JP3951261B2 - 軌道路盤の噴泥及び継ぎ目落ち現象の防止工法 - Google Patents

軌道路盤の噴泥及び継ぎ目落ち現象の防止工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道路盤の噴泥及び継ぎ目落ち現象の防止工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
噴泥とは、繰り返し荷重により土、泥水などがバラスト内に吹き出す現象をいう。継ぎ目落ちとは、レール端部ならびに継ぎ目部に塑性変形を生じる独特の落ち込みをいう。噴泥が起こると、より継ぎ目落ちが起きやすくなるので、噴泥を防止することは、継ぎ目落ちを防止することに繋がる。
【0003】
噴泥現象や継ぎ目落ちが発生すると、軌道狂いが生じ、列車の運行に支障を来すので、定期的に補修を行うことが必要である。
【0004】
こうした噴泥現象の防止策としては、軌道路盤面上に織布、マットを敷設する方法が知られている。これらの方法では、繰り返しかかる列車荷重により、敷布などが耐久劣化を起こし、噴泥及び継ぎ目落ち現象を防止するには至らない。
【0005】
この方法の他にも、シート系材料を路盤上に敷く方法(特開昭48−2915号公報、特開昭47−85485号公報、特開昭52−155705号公報及び特開昭52−64706号公報)、土壌硬化材を配合した掘削土を地盤中に埋設することにより噴泥現象を防止する方法(特開昭62−14120号公報)などが知られている。これらの方法では、補修時にバラストを一旦除去し、路盤を掘削するなどの作業が伴う。そのため、経済的にも時間的にも効率が悪く、多くの噴泥箇所の補修に対しては実用上応用が難しいものとなっている。
【0006】
このように、従来の方法では、バラストの一時撤去、路盤の調整を行うことなどが必要であるので、莫大な時間と費用を要し、現実的には噴泥発生箇所をすべて補修するには多大な困難を要する。また、保守保全を目的としたこうした補修工事のインターバルが短く、満足に補修を行えていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、主として、バラストを撤去することなく、噴泥及び継ぎ目落ち現象を防止する工法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、軌道バラスト上を水で濡らした後に、水の存在下でも硬化可能な硬化性樹脂組成物をバラストの上層部分が該樹脂組成物によって固まらないように注入することにより、上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記の軌道路盤の噴泥及び継ぎ目落ち現象の防止工法に係るものである。
1.軌道バラストを水で濡らし、水の存在下でも硬化可能であって、かつ硬化剤が有機過酸化物である硬化性樹脂組成物を、バラストの上層部分が該樹脂組成物によって固まらないように注入し、連続的な樹脂硬化膜を路盤上に形成することを特徴とする軌道路盤の噴泥及び継ぎ目落ち現象の防止工法。
2.硬化性樹脂組成物を4〜15kg/m2注入することを特徴とする1に記載の工法。
3.硬化性樹脂組成物が、注入後1時間以内に硬化する硬化性樹脂組成物であることを特徴とする1〜2のいずれかに記載の工法。
4.樹脂硬化膜の膜厚が、平均1〜20mmであることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の工法。
5.硬化性樹脂組成物が、 (A) ビニルウレタン樹脂、 (B) 重合性不飽和単量体、 (C) 乾性油及び/又はそれらの脂肪酸化合物を用いた空乾性付与型重合体並びに (D) 硬化剤を含むビニルウレタン硬化性樹脂組成物であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の工法。
6.軌道バラストを水で濡らし、水の存在下でも硬化可能な硬化性樹脂組成物を、バラストの上層部分が該樹脂組成物によって固まらないように注入し、連続的な樹脂硬化膜を路盤上に形成することを特徴する軌道路盤の噴泥及び継ぎ目落ち現象の防止工法であって、該樹脂硬化膜の引張伸び率が、−20℃において5〜20%であることを特徴とする工法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の工法は、軌道バラストを水で濡らし、水の存在下でも硬化可能な硬化性樹脂組成物をバラストの上層部分が該樹脂組成物によって固まらないように注入し、連続的な樹脂硬化膜を路盤上に形成することを特徴とする軌道路盤の噴泥及び継ぎ目落ち現象の防止工法である。
【0011】
本発明で言及する軌道とは、レール、枕木などで構成される構造物をいう。本発明で言及するバラストとは、路盤上で枕木を支える弾性構造物をいう。本発明で言及する軌道バラストとは、軌道及びバラストを指す。本発明で言及する路盤とは、バラストの下にあり、軌道を十分強固に支持するとともに軌道に対して適当な弾性を与え、かつ路盤の下にある路床に荷重を分散伝達する機能を持つ構造物をいう。路盤表面とは、路盤とバラストとの境界である。
【0012】
本発明の工程においては、硬化性樹脂組成物を注入する前に、予め施工部分の軌道バラストなどを水で濡らす。軌道バラストなどを水で濡らすことにより、硬化性樹脂組成物の流動性が向上し、バラスト内に残留する樹脂組成物の量が減少する。また、樹脂組成物が路盤表面に展開しやすくなるので、連続的な硬化膜を得やすくなる。バラストの上層部分に残留した樹脂組成物は、コスト的に無駄であるばかりでなく、バラストの弾性を大きく減少させてしまうので好ましくない。
【0013】
本発明の工程において撒く水の量は、特に制限されないが、通常、漏斗をバラストに差し込んだ際に、漏斗の先よりも深い層までバラストが濡れる程度、好ましくは路盤表面に水たまりができない程度まで路盤表面が濡れている程度であり、例えば2〜10L/m2程度である。雨上がりの場合など、既に軌道バラストが水で濡れている場合には、適宜水を撒く量を調節することができる。水を撒く方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、軌道バラスト上から、柄杓、じょうろ、噴霧器などを用いて水を撒く方法が挙げられる。使用する水は、金属化合物など樹脂組成物の硬化を阻害する物質が著しく含まれていなければ特に制限されず、例えば、一般にいう水道水、処理水、中水道、河川水などが挙げられる。
【0014】
本発明の工法においては、水の存在下でも硬化可能な硬化性樹脂組成物をバラストの上層部分が該樹脂組成物によって固まらないように注入する。バラスト上層部分を、樹脂組成物によって固めた場合には、バラストの有する弾性などの機能が失われる。従って、上記のような機能が失われない程度であれば特に制限されないが、通常バラスト全体の上から1/2程度、より好ましくは上から2/3程度が固まらないように樹脂組成物を注入する。
【0015】
樹脂組成物を注入する方法としては、例えば、漏斗をバラストに差し込み、漏斗を用いて硬化性樹脂組成物をバラストに注入する方法などが挙げられる。漏斗をバラストに差し込む深さは、バラスト上層部分が固まらなければ特に制限されないが、例えば、バラスト全体が30cmの厚みがある場合には、漏斗の先端が路盤表面から15cm以下程度、好ましくは0〜10cm程度、より好ましくは0〜8cm程度である。漏斗をバラストに差し込む工程は、軌道バラストを水に濡らす工程の前後のいずれであってもよい。漏斗をバラストに差し込む際には、工具を用いてもよい。使用する工具は、バラストを構成する砕石が割れないようにするために、先端がとがった工具が好ましい。この様な工具としては、例えば、バール、鉄杭などを挙げることができる。漏斗を設置する場所、間隔などは、特に制限されず、路盤面の傾斜、硬化性樹脂組成物の粘度などを考慮して、適宜設定することができる。漏斗の設置間隔は、通常30〜70cm程度、好ましくは40〜60cm程度である。
【0016】
本発明の工法は、噴泥又は継ぎ目落ちを防止又は補修を行いたい箇所について施工すればよいが、必ずしも広い範囲に施工する必要はない。例えば、必要に応じて、特に噴泥又は継ぎ目落ちを防止したい箇所、特に補修が必要な箇所のみに施工してもよい。
【0017】
図1に、軌道のバラスト1と路盤2において、漏斗3を用いて硬化性樹脂組成物を注入し、樹脂硬化膜を形成させる場合の一例を模式図として示す。漏斗を用いて注入された硬化性樹脂組成物は、バラストを通過し、バラストと路盤の界面に流れ込み、展開し、路盤2上に樹脂硬化膜を形成する。
【0018】
本発明の工法を用いると、路盤上に連続的な樹脂硬化膜を得ることができる。樹脂硬化膜は、路盤上にバラスト表面に沿った状態で連続的な膜として存在する。該樹脂硬化膜は、バラストと噴泥により吹き出した土、泥水などとが混合することを防止する。該樹脂硬化膜は、噴泥を防止することにより、ひいては継ぎ目落ちも防止する。連続的な樹脂硬化膜とは、硬化性樹脂組成物の硬化物のみからなる必要はなく、例えば、バラストを構成する砕石の一部が硬化膜に食い込んでいてもよい(図1)。或いは、路盤が土などでできている場合には、硬化性樹脂組成物が路盤にしみ込み、路盤中においてその一部が硬化してもよい。
【0019】
本発明の工法に用いる硬化性樹脂組成物は、注入した際に、組成物が路盤まで流れ落ち、路盤上に展開できる程度の粘度を有している。硬化性樹脂組成物の粘度は、施工する際の気温、使用量、漏斗の設置間隔などにより適宜設定することができる。注入前の樹脂組成物の粘度は、所定の効果を有する限り特に制限されないが、25℃において、通常0.1〜10ポイズ程度、好ましくは0.5〜1.5ポイズ程度の範囲を例示できる。樹脂組成物の粘度が高すぎる場合には、樹脂組成物がバラスト中に残留しやすくなり、また路盤上で展開しづらい。
【0020】
本発明の工程における硬化性樹脂組成物の注入量は、連続的な樹脂硬化膜が得られる限り特に制限されず、使用する硬化性樹脂組成物の粘度などにより適宜設定することができる。例えば、通常4〜15kg/m2以上程度であり、好ましくは5〜10kg/m2程度である。注入量が少なすぎる場合には、連続的な樹脂硬化膜が得られない。一方、注入量が多すぎる場合には、コスト的に無駄が生じる。
【0021】
本発明に用いる硬化性樹脂組成物としては、即硬化性に優れるものが好ましい。硬化性樹脂組成物を注入した後、1時間以内程度、好ましくは10〜40分程度で硬化する硬化性樹脂組成物が好ましい。
【0022】
樹脂硬化膜の膜厚は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されない。樹脂硬化膜の膜厚は、通常平均1〜20mm程度、好ましくは平均5〜20mm程度、より好ましくは平均8〜15程度mmである。樹脂硬化膜の厚みが薄すぎる場合には、十分な効果を得ることができない。硬化膜の厚みは、一般により厚い方が耐久性に優れるが、厚すぎる場合には、コストの点から好ましくない。
【0023】
樹脂硬化膜は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されないが、以下のような力学特性を有することが好ましい。樹脂硬化膜の引張伸び率は、25℃において60〜150%程度、より好ましくは80〜100kg/cm2程度、特に好ましくは−20℃において5〜20%程度、8〜18%程度である。引っ張り強さは、60〜150kg/cm2程度、より好ましくは80〜100kg/cm2程度である。ショアーD硬度は、30〜60程度、より好ましくは40〜50程度である。
【0024】
本発明に使用する水の存在下でも硬化可能な硬化性樹脂組成物としては、例えば、(A)ビニルウレタン樹脂、(B)重合性不飽和単量体、(C)乾性油及び/又はそれらの脂肪酸化合物を用いた空乾性付与型重合体並びに(D)硬化剤を含むビニルウレタン硬化性樹脂組成物などが挙げられる。該硬化性樹脂組成物は、各組成を現場にて秤量し、攪拌混合することにより調製することができる。攪拌混合には、例えばハンドミキサーを用いる方法など公知の方法を用いることができる。
【0025】
成分(A)のビニルウレタン樹脂は、ウレタン結合及びビニル基を有する樹脂である。該ビニルウレタン樹脂としては、例えば、i)ポリイソシアネート、ii)ポリオール及びiii)ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル又はヒドロキシアルキルメタクリル酸エステルを反応させて得られる樹脂などが挙げられる。これら3成分の混合比は、粘度などが所定の値を示す限り特に制限されない。
【0026】
成分i)のポリイソシアネートは、二つ以上の−NCO基を有する分子であれば特に制限されないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、その異性体、異性体の混合物(以下TDIと略す);ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バーノックD−750、クリスボンNX(大日本インキ化学工業(株)製品)、デスモジュールL(住友バイエル社製品)、コロネートL(日本ポリウレタン社製品)、タケネートD102(武田薬品社製品)などが挙げられる。これらの中では、TDIが好ましい。
【0027】
成分ii)のポリオールは、多価アルコールであれば特に制限されない。例えば、2以上の水酸基を有するC1〜C6飽和炭化水素、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。2以上の水酸基を有するC1〜C6飽和炭化水素としては、例えば、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールは、数平均分子量が400以上程度であることが好ましく、400〜3000程度であることがより好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレンジオール(以下PPGと略す)、ポリテトラメチレングリコールエーテル(以下PTMGと略す)、ポリオキシエチレンジオール等が挙げられる。
【0028】
成分iii)は、ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル又はヒドロキシアルキルメタクリル酸エステルであれば特に制限されない。ヒドロキシアルキルアクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0029】
成分(B)の重合性不飽和単量体は、1分子中に少なくとも一つの不飽和結合を有し、成分(A)及び成分(C)と架橋反応可能な化合物であれば特に制限されない。この様な重合性不飽和単量体としては、例えば、α,β−不飽和結合を有する単量体、その低重合体などが挙げられる。α,β−不飽和結合を有する単量体の低重合体とは、重合度が2〜10程度の低重合体である。この様な化合物としては、例えば、酢酸ビニル;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチルなどのアクリル酸エステル;アクリル酸アミド;メタクリル酸エステル;メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリロイル基を有する単量体またはその低重合体、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどの直鎖又は分枝状C2〜C6アルケン及びその低重合体、スチレンなどの芳香族アルケン及びその低重合体などが挙げられる。これらは単独或いは2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリロイル基を有する単量体またはその低重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステルが特に好ましい。
【0030】
成分(C)の乾性油及び/又はそれらの脂肪酸化合物を用いた空乾性付与型重合体は、好ましくは不飽和ポリエステル、アルキッド樹脂、ビニルエステル樹脂等に必須の空乾性成分として、乾性油及び/又はそれらの脂肪酸化合物成分を導入することにより得られるものである。
【0031】
導入方法としては1)多価アルコールと乾性油等の脂肪油とのエステル交換反応で得られるアルコリシス化合物を上記樹脂のアルコール成分として用いる方法。2)脂肪酸原料として乾性油等をけん化して得られる脂肪油脂肪酸を用いる方法がある。本発明の乾性油もしくは、乾性油脂肪酸系化合物に用いる乾性油とは、好ましくはヨウ素価130以上程度の油脂で、例えばアマニ油、大豆油、綿実油、落花生油、やし油等が挙げられる。本発明のエステル交換反応で得られる、アルコリシス化合物に用いる多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等の3価アルコール、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット等の4価アルコール等が挙げられる。
【0032】
上記の不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物と芳香族飽和二塩基酸またはその酸無水物と、グリコール類の重縮合によって製造され、場合によって酸成分として脂肪族あるいは脂肪族飽和二塩基酸を併用して製造された不飽和ポリエステルが挙げられる。
【0033】
上記のα,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等があり、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。脂肪族或いは脂環族飽和二塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。これらは、それぞれ単独或いは併用して使用することができる。
【0034】
グリコール類としては、例えば、エステルグリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA,エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられる。これらは、単独或いは併用して使用することができる。また、これらのほかに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の付加物、グリコール類と酸成分の一部としてポリエチレンテレフタレート等の重縮合物なども使用できる。
【0035】
上記ビニルエステル樹脂には、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂とエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の2種類がある。ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂とは、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリル酸エステル基を含有する飽和もしくは不飽和ポリエステルもしくはその重合性不飽和モノマーとの混合溶液である。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂とは、ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂単独又はビスフェノールタイプのエポキシとノボラックタイプのエポキシ樹脂とを混合した樹脂である。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、その平均エポキシ当量が好ましくは150〜450程度のエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とをエステル化触媒の存在下で反応して得られるエポキシビニルエステルが好ましい。
【0036】
成分(D)の硬化剤は、特に制限されず、当該分野で通常用いられる硬化剤を用いることができる。例えば、過酸化水素或いは過酸化水素の水素原子の1又は2をアルキル基、アリール基、アシル基などで置換した公知の有機過酸化物などを使用することができる。この様な有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、クメンヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、過酸化アセチル、エチルメチルケトンパーオキサイドなどが挙げられる。これらの硬化剤の中では、BPOが好ましい。
【0037】
本発明において使用するビニルウレタン硬化性樹脂組成物の組成比は、特に制限されないが、通常(A)ビニルウレタン樹脂と(B)重合性不飽和単量体の組成比は、重量比で通常(A)/(B)=50/50〜70/30程度、好ましくは(A)/(B)=55/45〜65/35程度である。
【0038】
(A)ビニルウレタン樹脂と(C)空乾性付与型重合体の組成比は特に制限されないが、重量比で通常(A)/(C)=95/5〜50/50程度である。(C)の比率が小さすぎる場合には、樹脂硬化物の硬化時間が長くなる。(C)の比率が大きすぎる場合には、樹脂硬化物の引っ張り強度、引き裂き強度、耐水性、耐湿熱性等の特性が悪くなるおそれがある。
【0039】
(A)ビニルウレタン樹脂と(C)空乾性付与型重合体との和(A+C)と(B)重合性不飽和単量体との比は、特に制限されないが、重量比で(A+C)/(B)=2/8〜8/2程度が好ましい。
【0040】
(D)硬化剤の添加量は、特に制限されず、作業工程や温度条件などに応じて適宜調整することができる。硬化剤の添加量は、通常(A)ビニルウレタン樹脂100部に対して1〜6部程度、好ましくは2〜5部程度である。
【0041】
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて更に、当該分野で通常用いられる添加剤を含んでいてもよい。この様な添加剤としては、例えば増量剤などが挙げられる。増量剤は、硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化膜の特性を損なわないものであれば特に制限されない。例えば、炭酸カルシウム、消石灰、珪酸、砂などが挙げられる。増量剤は、硬化性樹脂組成物と均一に混合し、分離しないものが好ましい。例えば、粉体であることが好ましい。増量剤の含有量は、特に制限されないが、通常硬化性樹脂組成物100重量部に対して、400重量部以下程度、好ましくは200重量部以下程度、より好ましくは50〜100重量部以下程度である。
【0042】
本発明の硬化性樹脂組成物は、所定の粘度とするために、必要に応じてさらに、当該分野で通常用いられる溶媒を含んでいても良い。この様な溶媒としては、本発明の硬化性樹脂組成物が、一様に溶解する溶媒が好ましい。
【0043】
【実施例】
以下に本発明の実施例を詳細に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例1:
実際の路盤を想定し、MMA(メタクリル酸メチル)系ビニルウレタン樹脂、MP−80および大日本インキ化学工業株式会社製、変性MMA系樹脂、ディオバーHTP−502を用いた場合の硬化膜形成時の広がり性を調べるため、以下のような実験を行った。
(実験方法)
50cm×50cm×50cmのアクリル水槽に軌道路盤の土を高さ5cm入れ、この上に軌道用バラストを40cmの高さまで敷き詰めた。じょうろを用いて5L/m2の水を撒いた後、バラストに漏斗を差し込み(漏斗の先端と路盤表面との間隔:10cm)、所定量の硬化性樹脂組成物を漏斗を用いて注入し、硬化性樹脂組成物の浸透拡散並びに硬化状態を観察した。
【0045】
【表1】
Figure 0003951261
【0046】
ディオバーHTP−502またはMP−80を用いた硬化性樹脂組成物は、いずれも路盤上で十分に展開し、連続的な樹脂硬化膜を得ることができた。
【0047】
実施例2:
実施例1において得られた樹脂硬化膜について、各温度での引張伸び率を測定した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003951261
【0049】
【表3】
Figure 0003951261
【0050】
ディオバーHTP−502またはMP−80を用いた硬化性樹脂組成物は、注入してから20分後には硬化していた。
【0051】
MP−80は、室温(25℃)から低温(0又は−20℃)にかけての引張伸び率の低下が少なく、室温時に比べて伸び率の保存率は、HTP−502に比較して大きい。結果を表3に示す。
実施例3:実施工試験
現場施工においてMP−80を用いて現場施工試験を行い、硬化時間を測定した。じょうろを用いて5L/m2の水を撒いた後、60cm間隔に、バールを用いて漏斗をその先端が路盤表面から10cmとなるようバラストに差し込んだ。所定量の硬化性樹脂組成物を漏斗を用いて注入し、樹脂硬化膜を形成させた。
【0052】
施工一週間経過後に、先に施工を行った箇所に隣接する箇所において、同様の方法を用いて施工を行った。施工後、バラストなどを除去し硬化膜を観察したところ、前回施工した際に形成した樹脂硬化膜と新たに形成した樹脂硬化膜との間には、境目がなく連続的な硬化膜となっていた。
【0053】
さらに、所定時間経過後、バラストなどを除去し、樹脂硬化膜の状態を観察した。結果を表4にまとめる。
【0054】
【表4】
Figure 0003951261
【0055】
本工法は、従来工法に比べて施工も簡便、迅速である。硬化性樹脂組成物は、注入15分後には硬化し、膜を形成した。該硬化性樹脂は、水存在下でも硬化可能であることから、湿潤箇所であるにも拘わらず、特別な下地処理を行わなくとも硬化した。
【0056】
施工1年後でも連続的な樹脂硬化膜を維持しており、噴泥を防止している。
【0057】
【発明の効果】
本発明の工法を用いることにより、軌道バラストを撤去することなく、噴泥及び継ぎ目落ちを防止することができる。そのため、コスト、時間及び手間を減少させることができる。
【0058】
また、本発明の工法は、路上運搬車の様に列車の運行を妨げる大がかりな機械や特殊な機械がなくとも施工することが可能である。また、特に技術を持った施工作業者を必要としない。
【0059】
更に、本発明の工法において、硬化性樹脂組成物として即硬化性に優れたものを選択することにより、列車の運行を遮断することなく軌道の補修を行うことができる。従って、夜間だけでなく、昼間、列車運行の間隙をぬって施工することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、漏斗を使用し、硬化性樹脂組成物を注入する場合の樹脂硬化膜形成過程の一例を示す。
【符号の説明】
1 バラスト
2 路盤
3 漏斗
4 硬化性樹脂組成物の通過経路
5 樹脂硬化膜
6 枕木
7 レール

Claims (6)

  1. 軌道バラストを水で濡らし、水の存在下でも硬化可能であって、かつ硬化剤が有機過酸化物である硬化性樹脂組成物を、バラストの上層部分が該樹脂組成物によって固まらないように注入し、連続的な樹脂硬化膜を路盤上に形成することを特徴とする軌道路盤の噴泥及び継ぎ目落ち現象の防止工法。
  2. 硬化性樹脂組成物を4〜15kg/m2注入することを特徴とする請求項1に記載の工法。
  3. 硬化性樹脂組成物が、注入後1時間以内に硬化する硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の工法。
  4. 樹脂硬化膜の膜厚が、平均1〜20mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の工法。
  5. 硬化性樹脂組成物が、(A)ビニルウレタン樹脂、(B)重合性不飽和単量体、(C)乾性油及び/又はそれらの脂肪酸化合物を用いた空乾性付与型重合体並びに(D)硬化剤を含むビニルウレタン硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の工法。
  6. 軌道バラストを水で濡らし、水の存在下でも硬化可能な硬化性樹脂組成物を、バラストの上層部分が該樹脂組成物によって固まらないように注入し、連続的な樹脂硬化膜を路盤上に形成することを特徴する軌道路盤の噴泥及び継ぎ目落ち現象の防止工法であって、該樹脂硬化膜の引張伸び率が、−20℃において5〜20%であることを特徴とする工法
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