JP5328477B2 - 風計測装置 - Google Patents
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Description
従来の風計測装置では、所望の風成分の空間規模が散乱体積に対して小さい場合や、散乱体積内に所望の風成分以外の成分(例えば、背景風等)が含まれる場合には、スペクトルパラメータの推定精度が劣化する。その結果、所望の風成分についての風速の推定が困難であったり、推定精度が劣化したりするという問題がある。
また、一般的に、パワースペクトルを高精度に推定するためには、散乱体積内に存在するすべての要素のパラメータを推定する必要があるので、演算量が増大するという問題もある。
推定条件(背景情報および制約条件)をあらかじめ第1スペクトルパラメータ推定手段に入力することにより、スペクトルパラメータの推定に係る演算量を低減することができる。
そのため、所望の風成分の風速を、比較的小さな演算量で、かつ高精度に推定することができる風計測装置を得ることができる。
図1は、この発明の実施の形態1に係る風計測装置10を示すブロック構成図である。
図1において、風計測装置10は、ドップラスペクトル算出部1(ドップラスペクトル算出手段)と、推定条件入力部2(推定条件入力手段)と、第1スペクトルパラメータ推定部3(第1スペクトルパラメータ推定手段)と、スペクトルパラメータ判定部4(スペクトルパラメータ判定手段)とを備えている。
ドップラスペクトル算出部1は、電波として空間に放射されたパルス状の送信信号が、雨滴や大気乱流等(目標物)で反射されて受信された受信信号を、時間領域から周波数領域の信号に変換することにより、ドップラスペクトルを算出する。
まず、電波として空間に放射され、雨滴や大気乱流等で反射されて受信された受信信号は、ドップラスペクトル算出部1で周波数変換され、ドップラスペクトルが算出される。ここで、ドップラスペクトルをガウス分布と考えると、ドップラスペクトルGは、次式(1)で表される。式(1)において、gdは振幅、fdは平均、σdは標準偏差、fは周波数を示している。
図2において、ドップラスペクトルは、振幅、平均および標準偏差によって規定され、これらはそれぞれ信号強度、ドップラ速度および速度幅に相当する。
図3において、ドップラスペクトルは、各風成分を合成したものとなり、風成分の数、各風成分における振幅(信号強度)、平均(ドップラ速度)および標準偏差(速度幅)がスペクトルパラメータとなる。
なお、推定条件として、受信信号中に含まれる風成分の数および送信パルスのスペクトル幅を設定することにより、さらに推定するパラメータ数を減らして演算量を低減することができる。
なお、上記観測領域の背景風情報に加え、受信信号中に含まれる風成分の数を推定条件として設定することにより、パラメータの推定精度、すなわち風成分の推定精度を向上させるとともに、さらに推定するパラメータ数を減らして演算量を低減することができる。
また、風成分の数を絞ることができるので、次回以降の風成分の推定において、新たに推定条件として用いることができ、パラメータの推定に係る演算量を低減することができる。
推定条件(背景情報および制約条件)をあらかじめ第1スペクトルパラメータ推定手段に入力することにより、スペクトルパラメータの推定に係る演算量を低減することができる。
そのため、所望の風成分の風速を、比較的小さな演算量で、かつ高精度に推定することができる風計測装置を得ることができる。
上記実施の形態1では、第1スペクトルパラメータ推定部3が、ドップラスペクトル算出部1で受信信号から算出されたドップラスペクトルに基づいて、常時スペクトルパラメータを推定している。しかしながら、これに限定されず、第1スペクトルパラメータ推定部3は、受信信号に複数の風成分が存在する場合のみ、スペクトルパラメータを推定してもよい。
以下、第1スペクトルパラメータ推定部3が、受信信号に複数の風成分が存在する場合のみ、スペクトルパラメータを推定する処理について説明する。
図4において、風計測装置10Aは、図1に示した風計測装置10に加えて、第2スペクトルパラメータ推定部5(第2スペクトルパラメータ推定手段)と、成分数判定部6(成分数判定手段)と、諸元算出部7(ドップラ速度算出手段)とを備えている。なお、その他の構成については、実施の形態1と同様であり、その説明は省略する。
第2スペクトルパラメータ推定部5は、ドップラスペクトル算出部1で算出されたドップラスペクトルに基づいて、ドップラスペクトルに対する1組のスペクトルパラメータを推定(算出)する。
まず、実施の形態1と同様に、電波として空間に放射され、雨滴や大気乱流等で反射されて受信された受信信号は、ドップラスペクトル算出部1で周波数変換され、ドップラスペクトルが算出される。
なお、これ以降の第1スペクトルパラメータ推定部3およびスペクトルパラメータ判定部4の動作は、実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
これにより、受信信号に複数の風成分が存在する場合のみ、第1スペクトルパラメータ推定手段がスペクトルパラメータを推定することとなり、常時スペクトルパラメータを推定する場合と比較して、スペクトルパラメータの推定に係る演算量を低減することができる。
Claims (10)
- パルス状の送信信号を電波として空間に放射し、目標物で反射されて受信される受信信号のドップラ周波数から得られるドップラ速度に基づいて、遠隔点の風速を計測する風計測装置であって、
前記受信信号を周波数変換してドップラスペクトルを算出するドップラスペクトル算出手段と、
前記ドップラスペクトルおよび推定条件に基づいて、前記ドップラスペクトルに対するスペクトルパラメータを推定する第1スペクトルパラメータ推定手段と、
前記受信信号が得られた付近の領域における背景情報、および前記スペクトルパラメータを推定する際の制約条件を、前記推定条件として前記第1スペクトルパラメータ推定手段に入力する推定条件入力手段と、
前記スペクトルパラメータから所望の風成分を抽出し、この所望の風成分のドップラ速度を算出するスペクトルパラメータ判定手段と、
前記ドップラスペクトルに基づいて、前記ドップラスペクトルに対する1組のスペクトルパラメータを推定する第2スペクトルパラメータ推定手段と、
前記1組のスペクトルパラメータに基づいて、前記受信信号中に存在する風成分の数が1つであるか複数であるかを判定する成分数判定手段と、
前記1組のスペクトルパラメータに基づいて、風成分のドップラ速度を算出するドップラ速度算出手段と、を備え、
前記成分数判定手段は、前記受信信号中に存在する風成分の数が1つであると判定した場合に、前記1組のスペクトルパラメータを前記ドップラ速度算出手段に出力し、前記受信信号中に存在する風成分の数が複数であると判定した場合に、前記ドップラスペクトルを前記第1スペクトルパラメータ推定手段に出力する
ことを特徴とする風計測装置。 - 前記推定条件入力手段は、前記受信信号中に含まれる風成分の数を前記推定条件として設定することを特徴とする請求項1に記載の風計測装置。
- 前記推定条件入力手段は、前記送信信号の送信パルスのスペクトル幅を前記推定条件として設定することを特徴とする請求項1に記載の風計測装置。
- 前記推定条件入力手段は、前記受信信号中に含まれる風成分の数、および前記送信信号の送信パルスのスペクトル幅を前記推定条件として設定することを特徴とする請求項1に記載の風計測装置。
- 前記推定条件入力手段は、前記受信信号に対応する観測領域の背景風のドップラ速度および速度幅を前記推定条件として設定することを特徴とする請求項1に記載の風計測装置。
- 前記推定条件入力手段は、前記受信信号に対応する観測領域の背景風のドップラ速度および速度幅、並びに前記受信信号中に含まれる風成分の数を前記推定条件として設定することを特徴とする請求項1に記載の風計測装置。
- 前記推定条件入力手段は、前記受信信号に対応する観測領域に含まれる既知の風成分のドップラ速度および速度幅を前記推定条件として設定することを特徴とする請求項1に記載の風計測装置。
- 前記成分数判定手段は、前記1組のスペクトルパラメータとして得られる振幅値と所定の振幅値とを比較し、両者の差が所定値よりも大きい場合に、前記受信信号中に複数の風成分が存在すると判定することを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の風計測装置。
- 前記成分数判定手段は、前記1組のスペクトルパラメータとして得られるスペクトル幅と所定のスペクトル幅とを比較し、両者の差が所定値よりも大きい場合に、前記受信信号中に複数の風成分が存在すると判定することを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の風計測装置。
- 前記成分数判定手段は、前記1組のスペクトルパラメータとして得られるスペクトルの平均値と中央値とを比較し、両者の差が所定値よりも大きい場合に、前記受信信号中に複数の風成分が存在すると判定することを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の風計測装置。
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