JP3954331B2 - 生化学解析用ユニットおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生化学解析用ユニットおよびその製造方法に関するものであり、さらに詳細には、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、担体に、スポット状に滴下して、高密度のスポット状領域を形成し、スポット状の特異的結合物質に、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質を特異的に結合させて、選択的に標識して得た生化学解析用ユニットを、輝尽性蛍光体層と密着させて、輝尽性蛍光体層を放射性標識物質によって露光し、輝尽性蛍光体層に励起光を照射して、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを防止することができ、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、担体に、スポット状に滴下して、高密度のスポット状領域を形成し、スポット状の特異的結合物質に、放射性標識物質に加えて、あるいは、放射性標識物質に代えて、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質によって標識された生体由来の物質を特異的に結合させて、選択的に標識して得た生化学解析用ユニットから発せられる化学発光および/または蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質から発せられる化学発光および/または蛍光の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを防止することができる生化学解析用ユニットおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
放射線が照射されると、放射線のエネルギーを吸収して、蓄積、記録し、その後に、特定の波長域の電磁波を用いて励起すると、照射された放射線のエネルギーの量に応じた光量の輝尽光を発する特性を有する輝尽性蛍光体を、放射線の検出材料として用い、放射性標識を付与した物質を、生物体に投与した後、その生物体あるいはその生物体の組織の一部を試料とし、この試料を、輝尽性蛍光体層が設けられた蓄積性蛍光体シートと一定時間重ね合わせることにより、放射線エネルギーを輝尽性蛍光体に、蓄積、記録し、しかる後に、電磁波によって、輝尽性蛍光体層を走査して、輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、ディジタル画像信号を生成し、画像処理を施して、CRTなどの表示手段上あるいは写真フイルムなどの記録材料上に、画像を再生するように構成されたオートラジオグラフィ解析システムが知られている(たとえば、特公平1−70884号公報、特公平1−70882号公報、特公平4−3962号公報など)。
【0003】
蓄積性蛍光体シートを放射線の検出材料として使用するオートラジオグラフィ解析システムは、写真フイルムを用いる場合とは異なり、現像処理という化学的処理が不必要であるだけでなく、得られたディジタルデータにデータ処理を施すことにより、所望のように、解析用データを再生し、あるいは、コンピュータによる定量解析が可能になるという利点を有している。
【0004】
他方、オートラジオグラフィ解析システムにおける放射性標識物質に代えて、蛍光色素などの蛍光物質を標識物質として使用した蛍光(fluorescence)解析システムが知られている。この蛍光解析システムによれば、蛍光物質から放出された蛍光を検出することによって、遺伝子配列、遺伝子の発現レベル、実験用マウスにおける投与物質の代謝、吸収、排泄の経路、状態、蛋白質の分離、同定、あるいは、分子量、特性の評価などをおこなうことができ、たとえば、電気泳動されるべき複数種の蛋白質分子を含む溶液を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、ゲル支持体を蛍光色素を含んだ溶液に浸すなどして、電気泳動された蛋白質を染色し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することによって、画像を生成し、ゲル支持体上の蛋白質分子の位置および量的分布を検出したりすることができる。あるいは、ウェスタン・ブロッティング法により、ニトロセルロースなどの転写支持体上に、電気泳動された蛋白質分子の少なくとも一部を転写し、目的とする蛋白質に特異的に反応する抗体を蛍光色素で標識して調製したプローブと蛋白質分子とを会合させ、特異的に反応する抗体にのみ結合する蛋白質分子を選択的に標識し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の蛋白質分子の位置および量的分布を検出したりすることができる。また、電気泳動させるべき複数のDNA断片を含む溶液中に、蛍光色素を加えた後に、複数のDNA断片をゲル支持体上で電気泳動させ、あるいは、蛍光色素を含有させたゲル支持体上で、複数のDNA断片を電気泳動させ、あるいは、複数のDNA断片を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、ゲル支持体を、蛍光色素を含んだ溶液に浸すなどして、電気泳動されたDNA断片を標識し、励起光により、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、ゲル支持体上のDNAを分布を検出したり、あるいは、複数のDNA断片を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、DNAを変性(denaturation)し、次いで、サザン・ブロッティング法により、ニトロセルロースなどの転写支持体上に、変性DNA断片の少なくとも一部を転写し、目的とするDNAと相補的なDNAもしくはRNAを蛍光色素で標識して調製したプローブと変性DNA断片とをハイブリダイズさせ、プローブDNAもしくはプローブRNAと相補的なDNA断片のみを選択的に標識し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の目的とするDNAの分布を検出したりすることができる。さらに、標識物質によって標識した目的とする遺伝子を含むDNAと相補的なDNAプローブを調製して、転写支持体上のDNAとハイブリダイズさせ、酵素を、標識物質により標識された相補的なDNAと結合させた後、蛍光基質と接触させて、蛍光基質を蛍光を発する蛍光物質に変化させ、励起光によって、生成された蛍光物質を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の目的とするDNAの分布を検出したりすることもできる。この蛍光解析システムは、放射性物質を使用することなく、簡易に、遺伝子配列などを検出することができるという利点がある。
【0005】
また、同様に、蛋白質や核酸などの生体由来の物質を支持体に固定し、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質により、選択的に標識し、標識物質によって選択的に標識された生体由来の物質と化学発光基質とを接触させて、化学発光基質と標識物質との接触によって生ずる可視光波長域の化学発光を、光電的に検出して、ディジタル画像信号を生成し、画像処理を施して、CRTなどの表示手段あるいは写真フィルムなどの記録材料上に、化学発光画像を再生して、遺伝子情報などの生体由来の物質に関する情報を得るようにした化学発光解析システムも知られている。
【0006】
さらに、近年、スライドガラス板やメンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、スポッター装置を用いて、滴下して、多数の独立したスポットを形成し、次いで、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、mRNAなど、抽出、単離などによって、生体から採取され、あるいは、さらに、化学的処理、化学修飾などの処理が施された生体由来の物質であって、蛍光物質、色素などの標識物質によって標識された物質を、ハイブリダイゼーションなどによって、特異的結合物質に、特異的に結合させたマイクロアレイに、励起光を照射して、蛍光物質、色素などの標識物質から発せられた蛍光などの光を光電的に検出して、生体由来の物質を解析するマイクロアレイ解析システムが開発されている。このマイクロアレイ解析システムによれば、スライドガラス板やメンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、数多くの特異的結合物質のスポットを高密度に形成して、標識物質によって標識された生体由来の物質をハイブリダイズさせることによって、短時間に、生体由来の物質を解析することが可能になるという利点がある。
【0007】
また、メンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、スポッター装置を用いて、滴下して、多数の独立したスポットを形成し、次いで、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、mRNAなど、抽出、単離などによって、生体から採取され、あるいは、さらに、化学的処理、化学修飾などの処理が施された生体由来の物質であって、放射性標識物質によって標識された物質を、ハイブリダイゼーションなどによって、特異的結合物質に、特異的に結合させたマクロアレイを、輝尽性蛍光体を含む輝尽性蛍光体層が形成された蓄積性蛍光体シートと密着させて、輝尽性蛍光体層を露光し、しかる後に、輝尽性蛍光体層に励起光を照射し、輝尽性蛍光体層から発せられた輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する放射性標識物質を用いたマクロアレイ解析システムも開発されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、放射性標識物質を用いたマクロアレイ解析システムにあっては、放射性標識物質により、輝尽性蛍光体層を露光する際、メンブレンフィルタなどの担体表面上に形成されたスポットに含まれた放射性標識物質の放射線エネルギーが非常に大きいため、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)がメンブレンフィルタなどの担体内で散乱し、隣り合うスポットに含まれた放射性標識物質によって露光されるべき輝尽性蛍光体層の領域に入射し、あるいは、放射性標識物質から発せられた電子線が散乱し、隣り合うスポット含まれた放射性標識物質から発せられた電子線が混ざり合って、輝尽性蛍光体層の領域に入射し、その結果、輝尽光を光電的に検出して生成された生化学解析用データ中にノイズを生成し、各スポットの放射線量を定量して、生体由来の物質を解析する際、定量性が悪化するという問題があり、スポットを近接して形成して、高密度化しようとする場合には、とくに、著しい定量性の悪化が認められた。
【0009】
隣り合うスポットに含まれた放射性標識物質から発せられる電子線の散乱に起因するノイズを防止して、かかる問題を解消するためには、必然的に、隣り合うスポット間の距離を大きくすることが必要になり、スポットの密度が低下し、検査効率を低下させるという問題があった。
【0010】
さらに、上述のように、生化学解析の分野においては、メンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、スポット状に形成されたホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質に、放射性標識物質に加えて、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質によって標識された生体由来の物質を、ハイブリダイゼーションなどにより、特異的に結合させて、選択的に標識し、放射性標識物質によって、輝尽性蛍光体層を露光した後、あるいは、放射性標識物質による輝尽性蛍光体層の露光に先立って、化学発光基質とを接触させて、化学発光基質と標識物質との接触によって生ずる可視光波長域の化学発光を光電的に検出し、および/または、励起光を照射して、蛍光物質から発せられる蛍光を光電的に検出して、生体由来の物質を解析することも要求されているが、かかる場合にも、スポットから発せられた化学発光や蛍光がメンブレンフィルタなどの担体内で散乱し、あるいは、スポットから発せられた化学発光や蛍光が散乱して、隣り合うスポットから発せられた化学発光や蛍光と混ざり合い、その結果、化学発光および/または蛍光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中にノイズを生成するという問題があった。
【0011】
したがって、本発明は、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、担体に、スポット状に滴下して、高密度のスポット状領域を形成し、スポット状の特異的結合物質に、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質を特異的に結合させて、選択的に標識して得た生化学解析用ユニットを、輝尽性蛍光体層と密着させて、輝尽性蛍光体層を放射性標識物質によって露光し、輝尽性蛍光体層に励起光を照射して、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを防止することのできる生化学解析用ユニットおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
本発明の別の目的は、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、担体に、スポット状に滴下して、高密度のスポット状領域を形成し、スポット状の特異的結合物質に、放射性標識物質に加えて、あるいは、放射性標識物質に代えて、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質によって標識された生体由来の物質を特異的に結合させて、選択的に標識して得た生化学解析用ユニットから発せられる化学発光および/または蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質から発せられる化学発光および/または蛍光の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを防止することのできる生化学解析用ユニットおよびその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、放射線および/または光を減衰させる材料によって形成され、複数の貫通孔が形成された板状部材が埋め込まれて、前記複数の貫通孔に対応する位置に、複数の吸着性領域が形成されたことを特徴とする生化学解析用ユニットによって達成される。
【0014】
本発明によれば、板状部材を、放射線を減衰させる性質を有する材料によって形成する場合には、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、生化学解析用ユニットに形成された複数の吸着性領域に滴下して、吸着させ、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質を、吸着性領域に吸着されている特異的結合物質に特異的に結合させて、複数の吸着性領域を選択的に標識した後、生化学解析用ユニットを輝尽性蛍光体層に対向させて、輝尽性蛍光体層を放射性標識物質によって露光する際に、各吸着性領域の周囲には、放射線を減衰させる性質を有する材料によって形成された板状部材が存在するから、各吸着性領域に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が散乱して、隣り合う吸着性領域から発せられた放射性標識物質によって露光されるべき輝尽性蛍光体層の領域内に、散乱した電子線(β線)が入射することを確実に防止することができ、したがって、放射性標識物質によって露光された輝尽性蛍光体層に励起光を照射して、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを効果的に防止することが可能になる。
【0015】
また、本発明によれば、板状部材を、光を減衰させる性質を有する材料によって形成する場合には、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、生化学解析用ユニットに形成された複数の吸着性領域に滴下して、吸着させ、放射性標識物質に代えて、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質によって標識された生体由来の物質を、吸着性領域に吸着されている特異的結合物質に特異的に結合させて、複数の吸着性領域を選択的に標識した後に、化学発光基質と接触させて、標識物質から放出される化学発光、および/または、励起光を照射して、蛍光物質から発せられる蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成する際に、各吸着性領域の周囲には、光を減衰させる性質を有する材料によって形成された板状部材が存在するから、化学発光および/または蛍光が散乱することを確実に防止することができ、したがって、化学発光および/または蛍光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中に、化学発光および/または蛍光の散乱に起因するノイズが生成されることを効果的に防止することが可能になる。
【0016】
さらに、本発明によれば、板状部材を、放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成する場合には、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、生化学解析用ユニットに形成された複数の吸着性領域に滴下して、吸着させ、放射性標識物質に加えて、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質によって標識された生体由来の物質を、吸着性領域に吸着されている特異的結合物質に特異的に結合させて、複数の吸着性領域を選択的に標識した後、輝尽性蛍光体層と対向させて、輝尽性蛍光体層を放射性標識物質によって露光する際に、各吸着性領域の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成された板状部材が存在するから、各吸着性領域に含まれた放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が散乱して、隣り合う吸着性領域から発せられた放射性標識物質によって露光されるべき輝尽性蛍光体層の領域内に、散乱した電子線(β線)が入射することを確実に防止することができ、したがって、放射性標識物質によって露光された輝尽性蛍光体層に励起光を照射して、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを効果的に防止することが可能になり、他方、生体由来の物質を、特異的結合物質に特異的に結合させて、複数の吸着性領域を選択的に標識した後に、化学発光基質と接触させて、標識物質から放出される化学発光、および/または、励起光を照射して、蛍光物質から発せられる蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成する際に、各吸着性領域の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成された板状部材が存在するから、化学発光および/または蛍光が散乱することを確実に防止することができ、したがって、化学発光および/または蛍光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中に、化学発光および/または蛍光の散乱に起因するノイズが生成されることを効果的に防止することが可能になる。
【0017】
本発明の前記目的はまた、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、放射線および/または光を減衰させる材料によって形成され、複数の貫通孔が形成された板状部材を埋め込んで、前記複数の貫通孔に対応する位置に、複数の吸着性領域を形成することを特徴とする生化学解析用ユニットの製造方法によって達成される。
【0018】
本発明の前記目的はまた、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、放射線および/または光を減衰させる材料によって形成され、複数の貫通孔が形成された板状部材が埋め込まれて、前記複数の貫通孔に対応する位置に、複数の吸着性領域が形成され、前記複数の吸着性領域に、構造または特性が既知の特異的結合物質が滴下されて、吸着され、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識された生体由来の物質が、前記複数の吸着性領域に吸着されている前記特異的結合物質に、特異的に結合されて、前記複数の吸着性領域が選択的に標識されていることを特徴とする生化学解析用ユニットによって達成される。
【0019】
本発明によれば、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、放射線および/または光を減衰させる材料によって形成され、複数の貫通孔が形成された板状部材が埋め込まれて、複数の貫通孔に対応する位置に、複数の吸着性領域が形成され、複数の吸着性領域に、構造または特性が既知の特異的結合物質が滴下されて、吸着され、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識された生体由来の物質が、複数の吸着性領域に吸着されている特異的結合物質に、特異的に結合されて、複数の吸着性領域が選択的に標識されているから、板状部材を、放射線を減衰させる性質を有する材料によって形成する場合には、生化学解析用ユニットを輝尽性蛍光体層と対向させて、輝尽性蛍光体層を放射性標識物質によって露光する際に、各吸着性領域の周囲には、放射線を減衰させる性質を有する材料によって形成された板状部材が存在し、したがって、各吸着性領域に含まれた放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が散乱して、隣り合う吸着性領域から発せられた放射性標識物質によって露光されるべき輝尽性蛍光体層の領域内に、散乱した電子線(β線)が入射することを確実に防止することが可能になるから、放射性標識物質によって露光された輝尽性蛍光体層に励起光を照射して、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを効果的に防止することが可能になる。
【0020】
また、本発明によれば、板状部材を、光を減衰させる性質を有する材料によって形成する場合には、化学発光基質と接触させ、化学発光基質と標識物質との接触によって生ずる可視光波長域の化学発光を光電的に検出し、および/または、励起光を照射して、蛍光物質から発せられる蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成する際、生化学解析用ユニットの各吸着性領域の周囲には、光を減衰させる性質を有する材料によって形成された板状部材が存在するから、各吸着性領域から放出された化学発光および/または蛍光が散乱することを確実に防止することができ、したがって、化学発光および/または蛍光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中に、化学発光および/または蛍光の散乱に起因するノイズが生成されることを効果的に防止することが可能になる。
【0021】
さらに、本発明によれば、板状部材を、放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成する場合には、生化学解析用ユニットを輝尽性蛍光体層と対向させて、輝尽性蛍光体層を放射性標識物質によって露光する際に、各吸着性領域の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成された板状部材が存在し、したがって、各吸着性領域に含まれた放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が散乱して、隣り合う吸着性領域から発せられた放射性標識物質によって露光されるべき輝尽性蛍光体層の領域内に、散乱した電子線(β線)が入射することを確実に防止することが可能になるから、放射性標識物質によって露光された輝尽性蛍光体層に励起光を照射して、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを効果的に防止することが可能になるとともに、化学発光基質と接触させて、標識物質から放出される化学発光を光電的に検出し、および/または、励起光を照射して、蛍光物質から発せられる蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成する際、各吸着性領域の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成された板状部材が存在するから、各吸着性領域から放出された化学発光および/または蛍光が散乱することを確実に防止することができ、したがって、化学発光および/または蛍光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中に、化学発光および/または蛍光の散乱に起因するノイズが生成されることを効果的に防止することが可能になる。
【0022】
本発明の前記目的はまた、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、放射線および/または光を減衰させる材料によって形成され、複数の貫通孔が形成された板状部材を埋め込んで、前記複数の貫通孔に対応する位置に、複数の吸着性領域を形成し、前記複数の吸着性領域に、構造または特性が既知の特異的結合物質を滴下し、吸着させ、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識された生体由来の物質を、前記複数の吸着性領域に吸着されている前記特異的結合物質に、特異的に結合させて、前記複数の吸着性領域を選択的に標識することを特徴とする生化学解析用ユニットの製造方法によって達成される。
【0023】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生体由来の物質が、ハイブリダイゼーション、抗原抗体反応、リセプター・リガンドよりなる群から選ばれた反応によって、前記特異的結合物質と結合されている。
【0024】
本発明の好ましい実施態様においては、前記板状部材が、前記吸着性膜に圧入されて、前記複数の吸着性領域が形成される。
【0025】
本発明の好ましい実施態様によれば、板状部材を、単に、吸着性膜に圧入することによって、複数の吸着性領域を形成することができるから、簡易に、生化学解析用ユニットと生成することが可能になる。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記板状部材が、熱プレス処理によって、前記吸着性膜に圧入されて、前記多複数の孔質領域が形成される。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、板状部材を、単に、熱プレス処理によって、吸着性膜に圧入することによって、複数の吸着性領域を形成することができるから、簡易にかつ低コストで、生化学解析用ユニットと生成することが可能になる。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記板状部材が、カレンダーロール処理によって、前記吸着性膜に圧入されて、前記多複数の孔質領域が形成される。
【0029】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、板状部材を、単に、カレンダーロール処理によって、吸着性膜に圧入することによって、複数の吸着性領域を形成することができるから、簡易にかつ低コストで、生化学解析用ユニットと生成することが可能になる。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記板状部材が、接着剤を介して、前記吸着性膜に圧入されて、前記複数の吸着性領域が形成される。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、板状部材を、接着剤を介して、吸着性膜に圧入し、複数の吸着性領域を形成しているので、板状部材と吸着性膜とを強固に一体化することが可能になる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様においては、前記板状部材が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線および/または光が前記板状部材中を透過したときに、放射線および/または光のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有している。
【0033】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記板状部材が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線および/または光が前記板状部材中を透過したときに、放射線および/または光のエネルギーを、1/10以下に減衰させる性質を有している。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記板状部材が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線および/または光が前記板状部材中を透過したときに、放射線および/または光のエネルギーを、1/50以下に減衰させる性質を有している。
【0035】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記板状部材が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線および/または光が前記板状部材中を透過したときに、放射線および/または光のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有している。
【0036】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記板状部材が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線および/または光が前記板状部材中を透過したときに、放射線および/または光のエネルギーを、1/500以下に減衰させる性質を有している。
【0037】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記板状部材が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線および/または光が前記板状部材中を透過したときに、放射線および/または光のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有している。
【0038】
本発明において、板状部材を形成するための材料としては、放射線および/または光を減衰させる性質を有するものであれば、とくに限定されるものではなく、無機化合物材料、有機化合物材料のいずれをも使用することができるが、金属材料、セラミック材料またはプラスチック材料が、好ましく使用される。
【0039】
本発明において、板状部材を形成するために好ましく使用可能な放射線および/または光を減衰させることのできる無機化合物材料としては、たとえば、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、タンタル、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、錫、セレンなどの金属;真鍮、ステンレス、青銅などの合金;シリコン、アモルファスシリコン、ガラス、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの珪素材料;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物;タングステンカーバイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、砒化ガリウムなどの無機塩を挙げることができる。これらは、単結晶、アモルファス、セラミックのような多結晶焼結体にいずれの構造を有していてもよい。
【0040】
本発明において、放射線および/または光を減衰させることのできる有機化合物材料としては、高分子化合物が好ましく用いられ、板状部材を形成するために好ましく使用可能な放射線および/または光を減衰させることのできる高分子化合物としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体などのアクリル樹脂;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリテトラフルオロエチレン;ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリカーボネート;ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン;ポリイミド;ポリスルホン;ポリフェニレンサルファイド;ポリジフェニルシロキサンなどのケイ素樹脂;ノボラックなどのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;ポリウレタン;ポリスチレン;ブタジエン−スチレン共重合体;セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、でん粉、アルギン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの多糖類;キチン;キトサン;ウルシ;ゼラチン、コラーゲン、ケラチンなどのポリアミドおよびこれら高分子化合物の共重合体などを挙げることができる。これらは、複合材料でもよく、必要に応じて、金属酸化物粒子やガラス繊維などを充填することもでき、また、有機化合物材料をブレンドして、使用することもできる。
【0041】
一般に、比重が大きいほど、放射線の減衰能が高くなるので、本発明において、板状部材を、放射線を減衰させる性質を有する材料によって形成する場合は、比重1.0g/cm以上の化合物材料または複合材料によって形成されることが好ましく、比重が1.5g/cm以上、23g/cm以下の化合物材料または複合材料によって形成されることが、とくに好ましい。
【0042】
他方、一般に、光の散乱および/または吸収が大きいほど、光の減衰能が高くなるので、本発明において、板状部材を、光を減衰させる性質を有する材料によって形成する場合は、厚さ1cmあたりの吸光度が0.3以上であることが好ましく、厚さ1cmあたりの吸光度が1以上であれば、さらに好ましい。ここに、吸光度は、厚さTcmの板状体の直後に、積分球を置き、計測に利用するプローブ光またはエミッション光の波長における透過光量Aを分光光度計によって測定し、A/Tを算出することによって、求められる。
【0043】
本発明において、光減衰能を向上させるために、光散乱体や光吸収体を、板状部材に含有させることもできる。光散乱体としては、生化学解析用ユニットの基板および多孔板を形成している材料と異なる材料の微粒子が用いられ、光吸収体としては、顔料または染料が用いられる。
【0044】
本発明の好ましい実施態様においては、前記板状部材が、プラスチック材料に、金属酸化物粒子を分散させて、形成されている。
【0045】
本発明の前記目的また、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、金属単体コロイド粒子を含む溶液が含浸されて、放射線および光を減衰させる遮蔽領域が形成され、前記吸着性膜の前記遮蔽領域が形成されていない領域によって、複数の吸着性領域が形成されたことを特徴とする生化学解析用ユニットによって達成される。
【0046】
本発明によれば、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、金属コロイド単体粒子を含む溶液が含浸されて、放射線および光を減衰させる遮蔽領域が形成され、吸着性膜の前記遮蔽領域が形成されていない領域によって、複数の吸着性領域が形成されているから、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、生化学解析用ユニットに形成された複数の吸着性領域に滴下して、吸着させ、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質を、吸着性領域に吸着されている特異的結合物質に特異的に結合させて、複数の吸着性領域を選択的に標識した後、生化学解析用ユニットを輝尽性蛍光体層に対向させて、輝尽性蛍光体層を放射性標識物質によって露光する場合に、各吸着性領域の周囲には、金属コロイド単体粒子を含む溶液が、吸着性膜に含浸されて、形成された放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成された遮蔽部材が存在し、したがって、各吸着性領域に含まれた放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が散乱して、隣り合う吸着性領域から発せられた放射性標識物質によって露光されるべき輝尽性蛍光体層の領域内に、散乱した電子線(β線)が入射することを確実に防止することが可能になるから、放射性標識物質によって露光された輝尽性蛍光体層に励起光を照射して、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを効果的に防止することが可能になるとともに、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、生化学解析用ユニットに形成された複数の吸着性領域に滴下して、吸着させ、放射性標識物質に代えて、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質によって標識された生体由来の物質を、吸着性領域に吸着されている特異的結合物質に特異的に結合させて、複数の吸着性領域を選択的に標識した後に、化学発光基質と接触させて、標識物質から放出される化学発光、および/または、励起光を照射して、蛍光物質から発せられる蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成する場合には、各吸着性領域の周囲に、金属単体コロイド粒子を含む溶液が、吸着性膜に含浸されて、形成された放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成された遮蔽部材が存在し、したがって、各吸着性領域から放出された化学発光および/または蛍光が散乱することを確実に防止することが可能になるから、したがって、化学発光および/または蛍光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中に、化学発光および/または蛍光の散乱に起因するノイズが生成されることを効果的に防止することが可能になる。
【0047】
本発明の前記目的また、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、金属単体コロイド粒子を含む溶液を含浸させて、放射線および光を減衰させる遮蔽領域を形成して、前記吸着性膜の前記遮蔽領域が形成されていない領域によって、複数の吸着性領域を形成することを特徴とする生化学解析用ユニットの製造方法によって達成される。
【0048】
本発明の前記目的また、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、金属単体コロイド粒子を含む溶液が含浸されて、放射線および光を減衰させる遮蔽領域が形成され、前記吸着性膜の前記遮蔽領域が形成されていない領域によって、複数の吸着性領域が形成され、前記複数の吸着性領域に、構造または特性が既知の特異的結合物質が滴下されて、吸着され、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識された生体由来の物質が、前記複数の吸着性領域に吸着されている前記特異的結合物質に、特異的に結合されて、前記複数の吸着性領域が選択的に標識されていることを特徴とする生化学解析用ユニットによって達成される。
【0049】
本発明によれば、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、金属単体コロイド粒子を含む溶液が含浸されて、放射線および光を減衰させる遮蔽領域が形成され、吸着性膜の遮蔽領域が形成されていない領域によって、複数の吸着性領域が形成され、複数の吸着性領域に、構造または特性が既知の特異的結合物質が滴下されて、吸着され、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識された生体由来の物質が、複数の吸着性領域に吸着されている特異的結合物質に、特異的に結合されて、複数の吸着性領域が選択的に標識されているから、生体由来の物質が放射性標識物質によって標識されている場合には、生化学解析用ユニットを輝尽性蛍光体層に対向させて、輝尽性蛍光体層を放射性標識物質によって露光する際に、各吸着性領域の周囲には、金属コロイド粒子を含む溶液が、吸着性膜に含浸されて、形成された放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成された遮蔽部材が存在し、したがって、各吸着性領域に含まれた放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が散乱して、隣り合う吸着性領域から発せられた放射性標識物質によって露光されるべき輝尽性蛍光体層の領域内に、散乱した電子線(β線)が入射することを確実に防止することが可能になるから、放射性標識物質によって露光された輝尽性蛍光体層に励起光を照射して、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを効果的に防止することが可能になるとともに、生体由来の物質が蛍光物質および/または化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識されている場合には、化学発光基質と接触させ、化学発光基質と標識物質との接触によって生ずる可視光波長域の化学発光を光電的に検出し、および/または、励起光を照射して、蛍光物質から発せられる蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成するときに、各吸着性領域の周囲に、金属単体コロイド粒子を含む溶液が、吸着性膜に含浸されて、形成された放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成された遮蔽部材が存在し、したがって、各吸着性領域から放出された化学発光および/または蛍光が散乱することを確実に防止することが可能になるから、化学発光および/または蛍光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中に、化学発光および/または蛍光の散乱に起因するノイズが生成されることを効果的に防止することが可能になる。
【0050】
本発明の前記目的また、吸着性材料によって形成された吸着性膜に、金属単体コロイド粒子を含む溶液を含浸させて、放射線および光を減衰させる遮蔽領域を形成して、前記吸着性膜の前記遮蔽領域が形成されていない領域によって、複数の吸着性領域を形成し、前記複数の吸着性領域に、構造または特性が既知の特異的結合物質を滴下し、吸着させ、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識された生体由来の物質を、前記複数の吸着性領域に吸着されている前記特異的結合物質に、特異的に結合させて、前記複数の吸着性領域を選択的に標識することを特徴とする生化学解析用ユニットの製造方法によって達成される。
【0051】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生体由来の物質が、ハイブリダイゼーション、抗原抗体反応、リセプター・リガンドよりなる群から選ばれた反応によって、前記特異的結合物質と結合されている。
【0052】
本発明において、金属単体コロイド粒子を構成する金属材料は、放射線および光を減衰させる性質を有するものであれば、とくに限定されるものではなく、たとえば、金、銀、白金、亜鉛、アルミニウム、チタン、タングステン、クロム、鉄、ニッケル、カドミウム、水銀、鉛などの金属あるいはステンレスなどのこれらの合金を挙げることができる。
【0053】
本発明の好ましい実施態様においては、前記吸着性膜に、10以上の吸着性領域が形成される。
【0054】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記吸着性膜に、100以上の吸着性領域が形成される。
【0055】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記吸着性膜に、1000以上の吸着性領域が形成される。
【0056】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記吸着性膜に、10000以上の吸着性領域が形成される。
【0057】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記吸着性膜に、100000以上の吸着性領域が形成される。
【0058】
本発明の好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、それぞれ、5平方ミリメートル未満のサイズを有するように形成される。
【0059】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、それぞれ、1平方ミリメートル未満のサイズを有するように形成される。
【0060】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.5平方ミリメートル未満のサイズを有するように形成される。
【0061】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.1平方ミリメートル未満のサイズを有するように形成される。
【0062】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.05平方ミリメートル未満のサイズを有するように形成される。
【0063】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.01平方ミリメートル未満のサイズを有するように形成される。
【0064】
本発明の好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、10個/平方センチメートル以上の密度で形成される。
【0065】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、50個/平方センチメートル以上の密度で形成される。
【0066】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、100個/平方センチメートル以上の密度で形成される。
【0067】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、500個/平方センチメートル以上の密度で形成される。
【0068】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、1000個/平方センチメートル以上の密度で形成される。
【0069】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、5000個/平方センチメートル以上の密度で形成される。
【0070】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の吸着性領域が、10000個/平方センチメートル以上の密度で形成される。
【0071】
本発明の好ましい実施態様においては、前記吸着性領域が、規則的に形成される。
【0072】
本発明において、吸着性領域を形成する吸着性材料としては、多孔質材料あるいは繊維材料が好ましく使用される。多孔質材料と繊維材料を併用して、吸着性領域を形成することもできる。
【0073】
本発明において、吸着性領域を形成するために使用される多孔質材料は、有機材料、無機材料のいずれでもよく、有機/無機複合体でもよい。
【0074】
本発明において、吸着性領域を形成するために使用される有機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、活性炭などの炭素多孔質材料あるいはメンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料が、好ましく用いられる。具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類;ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;コラーゲン;アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなどのアルギン酸類;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオライドなどのポリフルオライドや、これらの共重合体または複合体が挙げられる。
【0075】
本発明において、吸着性領域を形成するために使用される無機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、白金、金、鉄、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属;アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなどの金属酸化物;ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなどの金属塩やこれらの複合体などが挙げられる。
【0076】
本発明において、吸着性領域を形成するために使用される繊維材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
【0077】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
【0078】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる生化学解析用ユニットの略斜視図であり、図2は、その部分断面図である。
【0079】
図1および図2に示されるように、本実施態様にかかる生化学解析用ユニット1は、メンブレンフィルタを形成可能なナイロン6によって形成された吸着性膜2を備え、吸着性膜2には、放射線および光を減衰させる性質を有し、多数の略円形の貫通孔4が規則的に形成されたアルミニウム板5が、カレンダー処理装置によって、圧入され、それによって、アルミニウム板5の多数の貫通孔4に対応して、多数の吸着性領域4が、ドット状に、規則的に形成されている。ここに、アルミニウム板5の裏面には、接着剤3が塗布され、接着剤3を介して、アルミニウム板5が、吸着性膜2に圧入されており、したがって、アルミニウム板5は、吸着性膜2に強固に一体化され、耐久性の向上が図られている。
【0080】
図1には、正確に示されていないが、本実施態様においては、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4が、約5000個/平方センチメートルの密度で、規則的に、生化学解析用ユニット1に形成されている。
【0081】
図2に示されるように、本実施態様においては、吸着性領域4の表面と、アルミニウム板5の表面が同一の高さに位置するように、アルミニウム板5が、吸着性膜2に圧入されて、生化学解析用ユニット1が形成されている。
【0082】
図3は、生化学解析用ユニット1を製造するためのカレンダー処理装置の略断面図である。
【0083】
カレンダー処理装置は、一対の温度制御されたカレンダーロール15を備え、吸着性膜2と、下面に、接着剤3が塗布されているアルミニウム板5を積層して、一対のカレンダーロール15の間に、供給することによって、吸着性膜2に、アルミニウム板5が圧入されて、アルミニウム板5に規則的に形成された貫通孔4に対応して、多数の吸着性領域4が規則的に形成された生化学解析用ユニット1が製造される。
【0084】
図4は、スポッティング装置の略正面図である。
【0085】
生化学解析にあたっては、図4に示されるように、生化学解析用ユニット1に規則的に形成された多数の吸着性領域4内に、たとえば、特異的結合物質として、塩基配列が既知の互いに異なった複数のcDNAが、スポッティング装置を使用して、滴下される。
【0086】
図4に示されるように、スポッティング装置は、インジェクタ6とCCDカメラ7を備え、CCDカメラ7によって、インジェクタ6の先端部と、cDNAを滴下すべき吸着性領域4を観察しながら、インジェクタ6の先端部と、cDNAを滴下すべき吸着性領域4の中心とが合致したときに、インジェクタ6から、cDNAが放出されて、吸着性領域4内に滴下されるように構成され、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4内に、cDNAを、正確に滴下することができるように保証されている。
【0087】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4は、吸着性膜2に、多数の貫通孔4が規則的に形成されたアルミニウム板5を圧入して、形成されているから、隣り合う吸着性領域4の間に位置する吸着性膜2中の孔は、加圧によって消失しており、したがって、吸着性領域4内に滴下された特異的結合物質が、吸着性領域4以外の吸着性膜2の領域に拡散することが効果的に防止され、吸着性領域4内に滴下された特異的結合物質は、吸着性領域4にのみ吸着される。
【0088】
図5は、ハイブリダイゼーション容器の略横断面図である。
【0089】
図5に示されるように、ハイブリダイゼーション容器8は矩形状断面を有し、内部に、標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション溶液9が収容されている。
【0090】
放射性標識物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、放射性標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション溶液9が調製され、ハイブリダイゼーション容器8内に収容される。
【0091】
一方、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション溶液9が調製され、ハイブリダイゼーション容器8内に収容される。
【0092】
さらに、蛍光色素などの蛍光物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、蛍光色素などの蛍光物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション溶液9が調製され、ハイブリダイゼーション容器8内に収容される。
【0093】
放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質のうち、2以上の生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション溶液9を調製して、ハイブリダイゼーション容器8内に収容させることもでき、本実施態様においては、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション溶液9が調製され、ハイブリダイゼーション容器8内に収容されている。
【0094】
ハイブリダイゼーションにあたって、cDNAなどの特異的結合物質が、多数の吸着性領域4に吸着されている生化学解析用ユニット1が、ハイブリダイゼーション容器8内に挿入される。
【0095】
その結果、多数の吸着性領域4に吸着されている特異的結合物質に、放射性標識物質により標識され、ハイブリダイゼーション溶液9に含まれた生体由来の物質、蛍光色素などの蛍光物質によって標識され、ハイブリダイゼーション溶液9に含まれた生体由来の物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質が、選択的に、ハイブリダイズされる。
【0096】
こうして、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に、標識物質である放射性標識物質の放射線データ、蛍光色素などの蛍光物質の蛍光データおよび化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質の化学発光データが記録される。吸着性領域4に記録された蛍光データは、後述するスキャナによって読み取られ、生化学解析用データが生成され、一方、吸着性領域4に記録された化学発光データは、後述するデータ生成システムの冷却CCDカメラによって読み取られ、生化学解析用データが生成される。
【0097】
一方、放射性標識物質の放射線データは、蓄積性蛍光体シートに転写され、蓄積性蛍光体シートに転写された放射線データは、後述するスキャナによって読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0098】
図6は、蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【0099】
図6に示されるように、蓄積性蛍光体シート10は、支持体11を備え、支持体11の一方の側には、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4のパターンと同一の規則的なパターンで、多数の凹部13が形成され、多数の凹部13内に、輝尽性蛍光体が埋め込まれて、多数の略円形のドット状輝尽性蛍光体層領域12が形成されている。
【0100】
本実施態様においては、支持体11は、放射線を減衰させる性質を有するステンレスによって、形成され、多数の凹部13、したがって、略円形のドット状の輝尽性蛍光体層領域12は、生化学解析用ユニット1に形成された吸着性領域4と等しい径を有するように、支持体11に形成されている。
【0101】
また、ドット状の輝尽性蛍光体層領域12の表面と、支持体11の表面が同一の高さに位置するように、輝尽性蛍光体が、凹部13内に埋め込まれて、ドット状の輝尽性蛍光体層領域12が形成されている。
【0102】
図7は、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域12を露光する方法を示す略断面図である。
【0103】
図7に示されるように、露光にあたって、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4が、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に対向するように、蓄積性蛍光体シート10と生化学解析用ユニット1とが重ね合わされる。
【0104】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット1は、吸着性膜2に、アルミニウム板5が圧入されて、形成されているので、ハイブリダイゼーションなど、液体による処理を受けても、ほとんど伸縮することがなく、したがって、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4が、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に、正確に対向するように、蓄積性蛍光体シート10と生化学解析用ユニット1とを、容易にかつ確実に重ね合わせて、ドット状輝尽性蛍光体層領域12を露光することが可能になる。
【0105】
こうして、所定の時間にわたって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12の各々と、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4とを対向させることによって、吸着性領域4に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域12が露光される。
【0106】
この際、吸着性領域4に吸着されている放射性標識物質から電子線が発せられるが、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4は、吸着性膜2に、多数の貫通孔4が形成されたアルミニウム板5が圧入されて、形成され、吸着性領域4の周囲には、放射線を減衰させる性質を有するアルミニウム板5が存在しているので、吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線が散乱することが確実に防止され、吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線はすべて、その吸着性領域4に対向する輝尽性蛍光体層領域12に入射し、隣り合う吸着性領域4から放出される電子線によって露光されるべき輝尽性蛍光体層領域12に入射することを確実に防止することができる。
【0107】
したがって、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域12を、生化学解析用ユニット1の対応する吸着性領域4に含まれた放射性標識物質のみによって、確実に露光することが可能になる。
【0108】
こうして、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域12に、放射性標識物質の放射線データが記録される。
【0109】
図8は、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域12に記録された放射性標識物質の放射線データおよび生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された蛍光色素などの蛍光データを読み取って、生化学解析用データを生成するスキャナの一例を示す略斜視図であり、図8は、フォトマルチプライア近傍のスキャナの詳細を示す略斜視図である。
【0110】
図8に示されるスキャナは、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域12に記録された放射性標識物質の放射線データおよび生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された蛍光色素などの蛍光データを読み取り可能に構成されており、640nmの波長のレーザ光24を発する第1のレーザ励起光源21と、532nmの波長のレーザ光24を発する第2のレーザ励起光源22と、473nmの波長のレーザ光24を発する第3のレーザ励起光源23とを備えている。本実施態様においては、第1のレーザ励起光源21は、半導体レーザ光源によって構成され、第2のレーザ励起光源22および第3のレーザ励起光源23は、第二高調波生成(Second Harmonic Generation)素子によって構成されている。
【0111】
第1のレーザ励起光源21により発生されたレーザ光24は、コリメータレンズ25によって、平行光とされた後、ミラー26によって反射される。第1のレーザ励起光源21から発せられ、ミラー26によって反射されたレーザ光24の光路には、640nmのレーザ光4を透過し、532nmの波長の光を反射する第1のダイクロイックミラー27および532nm以上の波長の光を透過し、473nmの波長の光を反射する第2のダイクロイックミラー28が設けられており、第1のレーザ励起光源21により発生されたレーザ光24は、第1のダイクロイックミラー27および第2のダイクロイックミラー28を透過して、ミラー29に入射する。
【0112】
他方、第2のレーザ励起光源22より発生されたレーザ光24は、コリメータレンズ30により、平行光とされた後、第1のダイクロイックミラー27によって反射されて、その向きが90度変えられて、第2のダイクロイックミラー28を透過し、ミラー29に入射する。
【0113】
また、第3のレーザ励起光源23から発生されたレーザ光24は、コリメータレンズ31によって、平行光とされた後、第2のダイクロイックミラー28により反射されて、その向きが90度変えられた後、ミラー29に入射する。
【0114】
ミラー29に入射したレーザ光24は、ミラー29によって反射され、さらに、ミラー32に入射して、反射される。
【0115】
ミラー32によって反射されたレーザ光24の光路には、中央部に穴33が形成された凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34が配置されており、ミラー32によって反射されたレーザ光24は、穴開きミラー34の穴33を通過して、凹面ミラー38に入射する。
【0116】
凹面ミラー38に入射したレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、光学ヘッド35に入射する。
【0117】
光学ヘッド35は、ミラー36と、非球面レンズ37を備えており、光学ヘッド35に入射したレーザ光24は、ミラー36によって反射されて、非球面レンズ37によって、ステージ40のガラス板41上に載置された蓄積性蛍光体シート10あるいは生化学解析用ユニット1に入射する。図7においては、生化学解析用ユニット1が、アルミニウム板5が圧入された面が、下方を向くように、ステージ40のガラス板41上に載置されている。
【0118】
蓄積性蛍光体シート10のドット状輝尽性蛍光体層領域12にレーザ光24が入射すると、蓄積性蛍光体シート10に形成されたドット状輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体が励起されて、輝尽光45が発せられ、生化学解析用ユニット1にレーザ光24が入射すると、生化学解析用ユニット1に形成された吸着性領域4に含まれている蛍光色素などが励起されて、蛍光45が放出される。
【0119】
蓄積性蛍光体シート10のドット状輝尽性蛍光体層領域12から放出された輝尽光45あるいは生化学解析用ユニット1に形成された吸着性領域4から放出された蛍光45は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって、ミラー36に集光され、ミラー36によって、レーザ光24の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー38に入射する。
【0120】
凹面ミラー38に入射した輝尽光45あるいは蛍光45は、凹面ミラー38によって反射されて、穴開きミラー34に入射する。
【0121】
穴開きミラー34に入射した輝尽光45あるいは蛍光45は、図7に示されるように、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、下方に反射されて、フィルタユニット48に入射し、所定の波長の光がカットされて、フォトマルチプライア50に入射し、光電的に検出される。
【0122】
図9に示されるように、フィルタユニット48は、4つのフィルタ部材51a、51b、51c、51dを備えており、フィルタユニット48は、モータ(図示せず)によって、図9において、左右方向に移動可能に構成されている。
【0123】
図10は、図9のA−A線に沿った略断面図である。
【0124】
図10に示されるように、フィルタ部材51aはフィルタ52aを備え、フィルタ52aは、第1のレーザ励起光源21を用いて、生化学解析用ユニット1に形成された吸着性領域4に含まれている蛍光色素などの蛍光物質を励起して、蛍光45を読み取るときに使用されるフィルタ部材であり、640nmの波長の光をカットし、640nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0125】
図11は、図9のB−B線に沿った略断面図である。
【0126】
図11に示されるように、フィルタ部材51bはフィルタ52bを備え、フィルタ52bは、第2のレーザ励起光源22を用いて、生化学解析用ユニット1に形成された吸着性領域4に含まれている蛍光色素などの蛍光物質を励起して、蛍光45を読み取るときに使用されるフィルタ部材であり、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0127】
図12は、図9のC−C線に沿った略断面図である。
【0128】
図12に示されるように、フィルタ部材51cはフィルタ52cを備え、フィルタ52cは、第3のレーザ励起光源23を用いて、生化学解析用ユニット1に形成された吸着性領域4に含まれている蛍光色素などの蛍光物質を励起して、蛍光45を読み取るときに使用されるフィルタ部材であり、473nmの波長の光をカットし、473nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0129】
図13は、図9のD−D線に沿った略断面図である。
【0130】
図13に示されるように、フィルタ部材51dはフィルタ52dを備え、フィルタ52dは、第1のレーザ励起光源21を用いて、蓄積性蛍光体シート10に形成されたドット状輝尽性蛍光体層領域12に含まれた輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体層12から発せられた輝尽光45を読み取るときに使用されるフィルタであり、輝尽性蛍光体層12から放出される輝尽光の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有している。
【0131】
したがって、使用すべきレーザ励起光源に応じて、フィルタ部材51a、51b、51c、51dを選択的にフォトマルチプライア50の前面に位置させることによって、フォトマルチプライア50は、検出すべき光のみを光電的に検出することができる。
【0132】
フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器53によって、ディジタルデータに変換され、データ処理装置54に送られる。
【0133】
図8には図示されていないが、光学ヘッド35は、走査機構によって、図8において、X方向およびY方向に移動可能に構成され、蓄積性蛍光体シート10に形成されたすべてのドット状輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の全面が、レーザ光24によって走査されるように構成されている。
【0134】
図14は、光学ヘッドの走査機構の略平面図である。図14においては、簡易化のため、光学ヘッド35を除く光学系ならびにレーザ光24および輝尽光45あるいは蛍光45の光路は省略されている。
【0135】
図14に示されるように、光学ヘッド35を走査する走査機構は、基板60を備え、基板60上には、副走査パルスモータ61と一対のレール62、62とが固定され、基板60上には、さらに、図14において、矢印Yで示された副走査方向に、移動可能な基板63とが設けられている。
【0136】
移動可能な基板63には、ねじが切られた穴(図示せず)が形成されており、この穴内には、副走査パルスモータ61によって回転されるねじが切られたロッド64が係合している。
【0137】
移動可能な基板63上には、主走査ステッピングモータ65が設けられ、主走査ステッピングモータ65は、エンドレスベルト66を、生化学解析用ユニット1に形成された隣り合う吸着性領域4間の距離に等しいピッチで、したがって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域12間の距離に等しいピッチで、間欠的に駆動可能に構成されている。光学ヘッド35は、エンドレスベルト66に固定されており、主走査ステッピングモータ65によって、エンドレスベルト66が駆動されると、図14において、矢印Xで示された主走査方向に移動されるように構成されている。
【0138】
図14において、67は、光学ヘッド35の主走査方向における位置を検出するリニアエンコーダであり、68は、リニアエンコーダ67のスリットである。
【0139】
したがって、主走査ステッピングモータ65によって、エンドレスベルト66が、主走査方向に駆動され、1ラインの走査が完了すると、副走査パルスモータ61によって、基板63が、副走査方向に間欠的に移動されることによって、光学ヘッド35は、図14において、X−Y方向に移動され、レーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート10に形成されたすべてのドット状輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の全面が走査される。
【0140】
図15は、図8に示されたスキャナの制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【0141】
図15に示されるように、スキャナの制御系は、スキャナ全体を制御するコントロールユニット70を備えており、また、スキャナの入力系は、オペレータによって操作され、種々の指示信号を入力可能なキーボード71を備えている。
【0142】
図15に示されるように、スキャナの駆動系は、光学ヘッド35を主走査方向に間欠的に移動させる主走査ステッピングモータ65と、光学ヘッド35を副走査方向に間欠的に移動させる副走査パルスモータ61と、4つのフィルタ部材51a、51b、51c、51dを備えたフィルタユニット48を移動させるフィルタユニットモータ72を備えている。
【0143】
コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21、第2のレーザ励起光源22または第3のレーザ励起光源23に選択的に駆動信号を出力するとともに、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力可能に構成されている。
【0144】
また、図15に示されるように、スキャナの検出系は、フォトマルチプライア50と、光学ヘッド35の主走査方向における位置を検出するリニアエンコーダ67を備えている。
【0145】
本実施態様においては、コントロールユニット70は、リニアエンコーダ67から入力される光学ヘッド35の位置検出信号にしたがって、第1のレーザ励起光源21、第2のレーザ励起光源22または第3のレーザ励起光源23をオン・オフ制御可能に構成されている。
【0146】
以上のように構成されたスキャナは、以下のようにして、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれている放射性標識物質により、多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12が露光されて、蓄積性蛍光体シート10に記録された放射性標識物質の放射線データを読み取って、生化学解析用データを生成する。
【0147】
まず、多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12がガラス板41の表面に接するように、蓄積性蛍光体シート10が、ステージ40のガラス板41上に載置される。
【0148】
次いで、ユーザーによって、キーボード71に、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12を、レーザ光24によって走査する旨の指示信号が入力される。
【0149】
キーボード71に入力された指示信号は、コントロールユニット70に入力され、コントロールユニット70は、指示信号にしたがって、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光45の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ52dを備えたフィルタ部材51dを、輝尽光45の光路内に位置させる。
【0150】
さらに、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力し、光学ヘッド35を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12のうち、第1のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に、レーザ光24を照射可能な位置に、光学ヘッド35が達したことが確認されると、主走査ステッピングモータ65に停止信号を出力するとともに、第1のレーザ励起光源21に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源21を起動させ、640nmの波長のレーザ光24を発せさせる。
【0151】
第1のレーザ励起光源21から発せられたレーザ光24は、コリメータレンズ25によって、平行な光とされた後、ミラー26に入射して、反射される。
【0152】
ミラー26によって反射されたレーザ光24は、第1のダイクロイックミラー27および第2のダイクロイックミラー28を透過し、ミラー29に入射する。
【0153】
ミラー29に入射したレーザ光24は、ミラー29によって反射されて、さらに、ミラー32に入射して、反射される。
【0154】
ミラー32によって反射されたレーザ光24は、穴開きミラー34の穴33を通過して、凹面ミラー38に入射する。
【0155】
凹面ミラー38に入射したレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、光学ヘッド35に入射する。
【0156】
光学ヘッド35に入射したレーザ光24は、ミラー36によって反射され、非球面レンズ37によって、ステージ40ガラス板41上に載置された蓄積性蛍光体シート10の第1のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に集光される。
【0157】
その結果、蓄積性蛍光体シート10に形成された第1のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に含まれる輝尽性蛍光体が、レーザ光24によって励起されて、第1の輝尽性蛍光体層領域12から輝尽光45が放出される。
【0158】
第1のドット状の輝尽性蛍光体領域12から放出された輝尽光45は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって集光され、ミラー36により、レーザ光24の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー38に入射する。
【0159】
凹面ミラー38に入射した輝尽光45は、凹面ミラー38によって反射されて、穴開きミラー34に入射する。
【0160】
穴開きミラー34に入射した輝尽光45は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、図8に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット48のフィルタ52dに入射する。
【0161】
フィルタ52dは、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光45の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有しているので、励起光である640nmの波長の光がカットされ、ドット状の輝尽性蛍光体層領域12から放出された輝尽光45の波長域の光のみがフィルタ52dを透過して、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出される。
【0162】
フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器53に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0163】
第1のレーザ励起光源21がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源21の駆動を停止させるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された隣り合うドット状の輝尽性蛍光体層領域12間の距離に等しいピッチだけ、移動させる。
【0164】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、隣り合うドット状の輝尽性蛍光体層領域12間の距離に等しい1ピッチだけ移動されて、第1のレーザ励起光源21から発せられるレーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10に形成された第2のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に照射可能な位置に移動したことが確認されると、コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源21をオンさせて、レーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート10に形成された第2のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起する。
【0165】
同様にして、所定の時間にわたり、レーザ光24が、蓄積性蛍光体シート10に形成された第2のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に照射され、第2の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体が励起され、第2の輝尽性蛍光体層領域12から放出された輝尽光45が、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出されて、アナログデータが生成されると、コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21にオフ信号を出力して、第1のレーザ励起光源21をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、隣り合うドット状の輝尽性蛍光体層領域12間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0166】
こうして、光学ヘッド35の間欠移動に同期して、第1のレーザ励起光源21のオン・オフが繰り返され、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づき、光学ヘッド35が、主走査方向に1ライン分だけ、移動され、第1ライン目のドット状の輝尽性蛍光体層領域12のレーザ光24による走査が完了したことが確認されると、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を元の位置に復帰させるとともに、副走査パルスモータ61に駆動信号を出力して、移動可能な基板63を、副走査方向に、1ライン分だけ、移動させる。
【0167】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が元の位置に復帰され、また、移動可能な基板63が、副走査方向に、1ライン分だけ、移動されたことが確認されると、コントロールユニット70は、第1ライン目のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に、順次、第1のレーザ励起光源21から発せられるレーザ光24を照射したのと全く同様にして、第2ライン目のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に、順次、第1のレーザ励起光源21から発せられるレーザ光24を照射して、ドット状の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体層領域12から発せられた輝尽光45を、順次、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出させる。
【0168】
フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器53によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られる。
【0169】
こうして、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12がすべて、第1のレーザ励起光源21から放出されたレーザ光24によって走査され、多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体が励起されて、放出された輝尽光45が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出され、生成されたアナログデータが、A/D変換器53により、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られると、コントロールユニット70から、駆動停止信号が、第1のレーザ励起光源21に出力され、第1のレーザ励起光源21の駆動が停止される。
【0170】
一方、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に記録された蛍光物質の蛍光データを読み取って、生化学解析用ディジタルデータを生成するときは、まず、オペレータによって、生化学解析用ユニット1が、ステージ40のガラス板41上にセットされる。
【0171】
次いで、オペレータによって、キーボード71に、標識物質である蛍光物質の種類が特定され、蛍光データを読み取るべき旨の指示信号が入力される。
【0172】
キーボード71に入力された指示信号は、コントロールユニット70に入力され、コントロールユニット70は、指示信号を受けると、メモリ(図示せず)に記憶されているテーブルにしたがって、使用すべきレーザ励起光源を決定するとともに、フィルタ52a、52b、52c、52dのいずれを蛍光45の光路内に位置させるかを決定する。
【0173】
たとえば、生体由来の物質を標識する蛍光物質として、532nmの波長のレーザによって、最も効率的に励起することのできるローダミン(登録商標)が使用され、その旨が、キーボード71に入力されたときは、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22を選択するとともに、フィルタ52bを選択し、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力して、フィルタユニット48を移動させ、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ52bを備えたフィルタ部材51bを、生化学解析用ユニット1から放出されるべき蛍光45の光路内に位置させる。
【0174】
さらに、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力し、光学ヘッド35を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4のうち、第1の吸着性領域4に、レーザ光24を照射可能な位置に、光学ヘッド35が達したことが確認されると、主走査ステッピングモータ65に停止信号を出力するとともに、第2のレーザ励起光源22に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源22を起動させ、532nmの波長のレーザ光24を発せさせる。
【0175】
第2のレーザ励起光源22から発せられたレーザ光24は、コリメータレンズ30によって、平行な光とされた後、第1のダイクロイックミラー27に入射して、反射される。
【0176】
第1のダイクロイックミラー27によって反射されたレーザ光24は、第2のダイクロイックミラー28を透過し、ミラー29に入射する。
【0177】
ミラー29に入射したレーザ光24は、ミラー29によって反射されて、さらに、ミラー32に入射して、反射される。
【0178】
ミラー32によって反射されたレーザ光24は、穴開きミラー34の穴33を通過して、凹面ミラー38に入射する。
【0179】
凹面ミラー38に入射したレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、光学ヘッド35に入射する。
【0180】
光学ヘッド35に入射したレーザ光24は、ミラー36によって反射され、非球面レンズ37によって、ステージ40ガラス板41上に載置された生化学解析用ユニット1に集光される。
【0181】
その結果、レーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の第1吸着性領域4に含まれた蛍光色素などの蛍光物質、たとえば、ローダミンが励起されて、蛍光が発せられる。
【0182】
ここに、本実施態様にかかる生化学解析用ユニット1においては、吸着性領域4は、吸着性膜2に、放射線および光を減衰させる性質を有し、多数の貫通孔4が形成されたアルミニウム板5が圧入されて、形成され、吸着性領域4の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有するアルミニウム板5が存在しているので、吸着性領域4に含まれた蛍光物質が励起されて、蛍光物質から放出された蛍光45が、隣り合う吸着性領域4に含まれた蛍光物質が励起されて、放出された蛍光45と混ざり合うことを確実に防止することができる。
【0183】
ローダミンから放出された蛍光45は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって集光され、ミラー36によって、レーザ光24の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー38に入射する。
【0184】
凹面ミラー38に入射した蛍光45は、凹面ミラー38によって反射されて、穴開きミラー34に入射する。
【0185】
穴開きミラー34に入射した蛍光45は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、図8に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット48のフィルタ52bに入射する。
【0186】
フィルタ52bは、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有しているので、励起光である532nmの波長の光がカットされ、ローダミンから放出された蛍光45の波長域の光のみがフィルタ52bを透過して、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出される。
【0187】
フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器53に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0188】
第2のレーザ励起光源22がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22に駆動停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源22の駆動を停止させるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、生化学解析用ユニット1に形成された吸着性領域4間の距離に等しいピッチだけ、移動させる。
【0189】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、生化学解析用ユニット1に形成された隣り合う吸着性領域4間の距離に等しい1ピッチだけ移動されて、第2のレーザ励起光源22から発せられるレーザ光24を、生化学解析用ユニット1に形成された第2の吸着性領域4に照射可能な位置に移動したことが確認されると、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源22をオンさせて、レーザ光24によって、生化学解析用ユニット1に形成された第2吸着性領域4に含まれている蛍光物質、たとえば、ローダミンを励起する。
【0190】
同様にして、所定の時間にわたり、レーザ光24が、生化学解析用ユニット1に形成された第2の吸着性領域4に照射され、第2吸着性領域4から放出された蛍光45が、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出されて、アナログデータが生成されると、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22にオフ信号を出力して、第2のレーザ励起光源22をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、生化学解析用ユニット1に形成された隣り合う吸着性領域4間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0191】
こうして、光学ヘッド35の間欠移動に同期して、第1のレーザ励起光源21のオン・オフが繰り返され、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づき、光学ヘッド35が、主走査方向に1ライン分だけ、移動され、生化学解析用ユニット1の第1ライン目のすべての吸着性領域4を、レーザ光24により、走査したことが確認されると、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を元の位置に復帰させるとともに、副走査パルスモータ61に駆動信号を出力して、移動可能な基板63を、副走査方向に、1ライン分だけ、移動させる。
【0192】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が元の位置に復帰され、また、移動可能な基板63が、副走査方向に、1ライン分だけ、移動されたことが確認されると、コントロールユニット70は、生化学解析用ユニット1に形成された第1ライン目の吸着性領域4に、順次、第2のレーザ励起光源22から発せられるレーザ光24を照射したのと全く同様にして、生化学解析用ユニット1に形成された第2ライン目の吸着性領域4第2ライン目の吸着性領域4に含まれているローダミンを励起し、吸着性領域4から放出された蛍光45を、順次、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出させる。
【0193】
フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器53によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られる。
【0194】
こうして、生化学解析用ユニット1の全面が、第2のレーザ励起光源22から放出されたレーザ光24によって走査され、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれているローダミンが励起されて、放出された蛍光45が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出され、生成されたアナログデータが、A/D変換器53によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られると、コントロールユニット70から、駆動停止信号が、第2のレーザ励起光源22に出力され、第2のレーザ励起光源22の駆動が停止される。
【0195】
図16は、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に記録された化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質の化学発光データを読み取って、生化学解析用データを生成するデータ生成システムの略正面図である。図15に示されたデータ生成システムは、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に記録された蛍光色素などの蛍光物質の蛍光データをも生成可能に構成されている。
【0196】
図16に示されるように、データ生成システムは、冷却CCDカメラ81、暗箱82およびパーソナルコンピュータ83を備えている。パーソナルコンピュータ83は、CRT84とキーボード85を備えている。
【0197】
図17は、データ生成システムの冷却CCDカメラ81の略縦断面図である。
【0198】
図17に示されるように、冷却CCDカメラ81は、CCD86と、アルミニウムなどの金属によって作られた伝熱板87と、CCD86を冷却するためのペルチエ素子88と、CCD86の前面に配置されたシャッタ89と、CCD86が生成したアナログデータをディジタルデータに変換するA/D変換器90と、A/D変換器90によってディジタル化されたデータを一時的に記憶するデータバッファ91と、冷却CCDカメラ81の動作を制御するカメラ制御回路92とを備えている。暗箱82との間に形成された開口部は、ガラス板95によって閉じられており、冷却CCDカメラ81の周囲には、ペルチエ素子88が発する熱を放熱するための放熱フィン96が長手方向のほぼ全面にわたって形成されている。
【0199】
ガラス板95の前面の暗箱82内には、レンズフォーカス調整機能を有するカメラレンズ97が取付けられている。
【0200】
図18は、データ生成システムの暗箱82の略縦断面図である。
【0201】
図18に示されるように、暗箱82内には、励起光を発するLED光源100が設けられており、LED光源100は、取り外し可能に設けられたフィルタ101と、フィルタ101の上面に設けられた拡散板103を備え、拡散板103を介して、励起光が、その上に載置される生化学解析用ユニット(図示せず)に向けて、照射されることによって、生化学解析用ユニットが均一に照射されるように保証されている。フィルタ101は、励起光の近傍の波長以外の蛍光物質の励起に有害な光をカットし、励起光近傍の波長の光のみを透過する性質を有している。カメラレンズ97の前面には、励起光近傍の波長の光をカットするフィルタ102が、取り外し可能に設けられている。
【0202】
図19は、データ生成システムのパーソナルコンピュータ83の周辺のブロックダイアグラムである。
【0203】
図19に示されるように、パーソナルコンピュータ83は、冷却CCDカメラ81の露出を制御するCPU110と、冷却CCDカメラ81の生成したディジタルデータをデータバッファ91から読み出すデータ転送手段111と、ディジタルデータを記憶するデータ記憶手段112と、データ記憶手段112に記憶されたディジタルデータにデータ処理を施すデータ処理装置113と、データ記憶手段112に記憶されたディジタルデータに基づいて、CRT84の画面上に可視データを表示するデータ表示手段114とを備えている。
【0204】
LED光源100は、光源制御手段115によって制御されており、光源制御手段115には、キーボード85から、CPU110を介して、指示信号が入力されるように構成されている。CPU110は、冷却CCDカメラ81のカメラ制御回路92に種々の信号を出力可能に構成されている。
【0205】
図16ないし図19に示されたデータ生成システムは、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれた標識物質と、化学発光基質との接触によって生ずる化学発光を、カメラレンズ97を介して、冷却CCDカメラ81のCCD86によって検出し、化学発光データを生成するとともに、生化学解析用ユニット1に、LED光源100から励起光を照射して、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれた蛍光色素などの蛍光物質が励起されて、放出された蛍光を、カメラレンズ97を介して、冷却CCDカメラ81のCCD66によって検出し、蛍光データを生成可能に構成されている。
【0206】
化学発光データを生成する場合には、フィルタ102を取り外し、LED光源100をオフ状態に保持して、拡散板103上に、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれた標識物質に化学発光基質が接触されて、化学発光を発している生化学解析用ユニット1が載置される。
【0207】
次いで、オペレータにより、カメラレンズ97を用いて、レンズフォーカス合わせがなされ、暗箱82が閉じられる。
【0208】
その後、オペレータが、キーボード85に露出開始信号を入力すると、露出開始信号が、CPU110を介して、冷却CCDカメラ81のカメラ制御回路92に入力され、カメラ制御回路92によって、シャッタ89が開かれ、CCD86の露出が開始される。
【0209】
生化学解析用ユニット1から発せられた化学発光は、カメラレンズ97を介して、冷却CCDカメラ81のCCD86の光電面に入射して、光電面に画像を形成する。CCD86は、こうして、光電面に形成された画像の光を受け、これを電荷の形で蓄積する。
【0210】
ここに、本実施態様にかかる生化学解析用ユニット1においては、吸着性領域4は、吸着性膜2に、放射線および光を減衰させる性質を有し、多数の貫通孔4が形成されたアルミニウム板5が圧入されて、形成され、吸着性領域4の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有するアルミニウム板5が存在しているので、吸着性領域4に含まれた標識物質から放出された化学発光が、隣り合う吸着性領域4に含まれている標識物質から放出された化学発光と混ざり合うことを確実に防止することができる。
【0211】
所定の露出時間が経過すると、CPU110は、冷却CCDカメラ81のカメラ制御回路92に露出完了信号を出力する。
【0212】
カメラ制御回路92は、CPU110から、露出完了信号を受けると、CCD86が電荷の形で蓄積したアナログデータをA/D変換器100に転送して、ディジタル化し、データバッファ91に一時的に記憶させる。
【0213】
カメラ制御回路92に露出完了信号を出力するのと同時に、CPU110は、データ転送手段111にデータ転送信号を出力して、冷却CCDカメラ81のデータバッファ91からディジタルデータを読み出させ、データ記憶手段112に記憶させる。
【0214】
オペレータが、キーボード85にデータ表示信号を入力すると、CPU110はデータ記憶手段112に記憶されたディジタルデータを、データ処理装置113に出力させ、オペレータの指示にしたがって、データ処理を施した後、データ表示手段114にデータ表示信号を出力して、ディジタルデータに基づき、化学発光データを、CRT84の画面上に表示させる。
【0215】
これに対して、蛍光データを生成するときは、まず、生化学解析用ユニット1が、拡散板103上に載置される。
【0216】
次いで、オペレータにより、LED光源100がオンされ、カメラレンズ97を用いて、レンズフォーカス合わせがなされ、暗箱82が閉じられる。
【0217】
その後、オペレータがキーボード85に露出開始信号を入力すると、光源制御手段115によって、LED光源100がオンされて、生化学解析用ユニット1に向けて、励起光が発せられる。同時に、露出開始信号は、CPU110を介して、冷却CCDカメラ81のカメラ制御回路92に入力され、カメラ制御回路92によって、シャッタ89が開かれ、CCD86の露出が開始される。
【0218】
LED光源100から発せられた励起光は、フィルタ101により、励起光以外の波長成分がカットされ、拡散板23によって、一様な光とされて、生化学解析用ユニット1に照射される。
【0219】
生化学解析用ユニット1に、励起光が照射されると、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質が、励起光によって励起されて、蛍光が放出される。
【0220】
生化学解析用ユニット1から発せられた蛍光は、フィルタ102およびカメラレンズ97を介して、冷却CCDカメラ81のCCD86の光電面に入射し、光電面に像を形成する。CCD86は、こうして、光電面に形成された像の光を受けて、これを電荷の形で蓄積する。フィルタ102によって、励起光の波長の光がカットされるため、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質から発せられた蛍光のみが、CCD86によって受光される。
【0221】
ここに、本実施態様にかかる生化学解析用ユニット1においては、吸着性領域4は、吸着性膜2に、放射線および光を減衰させる性質を有し、多数の貫通孔4が形成されたアルミニウム板5が圧入されて、形成され、吸着性領域4の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有するアルミニウム板5が存在しているので、吸着性領域4に含まれた蛍光物質から放出された蛍光が、隣り合う吸着性領域4に含まれている蛍光物質から放出された蛍光と混ざり合うことを確実に防止することができる。
【0222】
所定の露出時間が経過すると、CPU110は、冷却CCDカメラ81のカメラ制御回路92に露出完了信号を出力する。
【0223】
カメラ制御回路92は、CPU40から露出完了信号を受けると、CCD86が電荷の形で蓄積したアナログデータを、A/D変換器10に転送して、ディジタル化し、データバッファ91に一時的に記憶させる。
【0224】
カメラ制御回路92に露出完了信号を出力するのと同時に、CPU110は、データ転送手段211にデータ転送信号を出力して、冷却CCDカメラ81のデータバッファ91からディジタルデータを読み出させ、データ記憶手段112に記憶させる。
【0225】
オペレータが、キーボード85にデータ表示信号を入力すると、CPU110はデータ記憶手段112に記憶されたディジタルデータを、データ処理装置113に出力させ、オペレータの指示にしたがって、データ処理を施した後、データ表示手段114にデータ表示信号を出力して、ディジタルデータに基づき、蛍光データを、CRT84の画面上に表示させる。
【0226】
本実施態様によれば、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれている放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成されたドット状の輝尽性蛍光体層領域12を露光する際、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4は、吸着性膜2に、放射線を減衰させる性質を有し、多数の貫通孔4が形成されたアルミニウム板5が圧入されて、形成され、吸着性領域4の周囲には、放射線を減衰させる性質を有するアルミニウム板5が存在し、さらに、蓄積性蛍光体シート10の支持体11が放射線を減衰させる性質を有するステンレスによって形成されているから、吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線が散乱することを確実に防止することができ、吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線はすべて、その吸着性領域4に対向する輝尽性蛍光体層領域12に入射し、したがって、生化学解析用ユニット1に、高密度に、吸着性領域4を形成しても、隣り合う吸着性領域4から放出される電子線によって露光されるべき輝尽性蛍光体層領域12に入射することを確実に防止することが可能になるから、輝尽光45を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中に、電子線の散乱に起因するノイズが生成されることを効果的に防止して生化学解析の定量性を向上させることが可能になる。
【0227】
また、本実施態様によれば、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4は、吸着性膜2に、放射線および光を減衰させる性質を有し、多数の貫通孔4が形成されたアルミニウム板5が圧入されて、形成され、各吸着性領域4の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有するアルミニウム板5が存在しているので、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質から放出された蛍光が、隣り合う吸着性領域4に含まれた蛍光物質が励起されて、放出された蛍光と混ざり合うことを確実に防止することができ、したがって、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質に、励起光を照射して、蛍光物質を励起し、蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して生成された生化学解析用データ中に、蛍光の散乱に起因するノイズが生成されることを確実に防止して、生化学解析の定量性を向上させることが可能になる。
【0228】
さらに、本実施態様によれば、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4は、吸着性膜2に、放射線および光を減衰させる性質を有し、多数の貫通孔4が形成されたアルミニウム板5が圧入されて、形成され、吸着性領域4の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有するアルミニウム板5が存在しているので、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4から放出された化学発光が、隣り合う吸着性領域4から放出された化学発光と混ざり合うことを確実に防止することができ、したがって、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4から放出された化学発光を光電的に検出して生成された生化学解析用データ中に、化学発光の散乱に起因するノイズが生成されることを確実に防止して、生化学解析の定量性を向上させることが可能になる。
【0229】
また、本実施態様によれば、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4は、メンブレンフィルタを形成可能なナイロン6によって形成された吸着性膜2に、多数の貫通孔4が規則的に形成されたアルミニウム板5を圧入して、形成されているから、隣り合う吸着性領域4の間に位置する吸着性膜2中の孔は、アルミニウム板5を圧入する際に、加圧によって消失しており、したがって、吸着性領域4内に滴下された特異的結合物質が、吸着性領域4以外の吸着性膜2の領域に拡散することが効果的に防止され、吸着性領域4内に滴下された特異的結合物質は、吸着性領域4にのみ吸着されるから、生化学解析の定量性を大幅に向上させることが可能になる。
【0230】
さらに、本実施態様によれば、生化学解析用ユニット1は、メンブレンフィルタを形成可能なナイロン6によって形成された吸着性膜2に、アルミニウム板5が圧入されて、形成されているので、ハイブリダイゼーションなど、液体による処理を受けても、ほとんど伸縮することがなく、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4が、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12に、正確に対向するように、蓄積性蛍光体シート10と生化学解析用ユニット1とを、容易にかつ確実に重ね合わせて、ドット状輝尽性蛍光体層領域12を露光することが可能になる。
【0231】
図20は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる生化学解析用ユニットの略斜視図であり、図21は、その部分断面図である。
【0232】
図20および図21に示されるように、本実施態様にかかる生化学解析用ユニット121は、図1および図2に示された実施態様と同様にして、メンブレンフィルタを形成可能なナイロン6によって形成された吸着性膜122を備え、吸着性膜122には、金属酸化物粒子が、プラスチックに分散されて、形成され、多数の略円形の貫通孔124が規則的に形成されたプラスチック基板125が圧入され、それによって、プラスチック基板125に形成された多数の貫通孔124に対応して、多数の吸着性領域124が、ドット状に規則的に形成されている。ここに、金属酸化物粒子が、プラスチックに分散されて、形成されたプラスチック基板125は、放射線および光を減衰させる性質を有しており、プラスチック基板125の裏面には、接着剤123が塗布され、接着剤123を介して、プラスチック基板125が、吸着性膜122に圧入されている。したがって、プラスチック基板125は、吸着性膜122に強固に一体化され、耐久性の向上が図られている。
【0233】
図20には、正確に示されていないが、本実施態様においては、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域124が、約5000個/平方センチメートルの密度で、規則的に、生化学解析用ユニット121に形成されている。
【0234】
図21に示されるように、本実施態様においては、各吸着性領域124の表面よりも、プラスチック基板125の表面が上方に位置するように、プラスチック基板125が、吸着性膜122に圧入されて、生化学解析用ユニット121が形成されている。
【0235】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット121は、熱プレス処理装置を用いて、プラスチック基板125に形成された貫通孔124内に、吸着性膜122が圧入されて、形成される。
【0236】
図22は、熱プレス処理装置の略断面図である。
【0237】
図22に示されるように、熱プレス処理装置は、基台127と、温度制御されたプレス板128を備えている。
【0238】
まず、吸着性122が、基台127上にセットされ、吸着性膜122上に、多数の貫通孔124が形成されたプラスチック基板125がセットされる。
【0239】
次いで、プラスチック基板125が、プレス板128によって加圧され、プラスチック基板125に形成された貫通孔124内に、吸着性膜122が圧入されて、多数の吸着性領域124が形成される。
【0240】
本実施態様においても、図1および図2に示された前記実施態様にかかる生化学解析用ユニット1と同様にして、スポッティング装置によって、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124に、cDNAなどの特異的結合物質が滴下されて、吸着される。
【0241】
本実施態様においても、生化学解析用ユニット121の吸着性領域124は、吸着性膜122に、多数の貫通孔124が規則的に形成されたプラスチック基板125を圧入して、形成されているから、隣り合う吸着性領域124の間に位置する吸着性膜122中の孔は、加圧によって消失しており、したがって、吸着性領域124内に滴下された特異的結合物質が、吸着性領域124以外の吸着性膜122の領域に浸透することが効果的に防止され、吸着性領域124内に滴下された特異的結合物質は、吸着性領域124にのみ吸着される。
【0242】
さらに、図5に示されるように、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質を含むハイブリダイズ液9を収容したハイブリダイズ容器8内に、生化学解析用ユニット121がセットされ、多数の吸着性領域124に吸着されたcDNAなどの特異的結合物質に、放射性標識物質によって標識され、ハイブリダイズ液9に含まれた生体由来の物質、蛍光色素などの蛍光物質によって標識され、ハイブリダイズ液9に含まれた生体由来の物質および化学発光を生じさせる標識物質によって標識され、ハイブリダイズ液9に含まれた生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせる。
【0243】
こうして、生化学解析用ユニット121に、放射線データ、蛍光データおよび化学発光データが記録される。
【0244】
生化学解析用ユニット121に記録された蛍光データは、前記実施態様と同様にして、図8ないし図15に示されたスキャナあるいは図16ないし図19に示されたデータ生成システムの冷却CCDカメラ81により、読み取られて、生化学解析用データが生成され、一方、生化学解析用ユニット121に記録された化学発光データは、前記実施態様と同様にして、図16ないし図19に示されたデータ生成システムの冷却CCDカメラ81により、読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0245】
これに対して、生化学解析用ユニット121に記録された放射性標識物質の放射線データは、蓄積性蛍光体シートに転写される。
【0246】
図23は、蓄積性蛍光体シート130の略斜視図である。
【0247】
図23に示されるように、蓄積性蛍光体シート130は、支持体131を備え、支持体131の一方の表面には、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124のパターンと同一の規則的なパターンで、多数の略円形のドット状輝尽性蛍光体層領域132が形成されている。
【0248】
本実施態様においても、支持体131は、放射線を減衰させる性質を有するステンレスによって形成され、略円形のドット状の輝尽性蛍光体層領域132は、それぞれ、生化学解析用ユニット121に形成された吸着性領域124と等しい径を有するように、支持体121の表面上に形成されている。
【0249】
図24は、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート130に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域132を露光する方法を示す略断面図である。
【0250】
図24に示されるように、露光にあたって、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124が、蓄積性蛍光体シート130の支持体131の表面上に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域132に対向するように、蓄積性蛍光体シート130と生化学解析用ユニット121とが重ね合わされる。
【0251】
本実施態様においても、生化学解析用ユニット121は、メンブレンフィルタを形成可能なナイロン6によって形成された吸着性膜122に、金属酸化物粒子がプラスチックに分散されたプラスチック基板125が圧入されて、形成されているので、ハイブリダイゼーションなど、液体による処理を受けても、ほとんど伸縮することがなく、したがって、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124が、蓄積性蛍光体シート130の支持体131の表面上に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域132に、正確に対向するように、蓄積性蛍光体シート130と生化学解析用ユニット121とを、容易にかつ確実に重ね合わせて、ドット状輝尽性蛍光体層領域132を露光することが可能になる。
【0252】
こうして、所定の時間にわたって、蓄積性蛍光体シート130の支持体131の表面上に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域132の各々と、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124とを対向させることによって、吸着性領域124に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート130の支持体131の表面上に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域132が露光される。
【0253】
この際、吸着性領域124に吸着されている放射性標識物質から電子線が発せられるが、生化学解析用ユニット121の吸着性領域124は、吸着性膜122に、多数の貫通孔124が形成され、放射線を減衰させる性質を有するプラスチック基板125が圧入されて、形成され、吸着性領域124の周囲には、放射線を減衰させる性質を有するプラスチック基板125が存在しているので、吸着性領域124に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線が散乱することが確実に防止され、各吸着性領域124に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線はすべて、その吸着性領域124に対向する輝尽性蛍光体層領域132に入射し、隣り合う吸着性領域124から放出される電子線によって露光されるべき輝尽性蛍光体層領域132に入射することを確実に防止することができる。
【0254】
したがって、蓄積性蛍光体シート130に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域132を、生化学解析用ユニット121の対応する吸着性領域124に含まれた放射性標識物質のみによって、確実に露光することが可能になる。
【0255】
こうして、蓄積性蛍光体シート130に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域132に、放射性標識物質の放射線データが記録され、多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域132に記録された放射線データは、前記実施態様と全く同様にして、図8ないし図15に示されたスキャナによって、読み取られ、生化学解析用データが生成される。
【0256】
本実施態様によれば、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124に含まれている放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート130の支持体131の表面上に形成されたドット状の輝尽性蛍光体層領域132を露光する際、生化学解析用ユニット121の多数の吸着性領域124は、吸着性膜122に、放射線を減衰させる性質を有し、多数の貫通孔4が形成されたプラスチック基板125が圧入されて、形成され、吸着性領域124の周囲には、放射線を減衰させる性質を有するプラスチック基板125が存在し、さらに、蓄積性蛍光体シート130の支持体131が、放射線を減衰させる性質を有するステンレスによって形成されているから、吸着性領域124に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線が散乱することを確実に防止することができ、吸着性領域124に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線はすべて、その吸着性領域124に対向する輝尽性蛍光体層領域132に入射し、したがって、生化学解析用ユニット121に、高密度に、吸着性領域124を形成しても、隣り合う吸着性領域124から放出される電子線によって露光されるべき輝尽性蛍光体層領域132に入射することを確実に防止することが可能になるから、輝尽光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中に、電子線の散乱に起因するノイズが生成されることを効果的に防止して生化学解析の定量性を向上させることが可能になる。
【0257】
また、本実施態様によれば、生化学解析用ユニット121の多数の吸着性領域124は、吸着性膜122に、放射線および光を減衰させる性質を有し、多数の貫通孔124が形成されたプラスチック基板125が圧入されて、形成され、各吸着性領域124の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有するプラスチック基板125が存在しているから、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124に含まれている蛍光物質から放出された蛍光が、隣り合う吸着性領域124に含まれた蛍光物質が励起されて、放出された蛍光と混ざり合うことを確実に防止することができ、したがって、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124に含まれている蛍光物質に、励起光を照射して、蛍光物質を励起し、蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して生成された生化学解析用データ中に、蛍光の散乱に起因するノイズが生成されることを確実に防止して、生化学解析の定量性を向上させることが可能になる。
【0258】
さらに、本実施態様によれば、生化学解析用ユニット121の多数の吸着性領域124は、吸着性膜122に、放射線および光を減衰させる性質を有し、多数の貫通孔124が形成されたプラスチック基板125が圧入されて、形成され、各吸着性領域124の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有するプラスチック基板125が存在しているので、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124から放出された化学発光が、隣り合う吸着性領域124から放出された化学発光と混ざり合うことを確実に防止することができ、したがって、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124から放出された化学発光を光電的に検出して生成された生化学解析用データ中に、化学発光の散乱に起因するノイズが生成されることを確実に防止して、生化学解析の定量性を向上させることが可能になる。
【0259】
また、本実施態様によれば、生化学解析用ユニット121の多数の吸着性領域124は、メンブレンフィルタを形成可能なナイロン6によって形成された吸着性膜122に、多数の貫通孔124が規則的に形成されたプラスチック基板125を圧入して、形成されているから、隣り合う吸着性領域124の間に位置する吸着性膜122中の孔は、プラスチック基板125を圧入する際に、加圧によって消失しており、したがって、吸着性領域124内に滴下された特異的結合物質が、吸着性領域124以外の吸着性膜122の領域に拡散することが効果的に防止され、吸着性領域124内に滴下された特異的結合物質は、吸着性領域124にのみ吸着されるから、生化学解析の定量性を大幅に向上させることが可能になる。
【0260】
さらに、本実施態様によれば、生化学解析用ユニット121は、メンブレンフィルタを形成可能なナイロン6によって形成された吸着性膜122に、プラスチック基板125が圧入されて、形成されているので、ハイブリダイゼーションなど、液体による処理を受けても、ほとんど伸縮することがなく、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域124が、蓄積性蛍光体シート130の支持体131の表面上に形成された多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域132に、正確に対向するように、蓄積性蛍光体シート130と生化学解析用ユニット121とを、容易にかつ確実に重ね合わせて、ドット状輝尽性蛍光体層領域132を露光することが可能になる。
【0261】
図25は、本発明の他の好ましい実施態様にかかる生化学解析用ユニットの略斜視図であり、図26は、その略部分断面図である。
【0262】
図25および図26に示されるように、本実施態様にかかる生化学解析用ユニット141は、メンブレンフィルタを形成可能なナイロン6によって形成された吸着性膜142を備え、吸着性膜142には、規則的なドット状の吸着性領域144が形成されている。
【0263】
本実施態様においては、ドット状の吸着性領域144は、放射線および光を減衰させる性質を有する金属コロイド単体粒子を含む分散液を、規則的なドット状の領域を残して、吸着性膜142に染み込ませて、放射線および光を減衰させる性質を有する遮蔽領域145を形成することによって、形成されている。
【0264】
ドット状の吸着性領域144は、たとえば、形成すべきドット状の吸着性領域144と同一パターンで、多数の脚部が形成された板状部材を用い、多数の脚部を、吸着性膜142の表面に当接させて、多数の脚部によって、吸着性膜142のドット状の吸着性領域144を形成すべき領域をマスクし、多数の脚部によってマスクされていない吸着性膜142に、放射線および光を減衰させる性質を有する金属単体コロイド粒子を含む分散液を染み込ませることによって、形成することができる。
【0265】
図25には、正確に示されていないが、本実施態様においては、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域144が、約5000個/平方センチメートルの密度で、規則的に、生化学解析用ユニット141に形成されている。
【0266】
本実施態様においても、図1および図2に示された前記実施態様にかかる生化学解析用ユニット1と同様にして、スポッティング装置によって、生化学解析用ユニット141に形成された多数の吸着性領域144に、cDNAなどの特異的結合物質が滴下されて、吸着される。
【0267】
さらに、図5に示されるように、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質を含むハイブリダイズ液9を収容したハイブリダイズ容器8内に、生化学解析用ユニット141がセットされ、多数の吸着性領域144に吸着されたcDNAなどの特異的結合物質に、放射性標識物質によって標識され、ハイブリダイズ液9に含まれた生体由来の物質、蛍光色素などの蛍光物質によって標識され、ハイブリダイズ液9に含まれた生体由来の物質および化学発光を生じさせる標識物質によって標識され、ハイブリダイズ液9に含まれた生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせる。
【0268】
こうして、生化学解析用ユニット141に、放射線データ、蛍光データおよび化学発光データが記録される。
【0269】
生化学解析用ユニット141に記録された蛍光データは、前記実施態様と同様にして、図8ないし図15に示されたスキャナあるいは図16ないし図19に示されたデータ生成システムの冷却CCDカメラ81により、読み取られて、生化学解析用データが生成され、一方、生化学解析用ユニット141に記録された化学発光データは、前記実施態様と同様にして、図16ないし図19に示されたデータ生成システムの冷却CCDカメラ81により、読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0270】
これに対して、生化学解析用ユニット141に記録された放射性標識物質の放射線データは、図1および図2に示された生化学解析用ユニット1と全く同様にして、図6に示された蓄積性蛍光体シート10に転写され、前記実施態様と全く同様にして、図8ないし図15に示されたスキャナによって、読み取られ、生化学解析用データが生成される。
【0271】
本実施態様によれば、生化学解析用ユニット141に形成された多数の吸着性領域144に含まれている放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成されたドット状の輝尽性蛍光体層領域12を露光する際、生化学解析用ユニット141の多数の吸着性領域144は、放射線および光を減衰させる性質を有する金属単体コロイド粒子を含む分散液を、規則的なドット状の領域を残して、吸着性膜142に染み込ませて、放射線および光を減衰させる性質を有する遮蔽領域145を形成することによって、形成されており、各吸着性領域144の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有する遮蔽領域145が存在し、さらに、蓄積性蛍光体シート10の支持体11が、放射線を減衰させる性質を有するステンレスによって形成されているから、吸着性領域144に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線が散乱することを確実に防止することができ、吸着性領域144に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線はすべて、その吸着性領域144に対向する輝尽性蛍光体層領域12に入射し、したがって、生化学解析用ユニット141に、高密度に、吸着性領域144を形成しても、隣り合う吸着性領域144から放出される電子線によって露光されるべき輝尽性蛍光体層領域12に入射することを確実に防止することが可能になるから、輝尽光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中に、電子線の散乱に起因するノイズが生成されることを効果的に防止して生化学解析の定量性を向上させることが可能になる。
【0272】
また、本実施態様によれば、生化学解析用ユニット141の多数の吸着性領域144は、放射線および光を減衰させる性質を有する金属単体コロイド粒子を含む分散液を、規則的なドット状の領域を残して、吸着性膜142に染み込ませて、放射線および光を減衰させる性質を有する遮蔽領域145を形成することによって、形成され、各吸着性領域144の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有する遮蔽領域145が存在しているから、生化学解析用ユニット141に形成された多数の吸着性領域144に含まれている蛍光物質から放出された蛍光が、隣り合う吸着性領域144に含まれた蛍光物質が励起されて、放出された蛍光と混ざり合うことを確実に防止することができ、したがって、生化学解析用ユニット141に形成された多数の吸着性領域144に含まれている蛍光物質に、励起光を照射して、蛍光物質を励起し、蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して生成された生化学解析用データ中に、蛍光の散乱に起因するノイズが生成されることを確実に防止して、生化学解析の定量性を向上させることが可能になる。
【0273】
さらに、本実施態様によれば、生化学解析用ユニット141の多数の吸着性領域144は、放射線および光を減衰させる性質を有する金属単体コロイド粒子を含む分散液を、規則的なドット状の領域を残して、吸着性膜142に染み込ませて、放射線および光を減衰させる性質を有する遮蔽領域145を形成することによって、形成され、各吸着性領域144の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有する遮蔽領域145が存在しているから、生化学解析用ユニット121に形成された各吸着性領域124から放出された化学発光が、隣り合う吸着性領域124から放出された化学発光と混ざり合うことを確実に防止することができ、したがって、生化学解析用ユニット121に形成された多数の吸着性領域124から放出された化学発光を光電的に検出して生成された生化学解析用データ中に、化学発光の散乱に起因するノイズが生成されることを確実に防止して、生化学解析の定量性を向上させることが可能になる。
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0274】
たとえば、前記実施態様においては、特異的結合物質として、塩基配列が既知の互いに異なった複数のcDNAが用いられているが、本発明において使用可能な特異的結合物質はcDNAに限定されるものではなく、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質はすべて、本発明の特異的結合物質として使用することができる。
【0275】
また、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1、121、141の吸着性膜2、122、142はいずれも、メンブレンフィルタを形成可能なナイロン6によって形成されているが、生化学解析用ユニット1、121、141の吸着性膜2、122、142が、ナイロン6によって形成されていることは必ずしも必要でなく、ナイロン6に代えて、活性炭などの炭素多孔質材料あるいはメンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料によって、生化学解析用ユニット1、121、141の吸着性膜2、122、142を形成することもできる。メンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料としては、たとえば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類;ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;コラーゲン;アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなどのアルギン酸類;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオライドなどのポリフルオライドや、これらの共重合体または複合体などが挙げられる。さらには、白金、金、鉄、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属;アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなどの金属酸化物;ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなどの金属塩やこれらの複合体などの無機多孔質材料あるいは複数の繊維の束によって、生化学解析用ユニット1、121、141の吸着性膜2、122、142を形成することもできる。
【0276】
さらに、図1および図2に示された実施態様においては、生化学解析用ユニット1は、カレンダーロールを用いて、吸着性膜2に、アルミニウム板5が圧入されて、生成され、図20および図21に示された実施態様においては、生化学解析用ユニット121は、熱プレス処理装置を用いて、吸着性膜122に、プラスチック中に金属酸化物粒子を分散して得たプラスチック基板125が圧入されて、生成されているが、カレンダーロールや熱プレス処理装置を用いて、アルミニウム板5あるいはプラスチック基板125を、吸着性膜2、122に圧入することは必ずしも必要でなく、他の手段を用いて、アルミニウム板5あるいはプラスチック基板125を、吸着性膜2、122に圧入するようにしてもよいし、圧入に代えて、適当な方法によって、アルミニウム板5あるいはプラスチック基板125を、吸着性膜2、122に埋め込んで、生化学解析用ユニット1、121を形成するようにしてもよい。
【0277】
また、図1および図2に示された実施態様においては、吸着性膜2に、アルミニウム板5を圧入して、生化学解析用ユニット1が生成され、図20および図21に示された実施態様においては、吸着性膜122に、プラスチック中に金属酸化物粒子を分散して得たプラスチック基板125を圧入して、生化学解析用ユニット121が生成されているが、アルミニウム5あるいはプラスチック中に金属酸化物粒子を分散して得たプラスチック基板125を用いることは必ずしも必要でなく、放射線および光を減衰させる性質を有する材料によって形成され、複数の貫通孔が形成された板状部材であれば、とくに限定されるものではなく、無機化合物材料、有機化合物材料のいずれによって形成された板状部材も使用することができ、金属材料、セラミック材料またはプラスチック材料によって形成された板状部材が、好ましく使用される。板状部材を形成するために好ましく使用可能で、放射線および/または光を減衰させることのできる無機化合物材料としては、たとえば、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、タンタル、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、錫、セレンなどの金属;真鍮、ステンレス、青銅などの合金;シリコン、アモルファスシリコン、ガラス、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの珪素材料;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物;タングステンカーバイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、砒化ガリウムなどの無機塩を挙げることができる。これらは、単結晶、アモルファス、セラミックのような多結晶焼結体にいずれの構造を有していてもよい。また、放射線および/または光を減衰させることのできる有機化合物材料としては、高分子化合物が好ましく用いられ、板状部材を形成するために好ましく使用可能な放射線および/または光を減衰させることのできる高分子化合物としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体などのアクリル樹脂;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリテトラフルオロエチレン;ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリカーボネート;ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン;ポリイミド;ポリスルホン;ポリフェニレンサルファイド;ポリジフェニルシロキサンなどのケイ素樹脂;ノボラックなどのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;ポリウレタン;ポリスチレン;ブタジエン−スチレン共重合体;セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、でん粉、アルギン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの多糖類;キチン;キトサン;ウルシ;ゼラチン、コラーゲン、ケラチンなどのポリアミドおよびこれら高分子化合物の共重合体などを挙げることができる。これらは、複合材料でもよく、必要に応じて、金属酸化物粒子やガラス繊維などを充填することもでき、また、有機化合物材料をブレンドして、使用することもできる。
【0278】
また、図1および図2に示された実施態様においては、吸着性膜2に、接着剤3を介して、アルミニウム板5を圧入し、生化学解析用ユニット1を形成し、図20および図21に示された実施態様においては、吸着性膜122に、接着剤123を介して、プラスチック中に金属酸化物粒子を分散して生成したプラスチック基板125を圧入し、生化学解析用ユニット121を形成しているが、接着剤3、123を用いることは必ずしも必要でない。
【0279】
さらに、図1および図2に示された実施態様においては、吸着性膜2に、アルミニウム板5を圧入して、各吸着性領域4の周囲に、放射線および光を減衰させる性質を有するアルミニウム板5が存在するように、生化学解析用ユニット1が生成され、図20および図21に示された実施態様においては、吸着性膜122に、プラスチック中に金属酸化物粒子を分散して生成したプラスチック基板125を圧入して、各吸着性領域124の周囲に、放射線および光を減衰させる性質を有するプラスチック基板125が存在するように、生化学解析用ユニット121が生成され、さらには、図25および図26に示された実施態様においては、各吸着性領域144の周囲に、放射線および光を減衰させる性質を有する遮蔽領域145が形成されるように、生化学解析用ユニット141が生成されており、いずれの実施態様においても、各吸着性領域4、124、144の周囲には、放射線および光を減衰させる性質を有する領域が形成されているが、蓄積性蛍光体シート10、130の多数のドット状の輝尽性蛍光体層領域12、132に記録された放射線データのみを検出して、生化学解析用データを生成する場合には、各吸着性領域4、124、144の周囲に、光は透過するが、放射線を減衰させる性質を有する領域を形成するようにしてもよく、その一方で、生化学解析用ユニット1、121、141の多数の吸着性領域4、124、144に記録された蛍光データあるいは化学発光データのみを検出して、生化学解析用データを生成する場合には、各吸着性領域4、124、144の周囲に、放射線は透過するが、光を減衰させる性質を有する領域を形成するようにしてもよい。
【0280】
さらに、図1および図2に示された実施態様、図20および図21に示された実施態様ならびに図25および図26に示された実施態様においては、いずれも、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4、124、144が、約5000個/平方センチメートルの密度で、規則的に、生化学解析用ユニット1、121、141に形成されているが、吸着性領域4、124、144が略円形に形成されることは必ずしも必要でなく、吸着性領域4、124、144は、任意の形状、たとえば、矩形状に形成することもできる。
【0281】
また、図1および図2に示された実施態様、図20および図21に示された実施態様ならびに図25および図26に示された実施態様においては、いずれも、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4、124、144が、約5000個/平方センチメートルの密度で、規則的に、生化学解析用ユニット1、121、141に形成されているが、吸着性領域4、124、144の数およびサイズは、目的に応じて、任意に選択をすることができ、好ましくは、10以上の5平方ミリメートル未満のサイズサイズを有する吸着性領域4、124、144が、10個/平方センチメートル以上の密度で、生化学解析用ユニット1、121、141に形成される。
【0282】
さらに、図1および図2に示された実施態様、図20および図21に示された実施態様ならびに図25および図26に示された実施態様においては、いずれも、約10000の約0.01平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4、124、144が、約5000個/平方センチメートルの密度で、規則的に、生化学解析用ユニット1、121、141に形成されているが、吸着性領域4、124、144を、規則的に、生化学解析用ユニット1、121、141に形成することは必ずしも必要でない。
【0283】
また、前記実施態様においては、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質を含むハイブリダイズ液9が調製され、吸着性材料4に滴下された特異的結合物質にハイブリダイズさせているが、生体由来の物質が、放射性標識物質、蛍光色素などの蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識されていることは必ずしも必要がなく、放射性標識物質あるいは放射性標識物質に加えて、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質のうちの少なくとも1種の標識物質によって標識されていればよい。
【0284】
さらに、前記実施態様においては、放射性標識物質、蛍光色素などの蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質が、特異的結合物質にハイブリダイズされているが、生体由来の物質を、特異的結合物質にハイブリダイズさせていることは必ずしも必要でなく、生体由来の物質を、ハイブリダイゼーションに代えて、抗原抗体反応、リセプター・リガンドなどの反応によって、特異的結合物質に特異的に結合させることもできる。
【0285】
さらに、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1、121に形成された吸着性領域4、124と同一の規則的なパターンで、生化学解析用ユニット1、121に形成された吸着性領域4、124と等しいサイズを有する略円形の輝尽性蛍光体層領域12、132が、蓄積性蛍光体シート10、130の支持体11、131に形成されているが、輝尽性蛍光体層領域12、132が、生化学解析用ユニット1、121に形成された吸着性領域4、124と等しいサイズを有していることは必ずしも必要でなく、好ましくは、生化学解析用ユニット1、121に形成された吸着性領域4、124のサイズ以上に形成される。
【0286】
また、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1、121に形成された吸着性領域4、124と同一の規則的なパターンで、生化学解析用ユニット1、121に形成された吸着性領域4、124と等しいサイズを有する略円形の輝尽性蛍光体層領域12、132が、蓄積性蛍光体シート10、130の支持体11、131に形成されているが、輝尽性蛍光体層領域12、132は、生化学解析用ユニット1、121に形成された吸着性領域4、124と同一のパターンで形成されていれば足り、規則的に形成されることは必ずしも必要でない。
【0287】
さらに、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1、121に形成された吸着性領域4、124と同一の規則的なパターンで、生化学解析用ユニット1、121に形成された吸着性領域4、124と等しいサイズを有する略円形の輝尽性蛍光体層領域12、132が、蓄積性蛍光体シート10、130の支持体11、131に形成されているが、輝尽性蛍光体層領域12、132を略円形に形成することは必ずしも必要でなく、任意の形状、たとえば、矩形状に形成することもできる。
【0288】
また、前記実施態様においては、蓄積性蛍光体シート10、130の支持体11、131は、ステンレスによって形成されているが、蓄積性蛍光体シート10、130の支持体11、131がステンレスによって形成されていることは必ずしも必要でなく、他の材料によって形成された支持体を用いることもできる。本発明において、蓄積性蛍光体シートの支持体は、放射線を減衰させる性質を有する材料によって形成されていることが好ましいが、とくに限定されるものではなく、無機化合物材料、有機化合物材料のいずれをも使用することができ、金属材料、セラミック材料またはプラスチック材料が、とくに好ましく使用される。蓄積性蛍光体シートの支持体を形成するために好ましく使用可能で、放射線を減衰させることのできる無機化合物材料としては、たとえば、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、タンタル、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、錫、セレンなどの金属;真鍮、ステンレス、青銅などの合金;シリコン、アモルファスシリコン、ガラス、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの珪素材料;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物;タングステンカーバイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、砒化ガリウムなどの無機塩を挙げることができる。これらは、単結晶、アモルファス、セラミックのような多結晶焼結体にいずれの構造を有していてもよい。また、蓄積性蛍光体シートの支持体を形成するために好ましく使用可能で、放射線を減衰させることのできる有機化合物材料としては、高分子化合物が好ましく用いられ、好ましく用いられる高分子化合物としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体などのアクリル樹脂;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリテトラフルオロエチレン;ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリカーボネート;ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン;ポリイミド;ポリスルホン;ポリフェニレンサルファイド;ポリジフェニルシロキサンなどのケイ素樹脂;ノボラックなどのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;ポリウレタン;ポリスチレン;ブタジエン−スチレン共重合体;セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、でん粉、アルギン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの多糖類;キチン;キトサン;ウルシ;ゼラチン、コラーゲン、ケラチンなどのポリアミドおよびこれら高分子化合物の共重合体などを挙げることができる。これらは、複合材料でもよく、必要に応じて、金属酸化物粒子やガラス繊維などを充填することもでき、また、有機化合物材料をブレンドして、使用することもできる。
【0289】
さらに、前記実施態様においては、図8ないし図15に示されたスキャナを用いて、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域12に記録された放射性標識物質の放射線データおよび生化学解析用ユニット1に記録された蛍光色素などの蛍光物質の蛍光データを読み取って、生化学解析用データを生成しているが、放射性標識物質の放射線データおよび蛍光物質の蛍光データを1つのスキャナによって読み取ることは必ずしも必要でなく、放射性標識物質の放射線データと、蛍光物質の蛍光データを、別個のスキャナによって読み取って、生化学解析用データを生成するようにしてもよい。
【0290】
また、前記実施態様においては、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域12に記録された放射性標識物質の放射線データおよび生化学解析用ユニット1に記録された蛍光色素などの蛍光物質の蛍光データを読み取って、生化学解析用データを生成する場合に、図8ないし図15に示されたスキャナを用いているが、放射性標識物質の放射線データあるいは蛍光物質の蛍光データを読み取るためのスキャナとしては、レーザ光24あるいは励起光によって、多数のドット状輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の表面を走査して、輝尽性蛍光体あるいは蛍光物質を励起することができるものあればよく、図8ないし図15に示されたスキャナを用いて、放射性標識物質の放射線データあるいは蛍光物質の蛍光データを読み取ることは必ずしも必要がない。
【0291】
さらに、図8ないし図15に示されたスキャナは、第1のレーザ励起光源21、第2のレーザ励起光源22および第3のレーザ励起光源23を備えているが、3つのレーザ励起光源を備えていることは必ずしも必要ない。
【0292】
また、前記実施態様においては、図16ないし図19に示された蛍光データをも生成可能なデータ生成システムによって、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に記録された化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質の化学発光データを読み取って、生化学解析用データを生成しているが、化学発光データを読み取って、生化学解析用データを生成するデータ生成システムが、蛍光データをも生成可能であることは必ずしも必要でなく、データ生成システムが、もっぱら、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に記録された化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質の化学発光データのみを読み取るために使用される場合には、LED光源100、フィルタ101、フィルタ102および拡散板103を省略することができる。
【0293】
また、前記実施態様においては、走査機構によって、図14において、矢印Xで示される主走査方向および矢印Yで示される副走査方向に、光学ヘッド35を移動させることによって、レーザ光24により、蓄積性蛍光体シート10のすべてのドット状輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の全面を走査して、輝尽性蛍光体あるいは蛍光色素などの蛍光物質を励起しているが、光学ヘッド35を静止状態に維持し、ステージ40を、図14において、矢印Xで示される主走査方向および矢印Yで示される副走査方向に移動させることによって、レーザ光24により、蓄積性蛍光体シート10のすべてのドット状輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の全面を走査して、輝尽性蛍光体あるいは蛍光色素などの蛍光物質を励起するようにしてもよく、また、光学ヘッド35を、図14において、矢印Xで示される主走査方向あるいは矢印Yで示される副走査方向に移動させるとともに、ステージ40を、矢印Yで示される副走査方向あるいは矢印Xで示される主走査方向に移動させることもできる。
【0294】
さらに、図8ないし図15に示されたスキャナにおいては、光検出器として、フォトマルチプライア50を用いて、蛍光あるいは輝尽光を光電的に検出しているが、本発明において用いられる光検出器としては、蛍光あるいは輝尽光を光電的に検出可能であればよく、フォトマルチプライア50に限らず、ラインCCDや二次元CCDなどの他の光検出器を用いることもできる。
【0295】
さらに、前記実施態様においては、インジェクタ6とCCDカメラ7を備えたスポッティング装置を用い、CCDカメラ7によって、インジェクタ6の先端部と、cDNAなどの特異的結合物質を滴下すべき吸着性領域4を観察しながら、インジェクタ6の先端部と、cDNAなどの特異的結合物質を滴下すべき吸着性領域4の中心とが合致したときに、インジェクタ6から、cDNAなどの特異的結合物質を放出させて、滴下しているが、インジェクタ6の先端部と、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4との相対的な位置関係を、あらかじめ検出しておき、インジェクタ6と、生化学解析用ユニット1とを、相対的に、一定のピッチで、二次元的に移動させて、cDNAなどの特異的結合物質を滴下するようにすることもできる。
【0296】
【発明の効果】
本発明によれば、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、担体に、スポット状に滴下して、高密度のスポット状領域を形成し、スポット状の特異的結合物質に、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質を特異的に結合させて、選択的に標識して得た生化学解析用ユニットを、輝尽性蛍光体層と密着させて、輝尽性蛍光体層を放射性標識物質によって露光し、輝尽性蛍光体層に励起光を照射して、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを防止することのできる生化学解析用ユニットおよびその製造方法を提供することが可能になる。
【0297】
また、本発明によれば、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、担体に、スポット状に滴下して、高密度のスポット状領域を形成し、スポット状の特異的結合物質に、放射性標識物質に加えて、あるいは、放射性標識物質に代えて、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質によって標識された生体由来の物質を特異的に結合させて、選択的に標識して得た生化学解析用ユニットから発せられる化学発光および/または蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する場合にも、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質から発せられる化学発光および/または蛍光の散乱に起因するノイズが生化学解析用データ中に生成されることを防止することのできる生化学解析用ユニットおよびその製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【図2】図2は、本発明の好ましい実施態様にかかる生化学解析用ユニットの略部分断面図である。
【図3】図3は、生化学解析用ユニットを製造するためのカレンダー処理装置の略断面図である。
【図4】図4は、スポッティング装置の略正面図である。
【図5】図5は、ハイブリダイゼーション容器の略横断面図である。
【図6】図6は、蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【図7】図7は、生化学解析用ユニットに形成された多数の吸着性領域に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートに形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域を露光する方法を示す略断面図である。
【図8】図8は、スキャナの一例を示す略斜視図である。
【図9】図9は、フォトマルチプライア近傍のスキャナの詳細を示す略斜視図である。
【図10】図10は、図9のA−A線に沿った略断面図である。
【図11】図11は、図9のB−B線に沿った略断面図である。
【図12】図12は、図9のC−C線に沿った略断面図である。
【図13】図13は、図9のD−D線に沿った略断面図である。
【図14】図14は、光学ヘッドの走査機構の略平面図である。
【図15】図15は、図8に示されたスキャナの制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【図16】図16は、生化学解析用ユニットに形成された多数の吸着性領域に記録された化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質の化学発光データを読み取って、生化学解析用データを生成するデータ生成システムの略正面図である。
【図17】図17は、データ生成システムの冷却CCDカメラの略縦断面図である。
【図18】図18は、データ生成システムの暗箱の略縦断面図である。
【図19】図19は、データ生成システムのパーソナルコンピュータの周辺のブロックダイアグラムである。
【図20】図20は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【図21】図21は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる生化学解析用ユニットの略部分断面図である。
【図22】図22は、熱プレス処理装置の略断面図である。
【図23】図23は、蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【図24】図24は、本発明の別の好ましい実施態様にかかる生化学解析用ユニットに形成された多数の吸着性領域に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートに形成された多数のドット状輝尽性蛍光体層領域を露光する方法を示す略断面図である。
【図25】図25は、本発明の他の好ましい実施態様にかかる生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【図26】図26は、本発明の他の好ましい実施態様にかかる生化学解析用ユニットの略部分断面図である。
【符号の説明】
1 生化学解析用ユニット
2 吸着性膜
3 接着剤
4 吸着性領域(貫通孔)
5 アルミニウム板
6 インジェクタ
7 CCDカメラ
8 ハイブリダイゼーション容器
9 ハイブリダイゼーション溶液
10 蓄積性蛍光体シート
11 支持体
12 ドット状輝尽性蛍光体層領域
13 凹部
15 カレンダーロール
21 第1のレーザ励起光源
22 第2のレーザ励起光源
23 第3のレーザ励起光源
24 レーザ光
25 コリメータレンズ
26 ミラー
27 第1のダイクロイックミラー
28 第2のダイクロイックミラー
29 ミラー
30 コリメータレンズ
31 コリメータレンズ
32 ミラー
33 穴開きミラーの穴
34 穴開きミラー
35 光学ヘッド
36 ミラー
37 非球面レンズ
38 凹面ミラー
40 ステージ
41 ガラス板
45 蛍光あるいは輝尽光
48 フィルタユニット
50 フォトマルチプライア
51a、51b、51c、51d フィルタ部材
52a、52b、52c、52d フィルタ
53 A/D変換器
54 データ処理装置
60 基板
61 副走査パルスモータ
62 一対のレール
63 移動可能な基板
64 ロッド
65 主走査ステッピングモータ
66 エンドレスベルト
67 リニアエンコーダ
68 リニアエンコーダのスリット
70 コントロールユニット
71 キーボード
72 フィルタユニットモータ
81 冷却CCDカメラ
82 暗箱
83 パーソナルコンピュータ
84 CRT
85 キーボード
86 CCD
87 伝熱板
88 ペルチエ素子
89 シャッタ
90 A/D変換器
91 画像データバッファ
92 カメラ制御回路
95 ガラス板
96 放熱フィン
97 カメラレンズ
100 LED光源
101 フィルタ
102 フィルタ
103 拡散板
110 CPU
111 データ転送手段
112 データ記憶手段
113 データ処理装置
114 データ表示手段
115 光源制御手段
121 生化学解析用ユニット
122 吸着性膜
123 接着剤
124 吸着性領域(貫通孔)
125 プラスチック基板
127 基台
128 プレス板
130 蓄積性蛍光体シート
131 支持体
132 ドット状の輝尽性蛍光体層領域
141 生化学解析用ユニット
142 吸着性膜
144 吸着性領域
145 遮蔽領域

Claims (48)

  1. 吸着性材料によって形成された吸着性膜に、放射線および/または光を減衰させる材料によって形成され、複数の貫通孔が形成された板状部材が埋め込まれて、前記複数の貫通孔に対応する位置に、複数の吸着性領域が形成されたことを特徴とする生化学解析用ユニット。
  2. 吸着性材料によって形成された吸着性膜に、放射線および/または光を減衰させる材料によって形成され、複数の貫通孔が形成された板状部材が埋め込まれて、前記複数の貫通孔に対応する位置に、複数の吸着性領域が形成され、前記複数の吸着性領域に、構造または特性が既知の特異的結合物質が滴下されて、吸着され、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識された生体由来の物質が、前記複数の吸着性領域に吸着されている前記特異的結合物質に、特異的に結合されて、前記複数の吸着性領域が選択的に標識されていることを特徴とする生化学解析用ユニット。
  3. 前記生体由来の物質が、ハイブリダイゼーション、抗原抗体反応、リセプター・リガンドよりなる群から選ばれた反応によって、前記特異的結合物質と結合されていることを特徴とする請求項2に記載の生化学解析用ユニット。
  4. 前記板状部材が、前記吸着性膜に圧入されて、前記複数の吸着性領域が形成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニット。
  5. 前記板状部材が、熱プレス処理によって、前記吸着性膜に圧入されて、前記多複数の孔質領域が形成されたことを特徴とする請求項4に記載の生化学解析用ユニット。
  6. 前記板状部材が、カレンダーロール処理によって、前記吸着性膜に圧入されて、前記複数の吸着性領域が形成されたことを特徴とする請求項5に記載の生化学解析用ユニット。
  7. 前記板状部材が、接着剤を介して、前記吸着性膜に圧入されて、前記複数の吸着性領域が形成されたことを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニット。
  8. 前記板状部材が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線および/または光が前記板状部材中を透過したときに、放射線および/または光のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニット。
  9. 前記板状部材が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線および/または光が前記板状部材中を透過したときに、放射線および/または光のエネルギーを、1/10以下に減衰させる性質を有することを特徴とする請求項8に記載の生化学解析用ユニット。
  10. 前記板状部材が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線および/または光が前記板状部材中を透過したときに、放射線および/または光のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有することを特徴とする請求項9に記載の生化学解析用ユニット。
  11. 前記板状部材が、金属材料、セラミック材料およびプラスチック材料よりなる群から選ばれる材料によって形成されたことを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニット。
  12. 前記板状部材が、プラスチック材料に、金属酸化物粒子を分散させて、形成されたことを特徴とする請求項11に記載の生化学解析用ユニット。
  13. 吸着性材料によって形成された吸着性膜に、金属単体コロイド粒子を含む溶液が含浸されて、放射線および光を減衰させる遮蔽領域が形成され、前記吸着性膜の前記遮蔽領域が形成されていない領域によって、複数の吸着性領域が形成されたことを特徴とする生化学解析用ユニット。
  14. 吸着性材料によって形成された吸着性膜に、金属単体コロイド粒子を含む溶液が含浸されて、放射線および光を減衰させる遮蔽領域が形成され、前記吸着性膜の前記遮蔽領域が形成されていない領域によって、複数の吸着性領域が形成され、前記複数の吸着性領域に、構造または特性が既知の特異的結合物質が滴下されて、吸着され、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識された生体由来の物質が、前記複数の吸着性領域に吸着されている前記特異的結合物質に、特異的に結合されて、前記複数の吸着性領域が選択的に標識されていることを特徴とする生化学解析用ユニット。
  15. 前記生体由来の物質が、ハイブリダイゼーション、抗原抗体反応、リセプター・リガンドよりなる群から選ばれた反応によって、前記特異的結合物質と結合されていることを特徴とする請求項14に記載の生化学解析用ユニット。
  16. 前記吸着性膜に、10以上の前記吸着性領域が形成されたことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニット。
  17. 前記吸着性膜に、1000以上の前記吸着性領域が形成されたことを特徴とする請求項16に記載の生化学解析用ユニット。
  18. 前記吸着性膜に、10000以上の前記吸着性領域が形成されたことを特徴とする請求項17に記載の生化学解析用ユニット。
  19. 前記複数の吸着性領域が、それぞれ、5平方ミリメートル未満のサイズを有していることを特徴とする請求項1ないし18のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニット。
  20. 前記複数の吸着性領域が、それぞれ、1平方ミリメートル未満のサイズを有していることを特徴とする請求項19に記載の生化学解析用ユニット。
  21. 前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.1平方ミリメートル未満のサイズを有していることを特徴とする請求項20に記載の生化学解析用ユニット。
  22. 前記複数の吸着性領域が、10個/平方センチメートル以上の密度で形成されたことを特徴とする請求項1ないし21のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニット。
  23. 前記複数の吸着性領域が、1000個/平方センチメートル以上の密度で形成されたことを特徴とする請求項22に記載の生化学解析用ユニット。
  24. 前記吸着性領域が、10000個/平方センチメートル以上の密度で形成されたことを特徴とする請求項23に記載の生化学解析用ユニット。
  25. 前記吸着性領域が、規則的に形成されたことを特徴とする請求項1ないし24のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニット。
  26. 前記吸着性膜が、多孔質材料によって形成されたことを特徴とする請求項1ないし25のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニット。
  27. 前記吸着性膜が、炭素多孔質材料またはメンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料によって形成されたことを特徴とする請求項26に記載の生化学解析用ユニット。
  28. 前記吸着性膜が、繊維材料によって形成されたことを特徴とする請求項1ないし25のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニット。
  29. 吸着性材料によって形成された吸着性膜に、放射線および/または光を減衰させる材料によって形成され、複数の貫通孔が形成された板状部材を埋め込んで、前記複数の貫通孔に対応する位置に、複数の吸着性領域を形成することを特徴とする生化学解析用ユニットの製造方法。
  30. 吸着性材料によって形成された吸着性膜に、放射線および/または光を減衰させる材料によって形成され、複数の貫通孔が形成された板状部材を埋め込んで、前記複数の貫通孔に対応する位置に、複数の吸着性領域を形成し、前記複数の吸着性領域に、構造または特性が既知の特異的結合物質を滴下し、吸着させ、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識された生体由来の物質を、前記複数の吸着性領域に吸着されている前記特異的結合物質に、特異的に結合させて、前記複数の吸着性領域を選択的に標識することを特徴とする生化学解析用ユニットの製造方法。
  31. 前記生体由来の物質が、ハイブリダイゼーション、抗原抗体反応、リセプター・リガンドよりなる群から選ばれた反応によって、前記特異的結合物質と結合されていることを特徴とする請求項30に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  32. 前記板状部材を、前記吸着性膜に圧入して、前記複数の吸着性領域を形成することを特徴とする請求項29ないし31のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  33. 前記板状部材を、熱プレス処理によって、前記吸着性膜に圧入して、前記複数の吸着性領域が形成することを特徴とする請求項32に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  34. 前記板状部材を、カレンダーロール処理によって、前記吸着性膜に圧入して、前記複数の吸着性領域を形成することを特徴とする請求項33に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  35. 前記板状部材を、接着剤を介して、前記吸着性膜に圧入して、前記複数の吸着性領域を形成することを特徴とする請求項32または34のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  36. 前記板状部材が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線および/または光が前記板状部材中を透過したときに、放射線および/または光のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有することを特徴とする請求項29ないし35のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  37. 前記板状部材が、金属材料、セラミック材料およびプラスチック材料よりなる群から選ばれる材料によって形成されたことを特徴とする請求項36に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  38. 前記板状部材が、プラスチックに、金属酸化物粒子を分散させて、形成されたことを特徴とする請求項37に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  39. 吸着性材料によって形成された吸着性膜に、金属コロイド単体粒子を含む溶液を含浸させて、放射線および光を減衰させる遮蔽領域を形成して、前記吸着性膜の前記遮蔽領域が形成されていない領域によって、複数の吸着性領域を形成することを特徴とする生化学解析用ユニットの製造方法。
  40. 吸着性材料によって形成された吸着性膜に、金属コロイド単体粒子を含む溶液を含浸させて、放射線および光を減衰させる遮蔽領域を形成して、前記吸着性膜の前記遮蔽領域が形成されていない領域によって、複数の吸着性領域を形成し、前記複数の吸着性領域に、構造または特性が既知の特異的結合物質を滴下し、吸着させ、放射性標識物質、蛍光物質および化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質よりなる群から選ばれる少なくとも1種の標識物質によって標識された生体由来の物質を、前記複数の吸着性領域に吸着されている前記特異的結合物質に、特異的に結合させて、前記複数の吸着性領域を選択的に標識することを特徴とする生化学解析用ユニットの製造方法。
  41. 前記生体由来の物質が、ハイブリダイゼーション、抗原抗体反応、リセプター・リガンドよりなる群から選ばれた反応によって、前記特異的結合物質と結合されていることを特徴とする請求項40に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  42. 前記吸着性膜に、10以上の前記吸着性領域を形成することを特徴とする請求項29ないし41のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  43. 前記複数の吸着性領域を、それぞれ、5平方ミリメートル未満のサイズに、形成することを特徴とする請求項29ないし42のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  44. 前記複数の吸着性領域を、10個/平方センチメートル以上の密度で形成することを特徴とする請求項29ないし43のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  45. 前記吸着性領域を、規則的に形成することを特徴とする請求項29ないし44のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  46. 前記吸着性膜が、多孔質材料によって形成されたことを特徴とする請求項29ないし45のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  47. 前記吸着性膜が、炭素多孔質材料またはメンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料によって形成されたことを特徴とする請求項46に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
  48. 前記吸着性膜が、繊維材料によって形成されたことを特徴とする請求項29ないし45のいずれか1項に記載の生化学解析用ユニットの製造方法。
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