JP3957385B2 - 消火栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、工場、事務所等の壁面に設置される消火栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場、事務所等においては、消火栓の設置が義務付けられており、ビルの壁面等に消火栓が設置されている。この消火栓は、格納箱の内部に消防ホースを巻取リールに巻回した状態で保管されたり、ハンガー等に蛇行状に屈曲されて保管されている。消防ホースには開閉弁、放水ノズルまたは開閉弁付きノズルが設けられている。
【0003】
そして、火災発生時に格納箱の扉を開けて巻取リールやハンガー等から消防ホースを引き出し、開閉弁を開弁することにより、これと連動する加圧送水装置が作動して消防ホースに加圧送水され、放水ノズルから水が噴出して消火活動ができるようになっている。
【0004】
したがって、巻取リールに巻回された消防ホースは、消火時にはホースの先端部を持って引き出すことにより、巻取リールが回転して消防ホースを必要な長さだけ引き出すことができ、またハンガー等に蛇行状に屈曲された消防ホースはハンガーから外してホースを必要な長さだけ引き出すことができる。
【0005】
この種のホースは、繊維を筒状に織成したジャケットの内面にゴムまたは合成樹脂のライニング層を施したジャケットホースが用いられている。すなわち、繊維よりなる縦糸と横糸とを筒状に織成し、このジャケットの内側にゴムまたは合成樹脂のライニング層を施している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ホースは、不使用時にはリールに巻回されたり、折り畳まれて格納されているため、ホースの横断面形状は偏平に押し潰され、ライニング層が貼り付いた状態にある。したがって、消火に際してホースを全て巻取リールから繰り出したり、ハンガーに掛けられたホースを全て引き伸ばしてから通水する必要があった。完全に巻取リールから繰り出さなかったり、ハンガーから完全に引き伸ばさなかった場合は、水圧によって貼り付いたライニング層を押し離しながら通水するため、通水抵抗が極端に大きく、通水できたとしても時間が長くかかり、火災発生時の緊急時に支障を来すという問題がある。
【0007】
また、従来、前述のような問題を解決するために、保形ホースが開発され、実用化されているが、高価であるとともに、保形ホースは格納スペースを広く必要とすることから、消火栓等に採用される保形ホースは、内径が26mm程度で、20mが限度である。
【0008】
また、保形性を付与するために横糸にモノフィラメント糸を使用する必要があり、このため、ホース内面の凹凸が大きくなり、圧力損失が大きくなるという問題もあった。
【0009】
この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、大径で長尺のホースに採用しても、格納スペースを広く必要とすることなく、また緊急時に格納箱から消防ホースを迅速に引き出して消火活動が行える消火栓を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前述した目的を達成するために、請求項1は、前面に開口部を有する格納箱と、この格納箱の内部に設けられ、軸方向が前記格納箱の前後方向で前記開口部に向かって突出する支持軸と、この支持軸に支持され前記開口部から前方に突出可能なホース巻取リールと、このホース巻取リールに巻回され巻き内側が給水源に接続され、巻き外側に放水ノズルを有する消防ホースとからなり、前記消防ホースは、ホースの内部への無加圧状態ではホース横断面形状が扁平状に近い略楕円形状のままで、該ホースの中心軸が前記支持軸を中心として渦巻状になるようにプリフォームされていることを特徴とする消火栓にある。
【0011】
請求項2は、前面に開口部を有する格納箱と、この格納箱の内部に設けられ、軸方向が前記納箱の前後方向で前記開口部に向かって突出する支持軸と、この支持軸に支持され前記開口部から前方に突出可能なホース巻取ハブ及びホース保持枠と、前記ホース巻取ハブに巻回され巻き外側が給水源に接続され、巻き内側に放水ノズルを有する消防ホースとからなり、前記格納箱は、その内周面が前記開口部に向かって拡開するテーパ面を有し、前記ホース巻取ハブの外周面は、前記開口部に向かって先細のテーパ面を有し、消防ホースの膨張に伴って巻回された消防ホースがホース保持枠ごと、前記巻取ハブから前方に突出させて消防ホースの巻き内側に開口部を設けることができ、前記消防ホースは、ホースの内部への無加圧状態ではホース横断面形状が扁平状に近い略楕円形状のままで、該ホースの中心軸が前記支持軸を中心として渦巻状になるようにプリフォームされていることを特徴とする消火栓にある。
【0012】
請求項3は、請求項1または2の前記消防ホースは、あらかじめホースの使用時における該ホースの中心軸の周りの捩じれに相当する捩じれをホース成形加工中に加えて加工し、前記ホースに横断面形状が扁平状に近い略楕円形状のままで、該ホースの中心軸が前記支持軸を中心として渦巻状にプリフォームされていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は第1の実施形態を示し、図1は消火栓の横断平面図である。図1に示すように、建物の壁面1には凹陥部2が設けられ、この凹陥部2には格納箱3が埋め込み状態に取り付けられている。格納箱3の前面には開口部4が設けられ、この格納箱3には開口部4を開閉する扉5が設けられている。
【0016】
格納箱3の背面の略中央部には支持軸6が開口部4に向かって突出しており、この支持軸6には巻取リール7が回転及び前後方向に移動自在に設けられている。つまり、支持軸6をガイドとして巻取リール7を格納箱3に押し込んだ時にはその全体が格納箱3に収納され、手前側に引き出した時にはその全体が開口部4から外側に突出するようになっている。
【0017】
この巻取リール7には後述する消防ホース8が渦巻状に巻回されている。消防ホース8の巻き内側のワンタッチ口金(図示しない)は格納箱3の背面に設けられた元バルブ(図示しない)に着脱可能に接続されている。消防ホース8の巻き外側には放水ノズル11が設けられ、巻取リール7の外周縁部に支持されている。
【0018】
前記消防ホース8は、図2(c)に示すように、縦糸12aと横糸12bとを筒状に織成してジャケット12とこのジャケット12に内層されたライニング層としてのチューブ13とからなり、チューブ13はエラストマーによって筒状に成形され、その外面の接着層を介して一体的に接着されて消防ホース8が形成されている。
【0019】
次に、消防ホース8の製造方法を図2に基づいて説明する。
まず、筒状に織成したジャケット12の内部にエラストマーによって筒状に成形したチューブ13を引き込んでジャケット12とチューブ13とからなる二重構造の消防ホース8を形成し、この消防ホース8の両端部を図2に示すように、封止金具14,15によって封止する。
【0020】
次に、消防ホース8を円柱状のマンドレル16に略一定の強さで渦巻き状に巻回するとともに、消防ホース8の一方の封止金具14からチューブ13の内部にスチーム等の加熱流体を供給して加圧しつつ加熱すると、チューブ13が軟化状態となり、チューブ13が加圧によって膨張してジャケット12の内面に接着される。チューブ13の外面には接着層が施されているため、接着層を介してチューブ13がジャケット12の内面に一体的に接着される。
【0021】
続いて加熱流体に代って冷却媒体を一方の封止金具14から供給しつつ、他方の封止金具15から加熱流体を抜くと、チューブ13の内部は冷却流体に置換され熱可塑性エラストマーからなるチューブ13は冷却固化される。したがって、消防ホース8は加熱流体の内圧によって横断面形状が偏平状に近い略楕円形状になり、しかも消防ホース8の中心軸が支持軸6を中心として渦巻状になるようにプリフォームされる。
【0022】
すなわち、チューブ13が内挿されたジャケット12をマンドレル16に渦巻き状に巻回すると、巻き内側17の縦糸12aは圧縮され、巻き外側18の縦糸12aは緊張された状態となり、同時にチューブ13の巻き内側17は圧縮されて巻き外側18は伸長される。この状態で、加圧しつつ加熱すると、巻き内側17においては、縦糸12aが熱収縮するとともに、嵩高い状態でチューブ13に接着される。また、巻き外側18においては、縦糸12aが緊張され、チューブ13が伸長された状態で、両者が接着固定される。
【0023】
得られた渦巻き状の消防ホース8は、巻取リール7に巻回しても、巻き内側17,巻き外側18にしわが発生することがなく、フラットな状態となる。この消防ホース8は、直線状に引き伸ばした時に、巻き内側17が伸び、巻き外側18が圧縮されることから、巻き外側18に僅かなしわ或いは波が発生する。しかし、直線状態の消防ホース8は巻回状態の時より圧力損失が小さいので、しわや波の影響が相殺され、圧力損失は無視できる程度に小さく、真っ直ぐな状態、巻いた状態でも通水抵抗が少ない消防ホース8が得られる。
【0024】
前述のように構成された消防ホース8は、ジャケット12を渦巻き状に巻回した状態で、このジャケット12の内面にエラストマーのチューブ13によってライニング層を施して成形加工していることから、消防ホース8に渦巻き状の曲り癖が付いている。このため、消火栓のリール7に巻回されている渦巻き状の消防ホース8を引き出して使用する際に、消防ホース8と床面との接触面積が少なくなり、消防ホース8の引き出し抵抗が小さく、軽い力量で引き出すことができるとともに、使用後にリール7に消防ホース8を巻き取って格納する際の抵抗も少ないという効果もある。
【0025】
なお、本実施形態においては、消防ホース8をマンドレル16に渦巻き状に巻回したが、渦巻き状型枠に設けた渦巻き状溝に沿って消防ホース8をセットしてもよく、要は消防ホース8が加熱流体の内圧によって横断面形状が偏平状に近い略楕円形状になり、また軸方向は渦巻状にプリフォームされればよい。
【0026】
次に、前述のように構成された消火栓の作用について説明する。
消防ホース8は格納箱3の巻取リール7に無加圧状態に巻回された状態においては、ホース横断面形状が偏平状に近い略楕円形状で、また軸方向は渦巻状にプリフォームされているため、図1の2点鎖線で示すように、格納箱3の内部にコンパクトに収納される。
【0027】
火災の発生時に消火活動を行う場合には、まず、扉5を開放し、格納箱3の開口部4から巻取リール7を手前側に引き出すと、図1の実線で示すように、消防ホース8が巻回された巻取リール7の全体が格納箱3の前方に突出する。次に、元バルブを開弁すると、消防ホース8は横断面形状が略楕円形状で、軸方向が渦巻状にプリフォームされているため、給水源から水圧が消防ホース8の全長に亘って加わり、消防ホース8の全体が円形に膨張しようとするとともに、ホースが伸びて巻き径が大きくなるとともに、消防ホース8の巻き外側が巻取リール7から自動的に外れた状態となる。
【0028】
このときの状態は保形ホースに通水したときと同じであるので、保形ホースを使用しなくても同様の操作性を得られることになる。消防ホース8の巻き外側には放水ノズル11が設けられているため、この放水ノズル11を持って消防ホース8を引き出すと、巻取リール7は回転して消防ホース8をさらに必要な長さだけ引き出して消火活動を行うことができる。
【0029】
したがって、本実施形態によれば、ホース横断面形状が偏平状に近い略楕円形状になり、また軸方向は渦巻状にプリフォームされているため、消防ホース8の不使用時には消防ホース8を巻取リール7に巻き取ることができ、また格納箱3にコンパクトに格納できる。さらに使用時には巻取リール7が格納箱3から突出するため消防ホース8が絡み付くことはなく、巻取リール7から消防ホース8を迅速に引き出して消火活動を行うことができる。
【0030】
図3〜図5は第2の実施形態を示し、図3〜図5に示すように建物の壁面21には内周面が手前に向かって拡開するテーパ面を有した凹陥部22が設けられ、この凹陥部22には内周面が手前に向かって拡開するテーパ面23aを有した格納箱23が埋め込み状態に取り付けられている。格納箱23の前面には開口部24が設けられ、この格納箱23には開口部24を開閉する扉25が設けられている。
【0031】
格納箱23の背面の略中央部には支持軸26が開口部24に向かって突出しており、この支持軸26には外周面が開口部24に向かって先細のテーパ面を有したホース巻取ハブ27が回転及び前後方向に移動自在に設けられている。
【0032】
また、格納箱23の背面における四隅にはガイドシャフト28が開口部24に向かって突出しており、各ガイドシャフト28にはパイプ29が前後方向に移動自在に嵌合されている。そして、4本のパイプ29にはホース保持枠30の四隅部が取り付けられ、ホース保持枠30は格納箱23に押し込んだ時にはその全体が格納箱23に収納され、手前側に引き出した時にはその全体が開口部24から外側に突出するようになっている。
【0033】
ホース保持枠30は、格納箱23の形状に倣って四角形の前板31と後板32とからなり、前板31と後板32との間にホース収納部33が設けられている。前板31にはホース巻取ハブ27の小径部に嵌合する嵌合穴31aが設けられ、後板32にはホース巻取ハブ27の大径部に嵌合する嵌合穴32aが設けられている。そして、ホース保持枠30を格納箱23に押し込んだ時にはホース巻取ハブ27が嵌合穴31a、32aに嵌合し、手前側に引き出した時にはホース巻取ハブ27と引き離されてその全体が開口部24から外側に突出するようになっている。
【0034】
また、ホース巻取ハブ27には第1の実施形態と同様の消防ホース8が渦巻状に巻回されている。この消防ホース8の巻き外側にはワンタッチ口金9が設けられ、このワンタッチ口金9は格納箱23の背面に設けられた元バルブ10に着脱可能に接続されている。消防ホース8の巻き内側には放水ノズル11が設けられている。さらに、ホース保持枠30の前板31の前面には開口穴31aを閉塞する円板34が設置され、この円板34は支持軸26の先端部にねじ込まれたストッパ部材35によって固定され、消防ホース8とともにホース保持枠30を格納箱23の内部に保持している。
【0035】
次に、前述のように構成された消火栓の作用について説明する。
図3に示すように、消防ホース8は格納箱23のホース巻取ハブ27に無加圧状態に巻回された状態においては、第1の実施形態と同様にホース横断面形状が偏平状に近い略楕円形状で、また軸方向は渦巻状にプリフォームされているため、格納箱23の内部にコンパクトに収納される。
【0036】
火災の発生時に消火活動を行う場合には、まず、扉25を開放し、ストッパ部材35によって円板34を取り外した後、元バルブ10を自動または手動で開弁すると、図4に示すように、給水源から水圧が消防ホース8に加わり、消防ホース8の全体が円形に膨張するとともにホースが伸びて巻き径が大きくなる。
【0037】
このとき、格納箱23の内周面が手前に向かって拡開するテーパ面23aを有しているとともに、ホース巻取ハブ27の外周面が開口部24に向かって先細のテーパ面に形成されているため、消防ホース8の全体が膨張し、巻き径が大きくなるにつれてテーパ面23aにガイドされて消防ホース8がホース保持枠30とともに格納箱23の開口部24から手前側に自動的に突出する。このようにホースを操作するときは、ホース内に水圧が加わり、横断面形状が円形に保たれるので、保形ホースと同じ操作性能で使用することができる。
【0038】
消防ホース8の巻き内側には放水ノズル11が設けられているため、この放水ノズル11を持って消防ホース8を引き出すと、ホース保持枠30から消防ホース8を必要な長さだけ引き出して消火活動を行うことができる。
【0039】
また、消防ホース8の使用後、格納箱23に格納する際には、図5に示すように、ワンタッチ口金11を元バルブ10から取り外し、ストッパ部材35を取り外してホース巻取ハブ27を手前側に引き出し、ホース保持枠30の内部に収納する。この状態で、放水ノズル11をホース巻取ハブ27に押し当てた状態で、ホース巻取ハブ27を回転させて消防ホース8をホース巻取ハブ27に巻き付ける。
【0040】
次に、消防ホース8を巻回したホース巻取ハブ27とホース保持枠30を格納箱23に押し込むと、全体が格納箱23に収納され、この状態で、ワンタッチ口金11を元バルブ10に接続し、ホース保持枠30の前板31の前面に開口穴31aを閉塞する円板34を設置し、ストッパ部材35を支持軸26の先端部にねじ込むことにより、消防ホース8を巻回したホース巻取ハブ27とホース保持枠30は格納箱23に固定的に格納される。
【0041】
したがって、本実施形態によれば、ホース横断面形状が偏平状に近い略楕円形状になり、また軸方向は渦巻状にプリフォームされているため、消防ホース8の不使用時には消防ホース8をホース巻取ハブ27に巻き取ることができ、また格納箱3にコンパクトに格納できる。さらに使用時には消防ホース8とホース保持枠30が格納箱23から突出するためホース巻取ハブ27から消防ホース8を迅速に引き出して消火活動を行うことができる。
【0042】
なお、前記実施形態の消防ホース8は、完成された消防ホース8に使用圧力を加えたときに捩じれる量に相当する捩じれをホース製造工程中に加え、その後、消防ホース8を加圧加熱したのち冷却してプリフォームした消防ホース8を用いてもよい。
【0043】
すなわち,消防ホース8の製造方法を説明すると、縦糸12aと横糸12bとを筒状に織成してジャケット12を形成する。一方、熱可塑性エラストマーによって筒状に成形してチューブ13を形成し、このチューブ13の外面に接着層を施す。そして、チューブ13をジャケット12の内部に引き込んでジャケット12とチューブ13とからなる二重構造のホースを形成する。
【0044】
ホースの両端部を封止金具に固定し、他端部に封止金具を固定して封止する。この状態で、一方の封止金具を機械的にまたは作業者の手動によって消防ホース8の使用時における捩じれに相当する捩じれを加えた状態で固定的に保持する。なお、このとき、チューブ13に内圧を加えながら、捩じれを加えてもよい。
【0045】
次に、両封止金具を固定的に保持した状態で、一方の封止金具からチューブ13の内部にスチームまたはホットエア等の加熱流体を供給しつつ加圧すると、チューブ13が膨張してチューブ13が接着層を介してジャケット12の内面に接着される。
【0046】
続いてスチームまたはホットエア等の加熱流体に代って冷却流体を一方の封止金具からチューブ13に供給しつつ加圧すると、加熱流体は他方の封止金具のから抜けてチューブ13の内部は冷却流体に置換され、熱可塑性エラストマーからなるチューブ13が冷却固化され、消防ホース8の使用時における捩じれに相当する捩じれが加えられた状態でプリフォームされる。
【0047】
加圧して捩れた状態でプリフオームされた消防ホース8の内圧がなくなると、内圧により伸びた横糸12bが元に戻って内径が小さくなるが、内圧によってコイルスプリングが捩れるようにして捩れたことに関しては元に戻すための力が横糸12b自身から発生しない。一方、内圧によって軸方向に伸ばされた縦糸12aは元に戻って消防ホース8の伸びが戻るとともに、消防ホース8が捩れて縦糸12aが斜めになった事による縦糸12aの伸びも戻ろうとするので、この力が唯一ホースの捩れを元に戻そうという力になる。
【0048】
捩じれについて考えると、使用圧力の13kgf/cm2 の内圧を加えた時の捩れは48゜/mであり、伸びは3.3%であった。つまり、内圧によって軸方向に伸ばされたのは3.3%であり、ホースが捩れて縦糸13が斜めになったことによる縦糸12aの伸びは65mmの円周の48/360よりlm当たり27mm(65*3.14*48/360=27.21)となるので,その伸びは0.036%((√(10002 +272 ))/1000=1.00036)であり、1m当たり0.36mmにしかならない事が解る。これでは、プリフオームした捩れが内圧のない状態でも元に戻らないので、この状態から加圧しても変化がない(=捩れない)と云うことになる。
このように、得られた消防ホース8に捩じれが加わたため、使用時に消防ホース8に内圧が加わっても消防ホース8の捩じれをほとんどなくすことができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、ホースが無加圧状態ではホース横断面形状が略楕円形状であるため、ホースの巻き径が小さくなり、格納箱を小形化できる。また、ホースに水圧が加わると全体が円形に膨張するため、高価な保形ホースが不要となり、経済的である。
【0050】
請求項2によれば、ホースが無加圧状態ではホース横断面形状が偏平状に近い略楕円形状であるため、ホースの巻き径が小さくなり、格納箱を小形化できる。さらに、格納箱は、その内周面が開口部に向かって拡開するテーパ面を有しているため、ホースに内圧が加わると、自動的に格納箱からホースが飛び出して迅速に消火活動に移れるという効果がある。さらに、請求項3によれば、使用時にホースに水圧が加わっても、放水ノズルに回転力、振れが加わることはなく、消火作業者の労力を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態の消火栓を示す横断平面図。
【図2】同実施形態の消防ホースのプリフォーム状態を示し、(a)は正面図、(b)はX−X線に沿う断面図、(c)はY部を拡大した断面図。
【図3】この発明の第2の実施形態の消火栓の示し、消防ホースが格納された状態の横断平面図及び平面図。
【図4】同実施形態を示し、消防ホースが格納箱から突出した状態の横断平面図及び平面図。
【図5】同実施形態を示し、消防ホースが格納箱から格納する状態の横断平面図。の成形型の縦断正面図。
【符号の説明】
3…格納箱
4…開口部
7…ホース巻取リール
8…消防ホース
11…放水ホース
Claims (3)
- 前面に開口部を有する格納箱と、この格納箱の内部に設けられ、支持軸の軸方向が前記格納箱の前後方向で前記開口部に向かって突出する支持軸と、この支持軸に支持され前記開口部から前方に突出可能なホース巻取リールと、このホース巻取リールに巻回され巻き内側が給水源に接続され、巻き外側に放水ノズルを有する消防ホースとからなり、
前記消防ホースは、ホースの内部への無加圧状態ではホース横断面形状が扁平状に近い略楕円形状のままで、該ホースの中心軸が前記支持軸を中心として渦巻状になるようにプリフォームされていることを特徴とする消火栓。 - 前面に開口部を有する格納箱と、この格納箱の内部に設けられ、支持軸の軸方向が前記納箱の前後方向で前記開口部に向かって突出する支持軸と、この支持軸に支持され前記開口部から前方に突出可能なホース巻取ハブ及びホース保持枠と、前記ホース巻取ハブに巻回され巻き外側が給水源に接続され、巻き内側に放水ノズルを有する消防ホースとからなり、
前記格納箱は、その内周面が前記開口部に向かって拡開するテーパ面を有し、前記ホース巻取ハブの外周面は、前記開口部に向かって先細のテーパ面を有し、消防ホースの膨張に伴って巻回された消防ホースがホース保持枠ごと、前記巻取ハブから前方に突出させて消防ホースの巻き内側に開口部を設けることができ、
前記消防ホースは、ホースの内部への無加圧状態ではホース横断面形状が扁平状に近い略楕円形状のままで、該ホースの中心軸が前記支持軸を中心として渦巻状になるようにプリフォームされていることを特徴とする消火栓。 - 前記消防ホースは、あらかじめホースの使用時における該ホースの中心軸の周りの捩じれに相当する捩じれをホース成形加工中に加えて加工し、前記ホースに横断面形状が扁平状に近い略楕円形状のままで、該ホースの中心軸が前記支持軸を中心として渦巻状にプリフォームされていることを特徴とする請求項1または2記載の消火栓。
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