請求項1に記載の発明は、前面開口部を有する筐体と、前記前面開口部に備えられた扉と、前記扉を前記筐体に回動自在に連結させる連結部と、前記筐体に備えられ前記扉を自閉させる動作を行う自閉機能部と、前記自閉機能部と対向する前記扉側に備えられる接続部と、前記扉が閉まる際に前記扉の閉まる速度を減速させる減速機能部とを有し、前記自閉機能部は案内レールと、傾斜部材と、弾性体とからなり、前記案内レールは前記減速機能部に連結され、前記傾斜部材は前記減速機能部の端部に回転可能かつ前記案内レールと水平移動可能に連結され、前記弾性体は前記傾斜部と減速機能部とを連結しており、前記扉が閉まる際に前記自閉機能部の傾斜部と前記接続部が連結することで前記傾斜部が回転し自閉機能が動作し、前記弾性体により前記傾斜部が前記案内レールを水平移動することで前記減速機能部によって前記扉の減速が開始され、前記扉が全閉状態となるまで減速しながら自閉される冷蔵庫である。
これによって、扉が自閉可能かつ、扉自身の重さや扉に収納した被収納物の重さに関係無く緩い速度で閉扉動作を行なうことになり、扉装置の使い勝手向上と安全な閉扉動作を実現することができる。
また、これによって扉の全開時には自閉機能が動作せず、任意のタイミングで手動により扉を閉めることができるので収納物の出し入れを円滑に行うことができ、扉装置の使い勝手を向上させることができる。また、閉扉動作に手動により閉じた後に、自閉機能部と接続部が連結して初めて自閉機能を働かせることで自閉機能部の自閉負荷を低減することができ、自閉機能部の小型化やコストダウンを図ることができる。
請求項3に記載の発明は、自閉機能部および減速機能部は筐体の天井部に備えられているものである。
請求項2に記載の発明は、接続部は扉の幅方向の中心に対して前記扉の連結部側に配設されたものである。
請求項4に記載の発明は、自閉機能部および減速機能部は連結部と異なる箇所に備えられているものである。
請求項3に記載の発明は、自閉機能部は移動可能な第一機構を備え、扉が閉まる際に、前記第一機構が前記接続部を前記筐体側に引き込むことで前記扉を自閉させるものであり、前記第一機構が前方へ移動した状態において、第一機構の前方端は筐体の前面より後方に位置するものである。
請求項2に記載の発明は、接続部は扉の幅方向の中心に対して前記扉の連結部側に配設されたものである
請求項5に記載の発明は、自閉機能部および減速機能部は連結部と異なる箇所に備えられているものである。
請求項5に記載の発明は、扉に備えられた接続部は前記扉の筐体側に凸形状に突出したものである。
請求項7に記載の発明は、自閉機能部と接続部とはラッチ機能により着脱可能に連結されるものである。
請求項6に記載の発明は、自閉機能部と接続部とはラッチ機能により着脱可能に連結されるものである。
請求項8に記載の発明は、自閉機能部と接続部とは磁力により着脱可能に連結されるものである。
また、各貯蔵室には閉時に前面開口部21aを閉塞し筐体である断熱箱体21と連結された扉である冷蔵室ドア32、切替室ドア33、野菜室ドア34、冷凍室ドア35を備える。
冷蔵室ドア32は断熱箱体21に固着された上部ヒンジ36と、仕切壁25に固着された下部ヒンジ37とにより断熱箱体21に回動自在に連結され、残りの切替室ドア33と野菜室ドア34と冷凍室ドア35とは各貯蔵室内の断熱箱体21の両側部に固着されたレ
ール部材21bにより断熱箱体21と前後に開閉可能であるように連結される。
上部ヒンジ36は板状の上部ヒンジ本体36aを断熱箱体21の上面に固着され、上部ヒンジ本体36aの一部は前面開口部21aより冷蔵室ドア32側にはみ出し、はみ出した部分には下向きに突出した上部回転軸36bを備える。
冷蔵室ドア32の上部は、冷蔵室ドア32の上面に設けた上面孔32aに上部回転軸36bを挿入することにより回動自在となる。
下部ヒンジ37は板状のものを略直角に折り曲げ形成された上下方向に平行な固定部37aと、固定部37aの上面より伸びて略水平なベース部37bと、ベース部37bに上向きに備えられた下部回転軸37cと、下部回転軸37cの上下ほぼ中央部に位置し下部回転軸37cより固定部37a側に突出した円筒状のピン37dとからなり、固定部37aは冷蔵室ドア32と切替室ドア33との間の仕切壁25前面に固着され、ベース部37b、下部回転軸37c、ピン37dは前面開口部21aより冷蔵室ドア32側に突出している。
冷蔵室ドア32の下部は冷蔵室ドア32の下面に設けた凹部32bと、凹部32bに設けられ所定の深さを有する下面孔32cと、自閉機能と減速機能とを有するベース38と、カバー39と、バネ40とから構成される。
まず、バネ40を下面孔32cに挿入方向と平行にバネ40が弾性を有する様挿入し、ベース38のベース筒部38aをバネ40の後に下面孔32cに挿入する。この時、丸穴形状のベース穴部38bを有するベースフランジ部38cは凹部32b内に収納される。
また、ベース筒部38aはベースフランジ部38cより下面孔32c奥側に円筒形状に凸であり、ベース筒部38aの下面孔32c奥側の端部は閉塞され、バネ40の長さとベース筒部38aの長さとの和は下面孔38aの深さより大きいので、バネ40はベース38の挿入により下面孔32cの中で圧縮された状態で保持される。
また、ベース38を下面孔32cに挿入後、ベース38の下側よりカバー39を凹部32bに固定することによりベース38はバネ40の弾性により飛出すことなく下面孔32c内部に保持される。
カバー39は下部ヒンジ37のベース部37b上面と当接する当接部39aと、当接部39aにベース38のベース筒部38aと同軸に丸穴で貫通したカバー穴部39bと、ベースフランジ部38cを覆うカバーフランジ部39cと、カバーフランジ部39cより凹部32c側に立ち上げられ凹部32cに当接してカバー39を凹部32cに固着するカバー凸部39dとからなる。
カバー凸部39dはカバー39を凹部32cに固着した時にベース穴部38bと同軸かつベース穴部38bよりわずかに直径の小さい円筒形状としている。
更にカバー凸部39dが凹部32cに固着した際でもカバーフランジ部39c上面と凹部32c下面との空間にはベースフランジ部38cのフランジ厚さに加え所定空間41を有している。
結果として、冷蔵室ドアにバネ40とベース38とカバー39とを備えた状態では、バネ40の弾性力によりベース38の下面はカバー39の上面に当接することになり、特に凹部32cにおいてはカバーフランジ部39c上面とベースフランジ部38c下面とが当
接し、かつベースフランジ部38cと凹部32c下面との間には所定空間41を有した状態となる。
また、ベース38は上方向に力を受けた場合にはバネ40を更に圧縮しながらカバー39から独立して所定空間41分上方に移動可能となっている。
ベース筒部38aと当接部39aとは下部ヒンジ37の挿入時にピン37dが当たらぬ様、それぞれベース垂直溝部38d、カバー溝部39eを有する。
また、ベース筒部38aの内径とカバー穴部39bの内径は共に下部ヒンジ37の下部回転軸37cの直径よりわずかに大きく、更に下部ヒンジ37のピン37dの先端は逆にベース筒部38aの内径とカバー穴部39bとの内径より大きくかつ少なくともベース筒部38aの外径より突出しない様に設定されている。
また、ベース垂直溝部38dはベース筒部38aの下面から上下方向の途中まで形成され、ベース垂直溝部38d上端は下部回転軸37c挿入時にはピン37d上端とベース垂直溝部38d上端とがわずかに当接し、バネ40を更に圧縮することがほとんど無いように設定されており、更にベース垂直溝部38d上端より冷蔵室ドア32の回動方向にはピン37dが走行可能な程度の上下方向の空間を有する経路38eを備える。
経路38eはベース垂直溝部38d下端より冷蔵室ドア32の回動方向に下方に傾斜する傾斜部38fと、傾斜部38f上端よりさらに冷蔵室ドア32の回動方向に略水平方向に形成された水平部38gと、水平部38gの端部で冷蔵室ドア32の回動時にピン37dが当接して冷蔵室ドア32の回動を制限する終端部38hとを有する。
ピン37dは、ベース38がバネ40を圧縮しながら上下動することにより常に経路38eの上面と当接しながら終端部38hに到達し、所定空間41は傾斜部38fの上下端間の距離以上となるよう設定されている。
冷蔵室ドア32が閉位置にあり、ピン37dがベース垂直溝部38d上端に当接している状態より冷蔵室ドア32を開放していくと、ピン37dはまず見かけ上傾斜部38f上面上端より傾斜を下ることになるが、この時ピン37d自身は動かずベース38がバネ40を更に圧縮しながら上方に移動し更に冷蔵室ドア32と共に開方向に回動している。 次にピン37dが傾斜部38fの上面下端に到達するとピン37dは水平部38g上面を走行し、ベース38はバネ40の圧縮を保持したまま冷蔵室ドア32と共に回動し、ピン37dが終端部38hに到達すると冷蔵室ドア32の開放は止まる。
逆に冷蔵室ドア32を全開時より閉める場合にはピン37dが水平部38gを通過して傾斜部38fの上面下端に到達すると見かけ上傾斜部38f上面下端より傾斜を上ることになるが、この時もピン37d自身は動かずバネ40は圧縮を開放しながらベース38は下方に移動し更に冷蔵室ドア32と共に閉方向に回動する。
ピン37dが傾斜部38fにある時にはバネ40が圧縮を開放するので、ベース38にはバネ40の圧縮開放により常に下方向への力が加えられ、結果として見かけ上傾斜部38fをピン37dが上ることにより冷蔵室ドア32は自閉機能を有する。
したがって、冷蔵室ドア32の自閉機能が動作を開始する第2の位置は傾斜部38fの上面下端の位置により決定することになる。
また、経路38eの下面は上面とほぼ平行にピン37dの直径より大きな間隔を有して
形成されており、更に傾斜部38fの下面には傾斜の途中に緩衝部材38iを備える。
緩衝部材38iは冷蔵室ドア32の開扉方向にはピン37dの走行をほとんど阻害せず、閉扉方向にのみピン37dとの摩擦によりピン37dの走行を阻害して冷蔵室ドア32の閉扉時の速度を緩和するという減速機能に方向性を有し、傾斜部38f下面の傾斜上下端よりそれぞれ所定距離離れた位置に備えられている。
また、緩衝部財38i上面と傾斜部f上面との間のみ、ピン37dの直径よりわずかに狭く設定されており、冷蔵室ドア32の開閉時にピン37dが必ず緩衝部材38iと接するようになる。
冷蔵室ドア32が閉扉時に第2の位置に到達し、ピン37dが傾斜部38fの上面下端に達すると冷蔵室ドア32は自閉を開始し、更に所定距離閉扉してピン37dが緩衝部材38iの下端に達するとピン37dと緩衝部材38iとの摩擦によりピン37dの走行を阻害して冷蔵室ドア32の閉扉時の速度を減速するので、冷蔵室ドア32の減速機能が動作を開始する第1の位置は緩衝部材38iの下端の位置より決定することになる。
更に冷蔵室ドア32が第1の位置より閉扉すると、ピン37dと緩衝部材38iとの摩擦により冷蔵室ドア32の閉扉時の速度は徐々に減速されるが、ピン37dが緩衝部材38iの上端に達するとピン37dは緩衝部材38iからの摩擦を受けなくなるので冷蔵室ドア32の閉扉速度の減速は終了し、そのままピン37dはベース垂直溝部38d上端に到達して冷蔵室ドア32は完全に閉扉することになる。
したがって、冷蔵室ドア32の減速機能が解除される第3の位置は緩衝部材38iの上端の位置により決定することになる。
冷蔵室ドア32の下部は、冷蔵室ドア32の下面にバネ40とベース38とカバー39とを備えた状態で、ベース溝部38d、カバー溝部39eとピン37dの方向を合わせながら下部回転軸37cを挿入し、冷蔵室ドア32の開閉時にピン37dが経路38eを走行することにより回動自在となる。
また、冷蔵室ドア32は断熱箱体21側の面より断熱箱体21側に立ち上げられ、冷蔵室ドア32の閉扉時には内箱23と仕切壁25とより更に冷蔵室28の内側に位置する冷蔵室ドア32の上下方向に伸びた断面略長方形の土手部32dを有する。
土手部32dは冷蔵室ドア32の左右方向に略平行に2本備えられ、両土手部32間には飲料や卵などの被収納物42を収納する棚43が被収納物42を出し入れ可能な程度の空間を有して上下方向に3段備えられ、更に棚43の断熱箱体21側の面は土手部32dの先端とほぼ同一面となる様構成されている。
また、冷蔵室ドア32の自閉機能が動作を開始する第2の位置は冷蔵室ドア32の閉扉時に断熱箱体21の前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に約150mmから250mmの空間を有し、冷蔵室ドア32の減速機能が動作を開始する第1の位置は同じく冷蔵室ドア32の閉扉時に断熱箱体21の前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に約100mmから150mmの空間を有し、冷蔵室ドア32の減速機能が解除される第3の位置は同じく冷蔵室ドア32の閉扉時に断熱箱体21の前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に約1mmから5mmの空間を有する様設定されている。
また、冷蔵室ドア32の全開時には冷蔵室ドアは第2の位置よりも大きく開放され、約
120°程度開放可能とし、全開時より第2の位置までは手動にて閉扉動作を行なう様に構成している。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷蔵室ドア32を全開し、徐々に手動にて閉扉していき冷蔵室ドア32が前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に約150mmから250mmの空間を有する第2の位置に到達すると冷蔵室ドア32は見かけ上ベース38の傾斜部38fをピン37dが上ることにより自閉を開始し、更に閉扉して前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に約100mmから150mmの空間を有する第1の位置に冷蔵室ドア32が到達すると冷蔵室ドア32の閉扉速度は緩衝部材38iとピン37dとの摩擦により減速し始める。
更に冷蔵室ドアが閉扉していくにつれ冷蔵室ドア32の閉扉速度は徐々に減速し、前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に約1mmから5mmの空間を有する第3の位置に到達すると冷蔵室ドア32は減速機能を解除され、そのままピン37dがベース垂直溝部38dに到達し冷蔵室扉32は閉扉する。
また、ピン37dが傾斜部38fに位置する間は常に冷蔵室ドア32に閉扉方向の力が作用するので、冷蔵室ドア32を閉位置より開扉していく際でも、冷蔵室ドアが冷蔵室ドア32の自閉機能が動作を開始する第2の位置に達する前に開扉動作を解除すると冷蔵室ドア32は自閉する。
この時、冷蔵室ドア32の自閉機能が動作する第2の位置を冷蔵室ドア32の閉扉時に断熱箱体21の前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に約150mmから250mmの空間を有するとしたが、自閉範囲を広くする方が手動による閉扉動作を軽減できるので冷蔵庫20の使い勝手が良くなるように見えるが、冷蔵庫20は従来冷蔵室ドア32を開放して被収納物42を出し入れするものであるため、一度冷蔵室ドア32を開扉して連続して複数の被収納物42を出し入れする際には冷蔵室ドア32は開放状態を保持できる方が使い勝手が良いものとなる。
したがって、本実施の形態では容易に被収納物42が出し入れできない前面開口部21aと回転軸と反対側の土手部32dとの間の約150mmから250mmの空間を有する第2の位置より冷蔵室ドア32の自閉を開始し、第2の位置より開扉側では自閉機能は動作せず、冷蔵室ドア32は開放保持可能とした。
また、冷蔵室ドア32の減速機能が動作を開始するする第1の位置を冷蔵室ドア32の閉扉時に断熱箱体21の前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に約100mmから150mmの空間を有するとしたが、減速機能が動作する範囲が広いと冷蔵室ドア32の閉扉動作に時間がかかることになり、結果としてせっかく冷却された冷蔵室28内の冷気が逃げてしまうので消費電力量が増加したり冷蔵室28内の被収納物42の劣化の要因となってしまう為、減速機能が動作する範囲は狭い方が良い。
しかしながら、冷蔵室ドア32の閉扉時に断熱箱体21の前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの空間を狭くしたり、もしくは回転軸と反対側の土手部32dが前面開口部21aより更に冷蔵室28内に入り込んだ位置より減速機能が動作を開始すると前面開口部21aと回転軸と反対側の土手部32dとの間に使用者の指や腕を挟んでしまう恐れが生じる。
したがって、本実施の形態では断熱箱体21の前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの空間に使用者の指や腕を挟んでしまうことが無い様、約100mmから150mmの空間を有するとした。
また、冷蔵室ドア32の減速機能が解除される第3の位置を前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に約1mmから5mmの空間を有するとしたが、前述のように減速機能が動作する範囲は狭い方が消費電力の増加や被収納物42の劣化を抑制できる為、冷蔵室ドア32の減速機能が解除される第3の位置に関しては前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの空間は広く取り、早く減速機能を解除する方が望ましいが、早すぎると閉扉動作中に使用者の指や腕を挟んでしまう為、本実施の形態では閉扉動作中に使用者の指や腕を挟むことが無い様、前面開口部21aと冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に約1mmから5mmの空間を有する位置を冷蔵室ドア32の減速機能が解除される第3の位置とした。
なお、本実施の形態では冷蔵室ドア32に土手部32dを設けたが、土手部32dが無い場合には冷蔵室ドア32の断熱箱体21側の面と前面開口部21Aとの空間を各所定値範囲とすれば良い。
また、棚43の断熱箱体21側の面は土手部32dの先端とほぼ同一面としたが、棚43の断熱箱体21側の面が土手部32dの先端より断熱箱体21側に突出する場合は冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dの先端と棚43の断熱箱体21側の面との内、前面開口部21aとの距離が狭い方の空間を各所定値範囲とすれば良い。
また、冷蔵庫20の冷蔵室ドア20が左右に分割された観音開きドアの場合は開状態にある側の冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dの先端と棚43の断熱箱体21側の面との内、閉位置にある側の冷蔵室ドア32の断熱箱体21と反対側の外観面との距離が狭い方の空間を各所定値範囲とすれば良い。
以上のように本実施の形態においては冷蔵庫20が冷蔵室ドア32に動作する自閉機能と減速機能とを有する下部ヒンジ37のピン37dやベース38を備えることにより、冷蔵室ドア32が自閉可能かつ、冷蔵室ドア32自身の重さや棚43に収納した被収納物42の重さに関係無く緩い速度で閉扉動作を行なうことになり、冷蔵庫20の使い勝手向上と安全な閉扉動作を実現することができる。
また、下部ヒンジ37のピン37dやベース38の減速機能が動作を開始する第1の位置は自閉機能が動作を開始する第2の位置より断熱箱体21側に位置させることにより、冷蔵室ドア32の閉扉速度を減速した後自閉させると、閉扉時の勢いを自閉に利用できなくなるので自閉機能を有する下部ヒンジ37のピン37dやベース38に大きな自閉能力が必要となり自閉機能部が大型化となることを抑制することができる。
また、冷蔵室ドア32の自閉距離に関し断熱箱体21の前面開口部21aと、冷蔵室ドア32の回転軸と反対側の土手部32dとの間に所定値範囲の空間を取ることにより、冷蔵庫20の使用者の使用状況に合わせて下部ヒンジ37のピン37dやベース38による自閉距離を設定することで冷蔵庫20の使い勝手を更に向上させることができる。
また、冷蔵室ドア32の減速機能が動作を開始する第1の位置を断熱箱体21の前面開口部21aと、回転軸と反対側の冷蔵室ドア32の土手部32dとの間に所定値範囲の空間を取ることにより、冷蔵庫20使用者の使用状況に合わせて下部ヒンジ37のピン37dやベース38による減速距離を設定することで使用者の腕や指を挟むことを防止でき、扉装置の安全性を更に高めることができる。
また、冷蔵室ドア32を全開時から閉める際には、下部ヒンジ37のピン37dやベース38による自閉機能が動作開始する第2の位置までは手動にて閉められ、第2の位置に扉が到達すると下部ヒンジ37のピン37dやベース38により自閉し、更に下部ヒンジ37のピン37dやベース38による減速機能が動作開始する第1の位置に扉が到達すると下部ヒンジ37のピン37dやベース38による減速作用を受けて減速しながら自閉させることにより、閉扉動作に手動部を設けることで下部ヒンジ37のピン37dやベース38による自閉機能の自閉能力を低減することができ、自閉機能を有する下部ヒンジ37のピン37dやベース38の小型化やコストダウンを図ることができる。
また、下部ヒンジ37のピン37dやベース38による冷蔵庫20の自閉機能を利用した冷蔵室ドア32の自閉動作を阻害する下部ヒンジ37のピン37dやベース38による減速機能を閉扉動作の途中から解除することにより、冷蔵室ドア32が完全に閉まりきる直前には自閉を阻害する減速機能は動作せず自閉機能のみが動作することになり、自閉機能による自閉の信頼性向上を図ることができる。
(実施の形態2)
図11は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の上部斜視図である。図12は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の平面図である。図13は本発明の実施の形態2における自閉機能部の構成図である。図14は本発明の実施の形態2における扉装置の要部拡大図である。図15は本発明の実施の形態2における扉装置の動作図である。図16は本発明の実施の形態2における扉装置の動作図である。図17は本発明の実施の形態2における扉装置の動作図である。
図において、前面開口部102を有した冷蔵庫本体100の上部には、扉110がヒンジ101を回転中心として回動可能に軸支されている。
ヒンジカバー120は、ヒンジ101の上部を覆う樹脂製のカバーである。
自閉機構部130は、冷蔵庫本体100のヒンジ101の近傍の天井部に配設され、主に第一機構131と、第二機構132と、永久磁石133と、ダンパー134と、第一バネ135と、第二バネ136と、位置検出スイッチ137とから構成されている。
第一機構131は、ヒンジ101の回転中心と同軸上に回転可能に連結されており、取付位置としては、ヒンジカバー120の上面に形成された略L字型の機構部材である。材料としては、ジュラコン、鋼板等所定の強度が確保できる材料が好ましい。
ここで、第一機構131がヒンジ101に固定された状態において、第一機構131は、ヒンジ101から後方に向けた形状の第一胴部131aと、冷蔵庫の幅方向において、第一胴部131aから反ヒンジ101方向に向けた形状の第二胴部131bで構成されており、第二胴部131bの前方近傍には軸貫通穴131cが形成されている。
第二機構132は、第一機構131に対して回転可能に取り付けられた略L字型の機構部材であり、取付状態において、冷蔵庫の幅方向に対して略水平となる第一辺132aと、後方に向けて構成された第二辺132bとからなり、材料としては、ジュラコン、鋼板等所定の強度が確保できる材料が好ましい。
ここで、第二機構132には、二つの軸が取付状態において下向きに形成されている。
第一軸132cは、L字のコーナー部に形成された略円筒形の軸であり、第一軸132
cが軸貫通穴131cを貫通することで、第二機構132は第一機構131に対して回転可能となる。
第二軸132dは、第二辺132bの後方端部に形成された略円筒形の軸である。ここで、ヒンジカバー120には、第一ガイド溝121と、第二ガイド溝122が形成されている。
第一ガイド溝121は、ヒンジ101を中心とした長丸穴であり、貫通軸穴131cを貫通した第一軸132cが第一ガイド溝121を貫通していることで、第一ガイド溝の範囲のみ第一機構131は回転を許されることになる。このとき、第一ガイド溝121の範囲は、第一機構131が第一停止位置から第二停止位置近傍の間のみ移動可能に設定されている。
本実施例において第一停止位置は、第一胴部131aが、冷蔵庫の幅方向に対して後方に8°傾斜した状態であり、第二停止位置は、第一胴部131aが、冷蔵庫の幅方向に対して水平となる状態である。
第二ガイド溝122は、第一ガイド溝121の後方に配置されたベース123に形成されたヘの字形状の長丸穴である。第二ガイド溝122の長辺122aは、ヒンジ101を中心としており、短辺122bは、第ニ停止位置における第一軸132cを中心としている。ここで、第二軸132dが、第二ガイド溝122を貫通することで、第一軸132cを中心とした第二機構132の回転運動は規制されることとなる。
つまり、第二軸132dが長辺122aに位置する第一状態とき、第一辺132aは第一機構131および永久磁石133と略水平となり、第一辺132aと、第一機構131および永久磁石133の前方端は上面図において重なることとなる。この第一状態において、第一機構131は、ヒンジ101を中心として回転可能となる。
次に、第二軸132dが短辺122bに位置する第二状態のとき、第一辺132aは第一機構131および永久磁石133に対し、その前方端が前方へ突出す状態となる。この第二状態において、第一機構131は、ヒンジ101を中心とした回転が不可能となる。
永久磁石133は、第二胴部131bの前方に固定された磁石であり、磁石の材料としてはネオジムやフェライト磁石を用いることが望ましい。
ダンパー134は、ヒンジカバー120に固定された直進式のダンパーである。
ここで、ダンパー134はダンパー本体134aとダンパー本体134aを収納するダンパーケース134bとから構成されており、ダンパー本体134aの前方端は、第一機構131の動作範囲において、第一機構131の後方端面に当接している。
ダンパー本体134a内にはシリコンオイルが充填されており、かかる荷重に対して2段階にその動作を切り替える構造となっている。(詳細は図示せず)具体的には、高い荷重が負荷として発生した時には、ダンパー本体134aの動作荷重も大きくなる第一動作となり、荷重が減少した時には、ダンパー本体134aの動作荷重も小さくなる第二動作となる。
加えて、ダンパー本体134aが圧縮される方向に対しては動作荷重が発生し、逆方向に対しては、動作荷重が略0になることが好ましく、ダンパー本体内には、無負荷時に初期状態に復帰するための復帰用バネが内蔵されている。
第一バネ135は、第一機構131の反ヒンジ101側端部と、ヒンジカバー120の後方近傍を連結することにより、第一機構131を後方へ引っ張ることとなる。
ここで、第一機構131が第二停止位置にあるとき、第一バネ135の弾性力は最大となり、第一停止位置にあるとき、弾性力は最小となるが、本実施例においては、この第一停止位置においても、弾性力が0となることのないよう、軽微な弾性力を与えた。
第二バネ136は、第一機構131と第二機構132を連結することにより、第二機構132の第一辺132aを前方に引っ張ることとなる。
位置検出スイッチ137は、第一機構131の後方端面に当接するように配設され、第一機構131の位置を検出さるための位置検出用のスイッチであり、ホールICを組み込んでユニット化された基盤が使用されている(詳細は図示せず)。
ここで、位置検出スイッチ137の動作としては、接点が押された状態では電気的に開状態となり、制御手段(図示せず)は扉110が閉状態であると判断する。逆に接点が押されていない状態では電気的に閉状態となり、制御手段(図示せず)は扉110が開状態であると判断する。
接続部140は、永久磁石133と対向するドア内部に凸形状に形成された突起141と、突起141の先端に形成された磁性体142で構成されており、磁性体142の材料としては、表面に塗装を施した鋼板を用いることが望ましい。
ここで、扉110が全閉状態であるとき、磁性体142と、第一停止位置にある第一機構131に固定された永久磁石133とが当接するように突起141の形状は定められている。
カバー150は、冷蔵庫本体100の上部を覆う部材であり、永久磁石133と接続部140が当接する位置には切欠き151が形成されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、扉110が、全閉状態の時、接続部140は、切欠き151を貫通した状態で、磁性体142と、第一停止位置にある第一機構131に固定された永久磁石133とが当接し、磁力により連結されている。
さらに、第一辺132aと磁性体142が当接することで、第二機構132は第一状態となり、第一機構131は、ヒンジ101を中心として回転可能である。
加えて、ダンパー本体134aは、第一機構131の後方端面により、後方に押し込まれた状態となっている。
さらに、位置検出スイッチ137は、第一機構131の後方端面により、接点が押されて電気的に開状態となっており、制御手段(図示せず)は扉110が閉状態と判断する。
次に、人の手により、扉110が開放された場合、接続部140と永久磁石133が磁力により連結していることにより、第一機構131、第二機構132、永久磁石133は、ヒンジ101を中心に回転しながら前方に移動する。これに伴い、第一バネ135は引き伸ばされて弾性力を蓄えるとともに、復帰用バネの働きにより、ダンパー本体134a
は前方に移動する。
この時、位置検出スイッチ137は、第一機構131の後方端面が接点から離れることで、電気的に閉状態となっており、制御手段(図示せず)は扉110が開状態と判断する。ここで、従来の冷蔵庫のように扉110の位置を直接検知することで、扉110の開閉の識別にある程度のディファレンシャルが必要であったのに比べ、本実施例では、非常に高い検出精度で閉状態から開状態の判別を行うことができる。
次に、人の手により、扉110がさらに開放されて、本実施例においては、扉110が8°より若干開放された状態では、第一機構131はヒンジ101を中心とした回転を、第一ガイド溝121により停止することで、磁力による接続部140と永久磁石133の連結は解除される。
この時、接続部140と永久磁石133の連結が解除されることで、第二バネ136の作用により、第二機構132の第一辺131aは前方に回転を許され、第二軸132dは、短辺122bに移動して第二状態となることで、第一機構131、第二機構132、永久磁石133と共に、ヒンジ101を中心とした回転は不可能となる。
しかし、第二軸132dが短辺122bの端部に向けて後方に若干移動することから、本実施例においては、第一胴部131aおよび永久磁石133が、冷蔵庫の水平方向と水平となる第二停止位置で第一機構131の回転は停止するとともに、第二機構132の第一辺132aは、永久磁石133の前端面より前方に突出した位置で停止する。加えてダンパー本体134aも前方へ移動して復帰することで、第一機構131の後方端面に当接した状態で停止する。
つまり、自閉機能部130は、第一バネ135に弾性力を蓄え前方に引き出されて停止する。
このとき、自閉機能部130および接続部140は、ヒンジ101近傍に配設されており、突起141の突き出し代を小さくできることで、冷蔵庫のデザイン性を損なうことがない。さらに、自閉機能部130および接続部140が、天井部に構成されているので、容易に人が触れることができない。
次に、人の手により、全開状態の扉110が閉じられ、扉110が8°開放された状態となると、接続部140と永久磁石133が磁力により吸着して当接するとともに、磁性体142の上部が第二機構132と当接して第一辺132aが後方に移動して、第二状態から第一状態となることで、第一機構131は、ヒンジ101を中心とした回転が可能となり、第一バネ135に蓄えられた弾性力により後方に引き込まれることで扉110は自閉されることとなる。
ここで、本実施例において、扉110が8°開放された状態においては、扉110の内壁とこれに対向する冷蔵庫本体100およびその他扉との間に、人の手や指を挟む恐れのある約100mmの隙間が形成されている。
扉110が自閉を開始した後、第一機構131が第一停止位置となるまで後方に移動するとともに、第一機構の後方端面がダンパー本体134aを後方に移動されることにより、扉110は全閉状態となるまで減速しながら自閉することになる。
つまり、人の手や指を挟む危険のある状態においては、減速させながら自閉することができる。
ここで、人の手により扉110に加えられた力の慣性力により、永久磁石133と接続部140が当接した瞬間には、ダンパー133に対する荷重が最大となり、ダンパー133は第一動作となり、大きな減速効果が得られる。次に一旦扉110が減速することにより、ダンパー133は第二動作となり、小さな荷重でもゆっくりとした速度で自閉する。
つまり、小さな自閉力においても減速しながらの自閉が可能となる。
さらに、本実施例においては、第一バネ135は、第一停止位置でも軽微な弾性力を維持しているので、自閉開始から全閉状態まで、自閉力を維持できることから、大きな自閉寸法を確保することができる。
加えて、収納物が多い場合や扉110が勢いよく閉じられた場合など、ダンパー133にかかる負荷が大きいとき、ダンパー133は第一動作となり、大きな減速効果が得られる。
また、収納物が少ない場合や扉110がゆっくりと閉じられた場合など、ダンパー133にかかる負荷が小さいとき、ダンパー133は第ニ動作となり減速効果は低減する。
さらに、扉110が全閉状態となった場合、第一機構131の後方端面により、位置検出スイッチ137の接点が押されることで、電気的に開状態となり、制御手段(図示せず)は扉110が閉状態と判断する。ここで、従来の冷蔵庫のように扉110の位置を直接検知することで、扉110の開閉の識別にある程度のディファレンシャルが必要であったのに比べ、本実施例では、非常に高い検出精度でドアすきを検知することができる。
以上のように本実施の形態の冷蔵庫は、前面開口部を有する冷蔵庫本体110と、冷蔵庫本体110に対してヒンジ101において回動可能に配設された扉110と、冷蔵庫本体100に配設され、扉110を自閉させる自閉機能部130と、自閉機能部130と対向して扉110に形成され、少なくとも扉110が閉まる際に自閉機能部130と着脱可能に連結される接続部140とを備え、自閉機能部130は、ヒンジ101とは異なる個所に備えられると共に、自閉機能部130が接続部140を引き込むことにより、扉110を閉方向に自閉させることとなり、大きな自閉寸法を得ることができる。
さらに、自閉機能部130および接続部140は、冷蔵庫本体100の幅方向において、ヒンジ101近傍に配設されたことにより、扉110の開部から離れた箇所に自閉機能部130および接続部140が配設されていることとなり、冷蔵庫のデザイン性を向上させることができる。
さらに、自閉機能部130と接続部140は、磁力により着脱可能に連結されることにより、自閉過程において、ラッチ機構による反力が発生しないこととなり、扉110の閉め忘れを防止することができる。
さらに、自閉機能部130と接続部140が連結された後、自閉機能部130は、第一バネ135による自閉力によって扉110を閉めることにより、簡潔な構造で自閉力を得ることができ、自閉機能部130を低コスト化できる。
さらに、自閉機能部130には、扉100の開閉を検知するドアスイッチが構成されてことにより、冷蔵庫本体100にドアスイッチを設ける必要がなく、冷蔵庫の組立て性を向上させることができる。
さらに、自閉機能部130および接続部140は、冷蔵庫本体100の天井部に配設されていることにより、自閉機能部130および接続部140が人の手の届き難い箇所にあり、収納物の出し入れの際に誤って人が触れたりする頻度を低くでき、自閉機能部130および接続部140の信頼性を向上することができる。
さらに、自閉機能部130は、扉110の回動に連動して扉110全閉状態から所定角度のみ回転する第一機構131と、扉110が自閉機能部130と連結された状態では第一機構131を回動可能とし、扉110が自閉機能部130との連結を解除した状態では第一機構131の回動を停止させる第二機構132と、第一機構131を冷蔵庫の後方に引く第一バネ135とを備え、第一機構131の前方端には永久磁石133が形成されていることにより、自閉機能部130と扉110とが磁力により着脱可能に連結されることととなり、自閉過程においてラッチ機構による反力が発生しない。
さらに、第一機構131に配設された永久磁石133と対向する扉110の内面に、磁性体142を配設したことにより、自閉機能部130と扉110とが磁力により着脱可能に連結されることととなり、自閉過程においてラッチ機構による反力が発生しない。
さらに、自閉機能部130には、第一機構131の位置を検出する位置検出スイッチ137を構成したことにより、精度の高い位置検出ができ、扉110の位置検出精度を向上させることができる。
さらに、第一機構131の回転中心は、扉110の回転中心と同軸上に位置することにより、自閉機能部130と接続部140の当接部は一定位置であり、簡潔な機構で自閉機能部130および接続部140を構成することができる。
さらに、第一機構131が前方へ移動した状態において、第一機構131および永久磁石133の前方端は、冷蔵庫本体100の前面より後方に位置することにより、可動部である第一機構131が冷蔵庫本体100の前面より吐出することがなく、冷蔵庫のデザイン性を向上することができる。
さらに、第一機構131に配設された永久磁石133と対向する扉110の内面に、冷蔵庫本体に向けて突起141が形成され、突起141の先端に磁性体142を配設したことにより、可動部である第一機構131が冷蔵庫本体100の前面より吐出することがなく、冷蔵庫のデザイン性を向上することができる。
なお、本実施例においては、扉110の開閉を検知する位置検出スイッチ137を第一機構131の位置を検出するように配設したが、接続部140の位置を検出するように位置検出スイッチ137を配設しても同様の効果が期待できる。
なお、本実施例においては、減速手段として直進式シリコンオイルダンパーを用いたが、直進式エアダンパーを用いても同様の効果が期待できる。
(実施の形態3)
図18は本発明の実施の形態3における扉装置の要部構成図である。図19は本発明の実施の形態3における特性図である。図20は本発明の実施の形態3における扉装置の動作図である。図21は本発明の実施の形態3における扉装置の動作図である。
図において、自閉機構部230は、冷蔵庫本体100のヒンジ101の近傍の天井部に配設され、主に第一機構231と、駆動源232と、位置検出スイッチ233と、第二機構132と、永久磁石133と、ダンパー134と、第二バネ136とから構成されてい
る。
第一機構231は、ヒンジ101の回転中心と同軸上に回転可能に連結されており、取付位置としては、ヒンジカバー120の上面に形成された略L字型の機構部材である。材料としては、ジュラコン、鋼板等所定の強度が確保できる材料が好ましい。
ここで、第一機構231がヒンジ101に固定された状態において、第一機構231は、ヒンジ101から後方に向けた形状の第一胴部231aと、冷蔵庫の幅方向において、第一胴部231aから反ヒンジ101方向に向けた形状の第二胴部231bで構成されており、第二胴部231bの前方近傍には軸貫通穴231cが形成され、また、反ヒンジ101側端近傍にはガイド溝231dが形成されている。
本実施例において第一停止位置は、第一胴部231aが、冷蔵庫の水平方向に対して後方に8°傾斜した状態であり、第二停止位置は、第一胴部231aが、冷蔵庫の幅方向に対して水平となる状態である。
駆動源232は、通電時に第一機構231を後方へ引き込む動作を行うもので、本実施例においては第一機構231の後方に配設されたソレノイドであり、電磁石となるコイル232aと、鉄心232bとから構成され、鉄心232bの前方端は、ガイド溝231dと連結されている。
ここで、図において、移動距離と、各駆動源および弾性体の持つ推進力の関係を示した特性図であり、弾性体の推進力が第二停止位置において最大となるのに対して、ソレノイド型の駆動減においては、第一停止位置近傍において推進力が最大となるように設定してある。
位置検出スイッチ233は、第一機構231の上面に配設され、接続部140の位置を検出さるための位置検出用のスイッチであり、ホールICを組み込んでユニット化された基盤が使用されている(詳細は図示せず)。
ここで、位置検出スイッチ233の動作としては、接点が押された状態では電気的に開状態となり、制御手段(図示せず)は扉110が閉状態であると判断する。逆に接点が押されていない状態では電気的に閉状態となり、制御手段(図示せず)は扉110が開状態であると判断する。
この時制御手段は、扉110が開状態から閉状態へ移行した場合のみ、駆動源232に所定時間通電するようにプログラムされており、その逆の場合、つまり扉110が閉状態から開状態へ移行した場合は駆動源232への通電は行わない。
接続部240は、永久磁石133と対向する扉110内部に形成された突起241と、突起241の先端に形成された磁性242で構成されており、磁性体242の材料としては、表面に塗装を施した鋼板を用いることが望ましい。
ここで、扉110が全閉状態であるとき、磁性体242と、第一停止位置にある第一機構231に固定された永久磁石133が当接し、かつ、位置検出スイッチ233の接点とも当接し、この状態において位置検出スイッチ233が電気的に開状態となるように突起241の形状は定められている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、全閉状態の扉110が人の手により開放され、本実施例においては、扉110が8°開放された状態において、第一機構131はヒンジ101を中心とした回転を、第一ガイド溝121により停止することで、磁力による接続部240と永久磁石133の連結は解除される。
さらに、第二機構132の働きにより、自閉機能部230は、第二停止位置で停止する。
この時、位置検出スイッチ233と接続部240の当接も解除されることで、制御手段は、扉110が閉状態から開状態へ移行したと判断する。つまり、駆動源232へは通電されない。
次に、人の手により、全開状態の扉110が閉じられ、扉110が8°開放された状態となると、接続部240と永久磁石133が磁力により吸着して当接するとともに、磁性体242の上部が第二機構132と当接して第一辺132aが後方に移動して第一状態となることで、第一機構131は、ヒンジ101を中心とした回転が可能となる。
加えて、接続部240と、位置検出スイッチ233が当接することで、制御手段は、扉110が開状態から閉状態へ移行したと判断する。つまり、駆動源232へ通電が行われることで、駆動源232は、第一機構231とともに扉110を後方へ引き込む。
この時、第一機構231の後方端面がダンパー本体134aを後方に移動されることにより、扉110は全閉状態となるまで減速しながら自閉することになる。
ここで、駆動源232は、バネの推進力と異なり、全閉状態直前で最も高い推進力をえられる様に設定してあるので、例えば扉110の幅が広く、大きな自閉力が必要な場合でも、ダンパー130の抗力に打ち勝ちながら全閉状態まで確実に扉を閉めることができる。
以上のように本実施の形態の冷蔵庫は、前面開口部を有する冷蔵庫本体110と、冷蔵庫本体110に対してヒンジ101において回動可能に配設された扉110と、冷蔵庫本体100に配設され、扉110を自閉させる自閉機能部230と、自閉機能部230と対向して扉110に形成され、少なくとも扉110が閉まる際に自閉機能部230と着脱可能に連結される接続部240とを備え、自閉機能部230と接続部240が連結された後、自閉機能部230は、ソレノイド型駆動源232の駆動力により扉110を閉めることにより、全閉状態直前で最も高い推進力をえられることとなり、大きな自閉力が必要な扉110を全閉状態まで確実に扉を閉めることができる。
なお、本実施例においては、駆動源232としてソレノイドを用いたが、モータ式の駆動源を用いても同様の効果が期待できる。
(実施の形態4)
図22は本発明の実施の形態4における扉装置の要部構成図である。図23は本発明の実施の形態4における扉装置の図22のA矢視図である。図24は本発明の実施の形態4における動作図である。図25は本発明の実施の形態4における動作図である。
図において、自閉機能部310は、主に案内レール311と、傾斜部材312と、弾性体313から構成されており、冷蔵庫本体の天井面に固定されている。
案内レール311は、ダンパー330に連結され、冷蔵庫本体の天井面に固定されてい
る。ここで、案内レール311の上壁にはダンパー330側端を開口した溝311aが形成されており、案内レール311の側壁には両端を閉じた溝311bが形成されている。
さらに、案内レール311の前方端近傍に溝311b側を開口した溝311cが形成されていると共に、溝311bの反対側側壁には両端を閉じた溝311dが形成されている。
傾斜部材312は、第一接続部312aにおいてダンパー330の端部と回転可能に連結されており、第一接続部312aは溝311aにより水平移動可能に案内される。さらに、傾斜部材312の側面には、2つの突起312b、312cが形成されており、この2つの突起312b、312cが案内レール311の側壁から突き出し、溝311bにはめ込まれて水平方向に移動する。さらに、第一接続部312aから突き出した第二接続部312dの端部は、溝311dを突き抜けている。
弾性体313は、ダンパー330の外部後方端と傾斜部材312の第二接続部312dとを連結している。
接続部320は、主にプレート321と、ローラ322とから構成されている。
プレート321は、扉110の上面に固定され、冷蔵庫本体100方向に突出した形状をしており、材料としては、表面処理を施した鋼板を使用することが望ましい。
ローラ322は、プレート321の冷蔵庫本体100側端部の下面に回転可能に配設された円筒胴形部材であり、設置状態において、2つの突起312b、312cの間に位置する。
ダンパー330は、各区画の最後方部に配設され、案内レール311の後方端に連結された直進式のダンパーであり、主にダンパー本体331と稼動シャフト332から構成されている。
ダンパー本体331は筒状のケーシング内にピストンを配設し、シリコンオイルが充填されており、かかる荷重に対して2段階にその動作を切り替える構造となっている。具体的には、高い荷重が負荷として発生した時には、ダンパー331の動作荷重も大きくなる第一動作となり、荷重が減少した時には、ダンパー331の動作荷重も小さくなる第二動作となる(詳細は図示せず)。
稼動シャフト332は、ダンパー本体331のピストンと連結されたシャフトであり、その前方端は傾斜部材312の第一接続部312aと連結されている。
以上のように構成された扉装置について、以下その動作、作用を説明する。
まず、扉110が、全閉状態の時、傾斜部材312は、案内レール311の後方端に位置し、接続部320のローラ322は、2つの突起312b、312cの間に位置する。
次に、人の手により、扉110が開放された場合、扉110の開放に伴い、ローラ322が突起312bに当接することで、傾斜部材312は前方に移動する。
この時、第一接続部312aと連結された稼動シャフト332も前方に移動する。
さらに、第二接続部312dと連結された弾性体313は引き伸ばされることで弾性力
を蓄積させる。
次に、人の手により、扉110がさらに開放されて、本実施例においては、扉110が8°開放された状態において、傾斜部材312と接続部320の連結は解除されるとともに、突起312bが溝311cにはまり込むかたちで傾倒することで、傾斜部材は、案内レール311の前方端で停止する。
次に、人の手により、全開状態の扉110が閉じられ、扉110が8°開放された状態からさらに閉じられると、ローラ322と突起312cが当接することで、傾斜部材312の傾倒が解除され、ローラ322が2つの突起312b、312cに挟まれた状態となり、扉110は弾性体313に蓄積された弾性力により自閉を開始する。
ここで、本実施例において、扉110が8°開放された状態においては、扉110の内壁とこれに対向する冷蔵庫本体100およびその他扉との間に、人の手や指を挟む恐れのある約100mmの隙間が形成されている。
この時、稼動シャフト332と傾斜部材312が連結されているので、ダンパー330の減速効果により、扉110は全閉状態となるまで減速しながら自閉することになる。
つまり、人の手や指を挟む危険のある状態においては、減速させながら自閉することができる。
さらに、本実施例においては、弾性体313は、自閉開始から全閉状態まで、自閉力を維持できることから、大きな自閉寸法を確保することができる。
以上のように本実施の形態の冷蔵庫は、前面開口部を有する冷蔵庫本体100と、冷蔵庫本体100に対して、ヒンジ101において回動可能に配設された扉110と、冷蔵庫本体100に配設され、扉110を自閉させる自閉機能部310と、自閉機能部310と対向して扉110に形成され、少なくとも扉110が閉まる際に自閉機能部310と連結される接続部320とを備え、自閉機能部310は、ヒンジ101とは異なる個所に備えられると共に、自閉機能部310と接続部320がラッチ機構により着脱可能に連結されていることにより、自閉機能部310と接続部320が連結されてから全閉状態まで、自閉力を扉に伝達することとなり、自閉寸法を大きくすることができる。