JP2014026903A - 光電変換素子および色素増感太陽電池 - Google Patents

光電変換素子および色素増感太陽電池 Download PDF

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Ryosuke Yamanaka
良亮 山中
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篤 福井
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Abstract

【課題】低コスト化が期待でき且つ短絡電流密度が向上した光電変換素子の提供。
【解決手段】光電変換素子では、透光性支持体の上に、多孔性半導体層を有する光電変換層と、透光性支持体に支持され光電変換層に接する集電電極と、電荷輸送層と、対極と、対極を支持する対極支持体とが順に設けられている。透光性支持体の少なくとも一部には、散乱部が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子および色素増感太陽電池に関する。
化石燃料に代わるエネルギー源として、太陽光エネルギーを電力エネルギーに変換する太陽電池が注目されている。現在、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池および薄膜シリコン太陽電池などが実用化されている。しかし、前者の太陽電池には、シリコン基板の製造コストが高いという問題がある。後者の薄膜シリコン太陽電池には、多種の半導体製造用ガスおよび複雑な装置などを用いて製造するために製造コストが高くなるという問題がある。このため、いずれの太陽電池にも、光電変換の高効率化による発電出力当たりのコストを低減する努力が続けられているが、上記の問題を解決するには至っていない。
新しいタイプの太陽電池として、金属錯体の光誘起電子移動を応用した光電変換素子を含む太陽電池が提案されている(たとえば、特許文献1)。特許文献1に記載の光電変換素子では、光増感色素を吸着させて可視光領域に吸収スペクトルをもたせた光電変換層と電解液とが2枚のガラス基板により挟持されており、上記の2枚のガラス基板の表面にはそれぞれ第1電極および第2電極が形成されている。
第1電極側から光を照射すると、光電変換層に電子が発生し、発生した電子が一方の第1電極から外部電気回路を通って対向する第2電極に移動する。移動した電子は、電解質中のイオンに運ばれて光電変換層に戻る。このような一連の電子の移動により、電気エネルギーを取り出すことができる。しかしながら、光電変換素子では透明導電膜付きガラス板を使用しているため、色素増感太陽電池全体のコストが透明導電膜のコストに影響され、更なる低コスト化が限界になりつつある。
そのような中、従来の色素増感太陽電池に対する新しいセル形状の太陽電池として、特許文献2に記載の光電変換素子を含む太陽電池が提案されている。特許文献2に記載の光電変換素子では、光入射側の透明導電膜は使用されておらず、色素が担持された多孔性半導体層の上に集電電極が形成されており、この集電電極から電子が取り出される。
特開平01−220380号公報 特開2001−283941号公報
特許文献2に記載の光電変換素子では、透明導電膜を使用していないため、低コスト化が期待される。また、透明導電膜による光の吸収ロスがなくなるため、光入射側からの光の透過率が高くなり、よって、電流が向上すると期待されていた。しかし、透明導電膜を使用していない光電変換素子では、透明導電膜を使用している光電変換素子に比べて短絡電流密度(Jsc)が低いことが課題となっている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コスト化が期待でき且つ短絡電流密度が向上した光電変換素子を提供することである。
本発明に係る光電変換素子では、透光性支持体の上に、多孔性半導体層を有する光電変換層と、透光性支持体に支持され光電変換層に接する集電電極と、電荷輸送層と、対極と、対極を支持する対極支持体とが順に設けられている。透光性支持体の少なくとも一部には、散乱部が形成されている。
散乱部のヘイズ率は、10%以上90%以下であることが好ましい。透光性支持体のトータルのヘイズ率は、10%以上90%以下であることが好ましい。光入射側に位置する透光性支持体の面の表面粗さは、光電変換層側に位置する透光性支持体の面の表面粗さ以下であることが好ましい。
多孔性半導体層は、化合物半導体材料からなることが好ましい。光電変換層は、多孔性半導体層と、多孔性半導体層内に設けられた光増感剤およびキャリア輸送材料とを含むことが好ましい。
本発明に係る色素増感太陽電池は、本発明に係る光電変換素子、つまり、透光性支持体の少なくとも一部に散乱部が形成されてなる光電変換素子を備えている。
本発明によれば、光電変換素子を低コストで提供でき、また光電変換素子の短絡電流密度を向上させることができる。
本発明の光電変換素子の構成の一例を示す断面図である。 従来の光電変換素子の構成の一例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子の構成の別の一例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子の構成のまた別の一例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子の構成のまた別の一例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子の構成のまた別の一例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子における散乱部の構成の一例を示す平面図である。 本発明の光電変換素子における散乱部の構成の別の一例を示す平面図である。 本発明の光電変換素子における散乱部の構成のまた別の一例を示す平面図である。
以下、本発明の光電変換素子について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表わすものではない。
<光電変換素子>
図1は、本発明に係る光電変換素子の構成の一例を示す断面図である。図1に示す光電変換素子では、透光性支持体1の上に、多孔性半導体層を有する光電変換層2と、集電電極4と、電荷輸送層5と、対極6と、対極支持体7とが順に設けられている。透光性支持体1の少なくとも一部には、散乱部21が形成されている。なお、図1および図3〜図6では散乱部21を膜状と記載しているが、散乱部21の構成は膜に限定されない。
また、図1に示す光電変換素子では、光電変換層2および電荷輸送層5は封止部8により封止されていることが好ましい。このように、図1に示す光電変換素子には透明導電膜が設けられていないので、光電変換素子の製造コストの低減を図ることができる。
図1に示す光電変換素子では、透光性支持体1を受光面としたときには、光は透光性支持体1を透過して光電変換層2に入射され、光電変換層2で電子が生成される。生成された電子は、集電電極4を介して光電変換素子の外部へ取り出され、外部電気回路を通って対極6へ移動する。対極6へ移動した電子は、電荷輸送層5内および集電電極4内を移動して、光電変換層2へ戻る。
一方、対極支持体7を受光面としたときには、光は対極支持体7、対極6、電荷輸送層5および集電電極4を透過して光電変換層2に入射され、光電変換層2で電子が生成される。生成された電子は、集電電極4を介して光電変換素子の外部へ取り出され、外部電気回路を通って対極6へ移動する。対極6へ移動した電子は、電荷輸送層5内および集電電極4内を移動して、光電変換層2へ戻る。この場合、対極6および集電電極4は透光性材料からなることが好ましい。また、対極6および集電電極4が透光性に優れない場合には、透光性支持体1の裏面(図1では透光性支持体1の上面)に反射用ミラーなどを設けることにより、透光性支持体1の裏面から光を集めて発電させることができる。以下では、本発明に係る光電変換素子の構成部材をそれぞれ説明する。
<透光性支持体>
透光性支持体1を構成する材料は、一般に光電変換素子の支持体に使用可能な材料であり且つ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。しかし、光電変換素子の受光面となる部分では光透過性が必要となるため、透光性支持体1は、光透過性を有する材料からなることが好ましく、たとえば、ソーダガラス、溶融石英ガラス、または結晶石英ガラスなどのガラス基板であっても良いし、耐熱性樹脂材料からなる可撓性フィルムであっても良い。ただし、透光性支持体1は、受光面として使用される場合であっても、少なくとも後述の光増感剤に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過する(当該光の透過率がたとえば80%以上、好ましくは90%以上)ものであれば良く、必ずしも全ての波長の光に対して透過性を有する必要はない。
可撓性フィルム(以下、「フィルム」という)を構成する材料としては、たとえばテトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、フェノキシ樹脂、またはテフロン(登録商標)などが挙げられる。
加熱を伴って透光性支持体1の上に他の層を形成する場合、たとえば250℃程度の加熱を伴って透光性支持体1の上に多孔性半導体層を形成する場合には、上記のフィルムを構成する材料の中でも250℃以上の耐熱性を有するテフロン(登録商標)を用いることが特に好ましい。
完成した光電変換素子を他の構造体に取り付けるときに、透光性支持体1を利用できる。すなわち、金属加工部品とねじとを用いて、ガラス基板などからなる透光性支持体1の周辺部を他の支持体に容易に取り付けることができる。
透光性支持体1の厚さは特に限定されず、たとえば0.2〜5mm程度であることが好ましい。
<散乱部>
図1に示す光電変換素子では、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の一部に散乱部21が形成されている。よって、透光性支持体1に入射した光は、散乱部21を介して光電変換層2の多孔性半導体層へ取り込まれる。ここで、散乱部21が透光性支持体1の面の少なくとも一部に形成されることにより、透光性支持体1の当該面の表面粗さが大きくなる。そのため、透光性支持体1に入射した光は、光電変換層2の多孔性半導体層の内部に拡散される。これにより、散乱部21が形成されていない光電変換素子(図2参照)に比べて、光電変換層2内における入射光の光路長が長くなるので、短絡電流密度が増加する。なお、図2は、従来の光電変換素子の構成の一例を示す断面図である。
図3〜図6は、本発明の光電変換素子の構成の別の一例を示す断面図である。図3では、散乱部21は、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面全体に形成されている。図4では、散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面全体に形成され、散乱部22が光入射側に位置する透光性支持体1の面全体に形成されている。図5では、散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面全体に形成され、散乱部22が光入射側に位置する透光性支持体1の面の一部に形成されている。図6では、散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の一部に形成され、散乱部22が光入射側に位置する透光性支持体1の面の一部に形成されている。図4〜図6に示すように散乱部22が光入射側に位置する透光性支持体1の面の少なくとも一部に形成されていれば、光入射側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さが大きくなる。よって、光電変換層2内における入射光の光路長が長くなるので、短絡電流密度の増加に貢献する。
光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面における散乱部21の形成領域が広ければ、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さは大きくなる。たとえば、散乱部21は、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の投影面に対して30%以上の領域に形成されていることが好ましく、当該投影面に対して50%以上100%以下の領域に形成されていることが好ましく、当該投影面に対して100%の領域つまり光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面全体に形成されていることがより好ましい。散乱部22についても同様のことが言える。
散乱部21の一例としては、凸部、凹部および凹凸部など(以下「凸部など」と記すことがある)が挙げられる。凸部の高さが高くなるにつれ、凹部の深さが深くなるにつれ、または、凹凸部の変位量が大きくなるにつれ、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さが大きくなり、よって、短絡電流密度が増加する。そのため、所望とする短絡電流密度などに応じて、凸部の高さ、凹部の深さ、および、凹凸部の変位量などを適宜設定することが好ましい。一例としては、凸部の高さは0.01μm以上1.5μm以下であり、凹部の深さは0.01μm以上1.5μm以下であり、凹凸部の変位量は0.02μm以上3μm以下である。このような散乱部21の形成方法としては、たとえば、ドライエッチングまたはやすりなどによる機械研磨、サンドブラスターなどを用いた研磨、および、酸によるエッチングなどの化学的な手法などが挙げられる。散乱部22についても同様のことが言える。
散乱部21の別の一例としては、透光性支持体1とは異なる材料からなる膜が挙げられる。これにより、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の平坦性が低下するので、当該面の表面粗さが大きくなる。それだけでなく、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面には、屈折率が異なる領域が併存することとなる。これらのことから、透光性支持体1に入射した光は光電変換層2の多孔性半導体層の内部に拡散され易くなり、よって、短絡電流密度が増加する。そのため、所望とする短絡電流密度などに応じて、透光性支持体1とは異なる材料からなる膜の構成を適宜設定することが好ましい。この膜の一例としては、酸化亜鉛などの酸化物または窒化ガリウムなどの窒化物などからなり厚さが0.5μm以上3μm以下である膜を挙げることができる。このような散乱部21の形成方法としては、たとえば、フォトリソグラフィー技術を利用したパターニングなどの物理的な手法、および、一般的な成膜方法などが挙げられる。散乱部22についても同様のことが言える。
光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面には、散乱部21として、凸部などのみが形成されていても良いし、透光性支持体1とは異なる材料からなる膜のみが形成されていても良いし、凸部などと透光性支持体1とは異なる材料からなる膜との両方が形成されていても良い。透光性支持体1とは異なる材料からなる膜のみを光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面に形成することにより光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さの大きさを大きくする場合には、その膜は、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の一部分に形成されていることが好ましい。具体的には、その膜は、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の投影面に対して30%以上の領域に形成されていることが好ましく、当該投影面に対して50%以上100%未満の領域に形成されていることが好ましい。光入射側に位置する透光性支持体1の面についても同様のことが言える。
以上をまとめると、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面における散乱部21の形成領域の広さ、凸部などの高さ、透光性支持体1とは異なる材料からなる膜の材料、および、その膜の厚さの少なくとも一つを変更することにより、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さの大きさを最適化することができる。光入射側に位置する透光性支持体1の面についても同様のことが言える。
このような散乱部21などが形成された透光性支持体1(つまり本発明における透光性支持体1)に対して波長が400nm〜800nmの光を照射したときの当該透光性支持体1の全光線透過率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の一部に形成されている場合、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面における散乱部21の形状は特に限定されない。図7〜図9は、本発明の光電変換素子における散乱部の構成の一例を示す平面図である。散乱部21は、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面において、図7に示すようにストライプ状に形成されていても良いし、図8に示すようにドット状に形成されていても良いし、図9に示すように格子状に形成されていても良い。光入射側に位置する透光性支持体1の面における散乱部22の形状についての同様のことが言える。
散乱部21,22のヘイズ率は、1%以上95%以下であることが好ましく、10%以上90%以下であることがより好ましい。散乱部21,22のヘイズ率が1%未満であれば、散乱部21,22を設けたことにより得られる効果(短絡電流密度の増加)を十分に得ることができない場合がある。一方、散乱部21,22のヘイズ率が95%を超えると、短絡電流密度のさらなる増加を図ることが難しい場合がある。また、散乱部21,22の透過率の低減を招く場合もある。しかし、散乱部21,22のヘイズ率が1%以上95%以下であれば、入射光が光電変換層2の多孔性半導体層の内部に拡散され易くなるため、光電変換層2内における入射光の光路長を稼ぐことができ、よって、短絡電流密度のさらなる増加が期待される。散乱部21,22のヘイズ率が10%以上90%以下であれば、この効果がさらに顕著となる。
ヘイズ率は、可視光領域および/または近赤外領域にスペクトルを有する光線(たとえば、標準光源D65または標準光源C)を測定用サンプルに入射したときの拡散透過率を、全光線透過率で割った値である。本発明におけるヘイズ率は、550nmにスペクトルを有する光線を透光性支持体1または散乱部21,22に入射したときの拡散透過率を、全光線透過率で割った値である。ヘイズ率は、一般に、0〜1の間の値または0〜100%の百分率で表示され、本発明では0〜100%の百分率で表示している。このようなヘイズ率は、市販のヘイズメータを用いて計測可能である。
散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の一部に形成されている場合には、集光レンズを用いて上記光線を当該散乱部21に集光させることにより当該散乱部21のヘイズ率を測定することができる。散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面全体に形成されている場合には、散乱部21が一様に形成されている部位における全光線透過率およびその部位における拡散透過率を測定することにより当該散乱部21のヘイズ率を測定することができる。散乱部22についても同様のことが言える。
ここで、「表面粗さ」は、「算術平均粗さRa」であり、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取られた部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計して平均した値である。表面粗さの測定には、一般的な計測機器を用いることができ、触針式段差計を用いて測定することもできる。触針式段差計を用いて透光性支持体1の表面粗さを測定する場合、触針式段差計による測定結果から透光性支持体1の表面粗さとして算術平均粗さ(Ra)の値を読み取って、そのRa値を透光性支持体1の表面粗さとすることができる。
また、「光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さ」とは、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の表面全体にわたって表面粗さを計測して得られた表面粗さの平均値である。具体的には、散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の一部にのみ形成されている場合には、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さは、散乱部21が形成された部分の表面粗さと散乱部21が形成されていない部分の表面粗さとの平均値である。「光入射側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さ」についても同様のことが言える。
透光性支持体1のトータルのヘイズ率は、10%以上90%以下であることが好ましく、30%以上90%以下であることがより好ましい。透光性支持体1のトータルのヘイズ率が10%未満であれば、散乱部21,22を設けたことにより得られる効果(短絡電流密度の増加)を十分に得ることができない場合がある。一方、透光性支持体1のトータルのヘイズ率が90%を超えると、短絡電流密度のさらなる増加を図ることが難しい場合がある。また、散乱部21,22の透過率の低減を招く場合もある。しかし、透光性支持体1のトータルのヘイズ率が10%以上90%以下であれば、入射光が光電変換層2の多孔性半導体層の内部に拡散され易くなるため、光電変換層2内における入射光の光路長を稼ぐことができ、よって、短絡電流密度のさらなる増加が期待される。
透光性支持体1のトータルのヘイズ率は、散乱部21,22のヘイズ率を測定する方法に準じて測定可能である。たとえば、散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の一部に形成されてなる透光性支持体1(図1に示す透光性支持体1)のトータルのヘイズ率を測定する場合には、散乱部21が形成された部分と散乱部21が形成されていない部分との両方に対して光線(本発明では550nmにスペクトルを有する光線)を照射することにより複数箇所においてヘイズ率を測定し、測定されたヘイズ率を平均する。これにより、散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の一部に形成されてなる透光性支持体1のトータルのヘイズ率を測定することができる。散乱部22が光入射側に位置する透光性支持体1の面の一部に形成されてなる透光性支持体1のトータルのヘイズ率を測定する場合も同様である。
散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面全体に形成され且つ散乱部22が光入射側に位置する透光性支持体1の面全体に形成されてなる透光性支持体1(図4に示す透光性支持体1)のトータルのヘイズ率を測定する場合には、当該透光性支持体1と、散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面全体に形成されてなる透光性支持体1と、散乱部22が光入射側に位置する透光性支持体1の面全体に形成されてなる透光性支持体1とを準備することが好ましい。そして、準備した3種類の透光性支持体1に対して比較評価することにより、図4に示す透光性支持体1のトータルのヘイズ率を測定することができる。
光の散乱は、一般に、表面の凹凸に影響される。よって、透光性支持体1のトータルのヘイズ率を10%以上90%以下とするためには、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さを0.01μm以上1.5μm以下(好ましくは0.05μm以上1μm以下)としても良いし、光入射側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さを0.01μm以上1.5μm以下(好ましくは0.05μm以上1μm以下)としても良いし、これらを適宜組み合わせても良い。
光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さを0.01μm以上1.5μm以下とするためには、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の投影面のうち30%以上の領域(好ましくは50%以上100%以下の領域、より好ましくは100%の領域)に散乱部21を形成しても良いし、凸部の高さが0.01μm以上1.5μm以下である散乱部21を形成しても良いし、凹部の深さが0.01μm以上1.5μm以下である散乱部21を形成しても良いし、凹凸部の変位量が0.02μm以上3μm以下である散乱部21を形成しても良い。必要に応じて、これらを適宜組み合わせることができる。
光入射側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さを0.01μm以上1.5μm以下とするためには、光入射側に位置する透光性支持体1の投影面のうち30%以上の領域(好ましくは50%以上100%以下の領域、より好ましくは100%の領域)に散乱部22を形成しても良いし、凸部の高さが0.01μm以上1.5μm以下である散乱部22を形成しても良いし、凹部の深さが0.01μm以上1.5μm以下である散乱部22を形成しても良いし、凹凸部の変位量が0.02μm以上3μm以下である散乱部22を形成しても良い。必要に応じて、これらを適宜組み合わせることができる。
光入射側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さは、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さ以下であることが好ましい。たとえば、光入射側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さが0.01μm以上1.5μm以下であるときに、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さは、0.01μm以上1.5μm以下の範囲内であって光入射側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さ以下の値を示すことが好ましい。
光入射側に位置する透光性支持体1の表面の表面粗さが光電変換層2側に位置する透光性支持体1の表面の表面粗さよりも大きければ、光入射側に位置する透光性支持体1の面で入射光が反射するおそれがある。そのため、光電変換素子に取り込まれる入射光の量が低下するので、短絡電流密度の低下を招くことがある。
しかし、光入射側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さが光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さ以下であれば、光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さは光入射側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さよりも大きくなる。これにより、光入射側に位置する透光性支持体1の面での入射光の反射が低減されるため、より多くの入射光が光電変換素子に取り込まれることとなる。よって、短絡電流密度の低下をさらに防止することができる。
光入射側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さを光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の表面粗さ以下とするためには、散乱部21を光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の少なくとも一部に形成する一方、散乱部22を形成しなくても良いし、散乱部21を光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面全体に形成する一方、散乱部22を光入射側に位置する透光性支持体1の面の一部に形成しても良い。また、散乱部21の高さ、深さ、または、変位量などを、散乱部22の高さ、深さ、または、変位量などよりも大きくしても良く、散乱部22の高さ、深さ、または、変位量などに対して1%以上10%以下の範囲で大きくすることが好ましい。また、散乱部21のヘイズ率を散乱部22のヘイズ率よりも大きくしても良い。なお、透光性支持体1とは異なる材料からなる膜で散乱部21,22を構成する場合には、散乱部21の材料は散乱部22の材料と同じであっても良い。
本発明の光電変換素子では、散乱部21が光電変換層2側に位置する透光性支持体1の面の一部に形成され、且つ、散乱部22が光入射側に位置する透光性支持体1の面全体に形成されても良い。また、散乱部21は形成されておらず、散乱部22が光入射側に位置する透光性支持体1の面の少なくとも一部に形成されていても良い。しかし、より多くの入射光が光電変換素子に取り込まれることを考慮すれば、本発明の光電変換素子は図1または図3〜図6に示す構造を有していることが好ましい。
<光電変換層>
光電変換層2は、多孔性半導体層を有する。この多孔性半導体層内には、光増感剤とキャリア輸送材料とが設けられていることが好ましい。以下、それぞれを順に説明する。
−多孔性半導体層−
本発明では、多孔性半導体層は、半導体材料から構成される。ここで、多孔性とは、比表面積が0.5〜300m2/gであることをいい、空孔率が20%以上であることを言う。このような比表面積は気体吸着法であるBET法によって求められ、空孔率は多孔性半導体層の厚さ、多孔性半導体層の質量、および半導体微粒子の密度から計算によって求められる。多孔性半導体層は、0.5〜300m2/gの比表面積を有することにより、多くの光増感剤を吸着でき、よって太陽光を効率良く吸収できる。また、多孔性半導体層の空孔率を20%以上とすることにより、キャリア輸送材料の十分な拡散が可能となり、電子を光電変換層2にスムーズに戻すことができる。
多孔性半導体層を構成する材料は、一般に光電変換素子に使用可能な材料であり且つ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料は、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、銅−インジウム硫化物(CuInS2)、CuAlO2、またはSrCu22などの化合物半導体材料であることが好ましい。多孔性半導体層を構成する材料としては、上記列挙された材料のうちの一つを単独で用いても良いし、上記列挙された材料のうちの2つ以上の組み合わせて用いても良い。光電変換効率、安定性および安全性の観点から、多孔性半導体層を構成する材料としては酸化チタンを用いることが好ましい。
本発明において、多孔性半導体層を構成する材料として酸化チタンを用いる場合、用いる酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、またはオルソチタン酸などの各種の狭義の酸化チタンであっても良いし、水酸化チタンであっても良いし、含水酸化チタンであっても良い。これらの酸化チタンを単独で用いても良いし、混合して用いても良い。アナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタンとについては、製法または熱履歴によりどちらの形態にもなり得るが、アナターゼ型酸化チタンが一般的である。光増感剤の吸着の容易性という観点からは、多孔性半導体層を構成する材料としては、アナターゼ型酸化チタンの含有率の高いものを用いることが好ましく、アナターゼ型酸化チタンの含有率が80%以上であるものを用いることがより好ましい。酸化チタンの製造方法は、特に限定されず、気相法、または液相法(水熱合成法もしくは硫酸法)などの各種文献に記載されている公知の方法であれば良く、デグサ(Degussa)社が開発した、塩化物を高温加水分解により得る方法であっても良い。
多孔性半導体層の形態としては、単結晶または多結晶のいずれでもよい。しかし、安定性、結晶成長の困難さ、および製造コストなどの点では、多孔性半導体層は、多結晶焼結体であることが好ましく、微粉末(ナノスケールからマイクロスケール)からなる多結晶焼結体であることが特に好ましい。
多孔性半導体層は、大きさが同一の化合物半導体材料からなる粒子を用いて構成されても良いし、大きさが互いに異なる化合物半導体材料からなる粒子を用いて構成されても良い。相対的に大きな粒子は、入射光を散乱させるため、光捕捉率の向上に寄与すると考えられる。相対的に小さな粒子を用いれば光増感剤の吸着点がより多くなるので、相対的に小さな粒子は光増感剤の吸着量の向上に寄与すると考えられる。
相対的に大きな粒子の平均粒径は、相対的に小さな粒子の平均粒径に対して10倍以上であることが好ましい。たとえば、相対的に大きな粒子の平均粒径は100〜500nmであることが好ましく、相対的に小さな粒子の平均粒径は5nm〜50nmであることが好ましい。大きさが互いに異なる粒子は、同一の材料からなっても良いし、異なる材料からなっても良い。大きさが互いに異なる粒子が異なる材料からなる場合、相対的に小さな粒子を吸着作用の強い材料で構成することが好ましい。なお、上記平均粒径は、X線回折測定から得られるスペクトル(XRD(X線回折)の回折ピーク)を用いて算出されても良いし、走査型電子顕微鏡(SEM)で直接観察を行うことにより求められても良い。
多孔性半導体層の厚さは、特に限定されず、たとえば0.1〜100μm程度が適当である。また、多孔性半導体層には光増感剤が吸着されるため、多孔性半導体層の表面積は大きいことが好ましく、たとえば多孔性半導体層のBET比表面積は10〜200m2/g程度であることが好ましい。
−多孔性半導体層の形成方法−
多孔性半導体層を形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法が挙げられる。たとえば、上記いずれかの化合物半導体材料からなる粒子を含有する懸濁液を透光性支持体1の上に塗布してから乾燥および焼成の少なくとも一方を行うという方法が挙げられる。
この方法では、まず、上記いずれかの化合物半導体材料からなる微粒子を適当な溶剤に懸濁して、懸濁液を得る。このような溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、イソプロピルアルコール/トルエンなどのアルコール系混合溶剤、または水などが挙げられる。また、このような懸濁液の代わりに市販の酸化チタンペースト(たとえば、Solaronix社製、Ti−nanoxide、T、D、T/SP、D/SP、R/SP)を用いても良い。
次いで、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、またはスクリーン印刷法など公知の方法により、得られた懸濁液を透光性支持体1の上に塗布し、乾燥および焼成の少なくとも一方を行って多孔性半導体層を形成する。
乾燥および焼成に必要な温度、時間、ならびに雰囲気などは、それぞれ、多孔性半導体層を構成することとなる材料の種類に応じて適宜設定することが好ましい。たとえば、雰囲気としては大気雰囲気下または不活性ガス雰囲気下が挙げられ、温度および時間としては50〜800℃程度の範囲で10秒〜12時間程度が挙げられる。この乾燥および焼成は、単一の温度で1回行なっても良いし、温度を変化させて2回以上行っても良い。
多孔性半導体層が複数層で構成されている場合、互いに異なる材料からなる粒子を含む懸濁液を調製することが好ましく、調製した懸濁液の塗布と、乾燥および焼成の少なくとも一方とを2回以上繰り返し行なうことが好ましい。
多孔性半導体層を形成した後、多孔性半導体層を構成する材料からなる微粒子同士の電気的接続の向上、多孔性半導体層の表面積の増加、および多孔性半導体層を構成する材料からなる微粒子の欠陥準位の低減を目的として、多孔性半導体層を所定の液体で処理しても良い。多孔性半導体層を処理する方法は多孔性半導体層を構成する材料などに依存するため一概に言えないが、多孔性半導体層が酸化チタンからなる場合には四塩化チタン水溶液などで酸化チタン膜を表面処理することが好ましい。
−光増感剤−
多孔性半導体層に吸着されて光増感剤として機能する増感色素としては、特に限定されないが、可視光領域および赤外光領域の少なくとも一方の領域の光を吸収可能な種々の有機色素であっても良いし、可視光領域および赤外光領域の少なくとも一方の領域の光を吸収可能な種々の金属錯体色素であっても良い。これらの色素を単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
有機色素としては、たとえば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、またはナフタロシアニン系色素などが挙げられる。有機色素の吸光係数は、一般に、遷移金属に分子が配位結合した形態をとる金属錯体色素に比べて大きい。
金属錯体色素としては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、TA、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、またはRhなどの金属原子に配位子が配位結合した形態のものが挙げられる。金属錯体色素は、たとえば、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、またはナフタロシアニン系色素であることが好ましく、これらの中でもフタロシアニン系色素またはルテニウム系色素であることがより好ましく、ルテニウム系金属錯体色素であることがさらに好ましい。
金属錯体色素は、化学式(1)〜(3)で表されるルテニウム系金属錯体色素であることが特に好ましい。市販のルテニウム系金属錯体色素として、たとえば、Solaronix社製の商品名Ruthenium535色素、Ruthenium535−bisTBA色素、またはRuthenium620−1H3TBA色素などが挙げられる。
Figure 2014026903
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また、多孔性半導体層に増感色素を強固に吸着させるためには、増感色素が分子中にカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、またはホスホニル基などのインターロック基を有することが好ましい。一般に、インターロック基は、増感色素が多孔性半導体層に固定される際に増感色素と多孔性半導体層との間に存在し、増感色素の励起状態と多孔性半導体層を構成する半導体材料の伝導帯との間の電子の移動を容易にする電気的結合を提供する。
このような増感色素の吸着量は、1×10-8mol/cm2以上1×10-6mol/cm2以下であることが好ましく、5×10-8mol/cm2以上5×10-7mol/cm2であることがより好ましい。光増感剤の吸着量が1×10-8mol/cm2未満であれば、光電変換効率の低下を招くおそれがある。一方、光増感剤の吸着量が1×10-6mol/cm2を超えると、開放電圧が低下するという不具合を招くことがある。
−色素吸着法−
多孔性半導体層に増感色素を吸着させる方法としては、たとえば増感色素を溶解した溶液(以下では「色素吸着用溶液」と記す)に多孔性半導体層を浸漬させるという方法が代表的なものとして挙げられる。このとき、色素吸着用溶液が加熱されていれば、色素吸着用溶液を多孔性半導体層の微細孔の奥部まで浸透させるという効果を得ることができる。
増感色素を溶解させる溶剤としては、たとえばアルコール、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、またはジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶剤は、通常、精製されたものであることが好ましく、2種類以上を混合して用いることができる。色素吸着用溶液中の増感色素の濃度は、使用する増感色素の種類、溶媒の種類、および色素吸着工程などの条件に応じて適宜設定でき、たとえば1×10-5モル/リットル以上であることが好ましい。増感色素の溶解性を向上させるためには、加熱しながら色素吸着用溶液を調製することが好ましい。
−キャリア輸送材料−
キャリア輸送材料は、下記<電荷輸送層>で示すように、イオンを輸送可能な導電性材料であることが好ましく、たとえば液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、または溶融塩ゲル電解質などであることが好ましい。多孔性半導体層に含まれるキャリア輸送材料は、電荷輸送層5を構成する材料と同じであっても良いし、電荷輸送層5を構成する材料とは異なっても良い。
キャリア輸送材料を多孔性半導体層内に設ける方法は、特に限定されない。たとえば、キャリア輸送材料を含む溶液に多孔性半導体層を浸漬させても良い。封止部8を用いて対極支持体7を集電電極4に貼り合わせてから、キャリア輸送材料を光電変換層2内に注入しても良い。多孔性半導体層に含まれるキャリア輸送材料が電荷輸送層5を構成する材料と同じ場合には、キャリア輸送材料を所定の位置に注入することにより、電荷輸送層5が形成されると同時にキャリア輸送材料が多孔性半導体層に包含されるという方法をとることができる。
<集電電極>
本発明において、集電電極4は、透光性支持体1に支持されており、光電変換層2に接している。集電電極4は、図1に示すように封止部8の外側にも設けられていることが好ましく、これにより、外部電気回路を介して集電電極4を対極6にスムーズに接続することができる。
集電電極4は、キャリア輸送材料を含むことが好ましく、これにより、対極6へ移動した電子を光電変換層2へスムーズに移動させることができる。ここで、キャリア輸送材料は、下記<電荷輸送層>で述べるようにイオンを輸送可能な導電性材料であれば良く、電荷輸送層5を構成する材料と同じであっても良いし、電荷輸送層5を構成する材料とは異なっても良い。また、キャリア輸送材料を集電電極4内に設ける方法は、特に限定されず、キャリア輸送材料を含む溶液に集電電極4を浸漬させても良いし、封止部8を用いて対極支持体7を集電電極4に貼り合わせてからキャリア輸送材料を集電電極4内に注入させても良い。また、集電電極4に含まれるキャリア輸送材料が電荷輸送層5を構成する材料と同じ場合には、キャリア輸送材料を所定の位置に注入することにより、電荷輸送層5が形成されると同時にキャリア輸送材料が集電電極4に包含されるという方法をとることができる。
集電電極4を構成する材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、光透過性を有していても良いし、光透過性を有していなくても良い。ただし、対極支持体7を受光面にする場合は、透光性支持体1と同じく光透過性が必要となる。また、集電電極4を構成する材料は、キャリア輸送材料(電解質など)に対して腐食性を有しないことが好ましい。具体的には、集電電極4を構成する材料としては、インジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化錫(SnO2)、酸化錫にフッ素をドープしたもの(FTO)、または酸化亜鉛(ZnO)などが挙げられ、チタン、ニッケル、またはタンタルなどのキャリア輸送材料に対して腐食性を示さない金属を用いることもできる。
集電電極4の厚さは、特に限定されないが、たとえば0.02〜50μm程度であることが好ましい。集電電極4のシート抵抗値は、低ければ低いほどFF(曲線因子)を向上させることができるため好ましく、特に40Ω/□以下であることが好ましい。
集電電極4が緻密な構造をなす場合、複数の小孔が集電電極4に形成されていることが好ましい。ここで、複数の小孔は、キャリア輸送材料のパスとして機能する。つまり、電荷輸送層5に含まれるキャリア輸送材料は、集電電極4に形成された複数の小孔の内部を通って、光電変換層2の多孔性半導体層と対極6との間を移動できる。小孔の径は、0.1μm〜100μm程度であることが好ましく、1μm〜50μm程度であることがさらに好ましい。小孔と小孔との間隔は、1μm〜200μm程度であることが好ましく、10μm〜300μm程度であることがさらに好ましい。このような小孔は、物理接触またはレーザー加工により形成されることが好ましい。なお、小孔の形成が困難な場合には、ストライプ状の開口部を集電電極4に形成すれば良い。これにより、小孔を形成した場合と同様の効果が得られる。ストライプ状の開口部の間隔は1μm〜200μm程度であることが好ましく、10μm〜300μm程度であることがさらに好ましい。
集電電極4の形成方法は、特に限定されない。集電電極4は、たとえば、スパッタ法またはスプレー法などの公知の方法により光電変換層2の上と封止部8の上とに形成されることが好ましい。
<電荷輸送層>
本発明において、「電荷輸送層」とは、透光性支持体1と対極支持体7と封止部8とによって囲まれた空間の中にキャリア輸送材料が充填されて構成されたものである。キャリア輸送材料は、イオンを輸送できる導電性材料で構成されていることが好ましく、キャリア輸送材料の好適な材料としては、たとえば液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、または溶融塩ゲル電解質などが挙げられる。
液体電解質は、酸化還元種を含む液状物であることが好ましく、一般に電池または太陽電池などにおいて使用できるものであれば特に限定されない。具体的には、液体電解質としては、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶剤とからなるもの、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶融塩とからなるもの、または酸化還元種と上記溶剤と上記溶融塩とからなるものが挙げられる。
酸化還元種としては、たとえばI-/I3-系、Br2-/Br3-系、Fe2+/Fe3+系、またはキノン/ハイドロキノン系などが挙げられる。具体的には、酸化還元種は、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、またはヨウ化カルシウム(CaI2)などの金属ヨウ化物とヨウ素(I2)との組み合わせであっても良い。酸化還元種は、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)、またはテトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)などのテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素との組み合わせであっても良い。酸化還元種は、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、または臭化カルシウム(CaBr2)などの金属臭化物と臭素との組み合わせであっても良い。これらの中でも、LiIとI2との組み合わせが特に好ましい。
酸化還元種を溶解可能な溶媒としては、たとえば、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、水、または非プロトン極性物質などが挙げられる。これらの中でも、カーボネート化合物またはニトリル化合物が特に好ましい。これらの溶媒を2種類以上混合して用いることもできる。
固体電解質は、電子、ホール、またはイオンを輸送できる導電性材料であり、光電変換素子の電解質として用いることができ、且つ流動性がないものであればよい。具体的には、固体電解質は、ポリカルバゾールなどのホール輸送材、テトラニトロフロオルレノンなどの電子輸送材、ポリロールなどの導電性ポリマー、液体電解質を高分子化合物により固体化した高分子電解質、ヨウ化銅、チオシアン酸銅などのp型半導体、または溶融塩を含む液体電解質を微粒子により固体化した電解質などが挙げられる。
ゲル電解質は、通常、電解質とゲル化剤からなる。電解質は、たとえば上記液体電解質であっても良いし、上記固体電解質であっても良い。
ゲル化剤としては、たとえば、架橋ポリアクリル樹脂誘導体、架橋ポリアクリロニトリル誘導体、ポリアルキレンオキシド誘導体、シリコーン樹脂類、または側鎖に含窒素複素環式四級化合物塩構造を有するポリマーなどの高分子ゲル化剤などが挙げられる。
溶融塩ゲル電解質は、通常、上記のようなゲル電解質と常温型溶融塩からなる。
常温型溶融塩としては、たとえばピリジニウム塩類またはイミダゾリウム塩類などの含窒素複素環式四級アンモニウム塩類などが挙げられる。
電荷輸送層は、必要に応じて、次に示す添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、t-ブチルピリジン(TBP)などの含窒素芳香族化合物であっても良いし、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)、またはヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)などのイミダゾール塩であっても良い。
電解質の濃度は、0.001〜1.5モル/リットルの範囲が好ましく、0.01〜0.7モル/リットルの範囲が特に好ましい。ただし、本発明に係る光電変換素子において受光面側に触媒層(対極6)がある場合には、入射光は、電荷輸送層5内の電解液を通って、色素が吸着された多孔性半導体層に達する。これにより、キャリアが励起される。
<対極>
対極6は、対極支持体7の上に設けられており、電荷輸送層5に接している。対極6は、集電電極4とは反対側の極である。対極6を構成する材料は、集電電極4を構成する材料と同様であっても良いし、対極支持体7を受光面とするときには光透過性を有する材料からなることが好ましい。
また、対極6は、触媒層と導電層との積層体であることが好ましい。ここで、触媒層は、電荷輸送層5と導電層との間に設けられていることが好ましく、電解質の酸化還元反応を活性化させる働きを有することが好ましく、たとえば、白金、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、またはフラーレンなどからなることが好ましい。なお、このように触媒層が導電性を有する場合には、対極6は触媒層のみで構成されていても良い。
対極6は、集電電極4の形成方法と同様であれば良い。対極6として白金を用いる場合には、スパッタ法、塩化白金酸の熱分解、または電着などの公知の方法により対極6を対極支持体7の上に形成できる。対極6の厚さは、特に限定されず、たとえば0.5nm〜1000nm程度が適当である。
対極6を構成する材料としてカーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、またはフラーレンなどのカーボンを用いる場合には、対極6の形成方法としては溶剤に分散してペースト状にしたカーボンをスクリーン印刷法などにより対極支持体7上に塗布するという方法を用いることができる。
<対極支持体>
対極支持体7は、対極6を支持する。対極支持体7を構成する材料は、一般に光電変換素子の支持体に使用可能な材料であり且つ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。対極支持体7は、受光面として使用される場合には光透過性が必要となるので、上記<透光性支持体>で列挙した何れかの材料で構成されていることが好ましい。しかし、対極支持体7は、基本的には、光透過性を有していても良いし、光透過性を有していなくても良い。対極支持体7は、光透過性を必要としない場合には、たとえば金属などの無機材料からなる板または膜であっても良いし、プラスチックなどの有機材料からなる板または膜であっても良い。
透光性支持体1と同じく、完成した光電変換素子を他の構造体に取り付けるときに、対極支持体7を利用できる。すなわち、金属加工部品とねじとを用いて、対極支持体7の周辺部を他の支持体に容易に取り付けることができる。
対極支持体7の厚さは特に限定されないが、たとえば0.2〜5mm程度であることが好ましい。
<封止部>
封止部8は、透光性支持体1と対極支持体7とを保持し、電荷輸送層5の漏えい防止機能を有し、落下物または応力(衝撃)を吸収する機能を有し、長期にわたる使用時において透光性支持体1および対極支持体7のそれぞれに作用するたわみなどを吸収する機能を有する。
封止部8を構成する材料は、一般に光電変換素子に使用可能な材料であり且つ上述の機能を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。このような材料としては、紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂などが挙げられ、具体的にはシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ホットメルト樹脂、またはガラスフリットなどが挙げられる。これらを単独で用いて封止部8を形成しても良いし、これら2種類以上の材料を2層以上に積層して封止部8を形成しても良い。
紫外線硬化樹脂としては、スリーボンド社製、型番:31X−101を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、スリーボンド社製、型番:31X−088、または一般に市販されているエポキシ樹脂などを用いることができる。
封止部8を構成する材料としてシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、またはガラスフリットを使用する場合には、封止部8のパターンは、ディスペンサーを用いて形成できる。封止部8を構成する材料としてホットメルト樹脂を使用する場合には、封止部8のパターンは、シート状のホットメルト樹脂にパターニングした穴を開けることにより形成できる。
<光電変換素子の製造方法>
図1に示す光電変換素子を例に挙げて本発明に係る光電変換素子の製造方法を示す。
まず、上記<散乱部>で記載の方法にしたがって、透光性支持体1の片面の一部分に散乱部21を形成する。このとき、透光性支持体1の片面における散乱部21の形状は図7〜図9のいずれかであっても良い。
次に、散乱部21が形成された透光性支持体1の面の上に、平面視リング状の封止部8を形成する。上記<光電変換層>における‐多孔性半導体層の形成方法‐で記載の方法にしたがって、散乱部21が形成された透光性支持体1の面の上であって封止部8よりも内側に、多孔性半導体層を形成する。その後、上記<集電電極>で記載の方法にしたがって、多孔性半導体層の上と封止部8の上とに集電電極4を形成する。
対極支持体7の上に対極6を形成する。対極6の上であって、集電電極4と対極6とを対向させたときに透光性支持体1の上に形成された封止部8と対向する位置に、封止部を構成する樹脂材料を塗布する。集電電極4と対極6とが対向するように透光性支持体1と対極支持体7とを配置してから上記樹脂材料を硬化させることにより、透光性支持体1と対極支持体7とを貼り合わせる。
透光性支持体1または対極6および対極支持体7などに予め形成されていた貫通孔から、色素吸着用溶液を注入する。これにより、色素吸着用溶液に含まれる光増感剤が多孔性半導体層に吸着され、よって光電変換層2が形成される。また、対極6の上であって集電電極4と封止部8とで囲まれた空間内に上記光増感剤が充填され、よって、電荷輸送層5が形成される。また、この光増感剤は、集電電極4にも充填される。そして、貫通孔を封止すれば、図1に示す光電変換素子が製造される。
<色素増感型太陽電池>
本発明に係る色素増感型太陽電池は、本発明に係る光電変換素子を含む電極と、対電極と、本発明に係る光電変換素子を含む電極と対電極との間に設けられたキャリア輸送層とを備えている。これにより、短絡電流密度の増加が期待される色素増感型太陽電池を提供することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
<実施例1>
実施例1では、図3に示す光電変換素子を製造した。まず、透光性支持体1として、51mm×70mm×厚さ1mmのガラス基板(コーニング社製、商品名:7059)を用意した。
<散乱部の形成>
サンドブラスター(不二製作所社製)を用いて、多孔性半導体層が形成される透光性支持体1の面全体にわたって散乱部21を形成した。
表面粗さ形状測定装置(Veeco株式会社製、商品名:Dektak150)を用いて、多孔性半導体層が形成される透光性支持体1の面の表面粗さ(以下では単に「Ra1」と記すことがある)と光入射側に位置される透光性支持体1の面の表面粗さ(以下では単に「Ra2」と記すことがある)とを測定した。すると、Ra1は0.240μmであり、Ra2は0.01μmであった。また、ヘイズメータ(スガ試験機株式会社製、商品名:HZ-V3)を用いて透光性支持体1のトータルのヘイズ率を測定すると、透光性支持体1のトータルのヘイズ率は84%であった。
<封止部の形成>
散乱部21が形成された透光性支持体1の面の上であって多孔性半導体層が形成される箇所の周囲に、開口部の幅が0.5mmであるスクリーン版を設置した。スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型式:LS−34TVA)を用いてガラスフリットを上記透光性支持体1の上に塗布し、室温で1時間のレベリングを行った。得られた塗布膜を80℃で20分予備乾燥した後、450度で一時間焼成した。これにより、透光性支持体1の上に封止部8が形成された。
<多孔性半導体層の形成>
焼成後の多孔性半導体層の大きさが5mm×5mm×12μmとなるように、散乱部21が形成された透光性支持体1の面の上にスクリーン版を1cm間隔で設置した。スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製、型式:LS−34TVA)を用いて酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名:Ti−Nanoxide D/SP、平均粒径13nm)を透光性支持体1の上に塗布し、室温で1時間のレベリングを行った。得られた塗布膜を80℃で20分間予備乾燥した後、450℃で1時間焼成した。そして、この一連の工程を2回繰り返し、酸化チタンからなる多孔性半導体層を得た。
<集電電極の形成>
6mm×10mmの開口部が形成されたメタルマスクを用意した。多孔性半導体層の上面がメタルマスクの開口部から露出するように、用意したメタルマスクを透光性支持体1の上に設置した。電子ビーム蒸着器ei−5(アルバック株式会社製)を用いて、ターゲットをチタンとし、蒸着速度を5Å/sとして、チタンからなる集電電極4を形成した。集電電極4の厚さは約500nmであった。
<増感色素の吸着>
アセトニトリル(Aldrich Chemical Company製)とt−ブチルアルコール(Aldrich Chemical Company製)との混合溶剤(体積比1:1)を得た。濃度が4×10-4モル/リットルになるように、光増感剤(Solaronix社製、商品名:Ruthenium620−1H3TBA)を上記混合溶剤に溶解させた。このようにして色素吸着用溶液を得た。
上記<集電電極の形成>の後に、透光性支持体1を所望の大きさに切断した。切断された透光性支持体1を色素吸着用溶液に40℃の温度条件で20時間浸漬し、光増感剤を多孔性半導体層に吸着させた。得られた積層体をエタノール(Aldrich Chemical Company製)で洗浄し、約80℃で約10分間乾燥させた。
対極支持体7として、SnO2膜が形成されたガラス板(日本板硝子社製)を用意した。このガラス板の表面に白金を蒸着させて、厚さが300nmの白金膜からなる対極6を形成した。
紫外線硬化剤(スリーボンド社製、型番:31X−101)を封止部8の上に塗布し、この紫外線硬化剤を用いて対極6と集電電極4とを重ね合わせてから紫外線を照射した。これにより、対極6と集電電極4とが封止部8を介して貼りあわされた。
<電荷輸送材料の調製>
溶剤としてのアセトニトリルに、濃度が0.1モル/リットルとなるようにLiI(酸化還元種、Aldrich Chemical Company製)を溶解させ、濃度が0.01モル/リットルとなるようにI2(酸化還元種、東京化成工業株式会社製)を溶解させた。さらに、上記アセトニトリルに、濃度が0.5モル/リットルとなるようにt−ブチルピリジン(添加剤、TBP(4-tert-butylpyridine)、Aldrich Chemical Company製)を溶解させ、濃度が0.6モル/リットルとなるようにジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII、四国化成工業株式会社製)を溶解させた。これにより、電解質を得た。
対極6および対極支持体7に予め形成されていた電解液注入用孔から上記電解質を注入した。その後、紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製、型番:31X−101 229)を用いて、電解液注入用孔を封止した。これにより、実施例1の光電変換素子が得られた。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は16.0mA/cm2であった。
<実施例2>
実施例2では、図1に示す光電変換素子を製造した。つまり、多孔性半導体層が形成される透光性支持体1の面に1mmの幅で1mm間隔で短冊状の散乱部21(図7参照)を形成したことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、本実施例の光電変換素子を製造した。
散乱部21を製造してから、上記実施例1に記載の方法にしたがってRa1とRa2と透光性支持体1のトータルのヘイズ率とを測定した。Ra1は0.115μmであり、Ra2は0.01μmであり、透光性支持体1のトータルのヘイズ率は47%であった。また、散乱部21を製造してから、上記ヘイズメータを用いて散乱部21のヘイズ率を測定した。散乱部21のヘイズ率は80%であった。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は15.5mA/cm2であった。
<実施例3>
実施例3では、図4に示す光電変換素子を製造した。つまり、多孔性半導体層が形成される透光性支持体1の面全体に散乱部21を形成し、且つ、光入射側に位置する透光性支持体1の面全体に散乱部22を形成したことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、本実施例の光電変換素子を製造した。
散乱部21,22を製造してから、上記実施例1に記載の方法にしたがってRa1とRa2と透光性支持体1のトータルのヘイズ率とを測定した。Ra1は0.240μmであり、Ra2は0.225μmであり、透光性支持体1のトータルのヘイズ率は90%であった。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は15.8mA/cm2であった。
<実施例4>
実施例4では、図5に示す光電変換素子を製造した。つまり、多孔性半導体層が形成される透光性支持体1の面全体に散乱部21を形成し、且つ、上記実施例2に記載の散乱部21の製造方法に倣って散乱部22を形成したことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、本実施例の光電変換素子を製造した。
散乱部21,22を製造してから、上記実施例1に記載の方法にしたがってRa1とRa2と透光性支持体1のトータルのヘイズ率とを測定し、上記実施例2に記載の方法にしたがって散乱部22のヘイズ率を測定した。Ra1は0.235μmであり、Ra2は0.118μmであり、透光性支持体1のトータルのヘイズ率は84%であり、散乱部22のヘイズ率は90%であった。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は15.5mA/cm2であった。
<実施例5>
散乱部21の間隔を2mmとしたことを除いては上記実施例2に記載の方法にしたがって、実施例5の光電変換素子を製造した。
散乱部21を製造してから、上記実施例1に記載の方法にしたがってRa1とRa2と透光性支持体1のトータルのヘイズ率とを測定し、上記実施例2に記載の方法にしたがって散乱部21のヘイズ率を測定した。Ra1は0.095μmであり、Ra2は0.01μmであり、透光性支持体1のトータルのヘイズ率は30%であり、散乱部21のヘイズ率は80%であった。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は15.0mA/cm2であった。
<実施例6>
散乱部21の間隔を4mmとしたことを除いては上記実施例2に記載の方法にしたがって、実施例6の光電変換素子を製造した。
散乱部21を製造してから、上記実施例1に記載の方法にしたがってRa1とRa2と透光性支持体1のトータルのヘイズ率とを測定し、上記実施例2に記載の方法にしたがって散乱部21のヘイズ率を測定した。Ra1は0.070μmであり、Ra2は0.01μmであり、透光性支持体1のトータルのヘイズ率は16%であり、散乱部21のヘイズ率は80%であった。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は14.7mA/cm2であった。
<実施例7>
散乱部21の間隔を9mmとしたことを除いては上記実施例2に記載の方法にしたがって、実施例7の光電変換素子を製造した。
散乱部21を製造してから、上記実施例1に記載の方法にしたがってRa1とRa2と透光性支持体1のトータルのヘイズ率とを測定し、上記実施例2に記載の方法にしたがって散乱部21のヘイズ率を測定した。Ra1は0.1μmであり、Ra2は0.01μmであり、透光性支持体1のトータルのヘイズ率は10%であり、散乱部21のヘイズ率は80%であった。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は14.5mA/cm2であった。
<実施例8>
上記実施例1に記載のサンドブラスターを用いて散乱部21のヘイズ率が50%となるようにして当該散乱部21を形成したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、実施例8の光電変換素子を製造した。
散乱部21を製造してから、上記実施例1に記載の方法にしたがってRa1とRa2と透光性支持体1のトータルのヘイズ率とを測定した。Ra1は0.1μmであり、Ra2は0.01μmであり、透光性支持体1のトータルのヘイズ率は50%であった。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は15.8mA/cm2であった。
<実施例9>
上記実施例1に記載のサンドブラスターを用いて散乱部21のヘイズ率が10%となるようにして当該散乱部21を形成したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、実施例9の光電変換素子を製造した。
散乱部21を製造してから、上記実施例1に記載の方法にしたがってRa1とRa2と透光性支持体1のトータルのヘイズ率とを測定した。Ra1は0.06μmであり、Ra2は0.01μmであり、透光性支持体1のトータルのヘイズ率は10%であった。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は14.5mA/cm2であった。
<実施例10>
Ra2が0.27となるように散乱部22を形成し、且つ、Ra1が0.260となるように散乱部21を形成したことを除いては上記実施例3に記載の方法にしたがって、実施例10の光電変換素子を製造した。
散乱部21,22を製造してから、上記実施例1に記載の方法にしたがって透光性支持体1のトータルのヘイズ率を測定し、上記実施例2に記載の方法にしたがって散乱部21,22のヘイズ率を測定した。透光性支持体1のトータルのヘイズ率は94%であり、散乱部21のヘイズ率は94%であり、散乱部22のヘイズ率は93%であった。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は15.7mA/cm2であった。
<比較例1>
散乱部21を形成しなかったことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、比較例1の光電変換素子を製造した。
多孔性半導体層を形成する前に、上記実施例1に記載の方法にしたがってRa1とRa2と透光性支持体1のトータルのヘイズ率とを測定した。Ra1およびRa2はともに0.01μmであり、透光性支持体1のトータルのヘイズ率は1%であった。
得られた光電変換素子に1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射したところ、短絡電流密度は11.5mA/cm2であった。
<考察>
実施例1〜10と比較例1とを比べると、短絡電流密度は、実施例1〜10の方が比較例1よりも大きかった。その理由としては、実施例1〜10では透光性支持体の少なくとも一部に散乱部が形成されているのに対して、比較例1では透光性支持体には散乱部が形成されていないことが挙げられる。
実施例3と実施例10とを比べると、短絡電流密度は、実施例3の方が実施例10よりも大きかった。その理由としては、実施例3ではRa2はRa1以下であるのに対して、実施例10ではRa2はRa1よりも大きいことが挙げられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 透光性支持体、2 光電変換層、4 集電電極、5 電荷輸送層、6 対極、7 対極支持体、8 封止部、21,22 散乱部。

Claims (7)

  1. 透光性支持体の上に、多孔性半導体層を有する光電変換層と、前記透光性支持体に支持され前記光電変換層に接する集電電極と、電荷輸送層と、対極と、前記対極を支持する対極支持体とが順に設けられた光電変換素子であって、
    前記透光性支持体の少なくとも一部には、散乱部が形成されている光電変換素子。
  2. 前記散乱部のヘイズ率は、10%以上90%以下である請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記透光性支持体のトータルのヘイズ率は、10%以上90%以下である請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 光入射側に位置する透光性支持体の面の表面粗さは、前記光電変換層側に位置する透光性支持体の面の表面粗さ以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 前記多孔性半導体層は、化合物半導体材料からなる請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。
  6. 前記光電変換層は、前記多孔性半導体層と、前記多孔性半導体層内に設けられた光増感剤およびキャリア輸送材料とを含む請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の光電変換素子を備えた色素増感太陽電池。
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