JP3958036B2 - 乱気流検出装置および乱気流検出方法 - Google Patents

乱気流検出装置および乱気流検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、飛行中の航空機の両翼端を中心として、航空機の後方に発生する乱気流(後方乱気流)を検出する乱気流検出装置および乱気流検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
後方乱気流は、航空機の飛行にともない航空機の両翼端を中心として航空機の後方に発生する二組の渦状の乱気流である。図12は後方乱気流の発生する様子を概念的に示す図である。飛行中の航空機200の後方に発生する後方乱気流201,201’は、後続する航空機の飛行に障害を与えることが知られている。
【0003】
従来では、後方乱気流201,201’が消滅するのに、あるいはその影響が弱まるのに十分と考えられる経験的な長さの時間を置いてから、後続機を離着陸させている。そのため、後方乱気流201,201’の空間的位置や強度を適切に捉えることは、効率的な飛行計画を立てる上で、かつ後続機の安全を確保する上で重要である。
【0004】
以降では、後方乱気流のことを単に乱気流、また2組発生する後方乱気流のうちのどちらか一つを乱気流または渦と表すことがある。後方乱気流は、航空機の揚力の反作用として発生することから、離陸から着陸までの間に発生し、その大きさは、航空機の機体重量に比例し、航空機の飛行速度に反比例することが知られている。したがって、離着陸付近において乱気流の強度は最大となる。
【0005】
このような後方乱気流を検出する従来の乱気流検出装置は、例えば特開2000−310680公報に開示されている。
【0006】
図13は従来の乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
図13において、101は電磁波である光パルスを大気中に放射して大気からの反射光を受信する(ドップラ)ライダなどの電磁波送受信部、102は電磁波送受信部101の受信信号に対して後方乱気流検出のための信号処理を行う信号処理部、103は信号処理部102からの後方乱気流情報を表示する表示部である。
【0007】
信号処理部102において、111はドップラ速度分布算出部、112はドップラ速度分布テンプレート出力部であり、ドップラ速度分布算出部111は電磁波送受信部101がビーム走査した観測領域内のドップラ速度分布111Dを求め、ドップラ速度分布テンプレート出力部112は後方乱気流特有のドップラ速度分布テンプレート112Tを出力する。
【0008】
また、信号処理部102において、113はテンプレートマッチング処理部、114,115はそれぞれ乱気流位置算出部、乱気流強度算出部である。ドップラ速度分布111Dとドップラ速度分布テンプレート112Tとの比較処理(テンプレートマッチング、相互相関処理)をテンプレートマッチング処理部113が行うと、乱気流位置算出部114,乱気流強度算出部115が比較処理結果である相関位置および類似度から乱気流情報である実空間での後方乱気流の位置および強度を算出する。
【0009】
次に動作について説明する。
この乱気流検出装置は、例えば図14に示すように、レーザ光線203,203’を電磁波送受信部101でビーム走査することによって、航空機の進行方向と交差する空間断面202を観測する。電磁波送受信部101は、電磁波である光パルスを大気中へ放射し、大気からの反射光を受信する。この反射光には反射位置の風速に応じてドップラ効果が生じる。後方乱気流201,201’のドップラ速度は空間断面内において渦状をなして観測されることから、後方乱気流201,201’が観測された場合には、速度の向きは渦の中心よりも上と下とで逆向きになる。
【0010】
例えばビーム方向を正とした場合、図14のレーザ光線203,203’によって観測される速度分布は図15のようになる。したがって、空間断面202全体について観測すると、図13のドップラ速度分布111Dが得られる。よって、ドップラ速度分布テンプレート112Tのように予め設定したテンプレートと、観測したドップラ速度分布111Dとの比較処理を行うことにより、空間断面202内において乱気流が存在する位置が強調、すなわち空間断面202内において乱気流が存在する位置の相関値が積み上がるので、後方乱気流201,201’が存在する場合には、相関値のピークを検出することで後方乱気流を検出することができる。
【0011】
図13のドップラ速度分布テンプレート112Tのようなテンプレートを用いた場合には、空間断面202内の二つの渦の中心、すなわち航空機が通過した位置が検出される。最後に、テンプレートマッチング処理部113の比較処理結果から、乱気流情報である実空間での後方乱気流201,201’の位置および強度を乱気流位置算出部114,乱気流強度算出部115が算出して表示部103に表示する。このとき、実空間での乱気流の位置としては例えば観測した空間断面の位置を、また乱気流の強度としては例えば相関値をそれぞれ用いる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の乱気流検出装置および乱気流検出方法は以上のように構成されているので、検出の際に前提としている後方乱気流の空間的な対称性が背景風の影響によって崩れると、検出性能が劣化してしまうという課題があった。
【0013】
つまり、背景風の乱れが大きい場合や、乱気流の対称構造が崩れている場合などには、テンプレートマッチング処理によって相関値が積み上がりにくくなるため、正しく検出することが困難になってしまう。
【0014】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、背景風Cの影響によって対称性が崩れた場合にも、後方乱気流の検出性能を確保することが可能な乱気流検出装置および乱気流検出方法を提供することを目的とする。
【0015】
つまり、この発明は、背景風のドップラ速度に対する乱気流の相対的な正のドップラ速度成分と負のドップラ速度成分との空間的近隣性を後方乱気流の特徴として着目し、背景風の乱れが大きい場合や乱気流の位置的または背景風に対する相対的な強度(風速)に関する構造が崩れている場合にも、後方乱気流を正しく検出することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る乱気流検出装置は、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するとともに、大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を基準として、ドップラ速度分布を高低2つに分割して出力する背景風除去手段と、背景風除去手段が出力したドップラ速度分布を参照し、後方乱気流の検出範囲としてのフレームを設定するフレーム設定手段と、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントし、このカウント結果から後方乱気流の有無を判定する乱気流検出手段とを備えるようにしたものである。
【0017】
この発明に係る乱気流検出装置は、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するとともに、大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を基準として、ドップラ速度分布を高低2つに分割して出力する背景風除去手段と、背景風除去手段が出力した上記ドップラ速度分布を参照し、後方乱気流の検出範囲としてのフレームを設定するフレーム設定手段と、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、背景風のドップラ速度成分より高いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域と低いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域との距離の近さ度合いを近隣性として算出し、この算出結果から後方乱気流の有無を判定する乱気流検出手段とを備えるものである。
この発明に係る乱気流検出装置は、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するとともに、大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を基準として、ドップラ速度分布を高低2つに分割して出力する背景風除去手段と、背景風除去手段が出力したドップラ速度分布を参照し、後方乱気流の検出範囲としてのフレームを設定するフレーム設定手段と、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントし、このカウント結果から後方乱気流の有無を判定すると共に、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、背景風のドップラ速度成分より高いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域と低いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域との距離の近さ度合いを近隣性として算出した結果から後方乱気流の有無を判定し、これら両判定結果を参照して最終的な後方乱気流の有無を判定する乱気流検出手段とを備えるものである。
この発明に係る乱気流検出装置は、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するドップラ速度分布算出部と、ドップラ速度分布から背景風のドップラ速度成分を算出する背景風算出部と、背景風のドップラ速度成分よりも高いドップラ速度成分と、背景風のドップラ速度成分よりも低いドップラ速度成分とにドップラ速度分布を分割するドップラ速度分割処理部とを背景風除去手段が備えるようにしたものである。
【0018】
この発明に係る乱気流検出装置は、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するとともに、算出した大気のドップラ速度分布から後方乱気流のドップラ速度抽出範囲を推定し、大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を中心として、後方乱気流のドップラ速度抽出範囲内において高低2つに分けられるドップラ速度成分をドップラ速度分布から抽出する背景風除去手段と、背景風除去手段が抽出したドップラ速度成分によるドップラ速度分布を参照し、後方乱気流の検出範囲としてのフレームを設定するフレーム設定手段と、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントし、このカウント結果から後方乱気流の有無を判定する乱気流検出手段とを備えるものである。
この発明に係る乱気流検出装置は、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するドップラ速度分布算出部と、ドップラ速度分布から背景風のドップラ速度成分を算出する背景風算出部と、後方乱気流のドップラ速度抽出範囲を推定するとともに、背景風のドップラ速度成分を中心としてドップラ速度抽出範囲内におけるドップラ速度成分をドップラ速度分布から抽出するドップラ速度抽出処理部を背景風除去手段が備えるようにしたものである。
【0019】
この発明に係る乱気流検出装置は、航空機情報に応じたドップラ速度抽出範囲をドップラ速度抽出処理部へ設定する速度基準設定部を背景風除去手段が備えるようにしたものである。
【0020】
この発明に係る乱気流検出装置は、ドップラ速度分布をモルフォロジー処理するモルフォロジー処理部を背景風除去手段が備えるようにしたものである。
【0021】
この発明に係る乱気流検出装置は、電磁波から算出したドップラ速度分布を複数格納するドップラ速度分布格納部と、ドップラ速度分布格納部に格納された2以上のドップラ速度分布を合成するドップラ速度分布合成処理部とを背景風除去手段が備えるようにしたものである。
【0022】
この発明に係る乱気流検出装置は、大気中におけるドップラ速度分布の平均値を背景風算出部が算出して背景風のドップラ速度成分とするようにしたものである。
【0023】
この発明に係る乱気流検出装置は、後方乱気流の発生していない大気中のドップラ速度分布を背景風算出部が算出して背景風のドップラ速度成分とするようにしたものである。
【0024】
この発明に係る乱気流検出装置は、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントする第1の乱気流成分算出部と、第1の乱気流成分算出部によるカウント結果から後方乱気流の有無を判定する第1の乱気流判定処理部と、第1の乱気流判定処理部の判定結果を参照し、フレームから実空間での乱気流位置を乱気流情報として算出する乱気流位置算出部と、ドップラ速度分布とフレームと乱気流位置とから乱気流強度を乱気流情報として算出する乱気流強度算出部とを乱気流検出手段が備えるようにしたものである。
【0025】
この発明に係る乱気流検出装置は、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度における、背景風のドップラ速度成分より高いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域と低いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域との距離の近さ度合いを近隣性として算出する第2の乱気流成分算出部と、第2の乱気流成分算出部の算出結果から後方乱気流の有無を判定する第2の乱気流判定処理部と、第2の乱気流判定処理部の判定結果を参照し、フレームから実空間での乱気流位置を乱気流情報として算出する乱気流位置算出部と、ドップラ速度分布とフレームと乱気流位置とから乱気流強度を乱気流情報として算出する乱気流強度算出部とを乱気流検出手段が備えるようにしたものである。
【0026】
この発明に係る乱気流検出装置は、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントする第1の乱気流成分算出部と、第1の乱気流成分算出部によるカウント結果から後方乱気流の有無を判定する第1の乱気流判定処理部とを乱気流検出手段が備えるとともに、第1の乱気流成分算出部および第1の乱気流判定処理部に対して並列に、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度における、背景風のドップラ速度成分より高いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域と低いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域との距離の近さ度合いを近隣性として算出する第2の乱気流成分算出部と、第2の乱気流成分算出部の算出結果から後方乱気流の有無を判定する第2の乱気流判定処理部とを乱気流検出手段が備え、第1の乱気流判定処理部の判定結果と、第2の乱気流判定処理部の判定結果とを参照して、後方乱気流の有無を判定する第3の乱気流判定処理部とを乱気流検出手段が備えるようにしたものである。
【0027】
この発明に係る乱気流検出装置は、時間的に連続する後方乱気流の複数位置または複数強度から変化率を算出して位置または強度の時間的推移を乱気流検出手段が予測するとともに、位置または強度の予測結果を乱気流検出手段が表示するようにしたものである。
【0028】
この発明に係る乱気流検出装置は、航空機情報に応じたフレームサイズを設定するフレーム基準設定部をフレーム設定手段が備えるようにしたものである。
【0029】
この発明に係る乱気流検出方法は、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布が算出されるとともに、大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を基準として、ドップラ速度分布が高低2つに分割されて出力される背景風除去ステップと、背景風除去ステップで出力したドップラ速度分布を参照し、後方乱気流の検出範囲としてのフレームが設定されるフレーム設定ステップと、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントし、このカウント結果から後方乱気流の有無を判定する乱気流検出ステップとを備えるようにしたものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
なお、各図において、共通する構成・要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
後方乱気流の観測は例えば図1のように行う。図1において、1は電磁波送受信部、51は航空機が離着陸する滑走路、52は観測領域、53,53’は観測領域52における後方乱気流である。この図1の例では、光パルスを送受信するライダによって電磁波送受信部1を実現している。例えば観測領域52中の複数の空間断面を電磁波送受信部1でビーム走査することによって、観測領域52全体に渡る観測値を得ることができる。以降では、空間の説明において、図1に仮想的に設定したx,y,z軸を用いて説明を行う。
【0031】
一般に、観測領域52内の一空間断面は、ライダ1のビームの仰角θと距離rとによって決まるr−θ極座標系によって表現する方法の他、二次元直交座標系(x−y座標)で表現する方法などがある。ここでは後者を用いるものとするが、本願発明は座標系に依存するものではない。x−y平面内の一空間断面52XYの概念図を図2に示す。ライダ1で観測した場合に得られるのは、ビーム方向のドップラ速度である。そのため、ビーム54,54’で乱気流を観測したときのドップラ速度分布をx−y平面で表わすと例えば図3のようになる。
【0032】
図3において、プロットは観測のサンプル点を表している。乱気流の場合には、背景風と同じドップラ速度成分(図3の●)、背景風よりも小さいドップラ速度成分(図3の×)、背景風よりも大きいドップラ速度成分(図3の○)に大別される。背景風のドップラ速度揺らぎがなく乱気流発生直後の場合には、図3に示すように、背景風よりも大きいドップラ速度成分と小さいドップラ速度成分とが対称的に現れる。
【0033】
図4はこの発明の実施の形態1による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
図4において、1は光パルスを大気中に放射して大気からの反射光を受信するライダなどの電磁波送受信部、2は電磁波送受信部1の受信信号Aを信号処理して後方乱気流を検出する信号処理部、3は信号処理部2で検出した後方乱気流の情報(乱気流位置、乱気流強度、観測領域など)を表示する表示部である。
【0034】
信号処理部2において、11はドップラ速度分布算出部(背景風除去手段)、12は背景風算出部(背景風除去手段)、13はドップラ速度分割処理部(背景風除去手段)である。ドップラ速度分布算出部11は電磁波送受信部1の受信信号Aから大気のドップラ速度分布Bを算出し、背景風算出部12はドップラ速度分布Bから背景風Cを算出する。ドップラ速度分割処理部13は、背景風C(背景風のドップラ速度成分)を基準として、背景風Cよりも高いドップラ速度成分と背景風Cよりも低いドップラ速度成分とにドップラ速度分布Bを分割し、分割ドップラ速度分布Dを出力する。
【0035】
また、信号処理部2において、14は乱気流の有無判定範囲としてのフレームEを設定するフレーム設定部(フレーム設定手段)、15はフレームE内の乱気流に関係する速度成分をカウントする第1の乱気流成分算出部(乱気流検出手段)、16は第1の乱気流成分算出部15による乱気流成分算出結果Fから乱気流の有無を判定して乱気流判定結果Gを出力する第1の乱気流判定処理部(乱気流検出手段)、17はフレームEから実空間での乱気流位置Hを算出する乱気流位置算出部(乱気流検出手段)、18はドップラ速度分布BとフレームEと乱気流位置Hとから乱気流強度Iを算出する乱気流強度算出部(乱気流検出手段)である。
【0036】
以下、図4に示す乱気流検出装置の動作について説明する。
まず、観測領域中の大気を電磁波送受信部1が観測すると、ドップラ速度分布算出部11は一空間断面内のドップラ速度分布Bを電磁波送受信部1の受信信号Aから算出する。乱気流が存在する場合には、乱気流の速度分布と背景風の速度分布とが観測される。
【0037】
<背景風除去ステップ>
背景風算出部12は、ドップラ速度分布Bから空間断面内の背景風Cを算出する。ここで、背景風Cの算出方法としては、例えば空間断面におけるドップラ速度分布Bの平均値を求めて背景風Cとする方法や、航空機の飛行前など乱気流が発生していない大気中で得られた受信信号Aからドップラ速度分布を算出して背景風Cとする方法が考えられる。
【0038】
続いて、ドップラ速度分割処理部13は、背景風Cを基準として、背景風Cよりも高いドップラ速度成分と、背景風Cよりも低いドップラ速度成分とにドップラ速度分布Bを分割し、分割ドップラ速度分布Dを出力する。図3に示したように、後方乱気流は背景風Cよりも高いドップラ速度成分と低いドップラ速度成分として分割ドップラ速度分布D上に現れ、これらは航空機の飛行経路付近に集まって存在する。
【0039】
<フレーム設定ステップ>
フレーム設定部14は、分割ドップラ速度分布Dを参照して、乱気流の有無判定範囲としてのフレームEを設定する。一般にフレームEの大きさは航空機によって決まるものであるが、例えば考えられる一番小さな範囲をフレームEとして設定して以下の処理を行い、次にフレームEの大きさを大きくして同様に以下の処理を行い、最適な大きさのフレームEを採用するようにしても良い。
【0040】
<乱気流検出ステップ>
第1の乱気流成分算出部15は、フレームE内の後方乱気流に関係するドップラ速度成分をカウントし、乱気流成分算出結果Fとして出力する。このカウントの際に、後方乱気流のドップラ速度成分の面積や密度を算出しても良い。後方乱気流のドップラ速度分布、つまり後方乱気流とみなすことのできるドップラ速度範囲は、航空機の機体重量や翼幅、飛行速度などによって定まるため、予め推定することができる。第1の乱気流成分算出部15でカウントする乱気流に関係するドップラ速度成分は、例えば上記の後方乱気流の推定ドップラ速度範囲を用いて算出する。
【0041】
第1の乱気流成分算出部15で算出された乱気流成分算出結果Fは、第1の乱気流判定処理部16へ入力される。第1の乱気流判定処理部16は、乱気流成分算出結果Fを参照し、空間断面内に後方乱気流が存在するか否かを判定して乱気流判定結果Gを出力する。この乱気流の有無の判定には、例えば乱気流の規模と観測諸元とから乱気流成分を推定した値を用いる。また、背景風Cより高いドップラ速度成分と低いドップラ速度成分とは略同数存在する、という条件を判定に用いても良い。後方乱気流の規模は航空機機体の大きさ(翼幅など)で決まり、パルス幅などの観測諸元により乱気流に関係する成分を推定することができる。
【0042】
後方乱気流が存在しないことを乱気流判定結果Gが示す場合には、乱気流位置算出部17は乱気流位置Hとして「乱気流無し」の後方乱気流の情報を観測領域とともに表示部3に表示して、後方乱気流の検出を終了する。一方、後方乱気流が存在することを乱気流判定結果Gが示す場合には、乱気流位置算出部17は実空間での乱気流位置Hを算出し、乱気流強度算出部18は、ドップラ速度分布Bから乱気流強度Iを算出し、後方乱気流の情報として乱気流強度Iと乱気流位置Hとを観測領域とともに表示部3に表示して、後方乱気流の検出を終了する。
【0043】
背景風が乱れている場合、後方乱気流はその影響を受けて対称性が崩れる。従来の乱気流検出装置では、乱気流の空間的な対称性を仮定していたため、対称性が崩れた場合に検出性能が劣化してしまう課題があった。ところが、図4のように乱気流検出装置を構成することで、空間的な対称性ではなく、ドップラ速度成分の空間的近隣性によって後方乱気流を検出できるようになり、対称性が崩れた場合にも検出性能を確保することができる。
【0044】
なお、乱気流位置H,乱気流強度Iの他にも、乱気流位置Hの予測結果や乱気流強度Iの減衰などの過渡的な乱気流の情報を表示部3へ表示しても良い。これらは、例えば乱気流位置算出部17または乱気流強度算出部18が時間的に連続する複数の乱気流位置Hまたは複数の乱気流強度Iから乱気流位置Hの変化率または乱気流強度Iの変化率を算出し、そこから乱気流位置Hの推移や乱気流強度Iの減衰を予測する方法などが考えられる。また、航空機によって乱気流強度Iを予め推定できることから、推定値との差(変化)によって減衰などを予測することもできる。このようにすることで、検出した後方乱気流をさらに的確に把握できるようになる。
【0045】
以上のように、この実施の形態1によれば、大気のドップラ速度分布Bを受信信号Aから算出するドップラ速度分布算出部11と、ドップラ速度分布Bから背景風Cを算出する背景風算出部12と、背景風Cよりも高い速度成分と、背景風Cよりも低い速度成分とにドップラ速度分布Bを分割した分割ドップラ速度分布Dを出力するドップラ速度分割処理部13と、乱気流の検出範囲としてフレームEを設定するフレーム設定部14と、フレームE内の乱気流に関係する速度成分をカウントする第1の乱気流成分算出部15と、第1の乱気流成分算出部15による乱気流成分算出結果Fから乱気流の有無を判定して乱気流判定結果Gを出力する第1の乱気流判定処理部16と、フレームEから実空間での乱気流位置Hを算出する乱気流位置算出部17と、ドップラ速度分布BとフレームEと乱気流位置Hとから乱気流強度Iを算出する乱気流強度算出部18とから信号処理部2を構成するようにしたので、背景風の影響によって対称性が崩れた場合にも、後方乱気流の検出性能を確保できるという効果が得られる。
【0046】
また、この実施の形態1によれば、空間断面におけるドップラ速度分布Bの平均値を背景風算出部12が算出して背景風Cの速度とするようにしたので、背景風Cの速度を容易に求めることができるという効果が得られる。
【0047】
さらに、この実施の形態1によれば、航空機の飛行前など乱気流が発生していない空間断面内で背景風算出部12がドップラ速度分布を算出して背景風Cの速度とするようにしたので、背景風Cの速度を容易に求めることができるという効果が得られる。
【0048】
さらに、この実施の形態1によれば、乱気流位置算出部17は、時間的に連続する複数の乱気流位置Hから乱気流位置Hの変化率を算出して、乱気流位置Hの推移を予測するとともに、乱気流位置Hの予測結果を表示部3に表示するようにしたので、検出した後方乱気流をさらに的確に把握できるという効果が得られる。
【0049】
さらに、この実施の形態1によれば、乱気流強度算出部18は、時間的に連続する複数の乱気流強度Iから乱気流強度Iの変化率を算出し、乱気流強度Iの減衰を予測するとともに、乱気流強度Iの予測結果を表示部3に表示するようにしたので、検出した後方乱気流をさらに的確に把握できるという効果が得られる。
【0050】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
図5において、19,20はそれぞれ第2の乱気流成分算出部(乱気流検出手段)、第2の乱気流判定処理部(乱気流検出手段)である。これら第2の乱気流成分算出部19および第2の乱気流判定処理部20は、第1の乱気流成分算出部15および第1の乱気流判定処理部16と機能的にほぼ同様であるが、実施の形態1と以下の点で異なっている。
【0051】
以下、図5に示す乱気流検出装置の動作について説明する。ただし、図1と同様の動作については説明を省略する。
フレーム設定部14からフレームEを設定された第2の乱気流成分算出部19は、フレームE内において背景風Cを基準として高低に分割された2つのドップラ速度成分について、乱気流に関係する近隣性を算出する。例えば近隣性としては、連結成分、重なり、近傍数サンプル以内の数などが考えられる。後方乱気流は、背景風Cに対して高いドップラ速度成分と低いドップラ速度成分とが近隣して存在する。そこで、それらの近隣性について調べることで、乱気流の有無を判定することができる。
【0052】
第2の乱気流判定処理部20は、第2の乱気流成分算出部19による乱気流成分算出結果Jから乱気流の存在を判定し、乱気流強度算出部18または表示部3へ乱気流判定結果Kとして出力する。ここでの判定方法としては、例えば背景風に対する相対速度が高い成分と低い成分とが所定の基準を満たす近隣性があるかどうか判定する方法などが考えられる。
【0053】
実施の形態1と同様に、この実施の形態2においても、乱気流のドップラ速度成分の近隣性によって検出しているので、背景風が乱れて乱気流の対称構造が崩れている場合や、ドップラ速度成分が弱まっている場合にも、乱気流を適切に検出することができる。
【0054】
以上のように、この実施の形態2によれば、フレーム設定部14からフレームEが設定されると、フレームE内において背景風Cを基準として分割された高低2つのドップラ速度成分について、乱気流に関係する近隣性を算出して乱気流成分算出結果Jを出力する第2の乱気流成分算出部19と、乱気流成分算出結果Jから乱気流の存在を判定し、乱気流判定結果Kを出力する第2の乱気流判定処理部20とを備えるようにしたので、背景風の影響によって対称性が崩れた場合にも、後方乱気流の検出性能を確保できるという効果が得られる。
【0055】
実施の形態3.
実施の形態1の構成と実施の形態2の構成とを合せ持った乱気流検出装置を構成しても良い。
【0056】
図6はこの発明の実施の形態3による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
図6において、21は第3の乱気流判定処理部(乱気流検出手段)である。図6の乱気流検出装置は、第1の乱気流成分算出部15および第1の乱気流判定処理部16と、第2の乱気流成分算出部19および第2の乱気流判定処理部20とを並列に備えており、第3の乱気流判定処理部21は、第1の乱気流判定処理部16の後方乱気流判定結果Gと第2の乱気流判定処理部20の後方乱気流判定結果Kとを受け、後方乱気流の有無を総合的に判定して後方乱気流判定結果Lを出力するものである。
【0057】
この実施の形態3の乱気流検出装置では、乱気流に関係するドップラ速度成分の数と(第1の乱気流成分算出部15および第1の乱気流判定処理部16)、乱気流に関係するドップラ速度成分の近隣性(第2の乱気流成分算出部19および第2の乱気流判定処理部20)との双方によって乱気流の判定を行っているので、背景風によって対称性が崩れた場合にも、より確度の高い乱気流有無判定を行うことができる。
【0058】
以上のように、この実施の形態3によれば、第1の乱気流成分算出部15および第1の乱気流判定処理部16と、第2の乱気流成分算出部19および第2の乱気流判定処理部20と、第1の乱気流判定処理部16の後方乱気流判定結果Gと第2の乱気流判定処理部20の後方乱気流判定結果Kとを受けて、後方乱気流の有無を総合的に判定して後方乱気流判定結果Lを出力する第3の乱気流判定処理部21とをフレーム設定部14と乱気流位置算出部17との間に備えるようにしたので、背景風によって対称性が崩れた場合にも、より確度の高い乱気流有無判定を行うことができるという効果が得られる。
【0059】
実施の形態4.
後方乱気流のドップラ速度分布をドップラ速度抽出範囲として予め推定しておき、背景風Cを基準としたドップラ速度抽出範囲内に収まるドップラ速度成分を抽出するようにしても良い。
【0060】
図7はこの発明の実施の形態4による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
図7において、22はドップラ速度抽出処理部(背景風除去手段)である。実施の形態1のドップラ速度分割処理部13は基準値である背景風Cとの高低によってドップラ速度分布Bを分割していたが、この実施の形態4のドップラ速度抽出処理部22は背景風Cを基準とした所定のドップラ速度抽出範囲のドップラ速度のみを抽出し、抽出ドップラ速度分布Mとしてフレーム設定部14へ出力する。
【0061】
前述したように、後方乱気流のドップラ速度分布は予め推定することができる。そこで、背景風Cを基準として、ドップラ速度抽出範囲内のドップラ速度分布のみをドップラ速度抽出処理部22で抽出することによって、背景風の速度揺らぎや雑音などと弁別することができる。
【0062】
以上のように、この実施の形態4によれば、後方乱気流のドップラ速度抽出範囲を予め推定するとともに、背景風Cを中心としたドップラ速度抽出範囲内におけるドップラ速度成分のみを抽出して抽出ドップラ速度分布Mをフレーム設定部14へ出力するドップラ速度抽出処理部22を備えるようにしたので、背景風の速度揺らぎや雑音などと弁別して後方乱気流を検出できるという効果が得られる。
【0063】
実施の形態5.
実施の形態4で示したドップラ速度抽出範囲を航空機毎に設定するようにしても良い。
【0064】
図8はこの発明の実施の形態5による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
図8において、23は速度基準設定部(背景風除去手段)である。速度基準設定部23は、航空機情報に応じてその後方乱気流の速度分布を算出して、実施の形態4で示したドップラ速度抽出処理部22へ抽出すべきドップラ速度抽出範囲Nを設定するものである。
【0065】
後方乱気流の速度分布(強度)は航空機の機体によって決まるが、飛行する航空機情報が予め入手できる場合には、速度基準設定部23に航空機情報を記憶させ、その航空機に特化した速度分布(強度)情報によって検出を行った方が確度のより高い検出ができる。
【0066】
以上のように、この実施の形態5によれば、予め記憶した航空機情報に応じてその後方乱気流のドップラ速度分布を算出するとともに、抽出すべきドップラ速度抽出範囲Nをドップラ速度抽出処理部22に対して設定する速度基準設定部23を備えるようにしたので、航空機に特化した速度分布(強度)情報によって後方乱気流を検出できるようになり、より確度の高い検出ができるという効果が得られる。
【0067】
実施の形態6.
航空機情報をフレームEの大きさ(フレームサイズ)に反映する構成を実施の形態1〜5の乱気流検出装置に追加しても良い。
【0068】
図9はこの発明の実施の形態6による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
図9において、24はフレーム基準設定部(フレーム設定手段)である。フレーム基準設定部24は、航空機情報によってその後方乱気流の空間的な広がりを算出し、この空間的な広がりにしたがって、フレームサイズOをフレーム設定部14に設定する。
【0069】
後方乱気流の速度分布(強度)は航空機の機体によって決定されるが、飛行する航空機情報が予め入手できる場合には、その航空機に特化した速度分布(強度)情報により検出を行った方が確度のより高い検出ができる。また、フレームサイズOを調整する時間的・計算量的な負担を軽減することができる。
【0070】
以上のように、この実施の形態6によれば、航空機情報によってその後方乱気流の空間的な広がりを算出し、この空間的な広がりにしたがってフレームサイズOをフレーム設定部14に設定するフレーム基準設定部24を備えるようにしたので、その航空機に特化したドップラ速度分布(強度)情報にしたがって確度のより高い検出ができ、フレームサイズOを調整する時間的・計算量的な負担を軽減できるという効果が得られる。
【0071】
実施の形態7.
乱気流の判定を容易にするために、モルフォロジー処理をドップラ速度分布に行なう構成を実施の形態1〜6の乱気流検出装置に追加しても良い。
【0072】
図10はこの発明の実施の形態7による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
図10において、25はモルフォロジー処理部(背景風除去手段)であり、ドップラ速度分布B,D,Mにモルフォロジー処理を施してモルフォロジー処理ドップラ分布Pを出力する。
【0073】
受信信号Aから算出したドップラ速度分布Bや、背景風Cによって分割または抽出した分割ドップラ速度分布D,抽出ドップラ速度分布Mは、観測諸元または欠測などにより空間的な間隔が空いており、乱気流に関係するドップラ速度成分の数も限られている。
【0074】
そこで、例えばドップラ速度成分を空間的に膨張させるようなモルフォロジー処理をドップラ速度分布D,Mに対してモルフォロジー処理部25で行うことにより、近隣性が増し、乱気流の判定が容易になる効果がある。また、ドップラ速度成分を空間的に収縮させるようなモルフォロジー処理をドップラ速度分布B,D,Mにモルフォロジー処理部25で行うと、突発的なノイズなどを除去することができ、乱気流の判定が容易になる効果がある。
【0075】
なお、適用するモルフォロジー処理としては、例えば、膨張処理と収縮処理とを任意の順序で、また任意の組み合わせとする方法が考えられる。
【0076】
以上のように、この実施の形態7によれば、ドップラ速度成分を空間的に膨張・収縮させるモルフォロジーによってドップラ速度分布B,D,Mを処理してモルフォロジー処理ドップラ分布Pを出力するモルフォロジー処理部25を備えるようにしたので、近隣性の増加や突発的ノイズ除去が可能になり、乱気流の判定が容易になるという効果が得られる。
【0077】
実施の形態8.
実施の形態1〜7では、現在の観測で得られた最新のドップラ速度分布だけから後方乱気流の検出を行なっていたが、以前の観測で得られた過去のドップラ速度分布を格納しておき、最新のドップラ速度分布と過去のドップラ速度分布とを合成し後方乱気流検出に用いることもできる。
【0078】
図11はこの発明の実施の形態8による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
図11において、26はドップラ速度分布格納部(背景風除去手段)、27はドップラ速度分布合成処理部(背景風除去手段)である。
【0079】
ドップラ速度分布格納部26は、ドップラ速度分布算出部11から得られた最新のドップラ速度分布B1と過去のドップラ速度分布B2とを格納するものである。またドップラ速度分布合成処理部27は、ドップラ速度分布格納部26に格納された2以上のドップラ速度分布B1,B2を所定の方法により合成し、合成ドップラ速度分布Qを生成する。
【0080】
ドップラ速度分布合成処理部27の合成方法としては、例えば空間的に同一なドップラ速度分布B1,B2どうしを合成する方法や、時間的に同一なドップラ速度分布B1,B2どうしを合成する方法、ドップラ速度分布B1,B2どうしの相関や差分によって相関値が最大、または差分値が最小となるような位置で合成する方法などが考えられる。
【0081】
観測されたドップラ速度分布B1に重畳するノイズ成分は、ランダムなものと考えることができ、過去のドップラ速度分布B2を合成することで、ノイズ成分が打ち消し合い、抑圧される効果がある。そのため、以降の判定処理が容易になる効果がある。
【0082】
後方乱気流は時間とともに動く(降下する)ので、時間間隔が離れたドップラ速度分布B1,B2を合成した場合、乱気流の速度成分も打ち消し合うことがある。そのような場合には、例えば各ドップラ速度分布B1,B2どうしの相関や差分により調整することが考えられる。
【0083】
以上のように、この実施の形態8によれば、ドップラ速度分布算出部11から得られた最新のドップラ速度分布B1を過去のドップラ速度分布B2とともに格納するドップラ速度分布格納部26と、ドップラ速度分布格納部26に格納された最新のドップラ速度分布B1と2以上の過去のドップラ速度分布B2とを合成して合成ドップラ速度分布Qを背景風算出部12へ出力するドップラ速度分布合成処理部27とを備えるようにしたので、ドップラ速度分布B1内のノイズ成分が打ち消し合って抑圧され、後方乱気流の判定処理を容易に行なうことができるという効果が得られる。
【0084】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するとともに、大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を基準として、ドップラ速度分布を高低2つに分割して出力する背景風除去手段と、背景風除去手段が出力したドップラ速度分布を参照し、後方乱気流の検出範囲としてのフレームを設定するフレーム設定手段と、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布から後方乱気流のドップラ速度成分を検出する乱気流検出手段とを備えるようにしたので、背景風の影響によって対称性が崩れた場合にも、後方乱気流の検出性能を確保できるという効果が得られる。
【0085】
この発明によれば、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するドップラ速度分布算出部と、ドップラ速度分布から背景風のドップラ速度成分を算出する背景風算出部と、背景風のドップラ速度成分よりも高いドップラ速度成分と、背景風のドップラ速度成分よりも低いドップラ速度成分とにドップラ速度分布を分割するドップラ速度分割処理部とを背景風除去手段が備えるようにしたので、背景風の影響によって対称性が崩れた場合にも、後方乱気流の検出性能を確保できるという効果が得られる。
【0086】
この発明によれば、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するドップラ速度分布算出部と、ドップラ速度分布から背景風のドップラ速度成分を算出する背景風算出部と、後方乱気流のドップラ速度抽出範囲を推定するとともに、背景風のドップラ速度成分を中心としてドップラ速度抽出範囲内におけるドップラ速度成分をドップラ速度分布から抽出するドップラ速度抽出処理部を背景風除去手段が備えるようにしたので、背景風の速度揺らぎや雑音などと弁別して後方乱気流を検出できるという効果が得られる。
【0087】
この発明によれば、航空機情報に応じたドップラ速度抽出範囲をドップラ速度抽出処理部へ設定する速度基準設定部を背景風除去手段が備えるようにしたので、航空機に特化して後方乱気流を検出できるようになり、より確度の高い検出ができるという効果が得られる。
【0088】
この発明によれば、ドップラ速度分布をモルフォロジー処理するモルフォロジー処理部を背景風除去手段が備えるようにしたので、近隣性の増加や突発的ノイズ除去が可能になり、後方乱気流の検出が容易になるという効果が得られる。
【0089】
この発明によれば、電磁波から算出したドップラ速度分布を複数格納するドップラ速度分布格納部と、ドップラ速度分布格納部に格納された2以上のドップラ速度分布を合成するドップラ速度分布合成処理部とを背景風除去手段が備えるようにしたので、ドップラ速度分布内のノイズ成分が打ち消し合って抑圧され、後方乱気流の検出を容易に行なうことができるという効果が得られる。
【0090】
この発明によれば、大気中におけるドップラ速度分布の平均値を背景風算出部が算出して背景風のドップラ速度成分とするようにしたので、背景風のドップラ速度成分を容易に算出できるという効果が得られる。
【0091】
この発明によれば、後方乱気流の発生していない大気中のドップラ速度分布を背景風算出部が算出して背景風のドップラ速度成分とするようにしたので、背景風のドップラ速度成分を容易に算出できるという効果が得られる。
【0092】
この発明によれば、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布から後方乱気流に関係するドップラ速度成分をカウントする第1の乱気流成分算出部と、第1の乱気流成分算出部によるカウント結果から後方乱気流の有無を判定する第1の乱気流判定処理部と、第1の乱気流判定処理部の判定結果を参照し、フレームから実空間での乱気流位置を乱気流情報として算出する乱気流位置算出部と、ドップラ速度分布とフレームと乱気流位置とから乱気流強度を乱気流情報として算出する乱気流強度算出部とを乱気流検出手段が備えるようにしたので、背景風の影響によって対称性が崩れた場合にも、後方乱気流の検出性能を確保できるという効果が得られる。
【0093】
この発明によれば、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度成分について、後方乱気流に関係する近隣性を算出する第2の乱気流成分算出部と、第2の乱気流成分算出部の算出結果から後方乱気流の有無を判定する第2の乱気流判定処理部と、第2の乱気流判定処理部の判定結果を参照し、フレームから実空間での乱気流位置を乱気流情報として算出する乱気流位置算出部と、ドップラ速度分布とフレームと乱気流位置とから乱気流強度を乱気流情報として算出する乱気流強度算出部とを乱気流検出手段が備えるようにしたので、背景風の影響によって対称性が崩れた場合にも、後方乱気流の検出性能を確保できるという効果が得られる。
【0094】
この発明によれば、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布から後方乱気流に関係するドップラ速度成分をカウントする第1の乱気流成分算出部と、第1の乱気流成分算出部によるカウント結果から後方乱気流の有無を判定する第1の乱気流判定処理部とを乱気流検出手段が備えるとともに、第1の乱気流成分算出部および第1の乱気流判定処理部に対して並列に、フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度成分について、後方乱気流に関係する近隣性を算出する第2の乱気流成分算出部と、第2の乱気流成分算出部の算出結果から後方乱気流の有無を判定する第2の乱気流判定処理部とを乱気流検出手段が備え、第1の乱気流判定処理部の判定結果と、第2の乱気流判定処理部の判定結果とを参照して、後方乱気流の有無を判定する第3の乱気流判定処理部とを乱気流検出手段が備えるようにしたので、背景風によって対称性が崩れた場合にも、より確度の高い乱気流検出を行うことができるという効果が得られる。
【0095】
この発明によれば、時間的に連続する後方乱気流の複数位置または複数強度から変化率を算出して位置または強度の時間的推移を乱気流検出手段が予測するとともに、位置または強度の予測結果を乱気流検出手段が表示するようにしたので、検出した後方乱気流をさらに的確に把握できるという効果が得られる。
【0096】
この発明によれば、航空機情報に応じたフレームサイズを設定するフレーム基準設定部をフレーム設定手段が備えるようにしたので、航空機に特化したドップラ速度分布情報にしたがって確度のより高い検出ができ、フレームサイズを調整する時間的・計算量的な負担を軽減できるという効果が得られる。
【0097】
この発明によれば、受信した電磁波から大気のドップラ速度分布が算出されるとともに、大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を基準として、ドップラ速度分布が高低2つに分割されて出力される背景風除去ステップと、背景風除去ステップで出力したドップラ速度分布を参照し、後方乱気流の検出範囲としてのフレームが設定されるフレーム設定ステップと、フレーム内のドップラ速度分布から後方乱気流のドップラ速度成分が検出される乱気流検出ステップとを備えるようにしたので、背景風の影響によって対称性が崩れた場合にも、後方乱気流の検出性能を確保できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 後方乱気流の観測例を示す図である。
【図2】 観測領域の空間断面における後方乱気流を概念的に示す図である。
【図3】 後方乱気流を観測したときのx−y平面におけるドップラ速度分布の一例を示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
【図5】 この発明の実施の形態2による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
【図6】 この発明の実施の形態3による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 この発明の実施の形態4による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 この発明の実施の形態5による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 この発明の実施の形態6による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
【図10】 この発明の実施の形態7による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
【図11】 この発明の実施の形態8による乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
【図12】 後方乱気流の発生する様子を概念的に示す図である。
【図13】 従来の乱気流検出装置の構成を示すブロック図である。
【図14】 航空機の進行方向と交差する空間断面をビーム走査によって観測する様子を示す図である。
【図15】 図14の2つのレーザ光線によって観測される速度分布を示す図である。
【符号の説明】
1 電磁波送受信部(ライダ)、2 信号処理部、3 表示部、11 ドップラ速度分布算出部(背景風除去手段)、12 背景風算出部(背景風除去手段)、13 ドップラ速度分割処理部(背景風除去手段)、14 フレーム設定部(フレーム設定手段)、15 第1の乱気流成分算出部(乱気流検出手段)、16第1の乱気流判定処理部(乱気流検出手段)、17 乱気流位置算出部(乱気流検出手段)、18 乱気流強度算出部(乱気流検出手段)、19 第2の乱気流成分算出部(乱気流検出手段)、20 第2の乱気流判定処理部(乱気流検出手段)、21 第3の乱気流判定処理部(乱気流検出手段)、22 ドップラ速度抽出処理部(背景風除去手段)、23 速度基準設定部(背景風除去手段)、24 フレーム基準設定部(フレーム設定手段)、25 モルフォロジー処理部(背景風除去手段)、26 ドップラ速度分布格納部(背景風除去手段)、27ドップラ速度分布合成処理部(背景風除去手段)、51 滑走路、52 観測領域、52XY 空間断面、53,53’ 後方乱気流、54,54’ ビーム、A 受信信号、B ドップラ速度分布、B1 最新のドップラ速度分布、B2過去のドップラ速度分布、C 背景風(背景風のドップラ速度)、D 分割ドップラ速度分布、E フレーム、F 乱気流成分算出結果、G 乱気流判定結果、H 乱気流位置、I 乱気流強度、J 乱気流成分算出結果、K 乱気流判定結果、L 乱気流判定結果、M 抽出ドップラ速度分布、N ドップラ速度抽出範囲、O フレームサイズ、P モルフォロジー処理ドップラ速度分布、Q 合成ドップラ分布。

Claims (17)

  1. 大気中に対する電磁波の送受信によって、飛行する航空機後方に発生する後方乱気流を検出し、検出した上記後方乱気流に関する乱気流情報を表示する乱気流検出装置において、
    受信した上記電磁波から上記大気のドップラ速度分布を算出するとともに、上記大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を基準として、上記ドップラ速度分布を高低2つに分割して出力する背景風除去手段と、
    上記背景風除去手段が出力した上記ドップラ速度分布を参照し、上記後方乱気流の検出範囲としてのフレームを設定するフレーム設定手段と、
    上記フレーム内で高低2つに分割された上記ドップラ速度分布における、上記後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントし、このカウント結果から上記後方乱気流の有無を判定する乱気流検出手段とを備えることを特徴とする乱気流検出装置。
  2. 大気中に対する電磁波の送受信によって、飛行する航空機後方に発生する後方乱気流を検出し、検出した上記後方乱気流に関する乱気流情報を表示する乱気流検出装置において、
    受信した上記電磁波から上記大気のドップラ速度分布を算出するとともに、上記大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を基準として、上記ドップラ速度分布を高低2つに分割して出力する背景風除去手段と、
    上記背景風除去手段が出力した上記ドップラ速度分布を参照し、上記後方乱気流の検出範囲としてのフレームを設定するフレーム設定手段と、
    上記フレーム内で高低2つに分割された上記ドップラ速度分布における、上記背景風のドップラ速度成分より高いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域と低いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域との距離の近さ度合いを近隣性として算出し、この算出結果から上記後方乱気流の有無を判定する乱気流検出手段とを備えることを特徴とする乱気流検出装置。
  3. 大気中に対する電磁波の送受信によって、飛行する航空機後方に発生する後方乱気流を検出し、検出した上記後方乱気流に関する乱気流情報を表示する乱気流検出装置において、
    受信した上記電磁波から上記大気のドップラ速度分布を算出するとともに、上記大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を基準として、上記ドップラ速度分布を高低2つに分割して出力する背景風除去手段と、
    上記背景風除去手段が出力した上記ドップラ速度分布を参照し、上記後方乱気流の検出範囲としてのフレームを設定するフレーム設定手段と、
    上記フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、上記後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントし、このカウント結果から上記後方乱気流の有無を判定すると共に、上記フレーム内で高低2つに分割された上記ドップラ速度分布における、上記背景風のドップラ速度成分より高いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域と低いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域との距離の近さ度合いを近隣性として算出した結果から上記後方乱気流の有無を判定し、これら両判定結果を参照して最終的な上記後方乱気流の有無を判定する乱気流検出手段とを備えることを特徴とする乱気流検出装置。
  4. 背景風除去手段は、
    受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するドップラ速度分布算出部と、
    上記ドップラ速度分布から背景風のドップラ速度成分を算出する背景風算出部と、
    上記背景風のドップラ速度成分よりも高いドップラ速度成分と、上記背景風のドップラ速度成分よりも低いドップラ速度成分とに上記ドップラ速度分布を分割するドップラ速度分割処理部とを備えることを特徴とする請求項1記載の乱気流検出装置。
  5. 大気中に対する電磁波の送受信によって、飛行する航空機後方に発生する後方乱気流を検出し、検出した上記後方乱気流に関する乱気流情報を表示する乱気流検出装置において、
    受信した上記電磁波から上記大気のドップラ速度分布を算出するとともに、上記大気のドップラ速度分布から後方乱気流のドップラ速度抽出範囲を推定し、上記大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を中心として上記後方乱気流のドップラ速度抽出範囲内において高低2つに分けられるドップラ速度成分を、上記ドップラ速度分布から抽出して出力する背景風除去手段と、
    上記背景風除去手段が抽出した上記ドップラ速度成分によるドップラ速度分布を参照し、上記後方乱気流の検出範囲としてのフレームを設定するフレーム設定手段と、
    上記フレーム内で高低2つに分割された上記ドップラ速度分布における、上記後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントし、このカウント結果から上記後方乱気流の有無を判定する乱気流検出手段とを備えることを特徴とする乱気流検出装置。
  6. 背景風除去手段は、
    受信した電磁波から大気のドップラ速度分布を算出するドップラ速度分布算出部と、
    上記ドップラ速度分布から背景風のドップラ速度成分を算出する背景風算出部と、
    後方乱気流のドップラ速度抽出範囲を推定するとともに、上記背景風のドップラ速度成分を中心として上記ドップラ速度抽出範囲内におけるドップラ速度成分を上記ドップラ速度分布から抽出するドップラ速度抽出処理部を備えることを特徴とする請求項5記載の乱気流検出装置。
  7. 背景風除去手段は、
    航空機情報に応じたドップラ速度抽出範囲をドップラ速度抽出処理部へ設定する速度基準設定部を備えることを特徴とする請求項6記載の乱気流検出装置。
  8. 背景風除去手段は、
    ドップラ速度分布をモルフォロジー処理するモルフォロジー処理部を備えることを特徴とする請求項1記載の乱気流検出装置。
  9. 背景風除去手段は、
    電磁波から算出したドップラ速度分布を複数格納するドップラ速度分布格納部と、
    上記ドップラ速度分布格納部に格納された2以上の上記ドップラ速度分布を合成するドップラ速度分布合成処理部とを備えることを特徴とする請求項1記載の乱気流検出装置。
  10. 背景風算出部は、
    大気中におけるドップラ速度分布の平均値を算出して背景風のドップラ速度成分とすることを特徴とする請求項4または請求項6記載の乱気流検出装置。
  11. 背景風算出部は、
    後方乱気流の発生していない大気中のドップラ速度分布を算出して背景風のドップラ速度成分とすることを特徴とする請求項4または請求項6記載の乱気流検出装置。
  12. 乱気流検出手段は、
    フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントする第1の乱気流成分算出部と、
    上記第1の乱気流成分算出部によるカウント結果から上記後方乱気流の有無を判定する第1の乱気流判定処理部と、
    上記第1の乱気流判定処理部の判定結果を参照し、上記フレームから実空間での上記乱気流位置を乱気流情報として算出する乱気流位置算出部と、
    上記ドップラ速度分布と上記フレームと上記乱気流位置とから乱気流強度を上記乱気流情報として算出する乱気流強度算出部とを備えることを特徴とする請求項1記載の乱気流検出装置。
  13. 乱気流検出手段は、
    フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、上記背景風のドップラ速度成分より高いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域と低いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域との距離の近さ度合いを近隣性として算出する第2の乱気流成分算出部と、
    上記第2の乱気流成分算出部の算出結果から上記後方乱気流の有無を判定する第2の乱気流判定処理部と、
    上記第2の乱気流判定処理部の判定結果を参照し、上記フレームから実空間での上記乱気流位置を乱気流情報として算出する乱気流位置算出部と、
    上記ドップラ速度分布と上記フレームと上記乱気流位置とから乱気流強度を上記乱気流情報として算出する乱気流強度算出部とを備えることを特徴とする請求項2記載の乱気流検出装置。
  14. 乱気流検出手段は、
    フレーム内で高低2つに分割されたドップラ速度分布における、後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントする第1の乱気流成分算出部と、上記第1の乱気流成分算出部によるカウント結果から上記後方乱気流の有無を判定する第1の乱気流判定処理部とを備えるとともに、
    上記第1の乱気流成分算出部および上記第1の乱気流判定処理部に対して並列に、上記フレーム内で高低2つに分割された上記ドップラ速度分布における、上記背景風のドップラ速度成分より高いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域と低いドップラ速度成分が観測されたサンプル点からなる領域との距離の近さ度合いを近隣性として算出する第2の乱気流成分算出部と、上記第2の乱気流成分算出部の算出結果から上記後方乱気流の有無を判定する第2の乱気流判定処理部とを備え、
    上記第1の乱気流判定処理部の判定結果と、上記第2の乱気流判定処理部の判定結果とを参照して、上記後方乱気流の有無を判定する第3の乱気流判定処理部とを備えることを特徴とする請求項3記載の乱気流検出装置。
  15. 乱気流検出手段は、
    時間的に連続する後方乱気流の複数位置または複数強度から変化率を算出して上記位置または上記強度の時間的推移を予測するとともに、上記位置または上記強度の予測結果を表示することを特徴とする請求項1記載の乱気流検出装置。
  16. フレーム設定手段は、
    航空機情報に応じたフレームサイズを設定するフレーム基準設定部を備えることを特徴とする請求項1記載の乱気流検出装置。
  17. 大気中に対する電磁波の送受信によって、飛行する航空機後方に発生する後方乱気流を検出し、検出した上記後方乱気流に関する乱気流情報を表示する乱気流検出方法において、
    受信した上記電磁波から上記大気のドップラ速度分布が算出されるとともに、上記大気中に生じた背景風のドップラ速度成分を基準として、上記ドップラ速度分布が高低2つに分割されて出力される背景風除去ステップと、
    上記背景風除去ステップで出力した上記ドップラ速度分布を参照し、上記後方乱気流の検出範囲としてのフレームが設定されるフレーム設定ステップと、
    上記フレーム内で高低2つに分割された上記ドップラ速度分布における、上記後方乱気流に関係するドップラ速度成分が観測されたサンプル点の数をカウントし、このカウント結果から上記後方乱気流の有無を判定する乱気流検出ステップとを備えることを特徴とする乱気流検出方法。
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