JP3954203B2 - オイル分離回収装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械の切削加工等により排出された切粉から切削剤,切削油等のオイルを分離するオイル分離回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工場の工作機械においては、切削加工等の機械加工により、切粉が発生する。
この切粉を回収するため、例えば、工作機械に隣接して搬送装置が配置されている。切削剤(クーラント),切削油等のオイルが付着した切粉は、搬送装置の先端に設置した容器内に排出される。
【0003】
かかる切粉回収装置として、例えば、図6,図7に示すものが知られている。
図において、符号101は搬送装置で、搬送装置101は、チップコンベヤ102を有している。チップコンベヤ102は、無端状のチェーンコンベヤで、第1チェーンスプロケット103と、第2チェーンスプロケット104と、第1チェーンスプロケット103,第2チェーンスプロケット104間に巻き掛けられたベルト部材102Aとで構成されている。
【0004】
第1チェーンスプロケット103は床面105の近くに配置されている。第2チェーンスプロケット104は第1チェーンスプロケット103の斜め前上方に配置され、チップコンベヤ102は、前上りに傾斜している。チップコンベヤ102には、一定間隔で切粉用掬い板106が該チップコンベヤ102に略直角に固設されている。
【0005】
チップコンベヤ102は、カバー107で覆われており、カバー107の前端の下側部分107Aには、開口部108が形成されている。また、カバー107の後端には、第1チェーンスプロケット103の下に位置して、図示しない工作機械から運ばれた切粉を回収する回収ボックス109が配置されている。
搬送装置101のカバー107の下側部分107Aには、シュータ110の一端110Aが設けられている。シュータ110は、カバー107の下側部分107Aに略直角になっており、開口部108の下に位置している。
【0006】
シュータ110は、傾斜シュータ面111を有している。傾斜シュータ面111は前方斜め下方に向けて傾斜している。
なお、床面105には、シュータ110の先端下方に位置して、ピット112が位置し、ピット112内に容器112Aが配置されている。
しかして、図示しない工作機械から排出される切粉Kにはオイルが付着しており、この切粉Kは搬送装置101により移送される。
【0007】
オイルが付着している切粉Kは、搬送装置101からシュータ110に移動し、傾斜シュータ面111上を滑り落ちる。
切粉Kは傾斜シュータ面111の先端部から斜め(傾斜シュータ面111の面方向)に滑り落ち、ピット112内に回収される。
【0008】
そして、容器112A内の切粉Kからオイルが分離・回収される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、オイルを回収するには、容器112Aから切粉Kを取り出してオイルと分離する作業が人力等で行なわれており、分離作業が面倒であった。
【0010】
また、切粉からオイルを分離するオイル分離回収装置として、特開平9−192976号公報に示すものが図8に示すように開示されている。
図において、スクレーパ201は、第1導出板202と、第1導出板202の屈曲部位203から所定角度変位して下方へと延在する第2導出板204と、切削屑導出機構205とを備えている。切削屑導出機構205は、第1導出板202の屈曲部位203から離間し且つ前記屈曲部位203に沿って前記第2導出板204と異なる角度で外方へと延在する平板206と、案内板207とを有している。第1導出板202には切削油回収用孔部202Aが形成され、平板206には溝206Aが形成されている。
【0011】
しかしながら、切粉からオイルを分離するために、スクレーパ201は、第1導出板202,第2導出板204,平板206,案内板207からなる断面略門形構造に形成されており、複雑な構造になっている。その上、スクレーパ201は、切削油回収用孔部202A,溝206Aを必要としており、切粉とオイルの分離構造が複雑になっている。また、第2導出板204,案内板207上にオイルを導いて分離しているが、第2導出板204,案内板207は板材になっているので、オイルが付着する表面積を充分に確保できず、第2導出板204,案内板207上にオイルを充分に引っ張ることができず、確実にオイルを分離できない虞がある。
【0012】
そして、オイル分離回収装置として、特開平8−197372号公報に示すものが開示されている。特開平8−197372号公報に示すオイル分離回収装置においては、切削油回収タンク外に切削油分離装置が配置されている。この切削油分離装置は、搬送手段により搬送されてきた切削屑を受け取って該切削屑から切削油を分離・除去するとともに、分離・除去された切削油と切削屑とを別々に回収する。切削油分離装置は、回転槽と、回転槽を回転させるための回転駆動手段等とにより構成されている。このため、前記回転駆動手段を動かすための動力源が必要であり、構造が複雑である。
【0013】
或いは、オイル分離回収装置として、特開平9−150342号公報に示すものが開示されている。特開平9−150342号公報に示すオイル分離回収装置においては、シュータが配置されている。シュータは、シュート面の一部に切削油を抽出するための濾過部を形成するとともに、この濾過部の傾斜下端部にシュート面を横断する態様で堰板を配設してなる。かかるシュータでは、堰板に切粉が引っ掛かるので、堰板から切粉を排除するのに手間がかかり、面倒であった。
【0014】
なお、実開平5−74745号公報には切粉分別収集装置が開示されているが、オイル分離回収装置としては用いられていない。
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、動力を用いずに簡単な構造でオイルを切粉から自動的に且つ確実に分離して回収することができるオイル分離回収装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、オイルが付着した切粉を移送する搬送装置と、前記搬送装置に一端が設けられ、該搬送装置により運ばれた切粉を滑り落とす傾斜シュータ面を有するシュータと、前記シュータの他端に設けられたオイル用ガイド部材と、オイル回収容器とを備え、前記オイル用ガイド部材は、斜め部材と垂直部材とで構成される複数の断面円形状の棒部材をそれぞれの側面を接して壁面状に並べるとともに、前記各斜め部材を前記傾斜シュータの他端面に沿ってそれぞれの先端部を該傾斜シュータと同一面となるように固設して前記オイル回収容器側に設置することによって、該傾斜シュータと該各斜め部材間の隙間とでオイルの流路を形成し、かつ前記各垂直部材を前記オイル回収容器上に配置し、前記傾斜シュータを流下するオイルを前記オイル流路に導き、該オイルを該各斜め部材の表面上から前記各垂直部材間の表面上を伝わらせて前記オイル回収容器に滴下させるように構成してなることを特徴とする。
【0017】
(作用)
請求項1記載の発明においては、搬送装置により、切粉が移送される。切粉にはオイルが付着している。
【0018】
オイルが付着している切粉は、搬送装置からシュータに移動し、傾斜シュータ面上を滑り落ちる。切粉が滑り落ちる間に、オイルは切粉から分離される。
切粉は傾斜シュータ面の先端部から斜め(傾斜シュータ面の面方向)に飛ばされる。
そして、傾斜シュータ面の先端部において、オイルは、複数の棒部材からなるオイル用ガイド部材に導かれる。
【0019】
この場合、オイル用ガイド部材は、記傾斜シュータ面の反対側に向かって並べた複数の棒部材をそれぞれの先端部を該シュータの他端に隙間を介して固設してなるので、オイルが付着するオイル用ガイド部材の表面積を多く取ることができ、オイルのオイル用ガイド部材に対する付着力が大きくなる。
請求項2記載の発明においては、切粉が傾斜シュータ面上を滑り落ちる際、棒部材の先端部に引っ掛からない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
図1ないし図5により請求項1記載の発明の実施の形態に係わるオイル分離回収装置について説明する。
図において、符号1は搬送装置で、搬送装置1は、チップコンベヤ2を有している。チップコンベヤ2は、無端状のチェーンコンベヤで、第1チェーンスプロケット3と、第2チェーンスプロケット4と、チェーンスプロケット3,第2チェーンスプロケット4に巻き掛けられたベルト部材2Aとで構成されている。第1チェーンスプロケット3は床面5の近くに配置されている。第2チェーンスプロケット4は第1チェーンスプロケット3の斜め前上方に配置され、チップコンベヤ2は、前上りに傾斜している。チップコンベヤ2には、一定間隔で切粉用掬い板6が該チップコンベヤ2に略直角に固設されている。
【0021】
チップコンベヤ2は、カバー7で覆われており、カバー7の前端の下側部分7Aには、開口部8が形成されている。また、カバー7の後端には、第1チェーンスプロケット3の下に位置して、図示しない工作機械からの切粉を回収する回収ボックス9が配置されている。
搬送装置1のカバー7の下側部分7Aには、シュータ10の一端10Aが設けられている。シュータ10は、板材で形成され、カバー7の下側部分7Aに略直角になっており、開口部8の下に位置している。
【0022】
シュータ10は、傾斜シュータ面11を有している。傾斜シュータ面11は前方斜め下方に向けて傾斜している。
シュータ10の側端には、脇板12,12が固定されている。シュータ10の他端10Bにはオイル用ガイド部材13が固設されている。
オイル用ガイド部材13は、傾斜シュータ面11の反対側に向かって並べた複数の断面円形状の棒部材14をそれぞれの先端部15Aが該シュータ10の他端10Bに隙間S1,S2を介して固設してなる。詳しく述べると、隣接する各棒部材14,14間に隙間S1,S2が形成されている。棒部材14は、斜め部材15と、垂直部材16とで構成されている。斜め部材15は、傾斜シュータ面11の反対側に向かっており、傾斜シュータ面11に対して略90度の傾斜角度となっている。棒部材14の先端部15Aは、前記シュータ10の他端10Bの端面10Cに溶接,ろう付け等により固設され、傾斜シュータ面11と同一面にあり、傾斜シュータ面11上に突出していない。
【0023】
そして、棒部材14の垂直部材16の下方には、オイル用容器17が配置されている。オイル用容器17は、上部が開口しており、オイル用容器17のチップコンベヤ2に対する反対側の面17Bは、棒部材14の先端部15Aより図1において右側に位置している。
オイル用容器17の中に棒部材14の垂直部材16の先端16Aが挿入されている。オイル用容器17の底部17Aにはドレーン受け部18が設けられ、ドレーン受け部18にホース19の一端19Aが接続されている。ホース19の他端19Bの下方には、タンク20が配置されている。
【0024】
なお、床面5には、シュータ10の先端下方に位置して、ピット21が位置し、ピット21内に容器21Aが配置されている。
しかして、本実施の形態においては、先ず、図示しない工作機械から運ばれてオイルの付着した切粉Kが回収ボックス9内に回収されている。
チップコンベヤ2が駆動されると、切粉用掬い板6により回収ボックス9内からオイルが付着した切粉Kが掬い上げられる。切粉Kは、切粉用掬い板6,カバー7の下側部分7Aに保持されながら、チップコンベヤ2に沿って移送される。
【0025】
チップコンベヤ2により、オイルが付着している切粉Kは、開口部8に至り、シュータ10に移動し、シュータ10の傾斜シュータ面11上を滑り落ちる。
傾斜シュータ面11上において、切粉Kからオイルが分離される。分離されたオイルは、傾斜シュータ面11上を滑り落ちる。
切粉Kは、傾斜シュータ面11の先端部11Aから斜め方向(傾斜シュータ面11の面方向)に飛ばされ、ピット21の容器21A内に落下する。
【0026】
一方、傾斜シュータ面11の先端部11Aにおいて、オイルの一部は飛散するが、オイルの一部は複数の棒部材14からなるオイル用ガイド部材13に導かれる。しかも、オイルの流体としての性質である濡れ性(液体が固体の表面上に付着する性質)により、オイルは、棒部材14の表面上を伝わり、棒部材14の隙間S1,S2に導かれる。
【0027】
なお、切粉が傾斜シュータ面11上を滑り落ちる際、棒部材14の先端部15Aに引っ掛かることはない。
このようにして、オイルは、切粉Kから分離される。
そして、オイルは、オイル用ガイド部材13の垂直部材16の先端16Aから垂れ落ち、オイル用容器17内に回収される。
【0028】
さらに、オイルは、オイル用容器17からドレーン受け部18によりドレーンを除去された後、ホース19に導かれ、タンク20内に回収される。
以上の如き構成によれば、次の効果を奏する。
第1に、オイルを切粉から自動的に分離して回収し、オイルの分離作業を軽減できる。
【0029】
第2に、オイル用ガイド部材13は、傾斜シュータ面11の反対側に向かって並べた複数の棒部材14をそれぞれの先端部15Aを該シュータ10の他端10Bに隙間S1,S2を介して固設してなるので、オイルの付着するオイル用ガイド部材13の表面積を多くすることが簡単にでき、オイルのオイル用ガイド部材13に対する付着力を大きくし、オイルをオイル用ガイド部材13に確実に導くことができる。すなわち、オイルの付着力=単位面積当たりの付着力×表面積で与えられるので、オイルが付着する表面積が大きくなると、オイルの付着力は大きくなり、オイルが複数の棒部材14の表面上に導かれる力は大きくなる。
【0030】
従って、傾斜シュータ面11の先端部11Aにおいてオイルの飛散する量を減らし、オイルの分離回収率を高くできる。
また、棒部材14の隙間S1,S2の間にオイルが流れるので、オイルの分離が確実になる。
しかも、単に棒部材14をシュータ10の他端10Bの端面10Cに溶接,ろう付け等により結合することにより、複数の棒部材14を並べれば良いので、簡単に当該オイル分離回収装置を造ることができる。
【0031】
第3に、オイルの分離のために、シュータ10とオイル用ガイド部材13の2つの部材で足り、動力が不要であり、構造を簡単にすることができる。
第4に、複数の棒部材14は、傾斜シュータ面11の反対側に向かっているので、シュータ10の他方の下方に空間に確保し、この空間にオイル用容器17を配置できる。ちなみに、前述したように、オイル用容器17のチップコンベヤ2に対する反対側の面17Bは、棒部材14の先端部15Aより図1において右側に位置している。
【0032】
従って、切粉がシュータ10から落下する空間Mにオイル用容器17を配置しないで済み、切粉がシュータ10から落下する空間Mを充分に確保することができる。
第5に、棒部材14の先端部15Aは、傾斜シュータ面11と同一面にシュータ10に取り付けられているので、シュータ10に堰がない状態となり、従って、シュータ10の途中から切粉を排除する作業をなくすことができる。すなわち、従来の技術で述べた堰から切粉を排除する作業をなくすことができる。
【0033】
なお、本実施の形態においては、搬送装置の例として、チップコンベヤを例に挙げて説明したが、これに限定されることはない。
また、本実施の形態においては、棒部材は断面円形状に形成されているが、かかる断面形状に限定されることなく、例えば断面形状を菱形に形成することもできる。
【0034】
そして、本実施の形態においては、棒部材14の先端部15Aは、傾斜シュータ面11と同一面にシュータ10に取り付けられているが、棒部材14の先端部15Aを、傾斜シュータ面11から該傾斜シュータ面11の反対側に寄せて前記シュータ10に取り付けることもできる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、次の効果を奏する。
【0036】
第1に、オイルを切粉から自動的に分離して回収し、オイルの分離作業を軽減できる。
第2に、オイル用ガイド部材は、前記傾斜シュータ面の反対側に向かって並べた複数の棒部材をそれぞれの先端部を該シュータの他端に隙間を介して固設してなるので、オイルの付着するオイル用ガイド部材の表面積を多くすることが簡単にでき、オイルのオイル用ガイド部材に対する付着力を大きくし、オイルをオイル用ガイド部材に確実に導くことができる。従って、オイルの分離回収率を高くできる。
【0037】
しかも、オイル用ガイド部材の表面積を多くするために、棒部材をシュータの他端に結合すれば良いので、簡単に当該オイル分離回収装置を造ることができる。
第3に、オイルの分離回収のために、シュータとオイル用ガイド部材の2つの部材で足り、動力が不要であり、構造を簡単にすることができる。
第4に、複数の棒部材を、傾斜シュータ面の反対側に向けてあるので、シュータの他方の下方に空間を確保し、この空間にオイル用容器を配置できる。従って、切粉がシュータから落下する空間にオイル用容器を配置しないで済み、切切粉がシュータから落下する空間を充分に確保することができる。
【0038】
また、棒部材の先端部は、前記傾斜シュータ面と同一面にまたは前記傾斜シュータ面から該傾斜シュータ面の反対側に寄せて前記シュータの他端に取り付けられているので、シュータに堰がない状態となり、従って、シュータの途中から切粉を排除する作業をなくすことができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わるオイル分離回収装置の全体を示す側面説明図である。
【図2】同オイル分離回収装置の要部を示す拡大側面説明図である。
【図3】同オイル分離回収装置の要部を示す正面図である。
【図4】図3のX部拡大図である。
【図5】同オイル分離回収装置の要部を示す斜視図である。
【図6】従来におけるオイル分離回収装置の全体を示す側面説明図である。
【図7】同オイル分離回収装置の切粉の排出状態を示す斜視図である。
【図8】従来における他のオイル分離回収装置を示す側面説明図である。
【符号の説明】
1 搬送装置
10 シュータ
11 傾斜シュータ面
13 オイル用ガイド部材
14 棒部材
K 切粉
Claims (1)
- オイルが付着した切粉を移送する搬送装置と、
前記搬送装置に一端が設けられ、該搬送装置により運ばれた切粉を滑り落とす傾斜シュータ面を有するシュータと、
前記シュータの他端に設けられたオイル用ガイド部材と、
オイル回収容器とを備え、
前記オイル用ガイド部材は、
斜め部材と垂直部材とで構成される複数の断面円形状の棒部材をそれぞれの側面を接して壁面状に並べるとともに、前記各斜め部材を前記傾斜シュータの他端面に沿ってそれぞれの先端部を該傾斜シュータと同一面となるように固設して前記オイル回収容器側に設置することによって、該傾斜シュータと該各斜め部材間の隙間とでオイルの流路を形成し、かつ前記各垂直部材を前記オイル回収容器上に配置し、前記傾斜シュータを流下するオイルを前記オイル流路に導き、該オイルを該各斜め部材の表面上から前記各垂直部材間の表面上を伝わらせて前記オイル回収容器に滴下させるように構成してなる
ことを特徴とするオイル分離回収装置。
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