JP2024035272A - 航空機の自動制御システム、その有効性評価方法およびその自動制御システム用の計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】予見情報に若干の計測誤差があったとしても、航空機が乱気流に突入した際の機体の動揺を低減させことができる自動制御技術を提供する。【解決手段】本発明の一形態に係る航空機の自動制御システムは、航空機が現に受けている風速に対して、将来遭遇する風速との差を予見情報として計測し、その計測値の推定誤差または有効・無効を判別する情報を計測情報に付加して出力する計測部と、航空機の揚力、抗力または姿勢を制御する舵、もしくは推力を制御する装置と、前記計測部で計測した航空機の飛行予定方向の風速値に基づき、前記風速が機体に及ぼす作用を減少させるような前記舵の角度または推力を算出する制御演算部とを具備する。【選択図】図1
Description
本発明は、航空機の自動制御システムに関する技術に関し、さらに詳しくは、例えば航空機が乱気流中を飛行したときに、機体の動揺を低減することに用いられる突風応答軽減システム及び方法、または機体に加わる荷重を低減することに用いられる突風荷重軽減システム及び方法に関する。
旅客機事故の主要因として乱気流は特に重要であり、航空機に搭載して乱気流を事前に検知する装置として、レーザ光を利用したドップラーライダーに関する技術が研究開発されている(例えば、非特許文献1を参照。)。その後、研究開発の進展に伴いドップラーライダーの性能限界が明らかになりつつあるため、本発明者らは有効性が高いと思われる利用法を提案した(例えば、非特許文献2を参照。)。
ドップラーライダーを航空機の乱気流事故防止用として使用するには、飛行方向前方の乱気流情報をパイロットに伝達し、パイロットが回避飛行やシートベルトサイン点灯などにより対処する方法の他、気流情報を搭載コンピューターに伝達して、自動的に舵を制御することにより乱気流突入時の機体の動揺を低減する方法等がある(例えば、特許文献1を参照。)。
上記の舵を制御するためには、一般的に鉛直気流ベクトルを求める必要がある。本発明者らは、特許文献2において2組のドップラーライダー(遠隔気流計測装置)による観測値を幾何学的に変換して鉛直気流ベクトルを求める技術を提唱した。
さらに本発明者らは、特許文献3において、鉛直気流ベクトルを含む二次元気流ベクトルの推定精度を向上させ、しかも気流推定範囲をより広範囲とすることができる遠隔気流計測装置、遠隔気流計測方法及びプログラムを提唱した。
ただし、動揺低減制御の予見情報として気流ベクトルを利用して舵を自動制御する場合、予見情報に極めて高い信頼性が要求され、誤った情報に基づき自動制御した場合には逆に動揺が増大する可能性があることから、本発明者らは、特許文献4において、観測信号に信頼性情報を付加する技術を提唱した。そして、該観測情報を如何に効果的に活用するかが課題となっていた。
一方、本発明者らは、特許文献5において、簡便に飛行機の上下動揺を低減させる技術を提唱した。ただし、該技術の場合、効果は限定的であると考えられ、低減の対象は飛行機の上下動揺のみである。
H.Inokuchi, H.Tanaka, and T.Ando, "Development of an Onboard Doppler LIDAR for Flight Safety," Journal of Aircraft,Vo1.46, No.4, PP.1411-1415, AIAA, July-August, 2009.
H.Inokuchi, T.Akiyama,"Performance Evaluation of an Airborne Coherent Doppler Lidar and Investigation of its Practical Application" Transactions of JSASS, Vol.65, No.2, PP.47-55, March 2022.
濱田, "離散時間予見フィードフォワード補償と突風応答軽減制御への適用",第57 回自動制御連合講演会, 2014.
Y.Hamada, "New lmi-based conditions for preview feedforward synthesis," Control Engineering Practice, Vol.90, PP.19-26, 2019.
機体の動揺を低減する従来のフィードバック制御の場合、通常機体に取り付けられた加速度センサの出力に基づき舵角を制御する。この場合、まず突風に遭遇してから機体が運動するまでは機体の慣性力で遅れる。さらに機体の運動を加速度センサで計測して、適切な舵角を計算してから、舵のアクチュエータに舵角コマンドを送信するが、舵の空気力が変更されるまででも遅れが生ずる。したがって、揺れの初動に対しては対応できないか、あるいは逆に加振してしまう可能性があった。
例えば、上記のように舵面自動制御用として気流情報を用いる場合、誤信号や観測誤差による舵面の不適切な制御は、航空機の運航安全上許容できない。にもかかわらず、これまでの技術では、まれに発生する誤信号の影響で、不適切な制御となる可能性があった。すなわち、これまでの技術では、制御入力信号の信頼性情報を利用することができなかったため、条件によっては制御しない場合よりも安全性が低下する可能性があった。誤信号は常時存在するノイズによって生じるものであるから、皆無とすることはできない。また観測誤差が大きいデータが混在した場合には、制御の精度が低下する欠点があった。
ドップラーライダーを用いた突風の鉛直および前後の気流推定には、2視線以上の光軸が必要である。これまでに試作したドップラーライダーの場合、光軸の視線方向の計測精度は、モンテカルロシミュレーションや飛行試験の結果から、0.2~0.3m/sである。これを鉛直方向の気流ベクトルに変換すると、光軸のはさみ角が20度の場合で、0.6~0.9m/sの推定精度となる。
上記の精度が常時保証される限り、飛行シミュレーションの結果、適切に機体の動揺が半減されることが判明しているが、実際の計測ではノイズの影響で一時的に計測誤差が増大したり、適切に計測できずに信号が特異値となったりすることがある。これらの低品質の計測情報をそのまま使用して制御を行うと、制御を行わない場合よりも機体の動揺が大きくなることがある。
また、舵面自動制御では高いサンプリングレートが必要であるが、2視線以上の光軸方向を計測する場合、それぞれのローカルフローを計測することになり、計測時間が短いと微細な乱気流の影響によって、全体の流れの推定が困難となる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、予見情報に若干の計測誤差があったとしても、航空機が乱気流に突入した際の機体の動揺を低減させ、あるいは機体に加わる荷重を低減させることができる自動制御技術を提供することにある。
本発明の一形態に係る航空機の自動制御システムは、
航空機が現に受けている風速に対して、将来遭遇する風速との差を予見情報として計測し、その計測値の推定誤差または有効・無効を判別する情報を計測情報に付加して出力する計測部と、
航空機の揚力、抗力または姿勢を制御する舵、もしくは推力を制御する装置と、
前記計測部で計測した航空機の飛行予定方向の風速値に基づき、前記風速が機体に及ぼす作用を減少させるような前記舵の角度または推力を算出する制御演算部と
を具備する。
航空機が現に受けている風速に対して、将来遭遇する風速との差を予見情報として計測し、その計測値の推定誤差または有効・無効を判別する情報を計測情報に付加して出力する計測部と、
航空機の揚力、抗力または姿勢を制御する舵、もしくは推力を制御する装置と、
前記計測部で計測した航空機の飛行予定方向の風速値に基づき、前記風速が機体に及ぼす作用を減少させるような前記舵の角度または推力を算出する制御演算部と
を具備する。
上記自動制御システムは、高品質の予見情報のみを選択利用して航空機の自動制御を行うことで、予見情報の計測誤差による悪影響を低減できる。
前記計測部は、航空機の飛行予定方向に向けて電磁波を放射し、その大気中での散乱波を受信し、前記放射した電磁波に対して、散乱した電磁波のドップラーシフト量に基づき、前記電磁波の放射軸方向の遠隔風速を計測するように構成されてもよい。
前記計測部は、前記電磁波の放射軸を2視線以上設けるまたは走査することにより、風速の2次元または3次元ベクトルを求めてもよい。これにより、2視線以上の電磁波の放射軸から得られたそれぞれの計測値の差を、有効・無効を判別する情報として計測情報に付加することができる。
前記制御演算部は、無効の情報が付加された受信信号が除去された受信信号のスペクトル積分の移動平均値に基づいて、前記風速値を算出するように構成されてもよい。スペクトル積分する時間範囲を時間とともに移動させることによって、高いデータレートの計測値を自動制御の入力として利用することができる。
前記制御演算部は、前記推定誤差が設定値以上の場合、または無効の情報が付加された予見情報を受信した場合には、前記航空機に作用する加速度を検出する加速度センサの出力に基づく前記舵の自動制御を実行するように構成されてもよい。
前記制御演算部は、前記推定誤差を設定値で除し、1から減じた数値をオーソリティと定義して、0またはオーソリティのいずれか大きい値を前記制御指令に乗ずるように構成されてもよい。
前記制御演算部は、前記計測値から前記推定誤差を差し引いた値と0とのいずれか大きい値を前記風速値とみなして前記制御信号を生成するように構成されてもよい。
前記制御演算部は、あるレンジビンの計測誤差があらかじめ想定した絶対値よりも大きい場合または前記計測値に無効の情報が付加されている場合に、その前後のレンジビンにおける計測値を用いて前記舵の角度を算出するように構成されてもよい。
前記制御演算部は、各レンジビンの計測値に対し一定値であるバイアス状の計測誤差が加わるときは、その影響を相殺する制御ゲインを用いるように構成されてもよい。
本発明の一形態に係る前記自動制御システムの有効性評価方法は、
鉛直風速を含む所定の風速流条件下において航空機の飛行試験または飛行シミュレーションを実施し、
前記制御指令に基づく自動制御を実施しない場合の機体の加速度変化量を横軸とし、前記自動制御を実施した場合の機体の加速度変化量を縦軸として、前記飛行試験または飛行シミュレーションの結果をプロットし、
あらかじめ設定した折れ線から下方への前記プロットの乖離を前記自動制御による突風応答軽減効果とみなす。
鉛直風速を含む所定の風速流条件下において航空機の飛行試験または飛行シミュレーションを実施し、
前記制御指令に基づく自動制御を実施しない場合の機体の加速度変化量を横軸とし、前記自動制御を実施した場合の機体の加速度変化量を縦軸として、前記飛行試験または飛行シミュレーションの結果をプロットし、
あらかじめ設定した折れ線から下方への前記プロットの乖離を前記自動制御による突風応答軽減効果とみなす。
本発明の一形態に係る計測装置は、航空機が現に受けている風速に対して、将来遭遇する風速との差を予見情報として計測する航空機の自動制御システム用の計測装置であって、
2視線以上の電磁波の放射軸から得られたそれぞれの計測値の差を、有効・無効を判別する情報として計測情報に付加して出力する信号処理部を具備する。
2視線以上の電磁波の放射軸から得られたそれぞれの計測値の差を、有効・無効を判別する情報として計測情報に付加して出力する信号処理部を具備する。
本発明によれば、航空機が乱気流に突入した際の機体の動揺や荷重を低減する自動制御において、予見情報の計測誤差による悪影響を低減させることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[突風応答または突風荷重軽減システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る航空機の自動制御システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態において自動制御システム1は、航空機に搭載されるドップラーライダー方式の光学式の突風応答または突風荷重軽減システムとして構成される。
図1は、本発明の一実施形態に係る航空機の自動制御システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態において自動制御システム1は、航空機に搭載されるドップラーライダー方式の光学式の突風応答または突風荷重軽減システムとして構成される。
図1に示すように、本実施形態の自動制御システム1は、計測部10と、制御演算部20と、舵30を備える。
(計測部)
計測部10は、航空機の機体200が現に受けている風速に対して、将来遭遇する風速との差を予見情報として計測し、その計測値の推定誤差または有効・無効を判別する情報を計測情報に付加して出力する装置である。
計測部10は、航空機の機体200が現に受けている風速に対して、将来遭遇する風速との差を予見情報として計測し、その計測値の推定誤差または有効・無効を判別する情報を計測情報に付加して出力する装置である。
本実施形態において計測部10は、大気中の2方向に向けてレーザ光をパルス状に放射し、これらの反射光を受信し、各放射したレーザ光と反射光との間の周波数のドップラーシフト量に基づき各光軸の軸方向の風速を計測する。計測部10は、光送受信機12と、切替器13と、第1の望遠鏡15と、第2の望遠鏡14と、信号処理部11とを有する。
光送受信機12は、放射するレーザ光の生成および受信したレーザ光を電気信号に変換する。切替器13は、第1の望遠鏡14と第2の望遠鏡15とを順次選択する。第1の望遠鏡14は、機軸より下部へ窓40を透してレーザ光を放射および受信する。第2の望遠鏡15は、機軸より上部へ窓40を透してレーザ光を放射および受信する。ここでは、機軸に対する上下各レーザ光の光軸のなす角度はそれぞれθに設定されている。
ここでは第1の望遠鏡14が遠距離用の望遠鏡であり、第2の望遠鏡15が近距離用の望遠鏡である例について説明するが、これに限られず、第1の望遠鏡14および第2の望遠鏡には同一の望遠鏡(例えば近距離用の望遠鏡あるいは遠距離用の望遠鏡)が採用されてもよい。
光送受信機12は、単一波長、例えば1.55μmのレーザ光を生成し、増幅するとともに、その散乱光を受信してドップラー効果による周波数変化量(波長変化量)を測定することによって風速を計測するものである。一般にこれはドップラーライダーと呼ばれており、ライダー(LIDAR)とは、光を利用した遠隔観測手法で「Light Detection And Ranging」を略したものである。
ドップラー効果による周波数変化量は、第1の望遠鏡15または第2の望遠鏡14を介して受信した受信光(散乱光)の周波数(波長)を送信光の周波数(波長)と比較することで求められる。このような原理によって、計測部10は、航空機が現に受けている風速と将来遭遇する風速との差である予見情報を計測する。
本実施形態では、送信信号であるレーザ光は大気中に向けて放射された連続するパルス列であるので、受信信号もパルス列である。また、ドップラー効果による周波数変化量、つまり送信信号の反射信号を受信した受信信号の周波数と送信信号の周波数との差分の信号列も同様にパルス列である。
信号処理部11は、風速および風速計測の信頼性情報を算出する。信頼性情報とは、予見情報である計測値の推定誤差または有効・無効を判別する情報を意味するものである。
推定誤差は、第1の望遠鏡14を用いて計測された風速(光軸L1での風速)と第2の望遠鏡15を用いて計測された風速(光軸L2での風速)との差である上下風速差をいう。推定誤差は、計測値と同じ単位であって、真値が含まれると推定される範囲を、計測値を中心とした偏差の絶対値で表すものとする。
計測値の有効・無効の判別は、上下風速差(光軸L1での計測値と光軸L2での計測値との差)が第1の設定値未満の場合には計測値が有効と判別し、上記差が上記第1の設定値を超える場合は計測値が無効と判別する。なお、風速計測の信頼性情報は、例えば特許文献4の技術を用いて算出してもよい。
上記第1の設定値は、航空機が現に受けている風速に対して、将来遭遇する風速との差を基本に、システム全体の信頼性を加味したうえで、絶対値として設定する。第1の設定値は、例えば1m/sのような固定値ではなく、上下風計測値に1以下の係数を乗じたような変数を用いることができる。
計測部10は、例えば図2に示すように、機体200の機軸Xに対して上下に角度θ1及びθ2をなした各方向(光軸L1、L2)に対してレーザ光を放射し、その散乱光を、レーザ光の光軸方向に沿った距離に対するスペクトルデータとして受信する。例えば500m以内の計測レンジから標本化間隔に対応した距離幅(例えば25m)であるレンジビンごとに、例えば20個の計測値を得る。つまり、この計測部10は、各方向(光軸L1、L2)に対するレーザ光の放射で、各光軸L1、L2のレンジビンごとの20か所の位置での風速を計測する。この計測値である風速データはライダー計測値とも呼ばれる。
なお、風速データには、エラー計測値が含まれる可能性があるので、計測部10は、各レンジビンの風速データに独立した信頼性情報を付加する。つまり、各レンジビンでの風速データに、当該風速データについての信頼性情報(推定誤差、有効・無効の判別結果である有効・無効フラッグ)が付加される。風速データは光軸方向の風速成分であるため、例えば特許文献3の技術を用いて上下風や風速ベクトルを求めることで算出できる。
(制御演算部)
制御演算部20は、計測部10で計測した航空機の飛行予定方向の風速値(風速データ)に基づき、風速が機体200に及ぼす作用を減少させるような舵30の角度または推力を算出する。算出された舵30の角度または推力は、舵30または推力発生器(図示略)を自動制御するための入力情報(制御指令)を生成する。
制御演算部20は、計測部10で計測した航空機の飛行予定方向の風速値(風速データ)に基づき、風速が機体200に及ぼす作用を減少させるような舵30の角度または推力を算出する。算出された舵30の角度または推力は、舵30または推力発生器(図示略)を自動制御するための入力情報(制御指令)を生成する。
また、制御演算部20は、計測部10で計測した航空機の飛行予定方向の風速データについての信頼性情報に基づき、無効フラッグが付加された風速データが所定以上含まれている場合(本実施形態ではすべてのレンジビンでの風速データに無効フラッグが付加された場合)には、機体200に取り付けられた加速度センサ50(図1参照)の出力に基づく舵角の自動制御を実行する。
加速度センサは、例えば機軸に対して垂直な1軸または2軸方向の加速度を検出可能に構成される。加速度センサ50の出力に基づく舵角の自動制御には、例えば、機体200に作用する加速度が所定以下となるように舵角のフィードバック制御技術が採用される。
制御対象としての舵30は、具体的には、昇降舵(エレベータ)、方向舵(ラダー)、フラッペロン、スロットル、スポイラー、DLC(Direct Lift Control)フラップ、エルロンなど、航空機の揚力、抗力または姿勢を制御するための動翼あるいは補助翼が該当する。機体200がプロペラ機の場合は、プロペラのピッチ角も制御対象とされてもよい。なお、舵30に限られず、機体200の推力を発生させるジェットエンジンあるいはプロペラ推進器などの装置が制御対象に含まれてもよい。
図3は制御演算部20の動作を示すフローチャートである。
制御演算部20は、計測部10より風速データを取得し、風速データに含まれている信頼性情報に応じて、処理を進める(ステップ101)。まず、信頼性情報としてすべてのレンジビンに無効フラッグが付加されている場合には(ステップ102においてNo)、その状態が連続している間は本発明による制御を実施せず、上述した加速度センサ50の出力に基づいたフィードバック制御のみで対応する(ステップ103)。
風速データはそのまま利用してもよいが、一定時間の平均値を用いた方が微細な変動を除いた信頼性の高いデータを得ることができる。このとき、平均化する風速データに無効な情報が含まれていると、平均値の誤差が大きくなるため、図4に示すように無効フラッグが付加されているデータを除いて平均値を算出するのが好ましい。
本実施形態において制御演算部20は、無効フラッグが付加された受信信号を除去してから受信信号をスペクトル積分し、その積分値の移動平均値から風速データを算出する。スペクトル積分する時間範囲を時間とともに移動させることによって、高いデータレートの計測値を自動制御の入力として利用することができる。
平均値を算出する方法は、風速値を平均するのでもよいが、その場合はSN比の向上は期待できない。したがって、風速のスペクトルデータを積分してSN比の向上も同時に実現する。SN比の向上により信頼性および計測精度が向上する効果が期待できる。ただし、一定時間の平均値が得られるごとに自動制御の入力として利用すると、データレートが低くなり制御の不連続性が大きくなる。このため、並列計算により移動平均値を算出して、データレートの劣化を防止する。平均化による遅れに対しては、利用する情報のレンジを遠方に設定することにより補償する。
制御演算部20は、信頼性情報として一部のレンジビンに無効フラッグが付加されている場合や、すべてのレンジビンに無効フラッグが付加されていない場合には、信頼性情報としての推定計測誤差を第2の設定値で除し、1から減じた数値をオーソリティとしてレンジビンごとに算出する(ステップ104)。
上記第2の設定値は、例えば上下風速計測値(光軸L1,L2上での風速データ)に1以下(例えば0.5~1)の係数を乗じた変数を用いる。該上下風速計測値は、現に機体200が遭遇している上下風との相対値で表される。該係数は、系全体の信頼性が高い場合には1に近い数値を設定すれば、制御の効果が高くなる。一方、系全体の信頼性が低い場合には小さい数値を設定すれば、制御による加振のリスクを低減することができる。
続いて制御演算部20は、風速が機体に及ぼす作用を減少させるような舵角を算出する(ステップ105)。舵角計算では、風速の変化による機体の動揺を低減するような舵角を算出する。このとき、0またはオーソリティのいずれか大きい値を算出した舵角の変化量に乗じたうえで舵角コマンドを送出することで、舵30のアクチュエータに舵角コマンドを送信する(ステップ106)。
この際、制御演算部20は、信頼性情報として一部のレンジビンに無効フラッグが付加されている場合や、すべてのレンジビンに無効フラッグが付加されていない場合には、レンジビンごとに風速の計測値から推定計測誤差を差し引いた値を算出し、その値と0とのいずれか大きい値を正しい風速の計測値とみなして制御入力に利用する。
図5で説明すると、風速の計測値をそのまま制御入力として利用する場合は、例えば一点鎖線で示す関数W0を制御入力として利用する。それに対して、本発明の一実施形態では、実線で示すように風速データから推定計測誤差を差し引いた関数W1を制御入力として利用する。その結果、風速の計測値が誤差によって増大して、実際には風速が小さいにもかかわらず過剰な制御によって加振されるというリスクが低減する。
制御演算部20は、あるレンジビンの計測誤差があらかじめ想定した絶対値よりも大きい場合または信頼性情報として一部のレンジビンにのみ無効フラッグが付加されている場合に、当該レンジビンの値の代わりに,その直近の2値を内挿した値を用いて制御入力に利用してもよい。
図6で説明すると、レンジBには無効フラッグが付加されているため、このレンジビンの風速値としてWBは使用せず、両隣のレンジビンであるAとBにおける風速値WAおよびWCを内挿した値WB'を用いる。レンジEとFのように無効フラッグが付加されたレンジビンが連続して並んでいる場合は、最近傍であるレンジDとGにおける風速値WDおよびWGを内挿した値WE'およびWF'を用いる。これらの風速値と、例えば特許文献1、非特許文献3または非特許文献4の技術を用いて、制御入力を求める。この結果、風速の計測値が誤差によって増大して、実際には風速が小さいにもかかわらず過剰な制御によって加振されるというリスクが低減する。
制御演算部20は、各レンジビンの計測値に対し一定値であるバイアス状の計測誤差が加わる場合に、誤差の影響を相殺する制御ゲインを用いることで、計測誤差に対しロバストな制御入力を算出してもよい。この場合、まず制御入力を以下の数式に基づいて算出するものとする。
制御則は離散時間システムとして与えられており,u(k)は制御入力(エレベータコマンド)の現在値を表す。x(k)は機体200の状態量(具体的には速度、角速度、姿勢角など)を表すベクトルである。wa(k)は機体200が現在遭遇している鉛直風速を表す。wa(k+1)は現在から離散時間1ステップ後に機体200が遭遇する鉛直風速を表す。wa(k+n)は離散時間nステップ後に機体200が遭遇する鉛直風速を表す。これらの風速はライダー計測値で代替する。例えばサンプリング周期をT秒,機体200の速度をVとした場合、wa(k+n)として機体200の位置からV×T×n(m)前方の計測値を用いる。この位置とレンジビンが合わない場合は、近傍のレンジビンにおける計測値を内挿した値で代用する。KBは状態量に乗ずる定数のゲイン行列であり、任意の手法で設計して良い。また、k0、k1、…、knは風速に乗ずるゲインであり、非特許文献4の技術を用いて求めることができる。この制御入力の構造を図7に示す。
バイアス誤差を相殺する制御ゲインは,非特許文献4の設計手法において,k0、k1、…、knに以下の制約を置いて解くことで得ることができる。
kn=-k0-k1-…-kn-1
kn=-k0-k1-…-kn-1
非特許文献4の設計手法は、これらのゲインに関する線形な制約を持つ最適化問題を解くものであるため、上記の制約を置いた場合もこの設計手法を適用することが可能である。それぞれの鉛直風速値にバイアス誤差δが加わる場合に、この制約のもとで得られたゲインを用いて制御入力を算出すると、k0+k1+…kn=0であることから、
ここで、機体200の上下動揺を低減することが目的の場合は、制御する舵30として、例えば左右のエルロンを同相で変化させるフラッペロンが想定されるが、これに限られず、スポイラーやDLCフラップでもよいし、これらの複数を併用してもよい。あるいはエレベータで姿勢を変化させて、間接的に揚力を変化させてもよい。
また、ウインドシアによる機体200の対気速度変化を低減することが目的の場合は、制御する舵等として、スロットルおよびスポイラーが想定されるが、これに限られず、両者のどちらかを用いてもよいし、両者を併用してもよい。あるいは、プロペラ機の場合はピッチ角も利用できる。
一般的にジェット機の場合は、スロットルで対気速度を調節するのが妥当であるが、時定数が大きいため10数秒の遅れが発生する。スポイラーの展開は抗力が増加するため、燃費効率が低下する。このため、減速する際にはスロットルとスポイラーの展開を同時に行い、対気速度の低下にしたがってスポイラーを徐々に格納する制御が適切である。増速の場合はスロットルのみを使用する。ただし、巡航中に増速制御が必要となる状況は想定しがたく、離着陸時の失速防止が想定されるが、低高度の場合はドップラーライダーの観測距離が長いため、スロットル制御のみでも効果があると考えられる。この場合、光軸を2視線にする必要はなく、例えば、1視線を飛行方向に向け、なおかつレンジビンの数を80個、レンジビンの距離幅を例えば100mにすることにより、計測範囲を8kmにして使用する。
さらに、機体200の横方向の動揺を低減することが目的の場合は、制御する舵として、方向舵が想定される。エルロンを併用して、定常的な横Gを印加してもよい。この場合、前記の例とは異なりレーザ光を前方左右に放射して横風を計測する必要がある。
そして、機体200のロール角の変動を低減することが目的の場合は、制御する舵として、エルロンが想定される。この場合は例えば、図8に示すように4つの視線A~Dを計測する。視線Aと視線Cの計測値をベクトル変換して、右翼が遭遇する鉛直風WZRを算出し、視線Bと視線Dの計測値をベクトル変換して、左翼が遭遇する鉛直風WZLを算出し、WZRとWZLとの差に基づきロール角の変動が少なくなるようにエルロンを制御すればよい。4視線を計測すれば、上下動揺を低減することも、ウインドシアによる対気速度変化を低減することも、横方向の動揺を低減することも可能となる。
以上の処理を繰り返し実行することによって、予見情報に基づく舵角の自動制御(以下、遠隔気流に基づく予見制御ともいう)が行われる。
ここで、機体の動揺を低減する従来のフィードバック制御(加速度センサ500の出力に基づく舵30のフィードバック制御)の場合、制御の遅れの影響で揺れの初動に対しては対応できないか、あるいは逆に加振してしまう可能性があった。
これに対して、本実施形態のような遠隔気流に基づく予見制御の場合は、遅れを見込んで事前に舵を制御することができるので、平均的な遅れの影響は発生せず、遠隔気流の観測誤差や舵角誤差などわずかな影響が残るだけである。
ここで、機体の動揺を低減する従来のフィードバック制御(加速度センサ500の出力に基づく舵30のフィードバック制御)の場合、制御の遅れの影響で揺れの初動に対しては対応できないか、あるいは逆に加振してしまう可能性があった。
これに対して、本実施形態のような遠隔気流に基づく予見制御の場合は、遅れを見込んで事前に舵を制御することができるので、平均的な遅れの影響は発生せず、遠隔気流の観測誤差や舵角誤差などわずかな影響が残るだけである。
以上のように本実施形態によれば、計測の推定誤差または有効・無効を判別する情報を制御で適切に利用することにより、制御の精度および信頼性を向上させることができる。また本実施形態によれば、予見情報に若干の計測誤差があったとしても、航空機が乱気流に突入した際の機体の動揺を低減させ、あるいは機体に加わる荷重を低減させることができる。
乱気流による事故は多数発生しているが、例えば2014年12月16日のアメリカン航空280便の事故があげられる。同機はレーダーで検知できない晴天乱気流に予期せずに遭遇したために機体が激しく動揺し、乗客及び乗員が重傷を負った。本発明の適用により、揚力を適切に自動制御して乱気流遭遇時の機体動揺を低減すれば、このような事故が防止できると考えられる。
また、2002年10月21日に発生した日本航空356便の事故の場合、ウインドシアにより対気速度が増加したことに対し、不適切な操縦が行われて機体が動揺し、乗客及び乗員が重傷を負った。本発明の適用により、推力を適切に自動制御してウインドシアによる対気速度増加を相殺すれば、このような事故が防止できると考えられる。
さらに、2002年9月27日に発生した全日本空輸569便の事故の場合、横風の激しい変化により機体が横に揺れて乗客が重傷を負った。本発明の適用により、方向舵を適切に自動制御して着陸直前の横風変化による機体動揺を低減すれば、このような事故が防止できると考えられる。
[突風応答軽減システムの適用例]
突風応答軽減システムとしての本発明の適用例を以下に示す.非特許文献3と同様に、ジェットエンジンを4基搭載する大型旅客機の、水平定常飛行状態から線形近似により得られる微小縦運動を考える。水平定常飛行状態における高度や速度などの条件を以下の表1に示す。
突風応答軽減システムとしての本発明の適用例を以下に示す.非特許文献3と同様に、ジェットエンジンを4基搭載する大型旅客機の、水平定常飛行状態から線形近似により得られる微小縦運動を考える。水平定常飛行状態における高度や速度などの条件を以下の表1に示す。
制御則は離散時間システムとして与えられており、u(k)は制御入力(エレベータコマンド)の現在値を表す。x(k)は機体の状態量(具体的には速度、角速度、姿勢角など)を表すベクトルである。wa(k)は機体が現在遭遇している鉛直風速を表す。wa(k+1)は現在から離散時間1ステップ後に機体が遭遇する鉛直風速を表す。wa(k+n)は離散時間nステップ後に遭遇する鉛直風速を表す。これらの風速はライダーによる計測値で代替する。例えばサンプリング周期をT秒、機体の速度をVとした場合、wa(k+n)として機体の位置からV×T×n(m)前方の計測値を用いる。この位置とレンジビンが合わない場合は、近傍のレンジビンにおける計測値を内挿した値で代用する。KBは状態量に乗ずる定数のゲイン行列であり、任意の手法で設計して良い。また、k0、k1、…、knは風速に乗ずるゲインであり、非特許文献4の技術を用いて求めることができる。
機体が鉛直方向の突風を受ける場合のシミュレーションを行った。機体はX=0からX軸に沿って進行し、その速度は約220m/sである。計測部からはX軸前方600m先までの鉛直風速の計測値が、レンジビンの距離幅を25mとして0.1秒ごとに得られている。機体が遭遇する鉛直風速は図9にある分布を持つ一様流(高度にかかわらず同じ分布を持つ風速流)とする。X軸位置4676mにピーク値10m/sを持つ鉛直流である。各レンジビンの計測に対し1%の確率でスパイクノイズが発生するものとする。図10に計測値と真値の例を示す。
図10の○印はシミュレーション開始後20.2秒における各レンジビンでの計測値を表しており、4800m付近の計測値に大きなスパイクノイズが乗り、外れ値が発生している。この計測値を用いた制御を実施したシミュレーション結果を図11に示す。破線はスパイクノイズの影響を直接受ける場合、実線は無効フラッグを用いてスパイクノイズ無効化処置を施した場合のエレベータ舵角と垂直加速度を表している。破線の場合はスパイクノイズの影響により過度なエレベータ舵角コマンドが生成され、結果的に大きな垂直加速度が発生している。これに対し実線の場合は本発明によりスパイクノイズが無効化され、破線のような挙動は発生していない。
なお本シミュレーションは突風応答軽減システムとしての本発明の効果を示すものであるが、本発明は突風荷重軽減システムに対しても適用可能である。本シミュレーションは非特許文献4の技術を用いて、垂直加速度を最小化するKBおよびKFを算出したが、同技術は荷重を最小化するゲインを算出することも可能であり、そのようなゲインを用いて構成した突風荷重軽減システムに対しても、本発明を適用することができる。
なお、離着陸時の低高度では大気中のエアロゾル粒子の濃度が高くドップラーライダーの観測距離が長い、乗員乗客がシートベルトを着用している、パイロット単独の判断で飛行経路の変更ができる、本発明に係る制御に不具合が生じた場合に高度低下による墜落のリスクがある、ことから、例えば500m以下の飛行高度では、本発明に係る縦の制御を行うよりも、単にパイロットに乱気流の事前情報を提供するだけの運用の方が望ましい。
本発明の適用にかかわらず、自動制御システムの適用のためには有効性を評価する必要がある。図12に飛行シミュレーション例を示すが、横軸は無制御時の垂直方向加速度変動、縦軸は本発明を適用した場合の垂直方向加速度変動を示す。本実施形態の自動制御システムによれば、結果のプロットがAの部分の破線より下に表示されるように、風速による機体の動揺に関して一定の低減効果が確認された。この例では、ほとんどのプロットが破線の下にあり、制御により動揺がほぼ半分に低減していることがわかるが、一部のプロットは破線の上にある。実用化を進めるにあたっては、その確率および乖離量が許容できるかどうかを判断すればよい。Bの部分の破線に関しては、制御によって動揺が増大する部分を含んでいるが、仮に増大しても悪影響が少ない加速度変動量を設定すればよい。
以上の例は実際に航空機が遭遇した風データに基づく飛行シミュレーション結果であるが、飛行試験の結果を表示してもよい。また、本説明は、加速度変化に関するものであるが、荷重変化に関しても同様の手法により、制御の有効性を評価することができる。
航空機の自動制御システム1の計測部10から出力する風速計測の信頼性情報は、例えば特許文献4の技術のようにハードウェア処理で算出する方法が優れているが、コストやサイズが増加する欠点がある。このためソフトウェアで簡易的に算出する方法を図13を用いて説明する。
図13において、機軸方向に対する光軸L1及びL2のなす角をそれぞれθ1及びθ2としたとき、θ1及びθ2は5~10度が想定され、この場合はほぼ同方向の観測であるとみなせる。したがって、同じ距離にあるレンジビンの風速V1と風速V2との差を計測誤差とする。ただし乱気流がある場合には、該計測誤差に重畳される可能性があるため、該計測誤差には1未満の係数を掛けてもよい。各観測軸から得られたそれぞれの計測値から気流ベクトルを推定する際には、該計測誤差が計測値に含まれるものとして気流ベクトルを推定し、同時にその推定誤差を算出する。このとき、計測誤差や推定誤差が自然界で起こり得る通常の乱気流と比較して極めて大きいとき、例えば各観測軸の風速差が10m/sを超えるような場合は、気流ベクトル推定の信頼性が低下するため、計測値が無効であると判定して、出力データ列に無効フラッグを印加する。この判定の閾値はレンジに応じて異なる値としてもよい。
[その他]
旅客機の事故原因の半数以上は乱気流が関係しており、乱気流事故を減らすことは喫緊の課題である。このため、旅客機の場合、気象レーダーの装備が義務付けられており、乱気流を発生させる積乱雲の発見は可能だが、晴天状態で発生する乱気流は検知できない。
旅客機の事故原因の半数以上は乱気流が関係しており、乱気流事故を減らすことは喫緊の課題である。このため、旅客機の場合、気象レーダーの装備が義務付けられており、乱気流を発生させる積乱雲の発見は可能だが、晴天状態で発生する乱気流は検知できない。
これに対して、ドップラーライダーは晴天時に遠隔気流が観測できるという特長があるものの、有効観測レンジの短さが運航会社のパイロットから指摘されており、実用化の足かせとなっていた。しかし、500m程度の短い観測レンジであっても、本発明の突風応答軽減システムは、航空機が乱気流に遭遇した場合の機体動揺を低減させる手段として好適に適用することが出来る。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々に変形して実施することが可能であり、その実施の範囲も本発明の技術的思想の範囲に属するものである。
例えば以上の実施形態では、計測部10として、電磁波の一種である光波を用いるドップラーライダーの利用を前提に説明したが、電波を用いるドップラーレーダーにも適用できる。この場合、計測部は、航空機の飛行予定方向に向けて電波を放射し、その大気中での散乱波を受信し、前記放射した電波に対して、散乱した電波のドップラーシフト量に基づき、前記電波の放射軸方向の遠隔風速を計測する。
上記の実施形態では、レーザ光の光軸を前方上下二方向に向けた場合について説明したが、前方左右二方向に向けた場合や三方向以上(図8の例では四方向)に向けた場合であっても本発明を適用することができる。
さらに以上の実施形態では、機体200として航空機に適用することを前提としたものであるが、例えば船舶の進行方向の波浪や水流を観測することにより、該船舶の動揺を低減する場合にも適用できる。車両であっても、例えばトンネル出口等の突風による事故の防止効果が期待できる。
1…突風応答または突風荷重軽減システム
10…計測部
11…信号処理部
12…光送受信機
13…切替器
14…第2の望遠鏡
15…第1の望遠鏡
20…制御演算部
30…舵
40…窓
200…機体
10…計測部
11…信号処理部
12…光送受信機
13…切替器
14…第2の望遠鏡
15…第1の望遠鏡
20…制御演算部
30…舵
40…窓
200…機体
Claims (11)
- 航空機が現に受けている風速に対して、将来遭遇する風速との差を予見情報として計測し、その計測値の推定誤差または有効・無効を判別する情報を計測情報に付加して出力する計測部と、
航空機の揚力、抗力または姿勢を制御する舵、もしくは推力を制御する装置と、
前記計測部で計測した航空機の飛行予定方向の風速値に基づき、前記風速が機体に及ぼす作用を減少させるような前記舵の角度または推力を算出し、その算出値に基づいて前記舵または装置へ出力される制御指令を生成する制御演算部と
を具備する航空機の自動制御システム。 - 請求項1に記載の航空機の自動制御システムであって、
前記計測部は、航空機の飛行予定方向に向けて電磁波を放射し、その大気中での散乱波を受信し、前記放射した電磁波に対して、散乱した電磁波のドップラーシフト量に基づき、前記電磁波の放射軸方向の遠隔風速を計測する
航空機の自動制御システム。 - 請求項2に記載の航空機の自動制御システムであって、
前記計測部は、前記電磁波の放射軸を2視線以上設けるまたは走査することにより、風速の2次元または3次元ベクトルを求める
航空機の自動制御システム。 - 請求項1~3のいずれか1つに記載の航空機の自動制御システムであって、
前記制御演算部は、無効の情報が付加された受信信号が除去された受信信号のスペクトル積分の移動平均値に基づいて、前記風速値を算出する
航空機の自動制御システム。 - 請求項1~3のいずれか1つに記載の航空機の自動制御システムであって、
前記航空機に作用する加速度を検出する加速度センサをさらに具備し、
前記制御演算部は、前記推定誤差が設定値以上の場合、または無効の情報が付加された予見情報を受信した場合には、前記加速度センサの出力に基づく前記舵の自動制御を実行する
航空機の自動制御システム。 - 請求項1~3のいずれか1つに記載の航空機の自動制御システムであって、
前記制御演算部は、前記推定誤差を設定値で除し、1から減じた数値をオーソリティと定義して、0またはオーソリティのいずれか大きい値を前記制御指令に乗ずる
航空機の自動制御システム。 - 請求項1~3のいずれか1つに記載の航空機の自動制御システムであって、
前記制御演算部は、前記計測値から前記推定誤差を差し引いた値と0とのいずれか大きい値を前記風速値とみなして前記制御信号を生成する
航空機の自動制御システム。 - 請求項1~3のいずれか1つに記載の航空機の自動制御システムであって、
前記制御演算部は、あるレンジビンの計測誤差があらかじめ想定した絶対値よりも大きい場合または前記計測値に無効の情報が付加されている場合に、その前後のレンジビンにおける計測値を用いて前記舵の角度を算出する
航空機の自動制御システム。 - 請求項1~3のいずれか1つに記載の航空機の自動制御システムであって、
前記制御演算部は、各レンジビンの計測値に対し一定値であるバイアス状の計測誤差が加わるときは、その影響を相殺する制御ゲインを用いる
航空機の自動制御システム。 - 請求項1に記載の航空機の自動制御システムの有効性評価方法であって、
鉛直風速を含む所定の風速流条件下において航空機の飛行試験または飛行シミュレーションを実施し、
前記制御指令に基づく自動制御を実施しない場合の機体の加速度変化量を横軸とし、前記自動制御を実施した場合の機体の加速度変化量を縦軸として、前記飛行試験または飛行シミュレーションの結果をプロットし、
あらかじめ設定した折れ線から下方への前記プロットの乖離を前記自動制御による突風応答軽減効果とみなす
航空機の自動制御システムの有効性評価方法。 - 航空機が現に受けている風速に対して、将来遭遇する風速との差を予見情報として計測する航空機の自動制御システム用の計測装置であって、
2視線以上の電磁波の放射軸から得られたそれぞれの計測値の差を、有効・無効を判別する情報として計測情報に付加して出力する信号処理部
を具備する計測装置。
Priority Applications (2)
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