JP3628621B2 - 乱気流検出装置および乱気流検出方法 - Google Patents

乱気流検出装置および乱気流検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、航空機通過時に、航空機の後方に発生する乱気流を検出する乱気流検出装置および乱気流検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、航空機利用者が増加し、大都市に近接する空港における航空機の離発着数を増大させることが望まれている。一般には、新滑走路の増設が困難であるため、安全を確保しつつ離発着の間隔を短くすることが求められている。従来、離発着の時間間隔は、航空機の飛行に伴って主翼の後方に発生する乱気流が消失するのに十分な時間をとることで決められている。従って、離発着間隔を短縮するためには、後方乱気流の発生と消失を検出できる乱気流検出装置が必要である。
このような航空機の後方乱気流を検出する従来技術については、例えば“大森,桐本,「テンプレートマッチングを用いた航空機の後方乱気流の検出、電子通信情報学会技術研究報告SANE99−9」,1999”および特開2000−310680号公報に述べられている。
【0003】
図13にドップラレーダあるいはドップラライダ(lidar)を用いた乱気流検出装置の構成を示す。この図において、100は乱気流検出装置、101は電磁波放射部、102は送受信部、103は信号処理部、104は表示・記録部である。
【0004】
次に、図13の装置100がドップラライダを利用している場合を想定して、その動作を説明する。
送受信部102において、送信光パルスを生成する。この送信光パルスは電磁波放射部101へと伝送される。電磁波放射部101は送信光パルスを空間へ放射する。電磁波放射部101は、例えば、送信光を空間へ放射する際に送信光を収束させる望遠鏡と、放射の方向を制御する反射鏡とから構成される。空間へ放射された送信光は大気で反射される。その際、反射位置の風速に応じてドップラ効果が生じるため、大気による反射光の周波数はドップラ効果による偏移を受ける。
大気からの反射光は電磁波放射部101により受信され、送受信部102へと伝送される。送受信部102は、受信信号に増幅、周波数変換などの処理を施した後に、処理された受信信号を信号処理部103へ供給する。
必要な空間(観測領域)全体にわたって速度を計測するため、電磁波放射部101は、反射鏡の角度を制御して波の放射方向を変化させながら、反射波を受信する。
【0005】
信号処理部103は入力した受信信号からそのドップラ周波数を算出し、それをターゲット(大気)のドップラ速度、すなわち大気の視線方向風速へと変換する。各検出位置の視線方向風速は、その位置にある大気の移動方向に影響されている。信号処理部103の変換結果は、2次元断面(観測領域)における速度分布である。この断面に関しては、放射部からの距離と角度で位置が決まる座標系を採ることができ、信号処理部103からの変換結果は、距離−角度座標系で表される。ただし、座標変換により、変換結果を直交座標系で表すことができる。さらに、後述のようなテンプレートマッチングの手法により、2次元断面上の風速分布の変化パタンから乱気流を検出する。信号処理部103で生成された信号処理結果に基づいて、表示・記録部104は乱気流の速度を表示あるいは記録する。
【0006】
乱気流検出装置100がドップラレーダを利用する場合は、送受信部102では送信光の代わりに送信電波が生成され、電磁波放射部101から空間に放射される。電磁波放射部101としてアンテナが用いられる。その他の機能はドップラライダの場合と本質的に同じである。
【0007】
次に、従来技術における乱気流検出の原理を具体的に説明する。
乱気流検出装置100による後方乱気流の観測の状況を図14に示す。航空機が通過すると、その後方に二つの渦から構成される乱気流が生じる。この後方乱気流をドップラレーダまたはドップラライダで観測すると、正のドップラ速度が観測される領域と、負のドップラ速度が観測される領域とが現れる。ここで、正のドップラ速度とは、乱気流検出処理装置から離れる方向の風を観測したときに得られるドップラ速度、負のドップラ速度とは、乱気流検出処理装置に近づく方向の風を観測したときに得られるドップラ速度とする。図14の例では、乱気流の中心位置O3、すなわち航空機が通過した位置から見て、左上の領域で正、左下の領域で負、右上の領域で負、右下の領域で正のドップラ速度がそれぞれ得られる。
【0008】
そこで、例えば図16に示すようなテンプレートと式(1)を用いて、小領域に応じて予め設定された係数を測定速度に乗算してドップラ速度データを積分する。図16のテンプレートによれば、係数は±1である。すなわち、図16に示すテンプレートでは、テンプレート領域の中心O2から見て、左上の小領域に+1、左下の小領域に−1、右上の小領域に−1、右下の小領域に+1の係数が割り当てられる。
【0009】
【数1】
Figure 0003628621
【0010】
式(1)で、M(X,Y)は、計算上仮定した乱気流の位置と、乱気流の真の位置との類似度を表す。位置(X,Y)は、図16に示すように、電磁波放射部101の位置を原点O1としたX−Y座標系におけるテンプレート領域(仮定した観測領域)の原点O2の位置を表す。wはテンプレート領域の幅の半分(小領域の幅)であり、hはテンプレート領域の高さの半分(小領域の高さ)であり、V1(X+x,Y +y)はX−Y座標系における個々の位置(X+x,Y+y)の測定されたドップラ速度である。V2(x,y)はテンプレート内の係数であり、テンプレート領域において左上の小領域で+1、左下の小領域で−1、右上の小領域で−1、右下の小領域で+1である。
【0011】
上述のように、乱気流内部に関するドップラ速度V1(X+x,Y+y)は、乱気流の中心位置から見て、左上の小領域で正、左下の小領域で負、右上の小領域で負、右下の小領域で正であるから、テンプレート領域の原点O2が乱気流の実際の中心位置O3(図14、図17参照)に一致すれば、式(1)に従った積分結果であるところの類似度M(X,Y)は最大となる。換言すれば、類似度M(X,Y)が最大になる位置(X,Y)が乱気流の中心位置O3として推定される。従って、位置(X,Y)のパラメータX,Yを変更しながら類似度M(X,Y)の算出試行を繰り返し、類似度M(X,Y)が最大になる位置(X,Y)を求める。
【0012】
式(1)から理解できるように、類似度M(X,Y)はテンプレート中心位置O2と乱気流中心位置O3とが一致した場合に、速度の絶対値を加算したものであるから、乱気流の位置確定後の類似度M(X,Y)は乱気流の速度(強度)を表す指標として使うことができる。すなわち、複数回の算術試行で得られた類似度M(X,Y)のうち、最大の類似度Mmax (X,Y)を乱気流の強度と考えることができる。
【0013】
一方、乱気流の存在しない位置または時刻では、類似度M(X,Y)は0に近づく。以上のようにして、乱気流の検出が可能となる。
【0014】
信号処理部の具体的な構成を図15に示す。この図において、1はドップラ速度算出部、2はテンプレート設定部、3はテンプレートマッチング処理部(演算部、乱気流検出部)である。
ドップラ速度算出部1は、送受信部102から供給された受信信号からドップラ速度を算出する。ドップラ速度を算出するには、受信信号をフーリエ変換し、受信信号のパワースペクトルを算出する。パワースペクトルには大気エコースペクトルが含まれる。この大気エコースペクトルのピーク位置の周波数からドップラ速度を算出することができる。パワースペクトルを算出する際には、パワースペクトルの持つ統計的なゆらぎを小さくすることを目的として、インコヒーレント積分が行われる。
【0015】
テンプレート設定部2では、テンプレートマッチング処理に用いるテンプレートを設定する。例えば前述の図16に示すようなテンプレートを設定する。
テンプレートマッチング処理部3では、テンプレート設定部2で設定したテンプレートと一致する風速変化パタンをドップラ速度データから抽出することにより、後方乱気流を検出する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来技術では、乱気流が二つの渦から構成され、それらの渦が水平方向に近接して存在していることを仮定してテンプレートを設定し、乱気流を検出していた。この技術によれば、乱気流の発生直後、すなわち航空機の通過直後の乱気流の検出には有効である。しかし、通常の後方乱気流は、時間の経過とともに、二つの渦の間隔が広がるように移動することが知られている。図17は二つの渦からなる後方乱気流の典型的な移動軌跡を示したものである。このように、二つの渦は、まず二つの渦の間に生じる相互作用により、下方に移動する。そして、地面に接近するにつれて、地面の影響を受けて、渦間隔が広がる。すなわち、二つの渦は互いに離れてゆく。
【0017】
このように、二つの渦の間の間隔が時間の経過とともに広がるため、乱気流検出に適したテンプレートは、時間の経過とともに変化する。しかし、従来技術では、発生直後の乱気流に適したテンプレートだけを用いていたため、乱気流発生からある程度の時間が経過したときに、乱気流検出性能が低下するという問題があった。
【0018】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、乱気流発生から時間が経過した後の、渦間隔の広がった乱気流をも正しく検出する乱気流検出装置および乱気流検出方法を得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る乱気流検出装置は、電磁波を発生する送信部と、空間に電磁波を放射する電磁波放射部と、大気で反射された電磁波を受信する電磁波入射部と、上記電磁波放射部で受信した電磁波を処理して受信信号を生成する受信部と、上記受信部で生成された受信信号に基づいて、観測領域内のドップラ速度空間分布を算出するドップラ速度算出部と、乱気流の速度分布を模式化した速度分布テンプレートを設定可能であり、乱気流を構成する二つの渦の間隔の仮定値を変更しながら、個々の仮定値に適合した個々の速度分布テンプレートを設定するテンプレート設定部と、上記ドップラ速度算出部で算出されたドップラ速度空間分布と、上記テンプレート設定部で設定された個々の速度分布テンプレートとの類似度を算出する演算部と、上記演算部で算出された個々の上記類似度に基づいて、上記渦の間隔を決定する渦間隔決定部と、上記渦間隔決定部で決定された渦の間隔に基づいて、乱気流の強度に関連した指標を求める乱気流検出部とを備えたものである。
【0020】
この発明に係る乱気流検出装置は、電磁波を発生する送信部と、空間に電磁波を放射する電磁波放射部と、大気で反射された電磁波を受信する電磁波入射部と、上記電磁波放射部で受信した電磁波を処理して受信信号を生成する受信部と、上記受信部で生成された受信信号に基づいて、観測領域内のドップラ速度空間分布を算出するドップラ速度算出部と、乱気流の速度分布を模式化した速度分布テンプレートを設定可能であり、乱気流を構成する二つの渦の間隔の仮定値を変更しながら、個々の仮定値に適合した個々の速度分布テンプレートを設定するテンプレート設定部と、上記テンプレート設定部で設定された個々の速度分布テンプレートがそれぞれ供給され、上記ドップラ速度算出部で算出されたドップラ速度空間分布と、供給された速度分布テンプレートとの類似度を算出する複数の演算部と、上記複数の演算部で算出された個々の上記類似度に基づいて、上記渦の間隔を決定する渦間隔決定部と、上記渦間隔決定部で決定された渦の間隔に基づいて、乱気流の強度に関連した指標を求める乱気流検出部とを備えたものである。
【0021】
この発明に係る乱気流検出装置は、上記テンプレート設定部が、二つの渦が同じ高度に水平方向に並んで存在するという仮定の下に、テンプレートを設定するものである。
【0022】
この発明に係る乱気流検出装置は、上記テンプレート設定部が、実際の乱気流を構成する渦流の方向に関連した、+n、−n、0の3つの値(nは実数である)を持つテンプレートを設定するものである。
【0023】
この発明に係る乱気流検出装置は、渦間隔決定部で推定された観測渦間隔を保存する渦間隔保存部を備え、テンプレート設定部は渦間隔保存部に保存された過去の観測渦間隔に基づいて、次の時刻の乱気流検出の試行における渦の間隔を仮定するものである。
【0024】
この発明に係る乱気流検出装置は、気象状況を表す気象モデル情報と、航空機の諸元を表す航空機モデル情報に基づいて、乱気流を構成する二つの渦の間隔の時間的変化を予測する乱気流シミュレーション部を備え、テンプレート設定部は上記乱気流シミュレーション部が予測した現在の渦の間隔に基づいて、次の時刻の乱気流検出の試行における渦の間隔を仮定するものである。
【0025】
この発明に係る乱気流検出方法は、(a)空間に電磁波を放射するステップと、(b)大気で反射された電磁波を受信するステップと、(c)一回の走査における上記受信した電磁波に関連する受信信号に基づいて、観測領域内のドップラ速度空間分布を算出するステップと、(d)乱気流を構成する二つの渦の間隔の仮定値を設定するステップと、(e)乱気流の速度分布を模式化した速度テンプレートであるところの上記仮定値に適合した速度分布テンプレートを設定するステップと、(f)上記ドップラ速度空間分布と上記速度分布テンプレートとの類似度を算出するステップと、(g)上記渦の間隔の仮定値を変更して、ステップ(e)および(f)を繰り返すステップと、(h)個々の上記類似度に基づいて、上記渦の間隔を決定するステップと、(i)上記決定された渦の間隔に基づいて、乱気流の強度に関連した指標を求めるステップとを備えたものである。
【0026】
この発明に係る乱気流検出方法は、ステップ(d)では、以前の乱気流検出で決定された渦間隔に基づいて、二つの渦の間隔の仮定値を設定するものである。
【0027】
この発明に係る乱気流検出方法は、ステップ(d)では、以前の乱気流検出で決定された渦間隔をそのまま二つの渦の間隔の仮定値とするものである。
【0028】
この発明に係る乱気流検出方法は、ステップ(d)は、以前の乱気流検出で決定された複数の渦間隔に基づいて渦間隔の変化パターンを求めるステップと、上記変化パターンと走査時刻に基づいて渦間隔を予測するステップと、上記予測された渦間隔からある値を差し引いて仮定値を求めるステップとを有するものである。
【0029】
この発明に係る乱気流検出方法は、ステップ(d)は、周囲の気象条件に関連する気象モデル情報と、航空機のタイプに関連する航空機モデル情報に基づいて、乱気流シミュレーションを実行することにより渦間隔の変化パターンを予測するステップと、上記変化パターンと走査時刻に基づいて渦間隔を予測するステップと、上記予測された渦間隔に基づいて仮定値を求めるステップとを有するものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1の乱気流検出装置の全体構成は、図13に示した従来技術のものと概略的には同じである。すなわち、上述のように、100は乱気流検出装置、101は電磁波放射部(電磁波入射部)、102は送受信部(受信部)、103は信号処理部、104は表示・記録部である。乱気流検出装置100は、乱気流を検出するのに、ドップラライダを利用してもよいし、ドップラレーダを利用してもよい。再び、図13に示された各構成要素の機能を説明する。
【0031】
図13の乱気流検出装置100がドップラライダを利用している場合には、送受信部102において、送信光パルスを生成する。この送信光パルスは電磁波放射部101へと伝送される。電磁波放射部101は送信光パルスを空間へ放射する。電磁波放射部101は、例えば、送信光を空間へ放射する際に送信光を収束させる望遠鏡と、放射の方向を制御する反射鏡とから構成される。空間へ放射された送信光は大気で反射される。その際、反射位置の風速に応じてドップラ効果が生じるため、大気による反射光の周波数はドップラ効果による偏移を受ける。
大気からの反射光は電磁波放射部101により受信され、送受信部102へと伝送される。送受信部102は、受信信号に増幅、周波数変換などの処理を施した後に、処理された受信信号を信号処理部103へ供給する。
必要な空間(観測領域)全体にわたって速度を計測するため、電磁波放射部101は、反射鏡の角度を制御して波の放射方向を変化させながら、反射波を受信する。
【0032】
信号処理部103は入力した受信信号からそのドップラ周波数を算出し、それをターゲット(大気)のドップラ速度、すなわち大気の視線方向風速へと変換する。各検出位置の視線方向風速は、その位置にある大気の移動方向に影響されている。信号処理部103の変換結果は、2次元断面(観測領域)における速度分布である。この断面に関しては、放射部からの距離と角度で位置が決まる座標系を採ることができ、信号処理部103からの変換結果は、距離−角度座標系で表される。ただし、座標変換により、変換結果を直交座標系で表すことができる。さらに、後述のようなテンプレートマッチングの手法により、2次元断面上の風速分布の変化パタンから乱気流を検出する。信号処理部103で生成された信号処理結果に基づいて、表示・記録部104は乱気流の速度を表示あるいは記録する。
【0033】
乱気流検出装置100がドップラレーダを利用する場合は、送受信部102では送信光の代わりに送信電波が生成され、電磁波放射部101から空間に放射される。電磁波放射部101としてアンテナが用いられる。その他の機能はドップラライダの場合と本質的に同じである。
空港での航空機の離発着間隔の管制に使われる場合には、乱気流検出装置100は、例えば空港の滑走路の横に配置される。
【0034】
図1はこの発明の実施の形態1における信号処理部103の構成を示すブロック図である。図1において、1は受信信号からドップラ速度を算出するドップラ速度算出部である。2はテンプレート設定部であり、このテンプレート設定部2は、乱気流を構成する二つの渦の間隔をある値に仮定し、その渦間隔を持つ乱気流に適したテンプレートを設定する。この実施の形態1では、テンプレート設定部2は、渦の間隔の候補を複数設定することができる。すなわち、異なる仮定された間隔を持つ複数のテンプレート候補を設定する。
3はテンプレートマッチング処理部である。テンプレートマッチング処理部3は、ドップラ速度算出部1から供給されたドップラ速度の空間分布に、テンプレート設定部2で設定されたテンプレートを用いてテンプレートマッチング処理を行う。この実施の形態1では、テンプレート設定部2で設定された複数のテンプレート候補について、テンプレートマッチング処理を繰り返す。
【0035】
4はテンプレートマッチング結果保存部4である。テンプレートマッチング結果保存部4は、テンプレートマッチング処理部3での個々のテンプレート候補に基づく複数のテンプレート処理結果を保存する。
5は渦間隔決定部である。渦間隔決定部5は、テンプレートマッチング結果保存部4に保存された処理結果のうちの最適なものを選択する。
【0036】
次に信号処理部103の動作について説明する。
ドップラ速度算出部1は、送受信部102(図13参照)から供給された受信信号から大気のドップラ速度分布を算出する。ドップラ速度分布を算出するには、受信信号をフーリエ変換し、受信信号のパワースペクトルを算出する。このパワースペクトルには大気エコースペクトル(大気からの反射波に影響された成分)が含まれる。この大気エコースペクトルのピーク位置の周波数から大気のドップラ速度分布を算出することができる。パワースペクトルを算出する際には、パワースペクトルの持つ統計的なゆらぎを小さくすることを目的として、インコヒーレント積分が行われる。
【0037】
テンプレート設定部2では、乱気流を構成する二つの渦の間隔をある値に仮定し、その渦間隔を持つ乱気流に適応したテンプレートを設定する。具体的には、従来のテンプレートを二つの部分テンプレートに分割し(すなわち横方向に分離し)、二つの部分テンプレートの間の距離が、仮定された渦間隔に等しくなるように、部分テンプレートの間隔を設定する。
図2はこのようなテンプレートの例を示す。このテンプレートは、従来技術で用いられている図16のテンプレートの左半分と右半分を水平方向に分離し、左右の左右の部分テンプレートの間に値0の小領域を挿入し、さらに左右の部分テンプレートを互いに垂直方向にずらすことにより構成されたものである。値0の領域の幅は、左側の部分テンプレートの中心と右側の部分テンプレートの中心との間の距離が、仮定された渦間隔と等しくなるように設定される。図2に示すテンプレートは、乱気流を構成する二つの渦が時間の経過につれて水平方向および垂直方向に離れていく挙動に基づく。
【0038】
ただし、乱気流を構成する二つの渦は、垂直方向に離れてゆくことよりも、水平方向に離れてゆくことが多い(図17参照)。そこで、二つの渦が水平方向のみに離れてゆくと予測しうる場合には、図3に示すように、従来のテンプレートを左右の二つの部分テンプレートに分離し、水平方向のみに部分テンプレートを離したようなテンプレートを設定してもよい。二つの渦のずれを水平方向のみに離すことにより、以下に述べるテンプレートマッチング処理の試行回数を削減することができる。図2および図3に示されたテンプレートを用いたテンプレートのマッチング処理については後述する。
【0039】
テンプレートマッチング処理部3では、テンプレート設定部2で設定したテンプレートと、風速変化パタンすなわちドップラ速度データとを対比して、後方乱気流の強度(速度)を検出する。ただし、テンプレート設定部2で仮定した渦間隔は未知である。そこで、仮定する渦間隔を変化させながら、テンプレート設定部2とテンプレートマッチング処理部3による乱気流検出を繰り返す。図2に示したようなテンプレートを用いる場合は、水平方向の渦間隔と垂直方向の渦間隔を変化させてテンプレートマッチング処理を繰返す。図3に示したようなテンプレートを用いる場合は、水平方向の渦間隔のみを変化させてテンプレートマッチング処理を繰返す。それぞれの渦間隔に基づいて行われたテンプレートマッチング処理の結果である乱気流検出結果は、テンプレートマッチング結果保存部4に一時的に保存される。
【0040】
予め設定した範囲内で仮定された渦間隔の乱気流の強度検出が終わると、渦間隔決定部5は、テンプレートマッチング結果保存部4から、複数の仮定した渦間隔に基づくテンプレートマッチング結果を読み出す。そして、渦間隔決定部5では、これらの渦間隔のうちで、ドップラ速度分布とテンプレートが最も適合する、すなわちマッチング値が最も高くなるものを、観測渦間隔として選択する。
選択された観測渦間隔はテンプレートマッチング結果保存部4に供給される。テンプレートマッチング結果保存部4は、一時保存された乱気流検出結果のうちから、観測渦間隔に基づく乱気流検出結果(強度)を、最終的に確定した乱気流検出結果として選択し、これを出力する。この信号処理部103の出力は、表示・記録部104へと渡される。表示・記録部104では、乱気流検出結果を表示または記録する。
【0041】
次に、図2および図3に示されたテンプレートを用いたテンプレートのマッチング処理について説明する。
まず、図2に示されたテンプレートを用いたテンプレートマッチング処理では、テンプレートと式(2)を用いて、小領域に応じて予め設定された係数を測定速度に乗算してドップラ速度データを積分する。図2のテンプレートによれば、係数は±1および0である。すなわち、図2に示すテンプレートでは、左上の小領域に+1、左下の小領域に−1、右上の小領域に−1、右下の小領域に+1、中央の領域に0の係数が割り当てられる。
【0042】
【数2】
Figure 0003628621
【0043】
ここで、M(X,Y)は、計算上仮定した乱気流の位置と、乱気流の真の位置との類似度を表す。位置(X,Y)は、図2に示したように、電磁波放射部101の位置を原点O1としたX−Y座標系におけるテンプレート領域(仮定した観測領域)の原点O2の位置を表す。β1maxは左上テンプレート小領域の最大高さ(テンプレート座標系(α−β)座標系)、β1minは左下テンプレート小領域の最小高さ、α1maxは左側テンプレート小領域の最大水平方向位置(テンプレート座標系(α−β)座標系)、α1minは左側テンプレート小領域の最小水平方向位置である。β2maxは右上テンプレート小領域の最大高さ(テンプレート座標系(α−β)座標系)、β2minは右下テンプレート小領域の最小高さ、α2maxは右側テンプレート小領域の最大水平方向位置(テンプレート座標系(α−β)座標系)、α2minは右側テンプレート小領域の最小水平方向位置である。
【0044】
V1(X+α,Y+β)はX−Y座標系における個々の位置(X+α,Y+β)の測定されたドップラ速度である。V2(α,β)はテンプレート内の係数であり、テンプレート領域において左上の小領域で+1、左下の小領域で−1、右上の小領域で−1、右下の小領域で+1、中央の領域で0である。より正確にこれを式で表すと以下の通りである。
【0045】
V2(α,β)=+1 …((α1min+α1max)/2<α<α1maxであって、β1min<β<β1maxの場合)
V2(α,β)=−1 …(α1min<α<(α1min+α1max)/2であって、β1min<β<β1maxの場合)
V2(α,β)=−1 …((α2min+α2max)/2<α<α2maxであって、β2min<β<β2maxの場合)
V2(α,β)=+1 …(α2min<α<(α2min+α2max)/2であって、β2min<β<β2maxの場合)
【0046】
上述のように、発生直後の乱気流内部に関するドップラ速度V1(X+α,Y+β)は、左上の小領域で正、左下の小領域で負、右上の小領域で負、右下の小領域で正である。時間の経過により乱気流の実際の位置は移動してゆく。しかし、テンプレート領域の原点O2が乱気流の実際の中心位置O3(図14、図17参照)に一致すれば、式(2)に従った積分結果であるところの類似度M(X,Y)は最大となる。換言すれば、類似度M(X,Y)が最大になる位置(X,Y)が乱気流の中心位置O3として推定される。従って、位置(X,Y)のパラメータX,Yを変更しながら類似度M(X,Y)の算出試行を繰り返し、類似度M(X,Y)が最大になる位置(X,Y)を求める。
【0047】
式(2)から理解できるように、類似度M(X,Y)はテンプレート中心位置O2と乱気流中心位置O3とが一致した場合に、速度の絶対値を加算したものであるから、乱気流の位置確定後の類似度M(X,Y)は乱気流の速度(強度)を表す指標として使うことができる。すなわち、複数回の算術試行で得られた類似度M(X,Y)のうち、最大の類似度Mmax (X,Y)を乱気流の強度と考えることができる。以上が、水平渦間隔と垂直渦間隔を固定した(α1min、α1max、α2min、α2max、β1min、β1max、β2min、β2maxを固定した)一回の試行での乱気流の強度の測定である。そして、水平方向の渦間隔と垂直方向の渦間隔を変化させて(α1min、α1max、α2min、α2max、β1min、β1max、β2min、β2maxを変化させて)、この試行を繰り返し、複数回の試行で得られた複数の最大の類似度Mmax (X,Y)の中から最大の類似度Mmax (X,Y)を選択し、これを乱気流の強度と推定するのである。
【0048】
図3に示されたテンプレートを用いたテンプレートマッチング処理も基本的には上記と同様である。ただし、図3に示すように、垂直方向のずれはないので、式(2)中のβ1max=β2max=βmax に置き換えられ、β1min=β2min=βmin に置き換えられる。また、水平方向の渦間隔のみを変化させて(α1min、α1max、α2min、α2maxを変化させて)、乱気流強度測定試行を繰り返す。
【0049】
以上のような乱気流検出装置の動作のフローチャートを図4に示す。まず、ステップST1では、以後のステップで実施するテンプレートマッチング処理で仮定する渦間隔のうちの最小値を渦初期間隔としてテンプレート設定部2が設定する。
ステップST2では、現時刻の観測で得られた一回の走査分の受信信号からドップラ速度算出部1が算出したドップラ速度(ドップラ速度の空間分布)をテンプレートマッチング処理部3が読み込む。
ステップST3では、ステップST1で設定された渦初期間隔を仮定する渦間隔として用いて、その渦間隔に対応したテンプレートをテンプレート設定部2が設定する。
ステップST4では、ステップST3で設定されたテンプレートをテンプレートマッチング処理部3が用いて、ドップラ速度データにテンプレートマッチング処理を行う。処理の結果は、テンプレートマッチング結果保存部4に蓄積されてゆく。
【0050】
ステップST5では、仮定した渦間隔が予め設定された上限値に達しているかどうかをテンプレートマッチング処理部3が判定する。仮定した渦間隔が上限に達していなければ、処理はステップST6に進み、そうでなければ、ステップST7に進む。
ステップST6では、仮定する渦間隔を予め設定された刻み幅だけテンプレート設定部2が増加させた後に、処理はステップST3に戻る。その後、増加させた仮定渦間隔を用いてステップST3でテンプレートの設定を行い、再度ステップST4でテンプレートマッチング処理を行う。
ステップST7では、ステップST3、ステップST4、ステップST5、ステップST6が構成するループで得られた複数の仮定渦間隔に基づくテンプレートマッチング結果を渦間隔決定部5がドップラ速度分布と対比し、マッチング値が最大となる場合が正しい渦間隔を仮定したテンプレートマッチングであると判断し、その渦間隔を観測渦間隔とする。
ステップST8では、観測渦間隔に選択された渦間隔でのテンプレートマッチング処理の結果を、最終的に確定した乱気流検出結果として、テンプレートマッチング結果保存部4が選択し、この結果を信号処理部103から出力する。
【0051】
以上のように、この実施の形態1によれば、仮定する渦間隔を変化させながらテンプレートマッチングを繰返し、最もマッチング値が大きい場合のテンプレートマッチング処理の結果を乱気流検出結果として選択するようにしているので、発生から時間が経過することにより渦間隔が広がった航空機後方の乱気流も正しく検出することができるという効果が得られる。
【0052】
また、+1、−1、0の3つの値のみを持つ簡易なテンプレートを利用するようにしているため、テンプレート設定に要する計算時間を短縮することができる。
【0053】
典型的な乱気流のみを仮定して、乱気流を構成する二つの渦が水平方向に並んでいる場合に適合した図3に示したようなテンプレートを用いる場合は、仮定するテンプレートの数が少なくなり、少ない計算量で乱気流検出を行うことができる。
【0054】
図2および図3のテンプレートでは、部分テンプレートの小領域の形状は矩形であるが、本発明をこの開示に限定する意図ではなく、例えば扇形、その他の適当な形状でもよい。またテンプレートの小領域は水平線と垂直線で区画されているが、本発明をこの開示に限定する意図ではない。場合によっては、小領域を区画する線が傾斜したテンプレートでもよい。
また、左右の各部分テンプレートは、係数V2(α,β)が+1と−1の二つの小領域を有するが、本発明をこの開示に限定する意図ではない。各部分テンプレートにおいて、二つより多い小領域を設けてもよいし、そのうちの一つまたは複数に係数V2(α,β)として0を割り当ててもよい。
以上のようなバリエーションでは、適切な変更が式(2)に対してされる。
【0055】
また、係数V2(α,β)は±1でなくてもよく、±n(nは実数である)と0であればよい。式(2)から理解できるように、この場合は、類似度M(X,Y)は、係数V2(α,β)=±1の場合のそれのn倍になる。
【0056】
実施の形態2.
以上の実施の形態1では、乱気流を構成する二つの渦間隔の仮定において、仮定する渦間隔の初期値を一定値にしていた。つまり、一定の下限値(初期値)から上限値まで、マッチング処理を繰り返した。
しかし、通常二つの渦間隔は時間の経過とともに単調増加することが多い。従って、乱気流の発生からある時間が経過しているのが明らかであれば、マッチング処理に利用する初期値は別な値でもよい。そこで、実施の形態2では、仮定する渦間隔の初期値を乱気流発生後の時間経過とともに変更するようにした。
この実施の形態2の乱気流検出装置の全体構成は、図13に示した実施の形態1のものと概略的には同じである。ただし、実施の形態2の信号処理部103の内部構成は、実施の形態1のものと異なる。図5は実施の形態2の乱気流検出装置の信号処理部103の構成を示すブロック図である。この図において、6は渦間隔保存部である。その他の構成要素は、実施の形態1と共通であり、それらを詳細には説明しない。
この実施の形態2でも、図2に例示するような渦が水平方向にも垂直方向にも離れてゆくことを前提としたテンプレートを用いてもよいし、図3に例示するような渦が水平方向にのみ離れてゆくことを前提としたテンプレートを用いてもよい。
【0057】
次に動作について説明する。前述の実施の形態1と同様に、この実施の形態2でも、ドップラ速度算出部1、テンプレートマッチング処理部3、テンプレートマッチング結果保存部4、渦間隔決定部5によって、複数の仮定した渦間隔に基づくテンプレート処理の結果と、ドップラ速度分布とを対比して、最終的な乱気流検出結果を確定する。最終的な乱気流検出結果は、表示・記録部104に供給される。
【0058】
さらに、この実施の形態2においては、渦間隔決定部5は、観測渦間隔を決定すると、この観測渦間隔を渦間隔保存部6に供給する。渦間隔保存部6は、観測渦間隔を保存し、次の時刻に測定されるドップラ速度データに対する乱気流検出において、仮定する渦間隔の初期値を、保存した観測渦間隔に基づいて定める。
【0059】
以上の乱気流検出装置の動作のフローチャートを図6に示す。前述の実施の形態1のフローチャート(図4)は、一回の走査分の速度分布のみに対する乱気流検出処理を示すが、この実施の形態2のフローチャートである図6は、時間的に連続する複数回の走査で得られるデータ(ドップラ速度の空間分布)に対する乱気流検出処理を示す。
【0060】
図6のフローチャートのうち、ステップST1からステップST8までの処理の流れは、図4のフローチャートと同じものである。ただし、ステップST7で選択された観測渦間隔を渦間隔決定部5が渦間隔保存部6に保存する。
ステップST8で現時刻での乱気流検出結果を信号処理装置103から表示・記録部104に供給した後に、ステップST9において、乱気流が消滅したかどうかを判定する。例えば、ステップST1からステップST8までの処理で、全く乱気流が検出されないか、乱気流の強度が閾値より小さい場合は、乱気流が消滅したとみなせる。この場合は、処理を終了する。逆に乱気流が検出された場合または乱気流の強度が閾値以上である場合は、乱気流が消滅せずに残留していると判断できる。この場合、処理はステップST10に進む。
【0061】
ステップST10では、ステップST7で選択した観測渦間隔(渦間隔保存部6に保存されている)に基づいて、テンプレート設定部2が、次の走査時刻の乱気流検出における渦間隔初期値を設定する。処理はこの後、ステップST2に戻って、次の走査時刻のデータ(ドップラ速度の空間分布)をテンプレート設定部2が読み出し、この走査時刻の乱気流検出処理に進む。
【0062】
観測渦間隔に基づいて次の走査時刻の渦間隔初期値を設定する方法として、最も簡単なものは、前走査時刻の観測渦間隔を、そのまま次の走査時刻の渦間隔初期値とするものである。前述のように、渦間隔は通常時間の経過とともに単調に増加する。よって、単調増加の前提が正しい限りにおいて、前時刻の観測渦間隔を初期値として、仮定する渦間隔を増加させながら試行を繰り返すことにより、最適な渦間隔を探索するようにしても、実際の渦間隔が試行範囲から漏れることはない。
【0063】
ただし、受信信号の信号対雑音比(SN比)が低い場合など、観測渦間隔に誤差が生じている可能性がある場合には、前走査時刻の観測渦間隔よりも少し小さい値を初期値として、観測渦間隔の探索を行ってもよい。
【0064】
また、乱気流の発生から時間が経過すると、過去の複数の時刻における観測渦間隔が渦間隔保存部6に蓄積されてゆく。そこで、これらを利用してもよい、すなわち、図7のように、過去の複数の時刻における渦間隔の観測値Mに基づいて、渦間隔の時系列変化パターンLを求め、この時系列変化パターンLから次の走査時刻の渦間隔Aを予測してもよい。上述の通り、次の走査時刻の渦間隔初期値Iは、予測された渦間隔Aと同じでもよい。ただし、図7に示すように、渦間隔初期値Iは、予測された渦間隔Aから所定のマージンmを引いたものでもよい。
【0065】
この初期値設定方法(図4のステップST10の具体的動作)のフローチャートを図8に示す。まず、ステップST21では、過去に観測された渦間隔Mに基づいて、観測渦間隔の時系列変化パターン(関数)Lを算術的に求める。ステップST22では、変化パターンLの関数中の変数に次の観測時刻を代入することにより、次の時刻の渦間隔の予測値Aを求める。ステップST23では、予測値Aから予め設定したマージンmを差し引いた値を渦間隔の初期値Iとする。
【0066】
以上のように、この実施の形態2によれば、前の時刻に観測された渦間隔に基づいて、乱気流を構成する二つの渦の間隔を予測して、次の観測時刻の渦間隔の初期値を仮定することにより、実際の渦間隔を探索する範囲(初期値と上限値で定まる)を狭めることができる。従って、観測渦間隔の算出のためのテンプレートマッチング処理の試行の回数が少なくなり、少ない計算量で乱気流検出を行うことができる。
【0067】
この実施の形態2において、前の時刻に観測された渦間隔をそのまま次の時刻の渦間隔探索の初期値とすれば、初期値設定に要する計算量が少なくなる。
【0068】
過去の複数の時刻における渦間隔の観測値に基づいて、渦間隔の時系列変化パターンを算術的に求め、この時系列変化パターンから次の走査時刻の渦間隔を予測すれば、高い精度で初期値が算出されるため、テンプレートマッチング処理の回数がより少なくなり、少ない計算量で乱気流検出を行うことが可能となる。
【0069】
実施の形態3.
前述の実施の形態2では、過去に観測された渦間隔に基づいて、次の観測時刻における渦間隔探索用の初期値を設定することにより、テンプレートマッチング処理の回数を減らし、乱気流検出の計算量を少なくしていた。この実施の形態3では、別の方法によって渦間隔の初期値を算出することにより、テンプレートマッチングの回数を減らし、乱気流検出の計算量を少なくする。
【0070】
この実施の形態3の乱気流検出装置の全体構成は、図13に示した実施の形態1または実施の形態2のものと概略的には同じである。ただし、実施の形態3の信号処理部103の内部構成は、実施の形態1または実施の形態2のものと異なる。図9は実施の形態3の乱気流検出装置の信号処理部103の構成を示すブロック図である。この図において、7は乱気流シミュレーション部である。その他の構成要素は、実施の形態1と共通であり、それらを詳細には説明しない。
この実施の形態3でも、図2に例示するような渦が水平方向にも垂直方向にも離れてゆくことを前提としたテンプレートを用いてもよいし、図3に例示するような渦が水平方向にのみ離れてゆくことを前提としたテンプレートを用いてもよい。
【0071】
次に動作について説明する。前述の実施の形態1および実施の形態2と同様に、この実施の形態3でも、ドップラ速度算出部1、テンプレートマッチング処理部3、テンプレートマッチング結果保存部4、渦間隔決定部5によって、複数の仮定した渦間隔に基づくテンプレート処理の結果と、ドップラ速度分布とを対比して、最終的な乱気流検出結果を確定する。最終的な乱気流検出結果は、表示・記録部104に供給される。
【0072】
さらに、この実施の形態3においては、乱気流シミュレーション部7によって、乱気流の時間変化を予測し、その結果から渦間隔の初期値を設定する。
【0073】
乱気流シミュレーション部7では、観測時の気象状況を表す気象モデルと、航空機の諸元を表す航空機モデルとから、乱気流を構成する渦の強度と位置の時間変化を予測する。予測方法としては、例えば、A. Corjon and T. Poinsot, A model to define aircraft separations due to wake vortex encounter, AIAA Applied Aerodynamics Conference, vol. 13, no. 1, pp. 117−124, 1995. で述べられているような微分方程式を解く方法がある。この微分方程式は少ない計算量で、乱気流を構成する渦の強度と位置の時間変化を表現することのできるものとして知られている。2つ渦の位置の時間変化が求まれば、二つの渦の間隔の時間変化も求めることができる。
上記の乱気流の渦との強度と位置の時間変化を求めるための式を以下に掲げる。
【0074】
【数3】
Figure 0003628621
【0075】
【数4】
Figure 0003628621
【0076】
【数5】
Figure 0003628621
【0077】
【数6】
Figure 0003628621
【0078】
【数7】
Figure 0003628621
【0079】
【数8】
Figure 0003628621
【0080】
【数9】
Figure 0003628621
【0081】
【数10】
Figure 0003628621
【0082】
【数11】
Figure 0003628621
【0083】
【数12】
Figure 0003628621
式(10)から式(12)でi=1,2である。
【0084】
【数13】
Figure 0003628621
【0085】
【数14】
Figure 0003628621
【0086】
式(3)は、一次乱気流の減衰を表す循環Γ,i=1,2の時間変化(時間微分)dΓ/dtを表す。かっこ内の第1項は粘性による減衰項、第2項は浮力による減衰項、第3項は背景の乱流による減衰項である。
粘性による減衰項(式(3)の第1項)は、式(4)で算出される。式(4)でφはΓに加わる力の方向、すなわち鉛直下向方向と渦の進行方向のなす各である。またρは空気の密度、bは一次乱気流の二つの渦の初期間隔であり、航空機の翼幅に等しい。F|viscous は粘性力であり、式(5)で算出される。
式(5)でvは一次乱気流の降下速度、Cは粘性力の大きさを表す係数、Lは一次乱気流の存在する領域の幅であり、2.09bの値が用いられる。
【0087】
浮力による減衰項(式(3)の第2項)は、式(6)で算出される。F|buoyancyは浮力であり、式(7)で算出される。
式(7)で、Nはブラント−バイサラ周波数である。Δzは乱気流の初期位置と比較した垂直方向の位置、すなわち降下距離である。Aは渦の存在する領域の面積である。この値は式(8)で表される一定値と仮定してよい。
【0088】
乱気流による減衰項(式(3)の第3項)は、式(9)で算出される。式(9)でbは二つの渦の間隔、qは乱流の速度自乗平均の平方根である。
【0089】
式(10)から式(12)は、一次乱気流に含まれる二つの渦の運動を表す。ここで、一次乱気流に含まれる二つの渦ΓおよびΓの位置をそれぞれ(y,z)、(y,z)、二次乱気流に含まれる二つの渦Γ’およびΓ’の位置をそれぞれ(y’,,z’)、(y’, z’)、影像乱気流に含まれる二つの渦ΓおよびΓの位置をそれぞれ(y,z)、(y,z)と仮定している。
【0090】
式(10)および式(11)の第1項の和は、j=1,...4、かつj≠iについて行う。rijは二つの渦ΓとΓの間の距離であり、式(13)で表される。また、r’は二つの渦ΓとΓ’の間の距離であり、式(14)で表される。式(14)のθは一次乱気流の渦Γの中心と二次乱気流の渦Γ’の中心を結ぶ線分と、Γから地表面に下ろした垂線とがなす角度である。その符号については、図10に示す状況において、θ<0、θ>0となるように定義される。式(3)および式(10)から式(12)で表される微分方程式を逐次的に解くことにより、乱気流の強さと位置の時間的変化を求めることができる。一次乱気流の初期位置は航空機が通過した際の主翼の両端の点とする。
【0091】
密度ρ、一次乱気流の二つの渦の初期間隔(航空機の翼幅)bが判明していれば、以上の微分方程式を解くことが可能である。従って、観測時の気象状況を表す気象モデルと、航空機の諸元を表す航空機モデルとから、乱気流を構成する渦の強度と位置の時間変化を予測することができる。
【0092】
次に動作について説明する。
テンプレート設定部2では、乱気流シミュレータ部で算出された渦間隔の予測値から、仮定する渦間隔の初期値を設定する。乱気流の発生領域の周囲の気象条件を正確に知ることができる場合には、乱気流シミュレータ部7による予測の精度も高いと考えられる。この場合は、予測される渦間隔をそのまま仮定する渦間隔として、テンプレートを設定すれば良い。しかし実際には、全ての気象条件を正確に知ることは困難であるため、渦間隔の予測結果には誤差が生じる。そこで、予測される渦間隔の近傍範囲で、渦間隔を変化させたテンプレートマッチング処理を試行し、マッチング値が最も高い場合の渦間隔が正しい渦間隔、すなわち観測渦間隔であると確定する。そして、確定された観測渦間隔に基づくテンプレートマッチング結果を最終的な乱気流検出結果として供給する。
【0093】
この実施の形態3では、図11に示すフローチャートに従って観測が行われる。まず、乱気流シミュレーション部7にはステップST11で気象モデル情報が入力され、ステップST12で航空機モデル情報が入力される。気象モデル情報は現在の周囲の気象条件に関連するパラメータであり、航空機モデル情報は観測対象となる乱気流を引き起こした航空機のタイプに関連するパラメータである。これらのパラメータに基づいて、ステップST13で、乱気流シミュレーション部7は乱気流シミュレーションを実行し、渦間隔を予測する。
【0094】
テンプレート設定部2は、このようにして予測された渦間隔の値よりもわずかに小さい値をステップST1で渦初期間隔として設定する。以後の処理は、図4で示した実施の形態1の動作と同じである。
【0095】
以上のように、この実施の形態3によれば、周囲の気象条件を知ることができる場合に、精度の高い渦間隔初期値を得ることができるため、渦間隔探索のためのテンプレートマッチング処理の回数が少なくて済むため、乱気流検出に要する計算量が少なくなる。
【0096】
実施の形態4.
この実施の形態4では、複数の渦間隔を仮定したテンプレートマッチング処理の試行を並列に行うことにより、乱気流検出に要する計算時間を短縮する。
【0097】
この実施の形態4の乱気流検出装置の全体構成は、図13に示した実施の形態1から実施の形態3のものと概略的には同じである。ただし、実施の形態4の信号処理部103の内部構成は、実施の形態1から実施の形態3のものと異なる。図12は実施の形態4の乱気流検出装置の信号処理部103の構成を示すブロック図である。この図において、31から3Nは第1から第Nのテンプレートマッチング部(演算部、乱気流検出部)を示す。すなわち、実施の形態4においては、信号処理部103にN個(Nは自然数)のテンプレートマッチング処理部が設けられている。その他の構成要素は、実施の形態1と共通であり、それらを詳細には説明しない。
この実施の形態4でも、図2に例示するような渦が水平方向にも垂直方向にも離れてゆくことを前提としたテンプレートを用いてもよいし、図3に例示するような渦が水平方向にのみ離れてゆくことを前提としたテンプレートを用いてもよい。また、実施の形態2または3で用いられる渦間隔初期値の決定手法をこの実施の形態4に応用してもよい。
【0098】
テンプレート設定部2では、それぞれ異なる渦間隔を仮定したN個のテンプレートを設定する。これらN個のテンプレートは、それぞれ第1のテンプレートマッチング処理部31から第Nのテンプレートマッチング部3Nに入力される。第1のテンプレートマッチング部31から第Nのテンプレートマッチング部3Nは、異なる渦間隔を仮定したテンプレートマッチング処理を並列に実行する。N個のテンプレートマッチング処理の結果は、テンプレートマッチング結果保存部4に供給されて、テンプレートマッチング結果保存部4で保存される。
さらに、テンプレートマッチング結果保存部4に供給されたテンプレートマッチング結果は、渦間隔決定部5にも供給され、渦間隔決定部5が最もマッチング値が高くなる場合を観測渦間隔に決定する。テンプレートマッチング結果保存部4では、渦間隔決定部5で決定された観測渦間隔に基づくテンプレートマッチング処理結果を、最終的に確定した乱気流検出結果として、信号処理部103から出力する。
【0099】
この実施の形態4によれば、複数のテンプレートマッチング部を用いて、異なる渦間隔を仮定したテンプレートマッチング処理を同時に平行して行うため、乱気流検出に必要な計算時間を短縮することができる。
テンプレートマッチング処理部の数Nは、この信号処理部103全体でテンプレートマッチング処理を試行すべき回数と同じにしてもよい。換言すると、個々のテンプレートマッチング処理部で行う試行の回数は1回でよい。
ただし、個々のテンプレートマッチング処理部で行う試行の回数をT回(Tは自然数)としてもよい。この場合、全体の試行の回数は、T×Nになる。
【0100】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、乱気流を構成する二つの渦の間隔の仮定値を変更しながら、個々の仮定値に適合した個々の速度分布テンプレートを設定するテンプレート設定部と、上記ドップラ速度算出部で算出されたドップラ速度空間分布と、上記テンプレート設定部で設定された個々の速度分布テンプレートとの類似度を算出する演算部と、上記演算部で算出された個々の上記類似度に基づいて、上記渦の間隔を決定する渦間隔決定部と、上記渦間隔決定部で決定された渦の間隔に基づいて、乱気流の強度に関連した指標を求める乱気流検出部とを備えるように構成したので、観測する後方乱気流を構成する二つの渦の間隔に適応したテンプレートを用いて乱気流検出を行うことができるため、発生から時間の経過し、渦間隔が広がった航空機後方の乱気流も正しく検出することができるという効果がある。
【0101】
この発明によれば、乱気流を構成する二つの渦の間隔の仮定値を変更しながら、個々の仮定値に適合した個々の速度分布テンプレートを設定するテンプレート設定部と、上記テンプレート設定部で設定された個々の速度分布テンプレートがそれぞれ供給され、上記ドップラ速度算出部で算出されたドップラ速度空間分布と、供給された速度分布テンプレートとの類似度を算出する複数の演算部と、上記複数の演算部で算出された個々の上記類似度に基づいて、上記渦の間隔を決定する渦間隔決定部と、上記渦間隔決定部で決定された渦の間隔に基づいて、乱気流の強度に関連した指標を求める乱気流検出部とを備えるように構成したので、複数の演算部を用いて、異なる渦間隔を仮定したテンプレートマッチング処理を同時に行うことができるため、発生から時間の経過し、渦間隔が広がった航空機後方の乱気流も正しく検出することができるだけでなく、乱気流検出に必要な計算時間を短縮することができる。
【0102】
この発明によれば、上記テンプレート設定部は、二つの渦が同じ高度に水平方向に並んで存在するという典型的な乱気流の渦の態様の仮定の下に、テンプレートを設定するように構成したので、設定するテンプレートの数が少なくなり、少ない計算量で乱気流検出を行うことができるという効果がある。
【0103】
この発明によれば、上記テンプレート設定部が、実際の乱気流を構成する渦流の方向に関連した、+n、−n、0の3つの値(nは自然数である)を持つテンプレートを設定するように構成したので、テンプレートが簡易になり、テンプレート設定に要する計算時間を短縮することができるという効果がある。
【0104】
この発明によれば、テンプレート設定部が渦間隔保存部に保存された過去の観測渦間隔に基づいて、次の時刻の乱気流検出の試行における渦の間隔を仮定するように構成したので、正しい渦間隔を探索する試行回数を減らすことができ、少ない計算量で乱気流検出を行うことができるという効果がある。
【0105】
この発明によれば、気象状況を表す気象モデル情報と、航空機の諸元を表す航空機モデル情報に基づいて、乱気流を構成する二つの渦の間隔の時間的変化を予測する乱気流シミュレーション部を備え、テンプレート設定部は上記乱気流シミュレーション部が予測した現在の渦の間隔に基づいて、次の時刻の乱気流検出の試行における渦の間隔を仮定するように構成したので、周囲の気象条件を知ることができる場合に、渦間隔に関する精度の高い試行初期値を得ることができるため、渦間隔探索のためのテンプレートマッチング処理の試行回数が少なくて済み、乱気流検出に要する計算量が少なくなるという効果がある。
【0106】
この発明によれば、(a)空間に電磁波を放射するステップと、(b)大気で反射された電磁波を受信するステップと、(c)一回の走査における上記受信した電磁波に関連する受信信号に基づいて、観測領域内のドップラ速度空間分布を算出するステップと、(d)乱気流を構成する二つの渦の間隔の仮定値を設定するステップと、(e)乱気流の速度分布を模式化した速度テンプレートであるところの上記仮定値に適合した速度分布テンプレートを設定するステップと、(f)上記ドップラ速度空間分布と上記速度分布テンプレートとの類似度を算出するステップと、(g)上記渦の間隔の仮定値を変更して、ステップ(e)および(f)を繰り返すステップと、(h)個々の上記類似度に基づいて、上記渦の間隔を決定するステップと、(i)上記決定された渦の間隔に基づいて、乱気流の強度に関連した指標を求めるステップとを備えた乱気流検出方法のように構成したので、仮定する渦間隔を変化させながらテンプレートマッチングを繰返し、最もマッチング値が大きい場合のテンプレートマッチング処理の結果を乱気流検出結果に採用することができるため、発生から時間の経過し、渦間隔が広がった航空機後方の乱気流も正しく検出することができるという効果がある。
【0107】
この発明によれば、ステップ(d)では、以前の乱気流検出で決定された渦間隔に基づいて、二つの渦の間隔の仮定値を設定するので、正しい渦間隔を探索する試行回数を減らすことができ、少ない計算量で乱気流検出を行うことができるという効果がある。
【0108】
この発明によれば、ステップ(d)では、以前の乱気流検出で決定された渦間隔をそのまま二つの渦の間隔の仮定値とするので、渦間隔の設定に要する計算量が少なくなるという効果がある。
【0109】
この発明によれば、ステップ(d)は、以前の乱気流検出で決定された複数の渦間隔に基づいて渦間隔の変化パターンを求めるステップと、上記変化パターンと走査時刻に基づいて渦間隔を予測するステップと、上記予測された渦間隔からある値を差し引いて仮定値を求めるステップとを有するので、高い精度で仮定値を求めることができ、正しい渦間隔を探索する試行回数を減らすことができ、少ない計算量で乱気流検出を行うことができるという効果がある。
【0110】
この発明によれば、ステップ(d)は、周囲の気象条件に関連する気象モデル情報と、航空機のタイプに関連する航空機モデル情報に基づいて、乱気流シミュレーションを実行することにより渦間隔の変化パターンを予測するステップと、上記変化パターンと走査時刻に基づいて渦間隔を予測するステップと、上記予測された渦間隔に基づいて仮定値を求めるステップとを有するので、周囲の気象条件を知ることができる場合に、渦間隔に関する精度の高い試行初期値を得ることができるため、渦間隔探索のためのテンプレートマッチング処理の試行回数が少なくて済み、乱気流検出に要する計算量が少なくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による乱気流検出装置の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による乱気流検出装置で用いられるテンプレートの例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による乱気流検出装置で用いられるテンプレートの別の例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1による乱気流検出方法を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2による乱気流検出装置の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態2による乱気流検出方法を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2によるおいて、仮定する渦間隔の初期値を定める原理の説明に参照されるグラフである。
【図8】この発明の実施の形態2において、仮定する渦間隔の初期値を定める方法のフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態3による乱気流検出装置の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態3による乱気流検出方法の原理の説明に参照される乱気流の様相を示す模式図である。
【図11】この発明の実施の形態3による乱気流検出方法を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態4による乱気流検出装置の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図13】従来およびこの発明の実施の形態の乱気流検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図14】乱気流検出装置で航空機後方の乱気流を検出する原理を示す図である。
【図15】従来の乱気流検出装置の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図16】従来の乱気流検出装置で用いられるテンプレートを示す図である。
【図17】航空機後方の乱気流の典型的な移動軌跡を示す図である。
【符号の説明】
1 ドップラ速度算出部、2 テンプレート設定部、3 テンプレートマッチング処理部(演算部、乱気流検出部)、31−3N テンプレートマッチング処理部(演算部、乱気流検出部)、4 テンプレートマッチング結果保存部、5 渦間隔決定部、6 渦間隔保存部、7 乱気流シミュレーション部、100 乱気流検出装置、101 電磁波放射部(電磁波入射部)、102 送受信部(受信部)、103 信号処理部、104 表示・記録部。

Claims (11)

  1. 電磁波を発生する送信部と、
    空間に電磁波を放射する電磁波放射部と、
    大気で反射された電磁波を受信する電磁波入射部と、
    上記電磁波放射部で受信した電磁波を処理して受信信号を生成する受信部と、
    上記受信部で生成された受信信号に基づいて、観測領域内のドップラ速度空間分布を算出するドップラ速度算出部と、
    乱気流の速度分布を模式化した速度分布テンプレートを設定可能であり、乱気流を構成する二つの渦の間隔の仮定値を変更しながら、個々の仮定値に適合した個々の速度分布テンプレートを設定するテンプレート設定部と、
    上記ドップラ速度算出部で算出されたドップラ速度空間分布と、上記テンプレート設定部で設定された個々の速度分布テンプレートとの類似度を算出する演算部と、
    上記演算部で算出された個々の上記類似度に基づいて、上記渦の間隔を決定する渦間隔決定部と、
    上記渦間隔決定部で決定された渦の間隔に基づいて、乱気流の強度に関連した指標を求める乱気流検出部とを備えた乱気流検出装置。
  2. 電磁波を発生する送信部と、
    空間に電磁波を放射する電磁波放射部と、
    大気で反射された電磁波を受信する電磁波入射部と、
    上記電磁波放射部で受信した電磁波を処理して受信信号を生成する受信部と、
    上記受信部で生成された受信信号に基づいて、観測領域内のドップラ速度空間分布を算出するドップラ速度算出部と、
    乱気流の速度分布を模式化した速度分布テンプレートを設定可能であり、乱気流を構成する二つの渦の間隔の仮定値を変更しながら、個々の仮定値に適合した個々の速度分布テンプレートを設定するテンプレート設定部と、
    上記テンプレート設定部で設定された個々の速度分布テンプレートがそれぞれ供給され、上記ドップラ速度算出部で算出されたドップラ速度空間分布と、供給された速度分布テンプレートとの類似度を算出する複数の演算部と、
    上記複数の演算部で算出された個々の上記類似度に基づいて、上記渦の間隔を決定する渦間隔決定部と、
    上記渦間隔決定部で決定された渦の間隔に基づいて、乱気流の強度に関連した指標を求める乱気流検出部とを備えた乱気流検出装置。
  3. 上記テンプレート設定部は、二つの渦が同じ高度に水平方向に並んで存在するという仮定の下に、テンプレートを設定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の乱気流検出装置。
  4. 上記テンプレート設定部が、実際の乱気流を構成する渦流の方向に関連した、+n、−n、0の3つの値(nは実数である)を持つテンプレートを設定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の乱気流検出装置。
  5. 渦間隔決定部で推定された観測渦間隔を保存する渦間隔保存部を備え、テンプレート設定部は渦間隔保存部に保存された過去の観測渦間隔に基づいて、次の時刻の乱気流検出の試行における渦の間隔を仮定することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の乱気流検出装置。
  6. 気象状況を表す気象モデル情報と、航空機の諸元を表す航空機モデル情報に基づいて、乱気流を構成する二つの渦の間隔の時間的変化を予測する乱気流シミュレーション部を備え、テンプレート設定部は上記乱気流シミュレーション部が予測した現在の渦の間隔に基づいて、次の時刻の乱気流検出の試行における渦の間隔を仮定することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の乱気流検出装置。
  7. (a)空間に電磁波を放射するステップと、
    (b)大気で反射された電磁波を受信するステップと、
    (c)一回の走査における上記受信した電磁波に関連する受信信号に基づいて、観測領域内のドップラ速度空間分布を算出するステップと、
    (d)乱気流を構成する二つの渦の間隔の仮定値を設定するステップと、
    (e)乱気流の速度分布を模式化した速度テンプレートであるところの上記仮定値に適合した速度分布テンプレートを設定するステップと、
    (f)上記ドップラ速度空間分布と上記速度分布テンプレートとの類似度を算出するステップと、
    (g)上記渦の間隔の仮定値を変更して、ステップ(e)および(f)を繰り返すステップと、
    (h)個々の上記類似度に基づいて、上記渦の間隔を決定するステップと、
    (i)上記決定された渦の間隔に基づいて、乱気流の強度に関連した指標を求めるステップとを備えた乱気流検出方法。
  8. ステップ(d)では、以前の乱気流検出で決定された渦間隔に基づいて、二つの渦の間隔の仮定値を設定することを特徴とする請求項7記載の乱気流検出方法。
  9. ステップ(d)では、以前の乱気流検出で決定された渦間隔をそのまま二つの渦の間隔の仮定値とすることを特徴とする請求項8記載の乱気流検出方法。
  10. ステップ(d)は、
    以前の乱気流検出で決定された複数の渦間隔に基づいて渦間隔の変化パターンを求めるステップと、
    上記変化パターンと走査時刻に基づいて渦間隔を予測するステップと、
    上記予測された渦間隔からある値を差し引いて仮定値を求めるステップとを有することを特徴とする請求項8記載の乱気流検出方法
  11. ステップ(d)は、
    周囲の気象条件に関連する気象モデル情報と、航空機のタイプに関連する航空機モデル情報に基づいて、乱気流シミュレーションを実行することにより渦間隔の変化パターンを予測するステップと、上記変化パターンと走査時刻に基づいて渦間隔を予測するステップと、
    上記予測された渦間隔に基づいて仮定値を求めるステップとを有することを特徴とする請求項7記載の乱気流検出方法。
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