JP3955291B2 - 内燃エンジンの触媒付きマフラー - Google Patents

Description

本発明は、膨張室及び排ガス浄化用触媒を備えた触媒付きマフラーに係り、特に、刈払機、チェンソー等の携帯型作業機に用いられる小型空冷２サイクルガソリンエンジン等に好適な触媒付きマフラーに関する。

近年、刈払機、チェンソー等の携帯型作業機に使用される小型空冷２サイクルガソリンエンジン等の内燃エンジンおいても、車載用エンジン等と同様に、排ガス中の炭化水素（ＨＣ）、一酸化炭素（ＣＯ）等を低減することが強く要望されてきており、そのため、排気系に備えられるマフラー内に排ガス浄化用触媒を配設し、該触媒に排ガスを通過させることによって排ガスの浄化（ＨＣ、ＣＯ等の低減）を図ることが提案されている（例えば、特許文献１、２参照）。

図４は、前記のような触媒付きマフラーの従来例を、内燃エンジン１０’の一部と共に示している。図４において、内燃エンジン１’は、刈払機やチェーンソー等の携帯型作業機の動力源として組み込まれているシュニューレ掃気式の小型空冷２サイクルガソリンエンジンとされ、排気量は、例えば約２３〜４５ｍＬ程度のものである。このエンジン１’は、半球形の燃焼室５’を有するシリンダ２’を備え、該シリンダ２’には、その外周に多数の冷却フィン６’が設けられるとともに、図５に示される如くの、断面形状が概略角丸付き長方形状で、内端（シリンダボア２ａ’）側から外端側に向けて断面積が漸増する末広がり形状の排気口１０’が設けられ、さらに、図示はされていないが、前記シリンダボア２ａ’の内周に沿って周知の態様で吸気口や掃気口が設けられている。

前記シリンダ２’における前記排気口１０’側の外側部に、マフラー２０’が取り付けられている。このマフラー２０’は、はぜ折り加工によって密封接合されている左右の外壁パネル２１’、２２’を備え、これらの外壁パネル２１’、２２’により膨張室２５’が画成されている。前記排気口１０’側に位置する前記左外壁パネル２１’には、前記排気口１０’の外端部１０ａ’と略同じ形状の開口部２１ａ’が形成され、この開口部２１ａ’周りには補強板２８’が溶接等により取り付けられている。また、前記右外壁パネル２２’における前記排気口１０’の真向かいには、凹部２２ａ’が設けられ、この凹部２２ａ’と前記補強板２８’とを橋絡するように、有底角筒状の触媒保持体４０’が、断熱・緩衝板２７’を介装して架設されている。

該触媒保持体４０’の内端部４１’側（前記排気口１０’側）には、短円柱状の排気浄化用触媒３０’を嵌め込んで溶接等により固定保持するための取付穴４０ａ’が設けられ、前記触媒保持体４０’における外端部４２’側（前記凹部２２ａ’側）には、適数の排ガス流通穴４３’が設けられている。前記触媒３０’は、通気性を有するメタル担体からなる酸化触媒とされ、その外周には円筒状のシェル３２’が外装されている。前記触媒３０’は、排ガスの流通方向であるその中心軸線Ｏが、前記排気口１０’（の外端部１０ａ’）及び前記触媒保持体４０’の中心線と略一致するように、前記触媒保持体４０’に保持されている。

また、前記右外壁パネル２２’の下部には、排ガスを外部に排出するための出口２９’が設けられ、この出口２９’には、図示されていないが、スパークアレスタースクリーンや排ガスの排出方向を規制する排ガス案内部材等が設けられる。

かかる構成のもとでは、前記排気口１０’から音速に近い速度で噴出せしめられる排ガスは、図４において実線矢印で示されているように、前記マフラー２０’内に配在された前記触媒保持体４０’の前記内端部４１’を介して前記触媒３０’に導かれ、その内部を横断通過する。その際、前記触媒３０’により排ガス中のＨＣ、ＣＯ等が低減せしめられる。前記触媒３０’を横断通過した排ガスは、前記触媒保持体４０’の前記排ガス流通穴４３’を介して前記膨張室２５’に吹き出されて膨張拡散せしめられ、それによって排気音が減衰せしめられる。前記膨張室２５で膨張拡散した排ガスは、下部方向に移動し、前記出口２９’を介して外部に排出される。

特開平９−１８４４１８号公報 特表平９−５０７８９８号公報

しかしながら、前記従来の触媒付きマフラー２０’では、図５に示される如くに、前記触媒３０の断面形状と前記排気口１０’の開口形状及び前記触媒保持体４０’（の内端部４１’）の断面形状とが異なるので、排ガスは、その大部分が前記触媒３０’の上下方向中央部を通り、前記触媒３０の上下端部付近は排ガスがほとんど通らない。また、前記触媒３０’の位置が前記排気口外端部１０ａ’から遠く、より高温の排ガスを取り入れることができない。したがって、従来の触媒付きマフラー２０’では、前記触媒３０’の浄化能力が十分には活用されていないという問題があった。

本発明は、前記した如くの従来の問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、触媒の浄化能力を最大限活用することができるようにされた内燃エンジンの触媒付きマフラーを提供することにある。

前記目的を達成すべく、本発明に係る触媒付きマフラーは、基本的には、膨張室と、通気性を有する排ガス浄化用触媒を一端に内嵌固定保持し他端に適数の排ガス流通穴を形成した触媒保持体と、を備え、内燃エンジンの排気口から噴出せしめられる排ガスを前記触媒を介して前記膨張室に導入するようにされた触媒付きマフラーであって、前記触媒は、短円柱状あるいは短角柱状とされると共に、前記排気口は、内端側から外端側に向けて断面積が漸増する末広がり形状とされた排気口外端部を有し、前記触媒の外面断面形状と前記排気口外端部の内面断面形状とが同一とされて、前記触媒の一端部が前記排気口外端部に嵌挿されることを特徴としている。

前記触媒は、好ましくは、メタル担体酸化触媒とされる。

前記内燃エンジンは、好ましくは、小型空冷２サイクルガソリンエンジンとされる。

本発明に係る触媒付きマフラーは、エンジンの排気口が、内端側から外端側に向けて断面積が漸増する末広がり形状の拡大された排気口外端部を有すると共に、排ガス浄化用触媒が、好ましくは、円柱状あるいは角柱状とされ、該触媒の外面断面形状とエンジンの前記拡大された排気口外端部の内面断面形状とが同一とされて、その排ガス浄化用触媒の一端部（排ガス導入側）が前記排気口の外端部に実質的に密着状に嵌挿されるので、触媒の全領域が排ガスの浄化に使用される。そのため、触媒の浄化能力を最大限活用することができ、排ガス浄化性能が格段に向上する。

また、排気口内に触媒の一部が挿入されるので、触媒に導入される排ガスの温度が従来のものに比して高くなる。そのため、触媒の反応能力（活性化）が高められ、排ガス浄化能力が一層向上する。

さらに、触媒が排気口（燃焼室）に近づけられた分、触媒の他端部（排ガス導出側）とマフラーの排ガス出口との距離が長くなり、そのため、マフラーの排ガス出口での排ガス温度を低下させることができる。

以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図１は、本発明に係る触媒付きマフラーの一実施形態を、それが適用された内燃エンジンと共に示す概略断面図である。

図１において、内燃エンジン１は、図４に示される従来例のものと同様に、刈払機やチェーンソー等の携帯型作業機の動力源として組み込まれているシュニューレ掃気式の小型空冷２サイクルガソリンエンジンとされ、排気量は、例えば約２３〜４５ｍＬ程度のものである。このエンジン１は、半球形の燃焼室５を有するシリンダ２を備え、該シリンダ２には、その外周に多数の冷却フィン６が設けられるとともに、図２に示される如くの、内面断面形状が円形で、内端（シリンダボア２ａ）側から外端側に向けて断面積が漸増する末広がり形状（ラッパ状）で、外端部１０ａの内面断面形状が円筒状（図３に示される如くに、内径がΦx）の排気口１０が設けられ、さらに、図示はされていないが、前記シリンダボア２ａの内周に沿って周知の態様で吸気口や掃気口が設けられている。

前記シリンダ２における前記排気口１０側の外側部に、本実施形態のマフラー２０が取り付けられている。このマフラー２０は、はぜ折り加工によって密封接合されている左右の外壁パネル２１、２２を備え、これらの外壁パネル２１、２２により膨張室２５が画成されている。前記排気口１０側に位置する前記左外壁パネル２１には、前記排気口外端部１０ａと略同じ形状の開口部２１ａが形成されている。また、前記右外壁パネル２２における前記排気口１０の真向かいには、凹部２２ａが設けられ、この凹部２２ａと前記左外壁パネル開口部２１ａの端縁部とを橋絡するように、有底円筒状の触媒保持体４０が、断熱・緩衝板２７を介装して架設されている。

前記触媒保持体４０の内端部４１（前記排気口１０側）には、一端部３０ａ（排ガス導入側）が前記排気口１０の外端部１０ａの内面に実質的に密着状に嵌挿される短円柱状の排気浄化用触媒３０の他端部３０ｂ（排ガス導出側）が内嵌されて溶接等により固定保持され、前記触媒保持体４０における外端部４２側（前記凹部２２ａ側）には、適数の排ガス流通穴４３が設けられている。前記触媒３０は、メタル担体酸化触媒とされ、その外周には外面断面形状が円筒状の金属製シェル３２が外装されている。前記触媒３０は、排ガスの流通方向であるその中心軸線Ｏが、前記排気口１０（の外端部１０ａ）及び前記触媒保持体４０の中心線と略一致するように、前記触媒保持体４０に内嵌固定されている。

また、前記右外壁パネル２２の下部には、排ガスを外部に排出するための出口２９が設けられ、この出口２９には、図示されていないが、スパークアレスタースクリーンや排ガスの排出方向を規制する排ガス案内部材等が設けられる。

かかる構成のもとでは、前記排気口１０から音速に近い速度で噴出せしめられる排ガスは、図１において実線矢印で示されているように、前記排気口１０内にその一部が挿入された前記触媒３０に導かれ、該触媒３０の内部を前記中心軸線Ｏに沿って横断通過する。その際、前記触媒３０により排ガス中のＨＣ、ＣＯ等が低減せしめられる。前記触媒３０を横断通過した排ガスは、前記触媒保持体４０の前記排ガス流通穴４３を介して前記膨張室２５に吹き出されて膨張拡散せしめられ、それによって排気音が減衰せしめられる。前記膨張室２５で膨張拡散した排ガスは、下部方向に移動し、前記出口２９を介して外部に排出される。

このような構成とされた本実施形態の触媒付きマフラー２０は、排ガス浄化用触媒３０が、円柱状とされ、該触媒３０（シェル３２）の外面断面形状（円形）と排気口外端部１０ａの内面断面形状（円形）とが同一とされて、その一端部（排ガス導入側）が前記排気口１０の外端部１０ａに実質的に密着状に嵌挿されるので、触媒３０の全領域が排ガスの浄化に使用される。そのため、触媒３０の浄化能力を最大限活用することができ、排ガス浄化性能が格段に向上する。

また、排気口１０内に触媒３０の一部が挿入されるので、触媒３０に導入される排ガスの温度が従来のものに比して高くなる。そのため、触媒の反応能力（活性化）が高められ、排ガス浄化能力が一層向上する。

さらに、触媒３０が排気口１０（燃焼室）に近づけられた分、触媒３０の他端部（排ガス導出側）とマフラー２０の排ガス出口２９との距離が長くなり、そのため、マフラー２０の排ガス出口２９での排ガス温度を低下させることができる。

以上、本発明の一実施形態について、詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱することなく、設計において種々の変更ができるものである。

例えば、本発明のマフラーは、前記実施形態で使用された空冷２サイクルガソリンエンジン以外の４サイクルエンジン等にも同様に適用できるものである。

また、排ガス浄化用触媒も、前記したもの（メタル担体酸化触媒）以外の、発泡成形体、セラミック担体のもの等を用いることもできる。

本発明に係る触媒付きマフラーの一実施形態を、それが適用された内燃エンジンと共に示す概略断面図。 図１のＩＩ−ＩＩ矢視断面図。 図１の内燃エンジンにおける排気口周辺部を拡大して示す図。 従来の触媒付きマフラーの一例を、それが適用された内燃エンジンと共に示す概略断面図。 図４のＶ−Ｖ矢視図。

符号の説明

１…内燃エンジン（小型空冷２サイクルガソリンエンジン）
１０…排気口
１０ａ…外端部
２０…マフラー
２５…膨張室
３０…排ガス浄化用触媒
３０ａ…一端部

Claims (3)

1. 膨張室（２５）と、通気性を有する排ガス浄化用触媒（３０）を一端に内嵌固定保持し他端に適数の排ガス流通穴（４３）を形成した触媒保持体（４０）と、を備え、内燃エンジン（１）の排気口（１０）から噴出せしめられる排ガスを前記触媒（３０）を介して前記膨張室（２５）に導入するようにされた触媒付きマフラー（２０）であって、
   前記触媒（３０）は、短円柱状あるいは短角柱状とされると共に、前記排気口（１０）は、内端側から外端側に向けて断面積が漸増する末広がり形状とされた排気口外端部（１０ａ）を有し、
   前記触媒（３０）の外面断面形状と前記排気口外端部（１０ａ）の内面断面形状とが同一とされて、前記触媒（３０）の一端部（３０ａ）が前記排気口外端部（１０ａ）に嵌挿されることを特徴とする触媒付きマフラー。
2. 前記触媒（３０）は、メタル担体酸化触媒であることを特徴とする請求項１に記載の触媒付きマフラー。
3. 前記内燃エンジン（１）は、小型空冷２サイクルガソリンエンジンであることを特徴とする請求項１又は２に記載の触媒付きマフラー。

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