JP3954425B2 - 除湿ユニットおよび厨房家具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、厨房家具に設けられて乾物類などを除湿するための除湿ユニットおよびこの除湿ユニットが引き出しに取付けられた厨房家具に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
システムキッチン(複合厨房家具)が設置されているキッチンルームは、水が使用されるので飛散した水により湿りがちであり、また、調理や炊飯時には多量の水蒸気が発生するので湿度が高くなりがちである。このようなキッチンルームに設置されているシステムキッチンや収納庫などの厨房家具に乾物類(パスタ,粉,海草など乾燥食品類)を収納する場合が多い。
しかしながら、厨房家具のキャビネットは通常は高い気密性を有していないので、乾物類の収納に適しているとはいえない。具体的には、大型引き出しを多用した最近のキャビネットは引き出し間に仕切りが設けられていないので、キッチンルームの湿気や、大型引き出しなどに収納した洗浄後の調理用具から発生した湿気が、乾物類に悪影響を与える恐れがある。
【0003】
そこで、特開昭57−103606号公報,実開昭58−166741号公報,実開昭59−154147号公報などには、台所用品や食品類を厨房家具のキャビネット内で乾燥させる技術が開示されている。しかし、これら公報に記載の技術では、キャビネット自体を、気密性を有する特殊な構造にする必要があった。
一方、実開平5−17489号公報,実用新案登録第3010779号公報には、乾物類を収納して除湿する乾物保存用キャビネットとドライボックス付きキッチンストッカが開示されている。
しかし、これらキャビネットやキッチンストッカは、乾物類を収納するための専用器なので厨房家具とは別個に設置する必要があり、スペースの限られたキッチンルームに設置するには何かと制約があった。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、厨房家具のキャビネットが気密性を有していない場合でも、キャビネットの引き出しに設けられ除湿機能を有する簡素な構成の除湿ユニットの除湿室に物品を収納し、ここで除湿することが可能な除湿ユニットおよび厨房家具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、特開2000−236964号公報に示すシステムキッチンを開発し、多くの需要を獲得してきた。このシステムキッチンの特徴としては、これ以前の従来のシステムキッチンで一般的であった扉,小引き出し,台輪などの構成を完全に廃して、特に最下段に高さ約25cmの足下収納引き出しを一連に設けた点である。
その後、このシステムキッチンに類似する商品を各メーカーが追随して発売し、いわゆる足下収納引き出しは、システムキッチンの市場の大ボリューム商品に発展している。
【0006】
足下収納引き出しは、たとえば、ホットプレート,土鍋,ボール,携帯用ガスボンベ,缶ビール,乾物類など、普段頻繁には使用しない調理用具やストック品を収納することを目的としている。前記システムキッチンの発売後にそのユーザーに対して行なった調査では、当初の狙いどおり、調理用具やストック品が収納されている場合が多かった。
足下収納引き出しは、調理用具やストック品の収納場所としては適切であるが、システムキッチンのキャビネットが気密性を有していないので、床面近くにある足下収納引き出しの内部は湿度が高くなりがちである。
そのため、乾物類などを足下収納引き出しに収納するのは、除湿という点からはベストな環境ではないので、食器棚など収納庫に収納されている例も多いことが判った。
そこで、本発明者は、厨房家具のキャビネットが気密性を有していない構造であっても、乾物類などを乾燥した良好な状態で保存することが可能な収納環境を実現すべく本発明を完成させた。
【0007】
次に、上述の目的を達成するための本発明の構成について説明する。
本発明にかかる除湿ユニットは、除湿室が形成されたケーシングと、このケーシングに取付けられ前記除湿室の湿度を自動的に調整する除湿手段とを備え、厨房家具のキャビネットの引き出しに取付けられた除湿ユニットであって、前記除湿室は、除湿される物品を出し入れ可能に収納し且つ気密性を有し、この除湿室の湿度が前記除湿手段で自動的に調整されることにより、この除湿室に収納されている前記物品を常時乾燥した良好な状態で保存するようにして、単独で独立した構成の前記除湿ユニットとし、且つこの除湿ユニット自体で除湿機能が完結するようにしている。
前記除湿ユニットにおいて、前記ケーシングと前記除湿手段は分離して構成されるとともに締結手段により互いに締結固定され、前記ケーシングは前記引き出しの引き出し本体に固定され、前記除湿手段は前記引き出しの前板または前記引き出し本体に固定されているのが好ましい。
好ましくは、前記ケーシングは前記引き出し本体の底板に密着した状態で固定されている。
前記除湿ユニットは、前記引き出しのうち前記キャビネットの最下段に配置された足下収納引き出しに取付けられているのが好ましい。
前記足下収納引き出しの前板は蹴込みを形成するための水平部を有し、この水平部上に前記除湿手段が配置されており、前記水平部には、前記除湿手段の開口と前記足下収納引き出しの外部とを連通させて前記蹴込み内で上下方向に給排気するための少なくとも二つの通気孔が穿設されているのが好ましい。
好ましくは、前記除湿手段は、その内部にある二通りの空気の流路を自動的に切り換えることができるように制御され、一方の前記空気流路では前記除湿室との間で空気の循環を行い、他方の前記空気流路では外気との間で空気の循環を行い、前記除湿手段は吸着エレメントを有しており、この吸着エレメントに水分を一時的に吸着させて前記除湿室の空気中の水分を除去し、水分を吸着した前記吸着エレメントは、前記除湿手段に設けられたヒータで加熱するとともに外気を流して乾燥させることにより、繰り返して使用可能である。
前記ケーシングは、箱状に形成されたケーシング本体と、このケーシング本体の上部開口部を開閉可能に覆う蓋とを有し、この蓋が前記ケーシング本体に非拘束状態または拘束された状態で摺動自在に係合するか、または、前記ケーシング本体の後方側の支持部を支点にして前記蓋が揺動することにより、前記上部開口部を開閉するのが好ましい。
好ましい一実施態様として、前記蓋は、前記ケーシング本体にスライド機構により拘束された状態で前後方向に摺動自在に係合しており、前記蓋を閉じた状態では、前記ケーシング本体と前記蓋の間の隙間はパッキンによりシールされるので、前記除湿室は密封されるようになっており、前記スライド機構は、前記ケーシング本体および前記蓋のうち一方には、回動自在な複数のローラを左右に取付け、他方には、前後方向に延びた複数の溝を左右に形成した構成になっており、この溝に前記ローラが回動自在に係合している。
前記ケーシング本体の内部には、一枚または複数枚の仕切板がその装着位置を変更可能に取付けられ、この仕切板は、前記除湿室での空気の流れを妨げないように空気流路を確保する形状であるのが好ましい。
好ましくは、前記ケーシング本体の後部上端部には、可撓性を有する材料により形成された係止部材が一体的にまたは別体で取付けられ、この係止部材には、下方に延びて前記引き出しの背板に係止可能な爪が一体的に形成されており、前記ケーシング本体を前記引き出しの引き出し本体の内部に落とし込めば、前記係止部材が前記背板に押圧されて弾性変形した後、前記爪が前記背板に係止されて前記係止部材が弾性力により復元し、その結果、前記ケーシング本体の後部は、前記係止部材を介して前記引き出し本体に固定されて上方に抜け出ないように規制されている。
他の好ましい一実施態様として、前記ケーシング本体の左右の側板上部外面にはガイドレールが一体的に形成され、左右一対のこのガイドレールは前後方向に延びて形成されており、前記蓋の左右両側の側板の内面には、一対の被係合部が前後方向に延びて形成され、この被係合部が前記ガイドレールにスライド自在に係合しており、前記蓋は、スライド機構を構成する前記ガイドレールと前記被係合部とにより、上下方向に動かないように規制された状態で前後方向にスライドする。
たとえば、前記蓋を二枚設け、この各蓋が、前記ケーシング本体の後方側の前記支持部を支点にしてそれぞれ揺動することにより前記上部開口部を開閉するようにして、前方側のスペースと後方側のスペースとして収納スペースの使い分けができるようにしてもよい。
前記除湿手段は前記除湿室の湿度を調整するために電気的に制御されており、前記引き出しの背板にはコード接続用のコネクタが取付けられ、このコネクタと前記除湿手段は電気コードで接続され、前記コネクタと前記キャビネットに設けられた電源とは伸縮自在なカールコードにより接続され、このカールコードと前記電気コードにより前記キャビネット側から前記除湿手段に電気を供給するのが好ましい。
たとえば、前記電気コードの一部は、前記引き出しの底板に形成された溝部または前記ケーシングの外面に形成された溝部に収納されているのが好ましい。
前記除湿手段はそのほぼ全体がカバー部により覆われ、スイッチと表示部は前記カバー部から露出しており、前記スイッチを操作することができ、前記表示部により運転状態や前記除湿室の湿度の状態を目視で確認できるようにするのが好ましい。
本発明にかかる厨房家具は、システムキッチンまたは収納庫であり、前記除湿ユニットが前記引き出しに取付けられている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施の形態の一例を、図1ないし図14を参照して説明する。
図1ないし図10は本発明の一実施形態を示す図である。図1は、除湿ユニットを備えたシステムキッチン(複合厨房家具)の斜視図、図2は、前記システムキッチンの足下収納引き出しと除湿ユニットの斜視図、図3は前記除湿ユニットの外観を示す斜視図である。
図4は、前記足下収納引き出しと前記除湿ユニットの側面断面図、図5は、前記足下収納引き出しと前記除湿ユニットの平面図、図6は図5のVI−VI線断面図である。
図7,図8は、前記足下収納引き出しをキャビネットに収納した状態と引き出した状態をそれぞれ示す断面図、図9は、前記足下収納引き出しをひっくり返した状態を示す斜視図、図10は、前記除湿ユニットの表示部を示す平面図である。
【0009】
なお、説明の便宜上、図1中の矢印D1,D2,D3,D4方向を、システムキッチンおよび除湿ユニットの左方,右方,前方,後方として説明する。
本実施形態では、厨房家具としてシステムキッチンを例にとって説明するが、本発明は、食品,台所用品および食器などを収納する収納庫や、台所の流し台などの厨房家具にも適用可能である。また、除湿ユニットを設けた引き出しは、必ずしも足下であることを要さず、システムキッチンや収納庫の中段や上段に位置する引き出しでもよい。
【0010】
図1,図2に示すように、厨房家具としてのシステムキッチン1は、床面上に設置されたキャビネット2を有している。キャビネット2には、一つまたは複数(本実施形態では複数)の引き出しが、引き出し収納自在に設けられている。
キャビネット2は、左方から右方に順次並設された、コンロキャビネット6,一方の調理台キャビネット7,シンクキャビネット8および他方の調理台キャビネット9と、キャビネット6〜9の上部を覆って取付けられたテーブルトップ10とにより構成されている。
コンロキャビネット6とその上部のテーブルトップ10には、コンロ11が組み込まれている。一方の調理台キャビネット7の上部のテーブルトップ10は調理台14になっている。
シンクキャビネット8の上部のテーブルトップ10には、シンク12が形成されている。他方の調理台キャビネット9には食器洗い乾燥機13が組み込まれ、上部のテーブルトップ10は調理台14になっている。
【0011】
コンロキャビネット6には二段の引き出しが設けられ、一方の調理台キャビネット7には三段の引き出しが設けられている。シンクキャビネット8には、二段の引き出しが設けられ、他方の調理台キャビネット9には、一段の引き出しが設けられている。
各キャビネット6〜9の内方には、左右に側板17が縦方向(床面と垂直方向)に設けられ、側板17もキャビネット2の一部を構成している。隣合うキャビネット6〜9どうしの間の側板17(図7)は仕切り壁の機能を有しており、コンロキャビネット6の左側の側板17と、他方の調理台キャビネット9の右側の側板17は、外壁板としての機能を有している。
【0012】
このように、コンロキャビネット6に、コンロ11,二段の引き出し,対応するテーブルトップ10などが設けられて、単体としての厨房家具が構成されている。これと同様に、他のキャビネット7,8,9なども、それぞれ引き出しを有して、単体としての厨房家具を構成している。こうして、システムキッチン1は、単体としての厨房家具が複合した複合厨房家具を構成している。
各キャビネット6〜9にそれぞれ設けられた引き出しのうち、キャビネット6〜9の最下段に配置された引き出しは、内部の収納スペースを広くするように、蹴込み16が形成されてその奥も含んだ構成を有する足下収納引き出し19〜22である。
【0013】
本発明にかかる除湿ユニット3は、システムキッチン1の引き出しに取付けられる。本実施形態では、一方の調理台キャビネット7の足下収納引き出し20に除湿ユニット3が取付けられた場合を示している。
なお、除湿ユニット3を他の足下収納引き出し19,21,22のうち何れか一つ以上に取付ける場合であってもよく、または、足下収納引き出し19〜22以外の引き出しに取付けた場合であってもよい。
【0014】
次に、複数の引き出しのうち足下収納引き出し20を例にとってその構成を説明する。
キャビネット2に設けられた全ての引き出しは、受けレールとスライド部材により引き出し,収納自在になっている。足下収納引き出し20で図示されていない受けレールとスライド部材については、この足下収納引き出し20の直ぐ上方に位置する引き出し23を例にとって説明する。
【0015】
図4ないし図9に示すように、足下収納引き出し20は、内方に収納空間Sが形成された引き出し本体30と、引き出し本体30の前方に固定された前板31とを有している。
足下収納引き出し20の左右に配置されている側板17には、左右一対の受けレール50が取付けられている。一対の受けレール50は、前後方向を向いて、ほぼ水平に且つ平行に配置されている。受けレール50には、スライド部材32が前後方向にスライド自在に係合している。
一対のスライド部材32は、足下収納引き出し20の引き出し本体30の左右両側に取付けられている。足下収納引き出し20は、一対の受けレール50とスライド部材32を介してキャビネット2に対して前後方向に自在に移動する。
【0016】
引き出し本体30は、平板状の底板33と、底板33の両側に固定された一対の側板34と、底板33と側板34に固定され、後方に配置され且つ前板31と平行に配置された背板35とを有している。引き出し本体30と前板31により、上方が開口した収納空間Sが形成されている。
前板31は、引き出し本体30の前方側に固定され、ステンレス鋼やアルミニウムなど金属または合成樹脂により形成されている。特に、足下収納引き出し20の場合、前板31は、人の足や掃除機などが接触することが多いので、剛性と美観の点で金属製であるのが好ましい。
底板33には、電気コード61の一部を収納するための溝部36が、前後方向に長く延びて形成されている。また、底板33の前方側には、溝部36と連通し、電気コード61を上下方向に貫通させるための貫通孔37が穿設されている。
前板31には、蹴込み16を形成するための水平部38と、操作用の取手39が左右方向に延びてそれぞれ形成されている。前板31には、ステンレス鋼など金属により形成された平板状のバックパネル40が前板31と平行に取付けられている。
バックパネル40は、水平部38の後端部に位置して水平部38より上方に突出するとともに、収納空間Sの左右方向全体に渡って配置されている。バックパネル40の上部は、除湿ユニット3の除湿手段63を取付けるために大きく矩形状に切り欠かれている。
【0017】
次に、除湿ユニット3について説明する。
図3ないし図9に示すように、除湿ユニット3は、足下収納引き出し20に取付けられて収納空間Sに配置され、除湿機能を有して簡素に構成されている。足下収納引き出し20の収納空間Sのうち除湿ユニット3の右側外部は、空きスペースになっている。この空きスペースは、足下収納引き出しの間口寸法が小さい場合は無くなるものである。
除湿ユニット3は、除湿される物品を出し入れ可能に収納し且つ気密性を有する除湿室60が形成されたケーシング62と、ケーシング62に取付けられ除湿室60の湿度を調整する除湿手段63とを備えている。
除湿ユニット3で除湿される物品としては、主としてキッチンルームで使用される乾物類,台所用品などであるが、カメラ,コンパクトディスク(CD),フィルムなどであってもよい。
【0018】
ケーシング62と除湿手段63は、分離して構成されるとともに、複数(たとえば、四本)の小ねじ64など締結手段により互いに締結固定されている。ケーシング62は、引き出し本体30に固定され、除湿手段63は前板31(または、引き出し本体30)に固定されている。したがって、ケーシング62は、除湿手段63を介して前板31にも固定されている。
ケーシング62と除湿手段63を分離して構成したので、除湿ユニット3を設計,製造するとき、たとえば除湿手段63を同じ構成とし、ケーシング62のみを、引き出しの寸法(前後,左右,上下方向の寸法)に対応させて変更することができる。
これにより、ケーシング62と除湿手段63を自在に組合せて、各種引き出しに取付けることができ、製造コストも安価にできる。なお、引き出し自体が気密性を有している場合には、この引き出しを本発明における除湿ユニットのケーシングとし、この引き出しに除湿手段63のみを設ける場合であってもよい。
【0019】
ケーシング62は、箱状に形成されたケーシング本体65と、ケーシング本体65の上部開口部67を開閉可能に覆う蓋66とを有している。
蓋66の上面の所定位置には、開閉操作用の彫込み部68が形成されている。なお、彫込み部68に代えて、棒状の取手を蓋66に取付けてもよい。
蓋66が、ケーシング本体65に拘束状態(または、非拘束状態)で矢印Bに示すように前後方向に摺動自在に係合(または、取り外し可能に)することにより、上部開口部67を開閉している。
本実施形態の蓋66は、ケーシング本体65にスライド機構(図示せず)により拘束された状態で前後方向に摺動自在に係合している。蓋66を閉じた状態では、ケーシング本体65と蓋66の間の隙間はパッキンによりシールされるので、除湿室60は密封される。
前記スライド機構は、ケーシング本体65および蓋66のうち一方には、回動自在な複数のローラを左右に取付け、他方には、前後方向に延びた複数の溝を左右に形成した構成になっている。この溝にはローラが回動自在に係合している。
このようにすれば、蓋66は、ローラと溝に案内されて、小さな力で前後方向にスムーズに移動するので、蓋66の開閉操作が容易である。また、蓋66は、スライド機構を介してケーシング本体65に拘束され常に保持されているので、開蓋した際水平に保たれ脱落する恐れがない。
蓋66の全体が前後方向に移動可能なので、蓋66を後方に移動させて、上部開口部67のほぼ全体を開放することができる。これにより、乾物類などを除湿室60に出し入れする際の作業性がよい。蓋は全体または一部が透明な材質であれば、中身が確認し易い。
【0020】
ケーシング本体65は、ほぼ矩形状に形成されて、その内方が乾物類などを収納するための除湿室60になっている。
ケーシング本体65の内部には、一枚または複数枚の仕切板95が、その装着位置を変更可能に取付けられている。仕切板95は、除湿室60での空気の流れを妨げないように空気流路を確保するような形状になっている。仕切板95を設けることにより、乾物類の収納や取り出しがさらに容易になる。
【0021】
除湿手段63は、除湿室60の湿度を調整するために電気的に制御されている。除湿手段63は、全体がほぼ矩形状で、その上面には運転状態を示す表示部70(図10)が設けられており、側面には除湿手段63をオン・オフするためのスイッチ71が設けられている。
ケーシング本体65の前方側には、除湿手段63を覆うためのカバー部69が、ケーシング本体65と一体的に(または、別体で)形成されている。カバー部69は、除湿手段63の上面73,後面72,両側面74,75,前面76を覆うようにほぼ矩形状に形成されている。
カバー部69の上板69aには、切り抜き部69bが形成されている。切り抜き部69bには、表示部70が、カバー部69から外方に露出してほぼ面一になるように係合している。
カバー部69の一方の側板69cには、スイッチ71が外方に露出して係合するための切り抜き部69dが形成されている。カバー部69の左右の側板69cには、上下方向を向き下方に開口するスリット69eがそれぞれ形成されている。左右一対のスリット69eにバックパネル40が係合することにより、ケーシング62が前後方向に動かないように位置決めされる。
除湿手段63は、そのほぼ全体がカバー部69により覆われているので、外観的に良好である。スイッチ71と表示部70はカバー部69から露出しているので、スイッチ71を操作することができ、また、表示部70により運転状態や除湿室60の湿度の状態を目視で確認することができる。
【0022】
ケーシング62は、引き出し本体30の底板33に密着した状態で固定されている。ケーシング本体65の平板状で矩形状のユニット底板77は、複数(たとえば、四本)の小ねじ78により底板33に直接締結固定されている。
四本の小ねじ78は、ユニット底板77の四隅近傍にそれぞれ配置されて、ケーシング本体62を全体的に均一に引き出し本体30に固定している。なお、小ねじ78に代えて、両面に接着剤が塗布された両面テープなどで固定してもよい。
ケーシング62が引き出し本体30に強固に固定され、ケーシング62と底板33との間に隙間がないので、ごみなど異物がこの隙間に侵入する恐れがなく、外観上も好ましく、足下収納引き出し20の収納空間Sの清掃が容易で清潔である。
【0023】
除湿手段63には、空気を流すためのファンが内蔵されている。除湿手段63は、その内部にある二通りの空気の流路を自動的に切り換えることができるように制御される。一方の流路では、除湿室60との間で空気の循環を行い、他方の流路では、足下収納引き出し20の外部(外気)との間で空気の循環を行う。
除湿手段63は、セラミック,シリカゲルなどを含む吸着エレメントを有しており、この吸着エレメントに水分を一時的に吸着させて除湿室60の空気中の水分を除去する。
水分を吸着した吸着エレメントは、除湿手段63に設けられたヒータで加熱するとともに外気を流して乾燥させることにより、何度でも繰り返して使用可能である。除湿手段63は吸着エレメントを使用しているが、空気中の水分を除去できる機能を発揮するものであれば、吸着エレメント以外のものであってもよい。
【0024】
除湿手段63は、除湿室60の湿度をセンサ(図示せず)で常に検出し、このセンサから出力される信号により自動的にオン・オフ制御される。除湿手段63のスイッチ71がオン状態のとき、除湿室60の湿度が、予め設定された所定値(たとえば、関係湿度が30%)を越えると、センサから信号が出力されて、除湿手段63は自動的にオンする。
すると、除湿室60内の湿った空気A1は、除湿手段63のファンにより吸い込まれ、吸着エレメントにより空気中の水分が吸着される。湿度の低下した乾いた空気A2は、除湿手段63から除湿室60に戻されて循環する。
この運転(第1の工程)を継続することにより、空気中の水分が吸着エレメントに吸着されることにより除去されて、除湿室60の湿度が次第に低下していく。この第1の工程は、たとえば約30〜60分継続して行われる。なお、第1の工程では、ダンパー機構により開口87,88が閉じている。
【0025】
第1の工程が終了すると、除湿手段63内の空気の流路を自動的に切り換える制御を行なって、第2の工程に移行する。第2の工程では、吸着エレメントをヒータで加熱するととともに、ファンで外気A3を吸い込んで吸着エレメントに接触させる。なお、第2の工程では、フィルタ83,84の位置にそれぞれ設けられている二つの開口が、ダンパー機構により閉じている。
吸着エレメントに吸着されていた水分は空気中に移動し、湿った空気A4が除湿手段63から外方に放出される。その結果、吸着エレメントは次第に乾燥して再使用可能になる。第2の工程も、たとえば約30〜60分継続して行われる。
第1の工程と第2の工程の各継続時間は、タイマーなどにより調整可能になっている。第1の工程と第2の工程を交互に実行することにより、除湿室60の湿度を所定値(たとえば、関係湿度が30%)以下まで低下させることができる。
除湿室60内の湿度が所定値以下になると、センサがこれを検出して信号を出力し、除湿手段63は自動的にオフ状態になって運転を停止する。
このようにして、除湿室60の湿度が自動的に調整されるので、除湿室60に収納されている乾物類などを常時乾燥した良好な状態で保存することができる。
【0026】
ケーシング本体65の前方側には、前方側板81が立ち上がって配置されている。ケーシング本体65の前方側板81には、除湿室60との間で湿った空気A1と乾いた空気A2が流れるための一対の通路79,80が形成されている。除湿手段63の後面72にも、一対の通路が、一対の通路79,80と同じ位置で左右に配置されて開口している。
前方側板81の通路79,80は、前方側板81の内面82より窪んだ位置に形成されている。複数のスリットが並んで形成されることにより、通路79,80がそれぞれ構成されている。これにより、除湿室60に収納された乾物類などが通路79,80を塞ぐのを防止して、空気A1,A2の流路を確保している。
一対のフィルタ83,84が前方側板81と除湿手段63の後面72との間に挟まれた状態で、通路79,80の位置に配置され、空気A1,A2はフィルタ83,84をそれぞれ通過するようになっている。
これにより、埃などが除湿手段63内に侵入するのを防止している。また、前方側板81の通路79,80は、複数のスリットにより形成されているので、通路79,80から指などが入る恐れがないので、安全で且つフィルタ83,84を保護することができる。
【0027】
除湿手段63は、前板31の水平部38上に配置されている。除湿手段63は、水平部38に取付けられた複数(ここでは、四本)の小ねじ85など締結手段により、水平部38に締結固定されている。小ねじ85は、水平部38に取付けられているので外部からは見え難く外観上好ましい。
除湿手段63は、バックパネル40の上部を大きく矩形状に切り欠いて形成された切欠部に係合することにより、左右方向に動かないように位置決めされている。バックパネル40を含む水平部と前板は、金属製なので、除湿手段63がヒータにより加熱されて温度が上昇しても熱変形する恐れがない。
除湿手段63はバックパネル40により左右方向に位置決めされ、水平部38上に載せた状態で配置され、小ねじ85により締結されるので上下方向に動かないように位置決めされる。また、カバー部69のスリット69eにバックパネル40が係合するので、ケーシング62は前後方向に動かないように位置決めされる。
その結果、ケーシング62と除湿手段63は、足下収納引き出し20の収納空間S内で、左右,上下,前後方向に関して所定位置に容易に位置決めされる。したがって、足下収納引き出し20に除湿ユニット3を装着する際の作業性がよい。また、前板31の前面側に除湿ユニット3を取付けるための孔を穿設しなくてもよいので、取付け作業が容易で外観上も好ましい。
【0028】
除湿手段63の下面86には、外気A3と湿った空気A4がそれぞれ流れるための開口87,88が形成されている。水平部38には、少なくとも二つ(ここでは、二つ)の通気孔89,90が穿設されている。通気孔89,90は、除湿手段63の開口87,88と足下収納引き出し20の外部とを連通させて、蹴込み16内で上下方向に給排気するための孔である。
外気A3は、蹴込み16から通気孔89,開口87を上方に通って除湿手段63内に流れる。また、湿った空気A4は、除湿手段63から開口88,通気孔90を通って蹴込み16内で下方に流れる。
蹴込み16内で、外部との給排気を上下方向に行うことができるので、除湿ユニット3から排出される空気A4は、システムキッチン1の前方に立っている人に直接吹き付けて不快感を与えることがない。
除湿手段63を水平部38上に載せるようにしたので、除湿ユニット3を足下収納引き出し20に容易にセットすることができる。除湿手段63が前方に配置されることになり、除湿室60のスペースを前方に広くすることができる。スイッチ71や表示部70が前方に且つ上向きに配置されるので、スイッチ71の操作と表示部70の確認が容易である。
【0029】
引き出し本体30の背板35には、コード接続用のコネクタ91が取付けられている。コネクタ91と除湿手段63は電気コード61で電気的に接続されている。
キャビネット2の後部には、電源(たとえば、図示しないコンセント)が設けられている。コネクタ91と電源は、伸縮自在なカールコード92により電気的に接続されている。カールコード92のカール部92aの一方側端部はコネクタ91に接続され、カール部92aの他方側は、支持部材94によりキャビネット2に固定されている。
カールコード92を使用したので、足下収納引き出し20を出し入れしても、カールコード92と電気コード61により、キャビネット2側から除湿手段63に電気を供給することができる。
【0030】
溝部36は、引き出し本体30の底板33の下面に、前後方向に長く延びて形成されている。溝部36には、細長いコード保持部材93が圧入または接着剤などで取付けられ、コード保持部材93の内方には電気コード61の一部が保持されている。これにより、電気コード61は、引き出し本体30が移動しても脱落しないようにしっかりと保持される。
電気コード61,コネクタ91およびカールコード92は、引き出し本体30の外部に配置されているので、収納空間Sに除湿ユニット3を装着したり、除湿ユニット3外の収納空間Sに調理用具やストック品などを収納したり、除湿室60に乾物類などを収納する際に、邪魔になることはない。
図7に示すように、足下収納引き出し20をキャビネット2に収納した状態では、カールコード92は縮んだ状態になっている。
その後、図8に示すように、足下収納引き出し20を前方に引き出した状態では、カールコード92が長く伸びている。カールコード92が伸びた状態のときの引張り力は、コネクタ91と支持部材94のみにかかる。したがって、足下収納引き出し20の出し入れによりカールコード92が伸縮しても、除湿手段63,電気コード61,キャビネット2側のコンセントなどに悪影響を及ぼす恐れはない。
【0031】
次に、本実施形態の各種変形例について図11ないし図14を参照して説明する。なお、図1ないし図10の本実施形態と同一または相当部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
図11(A),(B)は、それぞれ第1,第2の変形例にかかる除湿ユニット3を足下収納引き出し20に取付けた状態の断面図である。
図11に示す除湿ユニット3では、ケーシング62を足下収納引き出し20の引き出し本体30に固定するための構成が前記実施形態と若干異なっているが、他の構成は同じである。除湿手段63は、前板31(または、引き出し本体30)に固定されている。また、ケーシング62は、引き出し本体30の底板33に密着している。
【0032】
図11(A)に示す除湿ユニット3では、断面L字状の固定部材101と、一本または複数本の小ねじ100とが使用されている。小ねじ100は、固定部材101をケーシング本体65にねじ込み固定するためのねじである。固定部材101は、引き出し本体30の背板35に係止されるようになっている。背板35の上部は、断面倒L字状に形成されている。
ケーシング本体65を引き出し本体30に固定する場合には、固定部材101を、背板35に係止させた状態で小ねじ100でケーシング本体65にねじ込み固定する。
ケーシング本体65の後部を、固定部材101と小ねじ100を介して引き出し本体30に固定することができ、ケーシング本体65は主として上下方向に動かないように規制される。
【0033】
図11(B)に示す除湿ユニット3では、ケーシング本体65の後部上端部に係止部材102を一体的に(または、別体で)取付けている。係止部材102には、下方に延びて背板35に係止可能な爪103が一体的に形成されている。係止部材102は、可撓性を有する材料たとえば合成樹脂などにより形成されている。
ケーシング本体65を引き出し本体30の内部に落とし込めば、係止部材102が背板35に押圧されて弾性変形した後、爪103が背板35に係止されて図11(B)に示す状態になり、係止部材102は弾性力により復元する。
その結果、ケーシング本体65の後部は、係止部材102を介して引き出し本体30に固定され、上方に抜け出ないように規制される。ケーシング本体65に係止部材102を設けたので、ケーシング本体65を引き出し本体30にワンタッチで容易に取付けることができる。
【0034】
図11(A),(B)に示す第1,第2の変形例では、除湿ユニット3の前方は水平部38で支持され、後方は固定部材101と小ねじ100(図11(A)の場合)により、または係止部材102(図11(B)の場合)により、上下方向に関して引き出し本体30に支持されている。
また、前後方向に関しては、バックパネル40とスリット69e(図3)により規制され、左右方向に関しては、バックパネル40に形成された矩形状の切欠部とこれに係合する除湿手段63により規制されている。
その結果、除湿ユニット3は、上下,前後,左右方向に動かないように足下収納引き出し20に取付けられている。
【0035】
図12は、第3の変形例にかかる除湿ユニット3の斜視図である。
図12に示す除湿ユニット3では、ケーシング本体65の左右の側板上部外面にガイドレール110が一体的に形成され、左右一対のガイドレール110は、前後方向に延びて形成されている。
蓋66の左右両側の側板112の内面には、一対の被係合部111が前後方向に延びて形成されている。この被係合部111が、ガイドレール110にスライド自在に係合している。
したがって、蓋66は、スライド機構を構成するガイドレール110と被係合部111により、上下方向に動かないように規制された状態で、矢印Bに示すように前後方向に大きくスライドする。
この構成によれば、蓋66を移動させるためのスライド機構を簡素に構成することができ、また、蓋66の剛性も向上する。
【0036】
図13(A),(B)は、それぞれ第4の変形例にかかる除湿ユニット3aの平面図,側面図である。
図13に示す除湿ユニット3aのケーシング62aは、箱状に形成されたケーシング本体65aと、ケーシング本体65aの上部開口部を開閉可能に覆う蓋66aとを有している。蓋66aが、ケーシング本体65aの後方側の支持部120を支点にして矢印Eに示すように揺動することにより、上部開口部を開閉するようにしている。
この変形例では蓋66aを二枚設けている。二枚の蓋66aを設けたので、収納スペースの使い分けが可能になる。たとえば、除湿室60の前方側のスペースには比較的使用頻度の多い乾物類を収納し、後方側のスペースには使用頻度の少ない乾物類を収納すればよい。
蓋66aが軽くなるので蓋66aの操作性が向上する。また、蓋66aを開いたときの開口面積が小さいので、除湿室60内に入る空気の量を少なくして湿度の上昇を抑制することができる。
なお、蓋66aが二枚の場合を示したが、蓋が一枚で支持部120を一個所にして、一枚の蓋が支持部120を支点にして大きく揺動するようにしてもよい。
【0037】
図14は、第5の変形例にかかる除湿ユニット3を足下収納引き出し20に取付けた状態の部分断面図である。
図14に示す除湿ユニット3では、電気コード61の一部は、ケーシング62の外面に形成された溝部130に収納されている。たとえば、ケーシング本体65の底板96と一方の側板97とにより構成される角部131を、断面L字状に一体的に折曲形成している。これにより形成された溝部130は、前後方向に長く延びている。
溝部130に収納されている電気コード61は、接着テープまたは接着剤などによりケーシング本体65に固着されている。なお、溝部130を形成する位置としては、角部131以外の場所、たとえばケーシング本体65の底板96や側板97の途中であってもよい。
この第5の変形例によれば、引き出し本体30に電気コード61用の溝部を形成する必要がないので、除湿ユニット3を取付けるために引き出し本体30の設計変更や加工が不要である。
【0038】
上述の実施形態(第1ないし第5の変形例を含む)で説明したように、本発明の除湿ユニット3,3aによれば、システムキッチン1のキャビネット2が気密性を有していない場合でも、足下収納引き出し20に設けられ除湿機能を有する簡素な構成の除湿ユニット3,3aの除湿室60に乾物類などを収納してここで除湿することが可能になる。
たとえば、普段は頻繁に使用しない調理用具やストック品などは足下収納引き出し19,21,22や、足下収納引き出し20の空きスペースなどに収納しておく。キャビネット2は気密性を有していないが、これら調理用具やストック品は、湿度によって悪影響を受ける恐れがないので問題はない。
一方、乾物類などは、低湿度で保存する必要があるので、足下収納引き出し20を引き出して除湿ユニット3,3aに収納する。除湿ユニット3,3aの周囲が高湿度であっても、除湿室60は除湿手段63により低湿度に維持されている。したがって、除湿室60内の乾物類などを、低湿度で常に良好な状態で清潔に保存することができる。
もともと普段は頻繁に使用しない調理用具やストック品を収納するのに適した位置にある足下収納引き出し19〜22を、除湿を必要としない収納スペースと、除湿を必要とする収納スペース(除湿室60)に分離して、物品の種類などに応じて収納スペースを使い分けることができる。これにより、床面近くで湿度が高くなりがちであった足下収納引き出し20の機能をさらに向上させることができる。
【0039】
除湿ユニット3,3aは、単独で独立した構成を有し、且つそれ自体で除湿機能が完結しているので、除湿ユニットを取付けるための引き出しに対する制限がほとんどなく、足下収納引き出し20や中段の引き出し,あるいは前板に蹴込みを有さない引き出しなど、他の引き出しの設計,製造などにほとんど影響を与えない。
したがって、除湿ユニット3,3aは、これを取付ける対象となる引き出し,システムキッチン,収納庫などの種類やメーカーを問わず広く適用することができる。また、キャビネット側を設計変更する必要がない。既設のシステムキッチンや収納庫に、除湿ユニット3,3aを増設することもできる。
【0040】
従来は、乾物類などは、キッチンの引き出し,吊り戸棚,収納庫などいたる所に分散して収納されることが多く、不便であった。これに対して、本発明では、乾物類などを除湿ユニット3,3aにまとめて収納することができるので、在庫管理が容易になり、また、調理の際に手が届く近い位置にあるので使い勝手がよい。
除湿室60に収納されている乾物類などは常に除湿されているので、使いたいときに除湿ユニット3,3aから乾燥状態で直ぐに取り出すことができる。除湿室60は除湿動作時に温度上昇しないので、乾物類などは、加熱されて鮮度が低下したり劣化したりすることはない。
除湿ユニット3,3aは引き出しに取付けられているので、乾物類などを除湿ユニット3,3aに容易に収納したり取り出したりすることができ、また、除湿のための余分なスペースをとることなくシステムキッチン1と一体化しており、キッチンスペースをすっきりとしたレイアウトにすることができる。
通常、キャビネットを高精度に成形するのは難しいので密閉空間を構成するのが困難である。これに対して、除湿ユニット3,3aでは、ケーシング62,62aを合成樹脂などで高精度に成形することができるので、密閉空間を容易に構成することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0042】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したので、厨房家具のキャビネットが気密性を有していない場合でも、キャビネットの引き出しに取付けられた除湿ユニットに除湿室を形成し、この除湿室が気密性を有しているので、この除湿室に物品を収納してここで自動的に除湿することができ、この物品を使いたいときに乾燥状態で直ぐに取り出すことができる。
また、除湿ユニットは、単独で独立した構成を有し且つそれ自体で除湿機能が完結しているので、除湿ユニットを取付けるための引き出しに対する制限がほとんどない。したがって、除湿ユニットは、これを取付ける対象となる引き出し,システムキッチン,収納庫などの種類やメーカーを問わず広く適用することができ、また、キャビネット側を設計変更する必要がなく、さらに、既設のシステムキッチンや収納庫に除湿ユニットを増設することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1ないし図10は本発明の実施形態の一例を示す図で、図1は除湿ユニットを備えたシステムキッチンの斜視図である。
【図2】 前記システムキッチンの足下収納引き出しと除湿ユニットの斜視図である。
【図3】 前記除湿ユニットの外観を示す斜視図である。
【図4】 前記足下収納引き出しと前記除湿ユニットの側面断面図である。
【図5】 前記足下収納引き出しと前記除湿ユニットの平面図である。
【図6】 図5のVI−VI線断面図である。
【図7】 前記足下収納引き出しをキャビネットに収納した状態を示す断面図である。
【図8】 前記足下収納引き出しを引き出した状態を示す断面図である。
【図9】 前記足下収納引き出しをひっくり返した状態を示す斜視図である。
【図10】 前記除湿ユニットの表示部を示す平面図である。
【図11】 図11(A),(B)は、それぞれ本実施形態の第1,第2の変形例にかかる除湿ユニットを足下収納引き出しに取付けた状態の断面図である。
【図12】 本実施形態の第3の変形例にかかる除湿ユニットの斜視図である。
【図13】 図13(A),(B)は、本実施形態の第4の変形例にかかる除湿ユニットの平面図,側面図である。
【図14】 本実施形態の第5の変形例にかかる除湿ユニットを足下収納引き出しに取付けた状態の部分断面図である。
【符号の説明】
1 システムキッチン(厨房家具)
2 キャビネット
3,3a 除湿ユニット
16 蹴込み
20 足下収納引き出し(引き出し)
23 引き出し
30 引き出し本体
31 前板
33 底板
35 背板
36 溝部
38 水平部
60 除湿室
61 電気コード
62,62a ケーシング
63 除湿手段
64 小ねじ(締結手段)
65,65a ケーシング本体
66,66a 蓋
67 上部開口部
69 カバー部
70 表示部
71 スイッチ
87,88 開口
89,90 通気孔
91 コネクタ
92 カールコード
95 仕切板
102 係止部材
103 爪
110 ガイドレール
111 被係合部
112 側板
120 支持部
130 溝部
Claims (16)
- 除湿室が形成されたケーシングと、このケーシングに取付けられ前記除湿室の湿度を自動的に調整する除湿手段とを備え、厨房家具のキャビネットの引き出しに取付けられた除湿ユニットであって、
前記除湿室は、除湿される物品を出し入れ可能に収納し且つ気密性を有し、この除湿室の湿度が前記除湿手段で自動的に調整されることにより、この除湿室に収納されている前記物品を常時乾燥した良好な状態で保存するようにして、単独で独立した構成の前記除湿ユニットとするとともにこの除湿ユニット自体で除湿機能が完結するようにしたことを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項1に記載の除湿ユニットであって、
前記ケーシングと前記除湿手段は分離して構成されるとともに締結手段により互いに締結固定され、
前記ケーシングは前記引き出しの引き出し本体に固定され、
前記除湿手段は前記引き出しの前板または前記引き出し本体に固定されていることを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項2に記載の除湿ユニットであって、
前記ケーシングは前記引き出し本体の底板に密着した状態で固定されていることを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項1,2または3に記載の除湿ユニットであって、
この除湿ユニットは、前記引き出しのうち前記キャビネットの最下段に配置された足下収納引き出しに取付けられていることを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項4に記載の除湿ユニットであって、
前記足下収納引き出しの前板は蹴込みを形成するための水平部を有し、この水平部上に前記除湿手段が配置されており、
前記水平部には、前記除湿手段の開口と前記足下収納引き出しの外部とを連通させて前記蹴込み内で上下方向に給排気するための少なくとも二つの通気孔が穿設されていることを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項1ないし5のいずれかの項に記載の除湿ユニットであって、
前記除湿手段は、その内部にある二通りの空気の流路を自動的に切り換えることができるように制御され、一方の前記空気流路では前記除湿室との間で空気の循環を行い、他方の前記空気流路では外気との間で空気の循環を行い、
前記除湿手段は吸着エレメントを有しており、この吸着エレメントに水分を一時的に吸着させて前記除湿室の空気中の水分を除去し、水分を吸着した前記吸着エレメントは、前記除湿手段に設けられたヒータで加熱するとともに外気を流して乾燥させることにより、繰り返して使用可能であることを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項1ないし4のいずれかの項に記載の除湿ユニットであって、
前記ケーシングは、箱状に形成されたケーシング本体と、このケーシング本体の上部開口部を開閉可能に覆う蓋とを有し、
この蓋が前記ケーシング本体に非拘束状態または拘束された状態で摺動自在に係合するか、または、前記ケーシング本体の後方側の支持部を支点にして前記蓋が揺動することにより、前記上部開口部を開閉するようにしたことを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項7に記載の除湿ユニットであって、
前記蓋は、前記ケーシング本体にスライド機構により拘束された状態で前後方向に摺動自在に係合しており、前記蓋を閉じた状態では、前記ケーシング本体と前記蓋の間の隙間はパッキンによりシールされるので、前記除湿室は密封されるようになっており、
前記スライド機構は、前記ケーシング本体および前記蓋のうち一方には、回動自在な複数のローラを左右に取付け、他方には、前後方向に延びた複数の溝を左右に形成した構成になっており、この溝に前記ローラが回動自在に係合していることを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項7または8に記載の除湿ユニットであって、
前記ケーシング本体の内部には、一枚または複数枚の仕切板がその装着位置を変更可能に取付けられ、
この仕切板は、前記除湿室での空気の流れを妨げないように空気流路を確保する形状であることを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項7,8または9に記載の除湿ユニットであって、
前記ケーシング本体の後部上端部には、可撓性を有する材料により形成された係止部材が一体的にまたは別体で取付けられ、この係止部材には、下方に延びて前記引き出しの背板に係止可能な爪が一体的に形成されており、
前記ケーシング本体を前記引き出しの引き出し本体の内部に落とし込めば、前記係止部材が前記背板に押圧されて弾性変形した後、前記爪が前記背板に係止されて前記係止部材が弾性力により復元し、
その結果、前記ケーシング本体の後部は、前記係止部材を介して前記引き出し本体に固定されて上方に抜け出ないように規制されていることを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項7に記載の除湿ユニットであって、
前記ケーシング本体の左右の側板上部外面にはガイドレールが一体的に形成され、左右一対のこのガイドレールは前後方向に延びて形成されており、
前記蓋の左右両側の側板の内面には、一対の被係合部が前後方向に延びて形成され、この被係合部が前記ガイドレールにスライド自在に係合しており、
前記蓋は、スライド機構を構成する前記ガイドレールと前記被係合部とにより、上下方向に動かないように規制された状態で前後方向にスライドすることを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項7に記載の除湿ユニットであって、
前記蓋を二枚設け、この各蓋が、前記ケーシング本体の後方側の前記支持部を支点にしてそれぞれ揺動することにより前記上部開口部を開閉するようにして、前方側のスペースと後方側のスペースとして収納スペースの使い分けができるようにしたことを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項1ないし12のいずれかの項に記載の除湿ユニットであって、
前記除湿手段は前記除湿室の湿度を調整するために電気的に制御されており、
前記引き出しの背板にはコード接続用のコネクタが取付けられ、このコネクタと前記除湿手段は電気コードで接続され、前記コネクタと前記キャビネットに設けられた電源とは伸縮自在なカールコードにより接続され、
このカールコードと前記電気コードにより前記キャビネット側から前記除湿手段に電気を供給するようにしたことを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項13に記載の除湿ユニットであって、
前記電気コードの一部は、前記引き出しの底板に形成された溝部または前記ケーシングの外面に形成された溝部に収納されていることを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項1ないし14のいずれかの項に記載の除湿ユニットであって、
前記除湿手段はそのほぼ全体がカバー部により覆われ、スイッチと表示部は前記カバー部から露出しており、前記スイッチを操作することができ、前記表示部により運転状態や前記除湿室の湿度の状態を目視で確認できるようにしたことを特徴とする除湿ユニット。 - 請求項1ないし15のいずれかの項に記載の前記除湿ユニットが前記引き出しに取付けられた厨房家具であって、
この厨房家具はシステムキッチンまたは収納庫であることを特徴とする厨房家具。
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