JP3957202B2 - シート体着脱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転部材の外周面に搬送されたシート体を、回転部材に固定するシート体着脱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
支持体上に記録層(感光層)が設けられたシート状の印刷版(例えば、PS版、サーマルプレート、フォトポリマー版等)を用い、この印刷版の感光層に直接レーザビーム等で画像を記録する技術が開発されてきている(印刷版自動露光装置)。このような技術では、印刷版への迅速な画像記録が可能となっている。
【0003】
このような印刷版露光装置としては、例えば、円柱状の回転ドラムに印刷版を巻き付けて固定し、回転ドラムを高速回転させた状態で、回転ドラムの近傍に配置された記録ヘッドにより露光処理を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に開示されている印刷版自動露光装置では、回転ドラムの外周面には、回転ドラムの軸線方向に沿って複数(例えば、11個)の板状の先端チャックが、回動自在に支持されており、各先端チャックの一側には回転ドラムから離間する方向へ弾性力が付与されている。また、回転ドラムの近傍には先端チャック開閉ユニットが設けられており、この先端チャック着脱ユニットから各先端チャックにそれぞれ対向して突設された複数(例えば、11個)の解除レバーが、各先端チャックの一側を回転ドラムの外周面に押圧することで、各先端チャックの他側が回転ドラムの外周面から離間する。そして、各先端チャックの他側と回転ドラムの外周面との間に印刷版の先端が搬送される。
【0005】
各先端チャックの他側と回転ドラムの外周面との間に印刷版の先端が搬送されると、各解除レバーによる各先端チャックの一側の押圧が解除されることで、前記弾性力によって各先端チャックの他側が印刷版の先端を回転ドラムの外周面に押し付けて、回転ドラムの外周面に印刷版の先端が固定される。さらに、回転ドラムが回転されることで回転ドラムの外周面に印刷版が巻き付けられると共に、回転ドラムの外周面に後端チャックを取り付けることで後端チャックによって回転ドラムの外周面に印刷版の後端が固定される。
【0006】
ところで、先端チャックにより印刷版を固定する際に、複数の先端チャックの押圧を同時に解除すると(複数の先端チャックを同時に閉じると)、印刷版にしわがよる(うねりが出る)場合がある。このため、複数の先端チャックの押圧を所定の順番で解除するように(先端チャックが所定の順番で閉じるように)、各解除レバーの突出長さを所定量ずつ変えたものが知られている。
【0007】
しかしながら、上記各解除レバーの突出長さを所定量ずつ変えた構成によれば、解除レバーの突出長さに応じて先端チャックの開き量も異なるため、先に閉まる先端チャックほど開き量が小さくなる。このため、先端チャックと回転ドラムの外周面との間に印刷版を挿入する際に抵抗を生じることになる。
【0008】
しかも、このような印刷版自動露光装置においては、高速回転中の回転ドラムの変形量を小さくするために、先端チャックの小型化が求められており、相対的に先端チャックの開き量も小さくなる。このため、隣合う先端チャックの開き量の差および各解除レバーの突出長さの差も小さくなるため、各部品の寸法ばらつきを小さくしなければ、先端チャックの閉じる順番が狂ってしまうという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−112142号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、クランプ部材によりシート体を回転ドラムの外周面に固定する際に、シート体にしわを残さず固定できると共に、シート体搬送時におけるシート体とクランプ部材との抵抗を小さくすることができるシート体着脱装置を得ることが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明に係るシート体着脱装置は、シート体が巻き付けられる回転ドラムの外周面に前記回転ドラムの軸線方向に沿って複数個並んで設けられ、一端部が前記回転ドラムの外周面に接離移動可能とされると共に前記一端部が常に前記回転ドラム側へ付勢され、前記シート体の端部を前記一端部と前記回転ドラムの外周面との間で挟持して固定するクランプ部材と、棒状に形成され、前記回転ドラムに接離移動可能とされた昇降部材に設けられ、前記回転ドラムが所定の回転位置で停止された状態で前記各クランプ部材にそれぞれ対向するように配列されると共に、前記昇降部材に対して前記昇降部材の前記移動方向に沿ってそれぞれ相対移動可能とされ、前記昇降部材と共に前記回転ドラムに接近移動することで前記各クランプ部材をそれぞれ押圧して前記各クランプ部材の前記各一端部を前記回転ドラムの外周面から離間移動させる複数個の解除部材と、前記各クランプ部材の挟持力よりも大きい付勢力を有し、前記各解除部材を前記回転ドラム側へ付勢すると共に、前記各解除部材が前記各クランプ部材を押圧する際の前記各解除部材の前記相対移動を吸収する付勢手段と、前記各解除部材による前記各クランプ部材の各押圧位置が段階的に相違した状態で前記各解除部材を保持すると共に前記各押圧位置を個別に調節可能とされた保持部材と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項1に記載のシート体着脱装置では、回転ドラムに接離移動可能とされた昇降部材に、複数個の棒状の解除部材が設けられている。この各解除部材は、回転ドラムが所定の回転位置で停止された状態において、回転ドラムに設けられた各クランプ部材にそれぞれ対向するように配列されている。
【0013】
また、この各解除部材は、昇降部材に対して昇降部材の移動方向に沿ってそれぞれ相対移動可能とされると共に、クランプ部材の挟持力よりも大きな付勢力を有する付勢手段によって回転ドラム側へ付勢されている。
【0014】
さらに、この各解除部材は、各クランプ部材を押圧する各押圧位置を個別に調節可能な保持部材によって、各押圧位置が段階的に相違した状態で保持されている。
【0015】
ここで、回転ドラムが所定の回転位置で停止された状態で、昇降部材が回転ドラムに接近移動されると、各解除部材によって各クランプ部材が段階的に(所定の順番で)押圧されて、各クランプ部材の一端部が、回転ドラムの外周面から段階的に離間移動する。このとき、付勢手段により各解除部材の反回転ドラム側への相対移動が吸収されるため、先にクランプ部材を押圧する解除部材によって、他の解除部材および昇降部材の、回転ドラムへの接近移動が阻害されることはない。したがって、全てのクランプ部材の一端部を完全に回転ドラムの外周面から離間移動させることができる。
【0016】
これにより、シート体の端部を各クランプ部材の一端部と回転ドラムの外周面との間に搬送する際に、シート体の端部と各クランプ部材の一端部との間で抵抗が生ずることを防止できる。
【0017】
一方、シート体の端部が各クランプ部材の他側と回転ドラムの外周面との間に搬送された状態で、昇降部材が回転ドラムから離間移動されると、段階的に相違した各解除部材の各押圧位置に応じて、各クランプ部材の押圧が段階的に(所定の順番で)解除され、シート体の端部がクランプ部材の一端部と回転ドラムの外周面との間に挟持されて固定される。
【0018】
これにより、シート体の端部を段階的に(所定の順番で)固定することが可能となるため、シート体にしわがよることを防止できる。
【0019】
また、保持部材を調節することで各押圧位置を自由に設定できるため、各クランプ部材の押圧解除の順番や、各解除部材の押圧位置の差(各解除部材の各クランプ部材に対する相対位置の差)を最適な状態に設定することができる。したがって、各構成部材の寸法誤差による影響が少なくなり、各クランプ部材の押圧解除の順番が狂うことがない。
【0020】
またさらに、押圧解除時において、各解除部材の相対移動を吸収した付勢手段の付勢力が徐々に開放されつつ、各解除部材による各クリップ部材の押圧が段階的に解除される構成であるため、各解除部材から回転ドラムの周方向に作用する分力が時間的に分散される。(単位時間当たりに作用する分力の最大値が低減される。)
これにより、クランプ部材の押圧を解除する際の回転ドラムの揺れを少なくすることができるため、回転ドラムにシート体を固定する際の位置決め精度を高めることができる。
【0021】
このように、請求項1記載のシート体着脱装置では、クランプ部材によりシート体を回転ドラムの外周面に固定する際に、シート体にしわを残さず固定できると共に、シート体搬送時におけるシート体とクランプ部材との抵抗を小さくすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図7には、本発明のシート体着脱装置70が適用されて構成された実施の形態に係る印刷版自動露光装置10が側面図により示されている。
【0023】
本実施の形態に係る印刷版自動露光装置10は、シート体としてのフォトポリプレートやサーマルプレート等の印刷版12における支持体上の画像形成層(感光層や感熱層等)に画像を露光(記録)するものである。印刷版自動露光装置10は、搬送ガイドユニット14とパンチ部16と露光部18とに分かれており、搬送ガイドユニット14の前方にパンチ部16及び露光部18とが配置されると共に、パンチ部16の下方に露光部18が配置されている。
【0024】
搬送ガイドユニット14は、略四角形平板状の給版ガイド20と、略四角形平板状の排版ガイド22と、を有しており、給版ガイド20と排版ガイド22とは互いの相対関係位置が横V字型とされている。搬送ガイドユニット14は、図7の右端部側を中心として所定角度回動する構造となっており、この回動によって、給版ガイド20や排版ガイド22を選択的にパンチ部16や露光部18に対応させることができる。また、給版ガイド20上には、印刷版12が供給される。
【0025】
ここで、排版ガイドユニット14が回動されて給版ガイド20がパンチ部16に対応(対向)されることで、給版ガイド20上の印刷版12の先端がパンチ部16内に搬送されて、パンチ部16によって印刷版12の先端に例えば円孔と長孔等の所定数のパンチ孔(図示省略)が穿孔される。パンチ部16での処理が終了すると、印刷版12が給版ガイド20上へ戻される。
【0026】
露光部18は、回転ドラム24を備えている。回転ドラム24は円柱状とされると共に中心軸26を有しており、中心軸26が互いに対向する一対の支持板28(図6参照)に支持されることで、図7の矢印A方向及び図7の矢印B方向へ回転可能とされている。ここで、上述の如くパンチ部16から給版ガイド20上へ印刷版12が戻されると、搬送ガイドユニット14が回動されて給版ガイド20が露光部18に対応される(回転ドラム24の接線方向に対向される)ことで、回転ドラム24の外周面上に印刷版12の先端が搬送される。
【0027】
回転ドラム24の外周面には、印刷版12の先端が搬送される位置において、シート体着脱装置70の構成部材であるクランプ部材とされる断面く字形状の先端チャック30が、所定数(本実施の形態では11個)設けられており、所定数の先端チャック30は回転ドラム24の左右方向に沿って配置されている。
【0028】
図5に示す如く、先端チャック30の左右方向両側には支持部材32が配置されており、各支持部材32は回転ドラム24の外周面に固定されている。先端チャック30の後側部位には支持軸34が固定されており、支持軸34が各支持部材32に支持されることで、先端チャック30が回転ドラム24に各支持部材32を介して回転自在に支持されている。これにより、先端チャック30の後端部35が、回転ドラム24の外周面に接離移動可能とされている。
【0029】
また、先端チャック30の前側には、回転ドラム24の外周面から離間される方向へ、図示しない付勢手段により付勢力が付与されており、先端チャック30の後端部35は常に回転ドラム24側へ付勢されている。これにより、先端チャック30は、後端部35と回転ドラム24の外周面との間で印刷版12の端部を挟持して固定することができる。またさらに、先端チャック30前側部位の反回転ドラム24側の面には円形断面形状の押圧凹部36が形成されている。
【0030】
図6に示す如く、回転ドラム24の上方には、円軸状のカム軸38が設けられており、カム軸38は一対の支持板28の間に回転可能に支持されている。カム軸38の両端近傍には昇降カム40が固定されており、各昇降カム40は、円盤状とされて、中心の真上にカム軸38の中心が配置されている。
【0031】
カム軸38の下方には、シート体着脱装置70の構成部材である昇降部材42が配置されている。昇降部材42は、回転ドラム24の軸線に平行に配置された長尺平板状の後面板74と、後面板74の幅方向両端部からそれぞれ前方側へ直角に突出した平板状の上面板76と下面板78(図1参照)、さらに、この上面板76の前方側の端部から、下面板78側に直角に突出した平板状の前面板80(図1参照)とを一体に有している。
【0032】
昇降部材42の左右方向両端上部には断面U字状の駆動フレーム44が固定されており、各駆動フレーム44の内部には円盤状の駆動盤46が回転自在に支持されている。各駆動フレーム44と各支持板28との間には引張コイルスプリング48が架け渡されており、各引張コイルスプリング48の付勢力によって各駆動フレーム44が上方へ付勢されることで、各駆動盤46の上端が各昇降カム40の下端に当接している。
【0033】
昇降部材42の左右方向両端には案内板50が固定される一方、各支持板28には案内溝52が設けられており、各案内板50は各案内溝52に部分的に嵌入されている。ここで、カム軸38が回転されて、各昇降カム40が中心の真下にカム軸38の中心が配置される回転位置に回転される際には、各引張コイルスプリング48の付勢力によって各駆動盤46の上端が各昇降カム40の下端に当接しつつ昇降部材42が回転ドラム24の外周面から離間される。また、この状態からカム軸38が回転されて、各昇降カム40が中心の真上にカム軸38の中心が配置される回転位置に回転される(戻される)際には、各昇降カム40に各駆動盤46が押圧されて、各引張コイルスプリング48の付勢力に抗して各駆動フレーム44が下降されることで、各案内板50が各案内溝52に案内されつつ昇降部材42が回転ドラム24の外周面に接近される。これにより、昇降部材42は回転ドラム24に接離移動可能とされる。
【0034】
図6に示す如く、昇降部材42には、シート体着脱装置70の構成部材である解除部材とされる円柱棒状の解除ピン82A乃至82K(以下、各解除ピン82とする)が、各先端チャック30の数に対応して所定数(本実施の形態では11個)設けられている。この各解除ピン82は、それぞれ同寸法に形成されており、回転ドラム24が所定の回転位置で停止された状態で、各先端チャック30の各押圧凹部36にそれぞれ対向するように配列されている。そして、昇降部材42が回転ドラム24に接近することで、各解除ピン82が、それぞれに対向する各押圧凹部36を押圧するようになっている。
【0035】
ここで、図4に基づき解除ピン82Aについて詳細に説明する。なお、解除ピン82A乃至82Kは、基本的に同一の構成とされているため、解除ピン82B乃至82Kにおける、解除ピン82Aと同一の構成・作用については、解除ピン82Aと同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図4に示す如く、昇降部材42の上面板76には取付プレート84が固定されており、この取付プレート84と上面板76とを共に貫通した貫通孔(図示省略)に、円筒状のブッシュ86が嵌入されている。また同様に、下面板78にも、円筒状のブッシュ86が嵌入されており、解除ピン82Aは、この両ブッシュ86の筒内に挿通されて、昇降部材42に対して昇降部材42の移動方向に沿って相対移動可能とされている。また、解除ピン82Aは、上端側と下端側とがそれぞれ昇降部材42から突出している。
【0037】
解除ピン82Aの長手方向中間部には、解除ピン82Aの外周から鍔状に突出した鍔部88が形成されており、この鍔部88と上面板76との間には、シート体着脱装置70の構成部材である付勢手段とされるコイルスプリング90が設けられている。コイルスプリング90は、先端チャック30の挟持力よりも大きい付勢力を有しており、このコイルスプリング90により解除ピン82Aは、回転ドラム24側へ付勢されている。
【0038】
また、解除ピン82Aの上端部には、解除ピン82Aの外周から鍔錠に突出した抜止部92が形成されている。この抜止部92とブッシュ86との間には、シート体着脱装置70の構成部材である保持部材とされる円筒状のスペーサ94Aが設けられており、スペーサ94Aの筒内に解除ピン82Aが移動可能に挿通されている。そして、このスペーサ94Aに抜止部92が当接することで解除ピン82Aの回転ドラム24側への移動が制限されるようになっている。
【0039】
ここで、図6に示す如く、各解除ピン82A乃至82Kの各上端部には、それぞれ各スペーサ94A乃至94K(以下、各スペーサ94とする)が設けられている。この各スペーサ94の各厚さ寸法(軸線方向の長さ寸法)は、昇降部材42の左右方向一側から他側にかけて、所定量ずつ(本実施の形態では、1ミリずつ)段階的に相違されている。(本実施の形態においては、スペーサ94Aの厚さ寸法が11ミリ、スペーサ94Bの厚さ寸法が10ミリ、スペーサ94Cの厚さ寸法が9ミリ、といったように厚さ寸法が1ミリずつ段階的に減少されている。そして、スペーサ94Kの厚さ寸法が1ミリとされる。)
このため、各解除ピン82の各下端と、各先端チャック30との相対距離が、各スペーサ94の各厚さ寸法に対応して、所定量ずつ(本実施の形態では1ミリずつ)段階的に相違されている。すなわち、各解除ピン82による、各先端チャック30の各押圧位置が段階的に相違する構成とされており、この状態で各解除ピン82は、それぞれ各スペーサ94により保持されている。(図1参照。なお、図1乃至図3においては、説明の都合上、スペーサ94A乃至94Dの各厚さ寸法の差を誇張して描いてある。)
また、各スペーサ94は、交換可能とされており、各スペーサ94を交換することで各解除ピン82による各先端チャック30の各押圧位置を、任意に調節(変更)することができる構成とされている。
【0040】
ここで、各先端チャック30の各押圧凹部36と各解除ピン82とが対向する位置で回転ドラム24が停止された状態において、カム軸38が回転されて昇降部材42が回転ドラム24に接近移動されると、各解除ピン82がそれぞれ各押圧凹部36に段階的に(本実施の形態においては、解除ピン82Kから順番に)挿入されて、各先端チャック30の各前側を付勢力に抗して段階的に押圧する。このため、各先端チャック30の各後端部35が回転ドラム24の外周面から段階的に離間移動する(図1乃至図3参照)。
【0041】
このとき、各コイルスプリング90により各解除ピン82の反回転ドラム24側への相対移動が吸収されるため、先に先端チャック30を押圧する解除ピン82によって、他の解除ピン82および昇降部材42の回転ドラム24側への接近移動が阻害されることが防止されるようになっている。
【0042】
このため、全ての先端チャック30の各後端部35を完全に回転ドラム24の外周面から離間移動させることができる。
【0043】
これにより、上述の如く給版ガイド20から回転ドラム24の外周面に搬送される印刷版12の先端が各先端チャック30の後端部35と回転ドラム24の外周面との間に搬送され、この状態で上記印刷版12の位置決めが実施される。
【0044】
一方、上記印刷版12の位置決めが終了した後には、カム軸38が回転されて、昇降部材42が回転ドラム24から離間移動される。このため、段階的に相違した各解ピン82の各押圧位置に対応して、各解除ピン82が各先端チャック30の押圧凹部36から離間して(本実施の形態では、解除ピン82Aから順番に離間して)、各解除ピン82による各先端チャック30の押圧が段階的に(所定の順番で)解除される。これにより、印刷版12の先端の略全体が先端チャック30の後端部35と回転ドラム24の外周面との間に挟持されて固定される構成である。
【0045】
そして、回転ドラム24が図7の矢印A方向に回転されて、印刷版12が回転ドラム24の外周面に巻き付けられる。
【0046】
図7に示す如く、回転ドラム24の外周面近傍には、昇降部材42よりも図7の矢印A方向側において、円柱状のスクイズローラ55が配設されている。スクイズローラ55は、回転ドラム24側へ移動されることで、回転ドラム24に巻き付けられる印刷版12を回転ドラム24へ向けて押圧しつつ回転され、印刷版12を回転ドラム24の外周面に密着させる。
【0047】
また、回転ドラム24の外周面近傍には、昇降部材42よりも図7の矢印B方向側において、後端チャック着脱ユニット56が配設されている。後端チャック着脱ユニット56は回転ドラム24へ向けて移動可能とされている。後端チャック着脱ユニット56には、板状の後端チャック57が所定数装着されており、所定数の後端チャック57は左右方向に沿って配置されている。
【0048】
ここで、回転ドラム24に巻き付けた印刷版12の後端が後端チャック着脱ユニット56に対向すると、後端チャック着脱ユニット56が下降されて各後端チャック57が回転ドラム24側へ移動されることで、各後端チャック57が回転ドラム24の外周面に装着される。これにより、所定数の後端チャック57の前端が印刷版12の後端の略全体を回転ドラム24の外周面に押し付けることで、回転ドラム24の外周面に印刷版12の後端が固定される。また、各後端チャック57が回転ドラム24の外周面に装着されると同時に後端チャック着脱ユニット56から各後端チャック57が離脱され、その後、後端チャック着脱ユニット56が原点位置へ上昇される。
【0049】
このように、各先端チャック30及び各後端チャック57によって印刷版12の先端及び後端が回転ドラム24の外周面に固定されると、スクイズローラ55が回転ドラム24から離間された後に、回転ドラム24が所定の回転速度で高速回転される。
【0050】
回転ドラム24の外周面の後方近傍には、記録ヘッド58が配置されており、記録ヘッド58は、高速回転される回転ドラム24に向け、この回転ドラム24の回転に同期させて、読み込まれた画像データに基づいて変調した光ビームを照射し、これにより、印刷版12が画像データに基づいて露光される。この露光処理は、回転ドラム24を高速で回転させながら(主走査)、記録ヘッド58を回転ドラム24の軸方向へ移動させる(副走査)、所謂走査露光である。
【0051】
印刷版12への露光処理が終了すると、各後端チャック57が後端チャック着脱ユニット56に対向する位置で回転ドラム24が一時停止されて、後端チャック着脱ユニット56が回転ドラム24側へ下降されることで、各後端チャック57の回転ドラム24外周面への装着が解除されて各後端チャック57の前端による印刷版12後端の固定が解除される。また、これと同時に後端チャック着脱ユニット56に各後端チャック57が装着され、その後、後端チャック着脱ユニット56が原点位置へ上昇される。さらに、搬送ガイドユニット14が回動されて排版ガイド22が露光部18に対応された(回転ドラム24の接線方向に対向された)後、回転ドラム24が図7の矢印Bの方向へ回転されることで、印刷版12が後端側から排版ガイド22上へ排出される。
【0052】
この際、各解除ピン82が各先端チャック30に対向する位置で回転ドラム24が一時停止され、カム軸38が回転されて、昇降部材42が回転ドラム24の外周面に接近される。そして、各解除ピン82の前記各押圧位置に対応して、各解除ピン82の下端が各先端チャック30の押圧凹部36に段階的に挿入される。このため、各解除ピン82に各先端チャック30の前側が段階的に押圧されて各先端チャック30の後端部35が回転ドラム24の外周面から段階的に離間される。これにより、各先端チャック30の後端部35による印刷版12先端の固定が解除される。
【0053】
印刷版12が排版ガイド22へ排出されると、搬送ガイドユニット14が回動されて、排版ガイド22から印刷版12が排出される。これにより、印刷版12が印刷版自動露光装置10に隣接する次工程の現像装置または印刷装置(図示省略)へ搬送される構成である。
【0054】
次に、本発明の実施の形態の作用について説明する。
【0055】
上記構成の印刷版自動露光装置10では、印刷版12が給版ガイド20に載置されると、搬送ガイドユニット14が回動されて給版ガイド20がパンチ部16に対応されることで、印刷版12の先端部がパンチ部16内に搬送される。パンチ部16内に搬送された印刷版12は、先端部にパンチ部16により所定数のパンチが穿孔された後、給版ガイド20上に戻される。
【0056】
さらに、搬送ガイドユニット14が回動されて給版ガイド20が露光部18に対応されることで、印刷版12の先端部が回転ドラム24の外周面に沿って搬送され、シート体着脱装置70による印刷版12の回転ドラム24への固定が実施される。
【0057】
ここで、本実施の形態に係るシート体着脱装置70では、印刷版12の先端を回転ドラム24に固定する際には、回転ドラム24が所定の回転位置(各先端チャック30の各押圧凹部36と各解除ピン82が対向する位置)で停止された状態(図1参照)で、昇降部材42が回転ドラム24に接近移動される。そして、各解除ピン82がそれぞれ各押圧凹部36に段階的に挿入されて、各先端チャック30の前側を付勢力に抗して段階的に押圧する。これにより、各先端チャック30の後端部35が回転ドラム24の外周面から離間移動する(図2及び図3参照)。
【0058】
このとき、各コイルスプリング90により各解除ピン82の反回転ドラム24側への相対移動が吸収されるため、先に先端チャック30を押圧する解除ピン82によって、他の解除ピン82および昇降部材42の回転ドラム24側への接近移動が阻害されることが防止されるようになっている。このため、全ての先端チャック30の後端部35を完全に回転ドラム24の外周面から離間移動させることができる。
【0059】
これにより、印刷版12の先端部を各先端チャック30の後端部35と回転ドラム24の外周面との間に搬送する際に、印刷版12の先端部と先端チャック30の後端部35との間で抵抗が生じることが防止される。
【0060】
そして、上述の如く、給版ガイド20から回転ドラム24の外周面に搬送される印刷版12の先端が各先端チャック30の後端部35と回転ドラム24の外周面との間に搬送され、この状態で上記印刷版12の位置決めが実施される。
【0061】
一方、上記印刷版12の位置決めが終了した後には、カム軸38が回転されて、昇降部材42が回転ドラム24から離間移動される。このため、段階的に相違した押圧位置に対応して、各解除ピン82が各先端チャック30の押圧凹部36から段階的に(所定の順番で)離間して、各解除ピン82による各先端チャック30の押圧が段階的に解除される。これにより、印刷版12の先端の略全体が先端チャック30の後端部35と回転ドラム24の外周面との間に段階的に挟持されて固定される。
【0062】
これにより、印刷版12の先端部を段階的に(所定の順番で)固定することが可能となるため、印刷版12にしわがよることを防止できる。
【0063】
そして、回転ドラム24が図9の矢印A方向へ回転されて、印刷版12がスクイズローラ55により回転ドラム24の外周面に密着されつつ回転ドラム24の外周面に巻き付けられる。そして、印刷版12の後端部が後端チャック57により回転ドラム24の外周面に固定される。
【0064】
回転ドラム24の外周面への印刷版12の固定が完了すると、回転ドラム24が高速回転された状態で、記録ヘッド58から光ビームが印刷版12へ照射されることで、露光処理が行われる。
【0065】
露光処理が終了すると、後端チャック着脱ユニット56により各後端チャック57の回転ドラム24外周面への装着が解除され、印刷版12が後端側から排出ガイド22上へ排出される。
【0066】
この際、各解除ピン82が各先端チャック30の押圧凹部36に対向する位置で回転ドラム24が一時停止され、昇降部材42が回転ドラム24の外周面に接近移動される。そして、各解除ピン82が各先端チャック30の前側を付勢力に抗して段階的に押圧することで、先端チャック30による印刷版12先端部の固定が解除される。
【0067】
印刷版12が排版ガイド22へ排出されると、搬送ガイドユニット14が回動されて、排版ガイド22から印刷版12が排出される。これにより、印刷版12が印刷版自動露光装置10に隣接する次工程の現像装置または印刷装置(図示省略)へ搬送される。
【0068】
このように、上記構成のシート体着脱装置70では、先端チャック30により印刷版12を回転ドラム24の外周面に固定する際に、印刷版12にしわを残さず固定できると共に、印刷版12搬送時における印刷版12と先端チャック30との抵抗を小さくすることができる。
【0069】
また、各スペーサ94を調節(交換)することで各解除ピン82による各押圧位置を自由に設定できるため、各先端チャック30の押圧解除の順番や、各解除ピン82の押圧位置の差(各解除ピン82の各先端チャック30に対する相対位置の差)を最適な状態に設定することができる。したがって、各構成部材の寸法誤差による影響が少なくなり、各先端チャック30の押圧解除の順番が狂うことがない。
【0070】
またさらに、各先端チャック30の押圧解除時において、各解除ピン82の相対移動を吸収したコイルスプリング90の付勢力が徐々に開放されつつ、各解除ピン82による各先端チャック30の押圧が段階的に解除される構成であるため、各解除ピン82から回転ドラム24の周方向に作用する分力が時間的に分散される。(単位時間当たりに作用する分力の最大値が低減される。)これにより、先端チャック30の押圧を解除する際の回転ドラム24の揺れを少なくすることができるため、回転ドラム24に印刷版12を固定する際の位置決め精度を高めることができる。
【0071】
なお、本実施の形態においては、各スペーサ94の各厚さ寸法(軸線方向の長さ寸法)が、昇降部材42の左右方向一側から他側にかけて、段階的に相違する構成とされているが、これに限定されるものではない。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明ののシート体着脱装置では、クランプ部材によりシート体を回転ドラムの外周面に固定する際に、シート体にしわを残さず固定できると共に、シート体搬送時におけるシート体とクランプ部材との抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート体着脱装置の主要部の構成を示し、昇降部材が回転ドラムから離間した状態を印刷版自動露光装置の前方側から示した正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るシート体着脱装置の主要部の構成を示し、昇降部材が回転ドラムに接近した状態を印刷版自動露光装置の前方側から示した正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るシート体着脱装置の主要部の構成を示し、昇降部材が回転ドラムに接近した状態を印刷版自動露光装置の後方側から示した正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るシート体着脱装置の構成部材である解除ピンを含む周辺の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るシート体着脱装置の構成部材である先端チャックを含む周辺の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る印刷版自動露光装置における露光部の主要部を示す概略的な斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る印刷版自動露光装置を示す概略的な側面図である。
【符号の説明】
10 印刷版自動露光装置
12 印刷版(シート体)
24 回転ドラム
30 先端チャック(クランプ部材)
42 昇降部材
82 解除ピン(解除部材)
90 コイルスプリング(付勢手段)
94 スペーサ(保持部材)
Claims (1)
- シート体が巻き付けられる回転ドラムの外周面に前記回転ドラムの軸線方向に沿って複数個並んで設けられ、一端部が前記回転ドラムの外周面に接離移動可能とされると共に前記一端部が常に前記回転ドラム側へ付勢され、前記シート体の端部を前記一端部と前記回転ドラムの外周面との間で挟持して固定するクランプ部材と、
棒状に形成され、前記回転ドラムに接離移動可能とされた昇降部材に設けられ、前記回転ドラムが所定の回転位置で停止された状態で前記各クランプ部材にそれぞれ対向するように配列されると共に、前記昇降部材に対して前記昇降部材の前記移動方向に沿ってそれぞれ相対移動可能とされ、前記昇降部材と共に前記回転ドラムに接近移動することで前記各クランプ部材をそれぞれ押圧して前記各クランプ部材の前記各一端部を前記回転ドラムの外周面から離間移動させる複数個の解除部材と、
前記各クランプ部材の挟持力よりも大きい付勢力を有し、前記各解除部材を前記回転ドラム側へ付勢すると共に、前記各解除部材が前記各クランプ部材を押圧する際の前記各解除部材の前記相対移動を吸収する付勢手段と、
前記各解除部材による前記各クランプ部材の各押圧位置が段階的に相違した状態で前記各解除部材を保持すると共に前記各押圧位置を個別に調節可能とされた保持部材と、
を備えたことを特徴とするシート体着脱装置。
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