JP4309306B2 - エンジンのマフラ - Google Patents
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Description
特許文献1においては、マフラの外筒(ケース)内に多数の通気孔を有する通気板によって前後を画定された収容空間を形成し、この収容空間内に、約3mm〜6mm程度のサイズの球形状や円筒形状に形成された担体に酸化触媒を担持(コーティング)した多数のペレット触媒(ペレット型酸化触媒)を充填した構成のものが開示されている。
特許文献2に示されているマフラの構成としては、前述したマフラケース内に、マフラケース内の空間をエンジン側から離れた空間と近い空間とに区画するための仕切り板を設けており、この仕切り板に円筒形の触媒(一般的には、ステンレス鋼材に触媒を担持させたハニカム型の触媒筒が用いられる。)を設けている。そして、このような構成にすることより、作業者が触れる危険性のあるエンジンの外側に位置するマフラの壁面の過熱を防止するとともに、触媒と接触して過熱される排気ガスの熱を低下させている。
まず、特許文献1に示されているマフラついては、マフラのケース内において多数のペレット触媒が充填される収容空間を形成する前後の通気板、即ち、触媒の収容空間に対して排気ガスの流入面及び排出面となる通気板は、パンチングメタルや金網によって構成されることが示されているが、この通気板は一様な目を持ったものとなっている。つまり、マフラのケース内において触媒を所定の位置に保持するとともに排気ガスを触媒に通過させるための通気板が、その略全面に通気孔(網目)を有するものとなっており、前後の通気板は略全面にて排気ガスを通過させるものとなっている。
このように、ペレット触媒を保持する通気板、特に排出面側の通気板を一様な目を持つものとすると、ペレット触媒の収容空間内における触媒反応(排気ガス中の有害成分とペレット触媒との化学変化)にムラが発生してしまう。つまり、マフラのケース内において排気ガスが多く通過する(流速が速くなる)中心部のみが強い触媒反応を起こすこととなり、排気ガスの流量が少ない外側部での触媒反応が弱くなってしまうという不具合が発生する。これにより、目標とする排気ガスの浄化量を達成しようとするためにはより多量のペレット触媒を用いる必要が生じる。また、ケース内に収容するペレット触媒の量を同じとしながらこうした不具合を解消するための方策として、ペレット触媒が収容される部分の内径を小さくして長さを長くすることが考えられる。しかし、このようにした場合、排気ガスの通過面積が小さくなって排気ガスのペレット触媒を通過する時間が長くなって排気ガスの浄化量は向上するものの、圧力損失が増大してエンジン出力の低下を招いてしまう。
また、本構成における触媒ケースは、必要に応じて排気の流れる方向の長さを短くしたり径を大きくしたりすることが可能となるで、小型の箱型マフラ内においても排気ガスの浄化に必要十分な量のペレット触媒を収納することが可能となり、排気ガスの浄化量を落すことなく排気ガス中の有害成分を有効に浄化することができる。さらに、触媒ケースの十分な大きさの径が確保できるので、排気ガスの触媒ケース通過時の圧力損失によるエンジンの出力低下を防止することができる。
また、従来はマフラ本体内にペレット触媒を設けるために不可欠であった仕切り板などを用いる必要がないので、部品点数の削減、製造コストの低減及び製造工程の簡略化を図ることができる。
さらに、触媒ケースの略全面が排気ガスの流入部となるので、触媒ケースの形状的な自由度が向上する。
図1は本発明のマフラを備えるエンジンの縦断面図、図2は本発明のマフラの一実施形態を示す縦断面図、図3は同じく正面図、図4は図2におけるA−A断面図、図5はバッフルプレートを取り外した状態のマフラを示す正面図、図6はバッフルプレート及び蓋部材を取り外した状態のマフラを示す正面図、図7は蓋部材の他の実施例を示す正面図、図8は蓋部材の他の実施例を示す正面図、図9は本発明のマフラの別実施形態を示す縦断面図である。
図1に示すように、本発明に係るエンジン1は、クランクシャフト2を回転自在に支持するクランクケース3を有している。このクランクケース3には、コンロッド4を介してクランクシャフト2に連結されたピストン5をスライド自在に収納するシリンダ6が取り付けられている。シリンダ6は、ピストン5上部のピストンヘッドとの間に燃焼室7を形成し、この燃焼室7内にはシリンダ6に固定されるスパークプラグ8の着火部が配置されている。そして、シリンダ6には、クランクケース3に連通して燃焼室7に混合気を導入するための吸気ポート9と、爆発後の排気ガスを燃焼室7から排出する排気ポート10とが形成されている。
そして、シリンダ6の排気ポート10には、本発明に係るマフラ20が接続されており、前記カバー15によって覆われている。マフラ20は、シリンダ6に対してガスケット16を介してボルト17によって固定されている。
本発明に係るマフラ20は、排気ガス流入口22aを有する内側シェル22及び外側シェル23によってマフラ本体21を構成している。これら内側シェル22及び外側シェル23は、それぞれの外縁を合わせた外周縁部24にてカシメ合わせることによって接合される。そして、マフラ本体21において排気ガス流入口22aに対向する位置の下側、即ち外側シェル23の下側には、排気ガス排出口30bを形成するバッフルプレート30がマフラ本体21の外側から複数のボルト31によって付設されている。このバッフルプレート30により、マフラ本体21内から排出される排気ガスの排気音を低減するとともに、排気ガスを所望の排出方向に導いている。
このような構成において、エンジン1から排出される排気ガスが、排気ポート10を経て前記排気ガス流入口22aから流入し、マフラ本体21内を通過した後、バッフルプレート30の排気ガス排出口30bからエンジン1の後方(図2における紙面奥方向、図3における左方向)に向けて排出される。
ペレット触媒25pは、活性アルミナ等を素材とし球状や円筒状に形成される粒状の担体に、排気ガス中の有害成分を浄化する触媒金属を担持させた(コーティングした)ものである。このペレット触媒25pにおいて担体に担持される触媒金属としては、Pt(プラチナ)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)等の貴金属から少なくとも一種選択されるもの、あるいはそれを用いた合金などである。なお、各図面においては、説明の便宜上ペレット触媒25p・25p・・・を模式的に大きく示しているが、これらペレット触媒25p・25p・・・の実際の外形サイズとしては、約2〜6mm程度となる。
つまり、マフラ20内に吸入される排気ガスがペレット触媒25pに接触することにより、前記触媒金属が化学反応を誘起し、排気ガス中に含まれる有害成分であるHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、NOx(窒素酸化物)などの物質が水や二酸化炭素や窒素などの無害な物質に変化する。このように、多数のペレット触媒25p・25p・・・であるペレット触媒群25をマフラ本体21内に備えることにより、排気ガス中の有害成分が化学変化によって無害成分となり、排気ガスが浄化される。
ここで、図4、図6に表されているように、触媒ケース26の排出側連通口26bは流入側連通口26aよりも大径に形成されている。つまり、触媒ケース26は、排気ガスの排出側に向けて若干逆テーパ状に形成されている。
そのため、流入側金網27及び排出側金網28は、その網目の大きさをペレット触媒25pの外形サイズよりも小さい金網で構成されている。また、これら流入側金網27及び排出側金網28は、多数の通気孔を有するパンチングメタル(多孔板)で構成してもよい。
このような構成において、マフラ本体21の排気ガス流入口22aから流入した排気ガスが、流入側連通口26aに設けられる流入側金網27を介して触媒ケース26内に流入し、触媒ケース26内のペレット触媒群25に接触して浄化され、排出側連通口26bに設けられる排出側金網28を介してマフラ本体21外へと排出される。なお、図2及び後述する図9においては、便宜上、一部のペレット触媒25p・25p・・・のみを示している。
この蓋部材29は、触媒ケース26の排出側連通口26bよりも大きく形成される板状部材であり、蓋部材29が排出側連通口26bの全体を覆った状態で排出側金網28を被装している。そして、この蓋部材29は、排出側連通口26bよりも開口面積が小さい開口部29hを有している。つまり、触媒ケース26内のペレット触媒群25に接触して排出側連通口26bから排出される排気ガスは、排出側金網28を介して蓋部材29の開口部29hを通過して排出されることになる。
この開口部29hを蓋部材29の排出側連通口26bに対応する範囲内においてその外側(内周部)が開口するように設けることにより、触媒ケース26内に流入する排気ガスがペレット触媒群25と均一に接触することとなる。すなわち、図4に示すように、触媒ケース26の流入側連通口26aから流入側金網27を介して流入した排気ガスは、排出側連通口26bから直接排出されることなく、排出側に向けて逆テーパ状に広がっている触媒ケース26内において中心部から外側部への流れを形成し、蓋部材29に当たって反射したり過流を生じたりして触媒ケース26内を回流するとともに排出側金網28を介して蓋部材29の開口部29hから排出されることとなる。そして、バッフルプレート30の排気ガス排出口30bから外部に排出される。
図7に示す蓋部材29においては、円形状に形成される開口部29hを、触媒ケース26の排出側連通口26bに対応する範囲内において、その中心部に1箇所、外側の内周部に等角度間隔に4箇所、計5箇所設けている。
また、図8に示す蓋部材29においては、触媒ケース26の排出側連通口26bに対応する範囲の内周に沿うような長孔状(三日月状)に形成される開口部29hを、その内周部において等間隔に4箇所設けている。
このように、蓋部材29に形成される開口部29hは、触媒ケース26内に流入する排気ガスが、ペレット触媒群25に均一に接触するような排気ガスの流れを形成するように設けられる。すなわち、前述した蓋部材29の各実施例における開口部29hの形状及び設ける位置や数は、好適な場合を示した例示であり、各図に示されるものに限定するものではない。なお、前述したように排気ガスをペレット触媒群25に均一に接触するような流れを形成するためには、主に排出側連通口26bに対応する位置の内周部が開口され、排出側連通口26bの中心に対して対称に設けられることが好ましい。
また、本構成のマフラ20における触媒ケース26は、必要に応じて排気の流れる方向の長さを短くしたり径を大きくしたりすることが可能となるで、本実施形態に示すような小型の箱型マフラ内においても排気ガスの浄化に必要十分な量のペレット触媒群25を収納することが可能となり、排気ガスの浄化量を落すことなく排気ガス中の有害成分を有効に浄化することができる。さらに、触媒ケース26の十分な大きさの径が確保できるので、排気ガスの触媒ケース26通過時の圧力損失によるエンジン1の出力低下を防止することができる。
なお、本実施形態においては、マフラ本体21内での触媒ケース26の配置位置から、触媒ケース26は外側シェル23と一体に形成されることとなるが、この場合に限らず、マフラ本体21の構成などによっては、触媒ケース26を内側シェル22と一体に形成する場合も考えられる。つまり、触媒ケース26がマフラ本体21内においてマフラ本体21と一体に形成されればよい。
なお、この触媒ケース36は、その略全面を排気ガスの流入部とすることから、図9に示す半ドーム型の形状の他、筒型や角型に形成することもできる。
さらに、触媒ケース36の略全面が排気ガスの流入部となるので、触媒ケース36の形状的な自由度が向上する。
また、触媒ケース26内のメンテナンスを施す際は、バッフルプレート30を取り外すだけで行うことが可能となる。これにより、長期間使用によるペレット触媒25p・25p・・・の劣化に際しても、ペレット触媒25p・25p・・・を交換することのみで排気ガスの浄化能力が回復することとなるので、メンテナンスが容易に行えるという効果も得ることができる。
6 シリンダ
10 排気ポート
20 マフラ
21 マフラ本体
25 ペレット触媒群
25p ペレット触媒
26 触媒ケース
26a 流入側連通口
26b 排出側連通口
27 流入側金網
28 排出側金網
29 蓋部材
29h 開口部
30 バッフルプレート
36 触媒ケース
Claims (5)
- シリンダの排気ポートに接続され、排気ポートから排出される排気ガスが通過するエンジンのマフラであって、
マフラ本体と、
粒状の担体に排気ガス中の有害成分を浄化する触媒金属を担持させたペレット触媒群と、
前記マフラ本体内に設けられ、前記ペレット触媒群を保持するとともに流入側連通口及び排出側連通口を有する触媒ケースと、
前記触媒ケースの流入側連通口を覆う流入側金網と、
前記触媒ケースの排出側連通口を覆う排出側金網と、
前記マフラ本体の外側から前記排出側金網を被装するとともに、前記排出側連通口よりも開口面積が小さく排気ガスが前記ペレット触媒群に均一に接触するように形成される開口部を有する蓋部材と、を備えることを特徴とするエンジンのマフラ。 - 前記排出側金網を、排気ガス中の火の粉飛散防止用のスパークアレスタとして利用することを特徴とする請求項1記載のエンジンのマフラ。
- 前記触媒ケースを、前記マフラ本体と一体に形成したことを特徴とする請求項1記載のエンジンのマフラ。
- 前記蓋部材を、前記マフラ本体と、該マフラ本体の外側に付設され排気ガス排出口を形成するバッフルプレートとの間のガスケットとして利用することを特徴とする請求項1記載のエンジンのマフラ。
- 前記触媒ケースを多孔部材で形成することにより、前記流入側金網を前記触媒ケースに兼ねる構成としたことを特徴とする請求項1記載のエンジンのマフラ。
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