JP2017067680A - 遠隔気流計測装置、遠隔気流計測方法及びプログラム - Google Patents

遠隔気流計測装置、遠隔気流計測方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】2次元気流ベクトルの推定精度を向上させ、しかも気流推定範囲をより広範囲とすること。【解決手段】気体計測装置1は、大気中の第1及び第2の方向に向けて光を放射し、これらの反射光を受信し、各放射した光と反射光との間の周波数のドップラーシフト量に基づき第1及び第2の方向の光軸方向の風速を計測する計測部10と、計測部10で計測された風速値を記憶する記憶部20と、計測部10で計測した第1及び第2の方向の光軸方向の現在の風速値及び記憶部20で記憶された過去の風速値に基づき、これらの風速値の計測点を含んだ線上の風速を推定する多項式を定め、この多項式を用いて線上の2点の風速を外挿し、外挿した風速に基づき線上の2次元気流ベクトルを推定する処理部30とを具備する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば航空機が遭遇する乱気流の検知に用いられる遠隔気流計測装置、遠隔気流計測方法及びプログラムに関する。
航空機事故の主要因として近年乱気流が注目されており、航空機に搭載して乱気流を事前に検知する装置として、レーザ光を利用したドップラーライダーに関する技術が研究開発されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
ドップラーライダーを航空機の乱気流事故防止用として使用するには、飛行方向前方の乱気流情報をパイロットに伝達し、パイロットが回避飛行やシートベルトサイン点灯などにより対処する方法の他、気流情報を搭載コンピューターに伝達して、自動的に舵面を制御することにより乱気流突入時の機体の動揺を低減する方法等がある(例えば、非特許文献2を参照。)。
上記の舵面を制御するためには、鉛直気流ベクトルを求める必要がある。本発明者らは、特許文献1において2組のドップラーライダーによる観測値を幾何学的に変換して鉛直気流ベクトルを求める技術を提唱した。
特開2011−117889号公報
H.Inokuchi,H.Tanaka,and T.Ando, "Development of an Onboard Doppler LIDAR for Flight Safety," Journal of Aircraft,Vo1.46, No.4, PP.1411-1415, AIAA, July-August, 2009. 佐藤昌之・横山信宏・佐藤 淳、乱気流の事前情報を用いたロバストモデル予測制御による Gust Alleviation 制御、日本航空宇宙学会論文集、Vo1.57、No.9、2009年
例えば、上記のように舵面自動制御用として気流情報を用いる場合、誤信号や観測誤差による舵面の不適切な制御は、航空機の運航安全上許容できない。にもかかわらず、上記の観測値を幾何学的に変換して鉛直気流ベクトルを求める技術では、充分な計測信頼性が得られない可能性がある。すなわち、この技術では、観測点と航空機の通過点とが異なることや時々刻々と変化する大気の状態、乱気流の寸法・形状などに起因して気流ベクトルの推定精度が劣化する可能性がある。また、上記の観測値を幾何学的に変換して鉛直気流ベクトルを求める技術では、航空機の機軸の位置の鉛直気流ベクトルを推定できるだけであり、より広範囲での気流推定はできなかった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、二次元気流ベクトルの推定精度を向上させ、しかも気流推定範囲をより広範囲とすることができる遠隔気流計測装置、遠隔気流計測方法及びプログラムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置は、大気中の複数の方向、例えば第1及び第2の方向に向けて光を放射し、これらの反射光を受信し、各前記放射した光と反射光との間の周波数のドップラーシフト量に基づき前記第1及び第2の方向の光軸方向の風速を計測する計測部と、前記計測部で計測された風速値を記憶する記憶部と、前記計測部で計測した前記第1及び第2の方向の光軸方向の現在の風速値及び前記記憶部で記憶された過去の風速値に基づき、これらの風速値の計測点を含んだ線上の風速を推定する多項式を定め、この多項式を用いて前記線上の複数点、例えば2点の風速を外挿し、外挿した風速に基づき前記線上の2次元気流ベクトルを推定する処理部とを具備する。
これにより、二次元気流ベクトルの推定精度を向上させ、しかも気流推定範囲をより広範囲とすることができることができる。
本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置は、当該遠隔気流計測装置は、航空機に搭載されるものであり、前記計測部は、前記航空機の前方の機軸方向より上方向である第1の方向及び機軸方向より下方向である第2の方向に向けてレーザ光を放射するものである。
また、前記計測部は、前記第1の方向及び第2の方向のレンジビンごとに、前記光軸方向の風速を計測するものであり、前記処理部は、前記レンジビンごとに、前記線上の2次元気流ベクトルを推定するものであってもよい。
典型的には、本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置は、航空機に搭載されるドップラーライダー方式の光学式遠隔気流計測装置に適用されるもので、例えばレーザ光を放射して、大気中のエアロゾル(塵、微粒子)からの反射光を受信し、その移動速度を風速として計測するものである。ただし、本発明は、航空機搭載用だけではなく、地上装置にも適用できる。また、ドップラーライダー方式だけでなく、ドップラーレーダ方式にも適用できる。
ここで、航空機を例にとると、本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、レーザ光の光軸を前方上下二方向に向け、各光軸方向の例えば各レンジビンの風速を二次元気流ベクトルに変換する際に、単純な幾何学的変換だけではなく、過去に計測された風速も使用することで、航空機前方の2次元気流ベクトルの推定精度を向上させ、しかも航空機の機軸の位置の気流推定だけでなく、航空機前方鉛直の二次元気流ベクトル分布を推定することが可能であり、気流推定範囲をより広範囲とすることができる。
すなわち、単純な幾何学的変換のみによる気流推定においては、前方上下二方向のレーザ光が気流を推定する点に照射されている場合にのみ厳密な二次元気流ベクトルを与えるが、航空機前方ではレーザ光軸間の距離が広がるため、幾何学的な変換の仮定が崩れ、正しく気流推定を実施することが困難となる。
本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、時々刻々得られる計測値を保存し、過去の計測値と現在の計測値を共に利用する。すなわち、計測した各光軸の軸方向の現在の風速値及び記憶された過去の風速値に基づきこれらの値の測定点を含んだ鉛直線上(鉛直断面)の風速を推定する多項式を定め、この多項式を用いて線上の2点の風速を外挿し、外挿した風速に基づき鉛直線上の各位置の2次元気流ベクトルを推定する。例えば、多項式にレーザ光方向風速成分を外挿し、外挿したレーザ光方向風速成分を用いて幾何学的な変換を行う。また、二方向からの外挿処理を施す際、それぞれの外挿距離を変化させることでレーザ光軸間(鉛直断面)の二次元気流ベクトル分布を推定することができる。
なお、流れ場を推定すべき領域は、舵面の自動制御に必要な1〜2秒で当該航空機が到達する領域である。この時間内に大気固定座標系において流れ場が大きく変化することは想定されない。
本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、前記航空機の姿勢が変化した場合であっても、前記航空機前方の二次元気流ベクトルを推定するものである。
航空機の姿勢が変化した場合、機体軸及び各レーザ光軸の向きと進行方向が異なる。単純な幾何学的変換のみによる気流推定では、機軸上の気流ベクトルのみしか得ることができないため、航空機の姿勢が変化した場合は航空機に影響を及ぼす二次元気流ベクトルを正確に推定することができない。これに対して、本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、レーザ光軸間の二次元気流ベクトルの鉛直分布を取得することができるため、姿勢変化がレーザ光軸間の角度以内であれば、航空機に影響を及ぼす二次元気流ベクトルを鉛直分布から推定することが可能となる。
本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、前記処理部は、前記風速を推定する多項式を定める際に、誤差が含まれている前記現在及び過去の計測値に対して誤差の大きさに応じた重みを付けるものである。
本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、計測値に予期しない誤差が含まれる場合において適切な二次元気流ベクトル推定を行うために、誤差が含まれている前記現在及び過去の計測値に対して誤差の大きさに応じた重みを付け、例えば計測値の外挿に最小二乗法及びロバスト最小二乗法を使用することで、外挿処理の頑健性を向上させ、計測値に含まれる予期しない誤差を取り除き、計測の信頼性を向上させることができる。
本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、前記処理部は、前記風速を推定する多項式を定める際に、前記誤差を除去するための繰り返し計算を行うものであり、前記誤差が収束するまでの前記繰り返し計算の回数を、前記推定された気流ベクトルの信頼性指標として出力するものであってもよい。
また、本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、前記処理部は、前記風速を推定する多項式を定める際に、前記誤差を除去するための繰り返し計算を行うものであり、前記繰り返し計算の後の誤差の残差を、前記推定された気流ベクトルの信頼性指標として出力するものであってもよい。
更に、本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、前記計測部で受信した反射光の信号対雑音比又はこれに由来した値を、前記推定された気流ベクトルの信頼性指標として出力するものであってもよい。
推定された二次元気流ベクトルをコンピューター(例えばオートパイロット)で利用する際には、信頼性の情報が重要であり、なお且つ数値化する必要があるため、本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、受信光の信号対雑音比や誤差を除去するための繰り返し計算での計算回数や誤差残差を信頼性の指標として出力するものである。
本発明の一形態に係る遠隔気流計測装置では、前記計測部は、大気中の第1及び第2の方向に向けて光を放射し、これらの反射光を受信するための光学望遠鏡を各前記光軸ごとに有し、二つの光学望遠鏡は、口径が異なり、前記計測部は、これら口径の異なる光学望遠鏡を介して光を受信する期間又は放射される光の出力を、それぞれ光学望遠鏡の口径の2乗に反比例させた比率とすることが好ましい。
本発明の一形態に係る遠隔気流計測方法は、大気中の第1及び第2の方向に向けて光を放射し、これらの反射光を受信し、各方向に放射した光と反射光との間の周波数のドップラーシフト量に基づき各方向の光軸方向の風速を計測し、前記計測された風速値を記憶し、前記計測した各方向の光軸方向の現在の風速値及び前記記憶された過去の風速値に基づき、これらの風速値の計測点を含んだ線上の風速を推定する多項式を定め、この多項式を用いて前記線上の2点の風速を外挿し、外挿した風速に基づき前記線上の2次元気流ベクトルを推定するものである。
本発明の一形態に係るプログラムは、大気中の第1及び第2の方向に向けて光を放射し、これらの反射光を受信し、各前記放射した光と反射光との間の周波数のドップラーシフト量に基づき各方向の光軸方向の風速を計測する計測部からの信号又はこれを模した信号を処理するコンピューターに、前記計測された風速値を記憶部に記憶させるステップと、前記計測した各方向の光軸方向の現在の風速値及び前記記憶された過去の風速値に基づき、これらの風速値の計測点を含んだ線上の風速を推定する多項式を定めるステップと、この多項式を用いて前記線上の2点の風速を外挿するステップと、外挿した風速に基づき前記線上の2次元気流ベクトルを推定するステップとを実行させるものである。本発明に係るプログラムは、シミュレーションシステムにも適用可能である。
本発明の一形態に係る遠隔気流計測方法及びプラグラムによれば、二次元気流ベクトルの推定精度を向上させ、しかも気流推定範囲をより広範囲とすることができることができる。
本発明によれば、2次元気流ベクトルの推定精度を向上させ、しかも気流推定範囲をより広範囲とすることができる。
本発明の一実施形態に係る航空機に搭載されるドップラーライダー方式の光学式遠隔気流計測装置の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る前方上下二方向のライダー計測の説明図である。 図1に示した信号処理部の動作を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るスペクトルデータに基づくエラー値判定後、エラー計測値を取り除きスプライン補間を適用する際の説明図である。 本発明の一実施形態に係る過去の計測値を二つ用いる場合について、外挿処理の適用方法を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る外挿する位置を変化させることで航空機前方レーザ光軸間の二次元気流ベクトルの分布を取得する場合を示した説明図である。 本発明の他の実施形態に係る光学式遠隔気流計測装置の構成を示すブロックである。 図7に示した光学式遠隔気流計測装置におけるレーザ光の切り替え概念を時系列で示す説明図である。 本発明の別の実施形態に係る使用できる計測値の数に制限がある場合を示した説明図である。 本発明のさらに別の実施形態に係るDetectabilityと誤信号率との相関を示す説明図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[遠隔気流計測装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る航空機に搭載されるドップラーライダー方式の光学式の遠隔気流計測装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この遠隔気流計測装置1は、計測部10と、記憶部20と、信号処理部30とを備える。
<計測部>
計測部10は、大気中に2方向の光軸に向けてレーザ光をパルス状に放射し、これらの反射光を受信し、各放射したレーザ光と反射光との間の周波数のドップラーシフト量に基づき各光軸の軸方向の風速を計測するものであり、機軸より上部へレーザ光を放射等する第1の計測系110と、機軸より下部へレーザ光を放射等する第2の計測系120とを有する。ここでは、機軸に対する上下各レーザ光の光軸のなす角度はそれぞれθに設定されている。
第1の計測系110は、基準光源111と、光送受信機112と、光学望遠鏡113とを有する。同様に、第2の計測系120は、基準光源121と、光送受信機122と、光学望遠鏡123とを有する。
各基準光源111、121は、それぞれ単一波長、例えば1.5μmのレーザ光を発振する。各光送受信機112、122は、それぞれ基準光源111、121で発振されたレーザ光(信号光)を増幅するとともに、それぞれその散乱光を受信してドップラー効果による周波数変化量(波長変化量)を測定することによって風速を計測するものである。つまり、各光学望遠鏡113、123を介して受信した受信光(散乱光)を基準光源111、121からの参照光との比較によりドップラー効果による周波数変化量を測定し、これにより風速を計測するものである。一般にこれはドップラーライダーと呼ばれており、ライダー(LIDAR)とは、光を利用した遠隔観測手法で「Light Detection And Ranging」を略したものである。
各光学望遠鏡113、123は、それぞれ各光送受信機112、122で増幅されたレーザ光(送信光)を大気中に向けて放射する。放射された光線は、大気中に浮遊する微小なエアロゾル粒子によって散乱される。
具体的には、例えば図2に示すように、航空機200に搭載された遠隔気流計測装置1の計測部10(図2では図示せず)は、機軸Xに対して上下に角度θなした各方向(光軸L、L)に対してレーザ光を放射し、その散乱光を、レーザ光方向距離に対するスペクトルデータとして受信する。計測レンジは例えば500m以内である。
<信号処理部・記憶部>
図3は信号処理部30の動作を示すフローチャートである。
信号処理部30は、計測部10よりスペクトルデータを取得し(ステップ301)、例えば500m以内の計測レンジから標本化間隔に対応した距離幅(例えば25m)であるレンジビンごとに、例えば20個の計測値を得る(ステップ302)。つまり、この遠隔気流計測装置1は、各方向(光軸L、L)に対する1パルスのレーザ光の放射で、各光軸L、Lのレンジビンごとの20か所の位置での風速を計測する。この計測値をライダー計測値と呼ぶ。なお、このライダー計測値には、エラー計測値が含まれる可能性がある。
次に、このエラー測定値を取り除き、レーザ光方向にスプライン補間する(ステップ303)。これは、例えば計測によって得られたスペクトルデータを参照して、明確なスペクトルピークが検出できないレンジビンを特定することにより、エラー計測値を取り除く。このようなエラー計測値を取り除く技術は、例えば特開2010−230613号公報に開示されており、かかる開示は本明細書の開示の範囲である。
図4は、レーザ光方向距離とライダー計測値との関係の一例を示している。同図において、▲がエラー計測値として取り除かれるデータである。このようにスペクトルデータから判定することのできるエラー計測値を除いた後、各レンジビンで得られたライダー計測値をレーザ光方向にスプライン補間、例えば3次スプライン補間をする。図4において、実線がエラー計測値を取り除いた後にスプライン補間を適用してデータである。
このように信号処理部30で得られたデータは、過去の計測値として記憶部20に記憶もされる。なお、記憶部20でスペクトルデータを記憶しておき、必要な場合に図3に示した処理を実行して過去の計測値として用いても構わない。
次に、信号処理部30は、過去の計測値を用いた外挿処理を実施する。ここでは、過去の計測値を二つ用いる場合について、外挿処理の適用方法を図5に示す。過去の計測値はそれ以上でもそれ以下でも構わない。
飛行速度をV及び計測時間間隔をdtとすると、航空機200は前進しているため計測ごとに気流はV×dtだけ航空機に接近することになる。ここで、現在の時刻をTとし、過去の計測時刻をT−1及びT−2とした。
航空機200の機軸X上のある位置Xにおける二次元気流ベクトルの推定では、その位置Xにおける現在の計測値W とW 、時刻T−1における計測値W T−1とW T−1及び時刻T−2における計測値W T−2とW T−2を用いる。それぞれの機軸X(X)からライダー計測位置までの垂直距離をz、zT−1、zT−2とする。
ここで、外挿処理で用いる任意の多項式をf(z)として定義する。この多項式f(z)において、zは機軸Xからある計測値までの機軸Xに垂直な距離である。多項式f(z)は、例えば以下のように一次関数として設定することができる。
(z)=az+b
ただし、a,b:一次関数の係数 (j=1:上向きライダー,j=2:下向きライダー)
信号処理部30では、過去の計測値と現在の計測値を用いて、このような多項式f(z)の未知係数(a,b)を決定する。
・最小二乗法(ステップ304)
スペクトルデータに基づくエラー値判定により除くことのできなかった観測誤差や欠測がある場合、適切な気流推定は困難である。これらの誤差に対応するために、外挿処理を適用する際に最小二乗法を用いる。
最小二乗法では、計測値W と任意の多項式f(z)との差の二乗の総和を最小にする多項式f(z)を求める。
差の二乗の総和を以下のとおり定義した。
ただし、
:機軸Xから計測値W までの機軸Xに垂直な距離
(z)):zにおける任意の多項式による外挿されたライダー計測値(j=1:上向きライダー,j=2:下向きライダー)

この際、ライダー計測値はN個使用できるとした。最小二乗法による推定を各レンジビンに実施する。
ここで、ライダー計測値をN個使用した場合の最小二乗法による一次関数の係数の推定値は、以下のとおりとなる。
・ロバスト最小二乗法(ステップ305、306)
上記の最小二乗法だけでなく、誤差の影響を受けにくく、安定した推定が可能なロバスト最小二乗法を適用する。
ロバスト最小二乗法として、誤差の大きさに応じて重みを付けるTurkey´s Biweight Estimationを使用した最小二乗法を適用する。これにより、観測誤差や欠測の影響を小さくすることができ、信頼性の高い二次元気流ベクトル推定を実施することが可能となる。なお、このTurkey´s Biweight Estimationを使用した最小二乗法については、例えば「最小二乗法による実験データ解析」(東京大学出版、1982.中川徹著・小柳義夫著)に詳しく記載されている。
ここで、最小二乗法によって得られた多項式f(z)による推定と実際のライダー計測値との差d を以下のとおりとする。
=W ―f(z
このd の大きさによって、最小二乗法に対する重みw (d )を定義する。
この重みw (d )を使用して、最小二乗法を適用し、多項式f(z)を更新する。同様の処理を残差が収束するまで繰り返す(図3のステップ306)。これにより、計測データの信頼性を高めることができる。
ここで、誤差が収束するまでの上記のステップ306の繰り返し計算の回数を、推定された二次元気流ベクトルの信頼性指標として出力する。出力された信頼性指標は、例えばオートパイロットに用いることができる。すなわち、オートパイロットでは、二次元気流ベクトルに応じて機体の動揺を低減する制御計算を行い、舵面を最適に動作させるが、信頼性指標に応じて計測の信頼性が低い場合は制御ゲインを低下させ、或いは舵面制御自体を停止する構成としてもよい。
また、ステップ306の繰り返しの回数に制限を設けないと、残差が収束するのに時間がかかった場合、実時間計測が実現できなくなる。したがって、必要な計測周期と計算機の能力から実時間計測が可能な最大繰り返し回数を求め、残差が十分収束しない場合でも、計測データを出力する構成としてもよい。そして、このように繰り返し計算の回数に制限がある場合には、収束が不十分であることがあるため、最終的な残差を信頼性の指標とすればよい。
ここで、任意の多項式f(z)を一次関数とした場合のロバスト最小二乗法の一種であるTurkey´s Biweight Estimationを用いた最小二乗法について説明する。
上述したように、Turkey´s Biweight Estimationとは、最小二乗法に用いるデータ群に対して誤差の大きさに応じた重みを付けることで、エラー計測値が含まれる場合においても、適切な推定を可能とする手法である。
上述した最小二乗法によって推定された以下の一次関数の推定値
と、実際の計測値の差は、
となる。
ここで、誤差の許容範囲Lを定義し、d の大きさによって重みw (d )の場合分けを実施する。場合分けの詳細については以下のとおりとなる。
重みw (d )を用いて、上記の
の最小二乗法を更新した係数の推定値は以下のとおりとなる。
これによって得られた係数a´及びb´を使用して外挿を実施して、同様の処理を残差が収束するまで繰り返す。
最後に、これらの処理によって得られた係数a´及びbを用いて外挿処理をした計測値を用いて、二次元気流ベクトルを推定する。
・二次元気流ベクトルの推定(ステップ307)
上記のとおり、過去の計測値と現在の計測値を用いて任意の多項式f(z)の未知係数を決定し、次に外挿処理を適用する。すなわち、外挿された計測値を用いて二次元気流ベクトルを以下の式より推定する。
:時刻Tにおける風速の飛行方向に平行な方向成分
:時刻Tにおける風速の飛行方向に垂直な方向成分
:時刻Tにおける上向きライダーの計測値
:時刻Tにおける下向きライダーの計測値
θ:機軸方向と上向きライダー及び向きライダーがなす角
ここで、計測値W 及びW は、上記のように係数が得られた多項式f(z)にそれぞれ所定のzの値を代入することで推定する。
なお、二次元気流ベクトルを利用するにあたり、α及びWで表現した方が利用しやすい場合には、上記の式を変形した以下の式を用いることもできる。
α=tan―1{(W −W )/(W +W )tanθ
W=√{(W +(W ―2W cos2θ}/sin2θ
ただし、
W:気流ベクトルの大きさ
α:気流ベクトルと機体軸とのなす角
・二次元気流ベクトルの分布の取得
推定システムでは外挿する位置を変化させることで航空機前方レーザ光軸間の鉛直方向(鉛直断面)の二次元気流ベクトルの分布を取得することが可能である。
前方上下二方向から外挿処理を施す場合、上下からの外挿距離を変化させる場合についての外挿処理の適用方法を図5のDに示す。
図5のDでは、上向きからのライダー計測値について機軸を越えて下側の位置まで順次外挿し、下向きからのライダー計測値の外挿位置を機軸の手前まで順次外挿することで、機軸以外の位置においての二次元気流ベクトルを取得することが可能である。この処理をレーザ光軸間の全ての位置で行うことで、航空機前方レーザ光軸間の二次元気流ベクトルの分布を取得することができ、気流推定範囲をより広範囲とすることができる。
例えば、図6に示すように、ライダーによる計測はレーザ光方向に500m実施されるとする。それぞれのレーザ光は上下に向いており、その間の角度θを20度とする場合、レーザ光方向500m先の位置では上下のレーザ光軸間距離は約174mとなる。図示したとおり、レーザ光軸間の空間を格子上に分け、それぞれの位置まで上下のライダーから外挿処理を適用する。これによって、レーザ光軸間の二次元気流ベクトルの鉛直断面分布を取得することが可能となる。
<遠隔気流計測装置1による作用・効果>
例えば、ドップラーライダーで二方向の気流を計測し、その計測値を上記の式
によって、すなわち単純な幾何学的変換のみによって二次元気流ベクトルを求めることができる。しかしながら、このような単純な幾何学的変換のみによる気流推定においては、二方向のレーザ光が気流を推定する点に照射されている場合にのみ厳密な二次元気流ベクトルを与えるが、航空機前方ではレーザ光軸間の距離が広がるため、幾何学的な変換の仮定が崩れ、正しく気流推定を実施することが困難となる。また、計測値に含まれる観測誤差や欠測による信頼性低下が免れない。なお、任意の独立した二方向のレーザ光方向速度成分の計測が同一の位置において行われていれば、二次元気流ベクトル、すなわち、航空機の飛行方向とそれに垂直な方向成分を再構成することができるが、同一位置からのレーザ光方向速度成分の計測が原理上可能なのはレーザ光源の位置においてのみである。それより以遠の実際に計測を行うレンジビンでは、二方向の計測点が離れており、このような仮定をもとに二次元気流ベクトルを推定するということは、離れた計測点の間で気流が一定であるということを暗に仮定していることになる。二方向の光軸間でレンジビンごとの気流が一定であると仮定した場合に、二方向のレーザ光方向速度成分から二次元気流ベクトルを上記に示した式から再構成することができる。しかしながら、上記の式のみによる気流推定の精度は、レーザ光源から離れるほど急激に劣化する。
これに対して、本実施形態に係る遠隔気流計測装置1では、水平に飛行する航空機200前方の鉛直気流を計測することにおいて、計測信頼性の向上を可能とするものである。
すなわち、本実施形態に係る遠隔気流計測装置1では、レーザ光を利用したドップラーライダー方式の光学式遠隔気流計測装置であって、図5に示したように、レーザ光の光軸を前方上下二方向L、Lに向け、各光軸L、Lの軸方向各レンジビンの風速を二次元気流ベクトルに変換する際に、単純な幾何学的変換だけではなく、過去に計測された風速を使用することで例えば航空機200の前方鉛直断面の気流を推定することにより、計測の信頼性を向上させるものとした。つまり、本実施形態に係る遠隔気流計測装置1では、時々刻々得られる計測値を保存し、過去の計測値と現在の計測値を共に利用する。現在及び過去の計測値を用いて、機軸方向にレーザ光方向速度成分を外挿し、その二方向から外挿した計測値を用いて幾何学的な変換を行うものである。
また、本実施形態に係る遠隔気流計測装置1では、二方向からの外挿処理を施す際、それぞれの外挿距離を変化させることでレーザ光軸間の二次元気流ベクトル分布を推定することができる。すなわち、過去に計測された風速も使用することで、航空機200の機軸Xの位置の気流推定だけでなく、航空機200の前方鉛直の二次元気流ベクトル分布を推定することが可能であり、気流推定範囲をより広範囲とすることができる。
更に、計測値に予期しない誤差が含まれる場合において適切な二次元気流ベクトル推定を行うために、計測値の外挿に最小二乗法及びロバスト最小二乗法を使用する。これのより、外挿処理の頑健性を向上させ、計測値に含まれる予期しない誤差を取り除き、計測の信頼性を向上させることができる。
[他の実施形態に係る遠隔気流計測装置]
図7は本発明の他の実施形態に係る光学式遠隔気流計測装置の構成を示す図である。
図7に示すように、この遠隔気流計測装置70では、光送受信機72で生成されたパルス状のレーザ光は、切替器73により大口径光学望遠鏡74と小口径光学望遠鏡75に順次振り分けられる。
両光学望遠鏡74、75からのレーザ光は、窓81を通して大気中に放出され、大気中のエアロゾル粒子による散乱光は、逆の経路で光送受信機72により受信される。パルス状の送信光に対して、受信光は各レンジでの散乱を連続して受信した信号となるため、受信光の時分割により各レンジビンの風速が独立して求められる。
受信光と光送受信機72で生成されたレーザ光の波長との差分値が信号処理器71に伝達され、ドップラーシフト量から風速が求められ、記憶部76に記憶されるとともに、その求めた風速値及び記憶部76に記憶された過去の風速値に基づき、最初に示した実施形態と同様の方法で各レンジビンの2次元気流ベクトルが推定される。
各レンジビンの2次元気流ベクトルは、最初の実施形態で説明したとおり信頼性指標をレンジビンごとに付加し、オートパイロット91に伝達する。
オートパイロット91では、二次元気流ベクトルに応じて機体の動揺を低減する制御計算を行い、舵面92を最適に動作させるが、信頼性指標に応じて計測の信頼性が低い場合は制御ゲインを低下させ、或いは舵面制御自体を停止する。
ここで、この実施形態において、通常の飛行時は大口径光学望遠鏡74で遠距離の乱気流検知を行い、乱気流に接近したら大口径光学望遠鏡74と小口径光学望遠鏡75とで2方向計測に変更するように構成してもよい。
このとき、大口径望遠鏡74の方は集光率が高いため、短時間の計測で十分である。したがって、二つの光学望遠鏡74、75に入力光を順次切り替える際に、それぞれの光学望遠鏡74、75にレーザ光を入力する時間を、図8に示すように、それぞれの光学望遠鏡74、75の口径の2乗に反比例させた比率とする。ここでは、切替器73の切り替えの光学素子は、ポッケルスセルを採用し、切り替え周期は5Hzとした。
なお、レーザ光出力を切り替えることができる場合には、それぞれの光学望遠鏡の口径の2乗に反比例させた比率としてもよい。
また、レーザ光を2方向に向けるには、光学望遠鏡からレーザ光が放出された後にプリズムや反射鏡により光軸を2方向に順次切り替える方法と、光学望遠鏡を2式装備し、それぞれ独立して計測するか、或いは光学望遠鏡への入力光を順次切り替える方法があり、本発明はいずれの方法であっても適用することができる。
[その他の実施形態]
本発明において、計測の信頼性を向上させるには、使用する過去の計測値の数を増やせばよいが、航空機から遠方のレンジビンでは、過去の計測値を使用できない場合や使用できる計測値の数に制限がある場合を考慮する必要がある。そこで、本発明に係る一形態では、適切に予測するために、外挿処理で使用する計測値の数を場所によって変更することで対応すればよい。例えば、図9に示すように、一次関数により外挿処理を適用する場合、つまり過去の計測値を二つ以上使用できる場合は、通常の最小二乗法を適用して推定を実施する。過去の計測値を一つのみ使用できる場合は、最小二乗法ではなく、単純な線形外挿により気流推定を実施し、過去の計測値を使用できない場合は、外挿処理を行わず、単純な幾何学的変換のみによる気流推定を適用すればよい。
また、航空機の姿勢が変化した場合、機体軸及び各レーザ光軸の向きと進行方向が異なる。単純な幾何学的変換のみによる気流推定では、機軸上の気流ベクトルのみしか得ることができないため、航空機の姿勢が変化した場合は航空機に影響を及ぼす二次元気流ベクトルを正確に推定することができない。これに対して、本発明では、レーザ光軸間の二次元気流ベクトルの鉛直分布を取得することができるため、姿勢変化がレーザ光軸間の角度以内であれば、航空機に影響を及ぼす二次元気流ベクトルを鉛直分布から推定することが可能となる。
さらに、上記の実施形態では、誤差が収束するまでの繰り返し計算の回数等を、推定された二次元気流ベクトルの信頼性指標として出力するものであったが、本発明では、気流観測のために受信したレーザ光の信号対雑音比を二次元気流ベクトルの信頼性指標として出力するものであってもよい。また、ドップラーライダーで受信した大気中のエアロゾル粒子からの散乱光は、大気の状態により強度が変化し、散乱光の信号強度が低い場合には計測の信頼性が低下する。この状態を定量的に表す数値が信号対雑音比であり、これを信頼性指標として用いることができるが、複数回の信号積分により信号対雑音比は低減するため、信号積分を行う装置では1パルスあたりの信号対雑音比に信号積分回数の平方根を乗じた数値として、Detectabilityが信号対雑音比の代わりに使用される。図10に示すとおり、Detectabilityと誤信号率とは強い相関が認められる。したがって、Detectabilityを信頼性指標として使用してもよい。誤信号が少ない場合は、使用する側でフィルタリング処理を行うことで、悪影響を除去することができ、誤信号が多い場合には、計測を無効として、エラー信号を発出するなどの処理が可能となる。
上記の実施形態では、レーザ光の光軸を前方上下二方向に向けた場合について説明したが、前方左右二方向に向けた場合や三方向以上に向けた場合であっても本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、本発明に係る遠隔気流計測装置を航空機に搭載した例を説明したが、本発明に係る遠隔気流計測装置を地上装置として用いても構わない。
さらに、本発明に係る遠隔気流計測装置は、ドップラーライダーだけでなく、ドップラーレーダにも適用することができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々に変形して実施することが可能であり、その実施の範囲も本発明の技術的思想の範囲に属するものである。
乱気流は、通常、我々の生活の上では特に気になるものではないが、飛行機と乱気流は切っても切れない関係にある。飛行機が乱気流の中に入ると大きく揺れ、急激な上・下降を繰り返すため機体に大きな負担を与え、最悪の場合墜落することがある。また、シートベルトのサインが遅れたために機内の乗客・乗員が重軽傷を負う事故も毎年に何例か発生している。
そして、機体への負担の軽減のほか、機内サービスや乗客の乗り心地といった快適性、前記の通り乗客・乗員の身体・生命に影響を及ぼすため、パイロットが前方に乱気流があることを発見したときは、可能な限り回避しなければならない。また、他の航空機の早期の乱気流の回避につながる事から、乱気流に遭遇した航空機は、乱気流に遭遇した旨を当該管制空域の管制官に報告しなければならない。ちなみに、エアラインのパイロットは、フライトシミュレーターとよばれる機械を使った飛行訓練で、機体の腹が上になった状態、つまり天地が逆さまになった状態から、冷静に計器のみによって判断をして機体を元に戻す、復帰訓練を受ける。これは、実際に旅客機が乱気流によって機体がひっくり返って天地が逆さまになったという事例が何例か存在するためである。人間のバランス感覚は目と耳で感じ取るもので、気圧の低い高高度では耳の機能が低下しているため、人間のバランス感覚に狂いが生じており、天地が逆になってもどちらが上か下か分からない状態となり(プールで潜って回転するとどちらが水面かが分からなくなる時があるのと同じ状況)、パイロットがパニック状態になり墜落につながる可能性がある。この状態を空間識失調と呼ぶ。
そのため、例えば旅客機の場合、ウェザーレーダーと呼ばれる気象レーダーを装備しており、乱気流に遭遇する前にある程度の発見は可能だが、そのレーダーを読み取るためには熟練した技術が必要と言われる。しかも、このような乱気流は積乱雲の中や台風の周りに多く見られるが、周辺に雲の無い晴天状態の大気中で発生する場合もある。この場合は「晴天乱気流」(CAT)と呼ぶ。航空機に搭載された上記の気象レーダーでは、このようなCATを検出できない。
これに対して、ドップラーライダーは晴天時でも遠隔気流が観測できるという特長があるものの、有効観測レンジの短さが運航会社のパイロットから指摘されており、実用化の足かせとなっていた。しかし、500m程度の短い観測レンジであっても、舵面の自動制御によって機体の動揺を低減することにより乱気流事故を防止することは可能である。本発明の適用により、前方気流情報の計測信頼性が向上し、舵面自動制御用の事前情報として旅客機への適用が可能となる。
1 遠隔気流計測装置
10 計測部
20 記憶部
30 信号処理部(処理部)
70 遠隔気流計測装置
71 信号処理器
72 光送受信機
74 大口径光学望遠鏡
75 小口径光学望遠鏡
76 記憶部
200 航空機

Claims (11)

  1. 大気中の複数の方向に向けて光を放射し、これらの反射光を受信し、各前記放射した光と反射光との間の周波数のドップラーシフト量に基づき各方向の光軸方向の風速を計測する計測部と、
    前記計測部で計測された風速値を記憶する記憶部と、
    前記計測部で計測した各方向の光軸方向の現在の風速値及び前記記憶部で記憶された過去の風速値に基づき、これらの風速値の計測点を含んだ線上の風速を推定する多項式を定め、この多項式を用いて前記線上の複数点の風速を外挿し、外挿した風速に基づき前記線上の2次元気流ベクトルを推定する処理部と
    を具備する遠隔気流計測装置。
  2. 請求項1に記載の遠隔気流計測装置であって、
    当該遠隔気流計測装置は、航空機に搭載されるものであり、
    前記計測部は、前記航空機の前方の機軸方向より上方向及び機軸方向より下方向に向けてレーザ光を放射するものである
    遠隔気流計測装置。
  3. 請求項2に記載の遠隔気流計測装置であって、
    前記計測部は、各方向のレンジビンごとに、前記光軸方向の風速を計測するものであり、
    前記処理部は、前記レンジビンごとに、前記線上の2次元気流ベクトルを推定するものである
    遠隔気流計測装置。
  4. 請求項2又は3に記載の遠隔気流計測装置であって、
    前記処理部は、前記航空機の姿勢が変化した場合であっても、前記航空機の前方の二次元気流ベクトルを推定するものである
    遠隔気流計測装置。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の遠隔気流計測装置であって、
    前記処理部は、前記風速を推定する多項式を定める際に、誤差が含まれている前記現在及び過去の計測値に対して誤差の大きさに応じた重みを付けるものである
    遠隔気流計測装置。
  6. 請求項5に記載の遠隔気流計測装置であって、
    前記処理部は、前記風速を推定する多項式を定める際に、前記誤差を除去するための繰り返し計算を行うものであり、前記誤差が収束するまでの前記繰り返し計算の回数を、前記推定された2次元気流ベクトルの信頼性指標として出力するものである
    遠隔気流計測装置。
  7. 請求項5に記載の遠隔気流計測装置であって、
    前記処理部は、前記風速を推定する多項式を定める際に、前記誤差を除去するための繰り返し計算を行うものであり、前記繰り返し計算の後の誤差の残差を、前記推定された二次元気流ベクトルの信頼性指標として出力するものである
    遠隔気流計測装置。
  8. 請求項5に記載の遠隔気流計測装置であって、
    前記計測部で受信した反射光の信号対雑音比又はこれに由来する値を、前記推定された2次元気流ベクトルの信頼性指標として出力するものである
    遠隔気流計測装置。
  9. 請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の遠隔気流計測装置であって、
    前記計測部は、大気中の複数の方向に向けて光を放射し、これらの反射光を受信するための光学望遠鏡を各前記方向ごとに有し、
    二つの前記光学望遠鏡は、口径が異なり、
    前記計測部は、これら口径の異なる光学望遠鏡を介して光を受信する期間又は放射される光の出力を、それぞれ光学望遠鏡の口径の2乗に反比例させた比率としている
    遠隔気流計測装置。
  10. 大気中の複数の方向に向けて光を放射し、
    これらの反射光を受信し、
    各方向に放射した光と反射光との間の周波数のドップラーシフト量に基づき各方向の光軸方向の風速を計測し、
    前記計測された風速値を記憶し、
    前記計測した各方向の光軸方向の現在の風速値及び前記記憶された過去の風速値に基づき、これらの風速値の計測点を含んだ線上の風速を推定する多項式を定め、
    この多項式を用いて前記線上の複数点の風速を外挿し、
    外挿した風速に基づき前記線上の2次元気流ベクトルを推定する
    遠隔気流計測方法。
  11. 大気中の複数の方向に向けて光を放射し、これらの反射光を受信し、各前記放射した光と反射光との間の周波数のドップラーシフト量に基づき各方向の光軸方向の風速を計測する計測部からの信号又はこれを模した信号を処理するコンピューターに、
    前記計測された風速値を記憶部に記憶させるステップと、
    前記計測した各方向の光軸方向の現在の風速値及び前記記憶された過去の風速値に基づき、これらの風速値の計測点を含んだ線上の風速を推定する多項式を定めるステップと、
    この多項式を用いて前記線上の複数点の風速を外挿するステップと、
    外挿した風速に基づき前記線上の2次元気流ベクトルを推定するステップと
    を実行させるプログラム。
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