040406B2 (ja) | 走行支援制御システム、及び走行支援の制御方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050421 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070117 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070206 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070404 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070508 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070521 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 3966181 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100608 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110608 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110608 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130608 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140608 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |