JP3953924B2 - アクリル系重合体凝固組成物およびそれを用いたアクリルゾル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリルゾルに好適なアクリル系重合体凝固組成物、並びに該アクリル系重合体凝固組成物および可塑剤からなるアクリルゾルに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、工業的に広く用いられているプラスチゾル組成物は、ポリ塩化ビニル(塩ビ)パウダーおよび充填剤を可塑剤に分散させて得られる塩ビゾル組成物であり、用途により、さらに顔料、熱安定剤、発泡剤、希釈剤などを配合して使用されている。該塩ビゾル組成物は、自動車用、カーペット用、壁紙用、床用等のコーティング剤、含浸剤、コーキング剤などとして、多くの分野において種々の目的で使用されている。
一方、塩ビゾル組成物の焼却時に発生する塩化水素ガスは、焼却炉を著しく損傷させるという難点を有しており、さらには最近の環境問題上、酸性雨の原因となるばかりでなく地球のオゾン層の破壊原因物質ともなっており、各商品分野でこのような塩ビゾル組成物に代る、難点のないプラスチゾル組成物の出現が待たれている。
【0003】
このような要求に対し、燃焼時に塩化水素ガスを発生しないプラスチゾルとして、アクリルゾル組成物が提案されている。例えば、均一組成系のアクリルポリマー粒子を用いたものが知られているが、ジオクチルフタレートのような汎用可塑剤を用いた場合には、該可塑剤の前記粒子への溶解性が高く、混合後数分間でアクリルゾルの粘度上昇が起きて成膜不能となるため、実用上使用することができないという問題があった(特許文献1参照)。またアクリルゾルの成膜性および貯蔵安定性を向上するために、アクリルポリマーに可塑剤との相溶性の低い単量体成分を共重合させる方法が提案されているが、このようなアクリルゾルを用いる場合には、得られる皮膜表面に可塑剤がブリードアウトしやすいという問題点を有していた。
【0004】
また特許文献2や特許文献3では、可塑剤との相溶性が良好な特定のモノマーからなる(a)成分と、可塑剤との相溶性の低い特定モノマーからなる(b)成分とを含み、かつ(a)成分の構成比率がアクリル重合体粒子の中心部から最外層に向けて多段階もしくは連続的に減少し、(b)成分の構成比率がアクリル重合体粒子の中心部から最外層に向けて多段階もしくは連続的に増加するアクリル系重合体粒子を用いたアクリルゾルが提案されている。しかし、該アクリル系重合体粒子を用いたアクリルゾルは、粒子表面層と可塑剤との相溶性が低く、二次粒子内への可塑剤の拡散不良のため、成膜中に二次粒子の残存によるブツが発生して平滑な皮膜を形成できず、実用上好ましくないという問題点を有していた。
【0005】
また特許文献4や特許文献5には、二次平均粒子径が0.1〜500μmの範囲内にある、可塑剤に分散したアクリルゾルからなるプラスチゾル組成物が提案されている。しかしながら、二次平均粒子径が微細なアクリル系重合体を含むアクリルゾルを用いる場合には、アクリル系重合体粒子の単位体積あたりの粒子面積が大きいため初期粘度が高くなることから、このような二次平均粒子径が微細なアクリル系重合体を含むアクリルゾルをコーティング用の実用粘度にするためには、可塑剤量を多くしたり、希釈用の有機溶剤を添加するなどの必要が生じる。その結果、この場合には皮膜表面に可塑剤がブリードアウトしたり、添加した有機溶剤が塗膜中に残存し成膜性を損なうといった不良が生じやすくなるという問題があった。
【0006】
一方、二次平均粒子径が大きいアクリル系重合体を含むアクリルゾルを用いる場合には、その初期粘度は、二次平均粒子径が微細なアクリル系重合体を含むアクリルゾルよりも低くなる傾向が見られるものの、アクリルゾル中のアクリル系重合体の均一性が劣り、成膜中にブツが発生し平滑な皮膜を形成できないという問題があり、さらに、皮膜の加熱によるゲル化に長時間を要するためアクリルゾル塗工品の生産性が低下しやすいという問題点を有していた。
【0007】
【特許文献1】
特公昭55−16177号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平8−295850号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平9−77950号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開昭51−71344号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】
特開昭54−117553号公報(特許請求の範囲)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、塩ビゾル組成物のように焼却時に塩化水素ガスを発生することがなく、貯蔵安定性およびブリードアウト性に優れ、かつブツのない平滑な塗膜を形成できるアクリルゾルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の架橋構造重合体と特定の多段階重合体を有する2種のアクリル系重合体を、ラテックス混合することによって得られるアクリル系重合体凝固組成物を使用することによって上記の問題点が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
アクリル系架橋重合体(I)を含むラテックスおよびアクリル系多段階重合体(II)を含むラテックスを混合した後に凝固してなるアクリル系重合体凝固組成物(A)であって;
(i)アクリル系架橋重合体(I)が、アクリル酸アルキルエステル単位50質量%以上、アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位49.99質量%以下および多官能性単量体単位0.01〜10質量%からなり、ガラス転移点が50℃以下である、1段階または互いに単量体組成の異なる2段階以上の重合反応により形成される架橋重合体粒子であり;
(ii)アクリル系多段階重合体(II)が、前段階重合体(II−a)を含むラテックス中で、後段階重合体(II−b)を形成させてなる多段階重合体粒子であり、前段階重合体(II−a)が、メタクリル酸メチル単位20質量%以上70質量%未満を含む共重合体よりなる、1段階または互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応により形成される共重合体であり、
後段階重合体(II−b)が、メタクリル酸メチル単位70質量%以上を含む1段階または互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応により形成される重合体であり、
前段階重合体(II−a)と後段階重合体(II−b)との質量比が、10/90〜90/10であり;
(iii)アクリル系架橋重合体(I)とアクリル系多段階重合体(II)との質量比が、5/95〜40/60である;
ことを特徴とする、アクリルゾルに好適に用いられるアクリル系重合体凝固組成物に関する。
【0011】
さらに、本発明は、上記のアクリル系重合体凝固組成物(A)100質量部および可塑剤(B)500質量部以下からなるアクリルゾルに関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を更に詳細に説明する。 本発明のアクリル系重合体凝固組成物(以下、凝固組成物という場合がある。)は、アクリル系架橋重合体(I)およびアクリル系多段階重合体(II)から構成される。
【0013】
アクリル系架橋重合体(I)は、1段階の重合反応で形成されるか、またはそれにより得られる重合体粒子を含むラテックス中で互いに単量体組成の異なる2段階以上の重合反応を行うことにより形成される重合体粒子である。アクリル系架橋重合体(I)は、各段階の重合反応により形成される重合体が、いずれも、少なくとも1種のアククリル酸アルキルエステル単位50質量%以上およびアククリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体から誘導される単位49.99質量%以下および多官能性単量体単位0.01〜10質量%より構成される。
【0014】
アクリル系架橋重合体(I)中、アクリル酸アルキルエステル単位の割合が50質量%未満の場合には、本発明のアクリル系重合体凝固組成物を含むアクリルゾル(以下アクリルゾルという場合がある)を成膜して得られる皮膜の耐寒性が低下し好ましくない。アクリル酸アルキルエステル単位の割合は、60質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましい。
【0015】
アクリル系架橋重合体(I)を構成するアクリル酸アルキルエステル単位の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどからなる単位が挙げられ、これらは単独または併用して用いられる。中でも、アクリル酸アルキルエステル単位は、炭素数1〜4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単位が好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチルからなる単位がより好ましい。
【0016】
また、アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体から誘導される単位の例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等のα、β−不飽和カルボン酸;スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のマレイミド系化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;などからなる単位が挙げられ、中でも、ガラス転移点(Tg)の調整や金属との密着性の向上に適することから、メタアクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルからなる単位が好ましい。これらは単独または併用して用いることができ、目的や用途に応じて適宜選択することができる。アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体から誘導される単位の割合は、49.99質量%以下であり、39.99質量%以下であるのが好ましく、29.99質量%以下であるのがより好ましい。
【0017】
本発明に使用されるアクリル系架橋重合体(I)中の多官能性単量体単位は0.01〜10質量%である。0.01質量%未満の場合は得られるアクリルゾルの貯蔵安定性が低下して好ましくなく、10質量%を超えるとアクリルゾルの成膜中にブツが発生しやすくなったり、皮膜表面からの可塑剤のブリードアウトが生じたりして好ましくない。多官能性単量体単位の割合は0.05〜5質量%であるのが好ましく、0.2〜2質量%であるのがより好ましい。
【0018】
アクリル系架橋重合体(I)を構成する多官能性単量体単位の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどからなる単位が挙げられ、これらは単独または併用して用いられる。中でも、分子量が250以上の多官能性単量体単位がより好ましく、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートにおけるポリエチレングリコール単位の平均分子量は400〜600であるのが好ましい。
【0019】
アクリル系架橋重合体(I)を構成する架橋重合体は、いずれもTgが50℃以下である。Tgが50℃以下であると、膜成形後に、皮膜表面からの可塑剤のブリードアウトのない皮膜を与えるアクリルゾルが得られる。
【0020】
アクリル系架橋重合体(I)の粒子径は、特に制限されないが、0.01〜10μmの範囲内であるのが好ましく、0.05〜1μmの範囲内であるのがより好ましい。粒子径が0.01μm以上であるとアクリル系架橋重合体(I)の取扱い性が向上し、10μm以下であるとアクリル系多段階重合体(II)の分散性が良好になり、形成される皮膜が表面平滑性に優れたものとなる。
【0021】
本発明のアクリル系重合体凝固組成物を構成するアクリル系多段階造重合体(II)は、前段階重合体(II−a)および後段階重合体(II−b)からなり、前段階重合体(II−a)から構成される重合体粒子を含むラテックス中で、後段階重合体(II−b)を形成させてなる多段階重合体粒子である。
【0022】
上記の前段階重合体(II−a)は、1段階の重合反応で形成されるか、またはそれにより得られる重合体粒子を含むラテックス中で互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応を行うことにより形成される共重合体であり、前段階に包含される各段階の重合反応により形成される共重合体が、いずれも、メタクリル酸メチル単位20質量%以上70質量%未満およびメタクリル酸メチルと共重合可能な他の単量体から誘導される単位30質量%を超え80質量%以下を含むものである。メタクリル酸メチル単位の割合は、30〜60質量%であるのが好ましく、40〜60質量%であるのがより好ましい。前段階重合体(II−a)のメタクリル酸メチル単位が20質量%未満では得られるアクリルゾル形成される皮膜強度が低下して好ましくなく、メタクリル酸メチル単位が70質量%以上であると、皮膜表面の耐ブリードアウト性が低下して好ましくない。
【0023】
また、後段階重合体(II−b)は、前段階重合体(II−a)の粒子を含むラテックス中で、1段階または互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応により形成される重合体であり、後段階に包含される各段階の重合反応により形成される重合体が、いずれも、メタクリル酸メチル単位70質量%以上およびメタクリル酸メチルと共重合可能な他の単量体から誘導される単位30質量%以下からなるものである。後段階重合体(II−b)のメタクリル酸メチル単位が70質量%未満であると、得られるアクリルゾルの貯蔵安定性が低下し好ましくない。
【0024】
上記のメタクリル酸メチルと共重合可能な他の単量体から誘導される単位としては、アクリル系架橋重合体(I)で挙げた単官能性または他官能性の単量体単位を単独または併用して用いることができ、前段階重合体(II−a)および後段階重合体(II−b)を構成する各重合体のメタクリル酸メチル単位の割合が、それぞれ上記の範囲となるように、用途に応じて適宜選択することができる。
【0025】
本発明において使用されるアクリル系多段階重合体(II)の前段階重合体(II−a)および後段階重合体(II−b)をそれぞれ単独で製造した場合の重量平均分子量(Mw)は、用途に応じて適宜選択されるが、いずれも、50,000〜2,000,000の範囲内であるのが好ましく、100,000〜1000,000であるのがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が50,000以上であると膜成形後の皮膜の強度が向上し、また重量平均分子量(Mw)が2,000,000以下であると可塑剤との融解速度が適切となり生産性が向上する。重量平均分子量(Mw)の調整は、メルカプタン等の連鎖移動剤を用いて行うことかでき、該メルカプタンとしては、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、 n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等を挙げることができる。また、用途や目的とする性状に応じ、多官能性単量体を共重合して架橋構造やグラフト構造を導入してもよい。
【0026】
アクリル系多段階重合体(II)に占める前段階重合体(II−a)を構成する重合体の合計と後段階重合体(II−b)を構成する重合体の合計との質量比は、10/90〜90/10の範囲内であり、40/60〜80/20の範囲内であるのがより好ましい。後段階重合体(II−b)の割合が10質量%未満では、得られるアクリルゾルの貯蔵安定性が低下し、また90質量%を超えると、可塑剤のブリードアウトを生じ易くなる。
【0027】
アクリル系多段階重合体(II)の粒子径は、特に制限されないが0.15〜30μmの範囲内であるのが好ましく、0.15〜2μmの範囲内であるのがより好ましい。粒子径が上記の範囲内であるとアクリル系多段階重合体(II)の分散性が良好になり、形成される皮膜の表面平滑性が向上する。
【0028】
本発明において使用されるアクリル系架橋重合体(I)およびアクリル系多段階重合体(II)は、例えば乳化重合法のような公知の重合方法により、ラテックス状態で製造することができる。乳化重合に用いることのできる乳化剤は、例えば、アニオン系乳化剤として、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ノニオン系乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等;ノニオン・アニオン系乳化剤として、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩等の1種または2種以上を用いることができる。上記に例示したノニオン系乳化剤およびノニオン・アニオン系乳化剤の例示化合物における、オキシエチレン単位の平均繰返し数は、乳化剤の発泡性が極端に大きくならないようにするために、30以下であるのが好ましく、20以下であるのがより好ましく、10以下であるのがさらに好ましい。
【0029】
乳化重合に際しては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、有機過酸化物/パースルホキシレート、過硫酸塩/亜硫酸塩等のレドックス系開始剤のいずれの重合開始剤を用いてもよい。
乳化重合において、単量体、乳化剤、開始剤、連鎖移動剤等は、目的とする段階の重合反応に応じて、一括添加、分割添加、連続添加等公知の任意の方法で添加することができる。
【0030】
本発明のアクリル系重合体凝固組成物は、アクリル系架橋重合体(I)を含むラテックスと、アクリル系多段階重合体(II)を含むラテックスとを、ラテックス状態で混合して得られるものである。これにより本発明のアクリル系重合体凝固組成物では、それぞれ別々に凝固物を得た後に混合したものと比較して、混合状態を均一にできるという利点を有し、得られるアクリルゾルは分散性が向上する上に、貯蔵安定性も向上する。
【0031】
アクリル系架橋重合体(I)とアクリル系多段階重合体(II)との質量比は、5/95〜40/60の範囲内であり、5/95〜35/65の範囲内であるのが好ましい。アクリル系架橋重合体(I)の配合比が5質量%よりも少なくなると、アクリル系多段階重合体(II)の分散性が悪くなり、形成される皮膜の表面平滑性が低下するようになる。また、アクリル系架橋重合体(I)の配合比が40質量%よりも多くなると、膜成形後の皮膜の強度が低下する場合がある。アクリル系架橋重合体(I)を含むラテックスと、アクリル系多段階重合体(II)を含むラテックスとのラテックス状態での混合は、含まれる重合体換算での質量比が上記の範囲内となるように、混合比率を調整する。
【0032】
混合後のラテックスを凝固させてアクリル系重合体凝固組成物を取出す方法としては、塩析凝固法、凍結凝固法、噴霧乾燥法等の公知の方法により行うことができる。また、塩析凝固法、凍結凝固法などの凝固工程に続く、脱水および乾燥も公知の方法により行うことができる。
【0033】
本発明のアクリル系重合体凝固組成物(A)の用途は特に制限されず、樹脂改質剤、粉体塗料等の原料などとして有効に使用することができる。中でも本発明のアクリル系重合体凝固組成物(A)は、アクリルゾルの原料として特に有効であり、本発明は、上記したアクリル系重合体凝固組成物(A)および可塑剤(B)からなるアクリルゾルを包含する。本発明のアクリルゾルに使用できる可塑剤(B)は特に制限されないが、ジメトキシエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジエトキシエチルフタレート、ジブトキシエチルフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤;ジフェニルオクチルホスフェート、トリブチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリ2−エチルヘキシルフォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート、トリスイソプロピルフェニルフォスフェート、レゾルシノールビスジフェニルフォスフェート(RDP)、ビスフェノールAビスジフェニルフォスフェート、ビスフェノールAビスクレジルフォスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;ジ2−ヘキシルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤;ジ2−エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル系可塑剤;ジ2−ヘキシルアゼレート等のアゼライン酸エステ系可塑剤;トリ2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;フマル酸ジブチル等のフマル酸エステル系可塑剤;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル系可塑剤;オレイン酸ブチル等のオレイン酸エステル系可塑剤;ポリエステル系可塑剤;等を用いることができる。
【0034】
これらは単独または2種以上組み合わせて用いられ、中でも、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレートが、安価で工業的に入手が容易であることから好ましい。また、難燃性を付与するためにはリン酸エステル系可塑剤を用いることが好ましい。
【0035】
アクリル系重合体凝固組成物(A)と可塑剤(B)との混合比率は、アクリル系重合体凝固組成物(A)100質量部当たり、可塑剤(B)500質量部以下であり、50〜500質量部であるのが好ましく、50〜200質量部であるのがより好ましい。
【0036】
本発明のアクリルゾルは、さらに充填剤(C)を含有することができる。使用することのできる充填剤(C)としては、例えば、炭化カルシウム、バライタ、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、二酸化チタン、カーボンブラック、金属石鹸、染料、顔料などを挙げることができる。充填剤(C)の含有量は、アクリル系重合体凝固組成物100質量部当たり50〜500質量部の割合であるのが好ましい。
【0037】
本発明のアクリルゾルには、上記のほかに、希釈剤として例えばミネラルタービン等の溶剤を加えてオルガノゾルとすることもできる。さらに目的に応じて各種の添加剤を含有させることができる。該添加剤としては、例えば、接着促進剤、レベリング剤、タック防止剤、離型剤、消泡剤、発泡剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、香料等の他の成分の1種または2種以上を含有していてもよい。これらの成分の含有量は、一般に、アクリル系重合体凝固組成物100質量部に対して0.01〜20質量部である。
【0038】
本発明のアクリルゾルを塗工するには、ディップコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング、カーテンフローコーティング等のコーティングや、ディップモールディング、キャストモールディング、スラッシュモールディング、ローテーショナルモールディング等の成型法のほか、浸漬、刷毛塗り、スプレー、静電塗装等の各種の適用方法によることができる。
【0039】
本発明のアクリルゾルを用いてゲルを形成させるには、適当なゲル形成温度と処理時間が必要である。ゲル形成温度は70〜260℃の範囲内であるのが好ましく、処理時間は10秒〜90分の範囲内であるのが好ましい。本発明のアクリルゾルは、このゲル化条件で均一な膜を形成することができる。また用途によっては、硬化皮膜に、さらに印刷、エンボス加工、発泡処理などを行うこともできる。
【0040】
本発明のアクリルゾルは、塗料、インキ、接着剤、シーリング剤等として応用することができ、これらを雑貨、玩具、工業部品、電気部品等の成型品に応用することができる。また、例えば紙や布などのシート状物に適用すれば、壁紙、人工皮革、敷物、医療用シート、防水シート等を得ることができ、金属板に適用すれば防蝕性金属板とすることができる。
【0041】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における物性値の測定または評価は、以下の方法により行った。
【0042】
(1)粒子径測定 堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA―300を用いて測定した。
【0043】
(2)貯蔵安定性
アクリルゾル調製1時間後の30℃での粘度と30℃、10日間放置後の30℃での粘度とを、BL型粘度計(トキメック社製)No4ローターを使用し、12rpmで測定し、次式から粘度保持性を求め、下記の評価基準にしたがって貯蔵安定性を評価した。
粘度保持性=10日間放置後の粘度/1時間後の粘度
[貯蔵安定性の評価基準]
○:粘度保持性が2未満であり、貯蔵安定性が極めて良好である。
△:粘度保持性が2以上3未満であり、貯蔵安定性がはぼ良好である
×:粘度保持性が3以上であり、貯蔵安定性が極めて不良である
【0044】
(3)皮膜均一性
アクリルゾルを調製した後、基材にナイフコーターで塗布し、140℃で焼き付けを20分間行った後の硬化皮膜の状態を目視観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
[皮膜均一性の評価基準]
○:ブツなし
×:ブツあり
【0045】
(4)耐ブリードアウト性
硬化皮膜を形成した後、25℃、1週間保持後の該皮膜表面において可塑剤のブリードアウト状態を目視観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
[耐ブリードアウト性の評価基準]
○:可塑剤のブリードアウトなし
×:可塑剤のブリードアウトあり
【0046】
また参考例、実施例および比較例中に用いた化合物名およびその略称[( )内]を、下記に示す。
メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸n−ブチル(n−BMA)、メタクリル酸イソブチル(i−BMA)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA)、アクリル酸n−ブチル(BA)、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート(PEG14G)[エチレングリコール単位の平均繰返し数:14]、アリルメタクリレート(ALMA)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、n−オクチルメルカプタン(n−OM)、過硫酸カリウム(KPS)、ジイソノニルフタレート(DINP)。
【0047】
<参考例1>
[アクリル系架橋重合体(I−1)の重合]
攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水900質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリム3.6質量部および炭酸ナトリム0.23質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素のない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、KPS0.225質量部を投入し、5分間攪拌した後、MMA29.7質量%、BA69.3質量%およびPEG14G1.0質量%からなる単量体混合物454.5質量部を180分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系架橋重合体(I−1)を含むラテックスを得た。粒子径は0.10μmであった。
【0048】
<参考例2>
[アクリル系架橋重合体(I−2)の重合]
▲1▼攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水800質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.06質量部および炭酸ナトリム0.4質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素のない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、KPS0.09質量部を投入し、5分間攪拌した後、MMA10質量%、i−BMA10質量%、BA79.92質量%、ALMA0.03質量%およびPEG14G0.05質量%からなる単量体混合物180.14質量部を80分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
【0049】
▲2▼次いで、同反応器内に、KPS0.21質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA39.2質量%、BA58.8質量%およびHDDA2.0質量%からなる単量体混合物428.4質量部を120分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系架橋重合体(I−2)を含むラテックスを得た。粒子径は0.34μmであった。
【0050】
<参考例3>
[アクリル系架橋重合体(I−3)の重合]
参考例1に使用した単量体混合物に代えて、MMA88.9質量%、BA9.9質量%およびNPGDM(ネオペンチルグリコールジメタクリレート)1.2質量%からなる単量体混合物を用い、他の条件は参考例1と同様にして、アクリル系架橋重合体(I−3)を含むラテックスを得た。粒子径は0.10μmであった。
【0051】
<参考例4>
[アクリル系多段階重合体(II−1)の重合]
▲1▼攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水900質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム0.09質量部および炭酸ナトリム0.3質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素のない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、KPS0.06質量部を投入し、5分間攪拌した後、MMA50質量%、およびi−BMA50質量%からなる単量体混合物300質量部を90分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
【0052】
▲2▼次いで、同反応器内に、KPS0.12質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA90質量%、i−BMA5質量%および2−HEMA5質量%からなる単量体混合物300質量部を90分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系多段階重合体(II−1)を含むラテックスを得た。粒子径は0.23μmであった。
【0053】
<参考例5>
[アクリル系多段階重合体(II−2)の重合]
▲1▼攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水800質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.02質量部および炭酸ナトリム0.8質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素のない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、KPS0.08質量部を投入し、5分間攪拌した後、MMA30質量%、n−BMA35質量%およびi−BMA35質量%からなる単量体混合物200質量部を30分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
【0054】
▲2▼次いで、同反応器内に、KPS0.08質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA40質量%、n−BMA30質量%およびi−BMA30質量%からなる単量体混合物200質量部を45分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
【0055】
▲3▼次に、同反応器内に、KPS0.08質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA50質量%、n−BMA25質量%およびi−BMA25質量%を含む単量体混合物200質量部を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
【0056】
▲4▼次に、同反応器内に、KPS0.08質量部を投入して5分間攪拌した後、 MMA80質量%、n−BMA10質量%およびi−BMA10質量%を含む単量体混合物200質量部を100分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系多段階重合体(II−2)を含むラテックスを得た。粒子径は0.62μmであった。
【0057】
<参考例6>
[アクリル系多段階重合体(II−3)の重合]
▲1▼攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水900質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム0.09質量部および炭酸ナトリム0.23質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素のない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、KPS0.225質量部を投入し、5分間攪拌した後、MMA45質量%、i−BMA50質量%およびBA5質量%からなる単量体混合物225質量部を50分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
【0058】
▲2▼次いで、同反応器内に、KPS0.225質量部を投入して5分間攪拌した後、 MMA10質量%およびi−BMA90質量%からなる単量体混合物225質量部を50分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系多段階重合体(II−3)を含むラテックスを得た。粒子径は0.21μmであった。
【0059】
参考例1〜6で製造したアクリル系架橋重合体(I)またはアクリル系多段階重合体(II)の組成を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
<実施例1>
アクリル系架橋重合体(I−1)を含むラテックスとアクリル系多段階重合体(II−1)を含むラテックスとを2対8の割合で混合した。得られた混合ラテックスをスプレードライヤー[L−8型、大川原化工機(株)製]を用いて粉体化し、アクリル系重合体凝固組成物(A−1)を得た。該凝固組成物(A−1)100質量部にRDP100質量部を加え、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)で混合しアクリルゾルを調製した後に、上記の方法で貯蔵安定性、皮膜均一性および耐ブリードアウト性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0062】
<実施例2>
アクリル系架橋重合体(I−1)を含むラテックスとアクリル系多段階重合体(II−2)を含むラテックスとを1対9の割合で混合した。得られた混合ラテックスをプレードライヤー[L−8型、大川原化工機(株)製]を用い、噴霧乾燥を行い、アクリル系重合体凝固組成物(A−2)を得た。該凝固組成物(A−2)100質量部にDINP100質量部を加え、実施例1と同様にアクリルゾルを調製し、上記で示した評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0063】
<実施例3>および<比較例1〜3>
表2に示すような割合で、アクリル系架橋重合体(I−1)〜(I−3)を含むラテックスとアクリル系多段階重合体(II−1)〜(II−3)を含むラテックスとを混合する以外は実施例1と同様にアクリルゾルを調製し、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】
本発明のアクリル系重合体凝固組成物は、焼却時に塩ビゾル組成物のような塩化水素ガスを発生させることがなく、貯蔵安定性に優れ、ブツのない平滑な塗膜を形成でき、かつ初期粘度調整が容易なアクリルゾルを与える。
Claims (2)
- アクリル系架橋重合体(I)を含むラテックスおよびアクリル系多段階重合体(II)を含むラテックスを混合した後に凝固してなるアクリル系重合体凝固組成物(A)であって;
(i)アクリル系架橋重合体(I)が、アクリル酸アルキルエステル単位50質量%以上、アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位49.99質量%以下および多官能性単量体単位0.01〜10質量%からなり、ガラス転移点が50℃以下である、1段階または互いに単量体組成の異なる2段階以上の重合反応により形成される架橋重合体粒子であり;
(ii)アクリル系多段階重合体(II)が、前段階重合体(II−a)を含むラテックス中で、後段階重合体(II−b)を形成させてなる多段階重合体粒子であり、前段階重合体(II−a)が、メタクリル酸メチル単位20質量%以上70質量%未満を含む共重合体よりなる、1段階または互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応により形成される共重合体であり、
後段階重合体(II−b)が、メタクリル酸メチル単位70質量%以上を含む1段階または互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応により形成される重合体であり、
前段階重合体(II−a)と後段階重合体(II−b)との質量比が、10/90〜90/10であり;
(iii)アクリル系架橋重合体(I)とアクリル系多段階重合体(II)との質量比が、5/95〜40/60である;
ことを特徴とするアクリル系重合体凝固組成物。 - 請求項1に記載のアクリル系重合体凝固組成物(A)100質量部および可塑剤(B)500質量部以下からなるアクリルゾル。
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