JP6749045B2 - 消火栓装置 - Google Patents

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Description

本発明は、筐体前面の開口に設けた消火栓扉を開いて、ホース収納部に収納したノズル付きのホースを引き出して放水する消火栓装置に関する。
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネルに設置されるトンネル消火栓或いはビルなどに設置される屋内消火栓装置は、開放自在な消火栓扉を備えた筐体内に、先端にノズルを装着したホースとバルブ類を収納しており、火災発生時には、消火栓扉を開いてノズル付きのホースを筐体から引き出して、消火栓弁を開いて消火を行う。
トンネル用消火栓装置や屋内2号消火栓、簡易操作性1号消火栓は保形ホースを使用しており、例えばトンネル用消火栓装置は50m間隔で設置され、消火栓ホースには、保形ホースを使用しており、ホース長さを30mとして左右両側の防護範囲をカバー可能としている。
特開2010−151246号公報 特開2012−065886号公報 特開2001−276262号公報 特開2002−102382号公報 特開平07−308397号公報 特開平11−206904号公報
しかしながら、このような消火栓装置に使用するホースは、15m乃至30mといった長さを持つことが要求され、筐体の大きさはホース収納に必要なスペースに依存することになるため、必然的に大きなホースの収納スペースを確保することになって消火栓装置が大きくなり、使い易さ、施工性、省資源などの観点から改善する必要のある課題である。また火災時に放水した場合や点検時において放水試験を実施した場合には、ホースを全て引き出して内部の水抜きをしてから収納する必要があるため、時間と労力が掛かるという問題がある。
この問題を解決するため、本願出願人は、放水していない無負荷状態で所定の長さに縮んでおり、消火用水を加圧供給した負荷状態で、必要とする長さに伸び、高圧放水に対する耐圧性、耐摩耗性及び柔軟性を確保可能とする伸縮自在な消火用ホースを提案している(特願2013−139344)。
このように放水していない無負荷状態で縮んでおり、消火用水を加圧供給した負荷状態で必要とする長さに伸びる伸縮ホースを消火栓装置に収納して使用する場合、ホースを多重に外巻き又は内巻きしている従来の固定長ホースのホース収納構造では対応することができず、放水していない無負荷状態で縮んでおり、消火用水を加圧供給すると伸びる伸縮ホースの特性を考慮した新たなホース収納構造が課題として残されている。
本発明は、通水していない無負荷状態で縮んでいるホースを適切に収納すると共に通水した場合のホースの伸びに適切に対応可能なホース収納を実現する消火栓装置を提供することを目的とする。
本発明は、ホースを内部に収納する消火栓装置であって、
ホースは、通水されていない状態で外巻き状態に収納され、通水されたときには、少なくともホースの付け根側の一部が内巻き状態に保持されることを特徴とする。
またホースは、収納時に、通水されていない状態ではホース巻取りの内周側が規制され、通水されている状態ではホース巻取りの外周側の少なくともホース先端側を除く他の一部が外周方向への広がりが規制されることを特徴とする。
ここで、ホースは、収納時に、通水されていない状態のホース巻取りの最外周が、通水されている状態のホース巻取りの最内周より小さい。
また、ホースは、通水時に、少なくともホース先端側の一部が、ホースが引き出される空間側へ自律的に延出する。
本発明の消火栓装置は、前面に扉が配置された筐体を備え、
ホースは、ホース先端にノズルを装着して、筐体に収納され、
ノズルは、ホースが通水されていない状態で収納されているときに、筐体の奥行方向において、巻取られたホースの最前部と扉の裏側面との間に位置する。
ここで、ノズルは、ホースが通水されたときに、巻取られたホースの最内周より巻取りの中心側に位置する。
本発明の消火栓装置は、前面に扉が配置されると共に、当該扉が開放されたときに、ホースが巻取り状態で当該扉と共に、ホースが引き出される空間側に露出する構造の筐体を備え、
また、ホースは、ホース先端にノズルを装着して、筐体に収納され、
ノズルは、ホースの収納時には、筐体の奥行方向において、巻取られたホースの最後部よりさらに後部に位置し、扉を開放したときに、当該扉及び巻取られたホースと共に、ホースが引き出される空間側に露出する。

(基本的な効果)
本発明の消火栓装置によれば、前面に扉開口を形成した箱型の筐体と、筐体の扉開口に開閉自在に支持した消火栓扉と、通水していない無負荷状態で所定の外径及び長さに縮み、通水した負荷状態で必要とする所定の外径及び長さに伸びる伸縮自在なノズル付きのホースと、所定の長さに縮んでいるホースを筐体内又は消火栓扉の裏側に、消火栓扉を開放した状態で引き出し自在に収納するホース収納構造とを設けるようにしたため、次の効果が得られる。
まず、ホースを収納する場合には、無負荷状態で所定の長さに縮んでいるホースを収納するため、例えば従来の固定長さのホースに対し無負荷状態でその半分の長さに縮んでいる場合には、消火栓装置の筐体内のホース収納スペースを半減することを可能とし、筐体を格段に小さくすることができ、これによりトンネル壁面や建物壁面に設置スペースを形成するコンクリートの箱抜きを小さくし、工事費の大幅な節減を可能とする。
また、消火栓扉を開き、筐体内又は消火栓扉裏側に収納しているホースを引き出す場合、消火栓弁を開放して消火用水を放水しながら引き出すと、消火用水の通水に伴い無負荷状態で縮んでいたホースが伸長して引き出し方向に延びていくことで、利用者によるホースの引き出し力が低減し、消火操作を容易にすることを可能とする。
また、引き出したホースの放水を止めると、ホースは自ら縮んで排水しながら筐体側に戻って放水前の元の縮んだ長さに戻り、筐体内に残っているホースを引き出して完全に排水した後にホース収納部に巻き戻す作業を簡単かつ容易にし、作業効率を向上して作業時間を大幅に短縮可能とする。
また、トンネル用消火栓装置の場合には、トンネル内の通行を規制して点検を行っており、点検でホースを使用して放水した場合には点検を終了した後にホースを排水して巻き戻す手間が大変であり、点検に時間がかかることから、ホースに通水せずに点検装置を使用して点検しているが、本発明にあっては、ホースの放水を停止した場合のホースの排水及びホースの巻き戻しに手間がかからず短い時間で作業を終わることが可能となり、このためトンネル内の通行を規制する時間を短くできるので、ホースに通水して確認する点検が可能となり、ホースの水漏れなどのホースの故障を確実に発見して適切に対処することを可能とする。
(ドラムの外巻構造による効果)
ホース収納構造は、筐体内または消火栓扉の裏側に、所定の奥行長さを有する円形、長円形、楕円形、又は四角形以上の多角形の端面形状をもつドラムを配置し、ドラムの外周に、通水していない無負荷状態で所定の長さに縮んでいるホースを1重又は多重に外巻きし、通水した負荷状態でホースを外部に伸長可能とするようにしたため、消火栓扉を開いて消火栓弁を開放操作することで、縮んだ状態でドラムの外周に1重又は多重に外巻きしたホースに通水すると、ホースが伸長してドラムから広がりながら扉開口からゆっくりと自律的に外部に延びて行く動きとなり、ホース自身の伸長により利用者によるホースの引き出しをアシストし、両者による放水しながらのホースの引き回しを容易にして消火活動を行い易くすることを可能とする。
また、従来の例えばホース収納部に固定長ホースを内巻きに巻き戻す作業は、熟練者でないと綺麗に内巻き状態に巻き戻すことができず、ホース巻き戻しをやり直したり、巻き戻しがきれいにできずにホースに無用に負荷をかけたまま消火栓扉をとじるなどしてホースの傷みや損傷の一因となっているが、本発明にあっては、縮んで短くなったホースをドラムの外周に1重又は多重に巻き戻す作業となることから、熟練の度合いに左右されることなく、ホースをドラム外周に綺麗に巻き戻すことを可能とし、巻き戻しをやり直したり、綺麗に巻けずにホースに負荷が加わって傷みや損傷の原因になることもなく、ホースの巻き戻しを簡単かつ容易に行うことを可能とする。
(ドラムの内巻構造による効果)
ホース収納構造は、筐体内または消火栓扉の裏側に、所定の奥行長さを有する円形、長円形、楕円形、四角形以上の多角形の端面形状をもつドラムを配置し、ドラムの内周に、通水していない無負荷状態で所定の長さに縮んでいるホースを1重又は多重に内巻きし、通水した負荷状態でホースの先端側を外部に伸長可能とするようにしたため、消火栓扉を開いて消火栓弁を開放操作することで、縮んだ状態でドラムの内側に1重又は多重に内巻きしたホースに通水すると、ホースが伸長してドラム内で広がろうとする力によりドラム開口から扉開口を介してゆっくりと外部に自律的に延びて行く動きとなり、ホース自身の伸長により利用者によるホースの引き出しをアシストし、両者による放水しながらのホースの引き回しを容易にして消火活動を行い易くすることを可能とする。
また、放水を止めた後に行うホースの収納にあっては、縮んで短くなったホースをドラムの内側に1重又は多重に巻き戻す作業となることから、従来の固定長ホースで長いホースをホース収納部に内巻きして戻す場合のような熟練度は必要とせず、ホースをドラム内側に綺麗に巻き戻すことを可能とし、巻き戻しをやり直したり、綺麗に巻けずにホースに負荷が加わって傷みや損傷の原因になることもなく、ホースの巻き戻しを簡単かつ容易に行うことを可能とする。
(ドラムのリール構造による効果)
また、ホースを外巻き又は内巻きするドラムを旋回自在なリール構造としたため、縮んだ状態でドラムの内側に1重又は多重に内巻きしたホースに通水することで、ホースが伸長してドラム内で広がろうとする力によりドラム開口から扉開口を介してゆっくりと外部に自律的に延びて行く動きとなり、このようなホースが自律的に伸びる動きに伴う力を受けたドラムは自由に回転し、特に、消火栓開口から斜め横方向にホースを引き出す場合にドラムが回転することで、ホースに無理な力が加わることを抑止可能とする。
また、ドラムの外側又は内側に、縮んだホースを巻き戻す場合、ホースを送り込みながらドラムを回転して巻き戻すことで、ドラム外周又は内周にホースを綺麗に巻き戻すことを可能とする。
(内外ドラムの収納構造による効果)
また、ホース収納構造は、筐体内または消火栓扉の裏側に、所定の奥行長さを有する円形、長円形、楕円形、又は四角形以上の多角形の端面形状をもち、通水していない無負荷状態で所定の長さに縮んでいるホースを外周に1重又は多重で外巻きした内側ドラムと、内側ドラムの外周を囲んで外側に配置され、通水した負荷状態で所定の長さに伸びたホースを内側に内巻き状態で保持する外側ドラムとを配置するようにしたため、消火栓扉を開いて消火栓弁を開放操作することで、縮んだ状態で内側ドラムの外側に1重又は多重に外巻きしたホースに通水すると、ホースは伸長により外側ドラムに対し内巻き状態となるように広がり、ホースの伸長を筐体内で可能とし、例えば、ノズルを取り出す前に消火栓弁を開放操作して縮んでいるホースに通水しても、ホースが伸長して外に押し出されるようなことはなく、消火栓装置に近い場所の火災を消火する場合のホース伸長による不必要なホースの押し出しを抑制し、伸長したホースを必要な長さだけ引き出して適切な消火活動を行うことを可能とする。
(伸長ホースの一部を収納し残りを外部に伸ばす筐体収納構造による効果)
また、ホース収納構造は、筐体内または消火栓扉の裏側に、所定の奥行長さを有する円形、楕円、又は四角形以上の多角形の端面形状をもち、通水していない無負荷状態で所定の長さに縮んでいるホースを外周に1重又は多重で外巻きした内側ドラムと、内側ドラムの外周を囲んで外側に配置され、通水した負荷状態で所定の長さに伸びたホースの後端側となる一部を内側に内巻き状態で保持するとともに残りの先端側を外部に伸長可能とする外側ドラムとを配置するようにしたため、消火栓扉を開いて消火栓弁を開放操作することで、縮んだ状態で内側ドラムの外側に1重又は多重に外巻きしたホースに通水すると、ホースは伸長によりホース付け根側の一部は外側ドラムに対し内巻き状態となるように広がり、一方、残りのホース先端側は消火用水の通水に伴い外部に自律的に延びて行く動きとなり、通水したホースの筐体内での伸長による広がりと外部に自律的に伸びて行く動きを組み合わせることで、両者の利点を生かした消火活動を可能とする。
(ドラム伸縮構造による効果)
また、ホース収納構造は、筐体内に、所定の奥行長さを有する円形、長円形、楕円形、又は四角形以上の多角形の端面形状をもつ固定ドラムを固定すると共に、固定ドラムの外側に前方に摺動自在に可動ドラムを配置し、可動ドラムの外周又は内周に、通水していない無負荷状態で所定の長さに縮んでいるホースを1重又は多重に外巻きし、通水した負荷状態でのホースの外部への伸長に伴い可動ドラムを固定ドラムに対し前方に移動可能とするようにしたため、通水によるホースの伸びにより可動ドラムが前方に移動してホースの伸びをアシストして滑らかな引き出しを可能とする。
(伸縮ホース構造による効果)
ホースは、水と直接触れる通水面に設けられ、所定の伸び率により伸縮自在で、水を通さない素材で形成した水密層と、水密層の外側に貼り合わされるか又は密着して外装され、水密層の伸び率と同等又はそれ以下の伸び率により伸縮自在で、通水に伴う水圧に耐えられる強度を有する素材で形成したカバー層とを設けるようにしたため、通水していない無負荷状態で所定の長さに縮んでおり、また消火用ホースの外形も縮んで細くなっており、収納スペースが小さくでき、軽量化でき、持ちやすくでき、また収納に要する作業時間を短くすることができる。
また、通水に伴う水圧に耐えられる強度を有するカバー層を設けたことで、トンネル用の消火栓装置に使用した場合の高圧通水に耐える十分な強度を有し、耐圧性と耐久性を確保し、また繰り返し使用に対する耐摩耗性を確保できる。
また、内部の水密層の伸び率に対し、外側のカバー層の伸び率を同等又はそれ以下としたことで、通水を開始した場合と通水を停止した場合に、水密層とカバー層が一体となって自動的に伸縮し、通水を開始した場合に、消火用ホースは通水による加圧を受けて自動的に伸びていくため、火災に対し使い易い消火栓を実現でき、また、使用後に通水を止めて無負荷状態にすると、自動的に消火用ホースが縮みながら排水し、水抜きが簡単で、火災や保守点検により放水した場合の復旧作業が容易なる。
本発明による消火栓装置の実施形態を正面から示した説明図 図1について消火栓扉を外して本体内部構造を示した正面図 消火栓扉を開いた状態で内部構造を示した側面図 ホースの実施形態を通水しない無負荷状態で示した説明図 図4の無負荷状態でのホース断面を取出して示した説明図 円形ドラムと長円形ドラムについての寸法関係の例を示した説明図 消火栓装置からホースを引き出して行う消火活動を示した説明図 長円形ドラムを消火栓扉の裏側に配置した他の実施形態を示した説明図 内巻ドラムを筐体内に配置した他の実施形態を示した説明図 内巻ドラムを消火栓扉の裏側に配置した他の実施形態を示した説明図 ドラムリールを筐体内に配置した他の実施形態を示した説明図 ドラムリールを消火栓扉の裏側に配置した他の実施形態を示した説明図 内側ドラムと外側ドラムを筐体内に配置した他の実施形態を示した説明図 内側ドラムと外側ドラムの寸法関係の例を示した説明図 内側ドラムと外側ドラムを消火栓扉の裏側に配置した他の実施形態を示した説明図 通水により伸びるホースの一部をドラム内に保持し、残りを外部に伸ばして行くホース収納構造を筐体内に設けた他の実施形態を示した説明図 通水により伸びるホースの一部をドラム内に保持し、残りを外部に伸ばして行くホース収納構造を消火栓扉の裏側に設けた他の実施形態を示した説明図 ホースの伸長に伴いドラムが伸長するホース収納構造を筐体内に設けた消火栓装置の実施形態を示した説明図
[消火栓装置の概要]
図1は本発明の消火栓装置を示した正面図、図2は図1について消火栓扉を外して本体内部構造を示した正面図、図3は消火栓扉を開いた状態で内部構造を示した側面図である。
(外部構造の概略)
図1に示すように、消火栓装置10は、消火栓側と消火器側に筐体12を分割した構造であり、前面に分割した化粧板14を各々装着し、筐体12に対し必要な機器及び部材を組付けた後に連結固定し、この状態でトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。
右側の化粧板14の扉開口部16は上下に2分割し、下側扉開口部にヒンジ21により下向きに開く消火栓扉18を配置し、上側扉開口部にヒンジ23により上向きに開く上扉22を配置し、その内部をホース収納空間及びバルブ類収納空間としている。
消火栓扉18は、マグネットと受け板を用いた扉ロック機構により閉止位置に閉じている。消火栓扉18は、ハンドル20を手前に引いて扉ロック機構の磁気吸着によるロックを外すことで前方に開くことができる。上扉22は、マグネットと受け板を用いた扉ロック機構により閉止位置に閉じており、消火栓扉18を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。
扉開口部16の左側には通報装置扉24を設け、ここに赤色表示灯26、発信機28及び応答ランプ30を設け、また通報装置扉24の裏側には図2に示すように電話ジャック31を設けている。
赤色表示灯26は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機28を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が電気室等の防災受信盤に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が防災受信盤から送られて、応答ランプ30を点灯する。
通報装置扉24の左側には開放可能な消火器扉32を設け、例えば2本の消火器を収納している。消火器扉32にはハンドル34を設け、ハンドル34を手前に引くとマグネットが外れて消火器扉32を左側に開くことができる。また、消火器扉32の下側には覗き窓35を設け、外部から消火器の収納状態の有無を確認可能としている。
(内部構造の概略)
図2に示すように、消火栓扉18を外し、上扉22は上向きに開いてステー27で支持した状態で内部構造を示している。尚、上扉22は、消火栓装置のホース収納時以外には通常閉じられている。筐体12の略中央にはホース収納空間36を形成し、その右側にバルブ類収納空間38を形成している。
(バルブ類収納空間)
図2に示すように、バルブ類収納空間38には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口40からホース42に至る配管系統に、給水弁44、消火栓弁、自動調圧弁46或いは定流量弁、自動排水弁、安全弁及びメンテナンス装置を設けている。このうち消火栓弁に設けた消火栓弁開閉レバー48に対応して銘板を設け、その裏側に消火栓弁、自動排水弁を配置している。
(ホース収納空間)
図2及び図3に示すように、ホース収納空間36は、端面形状が長円形となる長円形ドラム50を配置し、長円形ドラム50の外周に伸縮自在なホース42を縮んだ状態で1重に外巻きして収納している。長円形ドラム50に外巻きしているホース42の付け根側は、バルブ類収納空間38の下部に設けたホース接続口52に接続している。
ホース42は、通水していない無負荷状態で所定の長さ例えば15mに縮んでおり、通水した負荷状態で必要とする例えば縮んだ長さの2倍の長さとなる30mに伸びる伸縮自在なホースである。また、ホース42はその径についても、通水していない無負荷状態で所定の外径例えば2.5cmに縮んでおり、通水した負荷状態で必要とする所定の外形例えば5.0cmに広がる径方向にも伸縮自在なホースである。
ホース42の先端にはノズル54を装着し、ノズル54は放水部とハンドルから構成しており、長円形ドラム50の開口端面に縦方向に配置した支持板56に設けたノズルホルダ58に対し放水部を横向きに保持した状態で、ハンドルは放水部の下側に位置して消火栓扉18の開放による下側扉開口部の中央方向に向くように保持している。なお、ノズル54のハンドルは消火栓扉18の裏面に面するように保持してもよい。
ホース収納空間36とバルブ類収納空間38との間には縦及び横方向にパイプ部材を配置したフレーム55を配置することで仕切っている。
[ホースの構造]
図4は消火用ホースの実施形態を通水しない無負荷状態となる縮んだ状態で示した説明図である。
図4に示すように、ホース42は、通水していない無負荷状態で所定の長さL、例えばL=15mに縮んでおり、そのホース構造は、水と直接触れる通水面に設けた水密層60と、水密層60の外側に設けたカバー層62の2層構造としている。
(水密層の構成)
水密層60は、所定の伸び率により伸縮自在で、水を通さない素材で形成している。水密層60を形成する素材は、無負荷状態の長さを1とした場合、トンネル消火栓装置の場合には1MPaの消火用水を通水する負荷状態で、少なくとも1.5乃至8倍に伸びる所定の伸び率を有する合成ゴム又は所定の合成樹脂を使用する。水密層60の形成は、所定の内径と肉厚をもつ例えば合成ゴム製のホースゴムを製造することで実現できる。
ここで伸び率とは、例えばゴムひもに力を加えて切れる限界まで伸ばした場合の伸びる長さをパーセントで表したものであり、伸度ともいう。合成ゴムの場合、伸び率は850程度あり、これは無負荷状態の長さを100%とした場合、これに加えて850%伸びることを意味し、無負荷状態の長さを1とした場合、9.5倍に伸び、本実施形態の水密層60の条件を十分に満たしている。
(カバー層の構成)
カバー層62は、水密層60の外側に貼り合わされるか又は密着して外装され、水密層60の伸び率と同等又はそれ以下の伸び率により伸縮自在で、1MPaの消火用水の通水に伴う水圧に耐えられる強度を有する素材で形成している。またカバー層62はトンネル消火栓としてのホース42を引き出した場合に路面と擦れることから、その素材は、摩擦が少なく、擦れに耐える耐磨耗性を有する。ここで、ホース42の無負荷状態での内径をD1、外径をD2、肉厚をdとしている。
カバー層62を形成する素材は、負荷状態で1.5乃至8倍又はそれ以下の所定の伸び率を有する所定の繊維又は所定の合成樹脂である。カバー層62の素材として繊維を使用した場合、負荷状態で1.5乃至8倍又はそれ以下の所定の伸び率を有する経糸64と横糸66による編み構造とする。この編み構造において、横糸66は螺旋状とする。
編み構造を持つカバー層62を構成する繊維としては、例えば人工合成によるくも糸を使用することができる。このような人工合成のくも糸としては、スパイバー株式会社製造の商品名「スパイバー」を使用することができる。人工合成のくも糸の伸び率は、現在50程度であり、無負荷状態の長さを1とした場合、1.5倍に伸び、本実施形態の水密層60の条件を十分に満たしている。また、人工合成のくも糸は、その改良により更に大きな伸び率の実現が期待される。
また、人工合成のくも糸は、鋼鉄の4倍の強度をもち、既存繊維中で最高の靭性(タフネス)を持ち、消火用ホースに必要とされる耐圧性、耐久性、及び耐摩耗性を満足する。
なお、本実施形態に使用可能な伸び率をもつ繊維としては、ポリウレタン弾性繊維がある。このポリウレタン弾性繊維としては、例えば東レ・オペロンテック株式会社の製品名「ライクラ(登録商標)ファイバー」がある。ポリウレタン弾性繊維は、くも糸のように細く透明で、引っ張ると元の長さの4〜7倍まで伸び、力を緩めればすぐに元戻る。ポリウレタン弾性繊維は、通常、他の繊維と混用されており、例えば前述した人工合成のくも糸と混用することで、本実施形態の伸び率を満たすカバー層62の実現が可能となる。
(無負荷状態と負荷状態のホース)
現在、トンネル消火栓装置に使用する消火用ホースの寸法は例えば次のようになる。
内径=約36mm
外径=約42mm
厚さ=約3mm
長さ=30m
ここで、図4に示したホース42の伸び率を2倍とすると、通水しない無負荷状態で縮んでいるホース42の寸法は例えば次のようになる。
内径(D1)=約18mm
外径(D2)=約21mm
厚さ(d)=約6mm
長さ(L)=15m
図5は、図4に示した無負荷状態のホース42に、水圧1MPaによる通水を行って伸びた負荷状態を、通水前の無負荷状態と対比して示した説明図である。
図4に示した無負荷状態のホース42に通水すると、通水による水圧を受けて合成ゴム製の水密層60とその外側に設けた例えば人工合成のくも糸繊維の編構造をもつカバー層62は、長手方向に伸びると共に及び径方向に広がり、その寸法は、現在のトンネル消火栓の消火用ホースと同様に、例えば次のようになる。
内径(2・D1)=約36mm
外径(2・D2)=約42mm
厚さ(d/2)=約3mm
長さ(2・L)=約30メートル
即ち、ホース42は負荷状態では、無負荷状態に対し長さは略2倍の約30mに伸び、外径は無負荷状態に対し略2倍の約42mmに広がり、内径も無負荷状態に対し略2倍の約36mmに広がり、一方、肉厚は無負荷状態に対し略半分の約3mmと薄くなる。
ここで、ホース42の負荷状態での外径及び長さは、カバー層62の伸び率により決まる。即ち、水に直接触れるホースゴムによる水密層60の伸び率は例えば9.5倍と大きいが、その外側に設けたカバー層62の伸び率は例えば2倍であることから、負荷状態での消火用ホース42の寸法は、カバー層62の伸び率できまる2倍の外径と長さに伸びる。
なお、初期のホース42の長さは、消火活動時、例えば消火栓弁開閉レバーを操作して、直ぐ引き出して火災地点に近づくとすると、歩行スピードを1m/secとして30mホースを引き出し終わるには、約30秒間掛かることになるので、違和感なく操作するには、通水後30mまで伸びる時間との差(例えばホース内を走る水の速度を秒速2m/secとすると、30m伸びるには15秒掛かるので、その差15秒となり、歩行速度1m/secとすれば、初期ホース長は15mとなるが、実際は徐々に伸びていくので15m以下でも操作性に問題は生じない)を勘案して、決定すると使い易さが増すことになる。
(消火用ホースとしての性能)
本実施形態のホース42は、通水していない無負荷状態で例えば半分の15mの長さに縮んでおり、またホース42の外形も半分の21mmと細くなっており、図1及び図2に示した消火栓装置10のホース収納空間36を従来の半分程度と小さくでき、またホース重量も半分程度に軽量化でき、ドラム50に消火用ホース42を巻き戻す作業に要する時間を短くすることができる。
また、通水に伴う水圧に耐えられる強度を有するカバー層62を設けたことで、消火栓装置10に使用した場合の1MPaの高圧通水に耐える十分な強度を有し、耐圧性と耐久性を確保し、また繰り返し使用に対する耐摩耗性を確保できる。
また、内部のホースゴムによる水密層60の伸び率に対し、外側のカバー層62の伸び率を同等又はそれ以下としたことで、通水を開始した場合と通水を停止した場合に、水密層60とカバー層62が一体となって自動的に伸縮し、通水を開始した場合に、ホース42は通水による加圧を受けて自動的に伸びていくため、火災に対し使い易い消火栓を実現でき、また、使用後に通水を止めて無負荷状態にすると、自動的にホース42が縮みながら排水し、水抜きが簡単で、火災や保守点検により放水した場合の復旧作業が容易なる。
また、内部の水密層60に対し外側のカバー層62は密着して空隙はないため、何処を持っても違和感なく操作できる。更に、水に直接触れるホースゴムによる水密層60の内面は、現行ホースのようなフィラメント構造と異なり、平滑にできるので、圧力損失を少なくできる。
[ドラムの構成]
図6は図2及び図3に示した長円形ドラムを取り出して円形ドラムと対比して示した説明図である。
図1に示した消火栓装置10は、通水しない縮んだ状態で15mの長さをもつホース42を収納する必要があり、例えば図6(A)に示す円形ドラム70の外側に1重にホース42を外巻きして収納する場合、例えばドラム外形を100cm(=1m)とすると、その外周は3.14mとなり、15mのホース42を外巻きするために約5ターンが必要となる。ここで、縮んだ場合のホース42の外径は約2.1cmであることから、5ターンした場合の奥行の長さは10.5cmとなる。
この円形ドラム70によるホース42の外巻きによる収納を図6(B)の長円形ドラム50に適用すると、半円部分50aの半径を30cmm、直線部分50bの長さを60cmとした場合、外周の長さは約3mとなり、15mを外巻きするために約5ターンが必要となる。この場合も縮んだ場合のホース42の外径は約2.1cmであることから、5ターンした場合の奥行の長さは10.5cmとなる。
このように縮んだ状態で15mとなるホース42を1重に外巻き可能とする長円形ドラム50の寸法は、図1及び図2に示した筐体12内のホース収納空間36に収納可能なサイズであり、想像線で示した従来の筐体12aに対し横幅及び奥行を小さくすることができ、これは従来のホース収納空間を小さくしたことに相当する。
図6(A)に示す円形ドラム70は縦及び横がともに1mとなってホース収納空間を小さくする効果が少ないことから、円形ドラム70の場合には、その半径を例えば30cmと小さくし、これによりターン数が約8ターンに増えるが、奥行きの長さは16.8cmで筐体12に充分収納できるサイズであり、半径を小さくした円形ドラム70を使用すればよい。
長円形ドラム50や円形ドラム70の材質としては、合成樹脂の射出成型品、薄板金属板の成形品、金属網の成形品など可能な限り軽量で、ホース42を1重に巻いた場合に保持可能な強度を有するように構成する。
また、本実施形態で使用するホース外巻きをするドラムとしては、円形ドラム、長円形ドラム以外に、楕円形ドラム、四角形以上の多角形ドラムとしても良い。なお、多角形ドラムの場合はコーナ部分にはアールをつけてホース42の曲がりを緩やかにする。
[ホースの引き出し操作]
図7は消火栓装置から利用者がホースを引き出した場合の説明図であり、図7(A)は通水せずに縮んだホースを引き出した場合を示し、図7(B)は通水によりホースを伸ばしながら引き出した場合を示す。
図7(A)に示すように、消火栓装置10はトンネル内の監視員通路74の壁面に50m間隔で設置しており、消火栓装置10を使用する場合には、利用者72はトンネル路面76から消火栓装置10に手を伸ばして消火栓扉を開き、ノズルを取り出してホースを引き出す。この場合、消火栓弁を開放操作せずに通水しない状態で引き出しており、縮んだ状態のホース42を15mまで引き出すことができる。
図7(B)は、消火栓弁を開放操作してホースに通水し、通水により伸張するホース42aを引き出した場合であり、利用者72はトンネル路面76から消火栓装置10に手を伸ばして消火栓扉を開き、ノズルを取り出して消火栓弁を開放操作して通水すると、ホース42は15秒程度の時間をかけて30mまで伸長し、この間に利用者72は、通水により伸長して行くホース42aを30mまで引き出してノズル54から放水することができる。
また、消火栓弁を開放操作して消火用水を放水しながら引き出すと、消火用水の通水に伴い無負荷状態で縮んでいたホース42が伸長して引き出し方向に延びていくことで、利用者72によるホース42の引き出し力が低減し、消火操作を容易にすることを可能とする。
また、縮んだ状態で長円形ドラム50の外周に1重に外巻きしたホース42に通水すると、ホース42が伸長して長円形ドラム50から広がりながら扉開口16からゆっくりと自律的に外部に延びて行く動きとなり、ホース自身の伸長により利用者によるホースの引き出しをアシストし、利用者による放水しながらのホースの引き回しを容易にして消火活動を行い易くする。
また、図7(B)のように引き出したホース42aの放水を止めると、ホース42aは自ら縮んで排水しながら消火栓装置10側に戻って、図7(A)に示すように、放水前の元の縮んだホース42の長さに戻り、ホース42を完全に排水した後に長円形ドラム50に巻き戻す作業を簡単かつ容易にし、作業効率を向上して作業時間を大幅に短縮可能とする。
特に、長円形ドラム50へのホース42の巻き戻しは、縮んで短くなったホース42をドラム外周に1重に巻き戻す作業となることから、熟練の度合いに左右されることなく、ホース42をドラム外周に綺麗に巻き戻すことを可能とし、巻き戻しをやり直したり、綺麗に巻けずにホースに負荷が加わって傷みや損傷の原因になることもなく、ホースの巻き戻しを簡単かつ容易に行うことを可能とする。
[消火栓扉側のホース収納構造]
図8は消火栓扉の裏側にホース収納構造を設けた消火栓装置の他の実施形態を示した説明図であり、図8(A)は消火栓扉を閉じた状態を示し、図8(B)は消火栓扉を開いた状態を示す。
図8に示すように、本実施形態は、消火栓扉18の裏側に、開放した状態で上向きとなるように長方形ドラム50を配置し、長方形ドラム50の外周にホース接続口52に後端を接続し、先端にノズル54を装着した伸縮自在なホース42を縮んだ状態で外巻きして収納している。
この場合の長円形ドラム50の詳細は図6(B)に示したと同様であり、長円形ドラム50の長手方向が横方向となるように、消火栓扉18の裏側に配置している。
消火栓装置10を使用する場合には、図8(B)に示すように、消火栓扉18を開放すると、裏側に配置している長円形ドラム50が手前に露出し、ノズルホルダ58からノズル54を取り外し、例えば消火栓弁を開放操作して通水することで、通水によりドラム外周から広がって伸びてゆくホース42を引き出して放水しながら消火対象に向かうことを可能とする。
この場合にも、縮んで短くなったホース42を収納していることから、消火栓扉18の裏側であっても少ないスペースと軽い重量で長方形ドラム50を設置することができ、消火栓扉18を閉鎖した場合に長方形ドラム50が収納される筐体12側の収納スペースも小さくでき、消火栓装置10の小型軽量化を可能とする。
また、放水を止めた後に行うホースの収納にあっては、長円形ドラム50が開放した消火栓扉18の裏側に露出しているため、外部に露出した長円形ドラム50に縮んで短くなった細いホース42の巻き戻すことになり、筐体12内に巻き戻す場合に比べ、ホースの巻き戻しを更に簡単かつ容易に行うことを可能とする。
[ドラム内巻きによるホース収納構造]
(筐体収納構造)
図9は筐体内の内巻ドラムにホースを収納する消火栓装置の他の実施形態を示した説明図である。
図9に示すように、本実施形態は、筐体12内のホース収納空間に、内巻ドラム78を配置している。内巻ドラム78は前面にドラム開口80を形成し、縮んだ状態のホース42をドラム後方から引き込んで1重に内巻きして収納し、ホース42の先端に装着したノズル54を、ドラム開口80を外れた横方向に配置したノズルホルダ58に着脱自在に装着している。
内巻ドラム78は、図6に示したと同様に、正面となる前方から見て、円形又は長円形となり、また、楕円形または四角形以上の多角形としても良い。また内巻ドラム78を例えば長円形とした場合の寸法は、図6(B)に示したホースを外巻きする長円形ドラム50に相当する寸法とすれば良い。
このような内巻ドラム78を使用したホース収納構造によれば、消火栓扉18を開いて消火栓弁を開放操作することで、縮んだ状態で内巻ドラム78の内側に1重に内巻きしたホース42に通水すると、ホース42が伸長してドラム内で広がろうとする力によりドラム開口80から扉開口部16を介してゆっくりと外部に自律的に延びて行く動きとなり、ホース42自身の伸長により利用者によるホース42の引き出しをアシストし、放水しながらのホース42の引き回しを容易にして消火活動を行い易くすることを可能とする。
また、放水を止めた後に行うホース42の収納にあっては、縮んで短くなったホース42を内巻ドラム78の内側に1重に巻き戻す作業となることから、従来の固定長ホースで長いホースをホース収納部に多重に内巻きして戻す場合のような熟練度は必要とせず、ホース42をドラム内側に綺麗に巻き戻すができ、巻き戻しをやり直したり、綺麗に巻けずにホースに負荷が加わって傷みや損傷の原因になることもない。
(消火栓扉の裏側収納構造)
図10は消火栓扉の裏側に設けた内巻ドラムにホースを収納する消火栓装置の他の実施形態を示した説明図であり、消火栓扉を開いた状態で示している。
図10に示すように、本実施形態は、消火栓扉18の裏側に内巻ドラム78を配置している。内巻ドラム78は前面にドラム開口80を形成し、縮んだ状態のホース42をドラム後方から引き込んで1重に内巻きして収納し、ホース42の先端に装着したノズル54を、ドラム開口80を外れた横方向に配置したホルダ58に着脱自在に装着している。
内巻ドラム78は、図6に示したと同様に、正面となる前方から見て、円形又は長円形となり、また、楕円形または四角形以上の多角形としても良い。また内巻ドラム78を例えば長円形とした場合の寸法は、図6(B)に示した外巻をする長円形ドラム50に相当する寸法とすれば良く、長手方向が横方向となるように消火栓扉18の裏側に配置する。
このような内巻ドラム78を消火栓扉18の裏側に配置したホース収納構造によれば、消火栓扉18を開いて消火栓弁を開放操作することで、縮んだ状態で内巻ドラム78の内側に1重に内巻きしたホース42に通水すると、ホース42が伸長してドラム内で広がろうとする力によりドラム開口80から扉開口部16を介してゆっくりと外部に自律的に延びて行く動きとなり、ホース42自身の伸長により利用者によるホース42の引き出しをアシストし、放水しながらのホース42の引き回しを容易にして消火作業を行い易くすることを可能とする。
また、放水を止めた後に行うホース42の収納にあっては、縮んで短くなったホース42を、外部に露出している消火栓扉18に設けている内巻ドラム78の内側に1重に巻き戻す作業となることから、従来の固定長ホースで長いホースをホース収納部に多重に内巻きして戻す場合のような熟練度は必要とせず、ホース42をドラム内側に綺麗に巻き戻すことができ、巻き戻しをやり直したり、綺麗に巻けずにホースに負荷が加わって傷みや損傷の原因になることもない。また、筐体12内に設けた場合に比べ、外部に露出した内巻ドラム78にホース42を巻き戻すことから、更に、簡単かつ容易に巻き戻すことができる。
[ドラムリールによるホース収納構造]
(筐体収納構造)
図11は筐体内のリールドラムにホースを収納する消火栓装置の他の実施形態を示した説明図である。
図11に示すように、本実施形態は、筐体12内のホース収納空間に、回転継手84のシャフト85に対しドラムリール82を回転自在に装着している。ドラムリール82はドラム外周に、縮んだ状態のホース42を後方の回転継手84から引き込んで1重に外巻きして収納し、ホース42の先端に装着したノズル54をドラム開口に配置したノズルホルダ58に着脱自在に装着している。回転継手84には図示しないホース接続口からのホース42を連結し、消火栓弁を開放操作すると消火用水を回転継手84を介してドラムリール82に外巻きしたホース42に供給する。
ドラムリール82は、図6(A)に示したと同様に、正面となる前方から見て円形となり、その寸法は、図6(B)に示したホースを外巻きする長円形ドラム50に対応した円形ドラム70に相当する寸法とすれば良い。
このようなドラムリール82を使用したホース収納構造によれば、消火栓扉18を開いて消火栓弁を開放操作することで、縮んだ状態でドラムリール82の外周に1重に外巻きしたホース42に通水すると、ホース42が伸長して広がろうとする力により扉開口部16を介してゆっくりと外部に自律的に延びて行く動きとなり、ホース42自身の伸長により利用者によるホース42の引き出しをアシストし、放水しながらのホース42の引き回しを容易にして消火作業を行い易くすることを可能とする。
また、放水を止めた後に行うホース42の収納にあっては、縮んで短くなったホース42をドラムホース82の外側に1重に巻き戻す作業となり、この場合、ホース42を送り込みながらドラムリール82を回転して巻き戻すことで、ドラム外周にホース42を綺麗に巻き戻す作業を更に簡単且つ容易に行うことを可能とする。
(消火栓扉の裏側収納構造)
図12は筐体内のリールドラムにホースを収納する消火栓装置の他の実施形態を示した説明図であり、消火栓扉を開いた状態で示している。
図12に示すように、本実施形態は、消火栓扉18の裏側に、回転継手84のシャフト85に対しドラムリール82を回転自在に配置している。ドラムリール82はドラム外周に、縮んだ状態のホース42を後方の回転継手84から引き込んで1重に外巻きして収納し、ホース42の先端に装着したノズル54をドラム開口に配置したノズルホルダ58に着脱自在に装着している。回転継手84には図示しないホース接続口からホース42が連結され、消火栓弁を開放操作すると消火用水を、回転継手84を介してドラムリール82に外巻きしたホース42に供給する。
ドラムリール82は、図6(A)に示したと同様に、正面となる前方から見て円形となり、その寸法は、図6(B)に示した外巻をする長円形ドラム50に対応した円形ドラムに相当する寸法とすれば良い。
このようなドラムリール82を使用したホース収納構造によれば、消火栓扉18を開いて消火栓弁を開放操作することで、縮んだ状態でドラムリール82の外周に1重に外巻きしたホース42に通水すると、ホース42が伸長して広がることで、ゆっくりと外部に自律的に延びて行く動きとなり、ホース42自身の伸長により利用者によるホース42の引き出しをアシストし、放水しながらのホース42の引き回しを容易にして消火活動を行い易くすることを可能とする。
また、放水を止めた後に行うホース42の収納にあっては、縮んで短くなったホース42をドラムリール82の外側に1重に巻き戻す作業となり、この場合、消火栓扉18の開放によりドラムリール82は外部に露出しており、ホースを送り込みながらドラムリール82を回転して巻き戻すことで、ドラム外周にホースを綺麗に巻き戻す作業を、筐体内にドラムリールを配置した場合に比べ、更に簡単且つ容易に行うことを可能とする。
[内外ドラムによるホース収納構造]
(筐体収納構造)
図13は縮んだホースの収納と通水により伸張したホースの収納の両方を筐体内で可能とする消火栓装置の他の実施形態を示した説明図である。
図13に示すように、筐体12のホース収納空間には、通水していない無負荷状態で縮んでいるホース42を外周に1重で外巻きした内側ドラム86と、内側ドラム86の外周を囲んで外側に配置され、通水により伸びたホース42aを内側に内巻き状態で保持する外側ドラム88とを配置している。
内側ドラム86しては、図6(B)に示した長円形ドラム50と同じものを使用し、ドラム前面にノズルホルダ58によりノズル54を着脱自在に配置している。外側ドラム88は例えば内側ドラム86と一体に連結して配置し、前方にドラム開口90を形成している。
図14は図13の内側ドラムと外側ドラムを取り出して寸法間関係の例を示した説明図である。図14に示すように、内側ドラム86は図6(B)に示した長円形ドラム50と同じ寸法としており、縮んだ状態のホース42を外周に1重に外巻きして収納している。この場合、ホース42の外径は2.1cmであり、15mを収納するため5ターンとしている。
外側ドラム88は内側ドラム86に相似した長円形ドラムであり、その寸法は、半円部を2倍の半径60cmとし、直線部は同じ60cmであり、伸張したホース42aを内巻きする内周の長さは約5mであり、伸長した30mのホース42aを6ターンで収納可能とし、このため奥行き長さは、伸張した場合の外径が4.2cmであることから、25.2cmとなり、図2に示したホース収納空間36に問題なく収納可能である。
この内側ドラム86と外側ドラム88を配置したホース収納構造にあっては、消火栓扉18を開いて消火栓弁を開放操作することで、縮んだ状態で内側ドラム86の外側に1重に外巻きした外径2.1cmで長さ15mのホース42に通水すると、ホース42は伸長により外径4.2cmで長さ30mのホース42aとなるように外側ドラム88に対し内巻き状態に広がり、例えば、ノズル54を取り出す前に消火栓弁を開放操作して縮んでいるホース42に通水しても、ホース42が伸長して外に押し出されるようなことはなく、例えば消火栓装置10に近い場所の火災を消火する場合のホース伸長による不必要なホースの押し出しを抑制し、伸長したホース42aを必要な長さだけ引き出して適切な消火活動を行うことを可能とする。
なお、内側ドラム86と外側ドラム88は、長円形以外に、円形、楕円、又は四角形以上の多角形としても良い。
(消火栓扉の裏側収納構造)
図15は縮んだホースの収納と通水により伸張したホースの収納の両方を消火栓扉の裏側で可能とする消火栓装置の他の実施形態を示した説明図であり、消火栓扉を開いた状態で示している。
図15に示すように、消火栓扉18の裏側には、通水していない無負荷状態で縮んでいるホース42を外周に1重で外巻きした内側ドラム86と、内側ドラム86の外周を囲んで外側に配置され、通水により伸びたホース42aを内側に内巻き状態で保持する外側ドラム88とを配置している。
内側ドラム86しては、図6(B)に示した長円形ドラム50と同じものを、長手方向を横向きとして消火栓扉18の裏側に配置し、ドラム前面にノズルホルダ58によりノズル54を着脱自在に配置している。外側ドラム88は例えば内側ドラム86と一体に連結して配置し、前方にドラム開口90を形成している。ここで、内側ドラム86と外側ドラム88の寸法間関係は、図14の場合と同様になる。
この内側ドラム86と外側ドラム88を消火栓扉18の裏側に配置したホース収納構造にあっては、消火栓扉18を開いて消火栓弁を開放操作することで、縮んだ状態で内側ドラム86の外側に1重に外巻きした外径2.1cmで長さ15mのホース42に通水すると、ホース42は外径4.2cmで長さ30mのホース42aとなるように伸張しながら外側ドラム88に対し内巻き状態に広がり、例えば、ノズル54を取り出す前に消火栓弁を開放操作して縮んでいるホース42に通水しても、ホース42が伸長して外に押し出されるようなことはなく、例えば消火栓装置10に近い場所の火災を消火する場合のホース伸長による不必要なホースの押し出しを抑制し、伸長したホース42aを必要な長さだけ引き出して適切な消火活動を行うことを可能とする。
なお、この場合も、内側ドラム86と外側ドラム88は、長円形以外に、円形、楕円、又は四角形以上の多角形としても良い。
[伸長ホースの一部を収納し、残りを外部に伸ばす筐体収納構造]
(筐体収納構造)
図16は、伸張したホースの一部を筐体内に保持し、残りを外部に伸ばすホース収納構造を筐体内に設けた消火栓装置の実施形態を示した説明図である。
図16に示すように、筐体12内に設けたホース収納構造は、図13の実施形態と同様に、内側ドラム86と外側ドラム88を配置した構造であるが、外側ドラム88の奥行き長さWが通水により伸張したホース42aの一部を収納可能な寸法とし、残りの伸張したホース42aの部分は外部に押し出されて延びるようにしている。
外側ドラム88の奥行き長さWは、例えば伸張したホース42aの30mを内巻きで収納するターン数を6ターンとすると、そのうちの例えば4ターンを収納可能なW=16.8cmに設定しており、残り2ターン分に相当する長さのホース42aが外部に押し出されて伸びて行くことになる。
このようなホース収納構造によれば、通水によるホースが伸長すると、ホース付け根側の一部は外側ドラム88に対し内巻き状態となるように広がり、一方、残りのホース先端側は消火用水の通水に伴い外部に自律的に延びて行く動きとなり、通水したホースの筐体12内での伸長による広がりと外部に自律的に伸びて行く動きを組み合わせることで、両者の利点を生かした消火活動を可能とする。
(消火栓扉の収納構造)
図17は、伸張したホースの一部を筐体内に保持し、残りを外部に伸ばすホース収納構造を消火栓扉の裏側に設けた消火栓装置の実施形態を示した説明図である。
図17に示すように、消火栓扉18の裏側に収納したホース収納構造は、図15の実施形態と同様に、内側ドラム86と外側ドラム88を配置した構造であるが、外側ドラム88の奥行き長さWが通水により伸張したホース42aの一部を収納可能な寸法とし、残りの伸張したホース42aの部分は外部に押し出されて延びるようにしている。
外側ドラム88の奥行き長さWは、例えば伸張したホース42aの30mを内巻きで収納するターン数を6ターンとすると、そのうちの例えば4ターンを収納可能なW=16.8cmに制限しており、残り2ターン分に相当する長さのホース42aが外部に押し出されて伸びて行くことになる。
このようなホース収納構造によれば、通水によるホースが伸長すると、ホース付け根側の一部は外側ドラム88に対し内巻き状態となるように広がり、一方、残りのホース先端側は消火用水の通水に伴い外部に自律的に延びて行く動きとなり、通水したホースの筐体12内での伸長による広がりと外部に自律的に伸びて行く動きを組み合わせることで、両者の利点を生かした消火活動を可能とする。
[伸縮ドラムによる筐体収納構造]
図18は、ホースの伸長に伴いドラムが伸長するホース収納構造を筐体内に設けた消火栓装置の実施形態を示した説明図であり、図18(A)に通水をしない通常監視状態を示し、図18(B)に通水して放水する状態を示す。
図18(A)に示すように、筐体12内に設けたホース収納構造は、筐体12に固定した固定ドラム50Aに、可動ドラム50Bを軸方向に摺動自在に設けており、通常状態では固定ドラム50Aに対し可動ドラム50Bを押し込んだ縮退位置にあり、可動ドラム50Bの外周に縮んだ状態のホース42を1重に外巻きしている。
図18(B)は消火栓弁開閉レバーの開操作による通水によりホース42aが伸長する場合であり、ホース42aの伸長により前方に伸びる力を受けて可動ドラム50Bは前方に移動して図示しないストッパで決まる位置に停止し、可動ドラム50Bが移動することでホース42の前方への伸びをアシストし、ホース42aの滑らか引き出しを可能とする。
なお、図18の実施形態は、軸方向に伸縮自在な可動ドラムにホースを外巻した場合を例にとっているが、軸方向に伸縮自在な可動ドラムにホースを内巻するようにしても良い。
[本発明の変形例]
(屋内消火栓)
上記の実施形態はトンネル用消火栓装置を例にとるものであったが、筐体前面の開口に消火栓扉を横開き自在(側方に開閉自在)に配置した屋内消火栓装置に適用してもよい。例えば保形ホースを使用した簡易操作性1号消火栓及び2号消火栓のホース長は15mであることから、本発明を適用した場合には、通水しない状態でホース長は半分の7.5mとなり、例えば筐体内に半径0.3mの円形ドラムを配置した場合の外周は3.14mでことから、ドラム外周に4ターンして1重に巻き、この場合の奥行長さはホース径を2.1cmとすると8.4cmであり、縦×横×奥行を1.00m×0.75m×0.18とした1号消火栓及び2号消火栓の筐体内に余裕をもって収納可能であり、円形ドラムの場合は筐体の縦寸法を小さくし、また長円形ドラムとした場合は筐体の横寸法を小さくし、ホース収納スペースの低減に伴い屋内消火栓の筐体を小型化可能とする。
(ホースの伸長倍率)
また、上記の実施形態は、通水によりホース長が2倍に延びる場合を例にとっているが、伸長する倍率はそれ以上のN倍とすることが可能であり、倍率Nに応じてホース収納空間を1/Nに低減して更に小型化を図ることを可能とする。
(1重巻きのホース収納構造)
また、縮んだホースを収納するホース収納構造は、ホースを1重に外巻き又は内巻きする構造であれば、上記の実施形態に限定されず、適宜の構造を含む。
(多重巻きのホース収納構造)
また、上記の実施形態は、ドラムにホースを1重に外巻き又は内巻きするホース収納構造を例にとっているが、ホースを必要に応じて多重に外巻き又は内巻きしたホース収納構造としても良い。このホースの多重巻きにより、ドラムの奥行き寸法を短くし、ホース収納スペースを更に低減できる。
(パイプバーによるドラム構造)
また、上記の実施形態のドラム構造は、円形、長円形、楕円形、又は四角形以上の多角形の端面形状をもつ容器構造としているが、パイプバー(パイプフレーム)によるバケット構造により、ホースを内巻き又は外巻した場合に、円形、長円形、楕円形、又は四角形以上の多角形のホース巻き形状となるように構成しても良い。
(消火栓弁の遠隔操作)
また、上記の実施形態は、消火栓弁操作レバーを筐体側に設けた場合を例にとっているが、消火栓扉の裏側に消火先弁操作レバーを設けて筐体内の消火栓弁をケーブル連結により遠隔操作する構造であってもよい。
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:消火栓装置
12:筐体
16:扉開口部
18:消火栓扉
36:ホース収納空間
42:ホース
48:消火栓弁開閉レバー
50:長円形ドラム
50a:半円部分
50b:直線部分
50A:固定ドラム
50B:可動ドラム
52:ホース接続口
54:ノズル
58:ノズルホルダ
70:円形ドラム
78:内巻ドラム
80、90:ドラム開口
82:ドラムリール
84:回転継手
86:内側ドラム
88:外側ドラム

Claims (7)

  1. ホースを内部に収納する消火栓装置であって、
    前記ホースは、通水されていない状態で外巻き状態に収納され、通水されたときには、少なくともホースの付け根側の一部が内巻き状態に保持されることを特徴とする消火栓装置。
  2. 請求項1記載の消火栓装置に於いて
    前記ホースは、収納時に、通水されていない状態ではホース巻取りの内周側が規制され、通水されている状態ではホース巻取りの外周側の少なくともホース先端側を除く他の一部が外周方向への広がりが規制されることを特徴とする消火栓装置。
  3. 請求項1又は2記載の消火栓装置に於いて、
    前記ホースは、収納時に、通水されていない状態のホース巻取りの最外周が、通水されている状態のホース巻取りの最内周より小径であることを特徴とする消火栓装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の消火栓装置に於いて、
    前記ホースは、通水時に、少なくともホース先端側の一部が、ホースが引き出される空間側へ自律的に延出することを特徴とする消火栓装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の消火栓装置に於いて、
    前面に扉が配置された筐体を備え、
    前記ホースは、ホース先端にノズルを装着して、前記筐体に収納され、
    前記ノズルは、前記ホースが通水されていない状態で収納されているときに、前記筐体の奥行方向において、巻取られたホースの最前部と前記扉の裏側面との間に位置することを特徴とする消火栓装置。
  6. 請求項5記載の消火栓装置において、
    前記ノズルは、前記ホースが通水されたときに、巻取られたホースの最内周より巻取りの中心側に位置することを特徴とする消火栓装置。
  7. 請求項1乃至4の何れかに記載の消火栓装置において、
    前面に扉が配置されると共に、当該扉が開放されたときに、前記ホースが巻取り状態で当該扉と共に、ホースが引き出される空間側に露出する構造の筐体を備え、
    前記ホースは、ホース先端にノズルを装着して、前記筐体に収納され、
    前記ノズルは、前記ホースの収納時には、前記筐体の奥行方向において、巻取られたホースの最後部よりさらに後部に位置し、前記扉を開放したときに、当該扉及び巻取られたホースと共に、ホースが引き出される空間側に露出することを特徴とする消火栓装置。
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