JP3951776B2 - 減音装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の走行に伴って発生する風切り音を減少させるための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両、例えば、キャブオーバー車においては、図3に概略例示されているように、高速走行時にキャブ1の前面2全体へ当たった走行風がキャブ1の外面に沿って車両後方へ流れるとき、キャブ1の前面2とルーフ3及び側面4との接続コーナ部における流速が大きく、とくに、フロントピラー5の頂部付近において矢印Aで示されているように上後方へ向かう流速が大きい。
【0003】
他方、ルーフ3からフロントピラー5にわたって形成されたキャブ1の窓枠開口縁部6には、図4のように、フロントガラス7を保持するウェザストリップ8が取り付けられ、そのリップ9の端部がルーフ3及びフロントピラー5の外面に当接しているが、上記走行風がウェザストリップ8の外表面に沿って車両後方へ流れるときに渦流B等の強い乱流が発生して、車速が大きくなるほど風切り音が高くなるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、車両の走行に伴って発生する風切り音を簡単な構造により減少させようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明にかかる請求項1記載の減音装置は、車両の前方窓枠開口縁部に取り付けられてフロントガラスを保持するウェザストリップに、上記窓枠開口縁部の外面に端部が当接する第1リップと、上記第1リップより車両前方側で車体外方へ突出する第2リップとが形成され、上記第2リップが上記窓枠開口縁部の上部から側部にまで延び、かつ、上記窓枠開口縁部を構成するフロントピラーに沿って上記フロントピラーの少なくとも上部約4分の1まで延びている。
【0006】
すなわち、窓枠開口縁部の外面に端部が当接する第1リップより車両前方側で車体外方へ突出する第2リップが、窓枠開口縁部の上部から側部にまで延び、かつ、窓枠開口縁部を構成するフロントピラーに沿ってフロントピラーの少なくとも上部約4分の1まで延びるようにウェザストリップに形成されているので、車両の走行時に車両の前面へ当たった走行風が車両の外面に沿って車両後方へ流れるとき、走行風は上記第2リップにより車体外方へ導かれて車両の外面から剥離しながら車両後方へ流れることとなって、従来のような乱流の発生を抑制することができるので、風切り音の発生を容易に減少させることができ、また、上記第2リップは非常に簡単な構成であるため、第2リップを簡単に形成させることが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例について、前記従来装置との同等部分にはそれぞれ同一符号を付けて説明する。
【0008】
図1及び図3において、キャブオーバー車のルーフ3からフロントピラー5にわたって形成されたキャブ1の窓枠開口縁部6に、フロントガラス7を保持するウェザストリップ10が取り付けられ、ウェザストリップ10のリップ9の端部がルーフ3及びフロントピラー5の外面に接していると共に、リップ9より車両前方側で車体外方へ突出する第2のリップ11がウェザストリップ10に一体成形されており、リップ11は窓枠開口縁部6の上部から側部にまで延びている。
【0009】
すなわち、例として、次の4ケースを考える。
(a)リップ11が窓枠開口縁部6の上部全体にわたって形成され、窓枠開口縁部6の両側部にまで達している場合
(b)リップ11が窓枠開口縁部6の上部全体と、窓枠開口縁部6の両側部における上部約4分の1とにわたって形成されている場合
(c)リップ11が窓枠開口縁部6の上部全体と、窓枠開口縁部6の両側部における上部約2分の1とにわたって形成されている場合
(d)リップ11が窓枠開口縁部6の上部全体と、窓枠開口縁部6の両側部全体にわたって形成されている場合
【0010】
これらの各場合にあっては、キャブオーバー車の高速走行時にキャブ1の前面2全体へ当たった走行風がキャブ1の外面に沿って車両後方へ流れるとき、ウェザストリップ10にリップ11が形成されている部分では、上記走行風がリップ11により車体外方へ導かれて、図1の矢印Cに示されているように車体外表面から剥離しながら車両後方へ流れるようになり、図4に示す渦流B等の乱流の発生を抑制することができる。
【0011】
上記(a)〜(d)の各場合と、(e)リップ11が全く形成されていない図4の従来装置の場合とについて、キャブオーバー車が時速100kmの高速走行中における車室内風切り音レベルの計測値例が図2に示されている(ハッチング部はウェザストリップ10にリップ11が形成されている範囲を示す)。
【0012】
すなわち、図2からわかるように、(a)の場合は従来における(e)の場合よりも車室内風切り音レベルが大幅に減少し、(b)の場合は車室内風切り音レベルがさらに減少し、(c)の場合は車室内風切り音レベルが一層減少し、(d)の場合は車室内風切り音レベルが(c)の場合と同程度に減少していて、いずれの場合も、乗員にとって耳障りな風切り音が効果的に低減させられている。
【0013】
また、キャブオーバー車のフロントピラー5にアンテナが取り付けられているときには、上記走行風がウェザストリップ10のリップ11により矢印Cのように車体外表面から剥離させられることによって、アンテナの後流側にカルマン渦列が発生することを抑制できるため、上記装置はこの点からも異音の発生を防止することが可能となる。
【0014】
しかも、ウェザストリップ10にリップ11が一体成形されていて、構造が非常に簡単であると同時に、部品点数の増加もないため、上記装置を採用してもコスト上昇を容易に押さえることができる一方、既存車両にも上記装置を容易に適用できる大きな利点がある。
【0015】
なお、上記実施形態例はキャブオーバー車に関するものであるが、車両の種類としてはこれに限られるものではなく、他種の車両においても同等の構成によって同様な作用効果を奏することができるのはいうまでもない。
【0016】
【発明の効果】
本発明にかかる減音装置においては、窓枠開口縁部の外面に端部が当接する第1リップより車両前方側で車体外方へ突出する第2リップが、窓枠開口縁部の上部から側部にまで延び、かつ、窓枠開口縁部を構成するフロントピラーに沿ってフロントピラーの少なくとも上部約4分の1まで延びるようにウェザストリップに形成されていて、車両の走行時に車両の前面へ当たった走行風が車両の外面に沿って車両後方へ流れるとき、上記第2リップにより車体外方へ導かれて車両の外面から剥離しながら車両後方へ流れるので、風切り音の発生を効果的に減少させることができる優れた特色がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例における要部縦断面拡大図。
【図2】上記実施形態例の作用説明図。
【図3】キャブオーバー車の一部斜視図。
【図4】従来装置の要部縦断面拡大図。
【符号の説明】
1 キャブ
3 ルーフ
5 フロントピラー
6 窓枠開口縁部
7 フロントガラス
9 リップ
10 ウェザストリップ
11 リップ

Claims (2)

  1. 車両の前方窓枠開口縁部に取り付けられてフロントガラスを保持するウェザストリップに、上記窓枠開口縁部の外面に端部が当接する第1リップと、上記第1リップより車両前方側で車体外方へ突出する第2リップとが形成され、上記第2リップが上記窓枠開口縁部の上部から側部にまで延び、かつ、上記窓枠開口縁部を構成するフロントピラーに沿って上記フロントピラーの少なくとも上部約4分の1まで延びている減音装置。
  2. 車両の前方窓枠開口縁部に取り付けられてフロントガラスを保持するウェザストリップに、上記窓枠開口縁部の外面に端部が当接する第1リップと、上記第1リップより車両前方側で車体外方へ突出する第2リップとが形成され、上記第2リップが上記窓枠開口縁部の上部から側部にまで延び、かつ、上記窓枠開口縁部を構成するフロントピラーに沿って上記フロントピラーの少なくとも上部約2分の1まで延びている減音装置。
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