JP2004037103A - スポッティング装置の滴下特性測定方法 - Google Patents

スポッティング装置の滴下特性測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特異的結合物質を含む溶液を、メンブレンフィルタなどの生化学解析用ユニットに滴下するスポッティング装置の滴下特性を、高い精度で、測定することができるスポッティング装置の滴下特性測定方法を提供する。
【解決手段】所定の物性を有し、標識物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニット111に形成された吸着性領域116に滴下し、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域117に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下することを特徴とするスポッティング装置の滴下特性測定方法。
【選択図】   図18

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポッティング装置の滴下特性を測定する方法に関するものであり、さらに詳細には、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を含む溶液を、メンブレンフィルタなどの生化学解析用ユニットに滴下するスポッティング装置の滴下特性を、高い精度で、測定することができるスポッティング装置の滴下特性測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
放射線が照射されると、放射線のエネルギーを吸収して、蓄積、記録し、その後に、特定の波長域の電磁波を用いて励起すると、照射された放射線のエネルギーの量に応じた光量の輝尽光を発する特性を有する輝尽性蛍光体を、放射線の検出材料として用い、放射性標識を付与した物質を、生物体に投与した後、その生物体あるいはその生物体の組織の一部を試料とし、この試料を、輝尽性蛍光体層が設けられた蓄積性蛍光体シートと一定時間重ね合わせることにより、放射線エネルギーを輝尽性蛍光体に、蓄積、記録し、しかる後に、電磁波によって、輝尽性蛍光体層を走査して、輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、ディジタル画像信号を生成し、画像処理を施して、CRTなどの表示手段上あるいは写真フイルムなどの記録材料上に、画像を再生するように構成されたオートラジオグラフィ解析システムが知られている(たとえば、特公平1−70884号公報、特公平1−70882号公報、特公平4−3962号公報など)。
【0003】
また、光が照射されると、光のエネルギーを吸収して、蓄積、記録し、その後に、特定の波長域の電磁波を用いて励起すると、照射された光のエネルギーの量に応じた光量の輝尽光を発する特性を有する輝尽性蛍光体を、光の検出材料として用い、蛋白質、遺伝子配列などの固定された高分子を、化学発光物質と接触して、化学発光を生じさせる標識物質により、選択的に標識し、標識物質によって選択的に標識された高分子と、化学発光物質とを接触させて、化学発光物質と標識物質との接触によって生ずる可視光波長域の化学発光を、蓄積性蛍光体シートに形成された輝尽性蛍光体層に含まれている輝尽性蛍光体に蓄積、記録し、しかる後に、電磁波によって、輝尽性蛍光体層を走査して、輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、ディジタル信号を生成し、データ処理を施して、CRTなどの表示手段上あるいは写真フイルムなどの記録材料上に、データを再生するように構成された化学発光解析システムが知られている(たとえば、米国特許第5,028,793号、英国特許出願公開GB第2,246,197Aなど。)。
【0004】
蓄積性蛍光体シートを放射線の検出材料として使用するこれらのシステムは、写真フイルムを用いる場合とは異なり、現像処理という化学的処理が不必要であるだけでなく、得られたディジタルデータにデータ処理を施すことにより、所望のように、解析用データを再生し、あるいは、コンピュータによる定量解析が可能になるという利点を有している。
【0005】
他方、オートラジオグラフィ解析システムにおける放射性標識物質に代えて、蛍光色素などの蛍光物質を標識物質として使用した蛍光(fluorescence)解析システムが知られている。この蛍光解析システムによれば、蛍光物質から放出された蛍光を検出することによって、遺伝子配列、遺伝子の発現レベル、実験用マウスにおける投与物質の代謝、吸収、排泄の経路、状態、蛋白質の分離、同定、あるいは、分子量、特性の評価などをおこなうことができ、たとえば、電気泳動されるべき複数種の蛋白質分子を含む溶液を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、ゲル支持体を蛍光色素を含んだ溶液に浸すなどして、電気泳動された蛋白質を染色し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することによって、画像を生成し、ゲル支持体上の蛋白質分子の位置および量的分布を検出したりすることができる。あるいは、ウェスタン・ブロッティング法により、ニトロセルロースなどの転写支持体上に、電気泳動された蛋白質分子の少なくとも一部を転写し、目的とする蛋白質に特異的に反応する抗体を蛍光色素で標識して調製したプローブと蛋白質分子とを会合させ、特異的に反応する抗体にのみ結合する蛋白質分子を選択的に標識し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の蛋白質分子の位置および量的分布を検出したりすることができる。また、電気泳動させるべき複数のDNA断片を含む溶液中に、蛍光色素を加えた後に、複数のDNA断片をゲル支持体上で電気泳動させ、あるいは、蛍光色素を含有させたゲル支持体上で、複数のDNA断片を電気泳動させ、あるいは、複数のDNA断片を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、ゲル支持体を、蛍光色素を含んだ溶液に浸すなどして、電気泳動されたDNA断片を標識し、励起光により、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、ゲル支持体上のDNAを分布を検出したり、あるいは、複数のDNA断片を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、DNAを変性(denaturation)し、次いで、サザン・ブロッティング法により、ニトロセルロースなどの転写支持体上に、変性DNA断片の少なくとも一部を転写し、目的とするDNAと相補的なDNAもしくはRNAを蛍光色素で標識して調製したプローブと変性DNA断片とをハイブリダイズさせ、プローブDNAもしくはプローブRNAと相補的なDNA断片のみを選択的に標識し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の目的とするDNAの分布を検出したりすることができる。さらに、標識物質によって標識した目的とする遺伝子を含むDNAと相補的なDNAプローブを調製して、転写支持体上のDNAとハイブリダイズさせ、酵素を、標識物質により標識された相補的なDNAと結合させた後、蛍光基質と接触させて、蛍光基質を蛍光を発する蛍光物質に変化させ、励起光によって、生成された蛍光物質を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の目的とするDNAの分布を検出したりすることもできる。この蛍光解析システムは、放射性物質を使用することなく、簡易に、遺伝子配列などを検出することができるという利点がある。
【0006】
また、同様に、蛋白質や核酸などの生体由来の物質を支持体に固定し、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質により、選択的に標識し、標識物質によって選択的に標識された生体由来の物質と化学発光基質とを接触させて、化学発光基質と標識物質との接触によって生ずる可視光波長域の化学発光を、光電的に検出して、ディジタル画像信号を生成し、画像処理を施して、CRTなどの表示手段あるいは写真フィルムなどの記録材料上に、化学発光画像を再生して、遺伝子情報などの生体由来の物質に関する情報を得るようにした化学発光解析システムも知られている。
【0007】
さらに、近年、スライドガラス板やメンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、スポッター装置を用いて、滴下して、多数の独立したスポットを形成し、次いで、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、mRNAなど、抽出、単離などによって、生体から採取され、あるいは、さらに、化学的処理、化学修飾などの処理が施された生体由来の物質であって、蛍光物質、色素などの標識物質によって標識された物質を、ハイブリダイゼーションなどによって、特異的結合物質に、特異的に結合させたマイクロアレイに、励起光を照射して、蛍光物質、色素などの標識物質から発せられた蛍光などの光を光電的に検出して、生体由来の物質を解析するマイクロアレイ解析システムが開発されている。このマイクロアレイ解析システムによれば、スライドガラス板やメンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、数多くの特異的結合物質のスポットを高密度に形成して、標識物質によって標識された生体由来の物質をハイブリダイズさせることによって、短時間に、生体由来の物質を解析することが可能になるという利点がある。
【0008】
また、メンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、スポッター装置を用いて、滴下して、多数の独立したスポットを形成し、次いで、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、mRNAなど、抽出、単離などによって、生体から採取され、あるいは、さらに、化学的処理、化学修飾などの処理が施された生体由来の物質であって、放射性標識物質によって標識された物質を、ハイブリダイゼーションなどによって、特異的結合物質に、特異的に結合させたマクロアレイを、輝尽性蛍光体を含む輝尽性蛍光体層が形成された蓄積性蛍光体シートと密着させて、輝尽性蛍光体層を露光し、しかる後に、輝尽性蛍光体層に励起光を照射し、輝尽性蛍光体層から発せられた輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する放射性標識物質を用いたマクロアレイ解析システムも開発されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
マクロアレイ解析システムにおいては、スポッティング装置を用いて、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を含む溶液を、メンブレンフィルタなどの生化学解析用ユニットの異なる領域に滴下して、特異的結合物質が吸着されれた複数のスポット状領域を形成し、放射性標識物質や蛍光物質などの標識物質によって標識された生体由来の物質を、生化学解析用ユニットの複数のスポット状領域に吸着された特異的結合物質に、ハイブリダイゼーションなどによって、選択的に、特異的結合させ、励起光によって、生化学解析用ユニットを走査して、生化学解析用ユニットの複数のスポット状領域から放出された蛍光を光電的に検出し、あるいは、蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を生化学解析用ユニットに重ね合わせて、生化学解析用ユニットの複数のスポット状領域に選択的に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を露光し、励起光によって、露光された輝尽性蛍光体層を走査して、蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生化学解析を実行するように構成されており、生化学解析の定量性を向上させるために、生化学解析用ユニットの各スポット状領域に吸着された特異的結合物質の吸着量を正しく把握することが要求されている。
【0010】
生化学解析用ユニットの各スポット状領域に吸着された特異的結合物質の吸着量を把握するためには、スポッティング装置によって、滴下される特異的結合物質を含む溶液の滴下量を把握することが必要であるが、スポッティング装置によって、滴下特性が異なるため、従来は、特定の物性を有する計量された溶液を、メンブレンフィルタなどの生化学解析用ユニットに滴下して、生成されたスポット状領域の面積と、スポッティング装置によって、同じ溶液が、生化学解析用ユニットに滴下されて、生成されたスポット状領域の面積とを比較して、スポッティング装置によって、滴下される特異的結合物質を含む溶液の滴下量を推定していた。
【0011】
しかしながら、この方法は、間接的に、特異的結合物質を含む溶液の滴下量を推定するものであるため、測定されたスポッティング装置の滴下特性は信頼性が低く、また、金属などによって形成された基板に形成された複数の孔内に、吸着性材料を充填して、生化学解析用ユニットに、複数の吸着性領域が形成されている場合には、特定の物性を有する計量された溶液を、生化学解析用ユニットの吸着性領域に滴下したときに、吸着性領域の面積が、基板に形成された孔の面積に制限されるため、かかる方法により、スポッティング装置によって、滴下される特異的結合物質を含む溶液の滴下量を推定し、スポッティング装置の滴下特性を測定することはできなかった。
【0012】
したがって、本発明は、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を含む溶液を、メンブレンフィルタなどの生化学解析用ユニットに滴下するスポッティング装置の滴下特性を、高い精度で、測定することができるスポッティング装置の滴下特性測定方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、所定の物性を有し、標識物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニットに形成された吸着性領域に滴下し、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下することを特徴とするスポッティング装置の滴下特性測定方法によって達成される。
【0014】
本発明によれば、所定の物性を有し、蛍光物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニットに形成された吸着性領域に滴下し、その一方で、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下し、生化学解析用ユニットの吸着性領域のそれぞれに、励起光を照射して、蛍光物質を励起し、蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して、吸着性領域のそれぞれのデータを生成し、吸着性領域のそれぞれのデータの信号強度に基づいて、吸着性領域のそれぞれに含まれた蛍光物質の量を比較し、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を算出することによって、高い精度で、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を検出し、スポッティング装置の滴下特性を測定することが可能になる.
また、本発明によれば、所定の物性を有し、放射性標識物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニットに形成された吸着性領域に滴下し、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下したのち、輝尽性蛍光体層が形成された蓄積性蛍光体シートを、生化学解析用ユニットに重ね合わせて、吸着性領域のそれぞれに含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を露光し、放射性標識物質によって露光された蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層に、励起光を照射して、輝尽性蛍光体層に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、吸着性領域のそれぞれのデータを生成し、吸着性領域のそれぞれのデータの信号強度に基づいて、吸着性領域のそれぞれに含まれた放射性標識物質の量を比較し、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を算出することによって、高い精度で、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を検出し、スポッティング装置の滴下特性を測定することが可能になる.
本発明の好ましい実施態様においては、所定の物性を有し、蛍光物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニットに形成された吸着性領域に滴下し、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下したのち、前記生化学解析用ユニットの前記吸着性領域のそれぞれに、励起光を照射して、前記吸着性領域のそれぞれに含まれた前記蛍光物質を励起し、前記蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して、前記吸着性領域のそれぞれのデータを生成し、前記吸着性領域のそれぞれのデータの信号強度に基づいて、前記吸着性領域のそれぞれに含まれた前記蛍光物質の量を比較し、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を算出して、スポッティング装置の滴下特性を測定するように構成されている。
【0015】
本発明の好ましい実施態様によれば、所定の物性を有し、蛍光物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニットに形成された吸着性領域に滴下し、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下したのち、生化学解析用ユニットの吸着性領域のそれぞれに、励起光を照射して、吸着性領域のそれぞれに含まれた蛍光物質を励起し、蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して、吸着性領域のそれぞれのデータを生成し、吸着性領域のそれぞれのデータの信号強度の比を求めることによって、高い精度で、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を検出することができるから、スポッティング装置の滴下特性を、高い精度で、測定することが可能になる。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、蛍光物質として、波長の長い励起光によって、励起可能な蛍光物質が選ばれる。
【0017】
励起光を、生化学解析用ユニットの吸着性領域に照射して、蛍光物質を励起する際、生化学解析用ユニットの吸着性領域を形成している吸着性材料からも、蛍光が放出され、蛍光を光電的に検出して生成されたデータ中にノイズを生成するが、本発明のさらに好ましい実施態様によれば、波長の長い励起光によって、励起可能な蛍光物質が用いられているから、吸着性領域を形成している吸着性材料が励起されて生成されたノイズを低減させることができ、したがって、高い精度で、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を検出することが可能になるから、スポッティング装置の滴下特性を、高い精度で、測定することが可能になる。
【0018】
本発明の別の好ましい実施態様においては、所定の物性を有し、放射性標識物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニットに形成された吸着性領域に滴下し、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下したのち、輝尽性蛍光体層が形成された蓄積性蛍光体シートを、前記生化学解析用ユニットに重ね合わせて、前記吸着性領域のそれぞれに含まれた前記放射性標識物質によって、前記蓄積性蛍光体シートの前記輝尽性蛍光体層を露光し、前記放射性標識物質によって露光された前記蓄積性蛍光体シートの前記輝尽性蛍光体層に、励起光を照射して、前記輝尽性蛍光体層に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、前記輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、前記吸着性領域のそれぞれのデータを生成し、前記吸着性領域のそれぞれのデータの信号強度に基づいて、前記吸着性領域のそれぞれに含まれた前記放射性標識物質の量を比較し、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を算出して、スポッティング装置の滴下特性を測定するように構成されている。
【0019】
本発明の別の好ましい実施態様によれば、所定の物性を有し、放射性標識物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニットに形成された吸着性領域に滴下し、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下したのち、輝尽性蛍光体層が形成された蓄積性蛍光体シートを、生化学解析用ユニットに重ね合わせて、吸着性領域のそれぞれに含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を露光し、放射性標識物質によって露光された蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層に、励起光を照射して、輝尽性蛍光体層に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、吸着性領域のそれぞれのデータを生成し、吸着性領域のそれぞれのデータの信号強度の比を求めることによって、高い精度で、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を検出することができるから、スポッティング装置の滴下特性を、高い精度で、測定することが可能になる。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記吸着性領域を形成している吸着性材料ごとに、スポッティング装置の滴下特性を測定するように構成されている。
【0021】
溶液を滴下したときの溶液の吸収量は、生化学解析用ユニットの吸着性領域を形成している吸着性材料によって異なり、したがって、同じスポッティング装置を用いて、生化学解析用ユニットの吸着性領域に、特異的結合物質を含む同じ溶液を滴下しても、生化学解析用ユニットの吸着性領域を形成している吸着性材料によって、生化学解析用ユニットの吸着性領域に吸着される特異的結合物質の吸着量が異なるが、本発明のさらに好ましい実施態様によれば、前記生化学解析用ユニットの前記吸着性領域を形成している吸着性材料ごとに、スポッティング装置の滴下特性が測定されているから、高い精度で、生化学解析用ユニットの吸着性領域に吸着された特異的結合物質の吸着量を検出することが可能になる。
【0022】
本発明の好ましい実施態様においては、生化学解析用ユニットは、複数の孔が、互いに離間して、形成された基板を備え、前記基板に形成された前記複数の孔内に、吸着性材料が充填されて、複数の吸着性領域が形成されている。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、生化学解析用ユニットは、複数の貫通孔が、互いに離間して、形成された基板を備え、前記基板に形成された前記複数の貫通孔内に、吸着性材料が充填されて、複数の吸着性領域が形成されている。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、生化学解析用ユニットは、複数の貫通孔が、互いに離間して、形成された基板を備え、前記基板に形成された前記複数の貫通孔内に、吸着性材料を含む吸着性膜が圧入されて、複数の吸着性領域が形成されている。
【0025】
本発明の別の好ましい実施態様においては、生化学解析用ユニットは、複数の貫通孔が、互いに離間して、形成された基板を備え、前記基板に形成された前記複数の貫通孔内に、吸着性材料が埋め込まれて、複数の吸着性領域が形成されている。
【0026】
本発明の別の好ましい実施態様においては、生化学解析用ユニットは、複数の凹部が、互いに離間して、形成された基板を備え、前記基板に形成された前記複数の凹部内に、吸着性材料が充填されて、複数の吸着性領域が形成されている。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、生化学解析用ユニットは、複数の凹部が、互いに離間して、形成された基板を備え、前記基板に形成された前記複数の凹部内に、吸着性材料が埋め込まれて、複数の吸着性領域が形成されている。
【0028】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、10個以上の吸着性領域が形成されている。
【0029】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、50個以上の吸着性領域が形成されている。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、100個以上の吸着性領域が形成されている。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、500個以上の吸着性領域が形成されている。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、1000個以上の吸着性領域が形成されている。
【0033】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、5000個以上の吸着性領域が形成されている。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、10000個以上の吸着性領域が形成されている。
【0035】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、50000個以上の吸着性領域が形成されている。
【0036】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、100000個以上の吸着性領域が形成されている。
【0037】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、5平方ミリメートル未満のサイズを有するように、前記基板に形成されている。
【0038】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、1平方ミリメートル未満のサイズを有するように、前記基板に形成されている。
【0039】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.5平方ミリメートル未満のサイズを有するように、前記基板に形成されている。
【0040】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.1平方ミリメートル未満のサイズを有するように、前記基板に形成されている。
【0041】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.05平方ミリメートル未満のサイズを有するように、前記基板に形成されている。
【0042】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.01平方ミリメートル未満のサイズを有するように、前記基板に形成されている。
【0043】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、10個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0044】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、50個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0045】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、100個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0046】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、500個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0047】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、1000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0048】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、5000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0049】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、10000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0050】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、50000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0051】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、100000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0052】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、放射線エネルギーを減衰させる性質を有している。
【0053】
本発明の好ましい実施態様によれば、生化学解析用ユニットの基板に、複数の吸着性領域を高密度に形成し、生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域に、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を含む溶液を滴下して、複数の吸着性領域内に、特異的結合物質を吸着させ、複数の吸着性領域に吸着された特異的結合物質に、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質を、ハイブリダイゼーションなどによって、特異的に結合させて、複数の吸着性領域を、放射性標識物質によって、選択的に標識して、放射線データを記録し、複数の輝尽性蛍光体層領域が形成された蓄積性蛍光体シートを、生化学解析用ユニットに重ね合わせて、複数の吸着性領域に選択的に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートに形成された輝尽性蛍光体層を露光する場合においても、吸着性領域に含まれている放射性標識物質から放出された電子線(β線)が、生化学解析用ユニットの基板内で散乱することを効果的に防止することができるから、吸着性領域に含まれている放射性標識物質から放出された電子線(β線)を、対応する輝尽性蛍光体層の領域に、選択的に入射させて、対応する輝尽性蛍光体層の領域のみを露光することが可能になり、したがって、放射性標識物質によって露光された輝尽性蛍光体層を励起光によって走査し、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出することによって、高い分解能で、定量性に優れた生化学解析用のデータを生成することが可能になる。
【0054】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有している。
【0055】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/10以下に減衰させる性質を有している。
【0056】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/50以下に減衰させる性質を有している。
【0057】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有している。
【0058】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/500以下に減衰させる性質を有している。
【0059】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/1000以下に減衰させる性質を有している。
【0060】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、光エネルギーを減衰させる性質を有している。
【0061】
本発明の好ましい実施態様によれば、生化学解析用ユニットの基板に、複数の吸着性領域を高密度に形成し、生化学解析用ユニットの複数の吸着性領域に、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を含む溶液を滴下して、複数の吸着性領域内に、特異的結合物質を吸着させ、複数の吸着性領域に吸着された特異的結合物質に、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質を、ハイブリダイゼーションなどによって、特異的に結合させて、複数の吸着性領域を、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって、選択的に標識して、化学発光データを記録し、こうして得られた生化学解析用ユニットに、化学発光基質を接触させて、複数の吸着性領域から、選択的に化学発光を放出させ、輝尽性蛍光体層が形成された蓄積性蛍光体シートを、化学発光を放出している生化学解析用ユニットに重ね合わせて、複数の吸着性領域から、選択的に放出された化学発光によって、蓄積性蛍光体シートに形成された輝尽性蛍光体層を露光する場合においても、吸着性領域から放出された化学発光が、生化学解析用ユニットの基板内で散乱することを効果的に防止することができるから、吸着性領域から放出された化学発光を、対応する輝尽性蛍光体層の領域に、選択的に入射させて、対応する輝尽性蛍光体層の領域のみを露光することが可能になり、したがって、化学発光によって露光された輝尽性蛍光体層を励起光によって走査し、輝尽性蛍光体層から放出された輝尽光を光電的に検出することによって、高い分解能で、定量性に優れた生化学解析用のデータを生成することが可能になる。
【0062】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有している。
【0063】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/10以下に減衰させる性質を有している。
【0064】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/50以下に減衰させる性質を有している。
【0065】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有している。
【0066】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/500以下に減衰させる性質を有している。
【0067】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/1000以下に減衰させる性質を有している。
【0068】
本発明において、生化学解析用ユニットの基板を形成するための材料は、放射線エネルギーおよび/またはを減衰させる性質を有していることが好ましいが、とくに限定されるものではなく、無機化合物材料、有機化合物材料のいずれをも使用することができ、金属材料、セラミック材料またはプラスチック材料が、好ましく使用される。
【0069】
本発明において、生化学解析用ユニットの基板を形成するために好ましく使用することのできる無機化合物材料としては、たとえば、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、タンタル、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、錫、セレンなどの金属;真鍮、ステンレス、青銅などの合金;シリコン、アモルファスシリコン、ガラス、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの珪素材料;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物;タングステンカーバイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、砒化ガリウムなどの無機塩を挙げることができる。これらは、単結晶、アモルファス、セラミックのような多結晶焼結体にいずれの構造を有していてもよい。
【0070】
本発明において、生化学解析用ユニットの基板を形成するために使用可能な有機化合物材料としては、高分子化合物が好ましく用いられ、好ましく使用することのできる高分子化合物としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体などのアクリル樹脂;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリテトラフルオロエチレン;ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリカーボネート;ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン;ポリイミド;ポリスルホン;ポリフェニレンサルファイド;ポリジフェニルシロキサンなどのケイ素樹脂;ノボラックなどのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;ポリウレタン;ポリスチレン;ブタジエン−スチレン共重合体;セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、でん粉、アルギン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの多糖類;キチン;キトサン;ウルシ;ゼラチン、コラーゲン、ケラチンなどのポリアミドおよびこれら高分子化合物の共重合体などを挙げることができる。これらは、複合材料でもよく、必要に応じて、金属酸化物粒子やガラス繊維などを充填することもでき、また、有機化合物材料をブレンドして、使用することもできる。
【0071】
一般に、比重が大きいほど、放射線の減衰能が高くなるので、生化学解析用ユニットの基板は、比重1.0g/cm以上の化合物材料または複合材料によって形成されることが好ましく、比重が1.5g/cm以上、23g/cm以下の化合物材料または複合材料によって形成されることが、とくに好ましい。
【0072】
一般に、光の散乱および/または吸収が大きいほど、光の減衰能が高くなるので、本発明において、生化学解析用ユニットの基板は、厚さ1cmあたりの吸光度が0.3以上であることが好ましく、厚さ1cmあたりの吸光度が1以上であれば、さらに好ましい。ここに、吸光度は、厚さTcmの板状体の直後に、積分球を置き、計測に利用するプローブ光またはエミッション光の波長における透過光量Aを分光光度計によって測定し、A/Tを算出することによって、求められる。本発明において、光減衰能を向上させるために、光散乱体や光吸収体を、生化学解析用ユニットの基板に含有させることもできる。光散乱体としては、生化学解析用ユニットの基板を形成している材料と異なる材料の微粒子が用いられ、光吸収体としては、顔料または染料が用いられる。
【0073】
本発明の別の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットが、吸着性材料によって形成された吸着性基板を備えている。
【0074】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域あるいは吸着性基板を形成するために使用される吸着性材料としては、多孔質材料あるいは繊維材料が好ましく使用される。多孔質材料と繊維材料を併用して、吸着性領域あるいは吸着性基板を形成することもできる。
【0075】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域あるいは吸着性基板を形成するために使用される多孔質材料は、有機材料、無機材料のいずれでもよく、有機/無機複合体でもよい。
【0076】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域あるいは吸着性基板を形成するために使用される有機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、活性炭などの炭素材料あるいはメンブレンフィルタを形成可能な材料が、好ましく用いられる。具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類;ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;コラーゲン;アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなどのアルギン酸類;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオライドなどのポリフルオライドや、これらの共重合体または複合体が挙げられる。
【0077】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域あるいは吸着性基板を形成するために使用される無機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、白金、金、鉄、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属;アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなどの金属酸化物;ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなどの金属塩やこれらの複合体などが挙げられる。
【0078】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域あるいは吸着性基板を形成するために使用される繊維材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
【0079】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
【0080】
図1は、特異的結合物質を含む溶液、たとえば、塩基配列が既知の互いに異なった複数のcDNAを含む溶液が滴下される生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【0081】
図1に示される生化学解析用ユニット1は、ステンレス鋼によって形成され、多数の貫通孔3が形成された基板2を備え、基板2に形成された多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、多数の吸着性領域4が形成されている。
【0082】
図1には正確に示されていないが、本実施態様においては、約0.07平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4が、120列×160行のマトリックス状に、規則的に形成されるように、基板2に、貫通孔3が形成されており、したがって、合計19200の吸着性領域4が形成されている。
【0083】
ここに、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4は、その表面が、基板2の表面の下方に位置するように、多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、形成されている。
【0084】
図1に示されるように、生化学解析用ユニット1の基板2には、さらに、2つの円形の位置合わせ用貫通孔5、5が形成されている。
【0085】
図2は、スポッティング装置の略平面図である。
【0086】
図2に示されるように、スポッティング装置は、特異的結合物質を含む溶液を、生化学解析用ユニット1に向けて、噴射するインジェクタを備えたスポッティングヘッド9を備え、スポッティングヘッド9は、駆動機構により、図2において、矢印Xで示される主走査方向および矢印Yで示される副走査方向に移動可能に構成されている。
【0087】
スポッティング装置の駆動機構は、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき生化学解析用ユニット1が載置される基板10に固定されたフレーム11に取り付けられている。
【0088】
図2に示されるように、フレーム11上には、副走査パルスモータ12と一対のレール13、13とが固定され、フレーム11上には、さらに、一対のレール13、13に沿って、図2において、矢印Yで示された副走査方向に、移動可能な基板14が設けられている。
【0089】
移動可能な基板14には、ねじが切られた穴(図示せず)が形成されており、この穴内には、副走査パルスモータ12によって回転されるねじが切られたロッド15が係合している。
【0090】
移動可能な基板14上には、主走査パルスモータ16が設けられ、主走査パルスモータ16は、エンドレスベルト17を、所定のピッチで、間欠的に駆動可能に構成されている。
【0091】
スポッティング装置のスポッティングヘッド9は、エンドレスベルト17に固定されており、主走査パルスモータ16により、エンドレスベルト17が駆動されると、図2において、矢印Xで示された主走査方向に移動されるように構成されている。
【0092】
図2において、18は、スポッティングヘッド9の主走査方向における位置を検出するリニアエンコーダであり、19は、リニアエンコーダ18のスリットである。
【0093】
図2に示されるように、スポッティング装置の基板10には、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された2つの位置決め用の貫通孔5、5に対応する位置に、2つの位置決めピン20a、20bが立設されており、スポッティング装置の基板10に形成された2つの位置決めピン20a、20bが、対応する位置決め用の貫通孔6a、6b内に挿通されるように、生化学解析用ユニット1を、スポッティング装置の基板10上に載置することによって、つねに、生化学解析用ユニット1が、スポッティング装置の基板10上のほぼ同じ位置に載置されるように保証されている。
【0094】
図3は、スポッティング装置の制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【0095】
図3に示されるように、スポッティング装置の制御系は、スポッティング装置全体の動作を制御するコントロールユニット25を備え、スポッティング装置の入力系は、キーボード26を備えている。
【0096】
また、スポッティング装置の駆動系は、主走査パルスモータ16および副走査パルスモータ12を備え、スポッティング装置の検出系は、スポッティングヘッド9の主走査方向における位置を検出するリニアエンコーダ18と、ロッド15の回転量を検出するロータリーエンコーダ17を備えている。
【0097】
以上のように構成されたスポッティング装置によって、以下のようにして、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に、cDNAなどの特異的結合物質を含む溶液が滴下される。
【0098】
まず、生化学解析用ユニット1が、スポッティング装置の基板10に形成された2つの位置決めピン20a、20bが、それぞれ、生化学解析用ユニット1の対応する2つの位置決め用の貫通孔5、5内に挿通されるように、スポッティング装置の基板10上に載置される。
【0099】
次いで、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4の位置に関する滴下データが、キーボード26に入力される。
【0100】
本実施態様においては、約0.07平方ミリメートルのサイズを有する19200の略円形の吸着性領域4が、120列×160行のマトリックス状に、生化学解析用ユニット1の基板2に、規則的に形成されており、特異的結合物質を含む溶液は、生化学解析用ユニット1の各吸着性領域4に、滴下される。
【0101】
キーボード26に入力された滴下データは、コントロールユニット25に入力され、コントロールユニット25は、滴下データを受けると、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された各吸着性領域4の位置に、スポッティングヘッド9を移動させるために、主走査パルスモータ16および副走査パルスモータ12に与えるべき駆動パルスを算出し、駆動パルスデータを、メモリ(図示せず)に記憶する。
【0102】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット1の基板2には、多数の吸着性領域4が、一定の間隔で、規則的なパターンにより、形成されているから、三番目以降に、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき吸着性領域4の位置に、スポッティングヘッド9を移動させるために、主走査パルスモータ16および副走査パルスモータ12に与えるべき駆動パルスは、最初に、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき吸着性領域4の位置から、二番目に、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき吸着性領域4の位置に、スポッティングヘッド9を移動させるために、主走査パルスモータ16および副走査パルスモータ12に与えるべき駆動パルスと同一であり、したがって、最初に、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき吸着性領域4の位置に、スポッティングヘッド9を移動させるために、主走査パルスモータ16および副走査パルスモータ12に与えるべき駆動パルスと、最初に、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき吸着性領域4の位置から、二番目に、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき吸着性領域4の位置に、スポッティングヘッド9を移動させるために、主走査パルスモータ16および副走査パルスモータ12に与えるべき駆動パルスを算出して、メモリに記憶させれば、十分である。
【0103】
特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき吸着性領域4の位置に、スポッティングヘッド9を移動させるために、主走査パルスモータ16および副走査パルスモータ12に与えるべき駆動パルスが算出され、駆動パルスデータがメモリに記憶されると、コントロールユニット25は、メモリに記憶された駆動パルスデータに基づき、主走査パルスモータ16および副走査パルスモータ12に所定の駆動パルスを与えて、スポッティングヘッド9を間欠的に移動させ、スポッティングヘッド9が、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき吸着性領域4の位置に達した時点で、主走査パルスモータ16および副走査パルスモータ12に駆動停止信号を出力して、スポッティングヘッド9を停止させ、スポッティングヘッド9に滴下信号を出力して、インジェクタから、特異的結合物質を含む溶液を噴射させる。
【0104】
二番目以降に、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべき吸着性領域4の位置に、スポッティングヘッド9を移動させる場合には、スポッティングヘッド9は、矢印Xで示される主走査方向および矢印Yで示される副走査方向に、それぞれ、一定のピッチで、移動される。
【0105】
同様にして、主走査パルスモータ16および副走査パルスモータ12により、スポッティングヘッド9が間欠的に移動され、入力された滴下データにしたがって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に、順次、特異的結合物質を含む溶液が滴下される。
【0106】
こうして、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に、特異的結合物質を含む溶液が滴下される。
【0107】
図4は、ハイブリダイゼーション反応容器の略縦断面図である。
【0108】
図4に示されるように、ハイブリダイゼーション反応容器20は矩形状断面を有し、内部に、標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液21が収容されている。
【0109】
放射性標識物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、放射性標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液21が調製され、ハイブリダイゼーション反応容器20内に収容される。
【0110】
一方、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液21が調製され、ハイブリダイゼーション反応容器20内に収容される。
【0111】
さらに、蛍光色素などの蛍光物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、蛍光色素などの蛍光物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液21が調製されて、ハイブリダイゼーション反応容器20内に収容される。
【0112】
放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質のうち、2以上の生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液21を調製して、ハイブリダイゼーション反応容器20内に収容させることもでき、本実施態様においては、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液21が調製され、ハイブリダイゼーション反応容器20内に収容されている。
【0113】
ハイブリダイゼーションにあたって、cDNAなどの特異的結合物質が、多数の吸着性領域4に吸着されている生化学解析用ユニット1が、ハイブリダイゼーション反応容器20内に収容される。
【0114】
その結果、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に固定されている特異的結合物質に、放射性標識物質により標識され、ハイブリダイゼーション反応溶液21に含まれた生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識され、ハイブリダイゼーション反応溶液21に含まれた生体由来の物質が、選択的に、ハイブリダイズされる。
【0115】
こうして、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に、放射性標識物質の放射線データおよび蛍光色素などの蛍光物質の蛍光データが記録される。
【0116】
生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された蛍光データは、後述するスキャナによって読み取られ、生化学解析用データが生成される。
【0117】
一方、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された放射性標識物質の放射線データは、蓄積性蛍光体シートに転写され、蓄積性蛍光体シートに転写された放射線データは、後述するスキャナによって読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0118】
図5は、放射線データを転写すべき蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【0119】
図5に示されるように、本実施態様にかかる蓄積性蛍光体シート25は、ステンレス鋼によって形成され、多数の略円形の貫通孔28が規則的に形成された支持体26を備え、支持体26の形成された多数の貫通孔28内に、放射線エネルギーを吸収し、蓄積可能なBaFX系輝尽性蛍光体(ここに、Xは、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれたハロゲン原子である。)が充填されて、多数の輝尽性蛍光体層領域27が、ドット状に形成されている。
【0120】
多数の貫通孔28は、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4と同一のパターンで、支持体26に形成され、それぞれ、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4と同じサイズを有している。
【0121】
したがって、図5には、正確に示されていないが、本実施態様においては、約0.07平方ミリメートルのサイズを有する略円形の輝尽性蛍光体層領域27が、120列×160行のマトリックス状に、規則的に形成されるように、支持体26に、貫通孔28形成されており、したがって、合計19200の輝尽性蛍光体層領域27が形成されている。
【0122】
また、本実施態様においては、支持体26の表面と、多数の輝尽性蛍光体層領域27の表面とが同一の高さに位置するように、支持体26に形成された多数の貫通孔28に、輝尽性蛍光体が充填されて、蓄積性蛍光体シート25が形成されている。
【0123】
図5に示されるように、蓄積性蛍光体シート25の支持体26には、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された2つの位置合わせ用貫通孔5、5に対応する位置に、2つの円形の位置合わせ用貫通孔29、29が形成されている。
【0124】
図6は、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート25に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27を露光する方法を示す略断面図である。
【0125】
図6に示されるように、露光にあたっては、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された各輝尽性蛍光体層領域27が、生化学解析用ユニット1に形成された対応する吸着性領域4に対向するように、蓄積性蛍光体シート25と生化学解析用ユニット1とが重ね合わされる。
【0126】
この際、生化学解析用ユニットの基板2に形成された2つの位置合わせ用貫通孔5、5と、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された2つの位置合わせ用貫通孔29、29に、それぞれ、ピンなどを挿通させることによって、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された各輝尽性蛍光体層領域27が、生化学解析用ユニット1に形成された対応する吸着性領域4に正確に対向するように、蓄積性蛍光体シート25と生化学解析用ユニット1とを位置決めすることができる。
【0127】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット1は、ステンレス鋼製の基板2に形成された多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、形成されているので、ハイブリダイゼーションなど、液体による処理を受けても、伸縮することがなく、したがって、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4が、蓄積性蛍光体シート25に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27に、正確に対向するように、蓄積性蛍光体シート25と生化学解析用ユニット1とを、容易にかつ確実に重ね合わせて、多数の輝尽性蛍光体層領域27を露光することが可能になる。
【0128】
こうして、所定の時間にわたって、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27の各々と、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4とを対向させることによって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4に含まれている放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27が露光される。
【0129】
この際、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から、電子線(β線)が発せられるが、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4は、ステンレス鋼によって形成された基板2に、互いに離間して形成され、各吸着性領域4の周囲には、放射線エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の基板2が存在しているから、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が、生化学解析用ユニット1の基板2内で、散乱することを効果的に防止することができ、さらに、蓄積性蛍光体シート25の多数の輝尽性蛍光体層領域27が、放射線エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の支持体26に形成された複数の貫通孔28内に、輝尽性蛍光体を充填して、形成され、各輝尽性蛍光体層領域27の周囲には、放射線エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の支持体26が存在しているから、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が、蓄積性蛍光体シート25の支持体26内で、散乱することを効果的に防止することができ、したがって、したがって、吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線(β線)はすべて、その吸着性領域4に対向する輝尽性蛍光体層領域27に入射し、隣り合う吸着性領域4から放出される電子線(β線)によって露光されるべき輝尽性蛍光体層領域27に入射して、露光することを効果的に防止することができる。
【0130】
したがって、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27を、生化学解析用ユニット1の対応する吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から放出された電子線(β線)によって、選択的に、露光することが可能になる。
【0131】
こうして、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27に、放射線データが記録される。
【0132】
図7は、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27に記録されている放射線データおよび生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光データを読み取って、生化学解析用データを生成するスキャナの略斜視図であり、図8は、図7に示されたスキャナのフォトマルチプライア近傍の詳細を示す略斜視図である。
【0133】
図7に示されるように、スキャナは、640nmの波長のレーザ光24を発する第1のレーザ励起光源31と、532nmの波長のレーザ光24を発する第2のレーザ励起光源32と、473nmの波長のレーザ光24を発する第3のレーザ励起光源33とを備えている。
【0134】
本実施態様においては、第1のレーザ励起光源31は、半導体レーザ光源により構成され、第2のレーザ励起光源32および第3のレーザ励起光源33は、第二高調波生成(Second Harmonic Generation)素子によって構成されている。
【0135】
第1のレーザ励起光源31により発生されたレーザ光34は、コリメータレンズ35によって、平行な光とされた後、ミラー46によって反射される。第1のレーザ励起光源31から発せられ、ミラー46によって反射されたレーザ光34の光路には、640nmのレーザ光4を透過し、532nmの波長の光を反射する第1のダイクロイックミラー37および532nm以上の波長の光を透過し、473nmの波長の光を反射する第2のダイクロイックミラー48が設けられており、第1のレーザ励起光源31により発生されたレーザ光34は、第1のダイクロイックミラー37および第2のダイクロイックミラー48を透過して、ミラー39に入射する。
【0136】
他方、第2のレーザ励起光源32より発生されたレーザ光34は、コリメータレンズ40により、平行光とされた後、第1のダイクロイックミラー37によって反射されて、その向きが90度変えられて、第2のダイクロイックミラー48を透過し、ミラー39に入射する。
【0137】
また、第3のレーザ励起光源33から発生されたレーザ光34は、コリメータレンズ41によって、平行光とされた後、第2のダイクロイックミラー48により反射されて、その向きが90度変えられた後、ミラー39に入射する。
【0138】
ミラー39に入射したレーザ光34は、ミラー39によって反射され、さらに、ミラー42に入射して、反射される。
【0139】
ミラー42によって反射されたレーザ光34の光路には、中央部に穴43が形成された凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44が配置されており、ミラー42によって反射されたレーザ光34は、穴開きミラー44の穴43を通過して、凹面ミラー48に入射する。
【0140】
凹面ミラー48に入射したレーザ光34は、凹面ミラー48によって反射されて、光学ヘッド45に入射する。
【0141】
光学ヘッド45は、ミラー46と、非球面レンズ47を備えており、光学ヘッド45に入射したレーザ光34は、ミラー46によって反射されて、非球面レンズ47によって、ステージ50のガラス板51上に載置された蓄積性蛍光体シート25あるいは生化学解析用ユニット1に入射する。
【0142】
蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された輝尽性蛍光体層領域27の1つに、レーザ光34が入射すると、輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体が励起されて、輝尽光55が発せられ、また、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4の1つに、レーザ光34が入射すると、吸着性領域4に含まれている蛍光色素などの蛍光物質が励起されて、蛍光55が発せられる。
【0143】
蓄積性蛍光体シート25の輝尽性蛍光体層領域27から放出された輝尽光55あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4から放出された蛍光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって、ミラー46に集光され、ミラー46によって、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0144】
凹面ミラー48に入射した輝尽光55あるいは蛍光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0145】
穴開きミラー44に入射した輝尽光55あるいは蛍光55は、図8に示されるように、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、下方に反射されて、フィルタユニット58に入射し、所定の波長の光がカットされて、フォトマルチプライア60に入射し、光電的に検出される。
【0146】
図8に示されるように、フィルタユニット58は、4つのフィルタ部材61a、61b、61c、61dを備えており、フィルタユニット58は、モータ(図示せず)によって、図8において、左右方向に移動可能に構成されている。
【0147】
図9は、図8のA−A線に沿った略断面図である。
【0148】
図9に示されるように、フィルタ部材61aはフィルタ62aを備え、フィルタ62aは、第1のレーザ励起光源31を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質を励起し、蛍光55を読み取るときに使用されるフィルタ部材であり、640nmの波長の光をカットし、640nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0149】
図10は、図8のB−B線に沿った断面図である。
【0150】
図10に示されるように、フィルタ部材61bはフィルタ62bを備え、フィルタ62bは、第2のレーザ励起光源32を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質を励起し、蛍光55を読み取るときに使用されるフィルタ部材であり、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0151】
図11は、図8のC−C線に沿った断面図である。
【0152】
図11に示されるように、フィルタ部材61cはフィルタ62cを備え、フィルタ62cは、第3のレーザ励起光源33を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質を励起して、蛍光55を読み取るときに使用されるフィルタ部材であり、473nmの波長の光をカットし、473nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0153】
図12は、図8のD−D線に沿った断面図である。
【0154】
図12に示されるように、フィルタ部材61dはフィルタ62dを備え、フィルタ62dは、第1のレーザ励起光源31を用いて、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体を励起して、輝尽性蛍光体層領域27から発せられた輝尽光55を読み取るときに使用されるフィルタであり、輝尽性蛍光体層領域27から放出される輝尽光55の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有している。
【0155】
したがって、使用すべきレーザ励起光源に応じて、フィルタ部材61a、61b、61c、61dを選択的にフォトマルチプライア60の前面に位置させることによって、フォトマルチプライア60は、検出すべき光のみを光電的に検出することができる。
【0156】
フォトマルチプライア60によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分され、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値が、A/D変換器63によって、ディジタルデータに変換され、データ処理装置64に送られる。
【0157】
図7には図示されていないが、光学ヘッド45は、走査機構によって、図7において、矢印Xで示される主走査方向および矢印Yで示される副走査方向に移動可能に構成され、生化学解析用ユニット1の全面が、レーザ光34によって走査されるように構成されている。
【0158】
図13は、光学ヘッドの走査機構の略平面図である。
【0159】
図13においては、簡易化のため、光学ヘッド45を除く光学系ならびにレーザ光34および蛍光55あるいは輝尽光55の光路は省略されている。
【0160】
図13に示されるように、光学ヘッド45を走査する走査機構は、基板70を備え、基板70上には、副走査パルスモータ71と一対のレール72、62とが固定され、基板70上には、さらに、図13において、矢印Yで示された副走査方向に、移動可能な基板73とが設けられている。
【0161】
移動可能な基板73には、ねじが切られた穴(図示せず)が形成されており、この穴内には、副走査パルスモータ71によって回転されるねじが切られたロッド74が係合している。
【0162】
移動可能な基板73上には、主走査ステッピングモータ75が設けられ、主走査ステッピングモータ75は、エンドレスベルト76を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4の間の距離、すなわち、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域27の間の距離に等しいピッチで、間欠的に駆動可能に構成されている。
【0163】
光学ヘッド45は、エンドレスベルト76に固定されており、主走査ステッピングモータ75によって、エンドレスベルト76が駆動されると、図13において、矢印Xで示された主走査方向に移動されるように構成されている。
【0164】
図13において、67は、光学ヘッド45の主走査方向における位置を検出するリニアエンコーダであり、78は、リニアエンコーダ77のスリットである。
【0165】
したがって、主走査ステッピングモータ75によって、エンドレスベルト76が、主走査方向に間欠的に駆動され、副走査パルスモータ71により、基板73が、副走査方向に間欠的に移動されることによって、光学ヘッド45は、図13において、矢印Xで示される主走査方向および矢印Yで示される副走査方向に移動され、レーザ光34によって、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成されたすべての輝尽性蛍光体層領域27あるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成されたすべての吸着性領域4が走査される。
【0166】
図14は、図7に示されたスキャナの制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【0167】
図14に示されるように、スキャナの制御系は、スキャナ全体の動作を制御するコントロールユニット80を備えており、スキャナの入力系は、ユーザーによって操作され、種々の指示信号を入力可能なキーボード81を備えている。
【0168】
図14に示されるように、スキャナの駆動系は、光学ヘッド45を主走査方向に間欠的に移動させる主走査ステッピングモータ75と、光学ヘッド45を副走査方向に間欠的に移動させる副走査パルスモータ71と、4つのフィルタ部材61a、61b、61c、61dを備えたフィルタユニット58を移動させるフィルタユニットモータ82を備えている。
【0169】
コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31、第2のレーザ励起光源32または第3のレーザ励起光源33に選択的に駆動信号を出力するとともに、フィルタユニットモータ82に駆動信号を出力可能に構成されている。
【0170】
また、図14に示されるように、スキャナの検出系は、フォトマルチプライア60と、光学ヘッド45の主走査方向における位置を検出するリニアエンコーダ77を備えている。
【0171】
本実施態様においては、コントロールユニット80は、リニアエンコーダ77から入力される光学ヘッド45の位置検出信号にしたがって、第1のレーザ励起光源31、第2のレーザ励起光源32または第3のレーザ励起光源33をオン・オフ制御可能に構成されている。
【0172】
以上のように構成されたスキャナは、以下のようにして、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27に記録されている放射線データを読み取って、生化学解析用データを生成する。
【0173】
まず、ユーザーによって、蓄積性蛍光体シート25が、ステージ50のガラス板51上に載置される。
【0174】
次いで、ユーザーによって、キーボード81に、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27に記録されている放射線データを読み取るべき旨の指示信号が入力される。
【0175】
キーボード81に入力された指示信号は、コントロールユニット80に入力され、コントロールユニット80は、指示信号にしたがって、フィルタユニットモータ82に駆動信号を出力し、フィルタユニット58を移動させ、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光55の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ62dを備えたフィルタ部材61dを、輝尽光55の光路内に位置させる。
【0176】
さらに、コントロールユニット80は、主走査ステッピングモータ75に駆動信号を出力し、光学ヘッド45を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域27のうち、第1の輝尽性蛍光体層領域27に、レーザ光34を照射可能な位置に、光学ヘッド45が達したことが確認されると、主走査ステッピングモータ75に停止信号を出力するとともに、第1のレーザ励起光源31に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源31を起動させ、640nmの波長のレーザ光34を発せさせる。
【0177】
第1のレーザ励起光源31から発せられたレーザ光34は、コリメータレンズ35によって、平行な光とされた後、ミラー46に入射して、反射される。
【0178】
ミラー46によって反射されたレーザ光34は、第1のダイクロイックミラー37および第2のダイクロイックミラー48を透過し、ミラー39に入射する。
【0179】
ミラー39に入射したレーザ光34は、ミラー39によって反射されて、さらに、ミラー42に入射して、反射される。
【0180】
ミラー42によって反射されたレーザ光34は、穴開きミラー44の穴43を通過して、凹面ミラー48に入射する。
【0181】
凹面ミラー48に入射したレーザ光34は、凹面ミラー48によって反射されて、光学ヘッド45に入射する。
【0182】
光学ヘッド45に入射したレーザ光34は、ミラー46によって反射され、非球面レンズ47によって、ステージ50のガラス板51上に載置された蓄積性蛍光体シート25の第1の輝尽性蛍光体層領域27に集光される。
【0183】
本実施態様においては、輝尽性蛍光体層領域27は、それぞれ、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス製の支持体26に形成された多数の貫通孔28内に、輝尽性蛍光体が充填されて、形成されているから、各輝尽性蛍光体層領域27内で、レーザ光34が散乱して、隣り合った輝尽性蛍光体層領域27内に入射し、隣り合った輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体を励起することを、効果的に防止することが可能になる。
【0184】
レーザ光34が、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域27に入射すると、第1の輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体が、レーザ光34によって励起されて、第1の輝尽性蛍光体層領域27から輝尽光55が放出される。
【0185】
第1の輝尽性蛍光体領域27から放出された輝尽光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって集光され、ミラー46により、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0186】
凹面ミラー48に入射した輝尽光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0187】
穴開きミラー44に入射した輝尽光55は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、図8に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット58のフィルタ62dに入射する。
【0188】
フィルタ62dは、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光55の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有しているので、励起光である640nmの波長の光がカットされ、輝尽性蛍光体層領域27から放出された輝尽光55の波長域の光のみがフィルタ62dを透過して、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出される。
【0189】
フォトマルチプライア60によって、輝尽光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分される。
【0190】
第1のレーザ励起光源31がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット80は、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタルデータに変換し、データ処理装置64に出力させる。
【0191】
同時に、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源31の駆動を停止させるとともに、主走査ステッピングモータ75に、駆動信号を出力して、光学ヘッド45を、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域27の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0192】
リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド45が、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域27の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されて、第1のレーザ励起光源31から発せられるレーザ光34を、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第2の輝尽性蛍光体層領域27に照射可能な位置に移動したことが確認されると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオンさせて、レーザ光34によって、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第2の輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体を励起する。
【0193】
同様にして、所定の時間にわたり、レーザ光34が、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第2の輝尽性蛍光体層領域27に照射され、第2の輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体が励起され、第2の輝尽性蛍光体層領域27から放出された輝尽光55が、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出されて、アナログデータが生成され、生成されたアナログデータが、積分アンプ65によって、積分されると、コントロールユニット80は、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタル化し、データ処理装置64に出力する。
【0194】
同時に、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ75に、駆動信号を出力して、光学ヘッド45を、隣り合う輝尽性蛍光体層領域27の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0195】
こうして、光学ヘッド45の間欠的な移動に同期して、第1のレーザ励起光源31のオン・オフが繰り返され、リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づき、光学ヘッド45が、主走査方向に1ライン分だけ、移動され、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域27のレーザ光34による走査が完了したことが確認されると、コントロールユニット80は、主走査ステッピングモータ75に駆動信号を出力して、光学ヘッド45を元の位置に復帰させるとともに、副走査パルスモータ71に駆動信号を出力して、移動可能な基板73を、副走査方向に、1ライン分だけ、移動させる。
【0196】
リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド45が元の位置に復帰され、また、移動可能な基板73が、副走査方向に、1ライン分だけ、移動されたことが確認されると、コントロールユニット80は、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域27に、順次、第1のレーザ励起光源31から発せられたレーザ光34を照射したのと全く同様にして、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域27に、順次、第1のレーザ励起光源31から発せられるレーザ光34を照射して、第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域27から発せられた輝尽光55を、順次、フォトマルチプライア60に光電的に検出させる。
【0197】
フォトマルチプライア60によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分され、第1のレーザ励起光源31がオンされてから、所定の時間が経過すると、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値が、A/D変換器63に出力され、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置64に送られる。
【0198】
こうして、蓄積性蛍光体シート25の支持体26に形成された輝尽性蛍光体層領域27がすべて、第1のレーザ励起光源31から放出されたレーザ光34によって走査され、輝尽性蛍光体層領域27に含まれている輝尽性蛍光体が励起されて、放出された輝尽光55が、フォトマルチプライア60によって光電的に検出され、生成されたアナログデータが、積分アンプ65によって、積分され、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値が、A/D変換器63により、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置64に送られると、コントロールユニット80から、駆動停止信号が、第1のレーザ励起光源31に出力され、第1のレーザ励起光源31の駆動が停止される。
【0199】
以上のようにして、蓄積性蛍光体シート25の多数の輝尽性蛍光体層領域27に記録された放射線データが読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0200】
一方、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録された蛍光物質の蛍光データを読み取って、生化学解析用ディジタルデータを生成するときは、まず、ユーザーによって、生化学解析用ユニット1が、ステージ50のガラス板51上にセットされる。
【0201】
次いで、ユーザーによって、標識物質である蛍光物質の種類を特定する標識物質特定信号が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光データを読み取るべき旨の指示信号とともに、キーボード81に入力される。
【0202】
キーボード81に入力された標識物質特定信号および指示信号は、コントロールユニット80に入力され、コントロールユニット80は、標識物質特定信号および指示信号を受けると、メモリ(図示せず)に記憶されているテーブルにしたがって、使用すべきレーザ励起光源を決定するとともに、フィルタ62a、62b、62cのいずれを蛍光55の光路内に位置させるかを決定する。
【0203】
たとえば、生体由来の物質を標識する蛍光物質として、532nmの波長のレーザによって、最も効率的に励起することのできるローダミン(登録商標)が使用され、その旨が、キーボード81に入力されたときは、コントロールユニット80は、第2のレーザ励起光源32を選択するとともに、フィルタ62bを選択し、フィルタユニットモータ82に駆動信号を出力して、フィルタユニット58を移動させ、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ62bを備えたフィルタ部材61bを、生化学解析用ユニット1から放出されるべき蛍光55の光路内に位置させる。
【0204】
さらに、コントロールユニット80は、主走査ステッピングモータ75に駆動信号を出力し、光学ヘッド45を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4のうち、第1の吸着性領域4に、レーザ光34を照射可能な位置に、光学ヘッド45が達したことが確認されると、主走査ステッピングモータ75に停止信号を出力するとともに、第2のレーザ励起光源32に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源32を起動させ、532nmの波長のレーザ光34を発せさせる。
【0205】
第2のレーザ励起光源32から発せられたレーザ光34は、コリメータレンズ40によって、平行な光とされた後、第1のダイクロイックミラー37に入射して、反射される。
【0206】
第1のダイクロイックミラー37によって反射されたレーザ光34は、第2のダイクロイックミラー48を透過し、ミラー39に入射する。
【0207】
ミラー39に入射したレーザ光34は、ミラー39によって反射されて、さらに、ミラー42に入射して、反射される。
【0208】
ミラー42によって反射されたレーザ光34は、穴開きミラー44の穴43を通過して、凹面ミラー48に入射する。
【0209】
凹面ミラー48に入射したレーザ光34は、凹面ミラー48によって反射されて、光学ヘッド45に入射する。
【0210】
光学ヘッド45に入射したレーザ光34は、ミラー46によって反射され、非球面レンズ47によって、ステージ50のガラス板51上に載置された生化学解析用ユニット1に集光される。
【0211】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4は、ステンレス鋼によって形成された基板2に形成された多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、形成されているから、各吸着性領域4内で、レーザ光34が散乱して、隣り合った吸着性領域4内に入射し、隣り合った吸着性領域4に含まれている蛍光物質を励起することを、効果的に防止することが可能になる。
【0212】
生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1の吸着性領域4に、レーザ光34が入射すると、第1の吸着性領域4に含まれた蛍光色素などの蛍光物質、たとえば、ローダミンが励起されて、蛍光55が発せられる。
【0213】
第1の吸着性領域4から放出された蛍光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって集光され、ミラー46によって、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0214】
凹面ミラー48に入射した蛍光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0215】
穴開きミラー44に入射した蛍光55は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、図8に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット58のフィルタ62bに入射する。
【0216】
フィルタ62bは、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有しているので、励起光である532nmの波長の光がカットされ、ローダミンから放出された蛍光55の波長域の光のみがフィルタ62bを透過して、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出される。
【0217】
フォトマルチプライア60によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分される。
【0218】
第2のレーザ励起光源32がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット80は、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタルデータに変換し、データ処理装置64に出力させる。
【0219】
同時に、コントロールユニット80は、第2のレーザ励起光源32に駆動停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源32の駆動を停止させるとともに、主走査ステッピングモータ75に、駆動信号を出力して、光学ヘッド45を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0220】
リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド45が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されて、第2のレーザ励起光源32から発せられるレーザ光34を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第2の吸着性領域4に照射可能な位置に移動したことが確認されると、コントロールユニット80は、第2のレーザ励起光源32に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源32をオンさせて、レーザ光34によって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第2の吸着性領域4に含まれている蛍光物質、たとえば、ローダミンを励起する。
【0221】
同様にして、所定の時間にわたり、レーザ光34が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第2の吸着性領域4に照射され、第2吸着性領域4から放出された蛍光55が、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出されて、アナログデータが生成され、生成されたアナログデータが、積分アンプ65によって、積分される。
【0222】
第2のレーザ励起光源32がオンされてから、所定の時間が経過すると、コントロールユニット80は、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタル化し、データ処理装置63に出力する。
【0223】
同時に、コントロールユニット80は、第2のレーザ励起光源32に駆動停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源32をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ75に、駆動信号を出力して、光学ヘッド45を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0224】
こうして、光学ヘッド45の間欠的な移動に同期して、第1のレーザ励起光源31のオン・オフが繰り返され、リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づき、光学ヘッド45が、主走査方向に1ライン分だけ、移動され、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1ライン目のすべての吸着性領域4を、レーザ光34により、走査したことが確認されると、コントロールユニット80は、主走査ステッピングモータ75に駆動信号を出力して、光学ヘッド45を元の位置に復帰させるとともに、副走査パルスモータ71に駆動信号を出力して、移動可能な基板73を、副走査方向に、1ライン分だけ、移動させる。
【0225】
リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド45が元の位置に復帰され、また、移動可能な基板73が、副走査方向に、1ライン分だけ、移動されたことが確認されると、コントロールユニット80は、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1ライン目の吸着性領域4に、順次、第2のレーザ励起光源32から発せられるレーザ光34を照射したのと全く同様にして、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第2ライン目の吸着性領域4に含まれているローダミンを励起し、第2ライン目の吸着性領域4から放出された蛍光55を、順次、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出させる。
【0226】
フォトマルチプライア60によって、蛍光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分される。
【0227】
第2のレーザ励起光源32がオンされてから、所定の時間が経過すると、コントロールユニット80は、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタルデータに変換し、データ処理装置64に出力させる。
【0228】
こうして、生化学解析用ユニット1の基板2に形成されたすべての吸着性領域4が、第2のレーザ励起光源32から放出されたレーザ光34によって走査され、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に含まれているローダミンが励起されて、放出された蛍光55が、フォトマルチプライア60によって光電的に検出され、生成されたアナログデータが、積分アンプ65によって、積分され、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値が、A/D変換器63によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置64に送られると、コントロールユニット80から、駆動停止信号が、第2のレーザ励起光源32に出力されて、第2のレーザ励起光源32の駆動が停止される。
【0229】
以上のようにして、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された蛍光データが読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0230】
こうして、放射線データおよび蛍光データが読み取られて、生化学解析用データが生成され、生化学解析が実行されるが、生化学解析の定量性を向上させるためには、生化学解析用ユニットの各吸着性領域4に滴下された特異的結合物質を含む溶液の量を正確に把握することが必要である。
【0231】
しかしながら、特異的結合物質を含む溶液の滴下量は、スポッティング装置によって異なり、また、同じスポッティング装置でも、滴下すべき特異的結合物質を含む溶液の物性、とくに粘度および特異的結合物質を含む溶液が滴下される吸着性領域4を形成している吸着性材料によって異なるため、スポッティング装置の溶液滴下特性を、滴下される溶液の物性および吸着性領域4を形成している吸着性材料ごとに、測定することが必要である。
【0232】
図15は、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定するために用いられる生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【0233】
図15に示されるように、生化学解析用ユニット91は、放射線データおよび蛍光データが記録された図1に示される生化学解析用ユニット1と全く同様に構成され、多数の貫通孔93が形成されたステンレス鋼製の基板92を備え、基板92に形成された多数の貫通孔93内に、ナイロン6が充填されて、多数の吸着性領域94、94a、94bが形成されている。
【0234】
図15に示されるように、生化学解析用ユニット91の基板92には、図1に示された生化学解析用ユニット1と全く同様に、2つの円形の位置合わせ用貫通孔95、95が形成されている。
【0235】
スポッティング装置の特異的結合物質を含む溶液の滴下特性を測定するにあたっては、図1に示された生化学解析用ユニット1に、放射線データおよび蛍光データを記録するために、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に滴下されたcDNAなどの特異的結合物質を含む溶液と同じ粘度を有し、蛍光物質を含む検査用溶液が調製される。
【0236】
ここに、蛍光物質としては、比較的長波長の光によって、効率的に励起可能なCy5が使用されている。
【0237】
次いで、1マイクロリットルの検査用溶液が、ピペット(図示せず)によって計量されて、生化学解析用ユニット91の基板92に形成された多数の吸着性領域94のうち、第1の吸着性領域94aに滴下される。
【0238】
さらに、生化学解析用ユニット91が、図2および図3に示されたスポッティング装置の基板10に形成された2つの位置決めピン20a、20bが、それぞれ、生化学解析用ユニット91の対応する2つの位置決め用の貫通孔95、95内に挿通されるように、スポッティング装置の基板10上に載置され、同じ検査用溶液が、スポッティング装置によって、生化学解析用ユニット91の基板2に形成された多数の吸着性領域94のうち、第1の吸着性領域4aに隣り合った第2の吸着性領域4bに滴下される。
【0239】
こうして、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aおよび第2の吸着性領域94bに、検査用溶液が滴下された生化学解析用ユニット91は、ユーザーによって、図7に示されたスキャナのステージ50のガラス板51上にセットされる。
【0240】
次いで、ユーザーによって、滴下特性測定信号が、キーボード81に入力される。
【0241】
キーボード81に入力された滴下特性測定信号は、コントロールユニット80に入力され、コントロールユニット80は、滴下特性測定信号にしたがって、フィルタユニットモータ82に駆動信号を出力し、フィルタユニット58を移動させ、検査用溶液に含まれたCy5を最も効率的に励起可能な640nmの波長の光をカットし、640nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ62aを備えたフィルタ部材61aを、蛍光55の光路内に位置させる。
【0242】
さらに、コントロールユニット80は、主走査ステッピングモータ75に駆動信号を出力し、光学ヘッド45を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、ステージ50にセットされた生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aに、レーザ光34を照射可能な位置に、光学ヘッド45が達したことが確認されると、主走査ステッピングモータ75に停止信号を出力するとともに、検査用溶液に含まれたCy5を最も効率的に励起可能な640nmの波長のレーザ光34を発する第1のレーザ励起光源31に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源31を起動させ、640nmの波長のレーザ光34を発せさせる。
【0243】
第1のレーザ励起光源31から発せられたレーザ光34は、コリメータレンズ35によって、平行な光とされた後、ミラー46に入射して、反射される。
【0244】
ミラー46によって反射されたレーザ光34は、第1のダイクロイックミラー37および第2のダイクロイックミラー48を透過し、ミラー39に入射する。
【0245】
ミラー39に入射したレーザ光34は、ミラー39によって反射されて、さらに、ミラー42に入射して、反射される。
【0246】
ミラー42によって反射されたレーザ光34は、穴開きミラー44の穴43を通過して、凹面ミラー48に入射する。
【0247】
凹面ミラー48に入射したレーザ光34は、凹面ミラー48によって反射されて、光学ヘッド45に入射する。
【0248】
光学ヘッド45に入射したレーザ光34は、ミラー46によって反射され、非球面レンズ47によって、ステージ50のガラス板51上に載置された生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aに集光される。
【0249】
その結果、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aに含まれているCy5が、640nmの波長のレーザ光34によって、励起されて、第1の吸着性領域94aから、蛍光55が放出される。
【0250】
生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aから放出された蛍光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって集光され、ミラー46により、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0251】
凹面ミラー48に入射した蛍光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0252】
穴開きミラー44に入射した蛍光55は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、図8に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット58のフィルタ62aに入射する。
【0253】
フィルタ62aは、640nmの波長の光をカットし、640nmよりも波長の長い光のみを透過する性質を有し、蛍光物質から放出された蛍光55は励起光よりも長い波長を有しているので、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aから放出された蛍光55のみがフィルタ62aを透過して、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出される。
【0254】
フォトマルチプライア60によって、蛍光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分される。
【0255】
第1のレーザ励起光源32がオンされてから、所定の時間が経過すると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオフさせるとともに、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタルデータに変換し、データ処理装置64に出力させる。
【0256】
データ処理装置64に出力されたディジタルデータは、メモリ(図示せず)に保存される。
【0257】
こうして、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aから放出された蛍光55が光電的に検出されて、ディジタルデータが生成され、データ処理装置64のメモリに記憶されると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ75に、駆動信号を出力して、光学ヘッド45を、生化学解析用ユニット91の基板92に形成された隣り合う吸着性領域94の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0258】
リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド45が、生化学解析用ユニット91の基板92に形成された隣り合う吸着性領域94の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動されて、第1のレーザ励起光源31から発せられるレーザ光34を、生化学解析用ユニット91の基板92に形成された第2の吸着性領域94bに照射可能な位置に移動したことが確認されると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオンさせて、640nmの波長のレーザ光34を放出させる。
【0259】
生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aに含まれている蛍光物質を、レーザ光34によって励起したのと全く同様にして、レーザ光34が、生化学解析用ユニット91の基板92に形成された第2の吸着性領域94bに照射され、第2の吸着性領域94bに含まれている蛍光物質が励起されて、蛍光55が放出される。
【0260】
生化学解析用ユニット91の第2の吸着性領域94bから放出された蛍光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって集光され、ミラー46により、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0261】
凹面ミラー48に入射した蛍光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0262】
穴開きミラー44に入射した蛍光55は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、図8に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット58のフィルタ62aに入射する。
【0263】
フィルタ62aに入射した蛍光55は、フィルタ62aを透過して、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出される。
【0264】
フォトマルチプライア60によって、蛍光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分される。
【0265】
第1のレーザ励起光源32がオンされてから、所定の時間が経過すると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオフさせるとともに、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタルデータに変換し、データ処理装置64に出力させる。
【0266】
データ処理装置64に出力されたディジタルデータは、メモリ(図示せず)に保存される。
【0267】
こうして、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aから放出された蛍光55および第2の吸着性領域94bから放出された蛍光55が光電的に検出されて、ディジタルデータが生成され、データ処理装置64のメモリに記憶されると、コントロールユニット80は、データ処理装置64に演算指示信号を出力して、メモリの記憶されたディジタルデータの信号強度を算出させ、CRTなどの表示手段(図示せず)の画面上に、表示させる。
【0268】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aには、蛍光物質を含む1マイクロリットルの検査用溶液が滴下され、一方、第2の吸着性領域94bには、同じ検査用溶液が、スポッティング装置によって滴下されているから、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aから放出された蛍光55を検出して得たディジタルデータの信号強度と、第2の吸着性領域94bから放出された蛍光55を検出して得たディジタルデータの信号強度とを比較することによって、スポッティング装置によって、滴下された検査用溶液の量を検出することができ、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定することができる。
【0269】
レーザ光34が、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aあるいは第2の吸着性領域94bに照射されると、第1の吸着性領域94a、吸着性領域94bを形成しているナイロン6からも蛍光が放出されるが、本実施態様においては、検査用溶液には、比較的長波長の励起光によって、効率的に励起可能なCy5が含まれているから、Cy5から放出された蛍光55と、ナイロン6から放出された蛍光とを効果的に分離することができ、したがって、精度よく、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定することが可能になる。
【0270】
スポッティング装置の溶液滴下特性は、滴下されるべき溶液の物性、とくに粘度によって、変化するため、生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、4a、4bに、滴下すべき特異的結合物質を含む溶液の粘度が異なる場合には、同様にして、あらためて、スポッティング装置の溶液滴下特性が測定される。
【0271】
また、スポッティング装置の溶液滴下特性は、生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、4a、4bを形成している吸着性材料の溶液吸収能によって、変化するため、生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、4a、4bが、異なる吸着性材料によって、形成されている場合には、同様にして、あらためて、スポッティング装置の溶液滴下特性が測定される。
【0272】
本実施態様によれば、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に滴下された特異的結合物質を含む溶液と同一の物性を有し、蛍光物質を含む検査用溶液を調製して、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aに、計量された検査用溶液を滴下し、第2の吸着性領域94bに、スポッティング装置を用いて、同じ検査用溶液を滴下して、第1の吸着性領域94aおよび第2の吸着性領域94bに含まれている蛍光物質を、レーザ光34によって励起し、第1の吸着性領域94aおよび第2の吸着性領域94bから放出された蛍光55を、それぞれ、光電的に検出して、生成されたディジタルデータの信号強度を比較して、スポッティング装置から滴下された溶液の量を測定しているから、きわめて高い精度で、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定することが可能になる。
【0273】
蛍光物質を含む検査用溶液に代えて、放射性標識物質を含む検査用溶液を調製して、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定することもできる。
【0274】
すなわち、まず、図1に示された生化学解析用ユニット1に、放射線データおよび蛍光データを記録するために、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に滴下されたcDNAなどの特異的結合物質を含む溶液と同じ粘度を有し、放射性標識物質を含む検査用溶液が調製される。
【0275】
次いで、1マイクロリットルの検査用溶液が、ピペット(図示せず)によって計量されて、生化学解析用ユニット91の基板92に形成された多数の吸着性領域94のうち、第1の吸着性領域94aに滴下される。
【0276】
さらに、生化学解析用ユニット91が、図2および図3に示されたスポッティング装置の基板10に形成された2つの位置決めピン20a、20bが、それぞれ、生化学解析用ユニット91の対応する2つの位置決め用の貫通孔95、95内に挿通されるように、スポッティング装置の基板10上に載置され、同じ検査用溶液が、スポッティング装置によって、生化学解析用ユニット91の基板2に形成された多数の吸着性領域94のうち、第1の吸着性領域4aに隣り合った第2の吸着性領域4bに滴下される。
【0277】
こうして、第1の吸着性領域94aおよび第2の吸着性領域94bに、検査用溶液が滴下された生化学解析用ユニット91は、蓄積性蛍光体シートに重ね合わされ、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aおよび第2の吸着性領域94bに含まれている放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層領域が露光される。
【0278】
図16は、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定するために用いられる蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【0279】
図16に示されるように、蓄積性蛍光体シート100は、放射線データが記録された図5に示される蓄積性蛍光体シート25と全く同様に構成され、多数の貫通孔103が形成されたステンレス鋼製の支持体101を備え、支持体101に形成された多数の貫通孔103内に、放射線エネルギーを吸収し、蓄積可能なBaFX系輝尽性蛍光体(ここに、Xは、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれたハロゲン原子である。)が充填されて、多数の輝尽性蛍光体層領域102、102a、102bが、ドット状に形成されている。
【0280】
図16に示されるように、蓄積性蛍光体シート100の支持体101には、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された2つの位置合わせ用貫通孔5、5に対応する位置に、2つの円形の位置合わせ用貫通孔105、105が形成されている。
【0281】
以上のように構成された蓄積性蛍光体シート100が、第1の吸着性領域94aおよび第2の吸着性領域94bに、検査用溶液が滴下された生化学解析用ユニット91上に、蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aが、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aに対向し、蓄積性蛍光体シート100の大2の輝尽性蛍光体層領域102bが、生化学解析用ユニット91の第2の吸着性領域94bに対向するように重ね合わされ、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aおよび第2の吸着性領域94bに含まれている放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aおよび第2の輝尽性蛍光体層領域102bが、所定の時間にわたって、露光される。
【0282】
露光操作が完了すると、蓄積性蛍光体シート100が、ユーザーによって、図7に示されたスキャナのステージ50のガラス板51上にセットされる。
【0283】
次いで、ユーザーによって、滴下特性測定信号が、キーボード81に入力される。
【0284】
キーボード81に入力された滴下特性測定信号は、コントロールユニット80に入力され、コントロールユニット80は、滴下特性測定信号にしたがって、フィルタユニットモータ82に駆動信号を出力し、フィルタユニット58を移動させ、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光55の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ62dを備えたフィルタ部材61dを、輝尽光55の光路内に位置させる。
【0285】
さらに、コントロールユニット80は、主走査ステッピングモータ75に駆動信号を出力して、光学ヘッド45を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、蓄積性蛍光体シート100の支持体101に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域102aに、レーザ光34を照射可能な位置に、光学ヘッド45が達したことが確認されると、主走査ステッピングモータ75に停止信号を出力するとともに、第1のレーザ励起光源31に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源31を起動させ、640nmの波長のレーザ光34を発せさせる。
【0286】
第1のレーザ励起光源31から発せられたレーザ光34は、コリメータレンズ35によって、平行な光とされた後、ミラー46に入射して、反射される。
【0287】
ミラー46によって反射されたレーザ光34は、第1のダイクロイックミラー37および第2のダイクロイックミラー48を透過し、ミラー39に入射する。
【0288】
ミラー39に入射したレーザ光34は、ミラー39によって反射されて、さらに、ミラー42に入射して、反射される。
【0289】
ミラー42によって反射されたレーザ光34は、穴開きミラー44の穴43を通過して、凹面ミラー48に入射する。
【0290】
凹面ミラー48に入射したレーザ光34は、凹面ミラー48によって反射されて、光学ヘッド45に入射する。
【0291】
光学ヘッド45に入射したレーザ光34は、ミラー46によって反射され、非球面レンズ47によって、ステージ50のガラス板51上に載置された蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aに集光される。
【0292】
レーザ光34が、蓄積性蛍光体シート100の支持体101に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域102aに入射すると、第1の輝尽性蛍光体層領域102aに含まれている輝尽性蛍光体が、レーザ光34によって励起されて、第1の輝尽性蛍光体層領域102aから輝尽光55が放出される。
【0293】
第1の輝尽性蛍光体領域102aから放出された輝尽光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって集光され、ミラー46により、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0294】
凹面ミラー48に入射した輝尽光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0295】
穴開きミラー44に入射した輝尽光55は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、図8に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット58のフィルタ62dに入射する。
【0296】
フィルタ62dは、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光55の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有しているので、励起光である640nmの波長の光がカットされ、輝尽性蛍光体層領域27から放出された輝尽光55の波長域の光のみがフィルタ62dを透過して、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出される。
【0297】
フォトマルチプライア60によって、輝尽光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分される。
【0298】
第1のレーザ励起光源31がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット80は、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタルデータに変換し、データ処理装置64に出力させる。
【0299】
データ処理装置64に出力されたディジタルデータは、メモリ(図示せず)に保存される。
【0300】
こうして、蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aから放出された輝尽光55が光電的に検出されて、ディジタルデータが生成され、データ処理装置64のメモリに記憶されると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源31の駆動を停止させるとともに、主走査ステッピングモータ75に、駆動信号を出力して、光学ヘッド45を、蓄積性蛍光体シート100の支持体101に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域102の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0301】
リニアエンコーダ77から入力された光学ヘッド45の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド45が、蓄積性蛍光体シート100の支持体101に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域102の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されて、第1のレーザ励起光源31から発せられるレーザ光34を、蓄積性蛍光体シート100の支持体101に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域102aに隣り合う第2の輝尽性蛍光体層領域102bに照射可能な位置に移動したことが確認されると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオンさせて、レーザ光34を発せさせる。
【0302】
蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aに含まれている輝尽性蛍光体を、レーザ光34によって励起したのと全く同様にして、レーザ光34が、蓄積性蛍光体シート100の第2の輝尽性蛍光体層領域102bに照射され、第2の輝尽性蛍光体層領域102bに含まれている輝尽性蛍光体が励起されて、輝尽光55が放出される。
【0303】
蓄積性蛍光体シート100の第2の輝尽性蛍光体層領域102bから放出された輝尽光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって集光され、ミラー46により、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0304】
凹面ミラー48に入射した輝尽光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0305】
穴開きミラー44に入射した輝尽光55は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、図8に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット58のフィルタ62aに入射する。
【0306】
フィルタ62aに入射した輝尽光55は、フィルタ62aを透過して、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出される。
【0307】
フォトマルチプライア60によって、輝尽光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分される。
【0308】
第1のレーザ励起光源32がオンされてから、所定の時間が経過すると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオフさせるとともに、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタルデータに変換し、データ処理装置64に出力させる。
【0309】
データ処理装置64に出力されたディジタルデータは、メモリ(図示せず)に保存される。
【0310】
こうして、蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aから放出された輝尽光55および第2の輝尽性蛍光体層領域102bから放出された輝尽光55が光電的に検出されて、ディジタルデータが生成され、データ処理装置64のメモリに記憶されると、コントロールユニット80は、データ処理装置64に演算指示信号を出力して、メモリの記憶されたディジタルデータの信号強度を算出させ、CRTなどの表示手段(図示せず)の画面上に、表示させる。
【0311】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aには、放射性標識物質を含む1マイクロリットルの検査用溶液が滴下され、一方、第2の吸着性領域94bには、同じ検査用溶液が、スポッティング装置によって滴下されて、それぞれに含まれている放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aおよび第2の輝尽性蛍光体層領域102bが露光されているから、蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aから放出された輝尽光55を検出して得たディジタルデータの信号強度と、第2の輝尽性蛍光体層領域102bから放出された輝尽光55を検出して得たディジタルデータの信号強度とを比較することによって、スポッティング装置によって、滴下された検査用溶液の量を検出することができ、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定することができる。
【0312】
スポッティング装置の溶液滴下特性は、滴下されるべき溶液の物性、とくに粘度によって、変化するため、生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、4a、4bに、滴下すべき特異的結合物質を含む溶液の粘度が異なる場合には、同様にして、あらためて、スポッティング装置の溶液滴下特性が測定される。
【0313】
また、スポッティング装置の溶液滴下特性は、生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、4a、4bを形成している吸着性材料の溶液吸収能によって、変化するため、生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、4a、4bが、異なる吸着性材料によって、形成されている場合には、同様にして、あらためて、スポッティング装置の溶液滴下特性が測定される。
【0314】
本実施態様によれば、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に滴下された特異的結合物質を含む溶液と同一の物性を有し、放射性標識物質を含む検査用溶液を調製して、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aに、計量された検査用溶液を滴下するとともに、第2の吸着性領域94bに、スポッティング装置を用いて、同じ検査用溶液を滴下し、蓄積性蛍光体シート100を、蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aが、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aに対向し、蓄積性蛍光体シート100の第2の輝尽性蛍光体層領域102bが、生化学解析用ユニット91の第2の吸着性領域94bに対向するように、生化学解析用ユニット91に重ね合わせて、生化学解析用ユニット91の第1の吸着性領域94aおよび第2の吸着性領域94bに含まれている放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aおよび第2の輝尽性蛍光体層領域102bを露光し、露光された蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aおよび第2の輝尽性蛍光体層領域102bにレーザ比k34を照射して、蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aおよび第2の輝尽性蛍光体層領域102bに含まれている輝尽性蛍光体を励起し、蓄積性蛍光体シート100の第1の輝尽性蛍光体層領域102aおよび第2の輝尽性蛍光体層領域102bから放出された輝尽光55を、それぞれ、光電的に検出して、生成されたディジタルデータの信号強度を比較して、スポッティング装置から滴下された溶液の量を測定しているから、きわめて高い精度で、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定することが可能になる。
【0315】
図17は、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定するために用いられる生化学解析用ユニットの他の例を示す略斜視図である。
【0316】
図17に示されるように、生化学解析用ユニット111は、ナイロン6によって形成された吸着性基板112を備えている。
【0317】
図17に示されるように、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112には、図1に示された生化学解析用ユニット1と同様に、2つの円形の位置合わせ用貫通孔115、115が形成されている。
【0318】
スポッティング装置の特異的結合物質を含む溶液の滴下特性を測定するにあたっては、図1に示された生化学解析用ユニット1に、放射線データおよび蛍光データを記録するために、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に滴下されたcDNAなどの特異的結合物質を含む溶液と同じ粘度を有し、蛍光物質を含む検査用溶液が調製される。
【0319】
ここに、蛍光物質としては、比較的長波長の光によって、効率的に励起可能なCy5が使用されている。
【0320】
次いで、1マイクロリットルの検査用溶液が、ピペット(図示せず)によって計量されて、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112に滴下され、基準スポット状領域116が形成される。
【0321】
さらに、生化学解析用ユニット91が、図2および図3に示されたスポッティング装置の基板10に形成された2つの位置決めピン20a、20bが、それぞれ、生化学解析用ユニット111の対応する2つの位置決め用の貫通孔115、115内に挿通されるように、スポッティング装置の基板10上に載置され、同じ検査用溶液が、スポッティング装置によって、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112の基準スポット領域116とは異なる位置に滴下されて、検査用スポット状領域117が形成される。
【0322】
図18は、基準スポット状領域116と、検査用スポット状領域117が形成された生化学解析用ユニット111の略斜視図である。
【0323】
図18に示されるように、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112に滴下された検査用溶液は、吸着性基板112に浸透し、略円形の基準スポット状領域116および検査用スポット状領域117が、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112に形成される。
【0324】
こうして、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112に、基準スポット状領域116および検査用スポット状領域117が形成された生化学解析用ユニット111は、ユーザーによって、スキャナにセットされ、基準スポット状領域116および検査用スポット状領域117が、レーザ光によって、走査される。
【0325】
図19は、生化学解析用ユニット111の基準スポット状領域116および検査用スポット状領域117を、レーザ光によって走査するスキャナの制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【0326】
図19に示されるように、スキャナは、光学ヘッド45が固定されているエンドレスベルト76を、図13において、矢印Yで示される主走査方向に、間欠的に駆動する主走査ステッピングモータ75に代えて、エンドレスベルト76を、図13において、矢印Yで示される主走査方向に、一定速度で、連続的に駆動する主走査モータ120を備えている点を除き、図7ないし図14に示されたスキャナと同一の構成を有している。
【0327】
まず、ユーザーによって、吸着性基板112に、基準スポット状領域116および検査用スポット状領域117形成された生化学解析用ユニット111がmステージ50のガラス板51上にセットされる。
【0328】
次いで、ユーザーによって、滴下特性測定信号が、キーボード81に入力される。
【0329】
キーボード81に入力された滴下特性測定信号は、コントロールユニット80に入力され、コントロールユニット80は、滴下特性測定信号にしたがって、フィルタユニットモータ82に駆動信号を出力し、フィルタユニット58を移動させ、検査用溶液に含まれたCy5を最も効率的に励起可能な640nmの波長の光をカットし、640nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ62aを備えたフィルタ部材61aを、蛍光55の光路内に位置させる。
【0330】
次いで、コントロールユニット80は、主走査モータ120に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を主走査方向に、一定速度で移動させるとともに、検査用溶液に含まれたCy5を最も効率的に励起可能な640nmの波長のレーザ光34を発する第1のレーザ励起光源31に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源31を起動させ、640nmの波長のレーザ光34を発せさせる。
【0331】
第1のレーザ励起光源31から発せられたレーザ光34は、コリメータレンズ35によって、平行な光とされた後、ミラー46に入射して、反射される。
【0332】
ミラー46によって反射されたレーザ光34は、第1のダイクロイックミラー37および第2のダイクロイックミラー48を透過し、ミラー39に入射する。
【0333】
ミラー39に入射したレーザ光34は、ミラー39によって反射されて、さらに、ミラー42に入射して、反射される。
【0334】
ミラー42によって反射されたレーザ光34は、穴開きミラー44の穴43を通過して、凹面ミラー48に入射する。
【0335】
凹面ミラー48に入射したレーザ光34は、凹面ミラー48によって反射されて、光学ヘッド45に入射する。
【0336】
光学ヘッド45に入射したレーザ光34は、ミラー46によって反射され、非球面レンズ47によって、ステージ50のガラス板51上に載置された生化学解析用ユニット111の基準スポット状領域116に集光される。
【0337】
その結果、生化学解析用ユニット111の基準スポット状領域116に含まれているCy5が、640nmの波長のレーザ光34によって、励起されて、基準スポット状領域116から、蛍光55が放出される。
【0338】
生化学解析用ユニット111の基準スポット状領域116から放出された蛍光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって集光され、ミラー46により、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0339】
凹面ミラー48に入射した蛍光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0340】
穴開きミラー44に入射した蛍光55は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、図8に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット58のフィルタ62aに入射する。
【0341】
フィルタ62aは、640nmの波長の光をカットし、640nmよりも波長の長い光のみを透過する性質を有し、蛍光物質から放出された蛍光55は励起光よりも長い波長を有しているので、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112に形成された基準スポット状領域116から放出された蛍光55のみがフィルタ62aを透過して、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出される。
【0342】
フォトマルチプライア60によって、蛍光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分される。
【0343】
主走査モータ120は、光学ヘッド45が固定されているエンドレスベルト76を、図13において、矢印Yで示される主走査方向に、一定速度で、連続的に駆動するように構成されているため、主走査モータ120によって、光学ヘッド45が、主走査方向に、一定速度で、連続的に移動され、その結果、第1のレーザ励起光源31から放出されたレーザ光34は、基準スポット状領域116上を連続的に移動しつつ、基準スポット状領域116に含まれている蛍光物質を励起する。
【0344】
レーザ光34が、生化学解析用ユニット111の基準スポット状領域116上を通り過ぎて、フォトマルチプライア60によって、蛍光55が検出されなくなると、コントロールユニット80は、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタルデータに変換し、データ処理装置64に出力させる。
【0345】
データ処理装置64に出力されたディジタルデータは、メモリ(図示せず)に保存される。
【0346】
光学ヘッド45は、主走査モータ120によって、さらに、主走査方向に、連続的に移動され、その結果、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112に形成された検査用スポット状領域117に、レーザ光34が照射される。
【0347】
その結果、生化学解析用ユニット111の基準スポット状領域116に含まれているCy5が、640nmの波長のレーザ光34によって、励起されて、基準スポット状領域116から、蛍光55が放出される。
【0348】
生化学解析用ユニット111の基準スポット状領域116から放出された蛍光55は、光学ヘッド45に設けられた非球面レンズ47によって集光され、ミラー46により、レーザ光34の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー48に入射する。
【0349】
凹面ミラー48に入射した蛍光55は、凹面ミラー48によって反射されて、穴開きミラー44に入射する。
【0350】
穴開きミラー44に入射した蛍光55は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー44によって、図8に示されるように、下方に反射され、フィルタユニット58のフィルタ62aに入射する。
【0351】
フィルタ62aに入射した蛍光55は、フィルタ62aを透過して、フォトマルチプライア60によって、光電的に検出される。
【0352】
フォトマルチプライア60によって、蛍光55が光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、積分アンプ65によって、積分される。
【0353】
レーザ光34が、生化学解析用ユニット111の検査用基準スポット状領域117上を通り過ぎて、フォトマルチプライア60によって、蛍光55が検出されなくなると、コントロールユニット80は、積分アンプ65によって生成されたアナログデータの積分値を、A/D変換器63に出力して、ディジタルデータに変換し、データ処理装置64に出力させる。
【0354】
データ処理装置64に出力されたディジタルデータは、メモリ(図示せず)に保存される。
【0355】
こうして、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112に形成された基準スポット状領域116から放出された蛍光55および検査用スポット状領域117から放出された蛍光55が光電的に検出されて、ディジタルデータが生成され、データ処理装置64のメモリに記憶されると、コントロールユニット80は、第1のレーザ励起光源31に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源31をオフさせるとともに、データ処理装置64に演算指示信号を出力して、メモリの記憶されたディジタルデータの信号強度を算出させ、CRTなどの表示手段(図示せず)の画面上に、表示させる。
【0356】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット111の基準スポット状領域116は、吸着性基板112に、蛍光物質を含む1マイクロリットルの検査用溶液が滴下されて、形成され、一方、検査用スポット状領域117は、吸着性基板112に、同じ検査用溶液が、スポッティング装置によって滴下されて、形成されているから、生化学解析用ユニット111の基準スポット状領域116から放出された蛍光55を検出して得たディジタルデータの信号強度と、検査用スポット状領域117から放出された蛍光55を検出して得たディジタルデータの信号強度とを比較することによって、スポッティング装置によって、滴下された検査用溶液の量を検出することができ、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定することができる。
【0357】
レーザ光34が、生化学解析用ユニット111の基準スポット状領域116あるいは検査用スポット状領域117に照射されると、吸着性基板112を形成しているナイロン6からも蛍光が放出されるが、本実施態様においては、検査用溶液には、比較的長波長の励起光によって、効率的に励起可能なCy5が含まれているから、Cy5から放出された蛍光55と、ナイロン6から放出された蛍光とを効果的に分離することができ、したがって、精度よく、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定することが可能になる。
【0358】
スポッティング装置の溶液滴下特性は、滴下されるべき溶液の物性、とくに粘度によって、変化するため、生化学解析用ユニット1、111に、滴下すべき特異的結合物質を含む溶液の粘度が異なる場合には、同様にして、あらためて、スポッティング装置の溶液滴下特性が測定される。
【0359】
また、スポッティング装置の溶液滴下特性は、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4を形成している吸着性材料および生化学解析用ユニット111の吸着性基板112を形成している吸着性材料の溶液吸収能によって、変化するため、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4および生化学解析用ユニット111の吸着性基板112が、異なる吸着性材料によって、形成されている場合には、同様にして、あらためて、スポッティング装置の溶液滴下特性が測定される。
【0360】
本実施態様によれば、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に滴下された特異的結合物質を含む溶液と同一の物性を有し、蛍光物質を含む検査用溶液を調製し、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112に、計量された検査用溶液を滴下して、基準スポット状領域116を形成し、吸着性基板112の他の位置に、スポッティング装置を用いて、同じ検査用溶液を滴下して、検査用スポット状領域117を形成し、基準スポット状領域116および検査用スポット状領域117に含まれている蛍光物質を、レーザ光34によって励起し、基準スポット状領域116および検査用スポット状領域117から放出された蛍光55を、それぞれ、光電的に検出して、生成されたディジタルデータの信号強度を比較して、スポッティング装置から滴下された溶液の量を測定しているから、きわめて高い精度で、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定することが可能になる。
【0361】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0362】
たとえば、前記実施態様においては、特異的結合物質として、塩基配列が既知の互いに異なった複数のcDNAが用いられているが、本発明において使用可能な特異的結合物質はcDNAに限定されるものではなく、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質はすべて、本発明の特異的結合物質として使用することができる。
【0363】
また、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、形成された多数の吸着性領域4に、特異的結合物質を含む溶液を滴下して、特異的結合物質を、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4内に吸着させ、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光物質によって標識された生体由来の物質を、吸着性領域4に吸着されている特異的結合物質に、選択的にハイブリダイズさせて、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に、放射線データおよび蛍光データを記録しているが、多数の吸着性領域4が形成された生化学解析用ユニット1に代えて、図17に示される生化学解析用ユニット111の吸着性基板112の互いに離間した領域に、特異的結合物質を含む溶液を滴下して、特異的結合物質を、生化学解析用ユニット1の吸着性基板112内に吸着させ、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光物質によって標識された生体由来の物質を、吸着性基板112に吸着されている特異的結合物質に、選択的にハイブリダイズさせて、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に、放射線データおよび蛍光データを記録することもできる。
【0364】
さらに、前記実施態様においては、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液9が調製され、吸着性領域4に滴下された特異的結合物質にハイブリダイズさせているが、ハイブリダイゼーション反応溶液9が、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質を含んでいることは必ずしも必要でなく、ハイブリダイゼーション反応溶液9は、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質の少なくとも一種を含んでいればよい。
【0365】
また、前記実施態様においては、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光物質によって標識された生体由来の物質が、特異的結合物質にハイブリダイズされているが、生体由来の物質を、特異的結合物質にハイブリダイズさせることは必ずしも必要でなく、生体由来の物質を、ハイブリダイゼーションに代えて、抗原抗体反応、リセプター・リガンドなどの反応によって、特異的結合物質に特異的に結合させることもできる。
【0366】
さらに、前記実施態様においては、合計19200の約0.07平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4、94、94a、94bが、120列×160行のマトリックス状に、生化学解析用ユニット1、91の基板2、92に規則的に形成されているが、吸着性領域4、94、94a、94bを略円形に形成することは必ずしも必要でなく、吸着性領域4、94、94a、94bは、任意の形状、たとえば、矩形状に形成することもできる。
【0367】
また、前記実施態様においては、合計19200の約0.07平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4、94、94a、94bが、120列×160行のマトリックス状に、生化学解析用ユニット1、91の基板2、92に規則的に形成されているが、吸着性領域4、94、94a、94bの数およびサイズは、目的に応じて、任意に選択をすることができ、好ましくは、10以上の5平方ミリメートル未満のサイズを有する吸着性領域4、94、94a、94bが、10個/平方センチメートル以上の密度で、生化学解析用ユニット1、91の基板2,92に形成される。
【0368】
さらに、前記実施態様においては、合計19200の約0.07平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4、94、94a、94bが、120列×160行のマトリックス状に、生化学解析用ユニット1、91の基板2、92に規則的に形成されているが、吸着性領域4、94、94a、94bを規則的に形成することは必ずしも必要でない。
【0369】
また、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、94、94a、94bは、基板2、92に形成された多数の貫通孔3、93内に、ナイロン6が充填されて、形成され、生化学解析用ユニット111の吸着性基板112は、ナイロン6によって、形成されているが、生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、94、94a、94bおよび生化学解析用ユニット111の吸着性基板112を、ナイロン6によって形成することは必ずしも必要でなく、他の吸着性材料によって、生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、94、94a、94bおよび生化学解析用ユニット111の吸着性基板112を形成することもできる。生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、94、94a、94bおよび生化学解析用ユニット111の吸着性基板112を形成するための吸着性材料としては、多孔質材料あるいは繊維材料が好ましく使用され、多孔質材料と繊維材料を併用して、生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、94、94a、94bおよび生化学解析用ユニット111の吸着性基板112を形成することもできる。生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、94、94a、94bおよび生化学解析用ユニット111の吸着性基板112を形成するために使用される多孔質材料は、有機材料、無機材料のいずれでもよく、有機/無機複合体でもよい。生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、94、94a、94bおよび生化学解析用ユニット111の吸着性基板112を形成するために使用される有機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、活性炭などの炭素多孔質材料あるいはメンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料が、好ましく用いられる。具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類;ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;コラーゲン;アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなどのアルギン酸類;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオライドなどのポリフルオライドや、これらの共重合体または複合体が挙げられる。生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、94、94a、94bおよび生化学解析用ユニット111の吸着性基板112を形成するために使用される無機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、白金、金、鉄、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属;アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなどの金属酸化物;ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなどの金属塩やこれらの複合体などが挙げられる。生化学解析用ユニット1、91の吸着性領域4、94、94a、94bおよび生化学解析用ユニット111の吸着性基板112を形成するために使用される繊維材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
【0370】
さらに、前記実施態様においては、図2および図3に示されたスポッティング装置の溶液滴下特性が測定されているが、スポッティング装置が、図2および図3に示される構成を有していることは必ずしも必要でなく、本発明は、任意の構成のスポッティング装置の溶液滴下特性を測定するために、広く利用することができる。
【0371】
【発明の効果】
本発明によれば、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を含む溶液を、メンブレンフィルタなどの生化学解析用ユニットに滴下するスポッティング装置の滴下特性を、高い精度で、測定することができるスポッティング装置の滴下特性測定方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、特異的結合物質を含む溶液が滴下される生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【図2】図2は、スポッティング装置の略平面図である。
【図3】図3は、スポッティング装置の制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【図4】図4は、ハイブリダイゼーション反応容器の略縦断面図である。
【図5】図5は、放射線データを転写すべき蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【図6】図6は、生化学解析用ユニットに形成された多数の吸着性領域に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートに形成された多数の輝尽性蛍光体層領域を露光する方法を示す略断面図である。
【図7】図7は、スキャナの略斜視図である。
【図8】図8は、図7に示されたスキャナのフォトマルチプライアの近傍を示す略斜視図である。
【図9】図9は、図8のA−A線に沿った略断面図である。
【図10】図10は、図8のB−B線に沿った断面図である。
【図11】図11は、図8のC−C線に沿った断面図である。
【図12】図12は、図8のD−D線に沿った断面図である。
【図13】図13は、光学ヘッドの走査機構の略平面図である。
【図14】図14は、図7に示されたスキャナの制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【図15】図15は、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定するために用いられる生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【図16】図16は、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定するために用いられる蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【図17】図17は、スポッティング装置の溶液滴下特性を測定するために用いられる生化学解析用ユニットの他の例を示す略斜視図である。
【図18】図18は、基準スポット状領域と、検査用スポット状領域が形成された生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【図19】図19は、生化学解析用ユニットの基準スポット状領域および検査用スポット状領域を、レーザ光によって走査するスキャナの制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【符号の説明】
1 生化学解析用ユニット
2 基板
3 貫通孔
4 吸着性領域
5 位置合わせ用貫通孔
9 スポッティングヘッド
10 基板
11 フレーム
12 副走査パルスモータ
13 レール
14 移動可能な基板
15 ロッド
16 主走査パルスモータ
17 エンドレスベルト
18 リニアエンコーダ
19 リニアエンコーダのスリット
20a、20b 位置決めピン
21 コントロールユニット
22 キーボード
25 蓄積性蛍光体シート
26 支持体
27 輝尽性蛍光体層領域
28 貫通孔
29 位置合わせ用貫通孔
31 第1のレーザ励起光源
32 第2のレーザ励起光源
33 第3のレーザ励起光源
34 レーザ光
35 コリメータレンズ
36 ミラー
37 第1のダイクロイックミラー
38 第2のダイクロイックミラー
39 ミラー
40 コリメータレンズ
41 コリメータレンズ
42 ミラー
43 穴開きミラーの穴
44 穴開きミラー
45 光学ヘッド
46 ミラー
47 非球面レンズ
48 凹面ミラー
50 ステージ
51 ガラス板
55 蛍光あるいは輝尽光
58 フィルタユニット
60 フォトマルチプライア
61a、61b、61c、61d フィルタ部材
62a、62b、62c、62d フィルタ
63 A/D変換器
64 データ処理装置
65 積分アンプ
70 基板
71 副走査パルスモータ
72 一対のレール
73 移動可能な基板
74 ロッド
75 主走査ステッピングモータ
76 エンドレスベルト
77 リニアエンコーダ
78 リニアエンコーダのスリット
80 コントロールユニット
81 キーボード
82 フィルタユニットモータ
91 生化学解析用ユニット
92 基板
93 貫通孔
94 吸着性領域
94a 第1の吸着性領域
94b 第2の吸着性領域
95 位置合わせ用貫通孔
100 蓄積性蛍光体シート
101 支持体
102 輝尽性蛍光体層領域
102a 第1の輝尽性蛍光体層領域
102b 第2の輝尽性蛍光体層領域
103 貫通孔
105 位置合わせ用貫通孔
111 生化学解析用ユニット
112 吸着性基板
115 位置合わせ用貫通孔
116 基準スポット領域
117 検査用スポット状領域
120 主走査モータ

Claims (5)

  1. 所定の物性を有し、標識物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニットに形成された吸着性領域に滴下し、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下することを特徴とするスポッティング装置の滴下特性測定方法。
  2. 所定の物性を有し、蛍光物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニットに形成された吸着性領域に滴下し、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下したのち、前記生化学解析用ユニットの前記吸着性領域のそれぞれに、励起光を照射して、前記吸着性領域のそれぞれに含まれた前記蛍光物質を励起し、前記蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して、前記吸着性領域のそれぞれのデータを生成し、前記吸着性領域のそれぞれのデータの信号強度に基づいて、前記吸着性領域のそれぞれに含まれた前記蛍光物質の量を比較し、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を算出して、スポッティング装置の滴下特性を測定することを特徴とする請求項1に記載のスポッティング装置の滴下特性測定方法。
  3. 前記蛍光物質が、波長の長い励起光によって励起可能であることを特徴とする請求項2に記載のスポッティング装置の滴下特性測定方法。
  4. 所定の物性を有し、放射性標識物質を含む計量された溶液を、生化学解析用ユニットに形成された吸着性領域に滴下し、生化学解析用ユニットの他の吸着性領域に、スポッティング装置によって、同一の組成の溶液を滴下したのち、輝尽性蛍光体層が形成された蓄積性蛍光体シートを、前記生化学解析用ユニットに重ね合わせて、前記吸着性領域のそれぞれに含まれた前記放射性標識物質によって、前記蓄積性蛍光体シートの前記輝尽性蛍光体層を露光し、前記放射性標識物質によって露光された前記蓄積性蛍光体シートの前記輝尽性蛍光体層に、励起光を照射して、前記輝尽性蛍光体層に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、前記輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、前記吸着性領域のそれぞれのデータを生成し、前記吸着性領域のそれぞれのデータの信号強度に基づいて、前記吸着性領域のそれぞれに含まれた前記放射性標識物質の量を比較し、スポッティング装置によって滴下された溶液の量を算出して、スポッティング装置の滴下特性を測定することを特徴とする請求項1に記載のスポッティング装置の滴下特性測定方法。
  5. 前記生化学解析用ユニットの前記吸着性領域を形成している吸着性材料ごとに、スポッティング装置の滴下特性を測定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスポッティング装置の滴下特性測定方法。
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CN109073519A (zh) * 2016-02-24 2018-12-21 洁竞合伙 用于分离血液成分的多层装置及其应用

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