JP3950722B2 - 磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査装置および検査方法 - Google Patents

磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査装置および検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、N個のA/D変換回路の並列動作を用いた磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査において、信号分配経路間のオフセットおよびゲイン差と、複数A/D変換回路間のサンプリングクロックの位相ずれと、信号経路のゲインと位相特性の周波数依存性を検出および補償し、検査する装置ならびに方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワークステーション等の情報処理装置において外部記憶装置として磁気記録装置が用いられてきた。特に磁気ディスク装置は、近年における磁性体または磁気ヘッドの改良や信号処理技術の向上等により記録密度の高密度化、記録周波数の高周波化および磁気ディスク装置の低価格化がすすみ、情報処理装置の高速化および低価格化の一端を担っていることはよく知られている。
【0003】
また磁気ディスク装置は、外部記憶装置として記録・再生したデータに対して高信頼性であることが要求されており、磁気ディスク装置に用いる磁気記録媒体すなわち磁気ディスクあるいは磁気ヘッドの検査は、実使用周波数で磁気ディスクあるいは磁気ヘッドを用いて試験データの記録・再生により検査を行う方式がよく用いられている。
【0004】
この方式で検査を行う磁気ディスクあるいは磁気ヘッドの検査装置においては、試験データの記録・再生周波数の高周波化が求められるとともに、再生した試験データを詳細にかつ高精度に検査または測定したいという要望が強くなってきており、この高速・高精度を両立する検査装置方式として、再生した試験データをA/D変換回路によってディジタル値データに変換し、変換後のディジタル値データをデータ処理することにより、試験データの再生または磁気ディスクの磁気特性を高精度に算出する方式がある。この方式において高周波の試験データを用いた検査を行うためには、A/D変換回路のサンプリング周波数の高周波化が必要である。そこでサンプリング周波数fADCのA/D変換回路をN個並列処理することにより、見かけ上のサンプリング周波数をN倍に高周波化する方法がとられている。図6に4個(N=4)のA/D変換回路の並列処理を用いた磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査装置を示す。
【0005】
同図に示す磁気ディスクまたは磁気記録ヘッドの検査装置100では、ディスク回転部103において磁気ディスクであるディスク11を保持して回転動作させ、書き込みデータ生成部102において検査に用いる試験データを生成して出力し、該書き込みデータ生成部102の該出力を書込アンプ101において増幅して出力し、ディスク11において試験目標とするトラック上にR/Wヘッド12を配置して、該書込アンプ101の該出力をもとに該R/Wヘッド12の磁界を変化させて磁気特性を有する該ディスク11に対して書き込み動作させて回転動作中の該ディスク11の試験目標トラックに該試験データを円周方向に記録する記録動作と、回転動作する該ディスク11に記録した試験データに基づく磁界の変化をR/Wヘッド12において検出し、該検出信号を再生アンプ13により増幅してディスク再生信号を出力し、該ディスク再生信号をディスク再生信号分配回路14により4分配(N=4)し、4分配された該ディスク再生信号をサンプリングクロック分配回路19から出力する独立なサンプリングクロック信号を用いて4個(N=4)配設したA/D変換回路15〜18により各々独立に離散値に変換して出力し、該A/D変換回路15〜18が出力する離散値をメモリ20〜23に保持し、該メモリ20〜23に保持された離散値化した該ディスク再生信号データをもとにデータ処理部27において該ディスク再生信号に対して目標とする測定値を演算処理等によって算出して出力し、該データ処理部27により出力した該ディスク再生信号の測定値をもとに解析処理部28において検査対象とする該ディスクが正常であるか否かを演算して判定処理する再生動作または判定動作とを行うことで、検査対象とする磁気記録媒体すなわち磁気ディスク11または磁気ヘッド12の検査を行う。
【0006】
ここで、データ処理部27は例えばディジタル信号処理を行うDSP(Digital Signal Processor)等の論理回路によって構成され、メモリ20〜23に保持したディスク再生信号の離散値をもとに補間処理等を行って、任意のディスク再生信号パルスに対してパルス毎の振幅値または平均振幅値等を演算処理して算出する。保持したディジタル値に対して高速フーリエ変換(FFT)または離散フーリエ変換(DFT)等の周波数解析演算処理を行うことで磁気ディスクまたは磁気ヘッドに対して詳細な検査を行うことが可能である。
【0007】
上述のように、4個(N=4)のA/D変換回路を並列処理する構成によりディスク再生信号に対して時間軸方向で精細にサンプリングすることで、例えばディスク再生信号の急峻な変動を高精度に離散値に変換することが可能となり、磁気ディスクの特性等をディジタル演算処理により算出する際に高精度な離散値データを用いることで磁気記録媒体すなわち磁気ディスクまたは磁気ヘッドの高精度な検査が可能となる。
本従来例に関する技術は特開2001-184602に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来例においては、ディスク再生信号を高速にディジタル値に変換するために、ディスク再生信号をディスク再生信号分配回路でN分配した後、各サンプリング周波数fADCの位相差を1/(N×fADC)としたN個のA/D変換回路で独立にディジタル値に変換し、そのディジタル値を時系列に並べてデータ処理演算を行っていた。しかし、ディスク再生信号分配回路の出力部では部品およびIC内プロセスのばらつきによりオフセット電圧およびゲイン差が生じ、また、各A/D変換回路のアパーチャばらつきやサンプリングクロック分配後の遅延特性のばらつきが原因で、理想のサンプリングクロック位相差においてずれが生じ、各デジタルデータで誤差が発生するため、測定精度が劣化するという問題があった。また、再生信号がA/D変換されるまでの信号経路の伝達特性と位相特性が、測定周波数によって変化することも、測定精度劣化の大きな問題となっている。
【0009】
本発明の目的は、信号分配経路間のオフセットおよびゲイン差と、複数A/D変換回路間のサンプリング周波数の位相ずれと、信号経路の伝達特性と位相特性の周波数依存性を検出する手段と、その検出値よりデータ値補償を行う手段を備えた磁気記録媒体すなわち磁気ディスクまたは磁気ヘッド検査装置および検査方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験データを記録し、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し、再生した試験データをN個の信号に分配し、N個の変換手段により離散値に変換し、該離散値を用いて所望の演算処理を行うことで該磁気記録媒体または該磁気ヘッドの特性検査を行う磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査装置において、発振周波数finが可制御である第1の基準信号発生源と、該基準信号発生源を用いて作成した基準信号と該磁気ヘッドで再生した試験データを切替えて出力する信号切り替え手段と、1個の変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数fADCを独立に制御する第2の基準信号発生源と、該N個の変換手段の並列制御部で発生する誤差を演算処理により検出した値を保持して試験データ演算処理時に該検出値を用いて該並列制御部で発生する誤差を補償するデータ処理手段を備えるようにした。
【0011】
また、磁気記録媒体に磁気ヘッドにより試験データを記録し、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し、再生した試験データをN個の信号に分配し、N個の変換手段により離散値に変換し、該離散値を用いて所望の演算処理を行うことで該磁気記録媒体または該磁気ヘッドの特性検査を行う磁気記録媒体または磁気ヘッドの検査方法において、第1の基準信号発生源により発振周波数finが制御可能な基準信号を発生させる工程と、該基準信号発生源を用いて作成した基準信号と該磁気ヘッドで再生した試験データを切替えて出力する工程と、1個の変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数fADCを独立に制御する第2の基準信号発生源により1個の変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数fADCを独立に制御する信号を発生させる工程と、該N個の変換手段の並列制御部で発生する誤差を演算処理により検出した値を保持して試験データ演算処理時に該検出値を用いて該並列制御部で発生する誤差を補償するデータ処理工程とを有するようにした。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
以下実施例により図面を参照して本発明を説明する。図1に、本発明の第1の実施形態を示す。
【0013】
同図は本発明の磁気記録媒体すなわち磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査装置の概略図である。磁気記録媒体すなわち磁気ディスクの検査の場合は、標準磁気ヘッドを用いて概磁気ディスクに試験データの記録を行い、磁気ヘッドの検査の場合は、概磁気ヘッドにより、標準磁気ディスクに試験データを記録する。その後の試験データ再生において、R/Wヘッド12の次段の信号切替回路2は、タイミング制御部25からの信号を受けて、R/Wヘッド12が磁気ディスク11から読み出した信号と、基準信号発生回路1の出力信号である基準信号の、どちらかの信号を再生アンプ13に出力する回路である。ここで基準信号発生回路1は任意波形を出力する回路であり、制御部29からの信号によって制御可能である。信号切替回路2は、前述の測定誤差要因の検出時には基準信号を選択する。
【0014】
最初に、信号分配経路間のオフセットおよびゲイン差と、4個(N=4)A/D変換回路15〜18の間のサンプリングクロックの位相ずれの検出方法とその補償方法について述べる。まず検出方法から説明する。これらの値に対する測定誤差要因は、周波数finの正弦波を基準信号としてデータ処理を行うことにより検出することができる。この場合、これらのデータ処理方法は二通りある。第1の方法は基準信号周波数finとA/D変換回路単体のサンプリング周波数fADCがコヒーレントな関係を満足するように設定をした上で、各A/D変換回路15〜18で変換したディジタル値ごとにFFTまたはDFT演算処理を行うことで検出する方法であり、第2の方法は各A/D変換回路15〜18で変換した二つのディジタルデータ値を用いて連立方程式を解くことにより検出する方法である。
【0015】
第1の方法は、並列処理を行う各A/D変換回路15〜18において、基準信号周波数finとA/D変換回路単体のサンプリング周波数fADCが、後述するコヒーレントな関係を満足するように設定した上でFFT(またはDFT)演算処理を行うことにより各信号分配経路のオフセット電圧、ゲイン差および位相ずれを検出する方法である。このコヒーレントな関係とは、窓関数処理を用いずに、高速かつ高精度にFFT(またはDFT)演算処理をするために必要な条件である。以下、本方式について詳細に説明する。
【0016】
基準信号周波数finは、サンプリング定理での波形再生可能な周波数の上限であるfADC/2以下の正弦波周波数でかつディスク再生信号に含まれる範囲の周波数とする。 数1に基準信号発生回路1が出力する基準信号電圧vinの時間関数を示す。ここでA0は振幅、tは時間である。
【0017】
Vin=A0sin(2π×fin×t) (数1)
例えばA/D変換回路(#A)15の信号経路でオフセット電圧(VDCA)、ゲイン差(1+△xA)および位相(φA)が生じた場合、A/D変換回路(#A)15の入力部での信号電圧vinAは数2となる。
【0018】
VinA=A0(1+△xA)sin(2π×fin×t+φA)+ VDCA (数2)
ここでFFT(またはDFT)による周波数演算時にスペクトラムリークが発生しないようにするためには、基準信号周波数finとサンプリング周波数fADCとサンプリングデータ数pおよび入力正弦波周期数mは数3に示すコヒーレントな関係を満足するように設定することが必要となる。但しpとmは互いに素な整数となるように設定しなければならない。また、以降の説明では、FFT演算処理を可能とするためにp =2nとして説明を行うが、DFT演算処理を行う場合はp ≠2nとしても良い。
【0019】
fin/fADC = m/p (数3)
例えばm=7、p=1028、fADC=1.5Gsps、fin=10.25390625MHzと設定することによりコヒーレントな関係は成立する。
【0020】
このコヒーレントな関係を用いずにFFT演算を行う場合、窓関数等を用いることによりスペクトラムリークを低減できるが、コヒーレントな関係を満足した場合ほど高精度な演算は不可能であり、かつ処理時間は長くなるため,本発明の演算処理がより優れている。
【0021】
FFTまたはDFT演算によって得られるフーリエ変換値FL(L=0,…,N/2)は変換範囲内にL周期含まれる余弦信号を表しており、その振幅は2×| FL |、位相はarg(FL)により算出できる。また|F0|は直流成分を表す。よってvinAの振幅A0(1+△xA) は2×| Fm |、位相φAはarg(Fm)+π/2を求めればよいこととなる。これより、各A/D変換回路(#A)15、(#B)16、(#C)17、(#D)18の入力部でのオフセット電圧は数4で、ゲイン差は数5で算出でき、サンプリングクロックの位相ずれは、位相φABCDを算出した後、数6により時間軸でのずれ(△t)として求めることができる。同式中のφ(BA,CA,DA)は#Bと#A、#Cと#Aまたは#Dと#Aの各サンプリングクロック間の理想位相差である。また、同式では#Aを基準として#B,#C,#Dの位相ずれを求めているが、他のA/D変換回路を基準にしても良い。
【0022】
VDC(A,B,C,D) = |F0(A,B,C,D)| (数4)
1+△x(A,B,C,D) = 2×|Fm(A,B,C,D)|/A0 (数5)
Δt(B,C,D)=(φ(B,C,D)A(BA,CA,DA))/2π・fin (数6)
第2の方法は、各A/Dの二つのサンプリングデータを用いて連立方程式を解き、最初のサンプリングデータを始点としたときの各A/D変換回路15〜18の入力部での位相および振幅を算出する。
【0023】
この方法の場合、まず0を入力したときのディジタル値を読み取ることで、各オフセット電圧VDCA、VDCB、VDCC、VDCDを検出する。その後、前述した数1の基準信号を入力し、ゲイン差および位相を求める。
ここでA/D変換回路(#A)15の入力部で、オフセット電圧(VDCA)、ゲイン差(1+△xA)および位相φAが生じている場合、A/D変換回路(#A)15が出力するk番目のディジタル値SAk(k=0,…,2n-1)は数7で表わされる。
【0024】
SAk=A0(1+△xA)sin(2π×fin/fADC×k+φA)+VDCA (数7)
k=0,1のディジタル値等を数7に代入して、(1+△x)とφAを変数とした連立方程式を解き、サンプリングデータ(SA0)を始点としたときのゲイン差(1+△x)と位相φAを求める。#B、#C、#Dにおいても同様にしてk=0のサンプリングデータ(SB0,SC0,SD0)を始点としたときのゲイン差と位相を求めた後、前述した数6により位相ずれ(時間表記)を算出する。
【0025】
上記方法にて検出した信号分配経路間のオフセットおよびゲイン差と、N個A/D変換回路間のサンプリングクロックの位相ずれの検出値は、データ処理部27の演算処理による検出後に例えば制御部29内にあるメモリ30に保持される。
【0026】
次に上記測定誤差を含んだ試験データまたは基準信号における補償方法について説明する。
【0027】
オフセット電圧およびゲイン差の補償は、各メモリ20〜23から読み出されるディジタル値データごとにデータ処理部27で演算処理をすることにより行う。これは例えば、データ処理部27は、#AのA/D変換回路15の後段メモリ20に保持されたディジタル値を読みこむと同時に、制御部中のメモリからVDCAとゲイン差(1+△xA)を読み込み、メモリ20から読込んだデータから一律にオフセット電圧値VDCAを減算した後、ゲイン差(1+△xA)の逆数を乗じるようにデータ処理を行うことで補償できる。他の#B、#C、#Dについても同様のデータ処理により補償を行う。
【0028】
続いてA/D変換回路15〜18のサンプリングクロックの位相ずれによる誤差の補償について説明する。従来データ処理部27では、メモリ20〜23から送られた全データを各A/D変換回路間が理想のサンプリングクロック位相差で変換したデータとして扱い、例えばSA0→SB0→SC0→SD0→SA1→SB1…の順で並び替えた後、各データが時間間隔1/(4×fADC)の等時間間隔のデータとして、データ処理を行っていたため、サンプリングクロック位相ずれによる測定誤差が問題になっていた。そこで本発明では、データ処理部はメモリから送られた全データをSA0→SB0→SC0→SD0→SA1→SB1…の順で並び替えた後、先程検出したサンプリングクロックの位相ずれ△t(B,C,D)を制御部29中のメモリ30から読込み、例えばSA0を基準として、△tB+1/(4×fADC)後にSB0を、△tC+2/(4×fADC)後にSC0を、△tD+3/(4×fADC)後にSD0を、そして1/(fADC)後にSA1を不等時間間隔のデータとして整理する。その後、この不等時間間隔データを時間軸上の関数として任意関数を補間関数として用いて補間を行い、等時間間隔のデータを算出することにより、サンプリングクロックの位相ずれによる測定誤差の補償を行う。ここで補間に用いる補間関数として例えば高次スプライン補間や線形補間が挙げられるが、特に制限は無い。
【0029】
次に信号経路の伝達特性の周波数依存性を検出し、補償する方法を説明する。ここで検出および補償の対象となるのは、再生アンプ13、ディスク再生信号分配回路14、A/D変換回路15〜18中の入力バッファとそれらの回路を接続する基板配線等の伝達特性の周波数依存性である。この検出には、前述した方式により信号分配経路間のオフセットおよびゲイン差と、4個(N=4)のA/D変換回路15〜18間のサンプリングクロックの位相ずれを既に検出していることが前提であり、このときの基準信号周波数は任意周波数finであるとする。また、伝達特性の周波数依存性を検出する際、基準信号発生回路1の出力信号を後段回路に入力するように信号切り替え回路2の設定を行う。
【0030】
基準信号の周波数はfinと異なる周波数fin2に設定する。ここで設定周波数fin2は試験データに含まれる全ての周波数が対象で、かつ前述したコヒーレントな関係が成り立つように制御を行う。基準信号発生回路1の出力信号は、再生アンプ13を通過後、ディスク再生信号分配回路14で4分配(N=4)され、並列制御された4個(N=4)のA/D変換回路15〜18へ入力される。各A/D変換回路15〜18は、サンプリングクロック分配回路19が出力するサンプリングクロックの立ちあがりあるいは立下りタイミングにより、入力アナログ信号をディジタル値へ変換する。数8に各A/D変換回路#A〜#Dの入力アナログ信号を示す。
【0031】
vin(A,B,C,D)=A0×△Afin2(1+△x(A,B,C,D))sin(2π×fin2×t+φ(A,B,C,D))+ VDC(A,B,C,D) (数8)
同式中の△Afin2は周波数finでの伝達特性を基準としたときのfin2での伝達特性であり、この値は周波数によって変化する。
【0032】
各A/D変換回路15〜18によってディジタル値に変換されたデータはメモリ20〜23に保持され、その後制御部29の制御信号を受けてデータ処理部27へ出力される。データ処理部27は、メモリ20〜23から受け取った全データに関して、前述したようにして信号分配経路間のオフセットおよびゲイン差と4個(N=4)A/D変換回路間15〜18のサンプリングクロックの位相ずれによる測定誤差の補償を行う。この補償後の時系列に並び替えたデータを用いて、データ処理部27は例えばFFT(またはDFT)演算によって振幅A0×△Afin2を算出し、さらに同算出値をA0で割ることにより△Afin2を求める。ここで、各信号経路でのFFT演算データ範囲においてコヒーレントな関係が成立しているため、時系列に並び替えた全データのFFT演算もコヒーレントな関係が成り立ち、△Afin2を高精度に算出することが可能である。同様の処理を試験データに含まれる周波数範囲について行うことにより、図2に示すような△Afin2つまり信号経路の伝達特性の周波数依存性を検出することができる。ここで△Afin2は周波数に関わらず1であることが理想であり、これからのずれが誤差の原因となる。検出した値は制御部29中のメモリ30に保持される。
【0033】
次に信号経路の伝達特性の周波数依存性を補償する方法について説明する。制御部29からの制御信号により信号切替回路2はin1端子とout2端子を接続し、磁気ヘッドにより再生した試験データを再生アンプに入力する。再生アンプで増幅された試験データは、並列動作する4個(N=4)のA/D変換回路15〜18によりディジタル値に変換され、そのディジタル値はメモリ20〜23に保持される。データ処理部27はメモリ20〜23に保持されたディジタル値を読込んでデータ処理を行う。まず該ディジタル値に含まれる信号分配経路間のオフセット電圧、ゲイン差およびサンプリングクロック間の位相ずれによる誤差を前述の方法により補償し、その後の全データに関してFFT(またはDFT)演算処理等の周波数解析により、例えば試験帯域範囲の各周波数成分のフーリエ係数FLを求め、メモリ30に保持していた伝達特性の周波数依存性の検出値を読込み、各フーリエ係数を同周波数の△Afin2で補正(ここでは除算)することにより補償することが出来る。
【0034】
次に信号経路の位相特性の周波数依存性を検出し、補償する方法について説明する。ここで検出および補償の対象となるのは、再生アンプ13、ディスク再生信号分配回路14、A/D変換回路15〜18中入力バッファ等の位相特性の周波数依存性である。
【0035】
この検出には、前述した方式により信号分配経路間のオフセットおよびゲイン差と、4(N=4)個A/D変換回路15〜18のサンプリングクロックの位相ずれを既に検出していることが前提である。このときの基準信号は任意周波数finとする。また、位相特性の周波数依存性を検出する際、基準信号発生回路1の出力信号を再生アンプ13に入力するように信号切替部2の設定を行う。検出時、基準信号発生回路1は二つ以上の周波数の信号(fina,finb,finc, を出力する。これらの周波数の最低周波数をfinaとするとfinb,finc,…は必ずその整数倍であり、かつそれぞれの位相関係が可制御である。いま、基準信号発生回路1はfina,finb(finb=2×fina)のともに位相0である二つの周波数を基準信号として出力しているとする。この基準信号は信号切替回路2と再生アンプ13を通過してディスク再生信号分配回路14で4分配(N=4)され、A/D変換回路15〜18でディジタル値に変換したあとメモリ20〜23に保持される。ここで基準信号中の最低周波数finaと、各A/D変換回路15〜18のサンプリングクロック周波数fADCと、測定範囲内の各A/D変換回路15〜18の出力ディジタル値データ数2n(nは1以上の整数)およびfinaの周期数mがコヒーレントな関係を満足するように制御する。データ処理部27は、まずメモリ20〜23に保持していたデータを読込み、各A/D変換回路15〜18の出力ディジタル値データを時系列に並び替える。この際全出力データに含まれる位相特性の周波数依存性以外の誤差要因を補償する。この並べ替え後の全データからFFT(またはDFT)演算処理により各周波数成分を示すフーリエ変換値FL(L=0, 2n-1)を求め、前述のように各周波数の位相値を算出する。この位相算出値から基準信号中の複数周波数の位相ずれを求めることができ、例えばfinaを基準としたときのfinbの位相ずれ△φbaを数9で求めることが可能である。
【0036】
△φba=arg(F2m)−arg(Fm) (数9)
同様の処理を試験データに含まれる周波数範囲について行うことにより、図3に示す信号経路の位相特性の周波数依存性を検出することができる。位相ずれは周波数に関わらず0であることが理想であり、これからのずれが誤差の原因となるる。検出した値は制御部29中のメモリ30に保持される。
【0037】
次に検出した位相特性の周波数依存性の補償方法を説明する。制御部29からの制御信号により信号切替部2はin1端子とout2端子を接続し、磁気ヘッド12により再生した試験データを再生アンプ13に入力する。再生アンプ13で増幅された試験データは、並列動作する4個(N=4)のA/D変換回路15〜18によりディジタル値に変換され、そのディジタル値はメモリ20〜23に保持される。データ処理部27はメモリ20〜23に保持されたディジタル値を読込んでデータ処理を行う。まず該ディジタル値に含まれる信号分配経路間のオフセット電圧、ゲイン差およびサンプリングクロック間の位相ずれによる誤差を前述の方法により補償し、その後の全データに関してFFT(またはDFT)演算処理等の周波数解析により、例えば試験帯域範囲の各周波数成分のフーリエ係数FL(L=0,…,2n-1)を求め、メモリに保持していた位相特性の周波数依存性の検出値を読込み、各周波数の位相から位相ずれを補正(ここでは減算)することにより補償することが出来る。
【0038】
(実施例2)
図4に、本発明の第二の実施形態図を示す。同図は本発明の磁気記録媒体すなわち磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査装置のもう一つの例の概略図を示している。R/Wヘッド12の次段の信号切替回路2は、タイミング制御部25からの信号を受けて、R/Wヘッド12が磁気ディスク11から読み出した信号と基準信号発生回路4の出力信号である基準信号のどちらかの信号を再生アンプ13に出力する回路である。ここで基準信号発生回路4は任意波形を出力する回路であり、信号伝達特性または位相特性測定部5からの信号によって可制御である。また、制御部29からの制御信号により信号切替部6を切り替えることにより、信号伝達特性および位相特性測定部5が測定する信号分配経路を選択する。波形測定部7はサンプリングクロック分配回路19の出力信号を時間軸で測定するための手段である。信号切替回路2は、前述の測定誤差要因の検出時にはin2を選択し、基準信号を再生アンプ13に出力する。
【0039】
本装置を用いた信号分配経路間のオフセットおよびゲイン差と、信号経路の伝達特性と位相特性の周波数依存性の検出方法について述べる。
【0040】
同図中のA/D変換回路15〜18の入力部でのオフセット電圧VDCA、VDCB、VDCC、VDCDは、0を入力してA/D変換回路15〜18でディジタル値への変換を行い、各信号経路ごとのディジタル値を読み取り、この値を制御部29中のメモリ30に保持することで検出できる。
【0041】
信号分配経路間のゲイン差と、信号経路の伝達特性および位相特性の周波数依存性は、基準信号発生回路4が、前述の数1に示す基準信号電圧vin(理想振幅値A0、周波数fin)を出力するように制御し、A/D変換回路15〜18の入力部での信号sig1〜sig4を信号伝達特性または位相特性測定部5により直接読み取ることにより検出できる。例えばA/D変換回路(#A)15の入力部の信号について検出を行う場合、信号切替部6は制御部からの信号を受けて、信号伝達特性または位相特性測定部5が信号sig1を読み取ることができるように切り替わる。信号伝達特性または位相特性測定部5は、例えばネットワークアナライザ等の測定器と同様の機能を有しており、制御信号により基準信号の周波数finを変化させながら基準信号発生回路1出力部からA/D変換回路15〜18入力部までの測定を行い、図5に示すような伝達特性および位相特性の周波数依存性を調べる。同図(a)の縦軸は測定点での振幅、(b)の縦軸は測定点での信号の位相、横軸は(a)(b)ともに基準信号周波数finである。同図(a)の振幅値が平坦な部分の値は、ゲイン差を含む振幅値A0(1+△xA)を表わしており、この値を読み取ることにより、ゲイン差(1+△xA)を検出することができ、検出したゲイン差は制御部中のメモリに保持される。このゲイン差検出値は、補償時にデータ処理部27に出力され、全データにゲイン差の逆数1/(1+△xA)を乗じる補正を行うことにより補償することができる。また、この振幅値は全周波数にわたって振幅値A0で平坦なことが理想だが、伝達特性の周波数依存性がある場合、図5(a)に示すようにfinが高周波になるに伴って信号振幅が小さく(あるいは大きく)なる。ある周波数fin2における振幅値をAfin2とすると、fin2での検出値はA0(1+△xA)/Afin2であり、これを全周波数範囲で検出し、検出した伝達特性の周波数依存性は制御部29中のメモリ30に保持される。この伝達特性の周波数依存性検出値は、補償時にデータ処理部27に出力され、前述の第1実施例と同様の方法で補正することにより補償できる。図5(b)は位相特性の周波数依存性を示す図である。位相特性も周波数に関わらず一定値を示すことが理想であり、信号伝達特性または位相特性測定部5は、周波数finごとに理想値からの位相差△φfinを読み出し、制御部29中のメモリ30に保持することで検出を行う。この位相特性の周波数依存性検出値は、補償時にデータ処理部27に出力され、前述の第1実施例と同様の方法で補正することにより補償できる。
【0042】
続いてA/D変換回路15〜18のサンプリングクロックの位相ずれによる誤差の検出方法について説明する。図4中の波形測定部7は信号の電圧波形を時間軸で測定可能であり、サンプリングクロック分配回路19が出力する各A/D変換回路のサンプリングクロックCLK1〜CLK4を同時測定することにより、サンプリングクロックの位相ずれ△t(時間表記)として測定することが可能である。測定した位相ずれ値は、検出値として制御部29中のメモリ30に保持され、補償時にデータ処理部27に出力され、前述の第1実施例と同様の方法で補正することにより補償できる。
【0043】
本発明の磁気記録媒体すなわち磁気ディスクの検査は、磁気ディスクに標準磁気ヘッドにより試験データを記録し、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し、再生した試験データをN個の信号に分配し、N個の変換手段により離散値に変換し、該離散値を用いて所望の演算処理を行うことで該磁気ディスクの検査方法において、下記の工程を含むことを特徴として実施される。
【0044】
まず、標準磁気ヘッドを用いて概磁気ディスクに試験データの記録を行い、磁気ヘッドの検査の場合は、概磁気ヘッドにより、標準磁気ディスクに試験データを記録する。その後の試験データ再生において、第1の基準信号発生源1により発振周波数finが制御可能な基準信号を発生させる工程と、該基準信号発生源を用いて作成した基準信号と該磁気ヘッドで再生した試験データを切替えて出力する工程と、1個の変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数fADCを独立に制御する第2の基準信号発生源3により1個の変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数fADCを独立に制御する信号を発生させる工程と、該N個の変換手段の並列制御部で発生する誤差を演算処理により検出した値を保持して試験データ演算処理時に該検出値を用いて該並列制御部で発生する誤差を補償するデータ処理工程とからなり、上記の検出・補償工程を含まない従来の検査方法に比し、本発明で述べた補正により、検査精度の向上を実現することができる。
【0045】
また、本発明において検出する各種誤差の検出方法を以下に纏めて示す。具体的処理プロセスの説明は上記の実施例にて述べた通りである。まず、オフセット誤差は、コヒーレントサンプリングを用いたFET演算または0入力により検出する。ゲイン差の誤差はコヒーレントサンプリングを用いたFET演算または、連立方程式、または、伝達特性測定部による測定値から検出する。位相ずれの誤差も同様にコヒーレントサンプリングを用いたFET演算または、連立方程式、または、伝達特性測定部による測定値から検出する。伝達特性の周波数依存性および位相特性の周波数依存性も同じくコヒーレントサンプリングを用いたFET演算または、連立方程式、または、伝達特性測定部による測定値から検出する。
【0046】
また、本発明において検出した上記誤差を用いて補正・補償する方法を以下に纏めて示す。具体的処理プロセスの説明は上記の実施例にて述べた通りである。まず、オフセットは各A/D変換回路(処理手段)からの出力データ毎に、検出値を該誤差値で一律に補正する。上記実施例では、一律に減算を行って補正した。ゲでイン差も同様に各A/D変換回路(処理手段)からの出力データ毎に、検出値を該誤差値で一律に補正する。上記実施例では、一律に減算を行って補正した。位相ずれは不等間隔サンプルデータとして扱い、補間により等間隔サンプリングデータを算出し補正し、補償した。伝達特性の周波数依存性は、各周波数の測定値振幅値により補正する。上記実施例では、乗算により補正した。位相特性の周波数依存性は、各周波数の測定位相値を補償する。
【0047】
本発明の磁気ヘッドの検査は、磁気ヘッドにより標準磁気ディスクに試験データを記録する。その後の試験データ再生においては、磁気ディスクの検査と同様な工程によって検査を行うことが出来る。
【0048】
以上本発明により信号分配経路間のオフセットおよびゲイン差と、複数A/D変換回路間のサンプリングクロックの位相ずれと、信号経路の伝達特性および位相特性の周波数依存性の誤差値を検出して、この該誤差値を用いて測定値を補正し補償することにより磁気ディスクあるいは磁気ヘッドの検査を高精度で実施することが可能となる。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明のように、本発明を用いて信号分配経路間のオフセットおよびゲイン差と、複数A/D変換回路間のサンプリングクロックの位相ずれと、信号経路の伝達特性および位相特性の周波数依存性を検出および補償することにより、高精度な磁気ディスクおよび磁気ヘッドの検査測定を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す概略図である。
【図2】信号経路の伝達特性の周波数依存性を示す図である。
【図3】信号経路の位相特性の周波数依存性を示す図である。
【図4】本発明の第二の実施形態を示す概略図である。
【図5】信号経路の(a)伝達特性と(b)位相特性の周波数依存性を示す図である。
【図6】従来の磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1…基準信号発生回路、2…信号切替部、3…サンプリングクロック発生回路、4…基準信号発生回路、5…信号伝達特性および位相特性測定部、6…信号切替部、7…波形測定部、11…ディスク、12…R/Wヘッド、13…再生アンプ、14…ディスク再生信号分配回路、15,16,17,18…A/D変換回路、19…サンプリングクロック分配回路、20,21,22,23…メモリ、24…メモリ制御信号分配回路、25…タイミング制御部、26…可変周波数発振回路、27…データ処理部、28…解析処理部、29…制御部、30…メモリ、100…磁気ディスクまたは磁気ヘッド検査装置、101…書込アンプ、102…書き込みデータ生成部、103…ディスク回転部、104…並列制御部。

Claims (16)

  1. 磁気ディスクに磁気ヘッドにより試験データを記録し、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し、再生した試験データをN個の信号に分配し、N個のA/D変換手段により離散値に変換し、該離散値を用いて所望の演算処理を行うことで該磁気ディスクの特性検査を行う検査装置において、発振周波数finが可制御である基準信号発生源と、該基準信号発生源を用いて作成した基準信号と前記磁気ヘッドで再生した試験データを切替えて出力する信号切替手段と、該信号切替手段の出力信号をN個の信号に分配する信号分配手段と、前記N個のA/D変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数 f ADC を独立に制御するサンプリングクロック発生源と、前記N個のA/D変換手段が出力する離散値をフーリエ変換演算処理するデータ処理装置とを有し、前記N個のA/D変換手段が前記信号切替手段から第1の基準信号を入力して変換した離散値をフーリエ変換演算処理することにより、N個に分配した第1の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれを第1の誤差として検出し、前記N個のA/D変換手段が前記信号切替手段から第2の基準信号を入力して変換した離散値に対して前記第1の誤差を用いてN個に分配した第2の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれを補償し、補償後のデータをフーリエ変換演算処理することによりN個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性の周波数依存性を第2の誤差として検出し、前記N個のA/D変換手段が前記信号切替手段から第3の基準信号を入力して変換した離散値に対して前記第1の誤差及び第2の誤差を用いてN個に分配した第3の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、信号経路の伝達特性の周波数依存性を補償し、補償後のデータをフーリエ変換演算処理することによりN個のA/D変換手段までの信号経路の位相特性の周波数依存性を第3の誤差として検出し、試験データ演算処理時にN個に分配した試験データ信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、N個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性と位相特性の周波数依存性を、前記検出した第1、第2及び第3の誤差を用いて補償することを特徴とする磁気ディスクの検査装置。
  2. 請求項1記載の磁気ディスクの検査装置において、前記データ処理手段は、フーリエ変換演算処理を行うデータ範囲内のN個のA/D変換手段の離散値データ数pと基準信号周期数mと基準信号周波数finとタイミング信号の周波数fADCが、pとmが互いに素な整数でかつfin/fADC=m/pを満足するように制御し、フーリエ変換演算処理として高速フーリエ変換(FFT)演算または離散フーリエ変換(DFT)演算を行うことによって前記第1、第2及び第3の誤差を検出することを特徴とする磁気ディスクの検査装置。
  3. 請求項1記載の磁気ディスクの検査装置において、前記信号経路の伝達特性の周波数依存性を検出する場合、前記基準信号周波数finは試験周波数範囲の全周波数であり、前記データ処理手段は、フーリエ変換演算処理を行うデータ範囲内のN個のA/D変換手段の離散値データ数pと基準信号周期数mと基準信号周波数finとタイミング信号の周波数fADCが、pとmが互いに素な整数でかつfin/fADC=m/pを満足するように制御し、フーリエ変換演算処理として高速フーリエ変換(FFT)演算または離散フーリエ変換(DFT)演算を行い各周波数での信号振幅を算出することで、信号経路の伝達特性の周波数依存性を検出することを特徴とする磁気ディスクの検査装置。
  4. 請求項1記載の磁気ディスクの検査装置において、前記信号経路の位相特性の周波数依存性を検出する場合、前記基準信号周波数finは試験周波数範囲の全周波数であり、前記データ処理手段は、フーリエ変換演算処理を行うデータ範囲内のN個のA/D変換手段の離散値データ数pと基準信号周期数mと基準信号周波数finとタイミング信号の周波数fADCが、pとmが互いに素な整数でかつfin/fADC=m/pを満足するように制御し、フーリエ変換演算処理として高速フーリエ変換(FFT)演算または離散フーリエ変換(DFT)演算を行い各周波数での信号位相を算出することで、信号経路の位相特性の周波数依存性を検出することを特徴とする磁気ディスクの検査装置。
  5. 磁気ディスクに磁気ヘッドにより試験データを記録し、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し、再生した試験データをN個の信号に分配し、N個のA/D変換手段により離散値に変換し、該離散値を用いて所望の演算処理を行うことで該磁気ディスクの特性検査を行う検査装置において、発振周波数finが可制御である基準信号発生源と、該基準信号発生源を用いて作成した基準信号と前記磁気ヘッドで再生した試験データを切替えて出力する第1の信号切替手段と、前記A/D変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数fADCを独立に制御するサンプリングクロック発生源と、前記N個のA/D変換手段の入力部での信号の伝達特性と位相特性を測定する手段と、該伝達特性と位相特性の測定手段が測定する信号を切替える第2の信号切替手段と、前記N個のA/D変換手段が離散化を行うためのタイミング信号の波形測定を行う手段と、前記伝達特性と位相特性の測定手段およびタイミング信号の波形測定手段が測定した、N個に分配した基準信号間のゲイン差と、N個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性と位相特性の周波数依存性と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、N個のA/D変換手段に0を入力してその変換出力から検出したN個に分配した基準信号間のオフセットを誤差として保持し、試験データ演算処理時にN個に分配した試験データ信号間のゲイン差と、N個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性と位相特性の周波数依存性と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、N個に分配した試験データ信号間のオフセットを、前記測定および検出した誤差を用いて補償するデータ処理手段と、を備えることを特徴とする磁気ディスクの検査装置。
  6. 請求項5記載の磁気ディスクの検査装置において、前記伝達特性と位相特性を測定する手段は、前記基準信号発生源を制御して試験データに含まれる全周波数finを出力するとともに、その伝達特性と位相特性を測定し、測定値と理想値を用いて前記N個に分配した信号間のゲイン差と、伝達特性および位相特性の周波数依存性を測定することを特徴とする磁気ディスクの検査装置。
  7. 請求項5記載の磁気ディスクの検査装置において、前記タイミング信号の波形測定手段は、前記N個のA/D変換手段が離散化を行うためのタイミング信号を同時に同一時間軸で測定し、各タイミング信号が理想位相差からどれだけずれているかを算出することにより前記N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれを測定することを特徴とする磁気ディスクの検査装置。
  8. 磁気ディスクに磁気ヘッドにより試験データを記録し、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し、再生した試験データをN個の信号に分配し、N個のA/D変換手段により離散値に変換し、該離散値を用いて所望の演算処理を行うことで該磁気ディスクの特性検査を行う検査方法において、正弦波状の基準信号を発生させる工程と、N個のA/D変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数を独立に制御する信号を発生させる工程と、N個のA/D変換手段が第1の基準信号を入力して変換した離散値をフーリエ変換演算処理することにより、N個に分配した第1の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれを第1の誤差として検出する工程と、N個のA/D変換手段が第2の基準信号を入力して変換した離散値に対して前記第1の誤差を用いてN個に分配した第2の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれを補償し、補償後のデータをフーリエ変換演算処理することによりN個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性の周波数依存性を第2の誤差として検出する工程と、N個のA/D変換手段が第3の基準信号を入力して変換した離散値に対して前記第1の誤差及び第2の誤差を用いてN個に分配した第3の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、信号経路の伝達特性の周波数依存性を補償し、補償後のデータをフーリエ変換演算処理することにより信号経路の位相特性の周波数依存性を第3の誤差として検出する工程と、試験データ演算処理時にN個に分配した試験データ信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、N個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性と位相特性の周波数依存性を、前記検出した第1、第2及び第3の誤差を用いて補償する工程と、を有することを特徴とする磁気ディスクの検査方法。
  9. 磁気ディスクに磁気ヘッドにより試験データを記録し、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し、再生した試験データをN個の信号に分配し、N個のA/D変換手段により離散値に変換し、該離散値を用いて所望の演算処理を行うことで該磁気ヘッドの特性検査を行う検査装置において、発振周波数finが可制御である基準信号発生源と、該基準信号発生源を用いて作成した基準信号と前記磁気ヘッドで再生した試験データを切替えて出力する信号切替手段と、該信号切替手段の出力信号をN個の信号に分配する信号分配手段と、前記N個のA/D変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数fADCを独立に制御するサンプリングクロック発生源と、前記N個のA/D変換手段が出力する離散値をフーリエ変換演算処理するデータ処理装置とを有し、前記N個のA/D変換手段が前記信号切替手段から第1の基準信号を入力して変換した離散値をフーリエ変換演算処理することにより、N個に分配した第1の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれを第1の誤差として検出し、前記N個のA/D変換手段が前記信号切替手段から第2の基準信号を入力して変換した離散値に対して前記第1の誤差を用いてN個に分配した第2の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれを補償し、補償後のデータをフーリエ変換演算処理することによりN個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性の周波数依存性を第2の誤差として検出し、前記N個のA/D変換手段が前記信号切替手段から第3の基準信号を入力して変換した離散値に対して前記第1の誤差及び第2の誤差を用いてN個に分配した第3の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、信号経路の伝達特性の周波数依存性を補償し、補償後のデータをフーリエ変換演算処理することによりN個のA/D変換手段までの信号経路の位相特性の周波数依存性を第3の誤差として検出し、試験データ演算処理時にN個に分配した試験データ信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、N個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性と位相特性の周波数依存性を、前記検出した第1、第2及び第3の誤差を用いて補償することを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
  10. 請求項9記載の磁気ヘッドの検査装置において、前記データ処理手段は、フーリエ変換演算処理を行うデータ範囲内のN個のA/D変換手段の離散値データ数pと基準信号周期数mと基準信号周波数finとタイミング信号の周波数fADCが、pとmが互いに素な整数でかつfin/fADC=m/pを満足するように制御し、フーリエ変換演算処理として高速フーリエ変換(FFT)演算または離散フーリエ変換(DFT)演算を行うことによって前記第1、第2及び第3の誤差を検出することを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
  11. 請求項9記載の磁気ヘッドの検査装置において、前記信号経路の伝達特性の周波数依存性を検出する場合、前記基準信号周波数finは試験周波数範囲の全周波数であり、前記データ処理手段は、フーリエ変換演算処理を行うデータ範囲内のN個のA/D変換手段の離散値データ数pと基準信号周期数mと基準信号周波数finとタイミング信号の周波数fADCが、pとmが互いに素な整数でかつfin/fADC=m/pを満足するように制御し、フーリエ変換演算処理として高速フーリエ変換(FFT)演算または離散フーリエ変換(DFT)演算を行い各周波数での信号振幅を算出することで、信号経路の伝達特性の周波数依存性を検出することを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
  12. 請求項9記載の磁気ヘッドの検査装置において、前記信号経路の位相特性の周波数依存性を検出する場合、前記基準信号周波数finは試験周波数範囲の全周波数であり、前記データ処理手段は、フーリエ変換演算処理を行うデータ範囲内のN個のA/D変換手段の離散値データ数pと基準信号周期数mと基準信号周波数finとタイミング信号の周波数fADCが、pとmが互いに素な整数でかつfin/fADC=m/pを満足するように制御し、フーリエ変換演算処理として高速フーリエ変換(FFT)演算または離散フーリエ変換(DFT)演算を行い各周波数での信号位相を算出することで、信号経路の位相特性の周波数依存性を検出することを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
  13. 磁気ディスクに磁気ヘッドにより試験データを記録し、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し、再生した試験データをN個の信号に分配し、N個のA/D変換手段により離散値に変換し、該離散値を用いて所望の演算処理を行うことで該磁気ヘッドの特性検査を行う検査装置において、発振周波数finが可制御である基準信号発生源と、該基準信号発生源を用いて作成した基準信号と前記磁気ヘッドで再生した試験データを切替えて出力する第1の信号切替手段と、前記A/D変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数fADCを独立に制御するサンプリングクロック発生源と、前記N個のA/D変換手段の入力部での信号の伝達特性と位相特性を測定する手段と、該伝達特性と位相特性の測定手段が測定する信号を切替える第2の信号切替手段と、前記N個のA/D変換手段が離散化を行うためのタイミング信号の波形測定を行う手段と、前記伝達特性と位相特性の測定手段およびタイミング信号の波形測定手段が測定した、N個に分配した基準信号間のゲイン差と、N個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性と位相特性の周波数依存性と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、N個のA/D変換手段に0を入力してその変換出力から検出したN個に分配した基準信号間のオフセットを誤差として保持し、試験データ演算処理時にN個に分配した試験データ信号間のゲイン差と、N個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性と位相特性の周波数依存性と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、N個に分配した試験データ信号間のオフセットを、前記測定および検出した誤差を用いて補償するデータ処理手段と、を備えることを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
  14. 請求項13記載の磁気ヘッドの検査装置において、前記伝達特性と位相特性を測定する手段は、前記基準信号発生源を制御して試験データに含まれる全周波数finを出力するとともに、その伝達特性と位相特性を測定し、測定値と理想値を用いて前記N個に分配した信号間のゲイン差と、伝達特性および位相特性の周波数依存性を測定することを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
  15. 請求項13記載の磁気ヘッドの検査装置において、前記タイミング信号の波形測定手段は、前記N個のA/D変換手段が離散化を行うためのタイミング信号を同時に同一時間軸で測定し、各タイミング信号が理想位相差からどれだけずれているかを算出することにより前記N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれを測定することを特徴とする磁気ヘッドの検査装置。
  16. 磁気ディスクに磁気ヘッドにより試験データを記録し、記録した試験データを該磁気ヘッドにより再生し、再生した試験データをN個の信号に分配し、N個のA/D変換手段により離散値に変換し、該離散値を用いて所望の演算処理を行うことで該磁気ヘッドの特性検査を行う検査方法において、正弦波状の基準信号を発生させる工程と、N個のA/D変換手段が変換を行うためのタイミング信号の周波数を独立に制御する信号を発生させる工程と、N個のA/D変換手段が第1の基準信号を入力して変換した離散値をフーリエ変換演算処理することにより、N個に分配した第1の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれを第1の誤差として検出する工程と、N個のA/D変換手段が第2の基準信号を入力して変換した離散値に対して前記第1の誤差を用いてN個に分配した第2の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれを補償し、補償後のデータをフーリエ変換演算処理することによりN個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性の周波数依存性を第2の誤差として検出する工程と、N個のA/D変換手段が第3の基準信号を入力して変換した離散値に対して前記第1の誤差及び第2の誤差を用いてN個に分配した第3の基準信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、信号経路の伝達特性の周波数依存性を補償し、補償後のデータをフーリエ変換演算処理することにより信号経路の位相特性の周波数依存性を第3の誤差として検出する工程と、試験データ演算処理時にN個に分配した試験データ信号間のオフセット及びゲイン差と、N個のA/D変換手段間のタイミング信号の位相ずれと、N個のA/D変換手段までの信号経路の伝達特性と位相特性の周波数依存性を、前記検出した第1、第2及び第3の誤差を用いて補償する工程と、を有することを特徴とする磁気ヘッドの検査方法。
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