JP2004117272A - 生化学解析用データ読み取り方法および装置 - Google Patents

生化学解析用データ読み取り方法および装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004117272A
JP2004117272A JP2002283386A JP2002283386A JP2004117272A JP 2004117272 A JP2004117272 A JP 2004117272A JP 2002283386 A JP2002283386 A JP 2002283386A JP 2002283386 A JP2002283386 A JP 2002283386A JP 2004117272 A JP2004117272 A JP 2004117272A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
biochemical analysis
stimulable phosphor
sample
light source
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002283386A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihito Kimura
木村 俊仁
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2002283386A priority Critical patent/JP2004117272A/ja
Publication of JP2004117272A publication Critical patent/JP2004117272A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Conversion Of X-Rays Into Visible Images (AREA)
  • Radiography Using Non-Light Waves (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Facsimile Scanning Arrangements (AREA)

Abstract

【課題】蓄積性蛍光体シートの支持体上の多数の輝尽性蛍光体層領域のみに励起光を導き、放出された輝尽光を光電的に検出する定量性に優れた生化学解析用データ読み取り方法を提供する。
【解決手段】放射線エネルギーを選択的に蓄積した複数の輝尽性蛍光体層領域12が、互いに離間して形成された蓄積性蛍光体シート10をサンプルステージ21に載置し、レーザ光24を導くとともに、放出された輝尽光45をフォトマルチプライア50に導く光学ヘッド35を主走査方向および副走査方向に移動させて、順次レーザ光を照射し、放出された輝尽光をフォトマルチプライア50によって光電的に検出する。蓄積性蛍光体シートに位置決め用レーザ光を照射して、蓄積性蛍光体シートによって散乱された位置決め用レーザ光を光電的に検出し、光電的に検出したレーザ光の光量に基づいて光学ヘッドの位置を決定して位置決めし、レーザ光を照射し輝尽光を光電的に検出する。
【選択図】   図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生化学解析用データ読み取り方法および装置に関するものであり、さらに詳細には、蓄積性蛍光体シートの支持体に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域のみに、確実に、励起光を導き、輝尽性蛍光体層領域に含まれた輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体層領域から放出された輝尽光を光電的に検出して、定量性に優れた生化学解析用データを生成することができ、生化学解析用ユニットの基板に形成された多数の吸着性領域のみに、確実に、励起光を導き、吸着性領域に含まれた蛍光物質を励起し、吸着性領域から放出された蛍光をを光電的に検出して、定量性に優れた生化学解析用データを生成することができる生化学解析用データ読み取り方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
放射線が照射されると、放射線のエネルギーを吸収して、蓄積、記録し、その後に、特定の波長域の電磁波を用いて励起すると、照射された放射線のエネルギーの量に応じた光量の輝尽光を発する特性を有する輝尽性蛍光体を、放射線の検出材料として用い、放射性標識を付与した物質を、生物体に投与した後、その生物体あるいはその生物体の組織の一部を試料とし、この試料を、輝尽性蛍光体層が設けられた蓄積性蛍光体シートと一定時間重ね合わせることにより、放射線エネルギーを輝尽性蛍光体に、蓄積、記録し、しかる後に、電磁波によって、輝尽性蛍光体層を走査して、輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、ディジタル画像信号を生成し、画像処理を施して、CRTなどの表示手段上あるいは写真フイルムなどの記録材料上に、画像を再生するように構成されたオートラジオグラフィ解析システムが知られている(たとえば、特公平1−70884号公報、特公平1−70882号公報、特公平4−3962号公報など)。
【0003】
また、光が照射されると、光のエネルギーを吸収して、蓄積、記録し、その後に、特定の波長域の電磁波を用いて励起すると、照射された光のエネルギーの量に応じた光量の輝尽光を発する特性を有する輝尽性蛍光体を、光の検出材料として用い、蛋白質、遺伝子配列などの固定された高分子を、化学発光物質と接触して、化学発光を生じさせる標識物質により、選択的に標識し、標識物質によって選択的に標識された高分子と、化学発光物質とを接触させて、化学発光物質と標識物質との接触によって生ずる可視光波長域の化学発光を、蓄積性蛍光体シートに形成された輝尽性蛍光体層に含まれている輝尽性蛍光体に蓄積、記録し、しかる後に、電磁波によって、輝尽性蛍光体層を走査して、輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して、ディジタル信号を生成し、データ処理を施して、CRTなどの表示手段上あるいは写真フイルムなどの記録材料上に、データを再生するように構成された化学発光解析システムが知られている(たとえば、米国特許第5,028,793号、英国特許出願公開GB第2,246,197Aなど。)。
【0004】
蓄積性蛍光体シートを放射線の検出材料として使用するこれらのシステムは、写真フイルムを用いる場合とは異なり、現像処理という化学的処理が不必要であるだけでなく、得られたディジタルデータにデータ処理を施すことにより、所望のように、解析用データを再生し、あるいは、コンピュータによる定量解析が可能になるという利点を有している。
【0005】
他方、オートラジオグラフィ解析システムにおける放射性標識物質に代えて、蛍光色素などの蛍光物質を標識物質として使用した蛍光(fluorescence)解析システムが知られている。この蛍光解析システムによれば、蛍光物質から放出された蛍光を検出することによって、遺伝子配列、遺伝子の発現レベル、実験用マウスにおける投与物質の代謝、吸収、排泄の経路、状態、蛋白質の分離、同定、あるいは、分子量、特性の評価などをおこなうことができ、たとえば、電気泳動されるべき複数種の蛋白質分子を含む溶液を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、ゲル支持体を蛍光色素を含んだ溶液に浸すなどして、電気泳動された蛋白質を染色し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することによって、画像を生成し、ゲル支持体上の蛋白質分子の位置および量的分布を検出したりすることができる。あるいは、ウェスタン・ブロッティング法により、ニトロセルロースなどの転写支持体上に、電気泳動された蛋白質分子の少なくとも一部を転写し、目的とする蛋白質に特異的に反応する抗体を蛍光色素で標識して調製したプローブと蛋白質分子とを会合させ、特異的に反応する抗体にのみ結合する蛋白質分子を選択的に標識し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の蛋白質分子の位置および量的分布を検出したりすることができる。また、電気泳動させるべき複数のDNA断片を含む溶液中に、蛍光色素を加えた後に、複数のDNA断片をゲル支持体上で電気泳動させ、あるいは、蛍光色素を含有させたゲル支持体上で、複数のDNA断片を電気泳動させ、あるいは、複数のDNA断片を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、ゲル支持体を、蛍光色素を含んだ溶液に浸すなどして、電気泳動されたDNA断片を標識し、励起光により、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、ゲル支持体上のDNAを分布を検出したり、あるいは、複数のDNA断片を、ゲル支持体上で、電気泳動させた後に、DNAを変性(denaturation)し、次いで、サザン・ブロッティング法により、ニトロセルロースなどの転写支持体上に、変性DNA断片の少なくとも一部を転写し、目的とするDNAと相補的なDNAもしくはRNAを蛍光色素で標識して調製したプローブと変性DNA断片とをハイブリダイズさせ、プローブDNAもしくはプローブRNAと相補的なDNA断片のみを選択的に標識し、励起光によって、蛍光色素を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の目的とするDNAの分布を検出したりすることができる。さらに、標識物質によって標識した目的とする遺伝子を含むDNAと相補的なDNAプローブを調製して、転写支持体上のDNAとハイブリダイズさせ、酵素を、標識物質により標識された相補的なDNAと結合させた後、蛍光基質と接触させて、蛍光基質を蛍光を発する蛍光物質に変化させ、励起光によって、生成された蛍光物質を励起して、生じた蛍光を検出することにより、画像を生成し、転写支持体上の目的とするDNAの分布を検出したりすることもできる。この蛍光解析システムは、放射性物質を使用することなく、簡易に、遺伝子配列などを検出することができるという利点がある。
【0006】
また、同様に、蛋白質や核酸などの生体由来の物質を支持体に固定し、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質により、選択的に標識し、標識物質によって選択的に標識された生体由来の物質と化学発光基質とを接触させて、化学発光基質と標識物質との接触によって生ずる可視光波長域の化学発光を、光電的に検出して、ディジタル画像信号を生成し、画像処理を施して、CRTなどの表示手段あるいは写真フィルムなどの記録材料上に、化学発光画像を再生して、遺伝子情報などの生体由来の物質に関する情報を得るようにした化学発光解析システムも知られている。
【0007】
さらに、近年、スライドガラス板やメンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、スポッター装置を用いて、滴下して、多数の独立したスポットを形成し、次いで、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、mRNAなど、抽出、単離などによって、生体から採取され、あるいは、さらに、化学的処理、化学修飾などの処理が施された生体由来の物質であって、蛍光物質、色素などの標識物質によって標識された物質を、ハイブリダイゼーションなどによって、特異的結合物質に、特異的に結合させたマイクロアレイに、励起光を照射して、蛍光物質、色素などの標識物質から発せられた蛍光などの光を光電的に検出して、生体由来の物質を解析するマイクロアレイ解析システムが開発されている。このマイクロアレイ解析システムによれば、スライドガラス板やメンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、数多くの特異的結合物質のスポットを高密度に形成して、標識物質によって標識された生体由来の物質をハイブリダイズさせることによって、短時間に、生体由来の物質を解析することが可能になるという利点がある。
【0008】
また、メンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を、スポッター装置を用いて、滴下して、多数の独立したスポットを形成し、次いで、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、mRNAなど、抽出、単離などによって、生体から採取され、あるいは、さらに、化学的処理、化学修飾などの処理が施された生体由来の物質であって、放射性標識物質によって標識された物質を、ハイブリダイゼーションなどによって、特異的結合物質に、特異的に結合させたマクロアレイを、輝尽性蛍光体を含む輝尽性蛍光体層が形成された蓄積性蛍光体シートと密着させて、輝尽性蛍光体層を露光し、しかる後に、輝尽性蛍光体層に励起光を照射し、輝尽性蛍光体層から発せられた輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する放射性標識物質を用いたマクロアレイ解析システムも開発されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、放射性標識物質を標識物質として用いたマクロアレイ解析システムにあっては、輝尽性蛍光体層を露光する際、メンブレンフィルタなどの担体表面上に形成されたスポット状領域に含まれた放射性標識物質の放射線エネルギーが非常に大きいため、放射性標識物質から発せられる電子線(β線)が散乱して、隣り合うスポット状領域に含まれた放射性標識物質によって露光されるべき輝尽性蛍光体層の領域に入射し、その結果、輝尽光を光電的に検出して生成された生化学解析用データ中にノイズが生成され、隣り合うスポット状領域間でのデータの分離が困難になって、分解能が低下するとともに、各スポット状領域の放射線量を定量して、生体由来の物質を解析する際、定量性が悪化するという問題があり、スポット状領域を近接して形成して、高密度化しようとする場合には、とくに、分解能が低下する著しく低下するとともに、定量性の著しい悪化が認められている。
【0010】
かかる問題を解決するため、EP 1178 314 A2などによって、放射線エネルギーを減衰させる性質を有する基板に、互いに離間して、多数の孔を形成し、多数の孔内に、吸着性材料を充填して、多数の吸着性領域を形成した生化学解析用ユニットを用い、生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域に、特異的結合物質を含む溶液を滴下して、特異的結合物質を多数の吸着性領域に固定し、多数の吸着性領域に固定された特異的結合物質に、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質を特異的に結合させて、放射性標識物質によって、多数の吸着性領域を選択的に標識し、放射線エネルギーを減衰させる性質を有する支持体に、生化学解析用ユニットの基板に形成された多数の吸着性領域と同じパターンによって、互いに離間して、多数の孔を形成し、多数の孔内に、輝尽性蛍光体を充填して、多数の輝尽性蛍光体層領域が形成された蓄積性蛍光体シートを、輝尽性蛍光体層領域が対応する吸着性領域に対向するように、生化学解析用ユニットに重ね合わせ、生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域に選択的に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートの多数の輝尽性蛍光体層領域に含まれた輝尽性蛍光体を露光し、蓄積性蛍光体シートをレーザ光によって走査して、輝尽性蛍光体層領域に含まれた輝尽性蛍光体を励起し、蓄積性蛍光体シートの多数の輝尽性蛍光体層領域から選択的に放出される輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する方法が提案されている。
【0011】
この方法によれば、生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域に選択的に含まれた放射性標識物質から放出された電子線(β線)が、生化学解析用ユニットの基板内で散乱することを効果的に防止し、蓄積性蛍光体シートの支持体内で散乱することを効果的に防止することが可能になるから、生化学解析用ユニットの吸着性領域から放出された電子線(β線)が、隣り合う吸着性領域に含まれた放射性標識物質によって露光されるべき輝尽性蛍光体層の領域に入射することを効果的に防止することができ、生化学解析用データ中のノイズを大幅に低減させることが可能になる。
【0012】
しかしながら、かかる方法によっても、スキャナを用いて、励起光により、蓄積性蛍光体シートの多数の輝尽性蛍光体層領域を走査して、輝尽性蛍光体層領域に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体層領域から発せられた輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用のデータを生成する際、励起光の走査に伴なって、次に励起すべき輝尽性蛍光体層領域に含まれた輝尽性蛍光体が、励起され、輝尽光を放出して、蓄積されている放射線エネルギーを放出するため、従来のスキャナによって生成された生化学解析用のデータに基づいて、解析をおこなう場合には、必然的に定量性が悪化するという問題があった。
【0013】
さらに、生化学解析の分野においては、メンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、細胞、ウィルス、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質を含むスポット状領域を形成し、スポット状領域に含まれた特異的結合物質に、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質によって標識された生体由来の物質を、ハイブリダイゼーションなどにより、特異的に結合させて、選択的に標識し、化学発光基質とを接触させて、化学発光基質と標識物質との接触によって生ずる可視光波長域の化学発光を光電的に検出し、および/または、励起光を照射して、蛍光物質から発せられる蛍光を光電的に検出して、生体由来の物質を解析することも要求されているが、かかる場合にも、スポット状領域から発せられた化学発光や蛍光がメンブレンフィルタなどの担体内で散乱し、あるいは、スポット状領域から発せられた化学発光や蛍光が散乱して、隣り合うスポット状領域から発せられた化学発光や蛍光と混ざり合い、その結果、化学発光および/または蛍光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中にノイズを生成するという問題があった。
【0014】
かかる問題を解決するため、EP 1178 314 A2などによって、光エネルギーを減衰させる性質を有する基板に、互いに離間して、多数の孔を形成し、多数の孔内に、吸着性材料を充填して、多数の吸着性領域を形成した生化学解析用ユニットを用い、生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域に、特異的結合物質を含む溶液を滴下して、特異的結合物質を多数の吸着性領域に固定し、多数の吸着性領域に固定された特異的結合物質に、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質によって標識された生体由来の物質を特異的に結合させて、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質および/または蛍光物質によって、多数の吸着性領域を選択的に標識し、化学発光基質と接触させて、生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域から選択的に放出される化学発光を光電的に検出し、および/または、生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域を励起光によって走査して、多数の吸着性領域に選択的に含まれた蛍光物質を励起し、多数の吸着性領域から選択的に放出される蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成し、生体由来の物質を解析する方法が提案されている。
【0015】
この方法によれば、生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域に選択的に含まれた化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質から放出された化学発光や生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域に選択的に含まれた蛍光物質から放出された蛍光が、生化学解析用ユニットの基板内で散乱することを効果的に防止することができ、吸着性領域から発せられた化学発光や蛍光が散乱して、隣り合う吸着性領域から発せられた化学発光や蛍光と混ざり合うことを効果的に防止することが可能になるから、化学発光や蛍光を光電的に検出して生成した生化学解析用データ中に、ノイズが生成されることを効果的に防止することが可能になる。
【0016】
しかしながら、かかる方法によっても、スキャナを用いて、励起光により、生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域を走査して、吸着性領域に含まれている蛍光物質を励起し、吸着性領域から発せられた蛍光を光電的に検出して、生化学解析用のデータを生成する際、励起光の走査に伴なって、次に励起すべき吸着性領域に含まれた蛍光物質が、励起され、蛍光を放出して、光電的に検出されることがあり、従来のスキャナによって生成された生化学解析用のデータに基づき、解析をおこなう場合には、必然的に定量性が悪化するという問題があった。
【0017】
したがって、本発明は、蓄積性蛍光体シートの支持体に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域のみに、確実に、励起光を導き、輝尽性蛍光体層領域に含まれた輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体層領域から放出された輝尽光を光電的に検出して、定量性に優れた生化学解析用データを生成することができ、生化学解析用ユニットの基板に形成された多数の吸着性領域のみに、確実に、励起光を導き、吸着性領域に含まれた蛍光物質を励起し、吸着性領域から放出された蛍光をを光電的に検出して、定量性に優れた生化学解析用データを生成することができる生化学解析用データ読み取り方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、生化学解析用データが選択的に記録された複数の発光可能領域が、互いに離間して形成されたサンプルをサンプルステージに載置し、前記サンプルステージおよび励起光を相対的に移動させて、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域に、順次、励起光を照射し、前記複数の発光可能領域から放出される光を、光電的に検出して、生化学解析用データを生成する方法であって、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射するのに先立って、前記サンプルステージに載置された前記サンプルに、位置決め用光を照射して、前記サンプルステージに載置された前記サンプルによって散乱された前記位置決め用光または前記サンプルステージに載置された前記サンプルを透過した前記位置決め用光を光電的に検出し、光電的に検出した前記位置決め用光の光量に基づいて、前記サンプルステージおよび前記励起光の相対的位置を決定して、前記サンプルステージおよび前記励起光を位置決めし、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射し、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成することを特徴とする生化学解析用データの読み取り方法によって達成される。
【0019】
蓄積性蛍光体シートの支持体に形成された輝尽性蛍光体層領域にのみ、励起光が照射されるように、励起光をオン・オフ制御しつつ、蓄積性蛍光体シートと励起光とを、一定のピッチで、相対的にかつ間欠的に、移動させて、蓄積性蛍光体シートの支持体に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域を励起光によって走査し、輝尽性蛍光体層領域から放出された輝尽光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成することよって、励起光の走査に伴なって、次に励起すべき輝尽性蛍光体層領域に含まれた輝尽性蛍光体が、励起され、輝尽光を放出して、蓄積されている放射線エネルギーを放出することに起因して、生成された生化学解析用データの定量性が低下することを防止することが可能になるが、蓄積性蛍光体シートの支持体に、多数の輝尽性蛍光体層領域が、一定のピッチで、正確に形成されていない場合や、蓄積性蛍光体シートが、サンプルステージに正確にセットされていない場合には、輝尽性蛍光体層領域に含まれている輝尽性蛍光体が蓄積している放射線エネルギーを十分に放出させることができず、また、次に励起すべき輝尽性蛍光体層領域に含まれた輝尽性蛍光体を励起光によって、励起して、蓄積している放射線エネルギーを放出させてしまい、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが困難になる。
【0020】
また、生化学解析用ユニットの基板に形成された吸着性領域にのみ、励起光が照射されるように、励起光をオン・オフ制御しつつ、生化学解析用ユニットと励起光とを、一定のピッチで、相対的にかつ間欠的に移動させて、生化学解析用ユニットの基板に形成された多数の吸着性領域を励起光によって走査し、吸着性領域から放出された蛍光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成することによって、励起光の走査に伴なって、次に励起すべき吸着性領域に含まれた蛍光物質が、励起され、蛍光を放出して、光電的に検出されることに起因して、生成された生化学解析用データの定量性が低下することを防止することが可能になるが、生化学解析用ユニットの基板に、多数の吸着性領域が、一定のピッチで、正確に形成されていない場合や、生化学解析用ユニットが、サンプルステージに正確にセットされていない場合には、吸着性領域に含まれている蛍光物質から蛍光を十分に放出させることができず、また、次に励起すべき吸着性領域に含まれた蛍光を励起光によって、励起して、蛍光を放出させてしまい、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが困難になる。
【0021】
このように、サンプルに、一定のピッチで、規則的に、複数の発光可能領域を形成されていない場合や、サンプルを、サンプルステージに正確にセットされていない場合には、励起光をオン・オフ制御しつつ、サンプルと励起光とを、一定のピッチで、相対的にかつ間欠的に移動させて、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域を励起光によって走査し、複数の発光可能領域から放出された光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成しても、定量性に優れた生化学解析用データを生成することはできないが、本発明によれば、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射するのに先立って、サンプルステージに載置されたサンプルに、位置決め用光を照射して、サンプルステージに載置されたサンプルによって散乱された位置決め用光またはサンプルステージに載置されたサンプルを透過した位置決め用光を光電的に検出し、光電的に検出した位置決め用光の光量に基づいて、サンプルステージおよび励起光の相対的位置を決定して、サンプルステージおよび励起光を位置決めし、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射し、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成するように構成されているから、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれによって散乱されて、光電的に検出された位置決め用光あるいはサンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれを透過し、光電的に検出された位置決め用光の光量が最大となる位置に、サンプルステージおよび励起光を位置決めすることによって、励起光を励起光を照射すべき発光可能領域のみに入射させることができ、したがって、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれによって散乱されて、光電的に検出された位置決め用光あるいはサンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれを透過し、光電的に検出された位置決め用光の光量が最大となる位置に、サンプルステージおよび励起光を位置決めして、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射し、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を光電的に検出することによって、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが可能になる。
【0022】
本発明の好ましい実施態様においては、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域に、前記位置決め用光を照射し、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれによって散乱された前記位置決め用光を光電的に検出し、光電的に検出した前記位置決め用光の光量が最大となる位置に、前記サンプルステージと前記励起光を位置決めし、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射し、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成するように構成されている。
【0023】
本発明の別の好ましい実施態様においては、前記サンプルステージに載置された前記サンプルに、前記位置決め用光を照射し、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれを透過した前記位置決め用光を光電的に検出し、光電的に検出した前記位置決め用光の光量が最大となる位置に、前記サンプルステージと前記励起光を位置決めし、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射し、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成するように構成されている。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、生化学解析用データが選択的に記録された前記複数の発光可能領域が、互いに離間して形成された前記サンプルが、放射線データまたは化学発光データが選択的に記録された複数の輝尽性蛍光体層領域が、互いに離間して形成された蓄積性蛍光体シートによって構成され、前記位置決め用光が、前記蓄積性蛍光体シートの前記輝尽性蛍光体層領域に含まれている輝尽性蛍光体を実質的に励起しない波長を有している。
【0025】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、生化学解析用データが選択的に記録された複数の発光可能領域が、互いに離間して形成されたサンプルが、放射線データまたは化学発光データが選択的に記録された複数の輝尽性蛍光体層領域が、互いに離間して形成された蓄積性蛍光体シートによって構成され、位置決め用光が、蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層領域に含まれている輝尽性蛍光体を実質的に励起しない波長を有しているから、サンプルステージと励起光を位置決めする際に、蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層領域に含まれている輝尽性蛍光体が蓄積している放射線エネルギーまたは化学発光エネルギーを放出することがなく、したがって、位置決め用光を用いて、サンプルステージと励起光を位置決めして、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射し、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を光電的に検出することによって、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが可能になる。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、生化学解析用データが記録された前記複数の発光可能領域が、互いに離間して形成された前記サンプルが、蛍光データが選択的に記録された複数の吸着性領域が、互いに離間して形成された生化学解析用ユニットによって構成され、前記位置決め用光が、前記生化学解析用ユニットの前記吸着性領域に含まれている蛍光物質を効率的に励起しない波長を有している。
【0027】
本発明の好ましい実施態様においては、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に形成された複数の孔内に、輝尽性蛍光体が充填されて、形成されている。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に形成された複数の貫通孔内に、輝尽性蛍光体が充填されて、形成されている。
【0029】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に形成された複数の貫通孔内に、輝尽性蛍光体を含む輝尽性蛍光体膜が圧入されて、形成されている。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に形成された複数の貫通孔内に、輝尽性蛍光体が埋め込まれて、形成されている。
【0031】
本発明の別の好ましい実施態様においては、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に形成された複数の凹部内に、輝尽性蛍光体が充填されて、形成されている。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に形成された複数の凹部内に、輝尽性蛍光体が埋め込まれて、形成されている。
【0033】
本発明の好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、略円形に形成されている。
【0034】
本発明の好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、略矩形状に形成されている。
【0035】
本発明の好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、10個以上の輝尽性蛍光体層領域が形成されている。
【0036】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、50個以上の輝尽性蛍光体層領域が形成されている。
【0037】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、100個以上の輝尽性蛍光体層領域が形成されている。
【0038】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、500個以上の輝尽性蛍光体層領域が形成されている。
【0039】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、1000個以上の輝尽性蛍光体層領域が形成されている。
【0040】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、5000個以上の輝尽性蛍光体層領域が形成されている。
【0041】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、10000個以上の輝尽性蛍光体層領域が形成されている。
【0042】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、50000個以上の輝尽性蛍光体層領域が形成されている。
【0043】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、100000個以上の輝尽性蛍光体層領域が形成されている。
【0044】
本発明の好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、それぞれ、5平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0045】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、それぞれ、1平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0046】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、それぞれ、0.5平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0047】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、それぞれ、0.1平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0048】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、それぞれ、0.05平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0049】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、それぞれ、0.01平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0050】
本発明の好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、10個/平方センチメートル以上の密度で、形成されている。
【0051】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、50個/平方センチメートル以上の密度で、形成されている。
【0052】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、100個/平方センチメートル以上の密度で、形成されている。
【0053】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、500個/平方センチメートル以上の密度で、形成されている。
【0054】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、1000個/平方センチメートル以上の密度で、形成されている。
【0055】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、5000個/平方センチメートル以上の密度で、形成されている。
【0056】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、10000個/平方センチメートル以上の密度で、形成されている。
【0057】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、50000個/平方センチメートル以上の密度で、形成されている。
【0058】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体に、前記複数の輝尽性蛍光体層領域が、100000個/平方センチメートル以上の密度で、形成されている。
【0059】
本発明の好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、放射線エネルギーを減衰させる性質を有している。
【0060】
本発明の好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記支持体中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有している。
【0061】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記支持体中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/10以下に減衰させる性質を有している。
【0062】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記支持体中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/50以下に減衰させる性質を有している。
【0063】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記支持体中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有している。
【0064】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記支持体中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/500以下に減衰させる性質を有している。
【0065】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記支持体中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/1000以下に減衰させる性質を有している。
【0066】
本発明の好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、光エネルギーを減衰させる性質を有している。
【0067】
本発明の好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記支持体中を透過したときに、光のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有している。
【0068】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記支持体中を透過したときに、光のエネルギーを、1/10以下に減衰させる性質を有している。
【0069】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記支持体中を透過したときに、光のエネルギーを、1/50以下に減衰させる性質を有している。
【0070】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記支持体中を透過したときに、光のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有している。
【0071】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記支持体中を透過したときに、光のエネルギーを、1/500以下に減衰させる性質を有している。
【0072】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記蓄積性蛍光体シートの前記支持体が、隣り合う前記輝尽性蛍光体層領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記支持体中を透過したときに、光のエネルギーを、1/1000以下に減衰させる性質を有している。
【0073】
本発明において、蓄積性蛍光体シートの支持体を形成するための材料は、放射線エネルギーおよび/または光エネルギーを減衰させる性質を有していることが好ましいが、とくに限定されるものではなく、無機化合物材料、有機化合物材料のいずれをも使用することができ、金属材料、セラミック材料またはプラスチック材料が、とくに好ましく使用される。
【0074】
本発明において、蓄積性蛍光体シートの支持体を形成するために好ましく使用することのできる無機化合物材料としては、たとえば、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、タンタル、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、錫、セレンなどの金属;真鍮、ステンレス、青銅などの合金;シリコン、アモルファスシリコン、ガラス、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの珪素材料;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物;タングステンカーバイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、砒化ガリウムなどの無機塩を挙げることができる。これらは、単結晶、アモルファス、セラミックのような多結晶焼結体にいずれの構造を有していてもよい。
【0075】
本発明において、蓄積性蛍光体シートの支持体を形成するために好ましく使用することのできる有機化合物材料としては、高分子化合物が好ましく用いられ、好ましく使用される高分子化合物としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体などのアクリル樹脂;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリテトラフルオロエチレン;ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリカーボネート;ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン;ポリイミド;ポリスルホン;ポリフェニレンサルファイド;ポリジフェニルシロキサンなどのケイ素樹脂;ノボラックなどのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;ポリウレタン;ポリスチレン;ブタジエン−スチレン共重合体;セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、でん粉、アルギン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの多糖類;キチン;キトサン;ウルシ;ゼラチン、コラーゲン、ケラチンなどのポリアミドおよびこれら高分子化合物の共重合体などを挙げることができる。これらは、複合材料でもよく、必要に応じて、金属酸化物粒子やガラス繊維などを充填することもでき、また、有機化合物材料をブレンドして、使用することもできる。
【0076】
一般に、比重が大きいほど、放射線の減衰能が高くなるので、蓄積性蛍光体シートの支持体は、比重1.0g/cm以上の化合物材料または複合材料によって形成されることが好ましく、比重が1.5g/cm以上、23g/cm以下の化合物材料または複合材料によって形成されることが、とくに好ましい。
【0077】
一般に、光の散乱および/または吸収が大きいほど、光エネルギーの減衰能が高くなるので、本発明において、蓄積性蛍光体シートの支持体は、厚さ1cmあたりの吸光度が0.3以上であることが好ましく、厚さ1cmあたりの吸光度が1以上であれば、さらに好ましい。ここに、吸光度は、厚さTcmの板状体の直後に、積分球を置き、計測に利用するプローブ光またはエミッション光の波長における透過光量Aを分光光度計によって測定し、A/Tを算出することによって、求められる。光減衰能を向上させるために、光散乱体や光吸収体を、蓄積性蛍光体シートの支持体に含有させることもできる。光散乱体としては、蓄積性蛍光体シートの支持体を形成している材料と異なる材料の微粒子が用いられ、光吸収体としては、顔料または染料が用いられる。
【0078】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された複数の孔内に、吸着性材料が充填されて、形成されている。
【0079】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された複数の貫通孔内に、吸着性材料が充填されて、形成されている。
【0080】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された複数の貫通孔内に、吸着性材料が埋め込まれて、形成されている。
【0081】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された複数の貫通孔内に、吸着性材料を含んだ吸着性膜が圧入されて、形成されている。
【0082】
本発明の別の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された複数の凹部内に、吸着性材料が充填されて、形成されている。
【0083】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記複数の吸着性領域が、前記基板に形成された複数の凹部内に、吸着性材料が埋め込まれて、形成されている。
【0084】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、略円形に形成されている。
【0085】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、略矩形状に形成されている。
【0086】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、10以上の前記吸着性領域が形成されている。
【0087】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、50以上の前記吸着性領域が形成されている。
【0088】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、100以上の前記吸着性領域が形成されている。
【0089】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、500以上の前記吸着性領域が形成されている。
【0090】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、1000以上の前記吸着性領域が形成されている。
【0091】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、5000以上の前記吸着性領域が形成されている。
【0092】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、10000以上の前記吸着性領域が形成されている。
【0093】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、50000以上の前記吸着性領域が形成されている。
【0094】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、100000以上の前記吸着性領域が形成されている。
【0095】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に形成された前記複数の吸着性領域が、それぞれ、5平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0096】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に形成された前記複数の吸着性領域が、それぞれ、1平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0097】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に形成された前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.5平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0098】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に形成された前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.1平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0099】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に形成された前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.05平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0100】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に形成された前記複数の吸着性領域が、それぞれ、0.01平方ミリメートル未満のサイズを有している。
【0101】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、10個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0102】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、50個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0103】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、100個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0104】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、500個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0105】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、1000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0106】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、5000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0107】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、10000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0108】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、50000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0109】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板に、前記複数の吸着性領域が、100000個/平方センチメートル以上の密度で形成されている。
【0110】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、放射線エネルギーを減衰させる性質を有している。
【0111】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有している。
【0112】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/10以下に減衰させる性質を有している。
【0113】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/50以下に減衰させる性質を有している。
【0114】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有している。
【0115】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/500以下に減衰させる性質を有している。
【0116】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、放射線が前記基板中を透過したときに、放射線のエネルギーを、1/1000以下に減衰させる性質を有している。
【0117】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、光エネルギーを減衰させる性質を有している。
【0118】
本発明の好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/5以下に減衰させる性質を有している。
【0119】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/10以下に減衰させる性質を有している。
【0120】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/50以下に減衰させる性質を有している。
【0121】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/100以下に減衰させる性質を有している。
【0122】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/500以下に減衰させる性質を有している。
【0123】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記生化学解析用ユニットの前記基板が、隣り合う前記吸着性領域の間の距離に等しい距離だけ、光が前記基板中を透過したときに、光のエネルギーを、1/1000以下に減衰させる性質を有している。
【0124】
本発明において、生化学解析用ユニットの基板を形成するための材料は、放射線エネルギーおよび/またはを減衰させる性質を有していることが好ましいが、とくに限定されるものではなく、無機化合物材料、有機化合物材料のいずれをも使用することができ、金属材料、セラミック材料またはプラスチック材料が、好ましく使用される。
【0125】
本発明において、生化学解析用ユニットの基板を形成するために好ましく使用することのできる無機化合物材料としては、たとえば、金、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、タンタル、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、鉛、錫、セレンなどの金属;真鍮、ステンレス、青銅などの合金;シリコン、アモルファスシリコン、ガラス、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの珪素材料;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物;タングステンカーバイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、砒化ガリウムなどの無機塩を挙げることができる。これらは、単結晶、アモルファス、セラミックのような多結晶焼結体にいずれの構造を有していてもよい。
【0126】
本発明において、生化学解析用ユニットの基板を形成するために使用可能な有機化合物材料としては、高分子化合物が好ましく用いられ、好ましく使用することのできる高分子化合物としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体などのアクリル樹脂;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリテトラフルオロエチレン;ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリカーボネート;ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン;ポリイミド;ポリスルホン;ポリフェニレンサルファイド;ポリジフェニルシロキサンなどのケイ素樹脂;ノボラックなどのフェノール樹脂;エポキシ樹脂;ポリウレタン;ポリスチレン;ブタジエン−スチレン共重合体;セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、でん粉、アルギン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの多糖類;キチン;キトサン;ウルシ;ゼラチン、コラーゲン、ケラチンなどのポリアミドおよびこれら高分子化合物の共重合体などを挙げることができる。これらは、複合材料でもよく、必要に応じて、金属酸化物粒子やガラス繊維などを充填することもでき、また、有機化合物材料をブレンドして、使用することもできる。
【0127】
一般に、比重が大きいほど、放射線の減衰能が高くなるので、生化学解析用ユニットの基板は、比重1.0g/cm以上の化合物材料または複合材料によって形成されることが好ましく、比重が1.5g/cm以上、23g/cm以下の化合物材料または複合材料によって形成されることが、とくに好ましい。
【0128】
一般に、光の散乱および/または吸収が大きいほど、光の減衰能が高くなるので、本発明において、生化学解析用ユニットの基板は、厚さ1cmあたりの吸光度が0.3以上であることが好ましく、厚さ1cmあたりの吸光度が1以上であれば、さらに好ましい。ここに、吸光度は、厚さTcmの板状体の直後に、積分球を置き、計測に利用するプローブ光またはエミッション光の波長における透過光量Aを分光光度計によって測定し、A/Tを算出することによって、求められる。本発明において、光減衰能を向上させるために、光散乱体や光吸収体を、生化学解析用ユニットの基板に含有させることもできる。光散乱体としては、生化学解析用ユニットの基板を形成している材料と異なる材料の微粒子が用いられ、光吸収体としては、顔料または染料が用いられる。
【0129】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域を形成するために使用される吸着性材料としては、多孔質材料あるいは繊維材料が好ましく使用される。多孔質材料と繊維材料を併用して、吸着性領域を形成することもできる。
【0130】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域を形成するために使用される多孔質材料は、有機材料、無機材料のいずれでもよく、有機/無機複合体でもよい。
【0131】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域を形成するために使用される有機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、活性炭などの炭素材料あるいはメンブレンフィルタを形成可能な材料が、好ましく用いられる。具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類;ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;コラーゲン;アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなどのアルギン酸類;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオライドなどのポリフルオライドや、これらの共重合体または複合体が挙げられる。
【0132】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域を形成するために使用される無機多孔質材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、白金、金、鉄、銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属;アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなどの金属酸化物;ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなどの金属塩やこれらの複合体などが挙げられる。
【0133】
本発明において、生化学解析用ユニットの吸着性領域を形成するために使用される繊維材料は、とくに限定されるものではないが、好ましくは、たとえば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10などのナイロン類、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
【0134】
本発明の前記目的はまた、励起光を発する少なくとも1つの励起光源と、生化学解析用データが選択的に記録された複数の発光可能領域が、互いに離間して形成されたサンプルを載置するサンプルステージと、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域から放出された光を光電的に検出する光検出器と、前記サンプルステージと前記励起光を相対的に移動させる走査機構と、前記少なくとも1つの励起光源から発せられた励起光を、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域に導く励起光集光手段と、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域から放出された光を前記光検出器に導く検出光集光手段と、位置決め用光を発する位置決め用光源と、前記位置決め用光源から発せられ、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記発光可能領域によって散乱された位置決め用光の光量、または、前記位置決め用光源から発せられ、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記発光可能領域を透過した位置決め用光の光量に基づいて、前記サンプルステージと前記励起光の最適相対的位置を決定し、前記走査機構を制御する制御手段を備えたことを特徴とする生化学解析用データ読み取り装置によって達成される。
【0135】
本発明によれば、生化学解析用データ読み取り装置は、励起光を発する少なくとも1つの励起光源と、生化学解析用データが選択的に記録された複数の発光可能領域が、互いに離間して形成されたサンプルを載置するサンプルステージと、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域から放出された光を光電的に検出する光検出器と、サンプルステージと励起光を相対的に移動させる走査機構と、少なくとも1つの励起光源から発せられた励起光を、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域に導く励起光集光手段と、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域から放出された光を光検出器に導く検出光集光手段と、位置決め用光を発する位置決め用光源と、位置決め用光源から発せられ、サンプルステージに載置されたサンプルの発光可能領域によって散乱された位置決め用光の光量、または、位置決め用光源から発せられ、サンプルステージに載置されたサンプルの発光可能領域を透過した位置決め用光の光量に基づいて、サンプルステージと励起光の最適相対的位置を決定し、走査機構を制御する制御手段を備えているから、位置決め用光源から発せられた位置決め用光を、サンプルステージに載置されたサンプルに照射し、サンプルの発光可能領域によって散乱された位置決め用光の光量、あるいは、サンプルの複数の発光可能領域を透過し、光電的に検出された位置決め用光の光量が最大となる位置を、制御手段によって検出し、走査機構を制御して、その位置に、サンプルステージおよび励起光を位置決めすることによって、励起光源から発せられた励起光を、励起光集光手段によって、励起光を照射すべき発光可能領域のみに入射させることができ、したがって、サンプルステージに載置されたサンプルの発光可能領域によって散乱されて、光電的に検出された位置決め用光あるいはサンプルステージに載置されたサンプルの発光可能領域を透過し、光電的に検出された位置決め用光の光量が最大となる位置に、サンプルステージおよび励起光を位置決めして、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれに、順次、励起光を照射し、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を、光検出器により光電的に検出することによって、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが可能になる。
【0136】
本発明の好ましい実施態様においては、前記位置決め用光源から発せられた前記位置決め用光が、前記励起光集光手段によって、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれに集光され、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれによって散乱された前記位置決め用光が、前記検出光集光手段によって、前記光検出器に導かれ、光電的に検出されるように構成されている。
【0137】
本発明の好ましい実施態様においては、生化学解析用データ読み取り装置は、さらに、前記少なくとも1つの励起光源から発せられる前記励起光をカットする励起光カットフィルタを備えたフィルタユニットと、前記フィルタユニットを、前記検出光集光手段によって、前記光検出器に導かれる光の光路内に位置する検出位置と、検出光集光手段によって、前記光検出器に導かれる光の前記光路から退避した退避位置との間で、移動させるフィルタユニット移動手段とを備え、前記フィルタユニット移動手段が、前記制御手段によって制御されるように構成されている。
【0138】
本発明の別の好ましい実施態様においては、前記位置決め用光源が、前記サンプルステージと前記サンプルの間に設けられ、前記位置決め用光源から発せられ、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれを透過した前記位置決め用光が、前記検出光集光手段によって、前記光検出器に導かれ、光電的に検出されるように構成されている。
【0139】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、生化学解析用データ読み取り装置は、さらに、前記位置決め用光源から発せられ、前記サンプルステージに載置された前記サンプルによって反射された前記位置決め用光をカットする遮光部材と、前記遮光部材を、前記位置決め用光源から発せられ、前記サンプルステージに載置された前記サンプルによって反射された前記位置決め用光の光路内に位置する遮光位置と、前記位置決め用光源から発せられ、前記サンプルステージに載置された前記サンプルによって反射された前記位置決め用光の光路から退避した退避位置との間で、移動させる遮光部材移動手段とを備え、前記遮光部材移動手段が、前記制御手段によって制御されるように構成されている。
【0140】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記フィルタユニットが、さらに、ニュートラルデンシティフィルタを備え、前記光検出器が、前記位置決め用光源から発せられた前記位置決め用光を検出するときに、前記制御手段が、前記ニュートラルデンシティフィルタが、前記位置決め用光源から発せられた前記位置決め用光の光路内に位置するように、前記フィルタユニット移動手段を制御するように構成されている。
【0141】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記位置決め用光源から発せられる前記位置決め用光が、前記少なくとも1つの励起光源から発せられる前記励起光と異なる波長を有している。
【0142】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、生化学解析用データが選択的に記録された複数の発光可能領域が、互いに離間して形成されたサンプルが、放射線データまたは化学発光データが選択的に記録された複数の輝尽性蛍光体層領域が、互いに離間して形成された蓄積性蛍光体シートによって構成されている場合に、位置決め用光源から発せられる位置決め用光が、少なくとも1つの励起光源から発せられる励起光と異なる波長を有しているから、サンプルステージと励起光を位置決めする際に、蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層領域に含まれている輝尽性蛍光体が蓄積している放射線エネルギーまたは化学発光エネルギーを放出することがなく、したがって、位置決め用光を用いて、サンプルステージと励起光を位置決めして、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射し、サンプルステージに載置されたサンプルの複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を光電的に検出することによって、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが可能になる。
【0143】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
【0144】
図1は、生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【0145】
図1に示されるように、生化学解析用ユニット1は、ステンレス鋼によって形成され、多数の略円形の貫通孔3が高密度に形成された基板2を備え、多数の貫通孔3の内部には、ナイロン6が充填されて、互いに離間した多数の吸着性領域4が、ドット状に形成されている。
【0146】
図1には正確に示されていないが、本実施態様においては、約0.07平方ミリメートルのサイズを有する略円形の吸着性領域4が、120列×160行のマトリックス状に、規則的に形成されるように、基板2に、貫通孔3が形成されており、したがって、合計19200の吸着性領域4が形成されている。
【0147】
ここに、吸着性領域4は、それぞれ、その表面が、基板2の表面の下方に位置するように、多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、形成されている。
【0148】
図2は、スポッティング装置の略正面図である。
【0149】
生化学解析にあたっては、図2に示されるように、生化学解析用ユニット1に規則的に形成された多数の吸着性領域4内に、特異的結合物質を含む溶液、たとえば、塩基配列が既知の互いに異なった複数のcDNAを含む溶液が、スポッティング装置5を使用して、滴下され、特異的結合物質が吸着性領域4内に固定される。
【0150】
図2に示されるように、スポッティング装置5は、特異的結合物質を含む溶液を、生化学解析用ユニット1に向けて、噴射するインジェクタ6と、CCDカメラ7とを備え、CCDカメラ7によって、インジェクタ6の先端部と、特異的結合物質、たとえば、cDNAを含む溶液を滴下すべき生化学解析用ユニット1の吸着性領域4を観察しながら、インジェクタ6の先端部と、特異的結合物質を含む溶液を滴下すべきの吸着性領域4の中心とが合致したときに、インジェクタ6から、特異的結合物質を含む溶液が滴下されるように構成され、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4内に、特異的結合物質を含む溶液を、正確に滴下することができるように保証されている。
【0151】
図3は、ハイブリダイゼーション反応容器の略縦断面図である。
【0152】
図3に示されるように、ハイブリダイズ容器8は円筒状をなし、内部に、標識物質によって標識された生体由来の物質を含むハイブリダイズ液9が収容されている。
【0153】
放射性標識物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、放射性標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液9が調製され、ハイブリダイゼーション反応容器8内に収容される。
【0154】
一方、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液9が調製され、ハイブリダイゼーション反応容器8内に収容される。
【0155】
さらに、蛍光色素などの蛍光物質によって、cDNAなどの特異的結合物質を選択的に標識する場合には、蛍光色素などの蛍光物質によって標識されたプローブである生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液9が調製され、ハイブリダイゼーション反応容器8内に収容される。
【0156】
放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質のうち、2以上の生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液9を調製して、ハイブリダイゼーション反応容器8内に収容させることもでき、本実施態様においては、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質を含むハイブリダイゼーション反応溶液9が調製され、ハイブリダイゼーション反応容器8内に収容されている。
【0157】
ハイブリダイゼーションにあたって、cDNAなどの特異的結合物質が、多数の吸着性領域4に吸着されている生化学解析用ユニット1が、ハイブリダイゼーション反応容器8内に収容される。
【0158】
その結果、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に固定されている特異的結合物質に、放射性標識物質により標識され、ハイブリダイゼーション反応溶液9に含まれた生体由来の物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識され、ハイブリダイゼーション反応溶液9に含まれた生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識され、ハイブリダイゼーション反応溶液9に含まれた生体由来の物質が、選択的に、ハイブリダイズされる。
【0159】
こうして、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に、放射性標識物質の放射線データ、化学発光データおよび蛍光色素などの蛍光物質の蛍光データが記録される。
【0160】
生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された蛍光データは、後述するスキャナによって読み取られ、生化学解析用データが生成される。
【0161】
一方、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された放射性標識物質の放射線データは、蓄積性蛍光体シートに転写され、蓄積性蛍光体シートに転写された放射線データは、後述するスキャナによって読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0162】
これに対して、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された化学発光データは、別の蓄積性蛍光体シートに転写され、蓄積性蛍光体シートに転写された化学発光データは、後述するスキャナによって読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0163】
図4は、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された放射線データを転写すべき蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【0164】
図4に示されるように、蓄積性蛍光体シート10は、多数の略円形の貫通孔13が規則的に形成されたステンレス鋼製の支持体11を備え、支持体11の形成された多数の貫通孔13内に、放射線エネルギーを吸収し、蓄積可能なBaFX系輝尽性蛍光体(ここに、Xは、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれたハロゲン原子である。)が充填されて、多数の輝尽性蛍光体層領域12が、ドット状に形成されている。
【0165】
多数の貫通孔13は、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4と同一のパターンで、支持体11に形成され、各輝尽性蛍光体層領域12は、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4と等しいサイズを有するように、形成されている。
【0166】
したがって、図4には、正確に示されていないが、本実施態様においては、約0.07平方ミリメートルのサイズを有する略円形の輝尽性蛍光体層領域12が、120列×160行のマトリックス状に、支持体11に形成されており、したがって、合計19200の輝尽性蛍光体層領域12が、ドット状に形成されている。
【0167】
また、本実施態様においては、支持体11の表面と、多数の輝尽性蛍光体層領域12の表面とが同一の高さに位置するように、支持体11に形成された貫通孔13に、輝尽性蛍光体が埋め込まれて、蓄積性蛍光体シート10が形成されている。
【0168】
図5は、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12を露光する方法を示す略断面図である。
【0169】
図5に示されるように、露光にあたって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12が、生化学解析用ユニット1に形成された対応する多数の吸着性領域4に対向するように、蓄積性蛍光体シート10と生化学解析用ユニット1とが重ね合わされる。
【0170】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット1は、ステンレス鋼製の基板2に形成された多数の貫通孔3内に、ナイロン6が充填されて、形成されているので、ハイブリダイゼーションなど、液体による処理を受けても、ほとんど伸縮することがなく、したがって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12が、それぞれ、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された対応する吸着性領域4に、正確に対向するように、蓄積性蛍光体シート10と生化学解析用ユニット1とを、容易にかつ確実に重ね合わせて、輝尽性蛍光体層領域12を露光することが可能になる。
【0171】
こうして、所定の時間にわたって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12の各々と、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4とを対向させることによって、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に選択的に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シート10に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12が露光される。
【0172】
この際、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から、電子線(β線)が発せられるが、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4は、ステンレス鋼によって形成された基板2に、互いに離間して形成され、各吸着性領域4の周囲には、放射線エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の基板2が存在しているから、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が、生化学解析用ユニット1の基板2内で、散乱することを効果的に防止することができ、さらに、蓄積性蛍光体シート10の多数の輝尽性蛍光体層領域12が、ステンレス鋼製の支持体11に形成された多数の凹部13内に、輝尽性蛍光体を埋め込んで、形成され、各輝尽性蛍光体層領域12の周囲には、放射線エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の支持体11が存在しているから、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線(β線)が、蓄積性蛍光体シート10の支持体11内で、散乱することを効果的に防止することができ、したがって、生化学解析用ユニット1の各吸着性領域4に含まれている放射性標識物質から発せられた電子線(β線)によって、その吸着性領域4に対向する輝尽性蛍光体層領域12を選択的に露光することが可能になる。
【0173】
こうして、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12に、放射性標識物質の放射線データが記録される。
【0174】
図6は、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12に記録されている放射線データを読み取って、生化学解析用データを生成するとともに、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光色素などの蛍光データを読み取って、生化学解析用データを生成するスキャナの概略図である。
【0175】
図6に示されるように、本実施態様にかかるスキャナは、640nmの波長のレーザ光24を発する第1のレーザ励起光源21と、532nmの波長のレーザ光24を発する第2のレーザ励起光源22と、405nmの波長のレーザ光24を発する位置決め用レーザ光源20とを備えている。
【0176】
本実施態様においては、第1のレーザ励起光源21および位置決め用レーザ光源20は、半導体レーザ光源によって構成され、第2のレーザ励起光源22は、第二高調波生成(Second Harmonic Generation)素子によって構成されている。
【0177】
第1のレーザ励起光源21により発せられた640nmの波長のレーザ光24は、コリメータレンズ25によって、平行光とされた後、ミラー26によって反射される。第1のレーザ励起光源21から発せられ、ミラー26によって反射されたレーザ光24の光路には、640nmのレーザ光4を透過し、532nmの波長の光を反射する第1のダイクロイックミラー27および532nm以上の波長の光を反射し、405nmの波長の光を透過する第2のダイクロイックミラー28が設けられており、第1のレーザ励起光源21により発生されたレーザ光24は、第1のダイクロイックミラー27を透過し、第2のダイクロイックミラー28によって反射されて、ミラー29に入射する。
【0178】
他方、第2のレーザ励起光源22より発せられた532nmの波長のレーザ光24は、コリメータレンズ30により、平行光とされた後、第1のダイクロイックミラー27によって反射されて、その向きが90度変えられて、第2のダイクロイックミラー28に入射し、第2のダイクロイックミラー28によって反射されて、ミラー29に入射する。
【0179】
また、位置決め用レーザ光源20から発せられた405nmの波長のレーザ光24は、コリメータレンズ31によって、平行光とされた後、第2のダイクロイックミラー28を透過して、ミラー29に入射する。
【0180】
ミラー29に入射したレーザ光24は、ミラー29によって反射され、さらに、ミラー32に入射して、反射される。
【0181】
ミラー32によって反射されたレーザ光24の光路には、中央部に穴33が形成された凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34が配置されており、ミラー32によって反射されたレーザ光24は、穴開きミラー34の穴33を通過して、凹面ミラー38に入射する。
【0182】
凹面ミラー38に入射したレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、光学ヘッド35に入射する。
【0183】
光学ヘッド35は、ミラー36と、非球面レンズ37を備えており、光学ヘッド35に入射したレーザ光24は、ミラー36によって反射されて、非球面レンズ37によって、サンプルステージ40上に載置された蓄積性蛍光体シート10あるいは生化学解析用ユニット1に入射する。
【0184】
蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12の1つに、第1のレーザ励起光源21から発せられた640nmの波長のレーザ光24が入射すると、輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体が励起され、輝尽光45が放出される。
【0185】
また、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4が、ローダミン(登録商標)など、532nmの波長のレーザ光24によって、効率的に励起可能な蛍光色素によって標識されているときは、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4の1つに、第2のレーザ励起光源22から発せられた532nmの波長のレーザ光24が入射すると、吸着性領域4に含まれている蛍光色素が励起されて、蛍光45が放出される。
【0186】
一方、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4が、Cy5(登録商標)など、640nmの波長のレーザ光24によって、効率的に励起可能な蛍光色素によって標識されているときは、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4の1つに、第1のレーザ励起光源21から発せられた640nmの波長のレーザ光24が入射すると、吸着性領域4に含まれている蛍光色素が励起されて、蛍光45が放出される。
【0187】
これに対して、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12に、位置決め用レーザ光源20から発せられた405nmの波長のレーザ光24が入射しても、輝尽性蛍光体は励起されないから、輝尽光は放出されず、405nmの波長のレーザ光24は、輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱される。
【0188】
また、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4に、位置決め用レーザ光源20から発せられた405nmの波長のレーザ光24が入射すると、蛍光色素などの蛍光物質が励起されて、微弱な蛍光45が放出されるが、その強度は、吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24よりもはるかに小さい。
【0189】
蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12から放出された輝尽光45、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4から放出された蛍光45または蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12もしくは生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって、ミラー36に集光され、ミラー36によって、レーザ光24の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー38に入射する。
【0190】
凹面ミラー38に入射した輝尽光45、蛍光45あるいは405nmの波長のレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、穴開きミラー34に入射する。
【0191】
穴開きミラー34に入射した輝尽光45、蛍光45あるいは405nmの波長のレーザ光24は、図6に示されるように、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、反射されて、フィルタユニット48に入射し、所定の波長の光がカットされて、フォトマルチプライア50に入射し、光電的に検出される。
【0192】
図6に示されるように、フィルタユニット48は、4つのフィルタ51a、51b、51c、51dを備えており、フィルタユニット48は、モータ(図示せず)によって、図6において、矢印で示される方向に、移動可能に構成されている。
【0193】
フィルタ51aは、第1のレーザ励起光源21を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に含まれている蛍光物質を励起して、蛍光45を読み取るときに使用されるフィルタであり、640nmの波長の光をカットし、640nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0194】
また、フィルタ51bは、第2のレーザ励起光源22を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4に含まれている蛍光色素などの蛍光物質を励起し、蛍光45を読み取るときに使用されるフィルタ部材であり、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有している。
【0195】
フィルタ51cは、第1のレーザ励起光源21を用いて、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起して、輝尽性蛍光体層領域12から発せられた輝尽光45を読み取るときに使用されるフィルタであり、輝尽性蛍光体層領域12から放出される輝尽光45の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有している。
【0196】
フィルタ51dは、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24を読み取るときに使用されるニュートラルデンシティフィルタであり、入射光の分光組成を変えないで、減光する性質を有している。
【0197】
したがって、使用すべきレーザ励起光源に応じて、フィルタ51a、51b、51c、51dを選択的にフォトマルチプライア50の前面に位置させることによって、フォトマルチプライア50は、検出すべき光のみを光電的に検出することができる。
【0198】
フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器53によって、ディジタルデータに変換され、データ処理装置54に送られる。
【0199】
図6において、55は、蓄積性蛍光体シート10の支持体11あるいは生化学解析用ユニット1の基板2の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24が、凹面ミラー38に入射して、フォトマルチプライア50によって検出されることを防止するための遮光部材であり、モータ(図示せず)によって、矢印で示される方向に、移動可能に構成されている。
【0200】
図6には図示されていないが、光学ヘッド35は、走査機構によって、図6において、矢印Xで示される主走査方向および矢印Yで示される主走査方向に直交する副走査方向に移動可能に構成され、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成されたすべての輝尽性蛍光体層領域12および生化学解析用ユニット1の基板2に形成されたすべての吸着性領域4が、レーザ光24によって走査されるように構成されている。
【0201】
図7は、光学ヘッドの走査機構の略平面図である。
【0202】
図7においては、簡易化のため、光学ヘッド15を除く光学系ならびにレーザ光24および蛍光45あるいは輝尽光45の光路は省略されている。
【0203】
図7に示されるように、光学ヘッド35を走査する走査機構は、基板60を備え、基板60上には、副走査パルスモータ61と一対のレール62、62とが固定され、基板60上には、さらに、図7において、矢印Yで示された副走査方向に、移動可能な基板63とが設けられている。
【0204】
移動可能な基板63には、ねじが切られた穴(図示せず)が形成されており、この穴内には、副走査パルスモータ61によって回転されるねじが切られたロッド64が係合している。
【0205】
移動可能な基板63上には、主走査ステッピングモータ65が設けられ、主走査ステッピングモータ65は、エンドレスベルト66を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4の距離、すなわち、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域12の距離に等しいピッチで、間欠的に駆動可能に構成されている。
【0206】
光学ヘッド35は、エンドレスベルト66に固定されており、主走査ステッピングモータ65によって、エンドレスベルト66が駆動されると、図7において、矢印Xで示された主走査方向に移動されるように構成されている。図7において、67は、光学ヘッド35の主走査方向における位置を検出するリニアエンコーダであり、68は、リニアエンコーダ67のスリットである。
【0207】
したがって、主走査ステッピングモータ65によって、エンドレスベルト66が、主走査方向に間欠的に駆動され、副走査パルスモータ61によって、基板63が、副走査方向に間欠的に移動されることによって、光学ヘッド35は、図7において、矢印Xで示される主走査方向および矢印Yで示される副走査方向に移動され、レーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成されたすべての輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成されたすべての吸着性領域4が走査される。
【0208】
図8は、図6に示されたスキャナの制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【0209】
図8に示されるように、第1のスキャナの制御系は、スキャナ全体を制御するコントロールユニット70と、データ処理装置54を備えており、また、スキャナの入力系は、オペレータによって操作され、種々の指示信号を入力可能なキーボード71を備えている。
【0210】
図8に示されるように、スキャナの駆動系は、光学ヘッド35を主走査方向に間欠的に移動させる主走査ステッピングモータ65と、光学ヘッド35を副走査方向に間欠的に移動させる副走査パルスモータ61と、4つのフィルタ51a、51b、51c、51dを備えたフィルタユニット48を移動させるフィルタユニットモータ72と、遮光部材55を、蓄積性蛍光体シート10の支持体11あるいは生化学解析用ユニット1の基板2の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24の光路内に位置する遮光位置と、蓄積性蛍光体シート10の支持体11あるいは生化学解析用ユニット1の基板2の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24の光路から退避した退避位置との間で、移動させる遮光部材モータ73を備えている。
【0211】
コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21、第2のレーザ励起光源22または位置決め用レーザ光源20に選択的に駆動信号を出力するとともに、フィルタユニットモータ72および遮光部材モータ73に駆動信号を出力可能に構成されている。
【0212】
また、図8に示されるように、第1のスキャナの検出系は、フォトマルチプライア50と、光学ヘッド35の主走査方向における位置を検出するリニアエンコーダ67を備えている。
【0213】
本実施態様においては、コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21、第2のレーザ励起光源22または第3のレーザ励起光源20をオン・オフ制御可能に構成されている。
【0214】
以上のように構成された本実施態様にかかるスキャナは、以下のようにして、生化学解析用ユニット1に形成された多数の吸着性領域4に含まれている放射性標識物質によって、多数の輝尽性蛍光体層領域12が露光されて、蓄積性蛍光体シート10に記録された放射性標識物質の放射線データを読み取って、生化学解析用データを生成する。
【0215】
まず、蓄積性蛍光体シート10が、サンプルステージ40上に載置される。
【0216】
次いで、ユーザーによって、キーボード71に、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12を、レーザ光24によって走査する旨の指示信号が入力される。
【0217】
キーボード71に入力された指示信号は、コントロールユニット70に入力され、指示信号を受けると、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されたフィルタ51dを、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、蓄積性蛍光体シート10の支持体11の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24の光路内の遮光位置に移動させる。
【0218】
さらに、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力し、光学ヘッド35を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12のうち、第1の輝尽性蛍光体層領域12のみに、レーザ光24を照射可能な位置に、光学ヘッド35が達したと判定すると、主走査ステッピングモータ65に停止信号を出力するとともに、位置決め用レーザ光源20に駆動信号を出力し、位置決め用レーザ光源20を起動させ、405nmの波長のレーザ光24を発せさせる。
【0219】
位置決め用レーザ光源20から発せられた405nmの波長のレーザ光24は、コリメータレンズ31によって、平行光とされた後、第2のダイクロイックミラー28を透過して、ミラー29に入射する。
【0220】
ミラー29に入射した405nmの波長のレーザ光24は、ミラー29によって反射され、さらに、ミラー32に入射して、反射される。
【0221】
ミラー32によって反射されたレーザ光24は、穴開きミラー34の穴33を通過して、凹面ミラー38に入射する。
【0222】
凹面ミラー38に入射したレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、光学ヘッド35に入射する。
【0223】
光学ヘッド35に入射した405nmの波長のレーザ光24は、ミラー36によって反射され、非球面レンズ37によって、サンプルステージ40上に載置された蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域12に集光される。
【0224】
ここに、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12に含まれているBaFX系輝尽性蛍光体は、640nmの波長の光によって最も効率的に励起され、405nmの波長のレーザ光24によっては励起されないから、405nmの波長のレーザ光24が、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12に照射されても、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12に含まれた輝尽性蛍光体が蓄積している放射線エネルギーが放出されることはなく、したがって、第1の輝尽性蛍光体層領域12から輝尽光45は放出されず、第1の輝尽性蛍光体層領域12に入射した405nmの波長のレーザ光45は、第1の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱される。
【0225】
ここに、多数の輝尽性蛍光体層領域12が、一定のピッチで、所望のように、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に、規則的に形成されていないとき、あるいは、蓄積性蛍光体シート10が、サンプルステージ40上の所望の位置に、正確にセットされていないときは、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、コントロールユニット70が、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12のうち、第1の輝尽性蛍光体層領域12のみに、レーザ光24を照射可能な位置に、光学ヘッド35が達したと判定した場合でも、レーザ光24の一部は、第1の輝尽性蛍光体層領域12を取り囲むステンレス鋼製の支持体11の表面に入射し、反射される。
【0226】
蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12の表面によって散乱された405nmの波長のレーザ光24および第1の輝尽性蛍光体層領域12を取り囲むステンレス鋼製の支持体11の表面によって反射された405nmの波長のレーザ光24は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって集光され、ミラー36により、レーザ光24の光路と同じ側に反射されて、平行な光とされる。
【0227】
本実施態様においては、位置決め用レーザ光源20が起動されているときは、遮光部材55が、蓄積性蛍光体シート10の支持体11の表面によって反射された405nmの波長のレーザ光24の光路内の遮光位置に位置しているから、蓄積性蛍光体シート10の支持体11の表面によって反射された405nmの波長のレーザ光24は、遮光部材55によって遮光され、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24のみが、凹面ミラー38に入射する。
【0228】
凹面ミラー38に入射した405nmの波長のレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射され、穴開きミラー34に入射する。
【0229】
穴開きミラー34に入射した輝尽光45は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、図6に示されるように、反射され、フィルタユニット48のフィルタ51dに入射する。
【0230】
フィルタ51dは、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されているから、フィルタ51dに入射した405nmの波長のレーザ光24は、減光されて、フォトマルチプライア50に入射し、光電的に検出される。
【0231】
このように、蓄積性蛍光体シート10の輝尽性蛍光体層領域12の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24は、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されているフィルタ51dによって、減光されて、フォトマルチプライア50に受光されるから、レーザ光24の強度が大きくても、検出された信号が飽和することを効果的に防止することができる。
【0232】
フォトマルチプライア50によって、405nmの波長のレーザ光24が光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器53に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0233】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力する。
【0234】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0235】
データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリに記憶させると、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源20に駆動停止信号を出力して、位置決め用レーザ光源20の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdだけ、図7において、矢印Xで示される方向に移動させる。
【0236】
次いで、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源20に駆動信号を出力して、位置決め用レーザ光源20を起動させる。
【0237】
同様にして、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0238】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0239】
さらに、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源20に駆動停止信号を出力して、位置決め用レーザ光源20の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdの2倍の距離だけ、図7において、矢印Xで示される向きとは反対向きに移動させる。
【0240】
同様にして、位置決め用レーザ光源20が起動され、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0241】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0242】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微小な距離づつ移動され、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、データ処理装置54によって、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定する。
【0243】
ここに、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度は、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24の強度に対応しているから、405nmの波長のレーザ光24が、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12のみに入射したときに、ディジタル信号の信号強度は最大となり、したがって、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときの光学ヘッド35の位置が、レーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12のみに入射させることができる位置となる。
【0244】
そこで、コントロールユニット70は、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12のみに入射させることができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0245】
次いで、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光45の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ51cを、輝尽光45の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、輝尽光45の光路から退避した退避位置に移動させる。
【0246】
さらに、コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21に駆動信号を出力し、第1のレーザ励起光源21を起動させ、640nmの波長のレーザ光24を発せさせる。
【0247】
第1のレーザ励起光源21から発せられたレーザ光24は、コリメータレンズ25によって、平行な光とされた後、ミラー26に入射して、反射される。
【0248】
ミラー26によって反射されたレーザ光24は、第1のダイクロイックミラー27を透過し、第2のダイクロイックミラー28によって、反射されて、ミラー29に入射する。
【0249】
ミラー29に入射したレーザ光24は、ミラー29によって反射され、さらに、ミラー32に入射して、反射される。
【0250】
ミラー32によって反射されたレーザ光24は、穴開きミラー34の穴33を通過して、凹面ミラー38に入射する。
【0251】
凹面ミラー38に入射したレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、光学ヘッド35に入射する。
【0252】
光学ヘッド35に入射したレーザ光24は、ミラー36によって反射され、非球面レンズ37によって、サンプルステージ40上に載置された蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12に集光される。
【0253】
ここに、光学ヘッド35は、レーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12のみに入射させることができる位置に位置しているから、レーザ光24を蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12のみに集光させることが可能になる。
【0254】
また、本実施態様においては、輝尽性蛍光体層領域12は、それぞれ、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の支持体11に形成された貫通孔13内に、輝尽性蛍光体が埋め込まれて、形成されているから、第1の輝尽性蛍光体層領域12内で、レーザ光24が散乱して、隣り合った輝尽性蛍光体層領域12内に入射し、隣り合った輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起することを、効果的に防止することが可能になる。
【0255】
レーザ光24が、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域12に入射すると、蓄積性蛍光体シート10に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体が、レーザ光24によって励起されて、第1の輝尽性蛍光体層領域12から、輝尽光45が放出される。
【0256】
蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12から放出された輝尽光45は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって集光され、ミラー36により、レーザ光24の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー38に入射する。
【0257】
凹面ミラー38に入射した輝尽光45は、凹面ミラー38によって反射され、穴開きミラー34に入射する。
【0258】
穴開きミラー34に入射した輝尽光45は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、図6に示されるように、反射され、フィルタユニット48のフィルタ51cに入射する。
【0259】
フィルタ51cは、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有しているので、励起光である640nmの波長の光がカットされ、輝尽光の波長域の光のみがフィルタ51cを透過して、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出される。
【0260】
フォトマルチプライア50によって、輝尽光45が光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器53に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0261】
第1のレーザ励起光源21がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源21をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域12の間の距離に等しいピッチだけ、移動させる。
【0262】
同時に、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されたフィルタ51dを、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、蓄積性蛍光体シート10の支持体11の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24の光路内の遮光位置に移動させる。
【0263】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、隣り合う輝尽性蛍光体層領域12の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されたことが確認されると、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源20に駆動信号を出力して、位置決め用レーザ光源20を起動させ、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域12に隣り合った第2の輝尽性蛍光体層領域12に、405nmの波長のレーザ光24を照射する。
【0264】
蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12に、405nmの波長のレーザ光24を照射したのと同様にして、蓄積性蛍光体シート10の第2の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24のみが、フォトマルチプライア50に導かれて、光電的に検出され、アナログ信号が生成される。
【0265】
フォトマルチプライア50によって生成されたアナログ信号は、A/D変換器53によってディジタル化され、データ処理装置54によって、ディジタル信号の信号強度が算出されて、コントロールユニット70に出力される。
【0266】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0267】
データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリに記憶させると、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源20に駆動停止信号を出力して、位置決め用レーザ光源20の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdだけ、図7において、矢印Xで示される主走査方向に移動させる。
【0268】
次いで、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源20に駆動信号を出力して、位置決め用レーザ光源20を起動させる。
【0269】
同様にして、蓄積性蛍光体シート10の第2の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0270】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0271】
さらに、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源20に駆動停止信号を出力して、位置決め用レーザ光源20の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdの2倍の距離だけ、図7において、矢印Xで示される向きと反対向きに移動させる。
【0272】
主走査ステッピングモータ65が停止された後、位置決め用レーザ光源20が起動されて、同様にして、蓄積性蛍光体シート10の第2の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0273】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0274】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微小な距離づつ移動され、蓄積性蛍光体シート10の第2の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、データ処理装置54によって、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定する。
【0275】
次いで、コントロールユニット70は、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10の第2の輝尽性蛍光体層領域12のみに入射させることができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0276】
さらに、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光45の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ51cを、輝尽光45の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、輝尽光45の光路から退避した退避位置に移動させる。
【0277】
次いで、コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21に駆動信号を出力し、第1のレーザ励起光源21を起動させ、640nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート10の第2の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起する。
【0278】
所定時間にわたって、640nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート10の第2の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、蓄積性蛍光体シート10の第2の輝尽性蛍光体層領域12から放出された輝尽光45が、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、A/D変換器53によって、アナログ信号がディジタル化されて、ディジタル信号がデータ処理装置54に送られると、コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源21をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、隣り合う輝尽性蛍光体層領域12の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0279】
同時に、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されたフィルタ51dを、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、蓄積性蛍光体シート10の支持体11の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24の光路内の遮光位置に移動させる。
【0280】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、隣り合う輝尽性蛍光体層領域12の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されたことが確認されると、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源20に駆動信号を出力して、位置決め用レーザ光源20を起動させ、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された第2の輝尽性蛍光体層領域12に隣り合った第3の輝尽性蛍光体層領域12に、405nmの波長のレーザ光24を照射する。
【0281】
蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12に、405nmの波長のレーザ光24を照射したのと同様にして、蓄積性蛍光体シート10の第2の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24のみが、フォトマルチプライア50に導かれて、光電的に検出され、アナログ信号が生成される。
【0282】
フォトマルチプライア50によって生成されたアナログ信号は、A/D変換器53によってディジタル化され、データ処理装置54によって、ディジタル信号の信号強度が算出されて、コントロールユニット70に出力される。
【0283】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0284】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微小な距離づつ移動され、蓄積性蛍光体シート10の第3の輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、データ処理装置54によって、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定し、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10の第3の輝尽性蛍光体層領域12のみに入射させることができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0285】
次いで、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力して、フィルタユニット48を移動させ、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光45の波長域の光のみを透過し、640nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ51cを、輝尽光45の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、輝尽光45の光路から退避した退避位置に移動させ、第1のレーザ励起光源21に駆動信号を出力して、第1のレーザ励起光源21を起動させ、640nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート10の第3の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起する。
【0286】
所定時間にわたって、640nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート10の第3の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、蓄積性蛍光体シート10の第3の輝尽性蛍光体層領域12から放出された輝尽光45が、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、A/D変換器53によって、アナログ信号がディジタル化されて、ディジタル信号がデータ処理装置54に送られると、コントロールユニット70は、第1のレーザ励起光源21に駆動停止信号を出力して、第1のレーザ励起光源21をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、隣り合う輝尽性蛍光体層領域12の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0287】
こうして、光学ヘッド35の間欠的な移動に同期して、第1のレーザ励起光源21および位置決め用レーザ光源20のオン・オフが繰り返され、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、主走査方向に、1ライン分だけ、移動され、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域12のレーザ光24による走査が完了したことが確認されると、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を元の位置に復帰させるとともに、副走査パルスモータ61に駆動信号を出力して、移動可能な基板63を、副走査方向に、1ライン分だけ、移動させる。
【0288】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が元の位置に復帰され、かつ、移動可能な基板63が、副走査方向に、1ライン分だけ、移動されたことを確認すると、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源20から発せられる405nmのレーザ光24を用いて、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された第1ライン目の各輝尽性蛍光体層領域12ごとに、光学ヘッド35を最適励起位置に位置決めし、第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域12に、順次、第1のレーザ励起光源21から発せられるレーザ光24を照射し、第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体層領域12から発せられた輝尽光45を、順次、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出させたのと同様にして、位置決め用レーザ光源20から発せられる405nmのレーザ光24を用いて、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された第2ライン目の各輝尽性蛍光体層領域12ごとに、光学ヘッド35を最適励起位置に位置決めしつつ、第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域12に、順次、第1のレーザ励起光源21から発せられるレーザ光24を照射して、第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体層領域12から発せられた輝尽光45を、順次、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出させる。
【0289】
フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器53によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られる。
【0290】
こうして、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12がすべて、レーザ光24によって走査され、輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体が励起されて、放出された輝尽光45が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出され、生成されたアナログデータが、A/D変換器53により、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られると、コントロールユニット70から、駆動停止信号が、第1のレーザ励起光源21に出力され、第1のレーザ励起光源21の駆動が停止される。
【0291】
以上のようにして、図6ないし図8に示されたスキャナによって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12に記録されている放射性標識物質の放射線データが読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0292】
一方、図6ないし図8に示されたスキャナを用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光物質の蛍光データを読み取って、生化学解析用データを生成するときは、まず、ユーザーによって、生化学解析用ユニット1が、サンプルステージ40上にセットされる。
【0293】
次いで、ユーザーによって、キーボード71に、標識物質である蛍光色素の種類を特定する蛍光物質特定信号および蛍光データを読み取るべき旨の指示信号が入力される。
【0294】
たとえば、生体由来の物質を標識する蛍光物質として、532nmの波長のレーザによって、最も効率的に励起することのできるローダミン(登録商標)が使用されているときは、キーボード71に、ローダミンが入力される。
【0295】
蛍光データを読み取るべき旨の指示信号および蛍光物質特定信号は、コントロールユニット70に入力され、指示信号を受けると、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されたフィルタ51dを、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、生化学解析用ユニット1の基板2の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24の光路内の遮光位置に移動させる。
【0296】
さらに、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力し、光学ヘッド35を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4のうち、第1の吸着性領域4のみに、レーザ光24を照射可能な位置に、光学ヘッド35が達したと判定すると、主走査ステッピングモータ65に停止信号を出力するとともに、位置決め用レーザ光源23に駆動信号を出力し、位置決め用レーザ光源23を起動させ、405nmの波長のレーザ光24を発せさせる。
【0297】
位置決め用レーザ光源23から発せられた405nmの波長のレーザ光24は、コリメータレンズ31によって、平行光とされた後、第2のダイクロイックミラー28を透過して、ミラー29に入射する。
【0298】
ミラー29に入射した405nmの波長のレーザ光24は、ミラー29によって反射され、さらに、ミラー32に入射して、反射される。
【0299】
ミラー32によって反射されたレーザ光24は、穴開きミラー34の穴33を通過して、凹面ミラー38に入射する。
【0300】
凹面ミラー38に入射したレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、光学ヘッド35に入射する。
【0301】
光学ヘッド35に入射した405nmの波長のレーザ光24は、ミラー36によって反射され、非球面レンズ37によって、サンプルステージ40上に載置された生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1の吸着性領域4に集光される。
【0302】
405nmの波長のレーザ光24が、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4に入射すると、405nmの波長のレーザ光24は、第1の吸着性領域4の表面で散乱される。
【0303】
ここに、多数の吸着性領域4が、一定のピッチで、所望のように、生化学解析用ユニット1の基板2に、規則的に形成されていないとき、あるいは、生化学解析用ユニット1が、サンプルステージ40上の所望の位置に、正確にセットされていないときは、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、コントロールユニット70が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4のうち、第1の吸着性領域4のみに、レーザ光24を照射可能な位置に、光学ヘッド35が達したと判定した場合でも、レーザ光24の一部は、第1の吸着性領域4を取り囲むステンレス鋼製の基板2の表面に入射し、反射される。
【0304】
生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4の表面によって散乱された405nmの波長のレーザ光24および第1の吸着性領域4を取り囲むステンレス鋼製の基板2の表面によって反射された405nmの波長のレーザ光24は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって集光され、ミラー36によって、レーザ光24の光路と同じ側に反射されて、平行な光とされる。
【0305】
本実施態様においては、位置決め用レーザ光源23が起動されているときは、遮光部材55が、生化学解析用ユニット1の基板2の表面によって反射された405nmの波長のレーザ光24の光路内の遮光位置に位置しているから、生化学解析用ユニット1の基板2の表面によって反射された405nmの波長のレーザ光24は、遮光部材55によって遮光され、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24のみが、凹面ミラー38に入射する。
【0306】
凹面ミラー38に入射した405nmの波長のレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射され、穴開きミラー34に入射する。
【0307】
穴開きミラー34に入射した輝尽光45は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、図6に示されるように、反射され、フィルタユニット48のフィルタ51dに入射する。
【0308】
フィルタ51dは、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されているから、フィルタ51dに入射した405nmの波長のレーザ光24は、減光されて、フォトマルチプライア50に入射し、光電的に検出される。
【0309】
このように、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24は、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されているフィルタ51dによって、減光されて、フォトマルチプライア50に受光されるから、レーザ光24の強度が大きくても、検出された信号が飽和することを効果的に防止することができる。
【0310】
フォトマルチプライア50によって、405nmの波長のレーザ光24が光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器53に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0311】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力する。
【0312】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0313】
ここに、生体由来の物質を標識する蛍光物質として、532nmの波長のレーザによって、最も効率的に励起することのできるローダミン(登録商標)が使用されている場合でも、405nmの波長のレーザ光24が、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4に入射すると、ローダミンが励起されて、第1の吸着性領域4から、蛍光45が放出されるが、放出される蛍光45はきわめて微弱であるから、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されても、ディジタル信号の信号強度に影響を与えることはない。
【0314】
データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリに記憶させると、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源23に駆動停止信号を出力して、位置決め用レーザ光源23の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdだけ、図7において、矢印Xで示される方向に移動させる。
【0315】
次いで、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源23に駆動信号を出力して、位置決め用レーザ光源23を起動させる。
【0316】
同様にして、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0317】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0318】
さらに、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源23に駆動停止信号を出力して、位置決め用レーザ光源23の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdの2倍の距離だけ、図7において、矢印Xで示される方向と反対方向に移動させる。
【0319】
同様にして、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0320】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0321】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微小な距離づつ移動され、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、データ処理装置54によって、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定する。
【0322】
ここに、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度は、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24の強度に対応しているから、405nmの波長のレーザ光24が、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4のみに入射したときに、ディジタル信号の信号強度は最大となり、したがって、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときの光学ヘッド35の位置が、レーザ光24を、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4のみに入射させることができる位置となる。
【0323】
そこで、コントロールユニット70は、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4のみに入射させることができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0324】
次いで、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ51bを、蛍光45の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、蛍光45の光路から退避した退避位置に移動させる。
【0325】
さらに、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22に駆動信号を出力し、第2のレーザ励起光源22を起動させ、532nmの波長のレーザ光24を発せさせる。
【0326】
第2のレーザ励起光源22より発せられた532nmの波長のレーザ光24は、コリメータレンズ30により、平行光とされた後、第1のダイクロイックミラー27によって反射されて、その向きが90度変えられて、第2のダイクロイックミラー28に入射し、第2のダイクロイックミラー28によって反射されて、ミラー29に入射する。
【0327】
ミラー29に入射したレーザ光24は、ミラー29によって反射され、さらに、ミラー32に入射して、反射される。
【0328】
ミラー32によって反射されたレーザ光24は、穴開きミラー34の穴33を通過して、凹面ミラー38に入射する。
【0329】
凹面ミラー38に入射したレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、光学ヘッド35に入射する。
【0330】
光学ヘッド35に入射したレーザ光24は、ミラー36によって反射され、非球面レンズ37によって、サンプルステージ40上に載置された生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4に集光される。
【0331】
ここに、光学ヘッド35は、レーザ光24を、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4のみに入射させることができる位置に位置しているから、レーザ光24を生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4のみに集光させることが可能になる。
【0332】
また、本実施態様においては、吸着性領域4は、それぞれ、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の基板2に形成された貫通孔3内に、ナイロン6が埋め込まれて、形成されているから、第1の吸着性領域4内で、レーザ光24が散乱して、隣り合った吸着性領域4内に入射し、隣り合った吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起することを、効果的に防止することが可能になる。
【0333】
レーザ光24が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1の吸着性領域4に入射すると、第1の吸着性領域4内に含まれたローダミンが、レーザ光24によって励起されて、ローダミンから蛍光45が放出される。
【0334】
ここに、本実施態様にかかる生化学解析用ユニット1にあっては、基板2が、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼によって形成されているので、吸着性領域4内に含まれている蛍光色素から放出された蛍光45が、隣り合う吸着性領域4内に含まれている蛍光色素から放出された蛍光45と混ざり合うことを確実に防止することができる。
【0335】
生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4から放出された蛍光45は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって集光され、ミラー26によって、レーザ光24の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー38に入射する。
【0336】
凹面ミラー38に入射した蛍光45は、凹面ミラー38によって反射されて、穴開きミラー34に入射する。
【0337】
穴開きミラー34に入射した蛍光45は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、反射され、フィルタユニット48のフィルタ51bに入射する。
【0338】
フィルタ51bは、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有しているので、励起光である532nmの波長の光がカットされ、ローダミンから放出された蛍光45の波長域の光のみがフィルタ51bを透過して、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出される。
【0339】
フォトマルチプライア50によって、蛍光45が光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器53に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0340】
第2のレーザ励起光源22がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22に駆動停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源22をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しいピッチだけ、移動させる。
【0341】
同時に、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されたフィルタ51dを、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、生化学解析用ユニット1の基板2の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24の光路内の遮光位置に移動させる。
【0342】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されたことが確認されると、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源23に駆動信号を出力して、位置決め用レーザ光源23を起動させ、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1の吸着性領域4に隣り合った第2の吸着性領域4に、405nmの波長のレーザ光24を照射する。
【0343】
生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4に、405nmの波長のレーザ光24を照射したのと同様にして、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24のみが、フォトマルチプライア50に導かれて、光電的に検出され、アナログ信号が生成される。
【0344】
フォトマルチプライア50によって生成されたアナログ信号は、A/D変換器53によってディジタル化され、データ処理装置54によって、ディジタル信号の信号強度が算出されて、コントロールユニット70に出力される。
【0345】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0346】
データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリに記憶させると、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源23に駆動停止信号を出力して、位置決め用レーザ光源23の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdだけ、図7において、矢印Xで示される主走査方向に移動させる。
【0347】
次いで、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源23に駆動信号を出力して、位置決め用レーザ光源23を起動させる。
【0348】
同様にして、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0349】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0350】
さらに、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源23に駆動停止信号を出力して、位置決め用レーザ光源23の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdの2倍の距離だけ、図7において、矢印Xで示される向きと反対向きに移動させる。
【0351】
同様にして、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0352】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0353】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微小な距離づつ移動され、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、データ処理装置54によって、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定する。
【0354】
次いで、コントロールユニット70は、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4のみに入射させることができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0355】
さらに、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ51bを、蛍光45の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、蛍光45の光路から退避した退避位置に移動させる。
【0356】
次いで、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源22を起動させ、532nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起する。
【0357】
所定時間にわたって、532nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起し、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4から放出された蛍光45が、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、A/D変換器53によって、アナログ信号がディジタル化されて、ディジタル信号がデータ処理装置54に送られると、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22に駆動停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源22をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0358】
同時に、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されたフィルタ51dを、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、生化学解析用ユニット1の基板2の表面で反射された405nmの波長のレーザ光24の光路内の遮光位置に移動させる。
【0359】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されたことが確認されると、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源23に駆動信号を出力して、位置決め用レーザ光源23を起動させ、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第2の吸着性領域4に隣り合った第3の吸着性領域4に、405nmの波長のレーザ光24を照射する。
【0360】
生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4に、405nmの波長のレーザ光24を照射したのと同様にして、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24のみが、フォトマルチプライア50に導かれて、光電的に検出され、アナログ信号が生成される。
【0361】
フォトマルチプライア50によって生成されたアナログ信号は、A/D変換器53によってディジタル化され、データ処理装置54によって、ディジタル信号の信号強度が算出されて、コントロールユニット70に出力される。
【0362】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0363】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微小な距離づつ移動され、生化学解析用ユニット1の第3の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、データ処理装置54によって、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定し、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、生化学解析用ユニット1の第3の吸着性領域4のみに入射させることができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0364】
次いで、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力して、フィルタユニット48を移動させ、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ51bを、蛍光45の光路内に位置させるとともに、遮光部材モータ73に駆動信号を出力して、遮光部材55を、蛍光45の光路から退避した退避位置に移動させ、第2のレーザ励起光源22に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源22を起動させ、532nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の第3の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起する。
【0365】
所定時間にわたって、640nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の第3の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起し、生化学解析用ユニット1の第3の吸着性領域4から放出された蛍光45が、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、A/D変換器53によって、アナログ信号がディジタル化されて、ディジタル信号がデータ処理装置54に送られると、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22に駆動停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源22をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0366】
こうして、光学ヘッド35の間欠的な移動に同期して、第2のレーザ励起光源22および位置決め用レーザ光源20のオン・オフが繰り返され、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、主走査方向に、1ライン分だけ、移動され、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1ライン目の吸着性領域4のレーザ光24による走査が完了したことが確認されると、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を元の位置に復帰させるとともに、副走査パルスモータ61に駆動信号を出力して、移動可能な基板63を、副走査方向に、1ライン分だけ、移動させる。
【0367】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が元の位置に復帰され、かつ、移動可能な基板63が、副走査方向に、1ライン分だけ、移動されたことを確認すると、コントロールユニット70は、位置決め用レーザ光源20から発せられる405nmのレーザ光24を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1ライン目の各吸着性領域4ごとに、光学ヘッド35を最適励起位置に位置決めし、第1ライン目の吸着性領域4に、順次、第2のレーザ励起光源22から発せられるレーザ光24を照射し、第1ライン目の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起し、吸着性領域4から発せられた蛍光45を、順次、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出させたのと同様にして、位置決め用レーザ光源20から発せられる405nmのレーザ光24を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第2ライン目の各吸着性領域4ごとに、光学ヘッド35を最適励起位置に位置決めしつつ、第2ライン目の吸着性領域4に、順次、第2のレーザ励起光源22から発せられるレーザ光24を照射して、第2ライン目の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起し、第2ライン目の吸着性領域4から発せられた蛍光45を、順次、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出させる。
【0368】
フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器53によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られる。
【0369】
こうして、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4がすべて、レーザ光24によって走査され、吸着性領域4に含まれている蛍光色素が励起されて、放出された蛍光45が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出され、生成されたアナログデータが、A/D変換器53により、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られると、コントロールユニット70から、駆動停止信号が、第2のレーザ励起光源22に出力され、第2のレーザ励起光源22の駆動が停止される。
【0370】
以上のようにして、スキャナによって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光色素の蛍光データが読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0371】
本実施態様によれば、第1のレーザ励起光源21から発せられる640nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された各輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を励起するのに先立って、位置決め用レーザ光源20から発せられた輝尽性蛍光体を励起して、蓄積されている放射線エネルギーを放出させることがない405nmの波長のレーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12に照射して、輝尽性蛍光体層領域12ごとに、輝尽性蛍光体層領域12の表面で散乱され、フォトマルチプライア50によって光電的に検出された405nmの波長のレーザ光24の強度が最大になる光学ヘッド35の位置を、最適励起位置として決定し、第1のレーザ励起光源21から発せられたレーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10のその輝尽性蛍光体層領域12のみに入射させることができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めして、第1のレーザ励起光源21から発せられる640nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12に含まれている輝尽性蛍光体を、順次、励起して、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された各輝尽性蛍光体層領域12から放出された輝尽光45を、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出するように構成されているから、多数の輝尽性蛍光体層領域12が、一定のピッチで、所望のように、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に、規則的に形成されていない場合や、蓄積性蛍光体シート10が、サンプルステージ40上の所望の位置に、正確にセットされていない場合においても、第1のレーザ励起光源21から発せられる640nmの波長のレーザ光24を、所定の輝尽性蛍光体層領域12のみに入射させることができ、したがって、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された各輝尽性蛍光体層領域12から放出された輝尽光45を、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出することにより、蓄積性蛍光体シート10の多数の輝尽性蛍光体層領域12に記録された放射線データを読み取って、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが可能になる。
【0372】
さらに、本実施態様によれば、第2のレーザ励起光源22から発せられる532nmの波長のレーザ光24により、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された各吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起するのに先立って、位置決め用レーザ光源20から発せられる蛍光色素を効率的に励起することがない405nmの波長のレーザ光24を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4に照射して、吸着性領域4ごとに、吸着性領域4の表面で散乱され、フォトマルチプライア50によって光電的に検出された405nmの波長のレーザ光24の強度が最大になる光学ヘッド35の位置を決定し、第2のレーザ励起光源22から発せられるレーザ光24を、生化学解析用ユニット1のその吸着性領域4のみに入射させることができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めして、第2のレーザ励起光源22から発せられる532nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4に含まれている蛍光色素を、順次、励起して、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された各吸着性領域4から放出された蛍光45を、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出するように構成されているから、多数の吸着性領域4が、一定のピッチで、所望のように、生化学解析用ユニット1の基板2に、規則的に形成されていない場合や、生化学解析用ユニット1が、サンプルステージ40上の所望の位置に、正確にセットされていない場合においても、第2のレーザ励起光源22から発せられる532nmの波長のレーザ光24を、所定の吸着性領域4のみに入射させることができ、したがって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された各吸着性領域4から放出された蛍光45を、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出することにより、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された蛍光データを読み取って、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが可能になる。
【0373】
図9は、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された化学発光データを転写すべき蓄積性蛍光体シートの他の例を示す略斜視図である。
【0374】
図9に示された蓄積性蛍光体シート80は、ステンレス鋼によって形成された支持体11に形成された多数の貫通孔13内に、光エネルギーを吸収し、蓄積可能なSrS系輝尽性蛍光体が充填されて、多数の輝尽性蛍光体層領域82が形成されている点を除いて、図4に示された蓄積性蛍光体シート10と同様の構成を有している。
【0375】
生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録された化学発光データは、図9に示された蓄積性蛍光体シート80の多数の輝尽性蛍光体層領域82に転写される。
【0376】
生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録された化学発光データを、蓄積性蛍光体シート80の多数の輝尽性蛍光体層領域82に転写するに際し、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に、化学発光基質が接触される。
【0377】
その結果、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4から、可視光波長域の化学発光が、選択的に放出される。
【0378】
次いで、化学発光を放出している生化学解析用ユニット1上に、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4のそれぞれが、蓄積性蛍光体シート80の支持体11に、多数の吸着性領域4と同一のパターンで、形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82の対応する輝尽性蛍光体層領域82に対向するように、位置合わせをして、蓄積性蛍光体シート80が重ね合わされる。
【0379】
こうして、所定の時間にわたって、蓄積性蛍光体シート80の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82の各々と、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4とを対向させることによって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4から、選択的に放出された化学発光によって、蓄積性蛍光体シート80の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82が露光される。
【0380】
露光に際して、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4は、ステンレス鋼によって形成された基板2に、互いに離間して形成され、各吸着性領域4の周囲には、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の基板2が存在しているから、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4から放出された化学発光が、生化学解析用ユニット1の基板2内で、散乱することを効果的に防止することができ、さらに、蓄積性蛍光体シート80の多数の輝尽性蛍光体層領域82が、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の支持体11に形成された複数の貫通孔13内に、輝尽性蛍光体を埋め込んで、形成され、各輝尽性蛍光体層領域82の周囲には、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の支持体11が存在しているから、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4から放出された化学発光が、蓄積性蛍光体シート80の支持体11内で、散乱することを効果的に防止することができ、したがって、吸着性領域4から放出された化学発光はすべて、その吸着性領域4に対向する輝尽性蛍光体層領域82に入射し、隣り合う吸着性領域4から放出された化学発光によって露光されるべき輝尽性蛍光体層領域82に入射して、露光することを効果的に防止することができる。
【0381】
したがって、蓄積性蛍光体シート80の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82を、生化学解析用ユニット1の対応する吸着性領域4から放出された化学発光のみによって、効果的に、露光することが可能になる。
【0382】
こうして、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された化学発光データが、蓄積性蛍光体シート80の多数の輝尽性蛍光体層領域85に転写されて、記録される。
【0383】
図10は、本発明の他の実施態様にかかるスキャナの概略図である。
【0384】
図10に示されるように、本実施態様にかかるスキャナは、405nmの波長のレーザ光24を発する位置決め用レーザ光源20に代えて、SrS系輝尽性蛍光体を効率的に励起可能な980nmの波長のレーザ光24を発する第3のレーザ励起光源23を備え、532nm以上の波長の光を反射し、405nmの波長の光を透過する第2のダイクロイックミラー28に代えて、640nm以下の波長の光を反射し、980nmの波長の光を透過する第3のダイクロイックミラー56を備えている。
【0385】
また、図10に示されるように、本実施態様にかかるスキャナのフィルタユニット48は、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されたフィルタ51dに代えて、SrS系輝尽性蛍光体から放出される輝尽光45の波長域の光のみを透過し、980nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ51eを備えている。
【0386】
さらに、図10に示されるように、本実施態様にかかるスキャナは、サンプルステージ40上に、ライトボックス90を備え、遮光部材55および遮光部材モータ73は設けられていない。
【0387】
本実施態様にかかるスキャナのその他の構成は、図6ないし図8に示されたスキャナと同様である。
【0388】
図11は、ライトボックス90の略縦断面図である。
【0389】
図11に示されるように、ライトボックス90は透明なケーシング91を有し、ケーシング91内には、複数の青色LED光源92が設けられ、サンプルステージ40と反対側のケーシング91の裏面には、青色光を選択的に透過させる青色透過フィルタ93が貼着されている。
【0390】
以上のように構成された本実施態様にかかるスキャナは、以下のようにして、蓄積性蛍光体シート80の多数の輝尽性蛍光体層領域82に記録された化学発光データを読み取って、生化学解析用データを生成する。
【0391】
まず、ユーザーによって、蓄積性蛍光体シート80が、サンプルステージ40のライトボックス90上に載置される。
【0392】
次いで、ユーザーによって、キーボード71に、蓄積性蛍光体シート80に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82に記録された化学発光データを読み取るべき旨の指示信号が入力される。
【0393】
キーボード71に入力された指示信号は、コントロールユニット70に入力され、指示信号を受けると、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力して、青色LED光源92から発せられ、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82を透過した光の光路外に、フィルタユニット48を移動させる。
【0394】
さらに、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力し、光学ヘッド35を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82のうち、第1の輝尽性蛍光体層領域82のみに、レーザ光24を照射可能で、かつ、第1の輝尽性蛍光体層領域82から放出された光を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる位置に、光学ヘッド35が達したと判定すると、主走査ステッピングモータ65に停止信号を出力するとともに、青色LED光源92に駆動信号を出力し、青色LED光源92を起動させ、青色光94を発せさせる。
【0395】
その結果、青色LED光源92から発せられた青色光94は、青色透過フィルタ93を透過して、ライトボックス90上に載置された蓄積性蛍光体シート80に入射する。
【0396】
ここに、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82に含まれているSrS系輝尽性蛍光体は、980nmの波長の光によって最も効率的に励起され、青色光94によっては励起されないから、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82に、青色光94が照射されても、輝尽性蛍光体層領域82に含まれたSrS系輝尽性蛍光体が蓄積している放射線エネルギーが放出されることはなく、したがって、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82から、輝尽光45は放出されない。
【0397】
本実施態様においては、蓄積性蛍光体シート80の支持体81は、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼によって形成されているから、蓄積性蛍光体シート80に入射した青色光94は、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82のみを透過し、第1の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94のみが、光学ヘッド35に入射する。
【0398】
光学ヘッド35に入射した青色光94は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって集光され、ミラー36により、レーザ光24の光路と同じ側に反射されて、平行な光とされる。
【0399】
ミラー36によって反射された青色光94は、凹面ミラー38によって反射され、穴開きミラー34に入射する。
【0400】
穴開きミラー34に入射した輝尽光45は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、反射され、フォトマルチプライア50に入射し、光電的に検出される。
【0401】
このように、蓄積性蛍光体シート80の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94をフィルタと透過させることなく、フォトマルチプライア50に受光させているのは、本実施態様においては、位置決め用レーザ光源20に代えて、青色LED光源92を用いており、青色光94の強度はそれほど高くなく、フォトマルチプライア50によって、直接に受光しても検出された信号が飽和するおそれがないからである。
【0402】
フォトマルチプライア50によって、青色光94が光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器53に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0403】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力する。
【0404】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0405】
データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリに記憶させると、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動停止信号を出力して、青色LED光源92の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小な距離δdだけ、図7において、矢印Xで示される方向に移動させる。
【0406】
次いで、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動信号を出力して、青色LED光源92を点灯させる。
【0407】
同様にして、蓄積性蛍光体シート80の第1の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0408】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0409】
さらに、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動停止信号を出力して、青色LED光源92の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微少距離δdの2倍の距離だけ、図7において、矢印Xで示される向きとは反対向きに移動させる。
【0410】
同様にして、青色LED光源92が点灯されて、蓄積性蛍光体シート80の第1の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0411】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0412】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微少な距離づつ移動され、蓄積性蛍光体シート80の第1の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、データ処理装置54によって、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定する。
【0413】
ここに、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度は、蓄積性蛍光体シート80の第1の輝尽性蛍光体層領域82を透過して、フォトマルチプライア50に導かれ、光電的に検出された青色光94の光量に対応しているから、光学ヘッド35が、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82のうち、第1の輝尽性蛍光体層領域82のみに、レーザ光24を照射可能で、かつ、第1の輝尽性蛍光体層領域82から放出された光を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる位置に位置しているときに、ディジタル信号の信号強度は最大となり、したがって、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときの光学ヘッド35の位置が、レーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12のみに入射させ、かつ、第1の輝尽性蛍光体層領域82から放出された輝尽光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる位置に対応する。
【0414】
そこで、コントロールユニット70は、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、光学ヘッド35を、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10の第1の輝尽性蛍光体層領域12のみに入射させることができ、かつ、第1の輝尽性蛍光体層領域82から放出された輝尽光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0415】
次いで、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光45の波長域の光のみを透過し、980nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ51eを、輝尽光45の光路内に位置させるとともに、第3のレーザ励起光源23に駆動信号を出力して、第3のレーザ励起光源23を起動させ、980nmの波長のレーザ光24を発せさせる。
【0416】
第3のレーザ励起光源23から発せられた980nmの波長のレーザ光24は、コリメータレンズ25によって、平行な光とされた後、ミラー26に入射して、反射される。
【0417】
ミラー26によって反射されたレーザ光24は、第1のダイクロイックミラー27を透過し、第3のダイクロイックミラー56によって、反射されて、ミラー29に入射する。
【0418】
ミラー29に入射したレーザ光24は、ミラー29によって反射され、さらに、ミラー32に入射して、反射される。
【0419】
ミラー32によって反射されたレーザ光24は、穴開きミラー34の穴33を通過して、凹面ミラー38に入射する。
【0420】
凹面ミラー38に入射したレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、光学ヘッド35に入射する。
【0421】
光学ヘッド35に入射したレーザ光24は、ミラー36によって反射され、非球面レンズ37によって、サンプルステージ40上に載置された蓄積性蛍光体シート80の第1の輝尽性蛍光体層領域82に集光される。
【0422】
ここに、光学ヘッド35は、980nmの波長のレーザ光24を、蓄積性蛍光体シート80の第1の輝尽性蛍光体層領域82のみに入射させることができる位置に位置しているから、レーザ光24を蓄積性蛍光体シート80の第1の輝尽性蛍光体層領域82のみに集光させることが可能になる。
【0423】
また、本実施態様においては、輝尽性蛍光体層領域82は、それぞれ、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼製の支持体81に形成された貫通孔83内に、輝尽性蛍光体が埋め込まれて、形成されているから、第1の輝尽性蛍光体層領域82内で、レーザ光24が散乱して、隣り合った輝尽性蛍光体層領域82内に入射し、隣り合った輝尽性蛍光体層領域82に含まれている輝尽性蛍光体を励起することを、効果的に防止することが可能になる。
【0424】
980nmの波長のレーザ光24が、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された第1の輝尽性蛍光体層領域82に入射すると、第1の輝尽性蛍光体層領域82に含まれているSrS系輝尽性蛍光体が、980nmの波長のレーザ光24によって励起されて、第1の輝尽性蛍光体層領域82から、輝尽光45が放出される。
【0425】
蓄積性蛍光体シート80の第1の輝尽性蛍光体層領域82から放出された輝尽光45は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって集光され、ミラー36により、レーザ光24の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー38に入射する。
【0426】
凹面ミラー38に入射した輝尽光45は、凹面ミラー38によって反射され、穴開きミラー34に入射する。
【0427】
穴開きミラー34に入射した輝尽光45は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、反射され、フィルタユニット48のフィルタ51eに入射する。
【0428】
フィルタ51eは、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光の波長域の光のみを透過し、980nmの波長の光をカットする性質を有しているので、励起光である980nmの波長の光がカットされて、輝尽光45の波長域の光のみがフィルタ51eを透過して、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出される。
【0429】
フォトマルチプライア50によって、輝尽光45が光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器53に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0430】
第3のレーザ励起光源23がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット70は、第3のレーザ励起光源23に駆動停止信号を出力して、第3のレーザ励起光源23をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された隣り合う輝尽性蛍光体層領域82の間の距離に等しいピッチだけ、移動させる。
【0431】
同時に、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力して、青色LED光源92から発せられ、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82を透過した光の光路外に、フィルタユニット48を移動させる。
【0432】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、隣り合う輝尽性蛍光体層領域12の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されたことが確認されると、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に停止信号を出力するとともに、青色LED光源92に駆動信号を出力して、青色LED光源92を起動させ、青色光94を発せさせる。
【0433】
その結果、青色LED光源92から発せられた青色光94は、青色透過フィルタ93を透過して、ライトボックス90上に載置された蓄積性蛍光体シート80に入射する。
【0434】
蓄積性蛍光体シート80の支持体81は、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼によって形成されているから、蓄積性蛍光体シート80に入射した青色光94は、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82のみを透過し、第2の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94のみが、光学ヘッド35に入射する。
【0435】
第2の輝尽性蛍光体層領域82を透過して、光学ヘッド35に入射した青色光94は、第1の輝尽性蛍光体層領域82を透過して、光学ヘッド35に入射した青色光94と同様にして、フォトマルチプライア50に導かれて、光電的に検出され、アナログ信号が生成される。
【0436】
フォトマルチプライア50によって生成されたアナログ信号は、A/D変換器53によってディジタル化され、データ処理装置54によって、ディジタル信号の信号強度が算出されて、コントロールユニット70に出力される。
【0437】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0438】
データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリに記憶させると、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動停止信号を出力して、青色LED光源92の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdだけ、図7において、矢印Xで示される主走査方向に移動させる。
【0439】
次いで、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動信号を出力して、青色LED光源92を起動させる。
【0440】
同様にして、蓄積性蛍光体シート80の第2の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0441】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0442】
さらに、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動停止信号を出力して、青色LED光源92の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdの2倍の距離だけ、図7において、矢印Xで示される向きと反対向きに移動させる。
【0443】
主走査ステッピングモータ65が停止された後、青色LED光源92が起動され、同様にして、蓄積性蛍光体シート80の第2の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50により光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0444】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0445】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微小な距離づつ移動され、蓄積性蛍光体シート80の第2の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、データ処理装置54により、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定する。
【0446】
次いで、コントロールユニット70は、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、蓄積性蛍光体シート80の第2の輝尽性蛍光体層領域82のみに入射させることができ、かつ、第2の輝尽性蛍光体層領域82から放出された輝尽光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0447】
さらに、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光45の波長域の光のみを透過し、980nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ51eを、輝尽光45の光路内に位置させるとともに、第3のレーザ励起光源23に駆動信号を出力し、第3のレーザ励起光源23を起動させ、980nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート80の第2の輝尽性蛍光体層領域82に含まれている輝尽性蛍光体を励起する。
【0448】
所定時間にわたって、980nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート80の第2の輝尽性蛍光体層領域82に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、蓄積性蛍光体シート80の第2の輝尽性蛍光体層領域82から放出された輝尽光45が、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、A/D変換器53によって、アナログ信号がディジタル化されて、ディジタル信号がデータ処理装置54に送られると、コントロールユニット70は、第3のレーザ励起光源23に駆動停止信号を出力して、第3のレーザ励起光源23をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、隣り合う輝尽性蛍光体層領域82の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0449】
同時に、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94の光路外に、フィルタユニット48を移動させる。
【0450】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、隣り合う輝尽性蛍光体層領域82の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されたことが確認されると、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動信号を出力して、青色LED光源92を起動させ、青色光94を発せさせる。
【0451】
その結果、青色LED光源92から発せられた青色光94は、青色透過フィルタ93を透過して、ライトボックス90上に載置された蓄積性蛍光体シート80に入射して、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82のみを透過し、第3の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94のみが、光学ヘッド35に入射する。
【0452】
第3の輝尽性蛍光体層領域82を透過して、光学ヘッド35に入射した青色光94は、第1の輝尽性蛍光体層領域82を透過して、光学ヘッド35に入射した青色光94と同様にして、フォトマルチプライア50に導かれて、光電的に検出され、アナログ信号が生成される。
【0453】
フォトマルチプライア50によって生成されたアナログ信号は、A/D変換器53によってディジタル化され、データ処理装置54によって、ディジタル信号の信号強度が算出されて、コントロールユニット70に出力される。
【0454】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0455】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微小な距離づつ移動され、蓄積性蛍光体シート80の第3の輝尽性蛍光体層領域82を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出され、データ処理装置54によって、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定し、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、蓄積性蛍光体シート80の第3の輝尽性蛍光体層領域82のみに入射させることができ、かつ、第2の輝尽性蛍光体層領域82から放出された輝尽光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0456】
次いで、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力して、フィルタユニット48を移動させ、輝尽性蛍光体から放出される輝尽光45の波長域の光のみを透過し、980nmの波長の光をカットする性質を有するフィルタ51eを、輝尽光45の光路内に位置させるとともに、第3のレーザ励起光源23に駆動信号を出力して、第3のレーザ励起光源23を起動させ、980nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート80の第3の輝尽性蛍光体層領域82に含まれている輝尽性蛍光体を励起する。
【0457】
所定時間にわたって、980nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート80の第3の輝尽性蛍光体層領域82に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、蓄積性蛍光体シート80の第3の輝尽性蛍光体層領域82から放出された輝尽光45が、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、A/D変換器53によって、アナログ信号がディジタル化されて、ディジタル信号がデータ処理装置54に送られると、コントロールユニット70は、第3のレーザ励起光源23に駆動停止信号を出力して、第3のレーザ励起光源23をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、隣り合う輝尽性蛍光体層領域82の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0458】
こうして、光学ヘッド35の間欠的な移動に同期して、第3のレーザ励起光源23および青色LED光源92のオン・オフが繰り返され、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、主走査方向に、1ライン分だけ、移動され、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域82のレーザ光24による走査が完了したことが確認されると、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を元の位置に復帰させるとともに、副走査パルスモータ61に駆動信号を出力して、移動可能な基板63を、副走査方向に、1ライン分だけ、移動させる。
【0459】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が元の位置に復帰され、かつ、移動可能な基板63が、副走査方向に、1ライン分だけ、移動されたことを確認すると、コントロールユニット70は、青色LED光源92から発せられる青色光94を用いて、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域82ごとに、光学ヘッド35を最適励起位置に位置決めし、第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域82に、順次、第3のレーザ励起光源23から発せられるレーザ光24を照射し、第1ライン目の輝尽性蛍光体層領域82に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体層領域82から発せられた輝尽光45を、順次、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出させたのと同様にして、青色LED光源92から発せられる青色光92を用いて、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域82ごとに、光学ヘッド35を最適励起位置に位置決めしつつ、第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域82に、順次、第3のレーザ励起光源23から発せられるレーザ光24を照射して、第2ライン目の輝尽性蛍光体層領域82に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体層領域82から発せられた輝尽光45を、順次、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出させる。
【0460】
フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器53によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られる。
【0461】
こうして、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82がすべて、レーザ光24によって走査され、輝尽性蛍光体層領域82に含まれている輝尽性蛍光体が励起されて、放出された輝尽光45が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出され、生成されたアナログデータが、A/D変換器53により、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られると、コントロールユニット70から、駆動停止信号が、第3のレーザ励起光源23に出力され、第3のレーザ励起光源23の駆動が停止される。
【0462】
以上のようにして、図10および図11に示されたスキャナによって、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82に記録されている化学発光データが読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0463】
一方、図10および図11に示されたスキャナを用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光物質の蛍光データを読み取って、生化学解析用データを生成するときは、まず、ユーザーによって、生化学解析用ユニット1が、サンプルステージ40のライトボックス90上にセットされる。
【0464】
次いで、ユーザーによって、キーボード71に、標識物質である蛍光色素の種類を特定する蛍光物質特定信号および蛍光データを読み取るべき旨の指示信号が入力される。
【0465】
たとえば、生体由来の物質を標識する蛍光物質として、532nmの波長のレーザによって、最も効率的に励起することのできるローダミン(登録商標)が使用されているときは、キーボード71に、ローダミンが入力される。
【0466】
蛍光データを読み取るべき旨の指示信号および蛍光物質特定信号は、コントロールユニット70に入力され、指示信号を受けると、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力して、青色LED光源92から発せられ、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82を透過した光の光路外に、フィルタユニット48を移動させる。
【0467】
さらに、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力し、光学ヘッド35を主走査方向に移動させ、リニアエンコーダから入力される光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4のうち、第1の吸着性領域4のみに、レーザ光24を照射可能で、かつ、第1の吸着性領域4から放出された光を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる位置に、光学ヘッド35が達したと判定すると、主走査ステッピングモータ65に停止信号を出力するとともに、青色LED光源92に駆動信号を出力し、青色LED光源92を起動させ、青色光94を発せさせる。
【0468】
その結果、青色LED光源92から発せられた青色光94は、青色透過フィルタ93を透過して、ライトボックス90上に載置された蓄積性蛍光体シート80に入射する。
【0469】
本実施態様においては、生化学解析用ユニット1の基板2は、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼によって形成されているから、生化学解析用ユニット1に入射した青色光94は、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4のみを透過し、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4を透過した青色光94のみが、光学ヘッド35に入射する。
【0470】
光学ヘッド35に入射した青色光94は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって集光され、ミラー36により、レーザ光24の光路と同じ側に反射されて、平行な光とされる。
【0471】
ミラー36によって反射された青色光94は、凹面ミラー38によって反射され、穴開きミラー34に入射する。
【0472】
穴開きミラー34に入射した輝尽光45は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、反射され、フォトマルチプライア50に入射し、光電的に検出される。
【0473】
このように、生化学解析用ユニット1の吸着性領域4を透過した青色光94をフィルタと透過させることなく、フォトマルチプライア50に受光させているのは、本実施態様においては、位置決め用レーザ光源20に代えて、青色LED光源92を用いており、青色光94の強度はそれほど高くなく、フォトマルチプライア50によって、直接に受光しても検出された信号が飽和するおそれがないからである。
【0474】
フォトマルチプライア50によって、青色光94が光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器53に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0475】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力する。
【0476】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0477】
データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリに記憶させると、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動停止信号を出力して、青色LED光源92の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小な距離δdだけ、図7において、矢印Xで示される方向に移動させる。
【0478】
次いで、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動信号を出力して、青色LED光源92を点灯させる。
【0479】
同様にして、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0480】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0481】
さらに、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動停止信号を出力して、青色LED光源92の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微少距離δdの2倍の距離だけ、図7において、矢印Xで示される向きとは反対向きに移動させる。
【0482】
同様にして、青色LED光源92が点灯されて、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0483】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0484】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微少な距離づつ移動され、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、データ処理装置54によって、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定する。
【0485】
ここに、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度は、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4を透過して、フォトマルチプライア50に導かれ、光電的に検出された青色光94の光量に対応しているから、光学ヘッド35が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4のうち、第1の吸着性領域4のみに、レーザ光24を照射可能で、かつ、第1の吸着性領域4から放出された蛍光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる位置に位置しているときに、ディジタル信号の信号強度は最大となり、したがって、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときの光学ヘッド35の位置が、レーザ光24を、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4のみに入射させ、かつ、第1の吸着性領域4から放出された蛍光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる位置に対応する。
【0486】
そこで、コントロールユニット70は、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、光学ヘッド35を、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4のみに入射させることができ、かつ、第1の吸着性領域4から放出された蛍光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0487】
次いで、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力して、フィルタユニット48を移動させ、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ51bを、蛍光45の光路内に位置させるとともに、第2のレーザ励起光源22に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源22を起動させ、532nmの波長のレーザ光24を発せさせる。
【0488】
第2のレーザ励起光源22より発せられた532nmの波長のレーザ光24は、コリメータレンズ30により、平行光とされた後、第1のダイクロイックミラー27によって反射されて、その向きが90度変えられて、第2のダイクロイックミラー28に入射し、第2のダイクロイックミラー28によって反射されて、ミラー29に入射する。
【0489】
ミラー29に入射したレーザ光24は、ミラー29によって反射され、さらに、ミラー32に入射して、反射される。
【0490】
ミラー32によって反射されたレーザ光24は、穴開きミラー34の穴33を通過して、凹面ミラー38に入射する。
【0491】
凹面ミラー38に入射したレーザ光24は、凹面ミラー38によって反射されて、光学ヘッド35に入射する。
【0492】
光学ヘッド35に入射したレーザ光24は、ミラー36によって反射され、非球面レンズ37によって、サンプルステージ40上に載置された生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4に集光される。
【0493】
ここに、光学ヘッド35は、レーザ光24を、生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4のみに入射させることができる位置に位置しているから、レーザ光24を生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4のみに集光させることが可能になる。
【0494】
レーザ光24が、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1の吸着性領域4に入射すると、第1の吸着性領域4内に含まれたローダミンが、レーザ光24によって励起されて、ローダミンから蛍光45が放出される。
【0495】
生化学解析用ユニット1の第1の吸着性領域4から放出された蛍光45は、光学ヘッド35に設けられた非球面レンズ37によって集光され、ミラー26によって、レーザ光24の光路と同じ側に反射され、平行な光とされて、凹面ミラー38に入射する。
【0496】
凹面ミラー38に入射した蛍光45は、凹面ミラー38によって反射されて、穴開きミラー34に入射する。
【0497】
穴開きミラー34に入射した蛍光45は、凹面ミラーによって形成された穴開きミラー34によって、反射され、フィルタユニット48のフィルタ51bに入射する。
【0498】
フィルタ51bは、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有しているので、励起光である532nmの波長の光がカットされ、ローダミンから放出された蛍光45の波長域の光のみがフィルタ51bを透過して、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出される。
【0499】
フォトマルチプライア50によって、蛍光45が光電的に検出されて、生成されたアナログ信号は、A/D変換器53に出力されて、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0500】
第2のレーザ励起光源22がオンされた後、所定の時間、たとえば、数μ秒が経過すると、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22に駆動停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源22をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しいピッチだけ、移動させる。
【0501】
同時に、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力して、青色LED光源92から発せられ、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4を透過した光の光路外に、フィルタユニット48を移動させる。
【0502】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されたことが確認されると、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に停止信号を出力するとともに、青色LED光源92に駆動信号を出力して、青色LED光源92を起動させ、青色光94を発せさせる。
【0503】
その結果、青色LED光源92から発せられた青色光94は、青色透過フィルタ93を透過して、ライトボックス90上に載置された生化学解析用ユニット1に入射する。
【0504】
生化学解析用ユニット1の基板2は、光エネルギーを減衰させる性質を有するステンレス鋼によって形成されているから、生化学解析用ユニット1に入射した青色光94は、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4のみを透過し、第2の吸着性領域4を透過した青色光94のみが、光学ヘッド35に入射する。
【0505】
第2の吸着性領域4を透過して、光学ヘッド35に入射した青色光94は、第1の吸着性領域4を透過して、光学ヘッド35に入射した青色光94と同様にして、フォトマルチプライア50に導かれて、光電的に検出され、アナログ信号が生成される。
【0506】
フォトマルチプライア50によって生成されたアナログ信号は、A/D変換器53によってディジタル化され、データ処理装置54によって、ディジタル信号の信号強度が算出されて、コントロールユニット70に出力される。
【0507】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0508】
データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリに記憶させると、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動停止信号を出力して、青色LED光源92の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdだけ、図7において、矢印Xで示される主走査方向に移動させる。
【0509】
次いで、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動信号を出力して、青色LED光源92を起動させる。
【0510】
同様にして、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0511】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0512】
さらに、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動停止信号を出力して、青色LED光源92の駆動を停止させ、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、あらかじめ定められた微小距離δdの2倍の距離だけ、図7において、矢印Xで示される向きと反対向きに移動させる。
【0513】
主走査ステッピングモータ65が停止された後、青色LED光源92が起動され、同様にして、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50により光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、アナログ信号が、A/D変換器53によって、ディジタル信号に変換され、データ処理装置54に出力される。
【0514】
データ処理装置54は、ディジタル信号の信号強度を算出し、コントロールユニット70に出力し、コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0515】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微小な距離づつ移動され、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、データ処理装置54により、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定する。
【0516】
次いで、コントロールユニット70は、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4のみに入射させることができ、かつ、第2の吸着性領域4から放出された蛍光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0517】
さらに、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、フィルタユニット48を移動させ、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ51bを、蛍光45の光路内に位置させるとともに、第2のレーザ励起光源22に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源22を起動させ、532nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起する。
【0518】
所定時間にわたって、532nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起し、生化学解析用ユニット1の第2の吸着性領域4から放出された蛍光45が、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、A/D変換器53によって、アナログ信号がディジタル化されて、ディジタル信号がデータ処理装置54に送られると、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22に駆動停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源22をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0519】
同時に、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力し、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4を透過した青色光94の光路外に、フィルタユニット48を移動させる。
【0520】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ移動されたことが確認されると、コントロールユニット70は、青色LED光源92に駆動信号を出力して、青色LED光源92を起動させ、青色光94を発せさせる。
【0521】
その結果、青色LED光源92から発せられた青色光94は、青色透過フィルタ93を透過して、サンプルステージ40のライトボックス90上に載置された生化学解析用ユニット1に入射して、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4のみを透過し、第3の吸着性領域4を透過した青色光94のみが、光学ヘッド35に入射する。
【0522】
第3の吸着性領域4を透過して、光学ヘッド35に入射した青色光94は、第1の吸着性領域4を透過して、光学ヘッド35に入射した青色光94と同様にして、フォトマルチプライア50に導かれて、光電的に検出され、アナログ信号が生成される。
【0523】
フォトマルチプライア50によって生成されたアナログ信号は、A/D変換器53によってディジタル化され、データ処理装置54によって、ディジタル信号の信号強度が算出されて、コントロールユニット70に出力される。
【0524】
コントロールユニット70は、データ処理装置54から入力されたディジタル信号の信号強度を、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号とともに、メモリ(図示せず)に記憶させる。
【0525】
こうして、光学ヘッド35が、所定の範囲にわたり、主走査方向に微小な距離づつ移動され、生化学解析用ユニット1の第3の吸着性領域4を透過した青色光94が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出され、データ処理装置54によって、生成されたディジタル信号の信号強度がメモリに記憶されると、コントロールユニット70は、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度を比較して、メモリに記憶されているディジタル信号の信号強度のうち、最大の信号強度を決定し、ディジタル信号の信号強度の最大値が得られたときに、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号を、メモリから読み出し、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、その位置検出信号が、リニアエンコーダ67から入力されるまで、主走査方向に移動させて、レーザ光24を、生化学解析用ユニット1の第3の吸着性領域4のみに入射させることができ、かつ、第2の吸着性領域4から放出された蛍光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めする。
【0526】
次いで、コントロールユニット70は、フィルタユニットモータ72に駆動信号を出力して、フィルタユニット48を移動させ、532nmの波長の光をカットし、532nmよりも波長の長い光を透過する性質を有するフィルタ51bを、蛍光45の光路内に位置させるとともに、第2のレーザ励起光源22に駆動信号を出力して、第2のレーザ励起光源22を起動させ、532nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の第3の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起する。
【0527】
所定時間にわたって、532nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の第3の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起し、生化学解析用ユニット1の第3の吸着性領域4から放出された蛍光45が、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出されて、アナログ信号が生成され、A/D変換器53によって、アナログ信号がディジタル化されて、ディジタル信号がデータ処理装置54に送られると、コントロールユニット70は、第2のレーザ励起光源22に駆動停止信号を出力して、第2のレーザ励起光源22をオフさせるとともに、主走査ステッピングモータ65に、駆動信号を出力して、光学ヘッド35を、隣り合う吸着性領域4の間の距離に等しい1ピッチだけ、移動させる。
【0528】
こうして、光学ヘッド35の間欠的な移動に同期して、第2のレーザ励起光源22および青色LED光源92のオン・オフが繰り返され、リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が、主走査方向に、1ライン分だけ、移動され、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1ライン目の吸着性領域4のレーザ光24による走査が完了したことが確認されると、コントロールユニット70は、主走査ステッピングモータ65に駆動信号を出力して、光学ヘッド35を元の位置に復帰させるとともに、副走査パルスモータ61に駆動信号を出力して、移動可能な基板63を、副走査方向に、1ライン分だけ、移動させる。
【0529】
リニアエンコーダ67から入力された光学ヘッド35の位置検出信号に基づいて、光学ヘッド35が元の位置に復帰され、かつ、移動可能な基板63が、副走査方向に、1ライン分だけ、移動されたことを確認すると、コントロールユニット70は、青色LED光源92から発せられる青色光94を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第1ライン目の吸着性領域4ごとに、光学ヘッド35を最適励起位置に位置決めし、第1ライン目の吸着性領域4に、順次、第2のレーザ励起光源22から発せられるレーザ光24を照射し、第1ライン目の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起し、吸着性領域4から発せられた蛍光45を、順次、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出させたのと同様にして、青色LED光源92から発せられる青色光92を用いて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された第2ライン目の吸着性領域4ごとに、光学ヘッド35を最適励起位置に位置決めしつつ、第2ライン目の吸着性領域4に、順次、第2のレーザ励起光源22から発せられるレーザ光24を照射して、第2ライン目の吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起し、吸着性領域4から発せられた蛍光45を、順次、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出させる。
【0530】
フォトマルチプライア50によって光電的に検出されて、生成されたアナログデータは、A/D変換器53によって、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られる。
【0531】
こうして、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4がすべて、レーザ光24によって走査され、吸着性領域4に含まれている蛍光色素が励起されて、放出された蛍光45が、フォトマルチプライア50によって光電的に検出され、生成されたアナログデータが、A/D変換器53により、ディジタルデータに変換されて、データ処理装置54に送られると、コントロールユニット70から、駆動停止信号が、第2のレーザ励起光源22に出力され、第2のレーザ励起光源22の駆動が停止される。
【0532】
以上のようにして、図10および図11に示されたスキャナによって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に記録されている蛍光色素の蛍光データが読み取られて、生化学解析用データが生成される。
【0533】
本実施態様によれば、第3のレーザ励起光源23から発せられる980nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された各輝尽性蛍光体層領域82に含まれている輝尽性蛍光体を励起するのに先立って、青色LED光源92から発せられる輝尽性蛍光体を励起して、蓄積されている放射線エネルギーを放出させることがない青色光94を、蓄積性蛍光体シート80に照射して、輝尽性蛍光体層領域82ごとに、輝尽性蛍光体層領域82を透過し、フォトマルチプライア50によって光電的に検出された青色光94の強度が最大になる光学ヘッド35の位置を、最適励起位置として決定し、第1のレーザ励起光源21から発せられたレーザ光24を、蓄積性蛍光体シート80のその輝尽性蛍光体層領域82のみに入射させることができ、かつ、その輝尽性蛍光体層領域82から放出された輝尽光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めして、第3のレーザ励起光源23から発せられる980nmの波長のレーザ光24によって、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82に含まれている輝尽性蛍光体を、順次、励起して、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された各輝尽性蛍光体層領域82から放出された輝尽光45を、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出するように構成されているから、多数の輝尽性蛍光体層領域82が、一定のピッチで、所望のように、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に、規則的に形成されていない場合や、蓄積性蛍光体シート80が、サンプルステージ40のライトボックス90上の所望の位置に、正確にセットされていない場合においても、第3のレーザ励起光源23から発せられる980nmの波長のレーザ光24を、所定の輝尽性蛍光体層領域82のみに入射させることができ、したがって、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された各輝尽性蛍光体層領域82から放出された輝尽光45を、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出することにより、蓄積性蛍光体シート80の多数の輝尽性蛍光体層領域82に記録された化学発光データを読み取って、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが可能になる。
【0534】
さらに、本実施態様によれば、第2のレーザ励起光源22から発せられる532nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された各吸着性領域4に含まれている蛍光色素を励起するのに先立って、青色LED光源92から発せられる蛍光色素を効率的に励起することがない青色光94を、生化学解析用ユニット1に照射して、吸着性領域4ごとに、吸着性領域4と透過し、フォトマルチプライア50によって光電的に検出された青色光94の強度が最大になる光学ヘッド35の位置を、最適励起位置として決定し、第2のレーザ励起光源22から発せられたレーザ光24を、生化学解析用ユニット1のその吸着性領域4のみに入射させることができ、かつ、その吸着性領域4から放出された蛍光45を最も効率的にフォトマルチプライア50に集光することができる最適励起位置に、光学ヘッド35を位置決めして、第2のレーザ励起光源22から発せられる532nmの波長のレーザ光24によって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4に含まれている蛍光色素を、順次、励起して、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された各吸着性領域4から放出された蛍光45を、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出するように構成されているから、多数の吸着性領域4が、一定のピッチで、所望のように、生化学解析用ユニット1の基板2に、規則的に形成されていない場合や、生化学解析用ユニット1が、サンプルステージ40上の所望の位置に、正確にセットされていない場合においても、第2のレーザ励起光源22から発せられる532nmの波長のレーザ光24を、所定の吸着性領域4のみに入射させることができ、したがって、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された各吸着性領域4から放出された蛍光45を、フォトマルチプライア50によって、光電的に検出することにより、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に記録された蛍光データを読み取って、定量性に優れた生化学解析用データを生成することが可能になる。
【0535】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0536】
たとえば、図6ないし図8に示された実施態様においては、位置決め用レーザ光源として、405nmの波長のレーザ光24を発するレーザ光源20が用いられているが、位置決め用レーザ光源として、405nmの波長のレーザ光24を発するレーザ光源20を用いることは必ずしも必要でなく、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された輝尽性蛍光体層領域12に含まれているBaFX系輝尽性蛍光体を励起することがない波長の光を発する光源であれば、いかなる光源を用いてもよい。
【0537】
さらに、図6ないし図8に示された実施態様においては、蓄積性蛍光体シート10の輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24を、フォトマルチプライア50によって光電的に検出するように構成されているが、光学ヘッド35と凹面ミラー38の間の光路内に位置する反射位置と、光路から退避した退避位置との間を移動可能なミラーを設けて、蓄積性蛍光体シート10の輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24を検出する際は、ミラーを反射位置に位置させ、あるいは、入射光の一部を反射するミラーを、光学ヘッド35と凹面ミラー38の間の光路内に設け、蓄積性蛍光体シート10の輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4の表面で散乱された405nmの波長のレーザ光24を、ミラーによって反射させて、アパーチャーを介して、フォトダイオードなどに導き、光電的に検出するようにしてもよい。この場合には、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されたフィルタ51dを設けることは必要でない。
【0538】
また、図10および図11に示された実施態様においては、光学ヘッド35を最適励起位置に位置決めするために、青色光94を発する青色LED光源92が用いられているが、青色光94を発する青色LED光源92を用いることは必ずしも必要でなく、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82に含まれているSrS系輝尽性蛍光体を励起することがない波長の光を発する光源であれば、いかなる光源を用いてもよい。
【0539】
さらに、図10および図11に示された実施態様においては、蓄積性蛍光体シート80の輝尽性蛍光体層領域82あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4を透過した青色光94を検出する際に、フィルタユニット48を青色光94の光路外に移動させているが、フィルタユニット48に、ニュートラルデンシティフィルタによって構成されたフィルタを設け、蓄積性蛍光体シート80の輝尽性蛍光体層領域82あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4を透過した青色光94を、ニュートラルデンシティフィルタを介して、フォトマルチプライア50によって光電的に検出するように構成することもできる。
【0540】
また、図10および図11に示された実施態様においては、蓄積性蛍光体シート80の輝尽性蛍光体層領域82あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4を透過した青色光94を、フォトマルチプライア50によって光電的に検出するように構成されているが、光学ヘッド35と凹面ミラー38の間の光路内に位置する反射位置と、光路から退避した退避位置との間を移動可能なミラーを設けて、蓄積性蛍光体シート10の輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4を透過した青色光94を検出する際は、ミラーを反射位置に位置させ、あるいは、入射光の一部を反射するミラーを、光学ヘッド35と凹面ミラー38の間の光路内に設け、蓄積性蛍光体シート10の輝尽性蛍光体層領域12あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4を透過した青色光94を、ミラーによって反射させて、アパーチャーを介して、フォトダイオードなどに導き、光電的に検出するようにしてもよい。
【0541】
さらに、図10および図11に示された実施態様においては、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された輝尽性蛍光体層領域82あるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成された吸着性領域4を透過し、フォトマルチプライア50によって光電的に検出された青色光94の信号強度が最大になる光学ヘッド35の位置を検出して、最適励起位置を決定しているが、蓄積性蛍光体シート80の支持体81および生化学解析用ユニット1の基板2を青色光94を透過させる材料によって形成し、蓄積性蛍光体シート80あるいは生化学解析用ユニット1を透過し、フォトマルチプライア50によって光電的に検出された青色光94の信号強度が最小になる光学ヘッド35の位置を検出して、最適励起位置を決定するようにしてもよい。
【0542】
さらに、図10および図11に示された実施態様においては、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82に記録されている化学発光データを読み取って、生化学解析用データを生成するように構成されているが、図6ないし図8に示された実施態様と同様にして、第1のレーザ励起光源21を用いて、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12に記録されている放射線データを読み取り、生化学解析用データを生成するようにしてもよい。
【0543】
また、図6ないし図8に示された実施態様においては、スキャナは、蓄積性蛍光体シート10の支持体11に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域12に記録されている放射線データを読み取って、生化学解析用データを生成するように構成されているが、図10および図11に示された実施態様と同様に、980nmの波長のレーザ光24を発するレーザ励起光源を設け、蓄積性蛍光体シート80の支持体81に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域82に記録されている化学発光データを読み取って、生化学解析用データを生成するように構成することもできる。
【0544】
さらに、図6ないし図8に示された実施態様においては、スキャナは、640nmの波長のレーザ光24を発する第1のレーザ励起光源21と、532nmの波長のレーザ光24を発する第2のレーザ励起光源22を備え、図10および図11に示された実施態様においては、スキャナは、640nmの波長のレーザ光24を発する第1のレーザ励起光源21と、532nmの波長のレーザ光24を発する第2のレーザ励起光源22と、980nmの波長のレーザ光24を発する第3のレーザ励起光源23を備えているが、532nmの波長のレーザ光24を発する第2のレーザ励起光源22に代えて、あるいは、これらのレーザ励起光源に加えて、473nmの波長のレーザ光24を発するレーザ励起光源を、スキャナに設けることもできる。
【0545】
また、前記実施態様においては、ミラー36と非球面レンズ37を用いて、レーザ光24を、蓄積性蛍光体シート10、80の輝尽性蛍光体層領域12、82あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に集光させるとともに、蓄積性蛍光体シート10、80の輝尽性蛍光体層領域12、82から放出された輝尽光45あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4から放出された蛍光45を集光するように構成されているが、蓄積性蛍光体シート10、80の輝尽性蛍光体層領域12、82あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4に集光させるレーザ光集光光学系と、蓄積性蛍光体シート10、80の輝尽性蛍光体層領域12、82から放出された輝尽光45あるいは生化学解析用ユニット1の吸着性領域4から放出された蛍光45を集光する検出光集光光学系を、一定の相対的位置関係をもって、独立して、設けることもできる。
【0546】
さらに、前記実施態様においては、光学ヘッド35を主走査方向に移動させることによって、蓄積性蛍光体シート10、80の支持体11、81に形成された各ラインの輝尽性蛍光体層領域12、82あるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成された各ラインの吸着性領域4を、レーザ光24によって走査するように構成されているが、光学ヘッド35を主走査方向に移動させることによって、蓄積性蛍光体シート10、80の支持体11、81に形成された各ラインの輝尽性蛍光体層領域12、82あるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成された各ラインの吸着性領域4を、レーザ光24によって走査するように構成することは必ずしも必要でなく、光学ヘッド35を一定の位置に保持し、サンプルステージ40を、主走査方向および副走査方向に移動させて、蓄積性蛍光体シート10、80の支持体11、81に形成されたすべての輝尽性蛍光体層領域12、82あるいは生化学解析用ユニット1の基板2に形成されたすべての吸着性領域4を、レーザ光24によって走査するように構成することもできる。
【0547】
また、前記実施態様においては、励起光源として、レーザ励起光源21、22、23が用いられているが、レーザ励起光源21、22、23を、励起光源として、用いることは必ずしも必要でなく、レーザ励起光源21、22、23に代えて、LED光源などを用いることもできる。
【0548】
さらに、前記実施態様においては、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に、特異的結合物質を吸着させ、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に吸着された特異的結合物質に、ハイブリダイゼーション反応によって、放射性標識物質によって標識された生体由来の物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質によって標識された生体由来の物質および蛍光色素などの蛍光物質によって標識された生体由来の物質を選択的に特異的結合させて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に、放射線データ、化学発光データおよび蛍光データを選択的に記録しているが、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に吸着された特異的結合物質に、ハプテンによって標識された生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせ、さらに、化学発光基質と接触させることによって、化学発光を生じさせる酵素によって標識されたハプテンに対する抗体を、多数の吸着性領域4に吸着された特異的結合物質に選択的に結合されているハプテンに、抗原抗体反応によって、結合させて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に、化学発光データを記録することもでき、また、生化学解析用ユニット1の多数の吸着性領域4に吸着された特異的結合物質に、ハプテンによって標識された生体由来の物質を、選択的に、ハイブリダイズさせ、さらに、蛍光基質と接触させることによって、蛍光物質を生じさせる酵素によって標識されたハプテンに対する抗体を、多数の吸着性領域4に吸着された特異的結合物質に選択的に結合されているハプテンに、抗原抗体反応によって、結合させて、生化学解析用ユニット1の基板2に形成された多数の吸着性領域4に、蛍光データを記録することもできる。ハプテン/抗体の組合わせの例としては ジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニン抗体、テオフィリン/抗テオフィリン抗体、フルオロセイン/抗フルオロセイン抗体などをあげることができる。また、ハプテン/抗体ではなく、ビオチン/アヴィジンや抗原/抗体などの組合わせを利用することも可能である。
【0549】
【発明の効果】
本発明によれば、蓄積性蛍光体シートの支持体に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域のみに、確実に、励起光を導き、輝尽性蛍光体層領域に含まれた輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体層領域から放出された輝尽光を光電的に検出して、定量性に優れた生化学解析用データを生成することができ、生化学解析用ユニットの基板に形成された多数の吸着性領域のみに、確実に、励起光を導き、吸着性領域に含まれた蛍光物質を励起し、吸着性領域から放出された蛍光をを光電的に検出して、定量性に優れた生化学解析用データを生成することができる生化学解析用データ読み取り方法および装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、生化学解析用ユニットの略斜視図である。
【図2】図2は、スポッティング装置の略正面図である。
【図3】図3は、ハイブリダイゼーション反応容器の略縦断面図である。
【図4】図4は、生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域に記録された放射線データを転写すべき蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【図5】図5は、生化学解析用ユニットに形成された多数の吸着性領域に含まれた放射性標識物質によって、蓄積性蛍光体シートに形成された多数の輝尽性蛍光体層領域を露光する方法を示す略断面図である。
【図6】図6は、蓄積性蛍光体シートの支持体に形成された多数の輝尽性蛍光体層領域に記録されている放射線データを読み取って、生化学解析用データを生成するとともに、生化学解析用ユニットの基板に形成された多数の吸着性領域に記録されている蛍光色素などの蛍光データを読み取って、生化学解析用データを生成するスキャナの概略図である。
【図7】図7は、光学ヘッドの走査機構の略平面図である。
【図8】図8は、図6に示されたスキャナの制御系、入力系、駆動系および検出系を示すブロックダイアグラムである。
【図9】図9は、生化学解析用ユニットの多数の吸着性領域に記録された化学発光データを転写すべき蓄積性蛍光体シートの略斜視図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施態様にかかるスキャナの概略図である。
【図11】図11は、ライトボックスの略縦断面図である。
【符号の説明】
1  生化学解析用ユニット
2 基板
3 貫通孔
4 吸着性領域
5 スポッティング装置
6 インジェクタ
7 CCDカメラ
8 ハイブリダイゼーション反応容器
9 ハイブリダイゼーション反応溶液
10 蓄積性蛍光体シート
11 支持体
12 輝尽性蛍光体層領域
13 貫通孔
20 位置決め用レーザ光源
21 第1のレーザ励起光源
22 第2のレーザ励起光源
23 第3のレーザ励起光源
24 レーザ光
25 コリメータレンズ
26 ミラー
27 第1のダイクロイックミラー
28 第2のダイクロイックミラー
29 ミラー
30 コリメータレンズ
31 コリメータレンズ
32 ミラー
33 穴開きミラーの穴
34 穴開きミラー
35 光学ヘッド
36 ミラー
37 非球面レンズ
38 凹面ミラー
40 サンプルステージ
45 輝尽光あるいは蛍光
48 フィルタユニット
50 フォトマルチプライア
51a、51b、51c、51d、51e フィルタ
53 A/D変換器
54 データ処理装置
55 遮光部材
56 第3のダイクロイックミラー
60 基板
61 副走査パルスモータ
62 一対のレール
63 移動可能な基板
64 ロッド
65 主走査ステッピングモータ
66 エンドレスベルト
67 リニアエンコーダ
68 リニアエンコーダのスリット
70 コントロールユニット
71 キーボード
72 フィルタユニットモータ
73 遮光部材モータ
80 蓄積性蛍光体シート
81 支持体
82 輝尽性蛍光体層領域
83 貫通孔
90 ライトボックス
91 ケーシング
92 青色LED光源
93 青色透過フィルタ
94 青色光

Claims (9)

  1. 生化学解析用データが選択的に記録された複数の発光可能領域が、互いに離間して形成されたサンプルをサンプルステージに載置し、前記サンプルステージおよび励起光を相対的に移動させて、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域に、順次、励起光を照射し、前記複数の発光可能領域から放出される光を、光電的に検出して、生化学解析用データを生成する方法であって、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射するのに先立って、前記サンプルステージに載置された前記サンプルに、位置決め用光を照射して、前記サンプルステージに載置された前記サンプルによって散乱された前記位置決め用光または前記サンプルステージに載置された前記サンプルを透過した前記位置決め用光を光電的に検出し、光電的に検出した前記位置決め用光の光量に基づいて、前記サンプルステージおよび前記励起光の相対的位置を決定して、前記サンプルステージおよび前記励起光を位置決めし、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射し、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成することを特徴とする生化学解析用データの読み取り方法。
  2. 前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域に、前記位置決め用光を照射し、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれによって散乱された前記位置決め用光を光電的に検出し、光電的に検出した前記位置決め用光の光量が最大となる位置に、前記サンプルステージと前記励起光を位置決めし、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射し、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成することを特徴とする請求項1に記載の生化学解析用データの読み取り方法。
  3. 前記サンプルステージに載置された前記サンプルに、前記位置決め用光を照射し、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれを透過した前記位置決め用光を光電的に検出し、光電的に検出した前記位置決め用光の光量が最大となる位置に、前記サンプルステージと前記励起光を位置決めし、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれに、励起光を照射し、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれから放出された光を光電的に検出して、生化学解析用データを生成することを特徴とする請求項1に記載の生化学解析用データの読み取り方法。
  4. 生化学解析用データが選択的に記録された前記複数の発光可能領域が、互いに離間して形成された前記サンプルが、放射線データまたは化学発光データが選択的に記録された複数の輝尽性蛍光体層領域が、互いに離間して形成された蓄積性蛍光体シートによって構成され、前記位置決め用光が、前記蓄積性蛍光体シートの前記輝尽性蛍光体層領域に含まれている輝尽性蛍光体を実質的に励起しない波長を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の生化学解析用データの読み取り方法。
  5. 生化学解析用データが選択的に記録された前記複数の発光可能領域が、互いに離間して形成された前記サンプルが、蛍光データが選択的に記録された複数の吸着性領域が、互いに離間して形成された生化学解析用ユニットによって構成され、前記位置決め用光が、前記生化学解析用ユニットの前記吸着性領域に含まれている蛍光物質を効率的に励起しない波長を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の生化学解析用データの読み取り方法。
  6. 励起光を発する少なくとも1つの励起光源と、生化学解析用データが選択的に記録された複数の発光可能領域が、互いに離間して形成されたサンプルを載置するサンプルステージと、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域から放出された光を光電的に検出する光検出器と、前記サンプルステージと前記励起光を相対的に移動させる走査機構と、前記少なくとも1つの励起光源から発せられた励起光を、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域に導く励起光集光手段と、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域から放出された光を前記光検出器に導く検出光集光手段と、位置決め用光を発する位置決め用光源と、前記位置決め用光源から発せられ、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記発光可能領域によって散乱された位置決め用光の光量、または、前記位置決め用光源から発せられ、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記発光可能領域を透過した位置決め用光の光量に基づいて、前記サンプルステージと前記励起光の最適相対的位置を決定し、前記走査機構を制御する制御手段を備えたことを特徴とする生化学解析用データ読み取り装置。
  7. 前記位置決め用光源から発せられた前記位置決め用光が、前記励起光集光手段によって、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれに集光され、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれによって散乱された前記位置決め用光が、前記検出光集光手段によって、前記光検出器に導かれ、光電的に検出されるように構成されたことを特徴とする請求項6に記載の生化学解析用データ読み取り装置。
  8. 前記位置決め用光源が、前記サンプルステージと前記サンプルの間に設けられ、前記位置決め用光源から発せられ、前記サンプルステージに載置された前記サンプルの前記複数の発光可能領域のそれぞれを透過した前記位置決め用光が、前記検出光集光手段によって、前記光検出器に導かれ、光電的に検出されるように構成されたことを特徴とする請求項6に記載の生化学解析用データ読み取り装置。
  9. 前記位置決め用光源から発せられる前記位置決め用光が、前記少なくとも1つの励起光源から発せられる前記励起光と異なる波長を有していることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の生化学解析用データ読み取り装置。
JP2002283386A 2002-09-27 2002-09-27 生化学解析用データ読み取り方法および装置 Pending JP2004117272A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002283386A JP2004117272A (ja) 2002-09-27 2002-09-27 生化学解析用データ読み取り方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002283386A JP2004117272A (ja) 2002-09-27 2002-09-27 生化学解析用データ読み取り方法および装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004117272A true JP2004117272A (ja) 2004-04-15

Family

ID=32277264

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002283386A Pending JP2004117272A (ja) 2002-09-27 2002-09-27 生化学解析用データ読み取り方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004117272A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115999069A (zh) * 2022-12-08 2023-04-25 北京师范大学珠海校区 经颅光刺激的参数确定方法、装置、设备及存储介质

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115999069A (zh) * 2022-12-08 2023-04-25 北京师范大学珠海校区 经颅光刺激的参数确定方法、装置、设备及存储介质
CN115999069B (zh) * 2022-12-08 2024-01-05 北京师范大学珠海校区 经颅光刺激的参数确定装置和设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4282251B2 (ja) 生化学解析用ユニットおよびそれを用いた生化学解析方法
US7348587B2 (en) Method for producing biochemical analysis data and apparatus used therefor
JP3712677B2 (ja) 生化学解析用ユニット
JP3920054B2 (ja) 生化学解析用データの生成方法および装置
JP3818926B2 (ja) リセプター・リガンド会合反応方法
US6781143B2 (en) Biochemical analysis data producing method, biochemical analysis data producing apparatus and stimulable phosphor sheet used therefor
US20030007895A1 (en) Biochemical analysis unit
JP2003294630A (ja) 生化学解析用データの生成方法および装置
JP4071944B2 (ja) 生化学解析用データの生成方法およびそれに用いるスキャナ
JP3954331B2 (ja) 生化学解析用ユニットおよびその製造方法
JP3721334B2 (ja) リセプター・リガンド会合反応方法およびそれに用いるリアクタ
JP4153229B2 (ja) 蓄積性蛍光体シートおよび蓄積性蛍光体シートに記録された生化学解析用データの読み取り方法
JP2004117272A (ja) 生化学解析用データ読み取り方法および装置
JP4021701B2 (ja) 生化学解析用データの生成方法およびそれに用いるスキャナ
US20030003493A1 (en) Biochemical analysis unit and biochemical analysis kit
US20020195573A1 (en) Stimulable phosphor sheet and method for manufacturing the same
JP3786881B2 (ja) リセプター・リガンド会合反応方法
JP2003295365A (ja) スキャナ
JP2003130796A (ja) 生化学解析用データの生成方法およびそれに用いるスキャナ
US7189577B2 (en) Biochemical analysis kit and method for exposing stimulable phosphor sheet
JP3897284B2 (ja) リセプター・リガンド会合反応方法およびそれに用いるリアクタ
JP2004037103A (ja) スポッティング装置の滴下特性測定方法
JP2003028866A (ja) 生化学解析用データの生成方法および装置
JP2003075440A (ja) 生化学解析用ユニット
JP2003287831A (ja) 蓄積性蛍光体シートに記録された放射線データの読み取り方法および装置