JP3570353B2 - 後方乱気流観測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、滑走路上空にレーザビームを送信ないし走査して航空機の離着陸により発生した後方乱気流の観測を行う後方乱気流観測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、航空機の安全性はレーダや管制システムによる地上からの支援により大幅に向上しており、最近では航空機の離着陸により発生する後方乱気流による影響をも考慮した航空管制が検討されている。なお、このような後方乱気流の監視を行う後方乱気流観測装置では、検出用のセンサとして例えばレーザビームを送信ないし走査する光送受信機を用いることが考えられるが、航空機の離陸経路および着陸経路は各航空機により一定ではなく、滑走路上空を広範囲にビーム走査して後方乱気流の検出を行うのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の後方乱気流観測装置では、例えば、後方乱気流が発生していない範囲を含めた広範囲にレーザビームを走査して後方乱気流の検出処理を行っているため、光送受信機により受信した多量の受信データについて後方乱気流の検出処理を行う必要があり、光送受信機によるビーム走査時間及び後方乱気流の検出処理に無駄な時間を要するという問題点があった。
【0004】
例えば、図20は広範囲のビーム走査によって入手した滑走路上空における風向及び風速情報についての説明図であり、仰角及び方位方向を座標軸とする2次元の風向及び風速情報について図示されている。図20に示すように、従来の後方乱気流観測装置においては、最終的には背景風27として削除される部分の風向及び風速情報が後方乱気流情報28として検出される部分のそれよりも多く、上述したように無駄なビーム走査および後方乱気流の検出処理が行われていたことになる。
【0005】
特に、レーザビームを機械的に走査するものでは、ビーム走査自体に時間を要するため、たとえ高速な演算装置を用いて後方乱気流の検出処理を行ったとしても、レーザビームのビーム走査時間自体は短縮することはできず効率的な後方乱気流の検出を行うことはきわめて困難であった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたものであり、滑走路上空に発生した後方乱気流を正確かつ効率的に検出することができる新規な後方乱気流観測装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る後方乱気流観測装置は、航空機の離着陸に伴い発生した後方乱気流の観測を行う後方乱気流観測装置において、レーザビームを走査してその反射波を受信する光送受信機と、この光送受信機により受信した滑走路上空における航空機の反射波から上記航空機の位置を検出する航空機位置検出部と、この航空機位置検出部の位置情報から上記航空機の航跡を判定する航跡判定部と、この航跡判定部の航跡情報に応じて上記光送受信機のビーム走査範囲を上記航空機の航跡周辺に限定する方位・仰角指示部と、この方位・仰角指示部により指示された上記航跡周辺のビーム走査により上記後方乱気流の検出を行う後方乱気流検出部とを備えたものである。
【0008】
請求項2の発明に係る後方乱気流観測装置は、航空機の離着陸に伴い発生した後方乱気流の観測を行う後方乱気流観測装置において、レーザビームを走査してその反射波を受信する光送受信機と、航空機の侵入又は出発を監視する空港監視レーダと、この空港監視レーダにより検出された滑走路上空における航空機の位置情報を上記光送受信機の設置位置を基準とした航跡情報に座標変換する座標変換部と、この座標変換部の航跡情報に応じて上記光送受信機のビーム走査範囲を上記航空機の航跡周辺に限定する方位・仰角指示部と、この方位・仰角指示部により指示された上記航跡周辺のビーム走査により上記後方乱気流の検出を行う後方乱気流検出部とを備えたものである。
【0011】
請求項の発明に係る後方乱気流観測装置は、航空機の離着陸に伴い発生した後方乱気流の観測を行う後方乱気流観測装置において、レーザビームを走査してその反射波を受信する光送受信機と、この光送受信機により受信した反射波から滑走路上空における風向及び風速情報を検出する風向・風速検出部と、この風向・風速検出部により検出された風向・風速情報から上記後方乱気流の発生位置を検出する渦位置検出部と、この渦位置検出部の位置情報に応じて上記光送受信機のビーム走査範囲を上記後方乱気流の発生位置周辺に限定するビーム制御部と、このビーム制御部により指示された上記発生位置周辺のビーム走査により上記後方乱気流の検出を行う後方乱気流検出部とを備えたものである。
【0012】
請求項の発明に係る後方乱気流観測装置は、上記光送受信機を複数台設置し、これら複数の光送受信機により上記ビーム走査範囲内をビーム走査するようにしたものである。
【0013】
請求項の発明に係る後方乱気流観測装置は、上記レーザビームを1.5μm帯の波長としたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施の形態について図1乃至図9を用いて説明する。図1はこの発明の一実施の形態による後方乱気流観測装置を示すブロック構成図、図2は図1に示すビーム制御部の構成を示すブロック構成図であり、まず本実施の形態による後方乱気流観測装置の具体的構成について説明する。図1において、1は所定諸元のレーザビームを空中に送信ないし走査し、空気中の塵等によって反射された反射波を受信する光送受信機、2は光送受信機1により受信された受信データからそのドップラシフト量を求め、このドップラシフト量から大気の風向及び風速値などを検出する風向・風速検出部、3は風向・風速検出部2により検出されたいわゆる風向及び風速情報を後述するビーム制御部からの方位・仰角指示信号に基づいてビーム走査毎に合成・編集すると共に、この合成・編集された風向及び風速情報から航空機の離着陸に伴い発生した滑走路上空の後方乱気流、即ち、渦状の気流部分を後方乱気流情報として抽出する合成処理部、4は合成処理部3により抽出された後方乱気流情報を表示信号に変換して表示部に表示させる表示処理部、5は光送受信機1により受信された受信データとビーム制御部からの方位・仰角指示信号とに基づいてから航空機の位置を検出する航空機位置検出部、6は予めプログラムされた広範囲のビーム走査範囲又は航空機位置検出部5の位置情報に基づく限定されたビーム走査範囲をCPU(図示省略)等の処理に従って光送受信機1などに指示するビーム制御部である。
【0015】
また、図2において、7は航空機位置検出部5により検出された航空機の位置情報から滑走路上空における航空機の航跡などを判定する航跡判定部、8はこの航跡判定部7により判定されたいわゆる航跡情報に応じて光送受信機1のビーム走査範囲を変更し、光送受信機1のビーム走査が航空機の航跡中心付近に限定されるような方位・仰角指示信号を作成する方位・仰角指示部である。図2に示すように、方位・仰角指示部8には航跡判定部7のいわゆる航跡情報が入力されており、この航跡情報に応じて光送受信機1のビーム走査範囲が観測範囲全域から航空機の航跡中心付近に限定される。なお、本実施の形態による後方乱気流観測装置では、光送受信機1と光送受信機1の受信データから航空機の位置を検出する航空機位置検出部5により航空機検出手段が構成されているが、後述するように、滑走路から離陸又は着陸した滑走路上空における航空機の位置情報を検出できる手段(例えば、1次監視レーダ)であればいずれの手段を用いてもよい。
【0016】
図3は図1に示すような後方乱気流観測装置による後方乱気流(離陸側)の観測状況を模式的に示した観測状況説明図である。図3に示すように、光送受信機1は例えば管制塔9の所定位置に設置され、そこから所定諸元のレーザビーム10が滑走路11上空の観測範囲12に対して送信ないし走査される。光送受信機1から送信ないし走査されるレーザビーム10はその直径がわずか10mm程度のものであるが、例えばこのレーザビーム10を所定の仰角方向に走査し、これを方位方向に繰り返して行うことにより所望の観測範囲について後方乱気流の検出を行うことができる。13は滑走路11から離陸した航空機である。また、使用するレーザビームの波長としては、例えば1.5μm帯が好ましい。1.5μm帯のレーザビームは他の波長に比べて視覚への影響が少なく(安全性が高い)、かつ、例えば8mJのパワーとした場合にも5km遠方で発生した後方乱気流を十分検出することが可能である。なお、このような特性は以下の各実施の形態による後方乱気流観測装置においても同様である。
【0017】
また、空港における後方乱気流の観測では、滑走路11の離陸側と着陸側の両方で後方乱気流の検出を行う必要があるが、各観測範囲は空港の規模、周辺環境などに基づいてそれぞれ所定の観測範囲を設定する。例えば、図4は滑走路11の離陸側及び着陸側に設定された後方乱気流の観測範囲を示す観測範囲説明図であり、図4において、14は滑走路11の離陸側に設定された後方乱気流の観測範囲、15は着陸側に設定された後方乱気流の観測範囲である。図4に示すように、観測範囲の設定に際しては、例えば、1NM(nautical mile)角を観測単位とする単位観測範囲(滑走路の幅方向は図示省略)を空港の規模、周辺環境などに基づいて所定数滑走路の長手方向に設定する。図4では離陸側に2NMの長さを有する観測範囲、着陸側に3NMの長さを有する観測範囲がそれぞれ設定されている。
【0018】
次に、本実施の形態による後方乱気流観測装置の動作について図5乃至図9を用いて詳細に説明する。図5は図1に示す後方乱気流観測装置の全体的な動作を示すフローチャート図、図6乃至図9はそれぞれ図5による後方乱気流観測装置の観測動作を具体的に説明するための動作説明図である。なお、後方乱気流の観測は離陸側も着陸側も同様にして行われるので、ここでは図3を参照して離陸側における後方乱気流の観測について本実施の形態による後方乱気流観測装置の動作を説明する。
【0019】
まず、滑走路11において、航空機13が離陸待機状態になると、光送受信機1には方位・仰角指示部8により作成された広範囲のビーム走査を指示する方位・仰角指示信号が入力される。光送受信機1はこの方位・仰角指示信号によりレーザビーム11を広範囲、すなわち観測範囲全域にビーム走査し、その反射波を受信する(S01)。このビーム走査は機械的に実施してもよいし、電子的に実施するよう構成してもよい。一般に、機械的にビーム走査を行うものは電子的に行うものよりもビーム走査速度が遅く、同一観測範囲をビーム走査する場合に比較的長時間を要するが、本発明に係る後方乱気流観測装置では、光送受信機1によるビーム走査時間の短縮化が図れるので、いずれの方式によっても比較的短時間で後方乱気流の観測を行うことが可能である。
【0020】
光送受信機1により受信された受信データは風向・風速検出部2と航空機位置検出部5にそれぞれ入力される。ここで、風向・風速検出部2ではいわゆる風向・風速情報の検出は行われず、航空機位置検出部5により航空機13の検出が行われる(S02)。例えば、航空機13からの反射波は空気中の塵等からの反射波よりも受信強度が高いので、所定値以上の受信強度を有した反射波を航空機13からの反射波として検出すればよい。なお、航空機位置検出部5にはビーム制御部6からの方位・仰角指示信号が入力されており、この方位・仰角指示信号により滑走路11上空のどの位置からの反射波であるか確認することができる。これにより滑走路11上空の航空機13の位置を検出することが可能である。なお、航空機13が非検出の場合には、航空機13がまだ滑走路11上に待機していると考えられるため、他に観測停止の指示があるまでは光送受信機1による観測範囲全域についてのビーム走査が繰り返し行われる。
【0021】
航空機位置検出部5により航空機13の検出が行われると、その位置情報はビーム制御部6の航跡判定部7に入力され、ここで滑走路11上空における航空機13についての航跡判定処理が行われる(S03)。具体的には図6に示すような所定時間毎の航跡16とその航跡を線で結んだ航跡中心17について判定処理が行われる。図6は航跡判定部7により判定された航空機13のいわゆる航跡情報を模式的に示した航跡情報説明図であり、図6(a)は滑走路9の上方から見た航跡情報説明図、図6(b)は滑走路9の側面から見た航跡情報説明図である。このように航跡判定部7の航跡判定によって各航空機の離陸経路又は着陸経路を正確に把握することができる。航跡判定部7により判定された航跡情報は方位・仰角指示部8に入力される。
【0022】
方位・仰角指示部8は航跡判定部7の航跡情報が入力されると、この航跡情報に応じたビーム走査範囲を指示する方位・仰角指示信号の作成を行い、この方位・仰角指示信号により光送受信機1のビーム走査範囲の変更を行う(S04)。具体的には、光送受信機1のビーム走査が航跡中心17付近に限定されるような方位・仰角指示信号の作成を行い、この方位・仰角指示信号を光送受信機1に対して出力する。光送受信機1は方位・仰角指示部8から航跡判定部7の航跡情報に応じたビーム走査範囲が指示されると、当初のビーム走査範囲を航跡判定部7の航跡情報に応じたビーム走査範囲に変更し、以後、この航跡情報に応じたビーム走査範囲によるビーム走査を繰り返し行い、その反射波を受信する。
【0023】
図7は航跡判定部7の航跡情報に応じて設定されたビーム走査範囲の例を模式的に示したビーム走査範囲説明図である。図7において、14は当初のビーム走査範囲、18は航跡判定部7の航跡情報に応じて変更されたビーム走査範囲である。上述したように、航空機の離陸経路又は着陸経路は各航空機によって微妙に異なっており、光送受信機1のビーム走査範囲を任意に限定した場合には光送受信機1から送信されたレーザビーム10が後方乱気流の発生位置からずれてしまい、正確な後方乱気流の検出を行うことは困難となるが、本実施の形態による後方乱気流観測装置では、上述したように、実際の航空機13の航跡情報に基づいてビーム走査範囲が限定されるので、光送受信機1から送信されるレーザビーム10を後方乱気流が含まれる領域に正確に送信およびビーム走査することが可能である。
【0024】
航跡判定部7の航跡情報に応じたビーム走査により受信された受信データは風向・風速検出部3に入力され、この受信データからドップラシフト量、すなわち大気の風向及び風速値などが検出される(S05)。このように、本実施の形態による後方乱気流観測装置では、航跡判定部7の航跡情報に応じたビーム走査範囲18のビーム走査により受信された受信データからドップラシフト量、すなわち大気の風向及び風速値などが検出されるので、広範囲のビーム走査により受信された受信データからドップラシフト量を検出する場合に比べて風向・風速検出部3において検出処理される受信データ量を大幅に削減することができる。
【0025】
なお、風向・風速検出部3により検出された風向及び風速値はビーム走査毎の風向及び風速値であり、これらビーム走査毎の風向及び風速値はそれぞれ合成処理部4に入力され、ここで図8に示すような風向及び風速情報に合成・編集される(S06)。図8は合成処理部4によって合成・編集された風向及び風速情報の例を示す風向及び風速情報説明図である。図8において、横軸は方位方向、縦軸は仰角方向であり、仰角及び方位方向を座標軸とする2次元の風向及び風速情報を示している。図8に示すように、本実施の形態による後方乱気流観測装置では、背景風19として最終的に削除される部分を最小限にして後方乱気流情報20を含む風向及び風速情報を得ることができる。
【0026】
また、合成処理部4では図8に示すような風向及び風速情報から、さらに後方乱気流情報20の抽出が行われる(S07)。具体的には、図8に示すような風向及び風速情報から風向の符号と風速値とを検出し、これら風向の符号と風速値とから大気が渦状に変化している部分を後方乱気流情報として抽出する。図8において(―)符号は右方向への風の向き、(+)符号は左方向への風の向き、数値は風速値をそれぞれ示しており、図8に示す後方乱気流情報20から図9に示すような2つの渦が発生していることが分かる。なお、図9は図8に示す後方乱気流情報20をイメージ化したものであり、例えば、このような2次元的な渦の状態がモニタなどに表示部に後方乱気流として表示される。このような後方乱気流情報20が距離毎に合成・編集され、表示処理部4に出力される。
【0027】
表示処理部4では、合成処理部3により抽出された後方乱気流情報20がCRTなどの表示部に表示するための表示信号に変換され、表示部に表示される(S08)。表示部に表示する後方乱気流情報20は図9に示すような2次元的なものでもよいし、各距離毎に合成編集された複数の渦を3次元的に表示するものでもよい。なお、航空機の離着陸により発生する後方乱気流は、通常左右一対のものであり、表示部には左右一対の渦がそれぞれ表示される。
【0028】
以上のように、本実施の形態による後方乱気流観測装置によれば、航空機13の位置情報から滑走路11上空における航空機13の航跡判定を行い、この航跡情報に応じて光送受信機1から送信されるレーザビーム10のビーム走査範囲を航跡中心17を中心とした狭い範囲に設定することができるので、後方乱気流の検出が正確にできる一方、光送受信機1のビーム走査時間を大幅に短縮することができる。また、光送受信機1により受信される受信データが大幅に削減されるので、例えば最終的に背景風19として削除される部分の風向及び風速情報を少なくすることができ、効率的な後方乱気流の検出を行うことができる。
【0029】
なお、上記実施の形態による後方乱気流観測装置では、図1に示すように1台の光送受信機1を後方乱気流検出用のセンサと使用したが、機械的にレーザビームを走査するものでは、上述したように演算処理時間よりもビーム走査自体長時間を要するため、2台以上の光送受信機1を設置して各光送受信機1のビーム走査範囲をさらに狭くするようにしてもよい。このように、航跡情報に応じて設定されたビーム走査範囲をさらに複数の光送受信機1により区分することにより、光送受信機1のビーム走査時間をさらに短縮することができ、より効率的な後方乱気流の検出を行うことができる。
【0030】
実施の形態2.
次に本発明の他の実施の形態について説明する。上記実施の形態による後方乱気流観測装置では、方位・仰角指示部8が航跡判定部7の航跡情報に応じて方位・仰角指示信号を作成していたが、図6及び図7に示すような航空機13の航跡中心17、即ち航空機の離陸経路又は着陸経路はいくつかのパターンに分けることができる。本実施の形態による後方乱気流観測装置は、航空機の離陸経路又は着陸経路に応じた複数のビーム走査範囲を予め記憶部に記憶しておき、航跡判定部7の航跡情報に応じたビーム走査範囲をこの記憶部から読み出して光送受信機1に対して指示するというものである。
【0031】
図10は本実施の形態による後方乱気流観測装置のビーム制御部の構成を示すブロック構成図である。図10において21は航空機の離陸経路又は着陸経路に応じたビーム走査範囲が予め記憶された記憶部、8bは航跡判定部7の航跡情報に応じて記憶部21から読み出したビーム走査範囲を指示する方位・仰角指示信号を光送受信機1に対して出力する方位・仰角指示部であり、図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。方位・仰角指示部8bは航跡判定部7の航跡情報が入力されると、その航跡中心17に最も近い離陸経路又は着陸経路のビーム走査範囲を記憶部21から選定し、対応する方位・仰角指示信号を光送受信機1に対して出力する。
【0032】
本実施の形態による後方乱気流観測装置によれば、航空機の航跡情報、即ち航空機の離陸経路又は着陸経路に応じた複数のビーム走査範囲を予め記憶部21に記憶しておき、この記憶部21から読み出したビーム走査範囲に対応する方位・仰角指示信号を光送受信機1に出力して光送受信機1のビーム走査を制御するように構成したので、航跡判定部7の航跡情報が入力されるたびに方位・仰角指示信号の作成を行う必要がなく、さらに効率的な後方乱気流の検出を行うことができる。
【0033】
実施の形態3.
次に本発明の他の実施の形態について説明する。上記実施の形態による後方乱気流観測装置は、いずれも光送受信機1により受信した受信データから航空機の位置情報を入手するというものであったが、通常、空港には航空機の位置を監視する各種の空港監視レーダが備え付けられており、このような空港監視レーダにより検出された航空機の位置情報などに基づいて光送受信機1に対して指示するビーム走査範囲を設定するようにしてもい。本実施の形態による後方乱気流観測装置は、Airport Surveillance Radar(ASR)という1次監視レーダからの位置情報に基づいて光送受信機1に対して指示するビーム走査範囲を設定するものである。
例えば、空港周辺空域において航空機の侵入及び出発を監視するがあり、
【0034】
図11はこの発明の他の実施の形態による後方乱気流観測装置の全体構成を示すブロック構成図、図12は図11に示すビーム制御部の具体的構成を示すブロック構成図である。図11において、22は空港周辺空域において航空機の侵入及び出発を監視する1次監視レーダである。図11に示すように、本実施の形態による後方乱気流観測装置では、光送受信機1の受信データから航空機の位置を検出する航空機位置検出部は設けられておらず、ビーム制御部6cでは1次監視レーダ22からの位置情報に基づいて光送受信機1に指示するビーム走査範囲の設定が行われる。また図12において、23は1次監視レーダ22により入手された航空機の位置情報を光送受信機1の設置位置を基準とした航跡情報に座標変換する座標変換部であり、方位・仰角指示部8cは座標変換部23により座標変換された航跡情報に応じて光送受信機1に出力する方位・仰角指示信号を作成する。なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0035】
以上のように、本実施の形態による後方乱気流観測装置によれば、1次監視レーダ22により入手された航空機13の位置情報に基づいて光送受信機1に指示するレーザビーム11のビーム走査範囲を設定できるので、航空機の検出のために光送受信機1をわざわざビーム走査させる必要がなく、さらに効率的な後方乱気流の検出を行うことができる。
【0036】
なお、本実施の形態による後方乱気流観測装置においても、上記実施の形態による後方乱気流観測装置のように、航空機の離陸経路又は着陸経路に応じた複数のビーム走査範囲を予め記憶部に記憶しておき、この記憶部から読み出したビーム走査範囲に対応する方位・仰角指示信号を光送受信機1に出力して光送受信機1のビーム走査を制御するように構成してもよい。また、複数の光送受信機1を検出用のセンサとして用いるようにしてもよい。
【0037】
実施の形態4.
次に本発明の他の実施の形態について説明する。上述したように、空港には航空機の位置を監視する各種の空港監視レーダが備え付けられており、これらを利用してさらに効率的な後方乱気流の検出を行うことができる。本実施の形態による後方乱気流観測装置は、Airport Surface Detection Equipment(ASDE)という空港面探知レーダからの受信ビデオ信号に基づいて光送受信機1に対して指示するビーム走査範囲を設定するものである。一般に、航空機の離着陸に伴って発生する後方乱気流の大きさは、航空機の大きさに比例しており、空港面探知レーダからの受信ビデオ信号に基づき最適なビーム走査範囲の設定を行うことができる。
【0038】
図13はこの発明の他の実施の形態による後方乱気流観測装置の全体構成を示すブロック構成図、図14は図13に示すビーム制御部の具体的構成を示すブロック構成図である。図13において、24は空港面内における航空機、車両などを探知する空港面探知レーダである。図13に示すように、本実施の形態による後方乱気流観測装置では、航空機位置検出部5からの位置情報と空港面探知レーダ24により受信された受信ビデオ信号がビーム制御部6dにそれぞれ入力されている。また、図14において、25は空港面探知レーダ24からの受信ビデオ信号から当該受信ビデオの広がりを判別し、例えば大型、中型、小型の機体情報を作成する機体判定部であり、方位・仰角指示部8dは航跡判定部7の航跡情報及び機体判定部23の機体情報に応じて光送受信機1に出力する方位・仰角指示信号を作成する。図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0039】
なお、図15は機体判定部23により判定された機体情報に応じて設定されるビーム走査範囲の例を示すビーム走査範囲説明図である。例えば、機体情報が小の場合には図15(a)に示すビーム走査範囲が光送受信機1に対して指示され、機体情報が大の場合には図15(b)に示すビーム走査範囲が光送受信機1に対して指示される(機体情報が中の場合については図示省略する。)。
【0040】
以上のように、本実施の形態による後方乱気流観測装置によれば、さらに機体判定部25により航空機の大きさが判定され、当該航空機の大きさ応じたビーム走査範囲18a又は18bが光送受信機1に対して指示されるので、上記実施の形態1.による後方乱気流観測装置に比べてさらに効率的かつ正確な後方乱気流の検出を行うことができる。本実施の形態による後方乱気流観測装置の機体判定部23では、空港面探知レーダ24からの受信ビデオ信号から当該受信ビデオの広がりを判別し、例えば大型、中型、小型の3種類の機体情報を作成するようにしたが、後方乱気流観測装置の演算能力、各空港における航空機の種類などに応じた必要数の機体情報を作成し方位・仰角指示部8dに指示するようにすればよい。
【0041】
なお、本実施の形態による後方乱気流観測装置においても、例えば上記実施の形態2.による後方乱気流観測装置のように、予め機体情報に応じた複数のビーム走査範囲を指示する方位・仰角指示信号を記憶部に記憶しておき、航跡判定部7、機体判定部25の判定結果に応じた方位・仰角指示信号を記憶部から読み出して光送受信機1に指示するよう構成してもよい。また複数の光送受信機1を検出用のセンサとして用いてもよい。
【0042】
実施の形態5.
次に本発明の他の実施の形態について説明する。上記実施の形態4.による後方乱気流観測装置は光送受信機1により受信した受信データから航空機の位置情報を入手するというものであったが、上記実施の形態3.による後方乱気流観測装置と同様に航空機位置検出部5に代えて1次監視レーダにより航空機の位置を検出するようにしてもよい。本実施の形態による後方乱気流観測装置は、1次監視レーダ及び空港面探知レーダを利用して最適なビーム走査範囲を光送受信機1に対して指示するものである。
【0043】
図16はこの発明の他の実施の形態による後方乱気流観測装置の全体構成を示すブロック構成図、図17は図16に示すビーム制御部の具体的構成を示すブロック構成図である。図17に示すように、本実施の形態による後方乱気流観測装置では、方位・仰角指示部8eは座標変換部23により座標変換された1次監視レーダ22からの位置情報と機体判定部25により判定された空港面探知レーダ24の受信ビデオ信号に応じた機体情報とに基づいて光送受信機1に対して指示するビーム走査範囲の設定が行われる。なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0044】
以上のように、本実施の形態による後方乱気流観測装置によれば、例えば空港内に設置されている既存の空港監視レーダにより滑走路上空における航空機の位置情報および機体情報を入手し、この位置情報および機体情報に基づいて設定したビーム走査範囲を光送受信機1に対して指示するので、わざわざ航空機の検出のために光送受信機1による広範囲のビーム走査を行う必要がなく、さらに効率的な後方乱気流の検出を行うことができる。
【0045】
なお、本実施の形態による後方乱気流観測装置においても、例えば上記実施の形態2.による後方乱気流観測装置のように、予め航跡情報および機体情報に応じた複数のビーム走査範囲を指示する方位・仰角指示信号を記憶部に記憶しておき、航跡判定部7および機体判定部25の判定結果などに応じた方位・仰角指示信号を記憶部から読み出して光送受信機1に指示するようにしてもよく、同様の効果を得ることができる。また複数の光送受信機1を検出用のセンサとして用いるようにしてもよい。
【0046】
実施の形態6.
次に本発明の他の実施の形態について説明する。上記実施の形態による後方乱気流観測装置は、いずれも航空機の位置を検出し、その位置情報に基づいて光送受信機1のビーム走査範囲を最小限のビーム走査範囲に限定するというものであったが、滑走路上空に発生した実際の後方乱気流はたとえ同一機種のものであってもそのときの周辺環境により微妙に異なる場合がある。従って、航空機の位置情報に基づいてビーム走査範囲を限定するというのも有効な手法であるが、実際に発生した後方乱気流に基づいてビーム走査範囲を設定した方がより正確にビーム走査範囲の設定を行うことができる。本実施の形態による後方乱気流観測装置は、実際に検出された後方乱気流情報に基づいて光送受信機1に指示するビーム走査範囲を設定するものである。
【0047】
図18はこの発明の他の実施の形態による後方乱気流観測装置の全体構成を示すブロック構成図である。図18において、26は広範囲のビーム走査により入手した例えば図20に示すような風向及び風速情報から後方乱気流情報を抽出し、この後方乱気流情報から後方乱気流の発生位置及びその中心位置を検出する渦位置検出部である。ビーム制御部6fは渦位置検出部26により検出された後方乱気流の位置情報に応じて光送受信機1にビーム走査範囲の指示を行う。なお、図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0048】
以上のように、本実施の形態による後方乱気流観測装置によれば、実際に発生した後方乱気流の位置情報に応じて光送受信機1のビーム走査範囲を指示するので、航空機の位置情報に基づいてビーム走査範囲を設定する場合よりもさらに正確な後方乱気流の検出を行うことができる。なお、滑走路上空に発生した後方乱気流は消滅するまでに時間を要するので、観測当初は広範囲によるビーム走査および合成処理部3における後方乱気流の検出処理を行っても、後方乱気流の発生位置などの検出後、ビーム走査範囲を限定したビーム走査を行うことにより効率的な後方乱気流の検出を行うことができる。
【0049】
なお、本実施の形態による後方乱気流観測装置においても、例えば上記実施の形態2.による後方乱気流観測装置のように、予め後方乱気流の発生位置に応じた複数のビーム走査範囲を指示する方位・仰角指示信号を記憶部に記憶しておき、渦位置検出部26の位置情報に応じたビーム走査範囲を記憶部から読み出して光送受信機1に指示するようにしてもよい。また複数の光送受信機1を検出用のセンサとして用いるようにしてもよい。
【0050】
実施の形態7.
次に本発明の他の実施の形態について説明する。本実施の形態による後方乱気流観測装置は、上記実施の形態による後方乱気流観測装置において、さらに機体情報に応じたビーム走査範囲の設定を行うものである。図19は本実施の形態による後方乱気流観測装置の全体構成を示すブロック構成図であり、図19に示すように、本実施の形態による後方乱気流観測装置では、ビーム制御部6gに対して渦位置検出部26の位置情報と空港面探知レーダ24により受信された受信ビデオ信号が入力される。ビーム制御部6gは渦位置検出部26の位置情報と空港面探知レーダ24の受信ビデオ信号とに基づいて光送受信機1に指示するビーム走査範囲の設定を行う。
【0051】
以上のように、本実施の形態による後方乱気流観測装置によれば、渦位置検出部26により検出された実際の後方乱気流の発生位置および機体判定部25において判定された航空機の大きさ応じたビーム走査範囲が光送受信機1に対して指示されるので、さらに効率的かつ正確な後方乱気流の検出を行うことができる。
【0052】
なお、本実施の形態による後方乱気流観測装置においても、例えば上記実施の形態2.による後方乱気流観測装置のように、予め後方乱気流の位置および機体情報に応じた複数のビーム走査範囲を指示する方位・仰角指示信号を記憶部に記憶しておき、渦位置検出部26の位置情報および機体判定部25の判定結果などに応じた方位・仰角指示信号を記憶部から読み出して光送受信機1に指示するようにしてもよく、同様の効果を得ることができる。また複数の光送受信機1を検出用のセンサとして用いるようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、航空機の離着陸に伴い発生した後方乱気流の観測を行う後方乱気流観測装置において、レーザビームを走査してその反射波を受信する光送受信機と、この光送受信機により受信した滑走路上空における航空機の反射波から上記航空機の位置を検出する航空機位置検出部と、この航空機位置検出部の位置情報から上記航空機の航跡を判定する航跡判定部と、この航跡判定部の航跡情報に応じて上記光送受信機のビーム走査範囲を上記航空機の航跡周辺に限定する方位・仰角指示部と、この方位・仰角指示部により指示された上記航跡周辺のビーム走査により上記後方乱気流の検出を行う後方乱気流検出部とを設けたので、航空機の位置情報に応じたビーム走査範囲が光送受信機に対して指示され、光送受信機のビーム走査時間を大幅に短縮できる一方、光送受信機により送信されるレーザビームを後方乱気流を含む領域に正確にビーム走査することができ、効率的、かつ、正確な後方乱気流の観測を行うことができる。
【0054】
また、請求項2に係る発明によれば、航空機の離着陸に伴い発生した後方乱気流の観測を行う後方乱気流観測装置において、レーザビームを走査してその反射波を受信する光送受信機と、航空機の侵入又は出発を監視する空港監視レーダと、この空港監視レーダにより検出された滑走路上空における航空機の位置情報を上記光送受信機の設置位置を基準とした航跡情報に座標変換する座標変換部と、この座標変換部の航跡情報に応じて上記光送受信機のビーム走査範囲を上記航空機の航跡周辺に限定する方位・仰角指示部と、この方位・仰角指示部により指示された上記航跡周辺のビーム走査により上記後方乱気流の検出を行う後方乱気流検出部とを設けたので、光送受信機による広範囲のビーム走査およびこのビーム走査に基づく航空機の検出処理などを行う必要がなく、さらに効率的、かつ、正確な後方乱気流の観測を行うことができる。
【0057】
また、請求項に係る発明によれば、航空機の離着陸に伴い発生した後方乱気流の観測を行う後方乱気流観測装置において、レーザビームを走査してその反射波を受信する光送受信機と、この光送受信機により受信した反射波から滑走路上空における風向及び風速情報を検出する風向・風速検出部と、この風向・風速検出部により検出された風向・風速情報から上記後方乱気流の発生位置を検出する渦位置検出部と、この渦位置検出部の位置情報に応じて上記光送受信機のビーム走査範囲を上記後方乱気流の発生位置周辺に限定するビーム制御部と、このビーム制御部により指示された上記発生位置周辺のビーム走査により上記後方乱気流の検出を行う後方乱気流検出部とを設けたので、後方乱気流の発生位置に応じたビーム走査範囲が光送受信機に対して指示され、光送受信機のビーム走査時間を大幅に短縮できる一方、光送受信機により送信されるレーザビームを後方乱気流を含む領域により正確にビーム走査することができ、効率的、かつ、正確な後方乱気流の観測を行うことができる。
【0058】
また、請求項に係る発明によれば、上記光送受信機を複数台設置し、これら複数の光送受信機により上記ビーム走査範囲内をビーム走査するようにしたので、さらに光送受信機のビーム走査時間を大幅に短縮でき、効率的、かつ、正確な後方乱気流の観測を行うことができる。
【0059】
また、請求項に係る発明によれば、上記レーザビームを1.5μm帯の波長としたので、遠方で発生した後方乱気流の検出ができる一方、周辺環境に対する安全性を十分確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態による後方乱気流観測装置を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示すビーム制御部6の具体的構成を示すブロック構成図である。
【図3】滑走路上空に発生した後方乱気流の観測状況を模式的に示した観測状況説明図である。
【図4】滑走路の離陸側又は着陸側に設定された後方乱気流の観測範囲の例を示す観測範囲説明図である。
【図5】図1に示す後方乱気流観測装置の全体的な観測動作を示すフローチャート図である。
【図6】図1に示す航跡判定部7により判定された航空機の航跡情報を説明するための航跡情報説明図である。
【図7】図1に示す航跡判定部7の航跡情報に応じて設定されたビーム走査範囲を示すビーム走査範囲説明図である。
【図8】図7に示すようなビーム走査範囲のビーム走査により受信された受信データから検出された風向及び風速情報を示す風向及び風速情報説明図である。
【図9】図8に示す後方乱気流情報20をイメージ化した後方乱気流説明図である。
【図10】この発明の他の実施の形態による後方乱気流観測装置のビーム制御部の具体的構成を示す部分ブロック図である。
【図11】この発明の他の実施の形態による後方乱気流観測装置を示すブロック構成図である。
【図12】図11に示すビーム制御部の具体的構成を示す部分ブロック図である。
【図13】この発明の他の実施の形態による後方乱気流観測装置を示すブロック構成図である。
【図14】図13に示すビーム制御部の具体的構成を示すブロック構成図である。
【図15】図13に示す機体判定部の機体情報に応じて設定されたビーム走査範囲を説明するためのビーム走査範囲説明図である。
【図16】この発明の他の実施の形態による後方乱気流観測装置を示すブロック構成図である。
【図17】図16に示すビーム制御部の具体的構成を示すブロック構成図である。
【図18】この発明の他の実施の形態による後方乱気流観測装置を示すブロック構成図である。
【図19】この発明の他の実施の形態による後方乱気流観測装置を示すブロック構成図である。
【図20】従来の後方乱気流観測装置において検出された風向及び風速情報を示す風向及び風速情報説明図である。
【符号の説明】
1 光送受信機、2 風向・風速検出部、3 合成処理部、
4 表示処理部、5 航空機位置検出部、6 ビーム制御部、
7 航跡判定部、8 方位・仰角指示部、10 レーザビーム、
11 滑走路、12 後方乱気流の観測範囲、13 航空機、
14 離陸側観測範囲、15 着陸側観測範囲、16 航跡、17航跡中心、
18 航跡情報に応じたビーム走査範囲、20 後方乱気流情報、
21 記憶部、22 1次監視レーダ、23 座標変換部、
24 空港面探知レーダ、25 機体判定部、26渦位置検出部。

Claims (5)

  1. 航空機の離着陸に伴い発生した後方乱気流の観測を行う後方乱気流観測装置において、レーザビームを走査してその反射波を受信する光送受信機と、この光送受信機により受信した滑走路上空における航空機の反射波から上記航空機の位置を検出する航空機位置検出部と、この航空機位置検出部の位置情報から上記航空機の航跡を判定する航跡判定部と、この航跡判定部の航跡情報に応じて上記光送受信機のビーム走査範囲を上記航空機の航跡周辺に限定する方位・仰角指示部と、この方位・仰角指示部により指示された上記航跡周辺のビーム走査により上記後方乱気流の検出を行う後方乱気流検出部とを備えたことを特徴とする後方乱気流観測装置。
  2. 航空機の離着陸に伴い発生した後方乱気流の観測を行う後方乱気流観測装置において、レーザビームを走査してその反射波を受信する光送受信機と、航空機の侵入又は出発を監視する空港監視レーダと、この空港監視レーダにより検出された滑走路上空における航空機の位置情報を上記光送受信機の設置位置を基準とした航跡情報に座標変換する座標変換部と、この座標変換部の航跡情報に応じて上記光送受信機のビーム走査範囲を上記航空機の航跡周辺に限定する方位・仰角指示部と、この方位・仰角指示部により指示された上記航跡周辺のビーム走査により上記後方乱気流の検出を行う後方乱気流検出部とを備えたことを特徴とする後方乱気流観測装置。
  3. 航空機の離着陸に伴い発生した後方乱気流の観測を行う後方乱気流観測装置において、レーザビームを走査してその反射波を受信する光送受信機と、この光送受信機により受信した反射波から滑走路上空における風向及び風速情報を検出する風向・風速検出部と、この風向・風速検出部により検出された風向・風速情報から上記後方乱気流の発生位置を検出する渦位置検出部と、この渦位置検出部の位置情報に応じて上記光送受信機のビーム走査範囲を上記後方乱気流の発生位置周辺に限定するビーム制御部と、このビーム制御部により指示された上記発生位置周辺のビーム走査により上記後方乱気流の検出を行う後方乱気流検出部とを備えたことを特徴とする後方乱気流観測装置。
  4. 上記光送受信機を複数台設置し、これら複数の光送受信機により上記ビーム走査範囲内をビーム走査するようにしたことを請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の後方乱気流観測装置。
  5. 上記レーザビームは、1.5μm帯の波長としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の後方乱気流観測装置。
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