JP3954346B2 - 射出成形装置および射出成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形装置および射出成形方法に関し、例えば電磁流量計の測定管内のライニングの成形や樹脂製配管の成形等に用いて好適な射出成形装置および射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
測定管内を流れる導電性流体の流量を電磁誘導現象を利用して測定する電磁流量計は、流体中で発生した起電力とステンレス鋼等の非磁性体からなる測定管との短絡を防止するために、通常測定管の接液面である内周面および測定管の両端部に一体的に設けたフランジの配管が接続される面(以下、配管接続端面という)をライニング材によって被覆している。ライニング材としては、耐熱性、耐食性、電気絶縁性等が要求されるため、通常弗素樹脂等の絶縁材が使用されており、射出成形によって測定管の内周面およびフランジの配管接続端面に形成されている。
【0003】
このようなライニングが施された測定管をトランスファー成形機によって成形する場合は、ライニングが施されていない測定管を金型内に装填し、金型をライニング材の溶融温度以上に加熱し、溶融したライニング材を金型内に加圧注入して測定管の内周面およびフランジの配管接続端面をライニング材で被覆する。
【0004】
測定管のライニングに際して、ライニング材として使用される弗素樹脂は金属との密着性が悪く、測定管から剥離し易いことから、通常パンチングプレートと呼ばれる多孔板によって形成した補強管を測定管の内部に予め取付けておき、この補強管をライニング材によって覆うことにより、ライニング材と測定管との機械的な結合強度を高めてライニング材の剥離を防止するとともに、測定管内の温度変化や圧力変化によるライニング材の変形等を防止している(特公平5−48846号公報、特公平5−48845号公報、実公平2−28411号公報等)。
【0005】
図16は測定管の成形に用いられる従来の射出成形装置を示す断面図である。この射出成形装置1は、上型2および下型3とからなる金型4と、図示を省略した射出ノズルとを備え、下型3を第1の下型5、第2の下型6および中子7とで構成し、金型4内に形成したキャビティ8に弗素樹脂等の溶融した成形材料9を加圧注入して第2の下型6の内周面およびそのフランジ10の配管接続端面10aに設けた環状凹部15にライニングを施すことにより、第2の下型6を測定管11として取り出すようにしている。すなわち、この射出成形装置1は、ライニングが施されていない測定管11を第2の下型6として用い、アウトサート成形によって測定管11にライニングを施すものである。なお、16は第2の下型6の内部にスペーサ17を介して取付けられた補強管、18は金型4の冷却回路である。
【0006】
測定管の射出成形に際しては、成形圧力(射出圧力)に対して金型4の締付圧力(型締力)が不十分な場合、上型2と第2の下型6との接合部12Aおよび第1の下型5と第2の下型6との接合部12B(以下、シール部という)から溶融した成形材料9が漏出し、固化した後に成形体の表面にバリとして残ってしまう。また、過剰に漏出した場合には金型4内に樹脂が十分に充填されず成形不能になる。このため、例えば複数本のボルト13と型締め板14とによって金型4を型締めするか、または油圧による型締め機構によって型締めし、シール部12A,12Bが開かないようにしている。
【0007】
シール部12A,12Bが開かないための条件は、成形品の総投影面積をD(cm2 )、射出圧力をP(Kg/cm2 )、型締力をW(Kg)とすると、以下の条件
DP<W
を満たす必要がある。なお、総投影面積Dというのは、金型4の溶融樹脂と接触する内壁面を型締力方向(ボルト13の軸線方向)に見通した面積のことである。したがってDPは、金型4が溶融樹脂から受ける力の型締方向の分力を表している。
【0008】
このような射出成形方法に関する公知文献としては、例えば特開平5−147061号公報に開示された「熱可塑性樹脂のトランスファー成形方法および熱可塑性樹脂の母材への被覆方法」が知られている。この特開平5−147061号公報の第3頁右欄第4〜6行には、「押出成形機を・・・被覆用母材装着金型を連結・型締めした別のポットに連結」すると記載されていることからして、詳述はされていないが何らかの型締め手段を備えていることは明らかである。
【0009】
また、米国デュポン社発行の技報「Preliminary Infomation from PlasticTechnical Services Laboratry about DU PONT TEFLON FLUOROCARBON RESIN,DU PONT TEFZEL FLUOROPOLYMER FLUOROCARBONS DIVISION,PLASTICS DEPARTMENT,E.T.DU PONT DE NEMOURS & CO.(INC.),WILM.,DEL.19898 PBI#36(Revised)
August 1973」には、配管の内側に弗素樹脂製のライニングをトランスファー形成するための金型、成形装置および成形方法が詳述されている。すなわち、同技報の第23頁第10〜13行には、「溶融ポットの面積がゲートの面積よりもずっと大きいので、溶融ポット組立を金型にボルト締結する必要はない。結果として、金型とノズルとの間のシール力は、溶融物による力よりもはるかに大きい。
(It isnot necessary to bolt the melt pot assembly to the mold asthe melt pot area is much greater than the gate area.As a resalt,the "sealing force" between the mold and nozzle is far greater than theforce exerted by the melt at the nozzle/sprue bushing interface.)」
旨の記載があり、溶融物の射出圧力を利用して溶融ポットのノズルと金型のスプルー孔(sprue bushing )との界面のシール性を保つことができる点が開示されている。しかしながら、金型自体をボルト締結により型締めする必要がある点については、図16に示した従来技術と同様である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように従来の射出成形装置1は、シール部12A,12Bからの成形材料9の漏出を防止するために金型4をボルト13と型締め板14、または油圧による型締め機構によって型締めしていた。しかしながら、ボルト13と型締め板14による型締め作業は、1回の成形毎に作業者が型締め板14の取付け、取外し作業を行わなければならないために作業者の負担が大きく、作業性および生産性が著しく低くなるという問題があった。
【0011】
一方、油圧による型締め機構は、射出成形機自体が大掛かりになり、高価になるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、上述のボルト13や油圧による型締め機構といった専ら型締めのために設けられる手段を全く必要としない射出成形装置および射出成形方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明は金型が塑性変形したり破壊されたりすることがなく、良好に成形し得るようにした射出成形装置および射出成形方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明は、成形材料を収容する容器と、この容器から射出された成形材料が充填される金型と、前記容器内の成形材料を加圧するプッシャと、前記プッシャまたは前記金型に前記プッシャが前記容器内の成形材料を実質的に加圧する方向の推力を付与する推力付与手段とを備えた射出成形装置であって、前記容器はその底部に成形材料を射出するノズル孔とこのノズル孔の周囲に設けられたシール面とを有しており、前記金型は前記容器の下側に設置されるもので、上部に前記ノズル孔に連通するスプルーとこのスプルーの周囲に設けられたシール面とを有しており、また前記金型は複数の積重ね部材を積重ねて形成されるものであり、各積重ね部材は互いに接触する部分にそれぞれシール面を有しており、前記ノズル孔と前記スプルーの周囲にそれぞれ設けられた前記シール面どうし、および各積重ね部材に設けられたシール面どうしは前記推力のみによってそれぞれ全周にわたって密着されると共に、いずれのシール面どうしの間にも成形材料の流出を防ぐためのパッキンは配置されておらず、各積重ね部材のシール面は、互いに密着した状態で空気は排出するが成形材料は排出しない面粗度になされているものである。
このような構成においては、成形材料を加圧するためにプッシャに実質的に付与される推力によって、ノズル孔周囲のシール面とスプルー周囲のシール面、および各積重ね部材のシール面どうしを密着させることで実質的に型締めを行っているので、従来の型締め手段を設ける必要がない。
プッシャの推力付与手段は、プッシャを直接下方に移動させて推力を付与するものと、プッシャを固定しておき、容器を上方に移動させることにより相対的にプッシャに下方への推力を付与するもののいずれであってもよい。
【0015】
また、第2の発明は、上記第1の発明において、成形材料が弗素樹脂であり、プッシャに加圧されたときの成形材料の射出圧をP、各シール面に加わるシール圧をPaとすると、以下の条件
Pa/P>0.32が成り立つようにするものである。
このような構成においては、各成形材料に応じて、各シール面から成形材料が漏れることのないようにシール圧を決めることができ、金型を適切に設計できる。
【0016】
また、第3の発明は、上記第1または第2の発明において、複数の積重ね部材のうちの少なくともいずれか1つが成形後の成形体の一部を成すようにするものである。
このような構成においては、成形体の一部を積重ね部材が兼用するので、別途金型を必要としない。
【0017】
また、第4の発明は、上記第1、第2または第3の発明において、プッシャからの推力に抗して複数の積重ね部材のいずれか1つを支える弾性変形可能な支持部材を有するようにするものである。
このような構成においては、積重ね部材の機械的強度が十分でない場合に、その積重ね部材に加わる力を弱めて積重ね部材に塑性変形や破壊が生じるのを防ぐことができる。
【0018】
また、第5の発明は、上記第1、第2、第3または第4の発明において、容器は、両端が開放した筒体と、ノズル孔を備え前記筒体の下端に上下動可能に嵌め合わされた底板と、この底板より下方に位置して前記筒体に設けられることにより前記筒体と底板との分離を防止し、成形材料の射出時に前記底板に接触可能な止め部材とを有するようにするものである。
このような構成においては、容器を金型の上面に設置するときには、筒体の下端が金型の上面に当接するので、容器の据わりが良く、ノズル孔とスプルーとの位置合わせ作業を容易に行うことができる。
推力付与手段によりプッシャに推力が与えられたとき、プッシャの外周面と筒体の内周面との隙間に成形材料が入り込んで固化し筒体を上方へ引き上げ金型上面から離間させる。そして、筒体がやや上昇したところで止め部材が底板に当たり、筒体を停止させる。筒体が上昇してその下端が金型上面から離れると、推力は専らノズル孔の周囲のシール面からスプルーの周囲のシール面に対して伝達される。したがって、大きなシール圧が得られ、これらのシール面の間から成形材料が漏れ出すことがない。
【0019】
また、第6の発明は、成形材料を収容する容器と、複数の積重ね部材からなり前記容器から射出された成形材料が充填される金型と、前記容器内の成形材料を加圧するプッシャと、前記プッシャまたは前記金型に前記プッシャが前記容器内の成形材料を実質的に加圧する方向の推力を付与する推力付与手段とを用いる射出成形方法において、前記容器に設けられたノズル孔と、これに続くスプルーの周囲にそれぞれ設けられたシール面どうし、および前記各積重ね部材に設けられたシール面どうしを前記推力のみによってそれぞれ全周にわたって密着させることにより、いずれのシール面どうしの間にも成形材料の流出を防ぐためのパッキンを配置せず、各積重ね部材のシール面を互いに密着した状態で空気は排出するが成形材料は排出しない面粗度にして前記金型の型締めを実質的に行ない、前記プッシャによって成形材料を金型内に射出するものである。
このような構成においては、成形材料を加圧するために付与される推力が、ノズル孔周囲のシール面とスプルー周囲のシール面、および各積重ね部材のシール面どうしを密着させ実質的に型締めを行うので、格別な型締め手段を設ける必要がない。
【0020】
さらに、第7の発明は、上記第6の発明において、成形材料が弗素樹脂であり、プッシャによって加圧されたときの成形材料の射出圧をP、各シール面に加わるシール圧をPaとすると、
以下の条件
Pa/P>0.32
が成り立つようにするものである。
このような構成においては、弗素樹脂からなる成形材料に対して、各シール面から成形材料が漏れることのないようにシール圧を決めることができ、金型を適切に設計できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る射出成形装置の第1の実施の形態の一部を破断して示す概略構成図、図2は射出成形用金型の第1、第2の実施の形態を示す断面図、図3は底板の上から見た投影面積を示す図、図4は上型の下から見た投影面積を示す図、図5はシール面付近の拡大断面図である。本実施の形態は、電磁流量計用測定管のライニングのための成形に用いられるポット式の竪型射出成形装置20に適用した例を示す。なお、図3において、斜線部が投影面積を示し、内側から2番目の円が底板上面に形成した円錐形の凹部の外形線を示している。図4において、斜線部が投影面積を示し、外側から2番目の円が上型底面に形成した環状凹部の外形線を示し、外側から3番目の円が円錐形の凹部の外形線を示している。
【0022】
図1において、床面に設置された脚付きのベースプレート21と、油圧シリンダ22が固定されたシリンダ取付板23と、これらを連結する4本の支柱24とにより十分な機械的強度を持つ枠組25が構成されている。この枠組25は、油圧シリンダ22と協働して、後述するプッシャ32へ推力を与える推力付与手段として働くものである。さらに、前記ベースプレート21上に設置された金型取付板26、この金型取付板26上にセラミック等の断熱材27を介して設置された射出成形用の金型30、この金型30の上に載置された有底円筒状のトランスファポット31(容器)、トランスファポット31内の溶融した成形材料9を加圧する前記プッシャ32、このプッシャ32を降下させる前記油圧シリンダ22(推力付与手段)等によってポット式の竪型射出成形装置20を構成している。
【0023】
前記油圧シリンダ22は、前記支柱24の上方に架設された前記シリンダ取付板23に下向きに設置されており、昇降自在なプランジャ33を有している。プランジャ33は油圧によって下降するとその下端面が前記プッシャ32の上面に当たり、上昇復帰すると前記プッシャ32の上面から離間するように構成されている。
【0024】
前記プッシャ32は円盤状に形成され、前記トランスファポット31内に嵌挿されている。トランスファポット31の内周面とプッシャ32との間には適宜な隙間が設けられており、この隙間から空気を逃がすことで、プッシャ32をトランスファポット31に嵌め込む作業を容易にしている。
【0025】
前記トランスファポット31は、円筒体31Aと、この円筒体31Aの下方側開口部を覆う円盤状の底板31Bとで構成されている。前記円筒体31Aの下端部内周面には、前記底板31Bが嵌合する環状溝35が形成されている。環状溝35の内周面と底板31Bの外周面との間には殆ど隙間がない状態(すなわち溶融した成形材料9が漏れ出ない状態)で摺動可能とされている。円筒体31Aと底板31Bとが分離しないように、円筒体31Aの下端内周には複数のピン(止め部材)37が突設されており、これにより底板31Bを支持し円筒体31Aからの脱落を防止している。底板31Bは、環状溝35により円筒体31Aの内周面に形成された段部38と前記ピン37とによって上下方向の変位量が規制されている。また、底板31Bは中央に貫通孔からなるノズル孔40を有し、下面中央には前記ノズル孔40を取り囲む円錐状の突起41が一体に突設されている。この突起41の周面下端部は、前記射出成形用金型30とのシール面41aを形成している。
【0026】
前記射出成形用金型30は、積重ね部材を構成する上型44および下型45によって構成されている。前記上型44は、下面中央に形成された円錐形の凹部47と、肉厚内に形成された環状の冷却回路48を有している。上型44がさらに第1、第2の上型部材44A,44Bの2部材とからなるのは、前記冷却回路48を形成するためであり、冷却回路48を形成した後、第1、第2の上型部材44A,44Bは、ボルトによって締結されることにより一体化されている。
【0027】
前記上型44の凹部47は、後述する中子57とともに湯道49を形成するもので、特に上型44の上面に開口し前記ノズル孔40に連通する部分がスプルー50を形成し、キャビティ8に連通する下端部がゲート51を形成している。前記上型44の上面中央で前記スプルー50の周囲には円錐形の凹部53が形成されており、この凹部53に前記底板31Bの突起41が嵌合している。そして、凹部53の内壁面は前記突起41の前記シール面41aが密接するシール面53aを形成しており、これらのシール面41a,53aによってシール部Cを形成している。
【0028】
前記トランスファポット31を上型44の上に載置するとき、底板31Bの突起41を上型44の凹部53に嵌合してそのシール面41a,53aを互いに密接させると、ノズル孔40とスプルー50が自動的に位置決めされて連通し、前記シール部Cを形成する。シール部Cの面積は、後述する他の2つのシール部A,Bの各面積に比べて十分小さく設定されている。なお、トランスファポット31が上型44の上に載置された状態で、円筒体31Aの下端は上型44の上面に当たっており、トランスファポット31の座りを良くしている。トランスファポット31は上型44に対して単に載置されているだけで何ら固定されていないので、プッシャ32が油圧シリンダ22から推力を受けていない状態であれば、上型44の上に載せたままで前記突起41と凹部53を回転軸として水平面内において回転することも可能である(後述のスプルー切断作業において必要である)。
【0029】
前記下型45は、第1、第2の下型55,56(いずれも積重ね部材)および前記中子57とで構成されている。また、第1の下型55は、積層配置された第1、第2の下型部材55A,55Bとで構成され、前記金型取付板26の上に前記断熱材27を介して位置決めされて固定されている。第1の下型55の上には、前記第2の下型56と中子57が同じく位置決めされて設置されており、さらにこれらの上に前記上型44が同じく位置決めされて設置されている。上型44と第2の下型56の互いに密接する接合部は前記シール部Aを形成し、第1、第2の下型55,56の互いに密接する接合部は前記シール部Bを形成している。シール部Aとシール部Bの面積は略等しい。
【0030】
前記第1の下型部材55Aは、中央に前記中子57が貫通する孔60を有し、また上面には前記孔60の周囲を取り囲む環状の凹部61が形成されている。凹部61の底面外周部は、前記第2の下型56の下面が密接するシール面61aを形成している。
【0031】
前記第2の下型56としては、ライニング処理されていない電磁流量計用の測定管が用いられる。この第2の下型56は、内径が前記中子57の外径より大きい円筒状の管本体56aと、この管本体56aの両端開口部に一体に設けられるかまたは溶接によって固定された同一形状からなる2つのフランジ56b,56cとで構成されている。管本体56aの内部には、多孔板によって形成した補強管16がスペーサ17を介して配設されている。
【0032】
各フランジ56b,56cの配管接続端面には、成形材料9が充填される環状溝63A,63Bがそれぞれ形成されている。上側のフランジ56bの環状溝63Aより外側の表面は、上型44のシール面65aが密接するシール面63aを形成しており、これらのシール面63a,65aによって前記シール部Aを形成している。前記シール面65aは、前記上型44の下面に形成した環状凹部65の底面外周部とされる。
【0033】
前記下側のフランジ56cの環状溝63Bより外側の表面は、第1の下型55の前記シール面61aが密接するシール面63bを形成しており、これらのシール面61a,63bによって前記シール部Bを形成している。
【0034】
前記中子57は、円柱状の中子本体57Aと、この中子本体57Aに嵌合した円筒体57Bと、中子本体57Aと円筒体57Bの上面に溶接によって固定された円錐体57Cとからなり、内部に冷却回路66が形成されている。中子57と前記第1、第2の下型55,56との間に設けられた空間は、成形材料9が充填される前記キャビティ8を形成している。前記円錐体57Cは、前記上型44の凹部47に適宜な隙間を保って同軸に挿入され、この隙間が成形材料9の通る前記湯道49を形成し、前記キャビティ8に連通する下端部が前記ゲート51を形成している。
【0035】
前記上型44の第1の上型部材44Aと第1の下型55との間には、複数本の支持部材70が設けられている。この支持部材70は、第1の下型55に立設されており、上端に連結ボルト71が螺合され、その頭部が前記第2の上型部材44Bの下面に当接しており、成形条件によって装着するか取り外すかを選択できるようになっている。ここではまず、取り外した状態を想定して説明するので、支持部材70および連結ボルト71は全て描かれていないものとして図2を参照されたい。なお、図2の通り支持部材70および連結ボルト71が装着されている状態については後述する。
【0036】
このような射出成形用金型30は、上型44、下型45およびトランスファポット31を単に自重によって積み重ね配置して組み立てているだけで、図16に示したボルト13と型締め板14または油圧による型締め機構を全く備えておらず、前記プッシャ32で成形材料9を加圧する力を利用して3つのシール部A,B,Cをシールして成形を行う点で従来の金型と基本的に相違している。
【0037】
このような射出成形装置20を用いて第2の下型56の内周面と各フランジ56b,56cの環状溝63A,63Bにライニングを施して電磁流量計の測定管を成形するには、金型30をトランスファポット31および成形材料9とともに加熱炉の中に設置し、所定温度(350〜370℃)に加熱する。
【0038】
成形材料9を加熱溶融している間、プッシャ32はトランスファポット31から外されて室温に保持されており、溶けた成形材料9をキャビティ8に注入する作業の直前にトランスファポット31に装着される。加熱された金型30およびトランスファポット31を、金型取付板26上に設置し、油圧シリンダ22を駆動し、プランジャ33によってプッシャ32を押圧することによりプッシャ32に所定の推力Flを与える。プッシャ32が推力Flを付与されて成形材料9を加圧すると、成形材料9は底板31Bのノズル孔40からスプルー50、湯道49およびゲート51を通ってキャビティ8に加圧注入される。プッシャ32による成形材料9の加圧注入時間は、2分程度で、キャビティ8内の空気をプッシャ32による射出圧力Pによってシール部A,Bから外部へ排出する。すなわち、シール部A,Bは、空気は排出するが溶融樹脂は排出しない程度の面粗度に加工されている。空気と溶融樹脂とは、それぞれの粘性が大きく異なるために、シール部A,Bの面粗度を調節すれば、このようなことが可能になる。
【0039】
また、プッシャ32を押し下げて溶融した成形材料9を加圧すると、成形材料9は底板31Bを下方に加圧しつつノズル孔40から射出されるとともに、トランスファポット31とプッシャ32との径方向の隙間(通常片側0.3〜1.0mm程度)を通って上方へ漏れ出ようとする。プッシャ32の温度が成形材料9の温度よりも低く設定されていると、プッシャ32に接触した部分の成形材料9が急冷固化して隙間を塞ぎパッキンとして作用するので、溶融した成形材料9が外部へ漏れ出ることはない。さらに、溶融している成形材料9は、その圧力によって隙間で固化した成形材料9を上方へと押し上げる。隙間で固化した成形材料9は、トランスファポット31との間の摩擦力により、トランスファポット31を上方へ持ち上げるように作用する。そして、トランスファポット31の円筒体31Aの下端が上型44の上面から離れる。やがてピン37が底板31Bの下面に当たると、トランスファポット31はそれ以上持ち上げられるのを阻止される。この状態でトランスファポット31と上型44とはシール部Cのみで接しており、プッシャ32に与えられた推力Plの大部分がシール部Cに付加される。前述の通り、シール部Cの面積はシール部A,Bのいずれの面積よりも小さいので、シール部Cには十分に大きなシール圧が発生し、シール部Cからの溶融した成形材料9の漏れを防止することができる。
【0040】
油圧シリンダ22がプッシャ32を押し下げる力Flは、プッシャ32の下面の面積Slに作用して、トランスファポット31の内部で溶融している成形材料9に射出圧力Pを発生させる。この射出圧力Pを受けて底板31Bに発生する力Fnは下向きで、シール部Cを介して上型44を第2の下型56に押しつけるように働く。厳密にはプッシャ32、トランスファポット31、成形材料9および上型44の重量も上型44を下向きに押しつけるように働くが、後述の通り、Fnに対して無視できるほど小さい。第2の下型56は第1の下型55に押し付けられることにより、これらの間にも同じ大きさの締付け力が発生する。底板31Bの金型30に対する押付力Fnは、底板31Bの受圧面を力Fl方向に見通した投影面積Sn(図3の斜線部)と射出圧力Pから求められる。
Fn=P・Sn=Fl・Sn/Sl
【0041】
反対に、金型30には射出圧力Pにより上方への推力(第2の下型56から上型44を引き離そうとする力)Fmが発生する。この推力Fmは、上型44の投影面積Sm(図4の斜線部)と射出圧力Pから求められる。
Fm=P・Sm=Fl・Sm/Sl
【0042】
したがって、底板31Bの上型44に対する押付力Fnによって上型44が第2の下型56のシール部A(シール部Bも同様)を押し付ける力Fは、
F=Fn−Fm
となる。
FnがFmより小さくなると、押付力Fが負になるため、上型44が持ち上げられてシールが損なわれる。
シール部Aの面積をSa、シール部Aに発生する圧力(シール圧)をPaとすると、シール圧Paは、
となる。
【0043】
ここで、成形材料9、上型44、第2の下型56、トランスファポット31等の重量が実際にシール比(シール圧Paを射出圧力Pで除した値)Kにどの程度影響するかについて検討したところ、測定管の口径が100mmの場合と40mmの場合における成形材料9、上型44、第2の下型56、トランスファポット31等の総重量をそれぞれ21.5Kg、4.3Kg程度とすると、底板31Bによる押付力Fn(口径100mmの場合:5148Kgf、口径40mmの場合:1825Kgf)、推力Fm(口径100mmの場合:3382Kgf、口径40mmの場合:1378Kgf)に比べて総重量がきわめて小さいため、シール比Kへの影響がきわめて少なく、誤差範囲として無視し得ることが判った。なお、さらに後述するが、前記シール比Kは、口径100mmの場合、2.04、口径40mmの場合、1.41であった。
【0044】
シール部Aからの成形材料9の漏出を防止するためには、シール圧Paが正の値であることが最低条件(すなわち必要条件)であるが、どの程度の圧力であれば成形材料9が漏出しなくなるかを実験で追求した。
上記式からも明らかなようにプッシャ32の推力を高くすれば、射出圧力Pとシール圧Paは高くなる。しかし、プッシャ32の推力を過剰に高くすると成形品に内部応力が残り、変形やクラックによる割れの原因となるため好ましくないことが判った。
【0045】
ここでシール比Kという概念を導入する。すなわち、K=Pa/P=(Fn−Fm)/Sa・P=(Sn−Sm)/Sa
シール比Kは、射出成形用金型30の設計時に決定される無次元の数値であり、成形材料9がシール部Aから漏出しないようにするための条件(すなわち十分条件)はK=Pa/P>Cである。ただし、Cは実際の成形において成形材料9の種類、粘度、温度等によって決まる定数値で、実験によって帰納的に求められる値である。この定数値Cよりシール比Kが小さいと成形材料9がシール部Aから漏出し、大きいと漏出しなくなる。シール比K、成形材料9の種類、粘度および温度を変えて実際に成形を行い、成形材料9の漏出が止まった時点のシール比Kの値を定数Cとする。例えば、シール比Kを0.3として成形を行ったときに成形材料9のシール部Aからの漏出が止まったと仮定すると、定数値Cは0.3となる。したがって、成形材料9がシール部Aから漏出しないようにするためには、シール比Kを0.3より大きくする必要がある。実験に際しては、シール面積Sが大きい金型を製作して成形を行い、シール部Aを少しずつ削ってシール面積Sを徐々に小さくすることによりシール比Kを大きくして成形を繰り返し行い、成形材料9のシール部Aからの漏出が止まったときのシール比Kを定数値Cとみなす。なお、ここまでシール部Aを例にとって述べてきたが、シール部Bについても同様に考えることができる。また前述の通り、シール部Cは面積が小さいので、かなり大きなシール比を得られ、実際上問題になることはない。
【0046】
成形材料9の注入が終了した後、油圧シリンダ22からの推力Flを保ったまま数分放置して成形体の残留応力の分布を均一化させる。次に、冷却回路66に冷却媒体としてのエアを供給して金型30を内側から一定時間冷却し、キャビティ8内の成形材料9を固化させる。金型の冷却については後述する実施の形態において詳述する。
【0047】
成形材料9が固化した後、トランスファポット31を回転させると、ノズル孔40とスプルー50との接続部分で成形材料9を容易に切断できる。次に、上型44をトランスファポット31とともに上昇させて第2の下型56を第1の下型55から取出し、ばり、湯道49、ゲート51部分で固化した成形材料9を切断することにより成形を終了する。この第2の下型56は、内周面およびフランジ56b,56cの配管接続端面がライニング材によって被覆された成形品である測定管として用いられる。引き続き測定管の成形を行う場合は、新たな第2の下型56を第1の下型55の上に設置し、さらにその上に上型44およびトランスファポット31を設置し、上記した手順にしたがって成形を行う。
【0048】
【実施例】
三井デュポンフロロケミカル社製のPFA樹脂450HP−Jを成形材料9として用いた場合、金型温度を360°C、樹脂温度を360°Cとし、シール比Kを0.32としたとき、樹脂の漏出が発生しないことが確認された。
【0049】
上記では図2において支持部材70および連結ボルト71を取り外して成形を行う場合を説明した。しかし、押付力F=Fn−Fmが大きく、かつ金型30、特に成形品となる第2の下型56が肉薄で強度が低い場合は、第2の下型56が座屈により塑性変形したり破壊されるおそれがある。
【0050】
そこで、次にこのような問題を解決するために、図2において支持部材70および連結ボルト71を装着して成形する場合の実施例について説明する。
本実施の形態においては上型44と第1の下型55との間に前記支持部材70を介在させ、連結ボルト71の上端を上型44に当接することで、上型44から第2の下型56へ伝わる押付力Fnの一部を前記支持部材70によって受け止め、第2の下型56に加わる押付力Fを低減するようにしている。
【0051】
前記支持部材70は、圧縮弾性変形可能な円柱状に形成され、前記第1の下型55の外周寄りに周方向に等間隔おいて4本垂直に立設されることにより上端が第1の下型55の上方に延在し、上面中央に前記連結ボルト71が螺合するねじ孔73を有している。支持部材70の材質としては焼き入れ鋼等が用いられる。
【0052】
前記連結ボルト71は焼入れ鋼製で、前記各支持部材70のねじ孔73に螺合され、頭部が上型44の下面に当接するように調節される。なお、その他の構造は上記した第1の実施の形態と略同一である。
【0053】
このような構造からなる射出成形用金型30において、プッシャ32に推力Flを与えてトランスファポット31内の溶融した成形材料9を加圧し金型30のキャビティ8に注入すると、押付力Fnは金型30と、この金型30を介して支持部材70に加わる。このため、主として支持部材70が撓むが、このとき支持部材70の弾発力(反力)Rが上型44に作用し、突っ張り棒として機能する。したがって、金型30に加わる押付力Fが低減され、第2の下型56が強度の低いものであっても座屈により塑性変形したり破壊されることがなく、高圧を必要とする樹脂によるライニングや、強度が低い測定管の成形に対しても適用することが可能である。
【0054】
次に、射出成形用金型30におけるシール比Kについて説明する。
支持部材70と第2の下型56は射出圧力PによってΔlだけ縮む。
【0055】
【数1】
【0056】
【数2】
【0057】
ここで、
Pは射出圧力
Snは底板の上から見た投影面積
Smは上型の下から見た投影面積
Saはシール面積
Srは支持部材(支持部材本体)の断面積
Spは第2の下型の断面積
Fnは射出圧力によって発生する底板の下向きの力(=P・Sn)
Fmは射出圧力によって金型を押し上げようとする力(=P・Sm)
Frは支持部材に加わる力
Fpは第2の下型に加わる力
Lpは第2の下型のフランジ間の長さ
Lrは支持部材の長さ
Δlは支持部材の縮み量
Eは支持部材のヤング率(第2の下型のヤング率と同じと仮定)
nは支持部材の本数である。
第2の下型56のフランジ部56b,56cと連結ボルト71は変形しないものと仮定する。
【0058】
力の釣り合いを考えると
(Fn−Fm)=nFr+Fp ・・・(2)
上記(A)式を(2)式に代入数ると
【0059】
【数3】
【0060】
上記(B)式を用いてシール比Kを求める。シール圧Paは次式によって表される。
【0061】
【数4】
上記(4)式の両辺をPで除してシール比Kを求める。
【数5】
【0062】
【数6】
【0063】
上記(6)式の前項は、通常のシール比、後項は支持部材による減少分で、シール比の低減率は次式で表される。
【0064】
【数7】
【0065】
図6は本発明の第3の実施の形態を示す断面図である。
この実施の形態は、第2の下型56のフランジ56b,56cの外径が大きく面間距離(配管接続端面間の距離)が長い測定管に適用した例を示している。また、本実施の形態は、弾性変形可能な複数本の支持部材70を第2の下型56のフランジ56b,56c間に介在させ、各支持部材70を2本の連結ボルト71によって第2の下型56の上側と下側のフランジ56b,56cにそれぞれ連結している。このため、支持部材70は上下面中央に前記ボルト71がねじ込まれるねじ孔73をそれぞれ有している。その他の構造は、上記した実施の形態と略同一である。
【0066】
このような構造においても支持部材70が突っ張り棒として機能し、上下のフランジ56b,56cの間隔を略一定に保持するため、押付力Fnによって第2の下型56が座屈したり破壊されることはない。
【0067】
図7は本発明の第4の実施の形態を示す断面図である。
この実施の形態は、第1の実施の形態と同様に第2の下型56のフランジ56b,56cの外径が小さいウエハタイプの測定管に適用した例を示している。また本実施の形態は、弾性変形可能な支持部材70を1つの筒状体で構成して上型44と第1の下型55の間に介在させ、上面で上型44を直接支持している。その他の構造は、上記した第1の実施の形態と略同一である。
【0068】
また、プランジャの成形材料を押圧する力を利用して下型と上型のシール面に面圧を発生させ、弗素樹脂からなる成形材料が外部へ漏れ出るのを防止するようにしたので、ボルトによる締結や油圧による型締め機構によって金型を型締めする必要がなく、射出成形装置の簡素化および金型製作費の低減を達成するとともに、金型の組立、分解作業が容易で生産性を向上させることができる。また、成形材料の漏出がないため、不良率を低減することができる。
また、Pa/P>0.32の条件を満たす範囲内において金型設計を行うことができるので、設計の自由度を向上させることができる。
【0069】
図8は本発明の第5の実施の形態を示す射出成形用金型の断面図、図9は第2の下型部材の平面図、図10は中子の底面図、図11(a)〜(d)は図10のA−A線、B−B線、C−C線、D−D線断面図、図12はゲートリングの平面図、図13は同ゲートリングの断面図、図14は同射出成形装置の要部の拡大断面図である。
【0070】
電磁流量計の測定管は、フランジタイプの場合、上記実施の形態において示したライニングを施す前の測定管である前記第2の下型56は、通常フランジ56b,56cを管本体56aの両端部外周に嵌合し溶接によって接合することで製作されている。このため、寸法精度が低く管本体56aとフランジ56b,56cの軸線が一致していなかったり、フランジ56b,56cが管本体56aに対して傾いて取付けられることがある。それ故、射出成形したときライニング材の肉厚に偏肉が生じたり、補強管16が外部に露出して不良品になるという問題があった。このような問題は、特に配管接続端面間の距離が長い測定管ほど偏肉が大きくなるため、成形品の品質を著しく低下させるものである。
【0071】
本発明の第5の実施形態は上記した問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、成形材料9の偏肉の発生を確実に防止することができ、またウエルドラインの発生を防止し得るようにしたものである。以下、詳細に説明する。なお、上記した第1〜第4の実施の形態と同一または同等の構成部材、部分については同一符号をもって示し、その説明を適宜省略する。
【0072】
図8において、射出成形用金型30は、上型44、下型45およびゲートリング110等で構成され、内部に冷却機構(冷却回路)66を備えている。前記上型44は、下面中央に形成された円錐形の凹部47を有し、前記下型45の上に前記ゲートリング110を介して設置されている。前記下型45は、第1、第2の下型55,56と、中子57とで構成されている。前記上型44と第1の下型55の間には、複数本の支持部材70および連結ボルト71が介在されている。
【0073】
前記第2の下型56は、筒状に形成されて前記第1の下型55の上に位置決めされて設置されている。第2の下型56としては、ライニング処理されていない電磁流量計用の測定管が用いられる。このため、管本体56aと、この管本体56aの両端部外周面にそれぞれ嵌合され溶接138によって接合された上下一対のフランジ56b,56cとで構成されている。また、管本体56aの内部には、多孔板によって形成した補強管16がスペーサ17を介して固定されている。
【0074】
前記中子57は、円柱状の中子本体57Aと、この中子本体57Aの外周に嵌合された円筒体57Bと、この円筒体57Bの上面に溶接によって固定された円錐体57Cとで構成され、前記第1、第2の下型55,56の内部に所定の隙間を保って嵌挿されることにより、これらの下型55,56とともに成形材料9が充填されるキャビティ8を形成している。なお、上型44および下型45は、上記した実施の形態と略同一である。
【0075】
前記金型30の前記冷却機構66は、第1〜第6の冷却回路116A〜116Fを有している。第1の冷却回路116Aは、第1の下型部材55Aの下面側に形成した環状溝135と、第2の下型部材55Bに設けた貫通孔からなり前記環状溝135にそれぞれ連通するエア供給口136およびエア排出口137等で構成されている。エア供給口136は図示を省略したエア供給源に接続され、エア排出口137は大気に開放している。
【0076】
前記第2〜5の冷却回路116B〜116Eは、前記中子57の内部に形成されるもので、中子本体57Aの外周面に軸線方向に離間して形成された環状溝150〜153をそれぞれ有し、これらの環状溝150〜153を中子本体57Aの内部に形成したエア供給通路154a〜154dとエア排出通路155に、連通路156a〜156d、157a〜157d(図10、図11)を介してそれぞれ連通させている。前記エア供給通路154a〜154dは、前記中子本体57Aの下面に開放する不貫通孔からなり、前記エア排出通路155の周囲に周方向に所要角度離間して形成されている。すなわち、図10に示すように、エア供給通路154a〜154dは、時計方向に135°ずつ離間するように形成されている。このため、エア供給通路154bは、エア供給通路154aに対して時計方向に135°離間し、エア供給通路154cはエア供給通路154bに対して時計方向に135°離間し、エア供給通路154dはエア供給通路154cに対して時計方向に135°離間している。前記エア排出通路155は、前記中子本体57Aの下面中央に開放する不貫通孔からなり、前記エア供給通路154a〜154dより大きな穴径を有している。
【0077】
図9において、前記第2の下型部材55Bには、前記各エア供給通路154a〜154d、エア排出通路155と連通する通路160a〜160d,161が形成されている。これらの通路160a〜160d,161は、第2の下型部材55Bの上下面に貫通する貫通孔によって形成されている。前記各通路160a〜160dはエア供給源にそれぞれ接続され、通路161は大気中に開放している。
【0078】
前記第6の冷却回路116Fは、前記上型44内に形成された環状溝48と、この環状溝48に連通するエア供給口118およびエア排出口119を有している。エア供給口118は図示を省略したエア供給源に接続され、エア排出口119は大気中に開放している。
【0079】
前記ゲートリング110は、前記中子57を第2の下型56に対して位置決めするとともに、湯道49と金型30のキャビティ8を連通させるためのもので、前記上型44と前記第2の下型56との間に位置するように前記円筒体57Bの上端部外周に着脱自在に嵌着されている。このため、ゲートリング110は、前記中子57が貫通する中心孔168(図12、図13)を有し、この中心孔168と前記中子57のはめ合い公差は、これら両部材の軸線が略一致するように小さく設定されている。ゲートリング110の上面は平坦面からなり、前記上型44の環状溝121に嵌合して密接することによりシール部A1 (図14)を形成している。前記ゲートリング110の上面110aの一部と前記環状溝121の底面121aの一部は、互いに密接することによりシール面を形成しており、これらのシール面によって前記シール部A1 を形成している。
【0080】
また、ゲートリング110は下面側に環状溝169を有し、この環状溝169が第2の下型56の上側のフランジ56bの配管接続端面に突設した突起142aに嵌合し、この突起142aと環状溝169の互いに密接する部分がシール面142b,169aを形成し、これらのシール面によってシール部A2 を形成している。シール面142bは、突起142aの上面とされ、シール面169aは環状溝169の底面とされる。
【0081】
さらに、前記ゲートリング110は、上型44と中子57とによって形成される前記湯道49を前記環状溝169を介して金型30のキャビティ8に連通させるゲート170を有している。このゲート170は、図12に示すようにゲートリング110の中心を中心とする同一円周上にそれぞれ形成された貫通孔からなる複数個の小径ゲート170Aと大径ゲート170Bとで構成されている。また、小径ゲート170Aと大径ゲート170Bは、交互に隣り合うように形成され、図14に示すように前記上側フランジ56bの環状溝63Aの外周寄りに位置している。このようなゲートリング110は、前記突起142aと環状溝169の嵌合によって上側のフランジ56bの上面に設置されると、中子57を第2の下型56に対して位置決めし中心を一致させる。このため、中子57は第1の下型55に対して径方向に僅かではあるが移動可能に配設されている。
【0082】
このような構造からなる射出成形装置100によって電磁流量計の測定管を成形するには、金型30を金型取付板26(図1参照)の上に設置する。このとき、中子57をゲートリング110によって位置決めする。すなわち、ゲートリング110の環状溝169に予め中子57の上部をに嵌装し、このゲートリング110を上側のフランジ56bの環状突起142aに嵌合すると、第2の下型56とゲートリング110の軸線が一致し、中子57の軸線を強制的に第2の下型56の軸線と一致させる。したがって、中子57は、第2の下型56に対して位置ずれしたり傾いたりすることがなく、第1、第2の下型45,46の中心に位置づけられる。ゲートリング110によって中子57を位置決めした後、さらに上型44の環状溝121をゲートリング110に上方から嵌合して、上型44と第2の下型56の軸線を一致させ、さらにその上にトランスファポット31を設置する。
【0083】
次に、金型30をトランスファポット31および成形材料9とともに加熱炉の中に設置し、所定温度(350〜370℃)に加熱する。この溶融した成形材料9をプッシャ32によって加圧してノズル孔40、スプルー50および湯道49を通ってキャビティ8にゆっくり加圧注入する。注入時間は2分程度で、キャビティ8内の空気をプッシャ32による射出圧力Pによってシール部A1 ,A2 ,Bから外部へ排出する。
【0084】
プッシャ32を押し下げて溶融した成形材料9を加圧すると、成形材料9は底板31Bを下方に加圧しつつノズル孔40から射出されるとともに、トランスファポット31とプッシャ32との隙間(通常0.3〜1.0mm程度)を通って上方へ漏れ出ようとする。プッシャ32の温度が成形材料9の温度よりも低く設定されていると、プッシャ32に接触した部分の成形材料9は急冷固化してトランスファポット31との間に摩擦力が発生し、トランスファポット31を上方へ持ち上げるように作用する。このとき、底板31Bはプッシャ32の射出圧力Pでピン37を押圧し、トランスファポット31が上方へ持ち上げられるのを阻止する。
【0085】
プッシャ32によって溶融した成形材料9を加圧し金型30のキャビティ8に注入すると、射出圧力Pが金型30全体に直接加わり金型30を圧縮する。このとき、支持部材70も射出圧力Pを受けて僅かに撓み、射出圧力Pに対抗する反力を上型44に付与する。したがって、第2の下型56が射出圧力Pによって塑性変形したり破壊されることがなく、高圧を必要とする樹脂や、強度が低い成形品であっても成形することができる。
【0086】
図15に金型30の冷却の手順を示す。冷却の全工程において、油圧シリンダからプッシャ32へ推力Flを与え続けて、トランスファポット31の内部に残っている溶融した成形材料9の圧力Pを保ち続ける。成形材料9の注入が終了した後、数分間放置して成形体の残留応力の分布を均一化させる。次に、圧縮空気200を第1〜第6の冷却回路116A〜116Fに所定の時間をおきながら順次供給して金型30を冷却し、キャビティ8内の成形材料9を下から上方に向かって徐々に固化させる。このようにすると、キャビティ8内の成形材料9の固化により発生する体積収縮に応じて、トランスファポット31から溶融状態の成形材料9が補給され、ヒケのないきれいな成形体を得ることができる。
【0087】
成形材料9が完全に固化して成形が完了すると、離型して成形品である第2の下型56を取り出す。成形品の取出しに当たっては、先ずトランスファポット31を回転させて湯道49内の成形材料9を底板31Bから切断する。次に、上型44をトランスファポット31とともに上昇させて第2の下型56を第1の下型55から取出し、ばり、湯道49部分で固化した成形材料9を切断する。この取り出された第2の下型56は、内周面およびフランジ56b,56cの配管接続端面がライニング材によって被覆された成形品である測定管として用いられる。引き続き測定管の成形を行う場合は、新たな第2の下型56を第1の下型55の上に設置し、さらにその上に上型44およびトランスファポット31を設置し、上記した手順にしたがって成形を行う。
【0088】
次に、成形材料9がシール部A1 ,A2 ,Bから漏出しない理由について説明する。
(1)支持部材70を用いない場合
溶融した成形材料9がプッシャ32によって金型30のキャビティ8内に加圧注入されると、プッシャ32の推力に応じて射出圧力Pが金型30全体に発生する。これにより底板31Bには下方への推力(押付力)Fnが発生し、上型44を第2の下型56に押し付けることにより、上型44と第2の下型56との間に締付け力が発生する。同様に、第2の下型56は第1の下型55に押し付けられることにより、これらの間にも同様な締付け力が発生する。底板31Bの金型30に対する押付力Fnは、底板31Bの投影面積Snと射出圧力Pから求められる。
Fn=P・Sn
【0089】
反対に、金型30には射出圧力Pにより上方への推力(第2の下型56から上型44を引き離そうとする力)Fmが発生する。この推力Fmは、上型44の投影面積Smと射出圧力Pから求められる。
Fm=P・Sm
【0090】
したがって、底板31Bの上型44に対する押付力Fnによって金型30のシール部A1 ,A2 ,Bを押し付ける力Fは、
F=Fn−Fm
となる。
FnがFmより小さくなると、上型44は持ち上げられるためシールが損なわれる。
【0091】
各シール部A1 ,A2 ,B の面積をS1 ,S2 ,S3 とし、各シール部A1 ,A2 ,Bに発生する圧力(シール圧)をPa1 ,Pa2 ,Pa3 とすると、シール部A1 におけるシール圧Pa1 は
Pa1 =(Fn−Fm)/S1 =(Sn−Sm)P/S1
となる。
シール部A2 におけるシール圧Pa2 は
Pa2 =(Fn−Fm)/S2 =(Sn−Sm)P/S2
となる。
シール部Bにおけるシール圧Pa3 は
Pa3 =(Fn−Fm)/S3 =(Sn−Sm)P/S3
となる。
【0092】
ここで、シール比K(K1 ,K2 ,K3 )は、シール圧Pa1 ,Pa2 ,Pa3 を射出圧力Pで除した値Pa1 /P,Pa2 /P,Pa3 /Pである。このシール比Kは無次元単位の数値で、金型の設計時に決定される。シール比Kがある値より大きくなるように設計すると、シール部A1 ,A2 ,Bから成形材料9が漏出せず、小さいと漏出する。漏出するか否かを決定する値は、成形材料9によって決まる定数値Cであり、成形材料9の種類、粘度、成形温度等によって異なる。
【0093】
測定管の口径が100mmの場合と40mmの場合における成形材料9、上型44、第2の下型56、トランスファポット31等の総重量をそれぞれ21.5Kg、4.3Kg程度とすると、底板31Bによる押付力Fn(口径100mmの場合:5148Kgf、口径40mmの場合:1825Kgf)、推力Fm(口径100mmの場合:3382Kgf、口径40mmの場合:1378Kgf)に比べて総重量がきわめて小さいため、シール比K1 ,K2 ,K3 への影響もきわめて少なく、誤差範囲として無視し得る。つまり、シール比K1 ,K2 ,K3 は、成形材料9、上型44、第2の下型56、トランスファポット31等の重量によっては殆ど影響を受けることがない。なお、シール比K1 ,K2 ,K3 は、口径100mm、口径40mmの場合のいずれも1〜3であった。
【0094】
シール部A1 ,A2 ,Bからの成形材料9の漏出を防止するためには、シール圧Pa1 ,Pa2 ,Pa3 がそれぞれ正の値であることが最低条件である。上記式からも明らかなようにプッシャ32の推力を高くすれば、射出圧力Pは高くなり、シール圧Pa1 ,Pa2 ,Pa3 を高くすることができる。しかし、プッシャ32の推力を過剰に高くすると成形品に内部応力が残り、変形やクラックによる割れの原因となるため好ましくない。
【0095】
各シール比K1 ,K2 ,K3 は、射出成形装置100の設計時に決定されるが、上記した通り実際の成形において成形材料9の種類、粘度、温度等によって決まる定数値Cより小さいと成形材料9がシール部A1 ,A2 ,Bから漏出し、大きいと漏出しなくなる。定数値Cは、実験によって帰納的に求められる値で、シール比K1 ,K2 ,K3 、成形材料9の種類、粘度および温度を変えて実際に成形を行い、成形材料9の漏出が止まった時点のシール比K1 ,K2 ,K3 の値である。例えば、シール比K1 を0.3として成形を行ったときに成形材料9のシール部A1 からの漏出が止まったと仮定すると、定数値Cは0.3となる。したがって、成形材料9がシール部A1 から漏出しないようにするためには、シール比K1 を0.3より大きくする必要がある。つまり、成形材料9がシール部A1 ,A2 から漏れないようにするためには、
Pa/P>C
の条件を満足させればよい。
【0096】
実験に際しては、シール面積S1 ,S2 ,S3 が大きい金型を製作して成形を行い、シール部A1 ,A2 ,Bを少しずつ削ってシール面積S1 ,S2 ,S3 を徐々に小さくすることによりシール比K1 ,K2 ,K3 を大きくして成形を繰り返し行い、成形材料9のシール部A1 ,A2 ,Bからの漏出が止まったときのシール比K1 ,K2 ,K3 を定数値Cとする。
【0097】
(2)支持部材70を用いた場合
支持部材70を用いた場合は、射出圧力Pを上型44と支持部材70とで受け止めるため、シール部A1 ,A2 ,Bを押し付ける力Fは小さくなる。したがって、シール比K1 ,K2 ,Bは減少する。
【0098】
このような射出成形装置100においても、金型30を型締めする必要がないので、図16に示した従来の射出成形用金型4に比べて構造が簡単で部品点数を削減でき、また射出成形サイクルを短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【0099】
また、中子57は第1の下型55上に径方向に移動可能に設置されているため、ゲートリング110を第2の下型56の上に位置決めして設置すると、ゲートリング110が中子57を第2の下型56に対して位置決めし、軸線を略一致させる。したがって、偏肉が発生せず、成形体の肉厚の寸法精度を高めることができ、不良率を低減することができる。
【0100】
また、ゲートリング110のゲート170を交互に隣り合う複数個の小径ゲート170Aと大径ゲート170Bとで構成したので、ウエルドラインの発生を防止することができる。すなわち、ゲート170を同一の大きさからなる複数個の孔で構成すると、各孔を通過した直後の成形材料9はいずれも速度が略一定な層流となって互いに接触する。したがって、その接触部がウエルドラインとなり成形品の表面に縞模様ができる。ウエルドラインの発生を最小限にするためには、ゲート径を小さくするとともにゲート間隔を小さくすることが有効である。しかし、ゲート径と成形材料の流れ易さは、一般にゲート径の3乗に比例するので、ゲート径を小さくすればするほど流れにくくなり、成形時間が長くなるばかりか、成形不良の原因となるため好ましくない。
【0101】
そこで、ゲート170を穴径が異なる大小2種類のゲート170A,170Bで構成し、これらを交互に配列して実験を行ったところ、ウエルドラインの発生を著しく減少させることができた。ウエルドラインが減少する理由は明確ではないが、小径ゲート170Aと大径ゲート170Bを通過する成形材料9の流速が異なるので、各ゲートを通過した直後の成形材料9は層流であっても互いに接触すると速度の違いから互いに混ざり合うことによりウエルドラインを発生し難くするものと考えられる。
【0102】
ここで、上記した実施の形態は、いずれも測定管の内周面とフランジの配管接続端面にライニングを施す射出成形装置に適用した例を示したが、本発明はこれに何等特定されるものではなく、例えば容器やカップ状のもの、特に半導体製造工場のクリーンルームで使用されるものは、略100%弗素樹脂製なので、本発明による射出成形装置を用いることにより、安価に製作することができる。また、管状の成形品に限らず、例えば板状の成形品にも適用することが可能である。
【0103】
また、上記した実施の形態においては、成形品が測定管なため、金型30の下型45を第1、第2の下型55,56および中子57とで構成し、第2の下型56を測定管で構成した例を示したが、成形品によっては金型が1つの下型と上型のみで構成されるものであってもよい。
【0104】
また、金型のシール部A(A1 ,A2 ),Bは水平な面に限らず、斜面であってもよい。
また、プッシャ32の推力付与手段としては、油圧シリンダ22によってプランジャ33を下降させプッシャ32を押し下げるものではなくて、逆に、プッシャ32を固定しておき、油圧ジャッキを用いて金型30を上昇させることでプッシャ32に相対的に推力を付与するものであってもよい。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る射出成形装置および射出成形方法は、成形材料を加圧するために付与される推力を、ノズル孔周囲のシール面とスプルー周囲のシール面、および各積重ね部材のシール面どうしを密着させることにも利用するので、従来の型締め手段を設ける必要がなく、構造を簡素化することができる。
【0106】
また、各成形材料に応じて、各シール面から成形材料が漏れることのないようにシール圧を決めることができ、金型を適切に設計できる。
【0107】
また、成形体を成す部品の一部を金型として兼用するので、別途金型を必要としない。
【0108】
また、積重ね部材の機械的強度が十分でない場合に、その積重ね部材に加わる力を弱めて積重ね部材に塑性変形や破壊が生じるのを防ぐことができる。
【0109】
また、容器を金型の上面に設置するときには、容器を構成する筒体の下端が金型の上面に当接するので、容器の据わりが良く、ノズル孔とスプルーとの位置合わせ作業を容易に行うことができる。
【0110】
さらに、推力付与手段によりプッシャに推力が与えられたとき、プッシャの外周面と容器の筒体の内周面との隙間に成形材料が入り込んで固化し筒体を上方へ引き上げるが、筒体がやや上昇したところで止め部材が底板に当たり、筒体の上昇が停止する。筒体の下端が金型上面から離れるので、推力は専らノズル孔の周囲のシール面からスプルーの周囲のシール面に対して伝達される。したがって、大きなシール圧を得られるため、これらのシール面の間から成形材料が漏れ出すことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る射出成形装置の第1の実施の形態の一部を破断して示す概略構成図である。
【図2】 第1の実施の形態に係る射出成形用金型の第1、第2の実施の形態を示す断面図である。
【図3】 底板の上から見た投影面積を示す図である。
【図4】 上型の下から見た投影面積を示す図である。
【図5】 図5はシール面付近の拡大断面図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態を示す断面図である。
【図7】 本発明の第4の実施の形態を示す断面図である。
【図8】 本発明の第5の実施の形態を示す断面図である。
【図9】 第2の下型部材の平面図である。
【図10】 中子の底面図である。
【図11】 (a)〜(d)はそれぞれ図10のA−A線、B−B線、C−C線、D−D線断面図である。
【図12】 ゲートリングの平面図である。
【図13】 同ゲートリングの断面図である。
【図14】 図13の一部拡大断面図である。
【図15】 冷却のシーケンスを示す図である。
【図16】 従来の射出成形装置用金型の断面図である。
【符号の説明】
8…キャビティ、9…成形材料、20…射出成形装置、22…油圧シリンダ、30…射出成形用金型、31…トランスファポット、31A…円筒体、31B…底板、32…プッシャ、37…ピン(止め部材)、40…ノズル孔、41a…シール面、44…上型、45…下型、49…湯道、50…スプルー、51…ゲート、53a…シール面、55…第1の下型、56…第2の下型、56b,56c…フランジ、57…中子、61a,63a,63b,65a…シール面、70…支持部材、100…射出成形装置、110…ゲートリング、170…ゲート、170A…小径ゲート、170B…大径ゲート、A,A1 ,A2 ,B,C…シール部。
Claims (7)
- 成形材料を収容する容器と、この容器から射出された成形材料が充填される金型と、前記容器内の成形材料を加圧するプッシャと、前記プッシャまたは前記金型に前記プッシャが前記容器内の成形材料を実質的に加圧する方向の推力を付与する推力付与手段とを備えた射出成形装置であって、
前記容器はその底部に成形材料を射出するノズル孔とこのノズル孔の周囲に設けられたシール面とを有しており、
前記金型は前記容器の下側に設置されるもので、上部に前記ノズル孔に連通するスプルーとこのスプルーの周囲に設けられたシール面とを有しており、
また前記金型は複数の積重ね部材を積重ねて形成されるものであり、
各積重ね部材は互いに接触する部分にそれぞれシール面を有しており、
前記ノズル孔と前記スプルーの周囲にそれぞれ設けられた前記シール面どうし、および各積重ね部材に設けられたシール面どうしは前記推力のみによってそれぞれ全周にわたって密着されると共に、いずれのシール面どうしの間にも成形材料の流出を防ぐためのパッキンは配置されておらず、各積重ね部材のシール面は、互いに密着した状態で空気は排出するが成形材料は排出しない面粗度になされていることを特徴とする射出成形装置。 - 請求項1記載の射出成形装置において、
成形材料が弗素樹脂であり、プッシャによって加圧されたときの成形材料の射出圧をP、各シール面に加わるシール圧をPaとすると、以下の条件
Pa/P>0.32が成り立つことを特徴とする射出成形装置。 - 請求項1または2記載の射出成形装置において、
複数の積重ね部材のうちの少なくともいずれか1つが成形後の成形体の一部を成すことを特徴とする射出成形装置。 - 請求項1,2または3記載の射出成形装置において、
プッシャからの推力に抗して複数の積重ね部材のいずれか1つを支える弾性変形可能な支持部材を有することを特徴とする射出成形装置。 - 請求項1,2,3または4記載の射出成形装置において、
容器は、両端が開放した筒体と、ノズル孔を備え前記筒体の下端に上下動可能に嵌め合わされた底板と、この底板より下方に位置して前記筒体に設けられることにより前記筒体と底板との分離を防止し、成形材料の射出時に前記底板に接触可能な止め部材とを有することを特徴とする射出成形装置。 - 成形材料を収容する容器と、複数の積重ね部材からなり前記容器から射出された成形材料が充填される金型と、前記容器内の成形材料を加圧するプッシャと、前記プッシャまたは前記金型に前記プッシャが前記容器内の成形材料を実質的に加圧する方向の推力を付与する推力付与手段とを用いる射出成形方法において、
前記容器に設けられたノズル孔と、これに続くスプルーの周囲にそれぞれ設けられたシール面どうし、および前記各積重ね部材に設けられたシール面どうしを前記推力のみによってそれぞれ全周にわたって密着させることにより、いずれのシール面どうしの間にも成形材料の流出を防ぐためのパッキンを配置せず、各積重ね部材のシール面を互いに密着した状態で空気は排出するが成形材料は排出しない面粗度にして前記金型の型締めを実質的に行ない、前記プッシャによって成形材料を金型内に射出することを特徴とする射出成形方法。 - 請求項6記載の射出成形方法において、
成形材料が弗素樹脂であり、成形材料の射出圧をP、各積重ね部材のシール面に加わるシール圧をPaとすると、以下の条件
Pa/P>0.32
が成り立つことを特徴とする射出成形方法。
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