JP3954085B2 - 光電変換素子およびこれを用いた太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子およびこれを用いた太陽電池に関するものである。
化石燃料に代るエネルギー源として太陽光を利用する太陽電池が注目され、種々の研究が行なわれてきた。現在実用化されている太陽電池の主流は単結晶、多結晶、および非晶質(アモルファス)シリコンであるが、これらは材料コストや製造プロセスにおけるエネルギーコストが高く、太陽電池の普及の大きな障害となっている。
一方、新しいタイプの太陽電池として、特許第2664194号公報(特許文献1)、国際公開第WO94/05025号公報(特許文献2)等に、金属錯体の光誘起電子移動を応用した光電変換素子として色素増感太陽電池が開示されている。
これらの色素増感太陽電池は、色素を吸着した多孔性半導体層からなる光電変換層、キャリア輸送層および一対の電極から構成される。多孔性半導体層には、可視光領域に吸収スペクトルを有する増感色素としてビピリジンルテニウム錯体が吸着されている。
これらの電池において、多孔性半導体層と色素とで構成される光電変換層に光を照射すると、色素中の電子が励起され、該電子は外部回路を通って対極に移動する。対極に移動した電子は、キャリア輸送層である電解質中のイオンによって運ばれ、光電変換層にもどる。このような過程が繰返されて電気エネルギーが取り出される。しかしながら、シリコン太陽電池に比べ、色素増感太陽電池は低い光電変換効率に留まっているのが現状である。
そのような中、特開2000−106222号公報(特許文献3)には、多孔性半導体層に粒子サイズ分布の異なる粒子を混合して用い、光電変換効率の向上を目指した技術が開示されている。
また、特開平10−255863号公報(特許文献4)には、2層の酸化チタンの積層により、光電変換効率の向上を目指した技術が開示されている。
また、特開2002−222968号公報(特許文献5)には、粒径を変化させた粒子からなる多孔性半導体層を積層することにより光電変換効率の向上を目指した技術が開示されている。
さらに、特開2003−217689号公報(特許文献6)には、可視光領域でのヘイズ率を制御することにより、光電変換効率の向上を目指した技術が開示されている。
特許第2664194号公報 国際公開第WO94/05025号公報 特開2000−106222号公報 特開平10−255863号公報 特開2002−222968号公報 特開2003−217689号公報
しかしながら、上記特許文献3〜6の方法においては、以下のような問題があった。一般的に、酸化物半導体の粒子を加熱すると、その粒子は温度の上昇とともに成長する。さらに粒子同士が結合し、巨大化することも知られている。すなわち、粒径を制御した粒子を用いて多孔性半導体層を形成しても、その加熱過程において粒子が巨大化するために、その多孔性半導体層の粒径分布やそれに伴う光学特性は一義的には決まらない。
そのため上記特許文献3のように、多孔性半導体層の原料溶液(または懸濁液)中の酸化チタン粒径だけをSEM、X線回折等によって測定し、規定しても、多孔性半導体層の形成後における半導体の粒径分布は該多孔性半導体層の形成条件によって異なるので、必ずしも高い光電変換効率が得られるとは限らない。
また、上記特許文献4においても同様に、単に酸化チタン粒径を規定した原料溶液(または懸濁液)を用いて光反射粒子層を形成しているので、形成後の光反射粒子層中の粒径分布は定まらず、光反射率が一義的に定まらない。そのため、必ずしも高い光電変換効率が得られるとは限らない。
さらに特許文献4では「(懸濁液中の酸化チタンの)粒径を光の散乱が最大になるように、約200〜500nmの範囲で制御した」と述べられ、その粒径は「光の波数Kに対して、1.3×π/K」とも述べられている。この2点から、特許文献4において光電変換効率向上のために用いられる「光」とは、約310〜770nmの可視光領域から、紫外光の一部を含む波長範囲の光であることがわかる。
また、上記特許文献5においては、多孔性半導体層の原料溶液(または懸濁液)に含まれる半導体粒子の粒径を規定し、これにより、可視光領域での多孔性半導体層の散乱性を規定して光電変換効率の向上を目指しているが、上述のように多孔性半導体層の形成条件によって光学特性(ここでは散乱性)は異なり、光電変換効率も作製条件によって変化する。
上記特許文献6では、多孔性半導体層に対して、可視光領域でのヘイズ率の概念を導入している。これは、可視光領域の量子効率向上による変換効率の向上方法として有効であるが、より高い変換効率を目指すことができない。
本発明の発明者らは、高効率な光電変換素子の実現のために多孔性半導体層の特性改善を行なうにあたり、多孔性半導体層の近赤外領域での光学特性に着目し、その半導体の近赤外領域におけるヘイズ率を規定することにより、優れた光電変換効率を有する光電変換素子が得られることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明によれば、
(1)色素を吸着した多孔性半導体層からなる光電変換層、キャリア輸送層および一対の電極から構成された光電変換素子であって、該光電変換層の該多孔性半導体層の、近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下である光電変換素子が提供される。
(2)また、該多孔性半導体層が、近赤外領域におけるヘイズ率が異なる複数の層からなる上記(1)に示す光電変換素子が提供される。
(3)また、該多孔性半導体層が、近赤外領域におけるヘイズ率が光の入射側から順次に増大する多孔性半導体層からなる上記(2)に示す光電変換素子が提供される。
(4)また、該複数の層からなる多孔性半導体層において、光の入射側から最も遠い多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下である上記(3)に記載の光電変換素子が提供される。
(5)また、該多孔性半導体層が3層からなり、光の入射側に最も近い多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が1%以上11%未満であり、光の入射側から最も遠い多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下である上記(4)に記載の光電変換素子が提供される。
(6)また、該多孔性半導体層が4層からなり、光の入射側に最も近い多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が1%以上11%未満であり、光の入射側から最も遠い多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下である上記(4)に記載の光電変換素子が提供される。
(7)また、該多孔性半導体層が酸化チタンを主成分とする酸化物半導体からなる上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光電変換素子が提供される。
(8)また、該ヘイズ率が、780nm〜900nmのいずれかの波長で測定された値である記(1)〜(7)のいずれかに記載の光電変換素子が提供される。
(9)また、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光電変換素子を用いる太陽電池が提供される。
本発明によれば、色素を吸着した多孔性半導体層からなる光電変換層、キャリア輸送層、一対の電極から構成された光電変換素子において、多孔性半導体層のトータルの、近赤外領域におけるヘイズ率を60%以上95%以下とすることにより、光電変換素子の光電変換効率を高めることができる。特に多孔性半導体層が複数の層からなる場合、光の入射側から最も遠い多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率を60%以上95%以下とすることにより、光電変換素子の光電変換効率を高めることができる。
本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、以下の説明は一例に過ぎず、種々の形態での実施が本発明の範囲内で可能である。
図1に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の好ましい光電変換素子および実施例で作製した光電変換素子の構成を示す断面図である。すなわち図1には色素増感型の光電変換素子を示している。図1に示す光電変換素子においては、導電性支持体からなる電極3上に、色素が吸着された多孔性半導体層11からなる光電変換層31が形成されており、導電性支持体からなる電極3と対極側支持体からなる電極7との間にキャリア輸送層4が充填され、側面がスペーサ21および封止材22で封止された構造をとっている。
ここで光電変換層31は、単層または複層の多孔性半導体層11と、これに吸着した色素とから構成されている。本発明における「多孔性半導体層」とは、多数の空孔(すなわち空隙)を含んでいる半導体層を意味する。
以下に、図1の光電変換素子に用いる各部材について説明する。
(導電性支持体)
本発明における電極3として形成される導電性支持体は、ガラス板やプラスチックシート等の透明基板からなる支持体1上に、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電層を導電層2として設けることによって形成されることができる。
(ヘイズ率)
本発明における多孔性半導体層は、近赤外領域において所定のヘイズ率を持つことを特徴とする。そこで、まずヘイズ率について説明する。一般的に、ヘイズ率とは、可視光領域および/または近赤外領域にスペクトルを有する光線(例えば、標準光源D65や標準光源C)を測定サンプルに入射した際の拡散透過率を、全光線透過率で割った値であり、0〜1の間の値もしくは0〜100%の百分率で表示される。
本発明において、多孔性半導体層11の層数、層厚等の条件にかかわらず、多孔性半導体層11全体のヘイズ率(以下、これを「トータルのヘイズ率」という)を測定する場合、光電変換素子における光の入射光側、すなわち導電性支持体からなる電極3側から光を入射したときの全光線透過率および拡散透過率を測定すればよい。この測定は、光源と光量測定部とを有する装置(例えば、測定試料に密着した積分球を備えるとともに該積分球の測定試料と反対側にライトトラップ(暗箱)もしくは標準板を備えた装置)があれば簡単に測定することができる。すなわち、標準板をセットした状態において、試料が無い場合の入射光線の光量T1、試料が有る場合の全光線透過光の光量T2を測定し、ライトトラップをセットした状態において、試料が無い場合の装置からの拡散光の光量T3、試料が有る場合の拡散透過光の光量T4を測定し、全光線透過率Tt=T2/T1、拡散透過率Td=[T4−T3(T2/T1)]/T1を計算することで、ヘイズ率H=Td/Ttが得られる。
一般的に、色素増感太陽電池の分光感度は色素のスペクトルに依存する。例えば、色素としてBlackDye(Solaronix社製、ルテニウム620−1H3TBA、トリス(イソチオシアネート)−ルテニウム(II)−2,2’:6’,2”−ターピリジン−4,4’,4”−トリカルボキシルアシッド トリス−テトラブチルアンモニウム塩)を用いる場合、600nm近辺の波長領域において最も高い量子効率を有するが、それ以上の波長領域では波長が長くなるにつれ量子効率が低下する。上記特許文献6では、可視光領域のヘイズ率を向上させることにより700nmまでの波長領域における量子効率を向上できることを示し、色素増感太陽電池の変換効率を向上させている。
しかし、より高い変換効率を得るには、さらに長波長領域の量子効率を向上させることが重要であると考えられる。
すなわち、色素増感太陽電池において、入射された長波長領域の光子の一部は光電変換層31で十分に吸収されずに透過してしまうため、近赤外領域における量子効率は低く、色素増感太陽電池の光電変換効率が未だ低い原因となっている。本発明者らは、この近赤外領域における透過光を光電変換層31内部に閉じ込める点で、近赤外領域に高いヘイズ率を有する多孔性半導体層11を用いることが有効であることを見出した。
本発明において、「可視光領域」は、380nm〜780nm、「近赤外領域」は、780nm〜1200nmと定義する。また本発明で規定する近赤外領域におけるヘイズ率とは、上記で定義された近赤外領域のいずれかの波長におけるヘイズ率を意味する。
本発明において、多孔性半導体層のトータルの、近赤外領域におけるヘイズ率は60%以上とされる。該ヘイズ率が60%以上であれば光電変換層31への光閉じ込め効果が十分に得られ、十分に高い光電変換効率を与える光電変換素子を得ることができる。該ヘイズ率は、より好ましくは70%以上である。一方、多孔性半導体層のトータルの、近赤外領域におけるヘイズ率は95%以下とされる。該ヘイズ率が95%以下であれば色素吸着量を十分に確保できる。また、近赤外領域の中でも、780nm〜900nmの波長領域のいずれかの波長における多孔性半導体層のトータルのヘイズ率が60%以上、さらに70%以上、また95%以下であることがより好ましい。
AM1.5の太陽光スペクトルは可視光領域から900nmまでの放射エネルギー強度が高いため、本発明において制御される、近赤外領域における多孔性半導体層のヘイズ率の値は、特に780nm〜900nmの波長領域のいずれかの波長におけるヘイズ率の値であることが好ましい。
図2は、光電変換層が3層からなる光電変換素子の構成を示す断面図である。図2は、多孔性半導体層11からなる光電変換層31として、3層の多孔性半導体層11a,11b,11cからなる光電変換層31が構成される場合について示している。本発明においては、均一なヘイズ率を有する1つの層から構成された多孔性半導体層11が用いられても良いが、例えば図2に示す多孔性半導体層11a,11b,11cのような、異なるヘイズ率を有する複数の層から構成された多孔性半導体層11の方が、光閉じ込め効果が高く、より高い光電変換効率を有する点で好ましい。
また、例えば多孔性半導体層11a,11b,11cのように、異なるヘイズ率を有する複数の層から構成された多孔性半導体層11を設ける場合、光の入射側から順次に近赤外領域におけるヘイズ率が増大する多孔性半導体層11が好ましい。この理由を以下に述べる。
一般的に、ヘイズ率が小さい多孔性半導体層は、色素吸着量は大きいが光閉じ込め効果は小さい。一方、ヘイズ率の大きい多孔性半導体層には、大きな粒子や大きな空孔が存在することが多いため、色素吸着量は少ないが光閉じ込め効果は大きい。そのため、ヘイズ率の小さい多孔性半導体層を、例えば図2の多孔性半導体層11aのように光入射側に配置し、光照射側から遠い位置に、ヘイズ率の大きい多孔性半導体層を例えば多孔性半導体層11cのように配置することにより、ヘイズ率の大きな層で散乱・反射された光をヘイズ率の小さな層に吸着した多数の色素に再吸収させることが可能になる。その結果、光閉じ込め効果が向上し、高い光電変換効率を得ることが可能となる。従って、光閉じ込め効果の一層の向上のためには、特に光の入射側から最も遠い多孔性半導体層(例えば図2においては多孔性半導体層11c)のヘイズ率を高くすることが重要である。光の入射側から最も遠い多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率は60%以上95%以下であることが好ましい。より好ましい該ヘイズ率は、70%以上95%以下である。
本発明において、多孔性半導体層11が複数の層からなる場合、該多孔性半導体層11の層数としては2層以上が好ましく、より好ましくは3層以上で、3層と4層とは特に好ましい。なお5層以上の多層構造により、さらに光電変換効率を向上することが可能である。ただし、多層構造の場合製造コストも増大するので、光電変換効率の向上率と素子製造コストとを比較しつつ層数を適宜決定すればよい。図3は、光電変換層が4層からなる光電変換素子の構成を示す断面図であり、図4は、光電変換層が5層からなる光電変換素子の構成を示す断面図である。図3は、4層の多孔性半導体層11a,11b,11c,11dからなる光電変換層31が構成される場合について示しており、図4は、5層の多孔性半導体層11a,11b,11c,11d,11eからなる光電変換層31が構成される場合について示している。
本発明においては、特に複数の層からなる多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が光入射面側から順次増加していくことが好ましい。例えば、多孔性半導体層11の層数が3層または4層の場合、近赤外領域におけるヘイズ率が、光の入射側に最も近い多孔性半導体層において、1%以上11%未満、入射側に最も近い多孔性半導体層と入射側から最も遠い多孔性半導体層との間の中間層のヘイズ率が、入射側からの距離に伴って順次増加して、入射側から最も遠い多孔性半導体層のヘイズ率が、60%以上95%以下であることが好ましい。より具体的に示すと、例えば、多孔性半導体層11の層数が3層の場合、近赤外領域におけるヘイズ率が光の入射側に近い層から順次に第1層は1%以上11%未満、第2層は2%以上70%未満、第3層は3%以上95%以下であり、かつ多孔性半導体層11のトータルでのヘイズ率が60%以上95%以下であることが好ましい。またヘイズ率が、第1層において1%以上11%未満、第2層において11%以上70%未満、第3層において70%以上95%以下であることが好ましい。
以下、本発明における多孔性半導体層11のヘイズ率の評価方法を述べる。多孔性半導体層のヘイズ率は、該多孔性半導体層11に対して垂直方向から光を入射させる方法、または水平方向から光を入射させる方法によって測定することができる。
多孔性半導体層11が複数の層からなる場合には、まず複数の層の多孔性半導体層11に対して垂直方向から光を入射して、トータルのヘイズ率を測定し、次に、1層ずつ削って各層のヘイズ率を測定すればよい。例えば、光の入射側から順にヘイズ率が大きくなっている場合の多孔性半導体層11が図2に示すように3層である場合を考える。
まず、多孔性半導体層11a,11b,11cの3層でのトータルのヘイズ率を測定する。次に、3層目の多孔性半導体層11cを削ることにより、導電性支持体からなる電極3上に1層目(すなわち多孔性半導体層11a)と2層目(すなわち多孔性半導体層11b)とが残存し、2層からなる多孔性半導体層のトータルのヘイズ率を測定できる。このとき、多孔性半導体層11a、多孔性半導体層11bおよび多孔性半導体層11cの3層でのトータルのヘイズ率を3層目の多孔性半導体層11cのヘイズ率と見なすことができる。さらに、2層目の多孔性半導体層11bを削ることにより、導電性支持体上に1層目(すなわち多孔性半導体層11a)が残存するので、そのヘイズ率を測定できる。このとき、多孔性半導体層11aおよび多孔性半導体層11bの2層でのトータルのヘイズ率を2層目の多孔性半導体層11bのヘイズ率と見なすことができる。多孔性半導体層を削る方法としては、種々の方法を用いることができ、特に限定されないが、例えばサンドペーパー、耐水ペーパー、水やすり、布やすりに代表されるやすりを用いることや、研磨機や各種グラインダー等を用いることができる。この場合、あらかじめ各層の層厚をSEMまたは光学顕微鏡等によって確認しておくことが好ましい。
多孔性半導体層に対して垂直方向から光を入射させてヘイズ率を測定する方法について、以下でより具体的に説明する。
導電性支持体からなる電極3上に形成した複数の層からなる多孔性半導体層11(ここでは3層の場合を考える)に対して垂直方向から入射光を当てることにより、トータルのヘイズ率を測定することができる。この場合、SEMを用いて断面から膜厚を測定しておくことが望ましい。
次に、研磨機で、光の入射側から最も遠い層、すなわち図2に示すような3層構造の場合では多孔性半導体層11c、を削ることができる。その後、SEMを用いて断面から膜厚を測定し、多孔性半導体層11a,11bが形成されていることを確認しておくことができる。
残った多孔性半導体層11a,11bの2層からなる多孔性半導体層のヘイズ率を、該多孔性半導体層に対して垂直方向から入射光を当てて測定することができる。次に、研磨機で多孔性半導体層11bを削ることができる。その後、SEMを用いて断面から膜厚を測定し、多孔性半導体層11aが形成されていることを確認しておくことができる。残った多孔性半導体層11aのヘイズ率を、該多孔性半導体層11aに対して垂直方向から入射光を当てて測定することができる。
また、多孔性半導体層11が複数の層の場合における各層のヘイズ率の、より正確な評価方法として、導電性支持体からなる電極3上に形成した複数の層からなる多孔性半導体層11を、その半導体面と垂直の方向、すなわち層厚方向に切断して、各層の水平方向から光を入射して測定することも可能である。その際の切片(すなわち断面方向)の厚さは、あらかじめSEMや光学顕微鏡等によって確認した、各層の層厚とすればよい。
多孔性半導体層に対して水平方向(すなわち切断面に垂直な方向)から光を入射させてヘイズ率を測定する方法について、以下でより具体的に説明する。
導電性支持体からなる電極3上に形成した複数の層からなる多孔性半導体層11を、マイクロカッターを用いて半導体面の垂直方向に適当な大きさに切断して測定サンプルとする。このとき、切断した2つのサンプルを、測定対象となる多孔性半導体層が向き合うように配置し、エポキシ樹脂等を用いて貼り合わせて2サンプルを同時に作製してもよい。その後、ディスクグラインダーやディンプルグラインダーを用いる方法や、レーザスクライブ装置を用いる方法により、適宜薄膜化してもよい。このように切断し、サンプルとした多孔性半導体層11の各層に、切断面に垂直な方向から光を入射させることで各層のヘイズ率を測定できる。このとき、ヘイズ率測定用の光は、集光装置等を用いて多孔性半導体層11の各層ごとに照射させるとよい。
サンプルに密着した積分球にも、測定する層の層厚と同じか、該層厚より狭い幅のスリット、もしくはスリット幅を変えることができる可動式のスリット等を設置しておくことが好ましい。なお、近赤外領域に発光スペクトルを持つ光源としては、例えばキセノン(Xe)ランプ、水銀キセノンランプ、ハロゲン・タングステンランプ等の光源、近赤外線レーザ等を挙げることができる。
図5および図6は、ヘイズ率の測定に用いるサンプルの作製について説明する概略断面図である。なお図6には、多孔性半導体層が3層からなる場合について示している。以下、多孔性半導体層が3層である場合を例に、多孔性半導体層に対して水平方向から光を入射させてヘイズ率を測定する具体的な方法について説明する。
導電性支持体からなる電極3上に形成した複数の層からなる多孔性半導体層(ここでは3層からなる多孔性半導体層)を、マイクロカッターを用いて、図5に示すような適当な間隔を有する2つの切断面(すなわち切断面41,42)で切断して、図6に示すようなサンプルを作製する。このサンプルの切断面間の長さが100μm程度になるまで、研磨機を用いて削る。さらに、切断面間の長さが10μm程度になるまで研磨機を用いて削り、測定サンプル53を作製する。
図7は、ヘイズ率の測定に用いる測定系について説明する概略図である。各層のヘイズ率を測定するためには、たとえば、図7に示すような測定系を用いることができる。検出器54としては、光電子増倍管を付随させた積分球を用いることができる。入射光としては、光源51からの光線61を波長選択装置52で分光した入射光62を用いることができる。測定波長は近赤外領域の波長とされることができ、好適には800nmとされる。
波長選択装置52の先にスリット56を設けることにより適宜入射光を調整することができる。スリット56を通過した光は測定サンプル53に入射する。全光線透過率は、反射板55を積分球に設置することで、平行透過光63と拡散透過光64とからなる全光線透過光65の測定により算出できる。また拡散透過率は、反射板55を取り除き、平行透過光63を逃がすことで、拡散透過光64のみを測定することで算出できる。
スリット56の開口部とサンプルの切断面41の測定したい層との位置を合わせることで、多孔性半導体層11a,11b,11cの各層の全光線透過率および拡散透過率をそれぞれ測定することができる。これらの測定により、多孔性半導体層11a,11b,11cの各層のヘイズ率を、各層に対して水平方向から求めることができる。また、この測定系は、複数の層からなる多孔性半導体層11に対して垂直方向から入射光を当てることによるヘイズ率の測定にも用いることができる。
ヘイズ率測定に用いるサンプルの断面方向の厚さは測定対象である多孔性半導体層の層厚(SEM等であらかじめ確認しておけばよい)に合わせれば良い。
一方、測定対象の層厚が薄く(例えば5μm以下)サンプルの薄膜化が難しい場合、適当な厚み(例えば10μm)のサンプルとし、得られた値を層厚換算して測定対象である多孔性半導体層のヘイズ率と見なせばよい。層厚換算方法の一例を以下に挙げる。
導電性支持体からなる電極3上に多孔性半導体層11aを作製し、該多孔性半導体層11aの層厚とトータルのヘイズ率とを測定する。次に、多孔性半導体層11a上に、同一の作製条件(すなわち、懸濁液の種類、塗布条件、焼成条件等を同じにする)による多孔性半導体層11bを形成し、多孔性半導体層11aおよび多孔性半導体層11bを合わせた層厚と2層でのトータルのヘイズ率を測定する。以後、これを多孔性半導体層11の層数に応じた適当な回数繰り返すことにより、ある作製条件における多孔性半導体層11の層厚それぞれに対するヘイズ率を得る。これをグラフにプロットすることで、層厚とヘイズ率との関係式を導くことができる。この関係式により層厚換算を行なうことができる(以下、これを「プロット法」と呼ぶ)。
上記のような方法で層厚換算することが困難な場合、すなわち、多孔性半導体層11の層数に応じた適当な回数を繰り返すことにより、ある作製条件における多孔性半導体層11の層厚それぞれに対応するヘイズ率を測定することが困難で層厚換算することができない場合には、以下のような方法によっても層厚換算を行なうことができる。測定対象である複数の層からなる多孔性半導体層11に対し、作製した測定サンプル53の切断面間の長さを変えたサンプルを数個(たとえば2,3個)作製する。その切断面間の長さは、SEM等による膜厚測定で評価できる。切断面間の長さを変えることにより、切断面間の長さそれぞれに対する水平方向からの各層のヘイズ率を測定する。得られたヘイズ率と切断面間の長さとをグラフにプロットすることで、関係式を導くことができる。この関係式により、層厚換算を行なうことができる。
また、本発明におけるヘイズ率測定の形態としては、導電性支持体からなる電極3上に多孔性半導体層11を形成した状態のまま測定する方法、導電性支持体からなる電極3から多孔性半導体層11を剥がして測定する方法、導電性支持体からなる電極3上に多孔性半導体層11を形成し、他の支持体により多孔性半導体層11を挟み込んで測定する方法等が挙げられる。ただし、導電性支持体からなる電極3から多孔性半導体層11を剥がし取ることの困難さや、他の支持体を用いることによる測定への影響を鑑み、導電性支持体からなる電極3上に多孔性半導体層11を形成した状態のままで測定することが好ましい。
さらに、多孔質半導体層11のヘイズ率を正確に測定するためには、多孔性半導体層11に吸着した色素を脱離してから測定することが好ましい。色素を脱離する方法としては、アルカリ性の水溶液中に試料(すなわち導電性支持体からなる電極3上に形成された光電変換層31)を浸漬させる方法や、上記水溶液を上記試料に滴下する方法等が挙げられる。アルカリ性の水溶液としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が好ましく、取り扱いが比較的容易な水酸化ナトリウム水溶液がより好ましい。アルカリ性の水溶液の濃度としては、ペーハー(pH)が大きいものであれば特に限定されないが、好ましくは、pH10〜14がよい。
(多孔性半導体層)
本発明において、近赤外領域における所定のヘイズ率を持つ多孔性半導体層を得るための主な方法としては、その構成材料である半導体粒子(典型的には金属酸化物粒子)の粒径、該半導体粒子を含有する懸濁液を作製する際の分散条件、懸濁液の塗布条件・乾燥条件・焼成条件(すなわち温度と時間)および、懸濁液に加える添加剤や増粘剤の種類(たとえば分子量)や添加量等を規定することを挙げることができる。
半導体粒子の粒径は、例えば水熱法におけるオートクレーブの温度と時間とを変化させることにより制御できる。また、異なる粒径を持つ半導体粒子を混合し、混合割合を変化させることで平均粒径を変化させても良い。
また、半導体粒子を含有する懸濁液を作製する際の分散条件としては、その懸濁液を作製する際に使用する、ボールミル法、ペイントシェーカー法、超音波法等の使用時間、または分散用のビーズの直径や材質等を挙げることができる。
懸濁液の塗布条件としては、たとえばドクターブレード法、スピンコート法、スクリーン印刷法等を行なう塗布装置の選択、たとえばドクターブレード法における塗布速度、スピンコート法における回転速度、スクリーン印刷におけるスクリーン厚等の設定、および使用する懸濁液に含まれる添加剤や溶媒の種類および量、懸濁液の粘度等の該懸濁液の特性、等を挙げることができる。
懸濁液の乾燥条件としては乾燥温度、乾燥時間等を挙げることができる。懸濁液の焼成条件としては焼成温度、焼成時間、焼成時の雰囲気ガスの種類や流速等を挙げることができる。
ここで本発明者らは、懸濁液中の半導体粒子の粒径等、上記条件の一つだけを規定しても、作製後の多孔性半導体層のヘイズ率は一義的には決定されず、各種条件を総合的に規定することで、近赤外領域における所定のヘイズ率を持つ多孔性半導体層11が得られることを見出した。
なお、多孔性半導体層を構成する材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム等公知の半導体の1種または2種以上を用いることができる。なかでも、光電変換効率、安定性、安全性の点から酸化チタンまたは酸化亜鉛を主成分とすることが好ましい。
多孔性半導体層11を導電性支持体からなる電極3上に形成する方法としては、種々の公知の方法を使用することができる。具体的には、導電性支持体からなる電極3上に半導体粒子を含有する懸濁液を塗布し、乾燥および焼成して多孔性半導体層11を形成する方法、導電性支持体からなる電極3上に、所望の原料ガスを用いたCVD法またはMOCVD法等により多孔性半導体層11を形成する方法、あるいは原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリング法またはゾル−ゲル法等により多孔性半導体層11を形成する方法等が挙げられる。なお、これらの多孔性半導体層11の層厚は、特に限定されるものではないが、光の透過性、光電変換効率等の観点より、0.5〜50μm程度が好ましい。
複数の層からなる多孔性半導体層11を形成する場合、たとえば図2に示す構造を例に説明すると、上記の方法のうち、導電性支持体からなる電極3上に半導体粒子を含有する懸濁液を塗布し、乾燥および焼成して第1層である多孔性半導体層11aを形成し、さらに懸濁液の塗布、乾燥、焼成を繰り返すことで第2層以後の多孔性半導体層11b,多孔性半導体層11cを順次形成する方法が低コスト化のために好ましい。
半導体粒子の作製方法としては、燃焼法、沈降法、水熱法等が挙げられる。その中でも、水熱法は純度の高い金属アルコキシド原料を用いることにより、高純度の粒子が得られるため好ましい方法である。
上記半導体粒子をボールミル法、ペイントシェーカー法、超音波法等で水または有機溶媒に分散して懸濁液を作製することができる。
上述の懸濁液に使用される溶媒として、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグライム系溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、テルピネオール等のアルコール系溶媒、イソプロピルアルコール/トルエン等の混合溶媒、水等が挙げられる。また、使用する前にこれらの溶媒を蒸留等の方法で精製することが好ましい。
懸濁液の安定性を向上するために添加する界面活性剤としては、多孔性半導体層11を形成する際の焼成過程で分解可能な有機系の界面活性剤を用いればよい。この場合、金属イオンを含有しないものが好ましい。金属イオンを含有しない界面活性剤として、非イオン性界面活性剤、脂肪酸アンモニウム塩等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、アルキルフェニルエーテル等のエーテル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等のエステル型、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型界面活性剤が挙げられる。また、懸濁液の粘度等を制御するため、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチルセルロース等のポリマーを添加することができる。これらのポリマーの分子量としては、10,000〜300,000が好ましい。
このようにして作製した懸濁液を、ドクターブレード法、スピンコート法、スクリーン印刷法等により導電性支持体からなる電極3上に塗布、乾燥、焼成して多孔性半導体層11を形成する。また、塗布、乾燥、焼成の工程を繰り返すことにより複数の層からなる多孔性半導体層11を形成できる。
塗布した懸濁液の乾燥および焼成においては、懸濁液中の半導体粒子や導電性支持体の種類により、温度、時間、雰囲気等を適宜調整できる。例えば、大気下または不活性ガス雰囲気下、50〜600℃の範囲内で10秒〜12時間加熱する。この乾燥および焼成は、単一の温度で1回または2回以上行なっても良いし、温度を変化させて2回以上行なってもよい。
(色素)
本発明において用いられる色素としては、少なくとも太陽光スペクトルの波長領域(すなわち200nm〜10μm)に吸収スペクトルを有し、光による励起電子を多孔性半導体層11へ放出するものであれば、特に限定されない。
例えば、N719[シス−ジ(イソチオシアネート)−N,N’−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシリックアシッド)ルテニウム(II)]やBlack Dye[トリス(イソチオシアネート−ルテニウム(II)−2,2’:6’,2”−ターピリジン−4,4,4”−トリカルボキシリックアシッド,トリス−テトラブチルアンモニウム塩]等のルテニウム系金属錯体、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポリフィリン系色素、ペリレン系色素、フタロシアニン系色素、クマリン系色素、インジゴ系色素等の有機系色素が好適に用いられる。
本発明において、多孔性半導体層11に色素を吸着させる方法としては、特に限定されず、公知の方法が挙げられる。例えば、上記の色素を有機溶剤に溶解して色素溶液を調製し、得られた色素溶液に導電性支持体上の多孔性半導体層11を浸漬する方法、および得られた色素溶液を多孔性半導体層11の表面に塗布する方法が挙げられる。なお、色素の吸着に先立って、加熱処理等、多孔性半導体層11の表面を活性化するための処理を必要に応じて行なってもよい。
色素を溶解させる溶媒としては、色素を溶解するものであればよく、具体的には、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等の窒素化合物類、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。また、これらの溶媒は、公知の方法に従って精製された溶媒であることが好ましく、溶媒の使用に先立って蒸留および/または乾燥を行ない、より純度を高めてもよい。色素溶液中の色素の濃度は、使用する色素、溶媒の種類、色素吸着工程により適宜調整でき、例えば、1×10-5モル/リットル以上、好ましくは5×10-5〜1×10-2モル/リットル程度が挙げられる。
多孔性半導体層11を色素溶液へ浸漬する吸着方法では、多孔性半導体層11を収容することができる適当な容器に色素溶液を充填し、その溶液に多孔性半導体層の全体を漬けるか、または多孔性半導体層の所望の部分のみを漬けて、所定の時間保持することが適当である。この際の条件は、使用する色素、溶媒の種類、溶液の濃度等に応じて適宜調整することができる。例えば、雰囲気および溶液の温度は室温、圧力は大気圧下であることが適当であるが、これらは適宜変動させてもよい。浸漬時間としては、例えば5分〜100時間程度が挙げられる。浸漬は、1回でもよいし、複数回行なってもよい。
このような多孔性半導体層11に吸着された色素は、光エネルギーを吸収して励起電子を生成し、この電子を多孔性半導体層11に送る光増感剤として機能する。すなわち、多孔性半導体層11に色素を吸着することで光電変換層31を形成できる。
(キャリア輸送層)
キャリア輸送層は、電子、ホール、イオンを輸送できる材料、たとえば導電性材料から構成される。具体的には、ポリビニルカルバゾール、トリフェニルアミン等のホール輸送材料;テトラニトロフロレノン等の電子輸送材料;ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性ポリマー;液体電解質、高分子電解質等のイオン導電体;ヨウ化銅、チオシアン酸銅等の無機P型半導体等が挙げられる。
上記の材料の中でもイオン導電体が好ましく、酸化還元性電解質を含む液体電解質が特に好ましい。このような酸化還元性電解質としては、一般に、電池や太陽電池等において使用することができるものであれば特に限定されない。具体的には、I-/I3 -系、Br2 -/Br3 -系、Fe2+/Fe3+系、キノン/ハイドロキノン系等の酸化還元種を含有させたものを挙げることができる。例えば、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化カルシウム(CaI2)等の金属ヨウ化物とヨウ素(I2)との組み合わせ、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)、テトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)等のテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素との組み合わせ、および臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭化カルシウム(CaBr2)等の金属臭化物と臭素との組み合わせが好ましく、これらの中でも、LiIとI2との組み合わせが特に好ましい。
また、キャリア輸送層において、液体電解質の溶剤としては、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物、エタノール等のアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質等が挙げられるが、これらの中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が特に好ましい。また、これらの溶剤は2種類以上を混合して用いることもできる。
液体電解質への添加剤として、従来から用いられているt−ブチルピリジン(TBP)等の含窒素芳香族化合物、あるいはジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾ
ールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)、ヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)等のイミダゾール塩等を用いても良い。
また、液体電解質中の電解質濃度は、0.01〜1.5モル/リットルの範囲が好ましく、0.1〜0.7モル/リットルの範囲が特に好ましい。
次に、高分子電解質としては、酸化還元種を溶解させることができるか、あるいは酸化還元種を構成する少なくとも1つの物質と結合することができる固体状の物質が挙げられる。具体的には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンサクシネート、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィド等の高分子化合物またはそれらの架橋体、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルキレンオキサイド等の高分子官能基に、ポリエーテルセグメントまたはオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として付加したものまたはそれらの共重合体等が挙げられ、その中でも特にオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として有するものやポリエーテルセグメントを側鎖として有するものが好ましい。
固体状の物質中に酸化還元種を含有させるには、例えば、高分子化合物の原料となるモノマーを酸化還元種との共存下で重合する方法、高分子化合物等の固体を必要に応じて溶媒に溶解し、次いで上記の酸化還元種を加える方法等を用いることができる。酸化還元種の含有量は、必要とするイオン伝導性能に応じて、適宜選定することができる。
(スペーサ)
光電変換層31と対極側支持体からなる電極7との接触を防止するために、必要に応じてスペーサ21を用いてもよい。スペーサ21としては一般にポリエチレン等の高分子フイルムが用いられている。該高分子フイルムの膜厚は10〜50μm程度が適当である。
(封止材)
本発明の光電変換素子は封止材をさらに備えても良い。封止材22としては、キャリア輸送層4が漏れ出さないように光電変換素子をシールできるものであれば特に制限されない。具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が用いられる。なお、スペーサ21が封止材22を兼ねていても良い。ただし、キャリア輸送層4として固体材料を用いる等、キャリア輸送層4の流出の心配がない場合には、封止材22は必ずしも必要ではない。
(対極側支持体)
電極7は対極側支持体として形成され、光電変換層31が形成されている導電性支持体からなる電極3とともに一対の電極を構成する。電極7としては、基板5に導電層6を形成したものが広く用いられている。この導電層6は、透明でもよいし不透明であってもよい。導電層6としては、例えば、金、白金、銀、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン等の金属;ITO、SnO2、ZnO等の透明導電材料からなる膜が挙げられる。導電層6は、公知の方法によって形成されることができ、その膜厚は0.1〜5μm程度が適当である。なお、導電層6の表面には、キャリア輸送層4との電荷移動を促進するため、白金等の触媒膜を形成することが好ましい。この場合の触媒膜の膜厚は、1〜1000nm程度であることができる。また、この触媒膜が導電層6を兼ねていてもよい。
以上の構成により光電変換素子が提供される。さらに本発明の光電変換素子を外部回路と接続し、外部に電力を供給可能な構成とすることで、本発明の光電変換素子を用いた色素増感太陽電池が提供される。
本発明を以下の実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。ただし以下の説明は一つの例にすぎず、種々の変更が可能であり、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
本実施例においてはまず、同一粒径かつ同一濃度の酸化チタン粒子懸濁液を用い、懸濁液の作製工程における分散時間ならびに焼成条件を変えることにより、ヘイズ率の異なる多孔性半導体層11をそれぞれ単層で形成した。
酸化チタン粒子懸濁液は、テルピネオール中に、酸化チタン粒子(テイカ株式会社製、製品名:AMT−600、粒径約30nm)を添加し、ジルコニアビーズ(直径2mm)を溶液40mlに対して100g投入してペイントシェーカーで分散させた。ペイントシェーカーでの分散時間は、30分、2時間、4時間、6時間、24時間とした。これらの分散を経た溶液をろ過してジルコニアビーズを取り除き、ろ過液を、酸化チタンが15wt%の濃度になるまでエバポレーターにて濃縮した後、この溶液の2倍のエタノールを加え、5000rpmにて遠心分離を行なった。この工程により作製した酸化チタン粒子をエタノールで洗浄した後、エチルセルロースとテルピネオールとを無水エタノール中に溶解させた溶液を加え、攪拌することにより、酸化チタン粒子を溶液中に分散した。40mbarの減圧下、50℃にて溶液中のエタノールを蒸発させて懸濁液を作製した。濃度調整により、懸濁液の最終的な組成が、酸化チタン濃度10wt%、エチルセルロース濃度10wt%、テルピネオール濃度64wt%となるようにした。
分散時間が30分の懸濁液を懸濁液A、2時間の懸濁液を懸濁液B、4時間の懸濁液を懸濁液C、6時間の懸濁液を懸濁液D、24時間の懸濁液を懸濁液Eとした。これら懸濁液A〜Eを各々導電性支持体からなる電極3上に塗布し、焼成することで、層厚5μmの単層の多孔性半導体層11を形成した。
導電性支持体としては、透明導電膜であるSnO2膜が形成されたガラス板(日本板硝子社製)を用いた。そのシート抵抗値は10Ω/□であった。
塗布方法としてはスクリーン印刷法を用い、焼成条件は表1の〔1〕〜〔9〕に示すように、焼成炉に導入するガスの条件を3通り(酸素5ml/min、窒素5ml/min、および酸素1ml/minと窒素4ml/minとの混合ガス)、焼成温度を3通り(450℃、480℃、500℃)に変えた、計9通りとした。焼成時間は全て1時間とした。
Figure 0003954085
<層厚換算ヘイズ率の評価>
上記5種類の懸濁液A〜Eを用い、上記9通りの焼成条件(〔1〕〜〔9〕)で焼成した45種類の多孔性半導体層11の、波長800nmにおけるヘイズ率を、上記の各層に対し水平方向から光を入射させて測定する方法により測定した。ヘイズ率の測定には、検出器として暗箱の中に入れた積分球(Labsphere社製GPSシリーズ4ポート)を用い、測定波長はXeランプ(浜松ホトニクス製、L2195)からの光を分光器(分光計器製、M50型)で分光した800nmとした。
ヘイズ率の測定用サンプルは、上記45種類の多孔性半導体層11を、それぞれ半導体に対する垂直面で切断し、10μm厚にしたものである。ここで、導電性支持体および多孔性半導体層11の切断にはマイクロカッター(マルトー社製、MC−201)を用い、所定の幅に切断した上で回転研磨機(マルトー社製、ダイヤラップ)、およびディンプルグラインダー(Gatan社:Model656)を用いて10μm厚になるまで研磨した。
測定サンプル厚が10μmなので、測定値を多孔性半導体層の層厚と同じ5μmに層厚換算して多孔性半導体層11のヘイズ率とした。層厚換算は上記プロット法による。本実施例においては、ヘイズ率が3〜82%の範囲で変化した多孔性半導体層11を形成できた。層厚換算の結果を表2に、切断面間の長さを10μmとした測定サンプルのヘイズ率の結果を表3に、それぞれ示す。
以下に、懸濁液Aから焼成条件[1]を用いて作製した多孔性半導体層11の場合を例に挙げてより詳しく説明する。懸濁液Aから、焼成条件[1]を用いてスクリーン印刷法により、多孔性半導体層11aを作製した。多孔性半導体層11aの膜厚は5μmであった。続いて、多孔性半導体層11a上に、懸濁液Aから、焼成条件[1]を用いてスクリーン印刷法により、多孔性半導体層11bを作製した。多孔性半導体層11の層厚(すなわち多孔性半導体層11aと多孔性半導体層11bとの層厚の和)は10μmであった。このときのヘイズ率を、多孔性半導体層に対して垂直方向から入射光を当てることにより測定したところ、82%であった。
続いて、多孔性半導体層11b上に、懸濁液Aから、焼成条件[1]を用いてスクリーン印刷法により、多孔性半導体層11cを作製した。多孔性半導体層11の層厚(すなわち、多孔性半導体層11aと多孔性半導体層11bと多孔性半導体層11cとの層厚の和)は15μmであった。このときのヘイズ率を、多孔性半導体層に対して垂直方向から入射光を当てることにより測定したところ、83%であった。
この場合、横軸Xに多孔性半導体層の層厚(μm)を、縦軸Yにヘイズ率(%)をプロットすると、最小二乗近似により、Y=(1/5)X+80、の近似式が得られ、この式より、懸濁液Aと焼成条件[1]とを用いて多孔性半導体層11aを5μmの層厚で作製したときのトータルのヘイズ率は、81%と求まった。実際、多孔性半導体層11aを作製した後に、多孔性半導体層に対して垂直方向から入射光を当てることによりヘイズ率を測定したところ、ヘイズ率は81%であった。
Figure 0003954085
Figure 0003954085
後述する各実施例および各比較例で作製された多孔性半導体層11について、上記の方法で算出した層厚換算ヘイズ率を表4に示す。
Figure 0003954085
また、後述する各実施例および各比較例で作製された多孔性半導体層11に対して水平方向から光を入射させる方法、および多孔性半導体層11に対して垂直方向から光を入射させる方法によって、下記の手順で別途ヘイズ率を測定した。
<ヘイズ率の測定方法>
(多孔性半導体層に対して水平方向から光を入射させる方法による測定)
まず、多孔性半導体層11が多孔性半導体層11a,11b,11cの3層からなる場合について説明する。
導電性支持体からなる電極3上に形成した多孔性半導体層11(ここでは3層の場合となる)を、マイクロカッター(マルトー社製、MC−201)を用いて、図5に示すような、半導体面に垂直方向の間隔300μmの切断面(すなわち切断面41,42)で切断して、図6に示すようなサンプルを作製した。このサンプルの切断面を、ディスクグラインダー(Gatan社:model623)を用いて、切断面間の長さが100μm程度になるまで削った。また、ディンプルグラインダー(Gatan社:model656)を用いて、切断面間の長さが10μmになるまで切断面41をさらに削った。これを測定サンプル53とした。
図7に示すような測定系を用い、半導体層に対して水平方向(すなわち切断面に垂直な方向)から光を入射させることで各層のヘイズ率を測定した。検出器54として、光電子増倍管(浜松ホトニクス製、R928)を付随させた積分球(Labsphere社製GPSシリーズ4ポート)を用いた。測定波長は、光源51(Xeランプ(浜松ホトニクス製、L2195))からの光を波長選択装置52(分光器(分光計器製、M50型))で分光した800nmとした。また、スリット56(Newport製、M−FS30−R)を設けた。
スリット56で照射領域を3μm幅に狭めた光を測定サンプル53に入射させた。全光線透過率は、反射板55(Labsphere社製、スペクトラロン標準反射)を積分球に設置しておくことで測定した。拡散透過率としては、反射板55を取り除き、平行透過光63を逃がすことで、拡散透過光64のみを測定した。スリット56の開口部の位置と測定サンプル53の切断面41の測定したい層の位置とを合わせることで、多孔性半導体層11a,11b,11cの各層のヘイズ率を求めた。結果を表5に示す。
(多孔性半導体層に対して垂直方向に光を入射させる方法による測定)
後述する実施例7,12,14,17,22について、下記の方法で多孔性半導体層に対して垂直方向に光を入射させてヘイズ率の測定を行なった。
まず、多孔性半導体層11が多孔性半導体層11a,11b,11cの3層からなる場合について説明する。
導電性支持体からなる電極3上に形成した複数の層からなる多孔性半導体層11のトータルのヘイズ率を、多孔性半導体層11に対して垂直方向から入射光を当てることにより測定した。また、SEMを用いて断面から膜厚を測定した。
次に、研磨機(SCANDIA社34305)で、光の入射側から最も遠い層、すなわち多孔性半導体層11cを削った。その後、SEMを用いて断面から膜厚を測定し、多孔性半導体層11a,11bが形成されていることを確認した。
残った多孔性半導体層11a,11bの2層からなる多孔性半導体層のヘイズ率を、該多孔性半導体層に対して垂直方向から入射光を当てて測定した。次に、研磨機で多孔性半導体層11bを削った。その後、SEMを用いて断面から膜厚を測定し、多孔性半導体層11aが形成されていることを確認した。残った多孔性半導体層11aのヘイズ率を、多孔性半導体層11aに対して垂直方向から入射光を当てて測定した。
なお、多孔性半導体層11が4層,5層のそれぞれからなる場合についても、上記と同様の方法で入射側に最も遠い層から順に研磨とヘイズ率の測定とを繰り返し、各層のヘイズ率を測定した。結果を表6に示す。
(実施例1)
多孔性半導体層11を2層構造とし、導電性支持体側から多孔性半導体層11aおよび11bとした。すなわち実施例1では、図2に示されるような多孔性半導体層11a,11b,11cに代えて多孔性半導体層11a,11bの2層からなる多孔性半導体層を形成した。
まず前述のものと同じ日本板硝子製のガラス板からなる導電性支持体上に懸濁液E(24時間分散液)をスクリーン印刷法で塗布し、焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)により1時間焼成して多孔性半導体層11aを形成し、次いで懸濁液A(30分分散液)をスクリーン印刷法で塗布し、焼成条件〔1〕により1時間焼成して多孔性半導体層11bを形成した。
多孔性半導体層11a,11bの各層厚は5μm、2層合計で10μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11bの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ3%,81%となる条件である。この複数の層からなる多孔性半導体層11を用い、以下の方法により、色素増感太陽電池を製造した。
まず、上記BlackDye色素を用い、この色素を、5×10-4mol/lの濃度となるようアセトニトリルとt−ブタノールとの1:1の混合溶媒に溶解し、デオキシコール酸(東京化成製)を20mM添加することで吸着用の色素溶液を調製した。
多孔性半導体層11を形成した導電性支持体を、この溶液中に24時間浸漬し、光電変換層31を形成した。
電極7として形成される対極側支持体として、導電性支持体と同じ構成のガラス板からなる基板5に導電層6として白金膜を300nm蒸着したものを用いた。
この対極側支持体と、光電変換層31を形成した導電性支持体とを、スペーサ21としての厚さ50μmのハイミラン(デュポン社製)を介して重ねあわせ、隙間にキャリア輸送層4としての電解液を注入し、それらの側面を樹脂からなる封止材22でシールし、光電変換素子を得た。該電解液は、アセトニトリル(アルドリッチ製)にLiI(0.1M、アルドリッチ製)、I2(0.05M、アルドリッチ製)、t-ブチルピリジン(0.5M、アルドリッチ製)、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム(0.6M、四国化成製)を溶解したものを用いた。
上記の方法で作製した光電変換素子により、本発明の色素増感太陽電池を得た。該色素増感太陽電池の光電変換効率を、100mW/cm2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射し、デジタルソースメータで評価したところ、8.0%であった。
続いて、ヘイズ率の確認のために、この色素増感太陽電池を分解し、光電変換層31をアセトニトリルで洗浄し、次いで0.01Mの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して色素を取り除いた。
まず多孔性半導体層11のトータルのヘイズ率を、800nmの光を半導体層に対して垂直方向から入射させて測定した。多孔性半導体層11のトータルのヘイズ率は81%であった。
次に、前述の実施例の冒頭に記した加工方法により、多孔性半導体層11を切断・研磨して10μm厚のサンプルとした。
多孔性半導体層11a,11b各層の、800nmにおける層厚換算ヘイズ率はそれぞれ4%,81%であった。
(実施例2)
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液B(2時間分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11bの各層厚は5μm、2層合計の層厚は10μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11bの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ4%,73%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は8.2%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ72%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,71%であった。
(比較例1)
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液C(4時間分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11bの各層厚は5μm、2層合計の層厚は10μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11bの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ4%,50%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は7.2%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ52%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,50%であった。
(実施例3)
チタンイソプロポキシド(キシダ化学株式会社製、純度99%)125mlを0.1Mの硝酸水溶液(キシダ化学株式会社製)750mLに滴下し加水分解し、続いて80℃で8時間加熱することでゾル溶液を作製した。その後、チタン製オートクレーブ中、250℃で10時間の粒子成長を行なった。さらに超音波分散を30分間行なうことにより、平均一次粒径15nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液(コロイド溶液A)を作製した。
作製したコロイド溶液Aを、酸化チタンが15wt%の濃度になるまでエバポレーターにて濃縮してコロイド溶液Bとした後、コロイド溶液Bの2倍のエタノールを加え、5000rpmにて遠心分離を行なった。この工程により作製した酸化チタン粒子をエタノールで洗浄した後、エチルセルロースとテルピネオールとを無水エタノール中に溶解させた溶液を加え、攪拌することにより、酸化チタン粒子を溶液中に分散した。40mbarの減圧下、50℃にてエタノールを蒸発させて懸濁液を作製した。
最終的な組成として、酸化チタン濃度10wt%、エチルセルロース濃度10wt%、テルピネオール濃度64wt%となるように濃度調整を行ない、懸濁液Fとした。
つづいて酸化チタン粒子(テイカ株式会社製、商品名JA−1、アナターゼ型:平均一次粒径180nm)を、テルピネオール中に添加し、ジルコニアビーズ(直径2mm)を100g投入し、ペイントシェーカーでの分散時間を4時間として分散処理を行なった。分散を経た溶液をろ過してジルコニアビーズを取り除き、ろ過液を、エバポレーターにて、酸化チタンが15wt%の濃度になるまで濃縮し、コロイド溶液Cを得た。
そして、上記のコロイド溶液Cを、コロイド溶液Bの酸化チタンに対して80wt%添加し、コロイド溶液の2倍のエタノールを加え、5000rpmにて遠心分離を行なった。この工程により作製した酸化チタン粒子をエタノールで洗浄した後、エチルセルロースとテルピネオールとを無水エタノール中に溶解させた溶液を加え、攪拌することにより、酸化チタン粒子を溶液中に分散した。40mbarの減圧下、50℃にてエタノールを蒸発させて懸濁液を作製した。
最終的な組成として、酸化チタン濃度12wt%、エチルセルロース濃度10wt%、テルピネオール濃度62wt%となるように濃度調整を行ない懸濁液Gとした。
多孔性半導体層11aには懸濁液Fを、多孔性半導体層11bには懸濁液Gを用い、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11bの各層厚は5μm、2層合計の層厚は10μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は8.7%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ83%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ7%,83%であった。
(実施例4)
実施例3の懸濁液Gの作製方法における酸化チタン粒子に代えて平均一次粒径350nm(ナノクリーンサイエンス社製)酸化チタン粒子を用いたこと以外は懸濁液Gと同様な作製方法により、懸濁液Hを得た。
多孔性半導体層11aには懸濁液Fを、多孔性半導体層11bには懸濁液Hを用い、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11bの各層厚は5μm、2層合計の層厚は10μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は8.8%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ85%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ7%,85%であった。
また、色素増感太陽電池の分解と光電変換層31の洗浄とを実施例1と同様に行ない、その後研磨機を用いて、多孔性半導体層11bを削り取り、残存する多孔性半導体層11aの800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、7%であった。よって、2層での多孔性半導体層11のトータルのヘイズ率を2層目の多孔性半導体層11bのヘイズ率と見なすことができる。すなわち、このような測定方法によっても多孔性半導体層11a,11b各層のヘイズ率を測定できる。
(実施例5)
多孔性半導体層11を図2に示すような3層構造とし、導電性支持体側からそれぞれ多孔性半導体層11a,11b,11cとした。
上記と同じ日本板硝子製のガラス板からなる導電性支持体上に懸濁液E(24時間分散液)をスクリーン印刷法で塗布し、焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)により1時間焼成して多孔性半導体層11aを形成し、次いで懸濁液C(4時間分散液)をスクリーン印刷法で塗布し、焼成条件〔1〕により1時間焼成して多孔性半導体層11bを形成し、さらに懸濁液A(30分分散液)をスクリーン印刷法で塗布し、焼成条件〔1〕により1時間焼成して多孔性半導体層11cを形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ3%,40%,81%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.3%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ81%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ4%,42%,81%であった。
(実施例6)
多孔性半導体層11a,11bには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11cには懸濁液A(30分分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ3%,3%,81%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は8.0%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ81%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,5%,81%であった。
(実施例7)
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液D(6時間分散液)を、多孔性半導体層11cには懸濁液A(30分分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層の合計層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ3%,28%,81%となる条件である。
実施例1同様に色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.0%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ81%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,29%,80%であった。
(実施例8)
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液B(2時間分散液)を、多孔性半導体層11cには懸濁液A(30分分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ3%,72%,81%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は8.3%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ81%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ4%,72%,81%であった。
(実施例9)
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11b,11cには懸濁液A(30分分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ3%,81%,81%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は8.0%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ81%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ4%,81%,81%であった。
(実施例10)
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液D(6時間分散液)を、多孔性半導体層11cには懸濁液B(2時間分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ3%,28%,72%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は8.8%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ70%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率は3%,29%,70%であった。
(比較例2)
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液D(6時間分散液)を、多孔性半導体層11cには懸濁液C(4時間分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ3%,28%,40%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は7.7%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ48%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ4%,29%,39%であった。
(実施例11)
多孔性半導体層11aには懸濁液D(6時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液C(4時間分散液)を、多孔性半導体層11cには懸濁液A(30分分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ28%,40%,81%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は7.9%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ81%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ29%,42%,81%であった。
(実施例12)
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液C(4時間分散液)を、多孔性半導体層11cには懸濁液A(30分分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ4%,50%,80%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.6%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ81%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,50%,81%であった。
(実施例13)
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液C(4時間分散液)を、多孔性半導体層11cには懸濁液A(30分分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔6〕(酸素を1ml/min、窒素を4ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ5%,51%,81%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.2%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ81%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,51%,81%であった。
(実施例14)
多孔性半導体層11を図3に示すような4層構造とし、導電性支持体側からそれぞれ多孔性半導体層11a,11b,11c、11dとした。
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液C(4時間分散液)を、多孔性半導体層11cには懸濁液B(2時間分散液)を、多孔性半導体層11dには懸濁液A(30分分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11c、11dの各層厚は5μm、4層合計の層厚は20μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11c,11dの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ3%,40%,72%,81%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.5%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ81%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c,11d各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,40%,68%,81%であった。
(実施例15)
懸濁液Cと懸濁液Eとの作製方法において、懸濁液形成に用いる酸化チタン粒子として、テイカ株式会社製のAMT−600(粒径約30nm)とJA−1(粒径約180nm)とを50wt%ずつ混合したものを用いた以外は懸濁液Cおよび懸濁液Eの作製方法と同様にして懸濁液を作製し、それぞれ、ペイントシェーカーで4時間分散したものを懸濁液C2、24時間分散したものを懸濁液E2とした。
多孔性半導体層11aには懸濁液E2(粒子混合24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液C(4時間分散液)を、多孔性半導体層11cには懸濁液C2(粒子混合4時間分散液)を用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.1%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ78%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ10%,45%,78%であった。
(実施例16)
懸濁液Gの作製方法において、酸化チタン粒子(テイカ株式会社製、商品名JA−1、アナターゼ型:平均一次粒径180nm)を上記コロイド溶液Bに対して10wt%添加し攪拌すること以外は、懸濁液Gの作製方法と同様にして懸濁液を作製した。
最終的な組成として、酸化チタン濃度12wt%、エチルセルロース濃度10wt%、テルピネオール濃度62wt%となるように濃度調整を行ない懸濁液Iとした。
多孔性半導体層11aには懸濁液Fを、多孔性半導体層11bには懸濁液Iを、多孔性半導体層11cには懸濁液Gを用い、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.4%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ83%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ7%,61%,83%であった。
(実施例17)
実施例16の懸濁液Iの作製方法において、JA−1の代わりに平均一次粒径350nm(ナノクリーンサイエンス社製)の酸化チタン粒子を用いたこと以外は同様な作製方法により懸濁液Jを得た。
多孔性半導体層11aには懸濁液Fを、多孔性半導体層11bには懸濁液Jを、多孔性半導体層11cには懸濁液Hを用い、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11a,11b,11cを形成した。各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は、9.6%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ85%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ7%、65%、85%であった。
(実施例18)
実施例3の懸濁液Fの作製工程において、チタン製オートクレーブ中での粒子成長の条件を250℃、96時間とした以外は実施例3に記載の方法により、平均一次粒径350nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を作製した。
その後、このコロイド溶液を用いて、実施例3の懸濁液Fの作製工程と同様にして、懸濁液を作製した。最終的な組成として、酸化チタン濃度10wt%、エチルセルロース濃度10wt%、テルピネオール濃度64wt%となるように濃度調整を行なって懸濁液Kとした。
懸濁液Fと懸濁液Kとを重量比9:1で混合し、懸濁液Lを作製した。
多孔性半導体層11aには懸濁液Fを、多孔性半導体層11bには懸濁液Lを、多孔性半導体層11cには懸濁液Kを用い、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.3%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ86%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ7%,64%,84%であった。
(実施例19)
実施例16で作製した懸濁液Iを導電性支持体上にスクリーン印刷法で塗布し、焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で焼成することで多孔性半導体層11とした。層厚は15μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は8.1%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ72%であった。
さらに実施例1同様に(但し、サンプル厚は15μmである)多孔性半導体層11の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、ヘイズ率は72%であった。
(実施例20)
多孔性半導体層を4層構造とし、導電性支持体側からそれぞれ多孔性半導体層11a,11b,11c,11dとした。
多孔性半導体層11aには懸濁液Fを、多孔性半導体層11bには懸濁液Iを、多孔性半導体層11cには懸濁液Jを、多孔性半導体層11dには懸濁液Kを用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11b,11c,11dの各層厚は5μm、4層合計の層厚は20μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.8%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ83%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c,11d各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,62%,66%,84%であった。
(実施例21)
多孔性半導体層11aには懸濁液Fを、多孔性半導体層11bには懸濁液Iを、多孔性半導体層11cには懸濁液Jを、多孔性半導体層11dには懸濁液Hを用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11b,11c,11dの各層厚は5μm、4層合計の層厚は20μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.7%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ87%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c,11d各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,62%,66%,85%であった。
(実施例22)
多孔性半導体層を図4に示すような5層構造とし、導電性支持体側からそれぞれ多孔性半導体層11a,11b,11c,11d,11eとした。
多孔性半導体層11aには懸濁液Fを、多孔性半導体層11bには懸濁液Cを、多孔性半導体層11cには懸濁液Iを、多孔性半導体層11dには懸濁液Jを、多孔性半導体層11eには懸濁液Kを用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11b,11c,11d,11eの各層厚は5μm、5層合計の層厚は25μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.8%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ84%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c,11d、11e各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,50%,62%,66%,84%であった。
(実施例23)
多孔性半導体層11を4層構造とし、導電性支持体側からそれぞれ多孔性半導体層11a,11b,11c,11dとした。
多孔性半導体層11aには懸濁液Fを、多孔性半導体層11bには懸濁液Cを、多孔性半導体層11cには懸濁液Iを、多孔性半導体層11dには懸濁液Jを用い、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11b,11c,11dの各層厚は5μm、4層合計の層厚は20μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.0%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ67%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c,11d各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,42%、62%,66%であった。
(比較例3)
多孔性半導体層を3層構造とし、導電性支持体側からそれぞれ多孔性半導体層11a,11b,11cとした。
多孔性半導体層11aには懸濁液E(24時間分散液)を、多孔性半導体層11bには懸濁液D(6時間分散液)を、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行ない、多孔性半導体層11cには懸濁液C(4時間分散液)を用い、その焼成を焼成条件〔9〕(窒素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。
多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmであり、単層での結果によれば、多孔性半導体層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率はそれぞれ3%,28%,52%となる条件である。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は7.8%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ55%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、各層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,29%,51%であった。
(比較例4)
多孔性半導体層を4層構造とし、導電性支持体側からそれぞれ多孔性半導体層11a、11b、11c、11dとした。
多孔性半導体層11aには懸濁液Eを、多孔性半導体層11bには懸濁液Dを、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行ない、多孔性半導体層11cには懸濁液Cを、焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行ない、多孔性半導体層11dには懸濁液Cを用い、焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11b,11c,11dの各層厚は5μm、4層合計の層厚は20μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は7.8%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ57%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c,11d各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、各層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,28%、42%,50%であった。
(実施例24)
多孔性半導体層を4層構造とし、導電性支持体側からそれぞれ多孔性半導体層11a,11b,11c,11dとした。
多孔性半導体層11aには懸濁液Fを、多孔性半導体層11bには懸濁液Fを、それぞれの焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行ない、多孔性半導体層11cには懸濁液Iを、焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行ない、多孔性半導体層11dには懸濁液Kを用い、焼成を焼成条件〔3〕(酸素を5ml/min流しながら500℃で加熱)で行なって多孔性半導体層11を形成した。多孔性半導体層11a,11b,11c,11dの各層厚は5μm、4層合計の層厚は20μmである。
上記以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は9.8%であった。
また、実施例1同様に多孔性半導体層11の800nmにおけるトータルのヘイズ率を測定したところ85%であった。
さらに実施例1同様に多孔性半導体層11a,11b,11c,11d各層の800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、各層厚換算ヘイズ率はそれぞれ3%,4%、62%,84%であった。
Figure 0003954085
Figure 0003954085
(実施例1〜24のまとめ)
これらより以下のことが分かる。
1・色素を吸着した多孔性半導体層11を持つ光電変換素子において、高い光電変換効率を得るためには、近赤外領域(好ましくは780〜900nm)における多孔性半導体層11のヘイズ率を規定することが重要であること。
2・上記1ならびに実施例の結果(例えば実施例14,23等)から、特に近赤外領域におけるトータルのヘイズ率が60%以上95%以下(好ましくは70%以上95%以下)であれば、高い光電変換効率を持つ光電変換素子が得られること。ここで最大値95%は、本実施例において実験的に得られたヘイズ率の最大値から規定した。
3・上記2の結果ならびに、多孔性半導体層11中に効率的に光を閉じ込めるためには、多孔性半導体層11がヘイズ率の異なる複数の多孔性半導体層からなり、光入射側から順次にそのヘイズ率が増大することが好ましいと考えられること(〔発明の実施の形態〕の2:ヘイズ率について、を参照)から、複数の層からなる多孔性半導体層11において、光入射側から最も遠くに形成された多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下(好ましくは70%以上95%以下)であれば、高い光電変換効率を持つ光電変換素子が得られること。さらにこのことが実験的に確かめられたこと。
4・例えば実施例11と実施例15との結果から、光の入射側に最も近い多孔性半導体層11aの近赤外領域におけるヘイズ率が10%であれば、高い光電変換効率が得られること。従って、複数の層からなる多孔性半導体層11において、光の入射側に最も近い多孔性半導体層の、近赤外領域におけるヘイズ率の好ましい範囲として、1%以上11%未満を挙げることができること。ここで最小値1%は、トータルのヘイズ率の測定時に実験的に得られる値から規定した(一般的な導電性支持体(例えばSnO2膜が蒸着されたガラス板)のヘイズ率の値が1%前後であることから)。
5・上記3と4とより、多孔性半導体層11が3層からなる場合には、光の入射側に最も近い多孔性半導体層11aの近赤外領域におけるヘイズ率が1%以上11%未満であり、光の入射側から最も遠い多孔性半導体層11cの近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下であることが好ましい(さらに好ましくは70%以上95%以下である)こと。
6・上記5同様に、多孔性半導体層11が4層からなる場合には、光の入射側に最も近い多孔性半導体層11aの近赤外領域におけるヘイズ率が1%以上11%未満であり、光の入射側から最も遠い多孔性半導体層11dの近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下であることが好ましい(さらに好ましくは70%以上95%以下である)こと。
7・上記5および6同様に、多孔性半導体層11が5層からなる場合には、光の入射側に最も近い多孔性半導体層11aの近赤外領域におけるヘイズ率が1%以上11%未満であり、光の入射側から最も遠い多孔性半導体層11eの近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下であることが好ましい(さらに好ましくは70%以上95%以下である)こと。
8・すなわち、上記3ならびに上記5,6,7の結果から、複数の層からなる多孔性半導体層11においては、光の入射側に最も近い多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が1%以上11%未満であり、光の入射側から最も遠い多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下であることが好ましい(さらに好ましくは70%以上95%以下である)と考えられること。
以下に比較例5〜7として、単に粒径を規定した懸濁液を用いて多孔性半導体層を形成した場合の結果を示す。
(比較例5〜7:従来技術を用いた多孔性半導体層の形成)
オートクレーブ温度を240℃にした以外は、ジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティ第80巻3157頁記載の方法と同様の方法で、酸化チタン濃度10wt%の酸化チタンを得た。得られた酸化チタン粒子(粒子A)の平均粒径は約16nmであった。この酸化チタン粒子の分散物に、酸化チタンに対して20重量%のポリエチレングリコール(和光純薬製、分子量20,000)と液全体に対して10重量%のエタノールとを添加した。これに硝酸を加えて、pHを1.3%とし塗布液Aを得た。この塗布液の固形分は10.7%、酸化チタン含有量は8.9%であった。
塗布液A11.2gに対し、関東化学製アナターゼ型酸化チタン(粒子B:粒径100nm〜300nm)を0.2g混合してペイントシェーカーで3時間分散し、塗布液Bを得た。
関東化学製アナターゼ型酸化チタン(粒子B:粒径100nm〜300nm)6.7g、ポリエチレングリコール(和光純薬、分子量20000)2g、エタノール2.6g、蒸留水53mlを混合しペイントシェーカーで3時間分散し、塗布液Cを得た。
多孔性半導体層11aには塗布液Aを、多孔性半導体層11bには塗布液Bを、多孔性半導体層11cには塗布液Cを用い、それぞれの焼成を焼成条件〔1〕(酸素を5ml/min流しながら450℃で加熱)で行なった。多孔性半導体層11a,11b,11cの各層厚は5μm、3層合計の層厚は15μmである。
3個の色素増感太陽電池を製造したところ、光電変換効率は6.3%(比較例5)、6.5%(比較例6)、6.2%(比較例7)であり、高い変換効率が得られなかった。
また、これら3個の太陽電池から、実施例1同様に10μm厚のサンプルを形成し、光電変換層11a,11b,11cの800nmにおけるヘイズ率を測定したところ、層厚換算ヘイズ率はそれぞれ2%,10%,50%(以上、比較例5)、13%,55%,45%(以上、比較例6)、11%,33%,42%(以上、比較例7)であって、多孔性半導体層11の原料溶液(懸濁液)に含まれる半導体粒子の粒径を規定しただけでは、多孔性半導体層11の光学特性(ここではヘイズ率)ならびに光電変換素子の特性は一義的には決まらないことが分かった(表7参照)。
Figure 0003954085
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の光電変換素子は、たとえば、各種のセンサーや色素増感型の太陽電池等に対して好適に適用され得る。
本発明の好ましい光電変換素子および実施例で作製した光電変換素子の構成を示す断面図である。 光電変換層が3層からなる光電変換素子の構成を示す断面図である。 光電変換層が4層からなる光電変換素子の構成を示す断面図である。 光電変換層が5層からなる光電変換素子の構成を示す断面図である。 ヘイズ率の測定に用いるサンプルの作製について説明する概略断面図である。 ヘイズ率の測定に用いるサンプルの作製について説明する概略断面図である。 ヘイズ率の測定に用いる測定系について説明する概略図である。
符号の説明
1 支持体、2 導電層、3,7 電極、4 キャリア輸送層、5 基板、6 導電層、11,11a,11b,11c,11d,11e 多孔性半導体層、21 スペーサ、22 封止材、31 光電変換層、41,42 切断面、51 光源、52 波長選択装置、53 測定サンプル、54 検出器、55 反射板、56 スリット、61 光線、62 入射光、63 平行透過光、64 拡散透過光、65 全光線透過光。

Claims (8)

  1. 色素増感太陽電池に用いられる光電変換素子であって、色素を吸着した多孔性半導体層からなる光電変換層、キャリア輸送層および一対の電極から構成された光電変換素子であって、前記光電変換層の前記多孔性半導体層の、近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下であり、前記多孔性半導体層が、近赤外領域におけるヘイズ率が異なる複数の層からなる、光電変換素子。
  2. 前記複数の層からなる前記多孔性半導体層は、近赤外領域におけるヘイズ率が光の入射側から順次に増大する多孔性半導体層である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記複数の層からなる前記多孔性半導体層において、光の入射側から最も遠い前記多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下である、請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記多孔性半導体層が3層からなり、光の入射側に最も近い前記多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が1%以上11%未満であり、光の入射側から最も遠い前記多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下である、請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 前記多孔性半導体層が4層からなり、光の入射側に最も近い前記多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が1%以上11%未満であり、光の入射側から最も遠い前記多孔性半導体層の近赤外領域におけるヘイズ率が60%以上95%以下である、請求項3に記載の光電変換素子。
  6. 前記多孔性半導体層は酸化チタンを主成分とする酸化物半導体からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 前記ヘイズ率が、780nm〜900nmのいずれかの波長で測定された値である、請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換素子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換素子を用いた色素増感太陽電池。
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