JP3952800B2 - ドック用作業ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、造船所等のドックにおいて船舶の建造や修理の際に用いられる作業ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
造船所のドック内において、大型船の製造や修復などの作業を行う場合、予め船舶外壁の周囲に作業台を設置しておくことが便利である。作業者が円滑に作業に従事するためには、作業の進展の度合いに応じて作業位置を変化できるものが好ましく、そのために移動可能な構造の作業台を用いている。従来では、ブーム式高所作業車や、足場の電動チェーンブロック等を設置するなどの設備により、船舶の製造や修理を行っている。
【0003】
ブーム式高所作業車は、ドック内において船舶外壁の長手方向に設けたガイドレール上に、起伏および旋回可能なブームを搭載した走行車両を設置する構成である。このブームの先端に作業者が搭乗する作業台を設け、ブームの起伏および旋回や、ガイドレール上の位置を操作することによって、作業台がドック内を移動できる構造である。
【0004】
また、高所作業の足がかりとして、ドック内の船舶外壁周りに足場を設ける方法もある。これは、船舶外壁の周囲に単管で基礎となる骨組みを設け、これに木板を組み合わせて足場とし、そこに重量物のハンドリング可能な電動チェーンブロックを設置して、製造や修理などの作業を行うものである。例えば、単管足場は十字やT字あるいはL字のコネクタを介して一定長の単管を連結した方形の組合わせからなる単管枠組みを建屋面に沿って構築する。そして、この単管枠組みの水平配置された平行な一対の単管部分に足場板をフック掛けすることで掛け渡し、これを連続して配置することで足場を確保する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ブーム式高所作業車は、ブームの起伏あるいは旋回、伸縮等の動作を組み合わせることによって、船舶外壁に対する上下方向あるいは長手方向の移動を行っている。従って、作業台の垂直位置のみを変化させたい場合にも、起伏や旋回などの円弧運動を組み合わせなければ移動することが不可能であり、その操作は非常に厄介である。特に、足下の渠底に障害物が存在し、ガイドレール上の水平移動を妨げられている場合に水平移動や垂直移動をしようとすると、旋回と上下動作とを組み合わせた操作を行わなければならなす、ブームが起伏あるいは旋回する時の円弧軌跡を計算して操作する必要があることから、作業台の移動動作は複雑となり技術を要する。また、作業対象である船舶の側面が3次元曲面であるために、船舶外壁の塗装などの作業をする際に、常に船舶外壁と一定の間隔を保持しつつ移動することが困難であり、作業台が船舶外壁に接触して船舶外壁を破損するおそれがある。
【0006】
また、船舶外壁周りの作業に足場を用いる場合には、足場の組立作業に多くの労力と時間がかかる。特に、作業床となる足場板は重量があり、設置に係る作業は重労働である。また、作業対象である船舶は、甲板から船底に向かって幅が狭く傾斜して、いわゆる逆三角の構造になっている。そのため、足場上に電動チェーンブロック等を設置した場合、その吊り代が短くなり広範囲の移動には不適当である。船舶外壁の塗装に関する作業では、一般に1ヵ所に止まって作業するよりも、船舶外壁に沿って移動しながら行う線移動作業が多い。しかし、船舶外壁に沿った横移動のための足場を組むとなると、船舶外壁周囲に足場を張り巡らせる必要が生じ、ドック内において積荷を運載する走行車両などの障害となる。そして、足場を用いての作業頻度が少ないことからも、常置することが難しい。従って、船舶外壁の周囲に足場を巡らせることは、作業工数も多く掛かり非常に困難であるとともに、その他の作業の障害となる可能性がある。
【0007】
本発明は上記問題に着目し、船舶の長手方向、上下方向、横手方向に簡易な操作によって移動可能であり、また船舶に対して一定距離を保持しつつ移動可能なドック用作業ユニットを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明に係るドック用作業ユニットは、造船所のドックに収容された船舶の長手方向に沿ってドック側壁に敷設されたガイドレールと、このガイドレールに案内されて移動できるタワー型支柱と、当該タワー型支柱に沿って昇降可能であり先端に作業者が作業するための作業台を設けた作業ステージ部を有してなり、かつ前記作業ステージ部にドック側壁から船舶側壁に向けて横手方向に伸縮する2組の側方伸縮機構を設け、当該2組の側方伸縮機構の先端に取り付けた前記作業台が当該2組の側方伸縮機構の伸縮量を相違させることによって水平方向に旋回し、前記作業台には船舶外壁との距離を検出する位置検出手段が船舶外壁の長手方向に沿って2箇所に設けられ、当該2箇所の位置検出手段の検出結果に基づいて、前記作業台の位置及び水平旋回角度が制御可能とされたことを特徴としている。
【0009】
前記タワー型支柱は下端に補助輪を備え、当該タワー型支柱がガイドレールに案内されて移動する際に、前記補助輪がドック側壁に当接して従動するようにされたことが好ましい。
【0010】
前記作業ステージ部は、前記側方伸縮機構の伸縮距離を異ならせたユニットとして予め複数準備し、船舶の大きさに応じて最適なる伸縮距離を有する作業ステージ部を選択し交換可能とすることが好ましい。
【0011】
【作用】
本発明に係る作業ユニットは、3次元のそれぞれの方向に対する移動を行うことのできるものである。作業ステージ部を搭載した作業ユニットは、船舶外壁の長手方向に沿ってドック壁に設けられたガイドレール上を移動しつつ上下方向に昇降可能であり、かつ走行方向および上下方向に対して直角な方向、すなわち船舶外壁に向かって横手方向に伸縮可能となっている。これらの動作は、船舶の長手方向、上下方向、横手方向の3方向にそれぞれ独立した動きが可能であり、また複数方向の移動動作を組み合わせて行うことも可能である。従って、たとえば作業ステージ部を横方向や斜め方向に移動させる際に、位置制御に関する操作を簡易に行うことができる。
【0012】
また、作業ステージ部の作業台に位置検出手段を設けたことにより、船舶である船舶外壁との位置関係を制御することができる。従って、常に船舶外壁と一定の距離を保持しつつ作業を行うことが可能である。この時、作業台を水平方向旋回できる構成としていることから、3次元的に湾曲した船舶外壁の側壁に対して、作業ステージ部が常に平行になるように位置づけることができる。これは、特に塗装など均等に材料を塗布するような場合に、作業ステージ部と船舶外壁との距離を一定に設定することにより、円滑に作業をなしえる。さらに、伸縮距離の異なった作業ステージ部を複数用意しておき、船舶外壁の大きさに応じて作業ステージ部の交換をすることにより、船舶が替わるごとに作業ユニットを設置し直す手間を省き、種々の船舶に対応することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る作業ユニットの具体的実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る作業ユニット全体の側面図である。
【0014】
造船所のドック内において、船舶外壁の壁面に塗装や塗装剥離などの作業を行う際に、船舶外壁の周囲に足場となる作業ユニット20を用意する。
作業ユニット20は、図1に示すように、ドック内のドック壁10に敷設されたガイドレール12に沿って移動する移動手段22を設けた枠組みされた箱形のタワー型支柱30と、このタワー型支柱30に沿って上下に昇降可能に形成された作業ステージ部40とから構成されている。作業ユニットの船舶外壁の長手方向に対する移動は、ドック壁10にガイドレール12を設けてこのガイドレール12上に作業ユニット20を移動させることで行う。本実施形態ではガイドレール12をH型鋼とし、船舶外壁の長手方向に平行なドック壁10に水平に張り出した梁14を設け、この上にドック壁10に沿ってガイドレール12を設置する。ガイドレール12を敷設する梁14の設置場所を、渠底でなくドック壁10にすることにより、渠底に障害物がある場合に作業ユニット20の移動に支障を来すことなく、また渠底を走行する運搬車両などの通行の妨害となる可能性を排除できる。
【0015】
このようなガイドレール12上に、移動手段22を設けたタワー型支柱30を設置して、これに作業ユニット20を取り付ける。しかし、ガイドレール12と係合する移動手段22の一点のみでタワー型支柱30を支えると、上下方向のバランスが崩れやすく転倒を招くおそれがあることから、タワー型支柱30の下方に補助輪24を設置して上下方向の均衡を取っている。補助輪24は、ドック壁10とタワー型支柱30との距離が一定となるように張り出し26を設け、先端部に車輪を取り付けて、タワー型支柱30がガイドレール12に沿って移動した場合に従属運動する。
【0016】
移動手段22には、ガイドレール12と係合して移動する車輪が取り付けられる。車輪は、ガイドレール12を跨ぐように車輪で両側から挟み込み、減速機を介して電動機から動力を得ている。また、走行手段には停止用のブレーキが装着されている。なお、移動手段22は電動機を設けた自走式に限らず、ワイヤで牽引するなどの手動式のものとすることも可能である。
【0017】
タワー型支柱30には、図2に示すように、作業ステージ部40と、これを昇降させるための昇降手段32が設けられる。作業ステージ部40は後述する側方伸縮機構42を有しており、この側方伸縮機構42の根本部分であるスライドステージ44が、タワー型支柱30に沿って垂直に移動するようにタワー型支柱30に取り付けられている。前記スライドステージ44は、長方形の箱形で内部が中空に形成される。この長手方の一端をコの字形に切除し、タワー型支柱30を抱え込むように取り付ける。この時、タワー型支柱30とスライドステージ44との間の摩擦を防ぐため、スライドステージ44はタワー型支柱30との接触面に自由回転の可能な車輪46を設けている。
【0018】
スライドステージ44の昇降は、タワー型支柱30の上端に設置された巻揚げ機48によって行われる。この巻揚げ機48に水平に設けられた円筒状の巻胴にワイヤを巻き付け、このワイヤの一端にスライドステージ44を懸吊し、電動機で巻胴を回転させてワイヤの巻掛け、あるいは巻き戻しを行う。これによって、作業ステージ部40の昇降をなす。本実施形態では、このような巻揚げ機を作業者の安全確保のために2箇所に設置し、作業ステージ部40を昇降させる。なお、昇降手段32は、強度が保証され安全性を有するものであれば、チェーンを用いたものや油圧式などを使用してもよい。
【0019】
上記構成からスライドステージ44は、タワー型支柱30のガイドレール12上の走行とタワー型支柱30に対するスライドステージ自身の昇降移動とにより、船舶外壁に対する長手方向および上下方向に移動する。作業ステージ部40には、タワー型支柱30から船舶外壁へ向かう方向に伸縮する機構が装着されて、その先端部に作業台50が設けられ、前記作業台50を船舶外壁の横手方向に対して自由に伸縮できる構造とする。
【0020】
図2に、本実施形態に係る側方伸縮機構42を短縮させた場合の説明図を示す。同図(1)は平面図、(2)は側面図である。また、図3に側方伸縮機構42を伸展させた場合の説明図を示す。(1)は平面図、(2)は側面図である。
側方伸縮機構42は、テレスコピック機構を用いて構成している。すなわち、大きなものから順次に嵌入された複数のステージ52が、一定方向(この場合は船舶外壁に向かう方向)に抜き差しできるように構成される。また、作業ステージ部40が最も短縮している状態の時に、前記テレスコピック機構が最小範囲に収納できるようにする。たとえば、ステージ52をそれぞれ大きさの異なる中空の箱形に複数形成しておく。これらのステージ52は相似形に形成しておき、サイズの大きなステージ52に小さなステージ52が内挿される構成とし、最終的にはタワー型支柱30に取り付けたスライドステージ44の内部にすべて収納されるものとする。本実施形態では、サイズの異なった3個のステージ52B、52C、52Dを使用し、前記スライドステージ44にステージ52Bが内挿され、ステージ52Bよりも小さく形成したステージ52Cが前記ステージ52Bに内挿されるといったように順次ステージ52を内挿し、スライドステージ44を含めて4段階の構成とする。
【0021】
また、最小のステージ52Dには作業台50が連結されている。作業台50は、矩形状の作業床を有し、断面がコの字型の2段構造に形成する。これの下段部分をステージ52Dに内挿してアームなどの連結治具にて連結する。上段部分の作業床には、上に手摺を設けた構成とし、作業者の転落を防止している。また作業台50の前面(船舶外壁の近傍側)には操作盤54が設置されており、作業者は作業台50の長手・左右・上下の位置制御の操作を操作盤54にて行う。
【0022】
前記ステージ52B、52C、52Dの内部は中空となっており、2段テレスコシリンダ56が内挿されている。2段テレスコシリンダ56は、ロッド58Aとロッド58Aに嵌入されたロッド58Bとの2段ロッド58が内挿され、図示しない油圧ユニットに接続されて油圧の制御によりロッド58の伸縮範囲を調整している。このような2段テレスコシリンダ56を2組用いて、それぞれのシリンダ60の端部をタワー型支柱30に設置したスライドステージ44にピン結合し、ロッド58Bの先端部を前記作業台50にピン結合する。
【0023】
2段テレスコシリンダ56を用いた側方伸縮機構42の動作は次の通りである。ステージ52を伸展する場合には、2段テレスコシリンダ56のロッド58A、58Bを伸展させることにより、スライドステージ44の内部に収納されているステージ52B、52C、52Dが順次に押し出される。すなわち、油圧ユニットよりオイルが圧送されるとロッド58Aが伸展し、ロッド58Aの伸展した範囲だけステージ52B、52Cがステージ52Aより伸展する。さらにオイルの圧送を継続することで引き続きロッド58Bが伸展し、ロッド58Bが伸びきったところでステージ52B、52C、52Dが最大限に伸展して、作業台50を船舶外壁に近づける。
【0024】
また、ステージ52を収納して作業台50を船舶外壁より遠ざからせる場合には、上記と反対の動作を行えばよい。すなわち、油圧を制御して2段テレスコシリンダ56のロッド58A、58Bを短縮すると、これに伴ってステージ52が収納される。
【0025】
また、本実施形態では、油圧ユニットによって2段テレスコシリンダ56のそれぞれの伸縮量を相違させることにより、作業台50を伸縮方向に対して水平方向に旋回可能な構造を設けている。すなわち、図4(1)に示すように、2段テレスコシリンダ56の変位量が同量の場合には、作業台50はステージ52の伸展方向に対して正面を向いているが、たとえば同図(2)に示すように、2段テレスコシリンダ56の伸縮量を違えて右側のシリンダをより長く伸展させた場合に、作業台50は左側に旋回することになる。この時、作業台50とステージ52Dとを連結するアームを同時に回転させることによってステージ52Dが連動して旋回することを防いでいる。
【0026】
また、船舶外壁と作業台50との距離を検出する手段として、位置センサ62L、62Rを作業台50の先端部左右の両端2箇所に設けている。これらの位置センサ62による検出結果は、図示しない制御装置に送られて作業台50上の操作盤54に表示される。従って、船舶外壁と作業台50との距離が2箇所で検出され、作業台50の船舶外壁に対する距離Lを明確に視認することができる。このため、船舶外壁に対して作業台50が角度を持っていた場合に、各種作業に障害が生じないように、作業台50と船舶外壁との平行度を常に確認することができる。
【0027】
船舶外壁の側壁は、湾曲した3次元曲面を有している。作業台50の伸縮方向に対して船舶外壁の壁面が角度を持っている場合がある。この時、位置センサ62Lでの検出結果がL1、センサ62Rでの選出結果がL2であったとすると、L1とL2との差異だけ、作業台50は船舶外壁に対して傾いていることになる。そこで、操作盤54にて側方伸縮機構42の油圧ユニットを作動させ、テレスコシリンダ56Lを伸展させるか、またはテレスコシリンダ56Rを短縮させるかの操作を行うことで、作業台50を船舶外壁と平行に配置することが容易に行える。また、これらの位置センサ62L、62Rと側方伸縮機構42の油圧ユニットとを制御装置で管理し、船舶外壁と常に一定の距離を保持させつつ、作業台50を船舶外壁の長手方向や上下方向に移動させることも可能である。
【0028】
さらに、作業台50が船舶外壁との距離を詰めすぎた場合に緊急停止する機構を設置すれば、船舶外壁に接触して破損させる可能性を排除することができる。なお、前述した作業ステージ部40は、ステージ52と2段テレスコシリンダ56との伸縮距離を変えたものを予め複数形成しておき、アタッチメント方式でこれを交換することにより、その伸縮範囲を変えることが可能となる。これは、船舶外壁の大きさによって側方伸縮機構42の最大伸縮距離が異なることを考慮し、ひとつの作業ユニット20で種々の船舶外壁に対応できるように意図したものである。作業ステージ部40の交換作業は、作業ステージ部40をタワー型支柱30に取り付けていることから、これを取り外して異なった伸縮距離を持つ作業ステージ部40Bと入れ替える作業を容易に行うことができる。従って、作業ユニット20全体を交換したり、足場などを増設したりという困難な作業を省くことができ、船舶外壁あるいは作業に適した伸縮距離を有する作業ステージ部40を選択し、簡易に交換することが可能となる。
【0029】
以下に、上記構成を用いた作業ユニット20の作用を説明する。まず、作業ユニット20は、ドック壁10に沿って設けられたガイドレール12上を移動する。このガイドレール12は、船舶外壁の長手方向に沿って設置されているため、作業者は船舶外壁の前後方向に移動できるものである。また、これと同時に、作業ユニット20に設けられた昇降手段32により、船舶外壁の上下方向に対しても自由に移動することができる。この時、船舶外壁の横手方向に関しては、タワー型支柱30に沿って昇降する作業ステージ部40が伸縮することで遠近の操作を行うことができる。このとき、2箇所に設けられた2段テレスコシリンダ56の伸縮量をそれぞれ変えることで、作業台50を旋回させることが可能である。
【0030】
また、これらの操作は操作盤54にて行われ、長手方向、上下方向、伸縮方向のそれぞれの移動は、同時に操作することも可能である。すなわち、斜め上に作業台50を移動させたい場合には、長手方向ならびに上下方向に作業台50を動かし、またこの時同時に位置センサ62L、62Rで船舶外壁に対する距離を保持するように設定すれば、3次元曲面を有した船舶外壁の側壁に対して作業台50を平行に保ちながら移動させることができる。
【0031】
そのため、作業者は作業台50の移動に際して、複雑な操作を行わず移動したい方向に操作するだけで簡易に移動を行える。また、船舶外壁の横手方向に側方伸縮機構42を設けただけでなく、船舶外壁との位置を検出する位置センサ62を設置したことにより、船舶外壁と一定距離を保持しながら行う作業に、非常に有効な構成である。
【0033】
【発明の効果】
上記構成より本発明に係る作業ユニットは、船舶に対して長手方向、上下方向、横手方向の3方向に移動可能な構造である。そのため、移動動作に複雑な動作がないことから、作業ユニットの移動に際して簡易に操作することができる。また、長手方向に移動する手段をドック壁10に設けるため、渠底での作業において、作業ユニットが邪魔となって作業を妨害するおそれがない。
【0034】
作業ユニットの先端部に設けられた作業台は、横手方向に対して旋回可能な構成であり、そのため船舶の作業面が3次元曲面を有している場合などに有効であり、作業台は船舶と常に平行な位置を保持しつつ移動することが可能である。さらに、作業台の先端に位置検出手段を設けたことにより、船舶と作業台との距離を管理することが可能であるため、スムーズな作業が行える。
【0035】
さらに、作業ユニットに用いられる作業ステージ部は、予め伸縮距離の異なるユニットを複数設けておくことにより、作業ステージ部を交換するだけでその伸縮距離を変更することが可能である。このため、船舶の大きさに最適なユニットを選択し交換することができ、船舶ごとに作業ユニットを全交換する必要が無く、作業ユニット設置の工程を大きく省略できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る作業ユニット全体の側面図である。
【図2】 本実施形態に係る側方伸縮機構を短縮させた場合の説明図であり、(1)は平面図、(2)は側面図である。
【図3】 本実施形態に係る側方伸縮機構を伸展させた場合の説明図であり、(1)は平面図、(2)は側面図である。
【図4】 本実施形態に係る作業台の旋回の説明図であり、(1)は通常状態の説明図、(2)は旋回状態の説明図である。
【符号の説明】
10………ドック壁、12………ガイドレール、14………梁、20………作業ユニット、22………移動手段、24………補助輪、26………張り出し、30………タワー型支柱、32………昇降手段、40………作業ステージ部、42………側方伸縮機構、44………スライドステージ、46………車輪、48………巻揚げ機、50………作業台、50………ステージ、54………操作盤、56………2段テレスコシリンダ、58………ロッド、60………シリンダ、62………位置センサ。
Claims (2)
- 造船所のドックに収容された船舶の長手方向に沿ってドック側壁に敷設されたガイドレールと、
このガイドレールに案内されて移動できるタワー型支柱と、
当該タワー型支柱に沿って昇降可能であり先端に作業者が作業するための作業台を設けた作業ステージ部を有してなり、
かつ前記作業ステージ部にドック側壁から船舶側壁に向けて横手方向に伸縮する2組の側方伸縮機構を設け、当該2組の側方伸縮機構の先端に取り付けた前記作業台が当該2組の側方伸縮機構の伸縮量を相違させることによって水平方向に旋回し、
前記作業台には船舶外壁との距離を検出する位置検出手段が船舶外壁の長手方向に沿って2箇所に設けられ、当該2箇所の位置検出手段の検出結果に基づいて、前記作業台の位置及び水平旋回角度が制御可能とされたことを特徴とするドック用作業ユニット。 - 前記タワー型支柱は下端に補助輪を備え、当該タワー型支柱がガイドレールに案内されて移動する際に、前記補助輪がドック側壁に当接して従動するようにされたことを特徴とする請求項1に記載のドック用作業ユニット。
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