JP3949366B2 - 電池用セパレータとその製造方法およびこれを組み込んだ電池 - Google Patents

電池用セパレータとその製造方法およびこれを組み込んだ電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池等のアルカリ蓄電池用に好適な電池用セパレータおよび電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、電池セパレータとしては、ナイロンやポリプロピレン繊維からなる乾式法で製造された不織布(以下、乾式不織布という)や、湿式抄紙法で製造された不織布(以下、湿式不織布という)が使用されている。一般に、湿式不織布は緻密で優れた均一性を有するため、これを使用すればショート防止性の高いセパレータを得ることができる。しかし、湿式不織布は、構成繊維の繊維長が短く、不織布強力の点で乾式不織布に劣ることは否めず、卷回時に破れやすいという問題がある。一方、乾式不織布は、引張強さが、同程度の目付の湿式不織布に比べて大きく、これを電池セパレータに用いた場合、巻回性に優れたものを得ることができる。しかし、均一性という点では湿式不織布に劣り、繊維密度の粗密の差が大きいため、突き刺し強力が弱く、これをセパレータとして用いると、粗な部分において正極と負極が短絡しやすくなるという問題がある。
【0003】
これを解消するため、特開平10−92411号公報では、ショートを防止するための緻密層と電解液の保液率を高めるための保液層とを湿式抄紙法を用いて、2層を抄き合わせあるいは貼り合わせにより積層一体化したアルカリ電池用セパレータ紙が提案されている。また、特開平7−282794号公報では、平均径が少なくとも約15μmを有する不織布支持体層と平均径10μm以下のメルトブロー不織布とを積層一体化した電池セパレータが提案されている。また、特開平5−174806号公報、特開平5−182654号公報では、メルトブロー不織布とメルトブローウェブあるいは短繊維ウェブを水流絡合処理した不織布とを積層した電池セパレータが提案されている。また、特開平9−289005号公報では、エアースルー乾式不織布の両面にメルトブロー不織布を積層し接着したアルカリ電池セパレーターが提案されている。また、特開平11−31495号、特開2000−11983号公報では、湿式抄紙ウェブ層と繊維長が20mm以上からなる乾式不織布とを積層した電池セパレータが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記電池用セパレータには以下の問題点がある。
【0005】
特開平10−92411号公報の湿式抄紙法を用いた2層を抄き合わる方法では、実用的な引張強さを有するが、繊維長が短いために突き刺し強力に劣り、電極等のバリや充放電の繰り返しにより発生するデンドライドなど異物によりセパレータが破損して、ショート率が高くなってしまう。また、湿式不織布を2層貼り合わせたものは、貼り合わせ面に繊維同士の交絡などがなく、二次元的な界面となっているため、一般的に層間のはく離強さが低く、層間を強固に接着するには、接着剤の量を増加させたり、熱圧着を加えたりする必要があるが、前記処理により繊維間空隙を閉塞してしまい、保液性が低下し、容量保存率やサイクル寿命などの電池特性の低下を引き起こしてしまう。
【0006】
特開平7−282794号公報、特開平11−31495号、あるいは特開2000−11983号公報では、不織布支持体層または乾式不織布層を設けて引張強さを高めているが、不織布支持体層、乾式不織布層自体が空隙が大きく、バリやデンドライドによる短絡を防止することは困難である。
【0007】
特開平7−282794号公報、特開平5−174806号公報、特開平5−182654号公報、あるいは特開平9−289005号公報では、メルトブロー不織布により緻密性を得ようとしているが、メルトブロー不織布が未延伸繊維の集合物で構成されているため、引張強さや突き刺し強力に劣り、ショート率が高くなってしまう。
【0008】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、異物などによりセパレータが破損するのを抑制し、かつ高い保液性を有する電池用セパレータ、およびショート率の少ない電池特性を有する電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の電池用セパレータは、構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(A)が質量比で0.1以上含有し、前記熱接着性繊維(A)により構成繊維を熱接着した湿式不織布の少なくとも片面に、
湿式抄紙ウェブからなり、湿式抄紙ウェブを構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(B)が質量比で0.1以上含有している湿式抄紙ウェブ層が積層され、
前記湿式不織布と前記湿式抄紙ウェブ層との層間が熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)から選ばれる少なくとも一つの繊維により熱接着されて結合一体化しており、
JIS−L−1086の6.19.1におけるはく離強さが0.1〜5Nの範囲であることを特徴とする。
【0010】
次に本発明の第1番目の電池用セパレータの製造方法は、下記の工程を含む。
(1)構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(A)が質量比で0.1以上含有するスラリーから湿式抄紙機を用いて作製した湿式抄紙ウェブを、前記熱接着性繊維(A)が溶融する温度より高い温度で熱処理を施して、機械方向(MD方向)における単位目付あたりの引張強さを1.5N/5cm・(g/m2)以上とした湿式不織布を作製する工程。
(2)構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(B)が質量比で0.1以上含有するスラリーから湿式抄紙機を用いて作製した湿式抄紙ウェブを、前記湿式不織布の少なくとも一方の面に積層して湿式抄紙ウェブ層を形成し、積層不織布とする工程。
(3)含水した積層不織布を搬送用支持体の下から吸引脱水する工程。
(4)脱水した積層不織布を熱処理機を用いて、熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)の溶融する温度より高い温度で熱処理し、結合一体化する工程。
【0011】
次に本発明の第2番目の電池用セパレータの製造方法は、下記の工程を含む。
(1)構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(A)が質量比で0.1以上含有するスラリーから湿式抄紙機を用いて作製した湿式抄紙ウェブを、前記熱接着性繊維(A)が溶融する温度より高い温度で熱処理を施して、機械方向(MD方向)における単位目付あたりの引張強さを1.5N/5cm・(g/m2)以上とした湿式不織布を作製する工程。
(2)構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(B)が質量比で0.1以上含有するスラリーから湿式抄紙機を用いて作製した第1湿式抄紙ウェブを、搬送用支持体に集積して第1湿式抄紙ウェブ層を作製する工程。
(3)第1湿式抄紙ウェブ層の表面に湿式不織布を積層する工程。
(4)構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(B)が質量比で0.1以上含有するスラリーから湿式抄紙機を用いて作製した第2湿式抄紙ウェブを、前記湿式不織布の表面に積層して第2湿式抄紙ウェブ層を形成し、積層不織布とする工程。
(5)含水した積層不織布を搬送用支持体の下から吸引脱水する工程。
(6)脱水した積層不織布を熱処理機を用いて、熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)の溶融する温度より高い温度で熱処理し、結合一体化する工程。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の電池用セパレータは、前記構成とすることにより、突き刺し強力に優れ、実用的な引張強さを有するので、異物などによりセパレータが破損するのを抑制するだけでなく、不織布の低目付化、薄厚み化が可能となり、熱接着による不織布の空隙の閉塞を抑制することができ、保液性が向上する。
【0013】
前記湿式不織布の機械方向(MD方向)における単位目付あたりの引張強さを1.5N/5cm・(g/m2)以上とすると、さらに突き刺し強力に優れ、実用的な引張強さとなるので好ましい。
【0014】
前記電池用セパレータの製造方法によれば、湿式不織布の少なくとも片面に湿式抄紙ウェブ層を積層することにより、積層後の脱水時に湿式抄紙ウェブ層の構成繊維の一部が湿式不織布に入り込み、湿式抄紙ウェブ層と湿式不織布の界面が湿式不織布同士を貼り合わせたもののように二次元的な界面に比べ、三次元的に繊維配列しているため、空隙が閉塞するのを抑制するとともにはく離強さを向上させることができると推定される。
【0015】
また、湿式不織布の少なくとも一方の面に湿式抄紙ウェブ層を積層するとき、湿式不織布面に湿式抄紙ウェブを抄紙時に集積しながら湿式抄紙ウェブ層を形成し、積層すると、湿式抄紙ウェブ層の構成繊維の一部が湿式不織布に入り込みやすく、好ましい。
【0016】
以下、本発明の内容を具体的に説明する。
【0017】
本発明でいう湿式抄紙ウェブとは、スラリーから網で抄紙したときの繊維の集合状態のことを指し、湿式抄紙ウェブ層とは、前記湿式抄紙ウェブが毛布などの搬送用支持体や不織布などのシート上に集積された未結合状態の1層のシート状のことを指し、湿式不織布とは、湿式抄紙ウェブを少なくとも巻き取りの行える程度に交絡、接着したものを指す。
【0018】
本発明に用いられる湿式不織布としては、構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(A)を質量比で0.1以上含有するものである。好ましくは0.2〜0.8、さらに好ましくは、0.3〜0.6の質量比である。熱接着性繊維(A)の質量比が0.1未満であると、不織布の引張強さに劣るだけでなく、はく離強さも劣るからである。熱接着性繊維(A)としては、熱接着性を有するものであれば特に限定はされないが、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1−プロピレン共重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体などからなるポリオレフィン系繊維が耐アルカリ性の観点から好ましい。その繊維形態としては、単一形態、鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型、分割型、海島型などの複合形態、形状も円形、異形、中空などいずれであってもよい。なかでも、鞘成分を低融点ポリオレフィン系樹脂とし、芯成分を鞘成分の融点より10℃以上高い融点を有する高融点ポリオレフィン系樹脂とした鞘芯型複合繊維が好ましく、具体的には、エチレン−プロピレン共重合体/ポリプロピレン、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレンの組み合わせが挙げられる。また、熱接着性繊維(A)は後述する熱接着性繊維(B)と同一素材とするのが、後述する熱接着時の加工性に優れ、好ましい。また、湿式不織布を用いることにより、緻密でありかつ均一な不織布を得ることができる。他の不織布、例えばカードウェブやスパンボンドウェブで構成された不織布では、均一性で劣り、メルトブロー不織布では、引張強さで劣るだけでなく、突き刺し強力においても劣るからである。
【0019】
熱接着性繊維(A)の繊度としては、0.5〜3.0dtexであることが好ましい。0.5dtex未満であると、接着点が増えすぎて空隙をつぶしてしまう。3.0dtexを超えると、不織布の空隙が大きくなりすぎ、保液性、電池特性が低下するからである。また、繊維長としては、3〜25mmのものが用いられる。
【0020】
前記湿式不織布には、熱接着性繊維(A)以外に、1dtex以下、好ましくは0.5dtex以下の繊度を有する極細繊維を含有させることが好ましい。極細繊維としては、単一繊維、物理的処理または化学的処理により極細繊維を発現する分割型複合繊維、あるいは海島型複合繊維などが挙げられるが、本発明においては、分割型複合繊維が湿式抄紙時の離解、叩解処理、湿式抄紙後の水流交絡処理、ローラーなどの押圧処理の利用など、低コストで極細繊維を発現させることができ、極細繊維発現後の繊維形態が異形断面を有し、得られた不織布の突き刺し強力に優れ、好ましい。上記分割型複合繊維としては、例えば、ポリ(4−メチルペンテン−1)/ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂同士の組み合わせからなるものが用いられる。その繊維形態も、円形、異形、中空などいずれでであってもよい。そして、湿式不織布中の極細繊維の含有量は、熱接着性繊維(A)を100質量部としたとき、極細繊維あるいは分割発現する前の分割型複合繊維を10〜900質量部の範囲で含有することが好ましい。分割型複合繊維が上記範囲より少ないと、緻密な不織布が得られず、ショート率が高くなるとともに、保液率も低下し、電池のサイクル寿命、出力特性が低下する。極細繊維が上記範囲より多いと、熱接着性繊維(A)の含有量が少なくなって繊維同士の熱接着が不足し、不織布の引張強さが低下するからである。
【0021】
また、繊度が3dtex以下であり、繊維強度が4cN/dtex以上の高強度ポリオレフィン系繊維を含有させることが好ましく、繊度が0.5〜2dtexであり、繊維強度が7cN/dtex以上の高強度ポリオレフィン系繊維を含有させることがより好ましい。繊度が3dtexを超えると、不織布の緻密性が失われるからである。また、繊維強度を7cN/dtex以上とすることにより、不織布の突き刺し強力および引張強さが向上させることができる。そして、湿式不織布中の高強度ポリオレフィン系繊維の含有量は、熱接着性繊維(A)を100質量部としたとき、高強度ポリオレフィン系繊維を10〜900質量部の範囲で含有することが好ましい。高強度ポリオレフィン系繊維が上記範囲より少ないと、不織布の突き刺し強力や引張強さを向上させることが困難であり、上記範囲より多いと、引張強さが逆に低下する傾向であるため好ましくない。本発明の湿式不織布の好ましい形態としては、構成繊維のすべてをポリオレフィン系繊維で形成することであり、その構成繊維の割合としては、熱接着性繊維(A)を100質量部としたとき、分割型複合繊維を10〜500質量部、および高強度ポリオレフィン系繊維を25〜500質量部の範囲で含有することが好ましい。
【0022】
そして、前記湿式不織布は、上記構成繊維からなる湿式抄紙ウェブを熱接着性繊維(A)により熱接着させることによって得ることができる。このとき、湿式不織布の機械方向(MD方向)における単位目付あたりの引張強さが1.5N/5cm・(g/m2)以上となるように熱接着処理を行うことが好ましい。より好ましくは、単位目付あたりの引張強さが1.8N/5cm・(g/m2)以上である。また、他の結合方法、例えば、水流絡合処理と併用してもよい。引張強さが1.5N/5cm・(g/m2)未満であると、ショート率が高くなるからである。また、湿式不織布の空隙率は、40〜80%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、50〜70%である。空隙率が40%未満であると、湿式抄紙ウェブ中の繊維が湿式不織布に入り込みにくくなるだけでなく、保液性にも劣り、電池のサイクル寿命、出力特性が低下し、空隙率が80%を超えると、突き刺し強力に劣り、ショート率が増大するからである。なお、本発明における不織布の空隙率は、下記式で測定することができる。
[1−(不織布密度/不織布を構成する各樹脂成分自体の密度の平均値)]×100
前記不織布密度は、175kPa荷重(JIS-B-7502に準じたマイクロメーターによる測定)での厚み測定による。
【0023】
湿式不織布の目付は、10〜30g/m2の範囲であることが好ましい。より好ましくは、10〜20g/m2の範囲である。目付が10g/m2の範囲未満であると、均一なウェブの形成が困難であり、30g/m2の範囲を超えると、不織布内部の接着が不均一となり、はく離強さ、引張強さが劣る。
【0024】
次に、本発明の湿式抄紙ウェブ層には、湿式抄紙ウェブを構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(B)が質量比で0.1以上含有される。好ましくは0.2〜0.8、さらに好ましくは、0.3〜0.6の質量比である。熱接着性繊維(B)の質量比が0.1未満であると、引張強さに劣るだけでなく、はく離強さも劣るからである。熱接着性繊維(B)としては、熱接着性を有するものであれば特に限定はされないが、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1−プロピレン共重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体などからなるポリオレフィン系繊維が耐アルカリ性の観点から好ましい。その繊維形態としては、単一形態、鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型、分割型、海島型などの複合形態、形状も円形、異形、中空などいずれであってもよい。なかでも、鞘成分を低融点ポリオレフィン系樹脂とし、芯成分を鞘成分の融点より10℃以上高い融点を有する高融点ポリオレフィン系樹脂とした鞘芯型複合繊維が好ましく、具体的には、エチレン−プロピレン共重合体/ポリプロピレン、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレンの組み合わせが挙げられる。そして、湿式抄紙ウェブ層を用いることにより、緻密でありかつ均一なウェブを得ることができる。他のウェブ、例えばカードウェブやスパンボンドウェブで均一性で劣り、メルトブローウェブでは、強力で劣るだけでなく、突き刺し強力でも劣るからである。
【0025】
熱接着性繊維(B)の繊度としては、0.5〜3.0dtexであることが好ましい。繊度が0.5dtex未満であると、接着点が増えすぎて空隙をつぶしてしまい、3.0dtexを超えると、不織布の空隙が大きくなりすぎ、保液性、電池特性が低下するからである。また、繊維長としては、3〜25mmのものが用いられる。
【0026】
前記湿式抄紙ウェブ層には、熱接着性繊維(B)以外に、1dtex以下、好ましくは0.5dtex以下の繊度を有する極細繊維を含有させることが好ましい。極細繊維としては、単一繊維、物理的処理または化学的処理により極細繊維を発現する分割型複合繊維、あるいは海島型複合繊維などが挙げられるが、本発明においては、分割型複合繊維が湿式抄紙時の離解、叩解処理、湿式不織布との積層後の水流交絡処理、ローラーなどの押圧処理の利用など、低コストで極細繊維を発現させることができ、極細繊維発現後の繊維形態が異形断面を有し、得られた不織布の突き刺し強力に優れ、好ましい。上記分割型複合繊維としては、例えば、ポリ(4−メチルペンテン−1)/ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂同士の組み合わせからなるものが用いられる。その繊維形態も、円形、異形、中空などいずれでであってもよい。そして、湿式抄紙ウェブ層中の極細繊維の含有量は、熱接着性繊維(B)を100質量部としたとき、極細繊維あるいは分割発現する前の分割型複合繊維を10〜900質量部の範囲で含有することが好ましい。極細繊維が上記範囲より少ないと、緻密な不織布が得られず、ショート率が高くなるとともに、保液率が低下し、電池のサイクル寿命、出力特性が低下する。極細繊維が上記範囲より多いと、熱接着性繊維(A)の含有量が少なくなって繊維同士の熱接着が不足し、不織布の引張強さが低下するからである。
【0027】
また、繊度が3dtex以下であり、繊維強度が4cN/dtex以上の高強度ポリオレフィン系繊維を含有させることが好ましく、繊度が0.5〜2dtexであり、繊維強度が7cN/dtex以上の高強度ポリオレフィン系繊維を含有させることがより好ましい。繊度が3dtexを超えると、不織布の緻密性が失われるからである。また、繊維強度を7cN/dtex以上とすることにより、不織布の突き刺し強力および引張強さが向上させることができる。そして、湿式抄紙ウェブ層中の高強度ポリオレフィン系繊維の含有量は、熱接着性繊維(A)を100質量部としたとき、高強度ポリオレフィン系繊維を10〜900質量部の範囲で含有することが好ましい。高強度ポリオレフィン系繊維が上記範囲より少ないと、不織布の突き刺し強力や引張強さを向上させることが困難であり、電池作製時のセパレータの巻回性が劣るからである。本発明の湿式抄紙ウェブ層の好ましい形態としては、構成繊維のすべてをポリオレフィン系繊維で形成することであり、その構成繊維の割合としては、熱接着性繊維(A)を100質量部としたとき、前記分割型複合繊維を10〜500質量部、および前記高強度ポリオレフィン系繊維を25〜500質量部の範囲で含有することが好ましい。
【0028】
前記湿式抄紙ウェブ層の目付は、10〜70g/m2の範囲であることが好ましい。より好ましくは、15〜30g/m2の範囲である。目付が10g/m2の範囲未満であると、均一なウェブの形成が困難であり、70g/m2の範囲を超えると、湿式不織布との接着が不十分となる傾向にあり、突き刺し強力や引張強さに劣るからである。
【0029】
次いで、湿式不織布の少なくとも片面に湿式抄紙ウェブ層を積層し、湿式不織布と湿式抄紙ウェブ層との層間が熱接着されて結合一体化させる。このとき熱接着は、熱接着性繊維(A)および/または熱接着性繊維(B)によりなされるが、加工のしやすさ、界面の接着性を考慮すると、熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)を同一素材とし、両繊維を熱接着させることが好ましい。
【0030】
湿式不織布と湿式抄紙ウェブ層との積層形態としては、両層が接着していれば特に限定されず、湿式不織布/湿式抄紙ウェブ層の2層だけでなく、湿式抄紙ウェブ層/湿式不織布/湿式抄紙ウェブ層、湿式不織布/湿式抄紙ウェブ層/湿式不織布の3層、さらに3層の上層および/または下層に湿式不織布あるいは湿式抄紙ウェブ層を積層してもよい。ただし、工程性、生産性、コスト面を考慮すると、湿式抄紙ウェブ層を上層および下層とし、湿式不織布を中間層とした3層構造が好ましい。層の数をを多くすることにより、不織布の厚み方向における貫通孔の発生する可能性が低くなり、突き刺し強力が向上するからである。
【0031】
湿式抄紙ウェブ層の目付の合計と湿式不織布の目付の合計との比(湿式抄紙ウェブ層/湿式不織布)は、1.5〜5の範囲であることが好ましい。湿式不織布の割合が少なすぎると、目標とする引張強さ、突き刺し強力が得られず、湿式不織布の割合が多すぎると、湿式抄紙ウェブ層の目付のばらつきが大きくなり、均一な地合が得られなくなるからである。例えば、第1湿式抄紙ウェブ層/湿式不織布/第2湿式抄紙ウェブ層の3層からなる場合、目付の比を10/10/10〜40/20/40の範囲で設定するとよく、第1湿式抄紙ウェブ層の目付と第2湿式抄紙ウェブ層の目付は同じであってもよいし、相違していてもよい。そして、結合一体化された不織布の目付は、30〜100g/m2の範囲であることが好ましい。より好ましくは、40〜70g/m2の範囲である。本発明の構成によれば、従来の電池用セパレータに対して目付が10%程度低下しても同等以上の耐ショート性を有するので、コスト面で有利であり、例えば、目付が60g/m2以上の電池用セパレータであれば、電気自動車(PEV)やハイブリッド車(HEV)のような電池の使用条件が衝撃を伴うものに対しての耐ショート性に優れ、また薄型二次電池のような50g/m2以下の低目付としても従来の電池用セパレータに比べ耐ショート性に優れている。
【0032】
そして、前記結合一体化された不織布は、親水化処理されていることが好ましい。親水化処理としては、親水性界面活性剤処理、ビニルモノマーのグラフト共重合処理、フッ素ガス処理、スルホン化処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などの単独処理、あるいは2以上の処理を併用するものが挙げられる。なかでもスルホン化処理が電池の自己放電性を改良する点で優れており、スルホン化処理としては、濃硫酸処理、発煙硫酸処理、クロロスルホン酸処理、無水硫酸処理などが挙げられる。前記親水化処理を施すことにより、容量保存率やサイクル寿命を向上させることができる。その後、必要に応じて厚み等を調整して本発明の電池用セパレータが得られる。本発明の電池用セパレータの厚みは、0.2mm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜0.17mmの範囲である。本発明の構成によれば、薄型二次電池のような0.1〜0.12mm程度の薄厚みであっても従来の電池用セパレータに比べて耐ショート性に優れている。
【0033】
得られた電池用セパレータの湿式不織布と湿式抄紙ウェブ層との層間において、JIS−L−1086の6.19.1におけるはく離強さは、0.1〜5Nの範囲とすることが重要である。より好ましくは、0.5〜3Nの範囲である。上記はく離強さは、熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)の含有量、湿式不織布と湿式抄紙ウェブ層とを積層した後の脱水条件、層間を熱接着させるときの熱接着処理条件、あるいは他の結合方法との併用時、例えば水流絡合処理との組み合わせた時の水圧条件などを調整して上記範囲を満たすように調整する。はく離強さが0.1N未満であると、使用時の取り扱い性が悪くなるだけでなく、剥離することで、不織布の引張強さが低下し、巻回時に切断される可能性があり、はく離強さが5Nを超えると、両層の界面(層間)および両層の表面が熱接着によって空隙が閉塞され、保液性が低下し、電池のサイクル寿命、出力特性に劣るからである。
【0034】
得られた電池用セパレータにおいて、JIS−L−1096に準ずる不織布MD方向の単位目付あたりの引張強さは、1.5N/5cm・(g/m2)以上であることが好ましい。より好ましくは、2N/5cm・(g/m2)以上である。引張強さが1.5N/5cm・(g/m2)未満であると、電池作製時にセパレータの巻回性が悪化し、ショート率が高くなるからである。
【0035】
また、得られた電池用セパレータにおいて、後述する175kPa荷重での単位不織布密度あたりの突き刺し強力は、10N/(g/cm3)以上であることが好ましい。より好ましくは、15N/(g/cm3)以上である。突き刺し強力が10N/(g/cm3)未満であると、電極のバリやデンドライドによるショートの発生を防止できないからである。
【0036】
次に、本発明の電池用セパレータの製造方法について説明する。
【0037】
(1)湿式不織布の製造
熱接着性繊維(A)、分割型複合繊維、高強度ポリオレフィン系繊維を所望の範囲となるように混合し、0.01〜0.6mass%の濃度になるように水に分散させてスラリーを調製する。このとき、スラリーの離解、叩解処理時に分割型複合繊維を分割発現させて極細繊維を形成させておくと、水流交絡処理を必要とせず、緻密な不織布を得ることができる。次いで、前記スラリーから円網式、短網式、長網式などの湿式抄紙機を用いて、あるいはこれらを併用して湿式抄紙ウェブを作製する。このとき、円網式湿式抄紙機を用いると、不織布MD方向の引張強さが向上し、補強効果も得られ、好ましい。得られた湿式抄紙ウェブは毛布などの搬送用支持体で搬送されて、シリンダードライヤー、熱ロールなど公知の熱処理機を用いて、熱接着性繊維(A)が溶融する温度より高い温度で熱処理される。このとき、熱処理温度が熱接着性繊維(A)の融点未満であると、所望の引張強さを得るのに、加圧処理などが必要となり、空隙が閉塞され易くなるだけでなく、取り扱い性にも劣るからである。例えば、熱接着性繊維(A)として、鞘成分を低融点ポリオレフィン系樹脂とし、芯成分を鞘成分の融点より10℃以上高い融点を有する高融点ポリオレフィン系樹脂とした鞘芯型複合繊維を用いた場合、熱処理温度は、鞘成分の融点以上、芯成分の融点より10℃以上低い温度とすることが好ましい。
【0038】
また、前記スラリーの離解、叩解処理時に分割型複合繊維を分割発現させない場合は、湿式抄紙ウェブを熱接着性繊維(A)により取り扱いが可能な範囲で一旦軽く結合させておき、水流交絡処理やプレスロールなど公知の機械的分割処理を用いて、分割型複合繊維を分割発現させておくとよい。その後、熱接着性繊維(A)を熱接着させて湿式不織布とする。
【0039】
(2)湿式抄紙ウェブ層の製造および湿式不織布との積層
湿式抄紙ウェブ層も上記と同様の方法で作製することができる。熱接着性繊維(B)、分割型複合繊維、必要によりポリオレフィン系繊維を所望の範囲となるように混合し、0.01〜0.6mass%の濃度になるように水に分散させてスラリーを調製する。このとき、スラリーの離解、叩解処理時に分割型複合繊維を分割発現させて極細繊維を形成させておくと、水流交絡処理を必要とせず、緻密な不織布を得ることができる。次いで、前記スラリーから円網式、短網式、長網式などの湿式抄紙機を用いて、あるいはこれらを併用して、好ましくは円網式および短網式のうち少なくとも1つの抄紙機を用いて湿式抄紙ウェブとし、毛布などの搬送用支持体に移行させて湿式抄紙ウェブ層を形成した後、前記湿式不織布と積層する方法、あるいは湿式抄紙ウェブの抄紙時に予め搬送用支持体に載置しておいた前記湿式不織布表面に集積させて湿式抄紙ウェブ層を形成させて積層する方法により得ることができる。上記方法を採用することにより、抄紙後の脱水時に未結合である湿式抄紙ウェブ層の構成繊維の一部が湿式不織布に入り込み易く、湿式抄紙ウェブと湿式不織布の界面が湿式不織布同士を貼り合わせたもののように二次元的な界面に比べ、三次元的に繊維配列して、界面の空隙が閉塞するのを抑制することができるからである。特に、後者の湿式抄紙ウェブの抄紙時に湿式不織布表面に集積させる方法によれば、湿式抄紙ウェブ層の構成繊維の一部が湿式不織布に入り込み易い点で好ましい。例えば、第1湿式抄紙ウェブ層/湿式不織布/第2湿式抄紙ウェブ層の3層からなる積層体を作製する場合であれば、下層となる第1湿式抄紙ウェブ層を作製した面に予め作製しておいた湿式不織布を載置し、さらに湿式不織布表面に第2湿式抄紙ウェブ層または第2湿式抄紙ウェブを形成させるとよい。
【0040】
(3)脱水処理
前記(2)の工程によって得られた積層不織布は搬送用支持体により搬送されるが、含水状態であるため、公知の方法で脱水処理される。脱水処理方法としては、吸引脱水法、ニップ脱水法などが挙げられるが、吸引脱水法によれば湿式抄紙ウェブの構成繊維の一部を湿式不織布に入り込ませることができ、好ましい。吸引脱水は、搬送用支持体の下から行うのが好ましい。
【0041】
(4)熱処理
脱水された積層不織布は、搬送用支持体で搬送されて、シリンダードライヤー、ベルト式ドライヤー、熱ロールなど公知の熱処理機を用いて、熱接着性繊維(A)および/または熱接着性繊維(B)が溶融する温度より高い温度で熱処理される。層間のはく離強さの面から、熱接着性繊維(A)と熱接着性繊維(B)の両繊維が熱接着する温度で熱処理するのが好ましい。特に、熱接着性繊維(A)と熱接着性繊維(B)とが同一素材からなると、熱加工性および熱接着性に優れ、不織布の空隙を閉塞することなく、はく離強さの大きい不織布を得ることができ、好ましい。例えば、熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)を、鞘成分を低融点ポリオレフィン系樹脂とし、芯成分を鞘成分の融点より10℃以上高い融点を有する高融点ポリオレフィン系樹脂とした鞘芯型複合繊維を用いた場合、鞘成分が溶融する温度より高く、芯成分が溶融する温度より10℃以上低い温度で、不織布を熱処理し、結合一体化することが好ましい。具体的には、鞘成分を融点130〜135℃の高密度ポリエチレンとし、芯成分に融点160℃以上のポリプロピレンからなる鞘芯型複合繊維とした場合、熱処理温度を130〜140℃の範囲で処理するとよい。
【0042】
また、別の方法として、上記熱処理の前に、脱水された積層不織布を熱接着性繊維(A)および/または熱接着性繊維(B)により取り扱いが可能な範囲で一旦軽く結合させておき、水流交絡処理を用いて、分割型複合繊維を分割発現させると同時に湿式抄紙ウェブ層と湿式不織布とを交絡させた後、シリンダードライヤー、ベルト式ドライヤー、熱ロールなど公知の熱処理機を用いて、熱接着性繊維(A)および/または熱接着性繊維(B)が溶融する温度より高い温度で熱処理してもよい。水流交絡処理条件は、水圧1〜20MPaの範囲で処理するとよいが、本発明では、構成繊維が不織布の厚み方向へ過度に配向するのを抑制するため、最高水圧3MPa 以下で処理するとよく、かかる条件により突き刺し強力が向上して、ショート率を低減させることができ、好ましい。
【0043】
図1に、本発明の積層不織布の製造方法の具体的な一例を示す。1は予め作製しておいた湿式不織布、2は短網式湿式抄紙機、3は第1湿式抄紙ウェブ、4は第1湿式ウェブ層、5は円網式湿式抄紙機、6は第2湿式抄紙ウェブ、7は第2湿式ウェブ層、8は搬送用支持体、9は吸引脱水ボックス、10はシリンダードライヤー、11は積層不織布である。まず、スラリーから短網式湿式抄紙機2を用いて短網上に第1湿式抄紙ウェブ3を移行させて第1湿式抄紙ウェブ層4を形成させる。次に、ウェット毛布(搬送用支持体8)に第1湿式抄紙ウェブ層4を移動させた後、第1湿式抄紙ウェブ層4の表面にロールから巻き出された湿式不織布1を積層する。そして、円網式湿式抄紙機5を用いて第2湿式抄紙ウェブ6を抄紙時に湿式不織布表面に集積させて湿式抄紙ウェブ層7を形成し積層した。さらに、得られた含水状態の積層不織布は搬送用支持体8により搬送され、搬送用支持体8の下から吸引脱水ボックス9により吸引脱水を施し、シリンダードライヤー10を用いて熱処理され、ロールに巻き取られて積層不織布11となす。
【0044】
図2は本発明の一実施形態の積層不織布11の断面図である。積層不織布11は、湿式不織布1と第2湿式ウェブ層で積層して構成される。
【0045】
図3は本発明の別の実施形態の積層不織布11の断面図である。積層不織布11の片面に第1湿式ウェブ層が積層され、他方の面に第2湿式ウェブ層が積層して構成される。
【0046】
そして、前記結合一体化された不織布は、界面活性剤処理、ビニルモノマーのグラフト共重合処理、フッ素ガス処理、スルホン化処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などの単独処理、あるいは2以上の処理を併用して親水化処理される。
【0047】
例えば、スルホン化処理であれば、発煙硫酸反応槽、クロロスルホン酸反応槽、あるいは無水硫酸反応槽に浸漬され、スルホン基が導入される。スルホン化処理条件は、スルホン化度が0.4〜2mass%となるように適宜設定すればよく、例えば、無水硫酸処理であれば、三酸化イオウのガス濃度が10〜80vol%、反応温度が10〜90℃、反応時間が10〜600秒で処理するとよい。このとき、スルホン化を促進させるために、紫外線または放射線により不織布表面を活性化させた後、スルホン化処理を施してもよい。また、コロナ放電処理であれば、不織布の両面にそれぞれ1〜20回処理するとよく、処理した総放電量が0.05〜5kW・分/m2の範囲で処理するとよい。さらに、不織布に親水化処理を施した後、浸漬法、スプレー法、ロールタッチ法等により親水性界面活性剤を均一に付着させてもよいし、他の親水化処理法を組み合わせてもよい。しかるのち、熱カレンダー処理して、所定の厚みに調整され、本発明の電池用セパレータが得られる。
【0048】
得られた電池用セパレータを用いた電池は、異物などによりセパレータが破損するのを抑制し、かつ優れた保液性を有する電池用セパレータを用いるので、ショート率が少なく、容量保存率、サイクル寿命など優れた電池特性を有する電池を得ることができる。また、得られた電池用セパレータが低目付化、薄厚み化が可能であることから、電池を薄型化することも可能となる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例を挙げて説明する。なお、融点、引張強さ、突き刺し強力、はく離強さ、保液率、ショート率、容量保存率、サイクル寿命、およびスルホン化度は、以下の方法により測定した。
【0050】
[融点]
JIS−K−7122に準じ、DSC法により測定した。
【0051】
[引張強さ]
JIS−L−1096に準じ、不織布のMD方向に対して、幅5cm、長さ15cmの試料片をつかみ間隔10cmで把持し、定速伸長型引張試験機を用いて引張速度30cm/分で伸長し、切断時の荷重値を単位目付で除した値を引張強さとした。
【0052】
[突き刺し強力]
カトーテック(株)製「KES−G5 ハンディー圧縮試験機」を用いて、縦30mm、横100mmの大きさに裁断した不織布を準備し、試料の上に縦46mm、横86mm、厚み7mmのアルミ板の中央部に直径11mmの孔を有する押さえ板を載置した後、先端部の直径が1mmφの球状部、軸の部分が底面直径2.2mm、高さ18.7mmの円錐状になった針を、2mm/秒の速度で押さえ板の孔の中央に垂直に突き刺した時の最大荷重(N)を測定し、175kPa荷重(JIS−B−7502に準じたマイクロメーターによる測定)での不織布密度で除して突き刺し強力N/(g/cm3)とした。
【0053】
[はく離強さ]
JIS−L−1086の6.19.1に準じ、不織布のMD方向に対して、幅2.5cm、長さ15cmの試料片で、長辺方向に約5cm剥離させ、自記記録装置付引張試験機を用い、つかみ間隔5cmで把持し、引張速度10cm/分で5cm間を剥離させ極大値3点、極小値3点の6点平均をはく離強さとした。
【0054】
[保液率]
試験片の水分平衡状態の質量(W)を1mgまで測定する。次に比重1.30のKOH溶液中に試験片を浸漬し、KOH溶液を1時間吸収させたのち液中から引き上げて10分間放置した後、試験片の質量(W1)mgを測定し、
保液率(%)=((W1−W)/W)×100
の式より保液率を算出した。
【0055】
[円筒形密閉ニッケル水素電池の製造]
負極は、水素吸蔵合金、カルボニルニッケル、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に水を加え混練りしスラリーを調整した。このスラリーをニッケルメッキしたパンチングメタルに浸漬塗りした後80℃で乾燥し、加圧成型して水素吸蔵合金負極を作成した。正極は、公知の焼結式ニッケル極を使用した。上記の負極、正極の間に各セパレーターを挟み電槽缶に挿入し、電解液を注液することで、円筒形密閉ニッケル水素電池を作製した。
【0056】
[容量保存率]
前記作製した円筒形密閉ニッケル水素電池を、充電0.1C率で12時間、休止0.5時間、放電0.1C率で終止電圧1.0Vとし、10サイクル充放電を繰り返し、電池初期活性を行った。
【0057】
そして、初期活性を行った後、充電0.1C率で12時間、休止0.5時間、放電0.1C率で終止電圧1.0Vとし、5サイクル繰り返した後の放電容量に対し、同条件(0.1C率)で充電後、45℃下で14日間放置したときの残存容量(0.1C率放電、終止電圧1.0V)の比を自己放電後の容量保存率とした。充放電は25℃で行った。
【0058】
[ショート率]
円筒形密閉ニッケル水素電池を100個組み立てたときに、短絡が起きた割合をショート率とした。
【0059】
[サイクル寿命]
初期活性を行った円筒形密閉ニッケル水素電池を、充電1.0C率で、1.1時間、休止時間1時間、放電1.0C率(終止電圧1.0V)で理論容量に対する利用率が80%以下になったときのサイクル数を求めた。充放電は25℃で行った。
【0060】
[スルホン化度]
試料より5cm×5cmの試験片を採取し、13%KOH水溶液に30分間浸漬した。その後、水道水で30分間洗浄し、さらに純水で30分間洗浄した試料を60℃にて1時間乾燥させて試料を調整した。そして、蛍光X線測定装置を用いて、不織布中の硫黄元素の強度比から算出した(単位はmass%)。
【0061】
[実施例1]
(湿式不織布の製造)
熱接着性繊維(A)として、鞘成分を融点132℃の高密度ポリエチレンとし、芯成分をポリプロピレンとした複合比が5/5、繊度0.8dtex、繊維長10mmの同心円鞘芯型複合繊維(大和紡績(株)製、NBF(H))100質量部を用いた。
【0062】
分割型複合繊維として、第1成分をポリメチルペンテンとし、第2成分をポリプロピレンとした放射状8分割型の繊維断面を有する繊度2.2dtex、繊維長6mmの分割型複合繊維(大和紡績(株)製、DFS−3)を50質量部を用いた。
【0063】
高強度ポリオレフィン系繊維として、融点163℃のポリプロピレンからなり、繊度1.1dtex、繊維長12mm、繊維強度が8.0cN/dtex(JIS−L−1015に準ずる)のポリプロピレン繊維(大和紡績(株)製、PNHC)を100質量部を用いた。熱接着性繊維(A)の質量比は0.4となった。
【0064】
上記3繊維を混合して、0.5mass%の濃度になるようにスラリーを調製し、パルパーにて30分間攪拌して3繊維の離解と、分割型複合繊維の分割発現処理を同時に行った。その後、円網式湿式抄紙機を用いて湿式抄紙し、搬送用支持体で搬送し、135℃に加熱したシリンダードライヤーを用いて、湿式抄紙ウェブ層を乾燥すると同時に熱接着性繊維(A)を溶融させて、目付15g/m2の湿式不織布を得た。得られた湿式不織布の空隙率は75%であり、機械方向(MD方向)における単位目付あたりの引張強さは、3.0N/5cm・(g/m2)であった。
【0065】
(積層不織布の製造)
上記湿式不織布と同じ配合(熱接着性繊維(A)と熱接着性繊維(B)とは同一素材)で短網式湿式抄紙機を用いて湿式抄紙し、目付20g/m2の第1湿式抄紙ウェブ層を作製し、その表面に上記湿式不織布を積層した。次いで、第1湿式抄紙ウェブと同じ配合で円網式湿式抄紙機を用いてに湿式抄紙した目付20g/m2の第2湿式抄紙ウェブを抄紙時に湿式不織布表面に集積し、第2湿式抄紙ウェブ層を形成させて積層した。次いで、搬送用支持体に載置された含水状態の3層積層不織布は、支持体の下からの吸引脱水ボックスにより吸引脱水処理されるとともに、第2湿式抄紙ウェブ層の構成繊維の一部を湿式不織布内に入り込ませた後、135℃に加熱したシリンダードライヤーを用いて乾燥すると同時に熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)を溶融させて、目付55g/m2の積層不織布を得た。
【0066】
(スルホン化処理)
得られた不織布を三酸化イオウガス中で60秒間反応さた後に、中和・洗浄・乾燥工程を経て、スルホン化処理をした。しかる後、熱カレンダー処理により、セパレータの厚みを0.15mmに調整して電池用セパレータとした。なお、厚みは、175kPa荷重(JIS-B-7502に準じたマイクロメータによる測定)により測定した。
【0067】
[実施例2]
実施例1と同じ配合で円網式湿式抄紙機を用いて湿式抄紙した目付40g/m2の湿式抄紙ウェブ層とし、実施例1の湿式不織布表面に積層して2層積層不織布とした以外は、実施例1と同様の方法で、厚みが0.15mmの電池用セパレータを得た。
【0068】
[比較例1]
実施例1と同じ配合で円網式湿式抄紙機を用いた目付30g/m2の第1湿式抄紙ウェブと短網式湿式抄紙機を用いた目付25g/m2の第2湿式抄紙ウェブとを抄き合わせて湿式抄紙し、目付55g/m2の湿式抄紙ウェブ層を作製した。135℃に加熱したシリンダードライヤーを用いて乾燥と同時に熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)を溶融させて目付55g/m2の抄き合わせ不織布を得て、実施例1と同様の方法でスルホン化処理を施し電池用セパレータを得た。
【0069】
[比較例2]
実施例1と同じ配合で円網式湿式抄紙機を用いた目付30g/m2の湿式抄紙ウェブ層を実施例1の熱処理条件で処理し、第1湿式不織布を作製した。一方、実施例1と同じ配合で短網式湿式抄紙機を用いた目付25g/m2の湿式抄紙ウェブ層を実施例1の熱処理条件で処理し、第2湿式不織布を作製した。次いで、第1および第2湿式不織布層を積層し、135℃に加熱したシリンダードライヤーを用いて、熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)を溶融させて目付55g/m2の貼り合わせ不織布を得て、実施例1と同様の方法でスルホン化処理を施し電池用セパレータを得た。
【0070】
[比較例3]
熱接着性繊維(A)として、鞘成分を融点132℃の高密度ポリエチレンとし、芯成分をポリプロピレンとして、複合比が5/5、繊度1.7dtex、繊維長51mmの同心円鞘芯型複合繊維(大和紡績(株)製、NBF(H))100質量部を用いた。
【0071】
分割型複合繊維として、第1成分をポリメチルペンテンとし、第2成分をポリプロピレンとした放射状8分割型の繊維断面を有する繊度2.2dtex、繊維長45mmの分割型複合繊維(大和紡績(株)製、DFS−3)50質量部を用いた。
【0072】
高強度ポリオレフィン系繊維として、融点163℃のポリプロピレンからなり、繊度1.7dtex、繊維長45mm、繊維強度が6.3cN/dtex(JIS−L−1015に準ずる)のポリプロピレン繊維(大和紡績(株)製、PN)100質量部を用いた。
【0073】
そして、上記3繊維を混合して、セミランダムカード機により繊維ウェブを作製し、表裏面より12MPaの圧力で高圧柱状水流を噴射して分割型複合繊維を分割させて極細繊維を形成させるとともに繊維間を交絡させた後、135℃で乾燥と同時に熱接着させて目付15g/m2の乾式不織布を得た。
【0074】
次いで、実施例1と同じ配合で円網式湿式抄紙機と短網式湿式抄紙機を用いて湿式抄紙した目付40g/m2の湿式抄紙ウェブ層を乾式不織布表面に積層した。得られた2層積層不織布を135℃に加熱したシリンダードライヤーを用いて乾燥と同時に熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)を溶融させて、目付55g/m2の乾式不織布積層不織布を得て、実施例1と同様の方法でスルホン化処理を施し電池用セパレータを得た。
【0075】
【表1】
Figure 0003949366
【0076】
表1から明らかなとおり、実施例1,2は、湿式不織布と湿式ウェブ層とを積層し、はく離強さが所望の範囲となるように、吸引脱水処理を施し、また適度な加熱処理によって熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)を溶融させることにより、引張強さおよび突き刺し強力が大きな電池用セパレータを得ることができ、巻回性に優れ、ショートを引き起こすことなく、容量保存率やサイクル寿命など特性に優れたアルカリ蓄電池を得ることができた。
【0077】
一方、比較例1は2層の湿式抄紙ウェブの抄き合わせによるものなので、層間を剥離させることができないほどのはく離強さを有していたが、引張強さおよび突き刺し強力は小さく、若干ショートが発生した。
【0078】
比較例2は引張強さおよび突き刺し強力が大きく、ショートは発生しなかったが、2層貼り合わせ時の熱接着性繊維の過度の溶融により、不織布の空隙が閉塞されて、保液率が低く、電池に組み込んだ際のサイクル寿命が低下した。比較例3は、乾式不織布を積層しているので、引張強力は大きいが、湿式不織布に比べ、不織布の緻密性に劣り、突き刺し強力が低下し、ショートの発生も多いものであった。
【0079】
【発明の効果】
本発明の電池用セパレータは、熱接着性繊維により熱接着された湿式不織布の少なくとも片面に熱接着性繊維を含有する湿式抄紙ウェブ層を積層した後、層間のはく離強さが所望の範囲となるように熱接着させて結合一体化することにより、従来の抄き合わせ湿式不織布、湿式不織布同士の貼り合わせ不織布、あるいは湿式不織布と乾式不織布とを貼り合わせた積層不織布に比べ、実用的な引張強さを有するとともに突き刺し強力に優れ、電極等のバリや充放電の繰り返しにより発生するデンドライドなど異物によりセパレータが破損するのを抑制し、ショート率の低減を図ることができ、不織布の低目付化、薄厚み化も可能となる。また、湿式不織布の少なくとも片面に湿式抄紙ウェブ層を積層した後、吸引脱水処理を施すことにより、湿式不織布の空隙に湿式抄紙ウェブの構成繊維が三次元的に入り込みやすく、熱接着による不織布の空隙の閉塞を抑制することができ、保液性が改善されて、電池特性を向上させることができる。
【0080】
また本発明の電池用セパレータは、親水化処理を施すことにより、保液性が改善され、特に、親水化処理がスルホン化処理であると、電池の自己放電性が改良される。
【0081】
本発明の電池用セパレータを用いた電池は、異物などによりセパレータが破損するのを抑制し、かつ優れた保液性を有する電池用セパレータを用いるので、ショート率が少なく、容量保存率、サイクル寿命など優れた電池特性を有する電池を得ることができ、電池を薄型化することもできる。本発明の電池は、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池等のアルカリ蓄電池用に好適であり、特に電気自動車(PEV)やハイブリッド車(HEV)用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層不織布の製造方法の一例を示す。
【図2】本発明の一実施形態の積層不織布の概略断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態の積層不織布の概略断面図である。
【符号の説明】
1 湿式不織布
2 短網式湿式抄紙機
3 第1湿式抄紙ウェブ
4 第1湿式ウェブ層
5 円網式湿式抄紙機
6 第2湿式抄紙ウェブ
7 第2湿式ウェブ層
8 搬送用支持体
9 吸引脱水ボックス
10 シリンダードライヤー
11 積層不織布

Claims (17)

  1. 構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(A)が質量比で0.1以上含有し、前記熱接着性繊維(A)により構成繊維を熱接着した湿式不織布の少なくとも片面に、
    湿式抄紙ウェブからなり、湿式抄紙ウェブを構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(B)が質量比で0.1以上含有している湿式抄紙ウェブ層が積層され、
    前記湿式不織布と前記湿式抄紙ウェブ層との層間が熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)から選ばれる少なくとも一つの繊維により熱接着されて結合一体化しており、
    JIS−L−1086の6.19.1におけるはく離強さが0.1〜5Nの範囲であることを特徴とする電池用セパレータ。
  2. 湿式抄紙ウェブ層を上層および下層とし、湿式不織布を中間層とした請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 湿式不織布の機械方向(MD方向)における単位目付あたりの引張強さが1.5N/5cm・(g/m2)以上である請求項1または2に記載の電池用セパレータ。
  4. 湿式不織布が、熱接着性繊維(A)を100質量部としたとき、分割型複合繊維を10〜900質量部の範囲で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  5. 湿式不織布が、熱接着性繊維(A)を100質量部としたとき、分割型複合繊維を10〜500質量部、および繊度が3dtex以下であり、繊維強度が4cN/dtex以上のポリオレフィン系繊維を25〜500質量部の範囲で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  6. 湿式抄紙ウェブ層が、熱接着性繊維(B)を100質量部としたとき、分割型複合繊維を10〜900質量部の範囲で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  7. 湿式抄紙ウェブ層が、熱接着性繊維(B)を100質量部としたとき、分割型複合繊維を10〜500質量部、および繊度が3dtex以下であり、繊維強度が4cN/dtex以上のポリオレフィン系繊維を25〜500質量部の範囲で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  8. 熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)から選ばれる少なくとも一つの繊維が鞘成分を低融点ポリオレフィン系樹脂とし、芯成分を鞘成分の融点より10℃以上高い融点を有する高融点ポリオレフィン系樹脂とした鞘芯型複合繊維である請求項1〜7のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  9. 湿式抄紙ウェブ層の目付が10〜70g/m2の範囲であり、湿式不織布の目付が10〜30g/m2の範囲であり、湿式抄紙ウェブ層目付の合計と湿式不織布目付の合計との比(湿式抄紙ウェブ層/湿式不織布)が、1.5〜5の範囲である請求項1〜8のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  10. 前記湿式不織布の少なくとも片面に前記湿式抄紙ウェブ層が積層され、その層間は熱接着されて結合一体化され、前記結合一体化された前記湿式不織布及び前記湿式抄紙ウェブ層は親水化処理されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の電池用セパレータ。
  11. 下記の工程を含むことを特徴とする電池用セパレータの製造方法。
    (1)構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(A)が質量比で0.1以上含有するスラリーから湿式抄紙機を用いて作製した湿式抄紙ウェブを、前記熱接着性繊維(A)が溶融する温度より高い温度で熱処理を施して、機械方向(MD方向)における単位目付あたりの引張強さを1.5N/5cm・(g/m2)以上とした湿式不織布を作製する工程。
    (2)構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(B)が質量比で0.1以上含有するスラリーから湿式抄紙機を用いて作製した湿式抄紙ウェブを、前記湿式不織布の少なくとも一方の面に積層して湿式抄紙ウェブ層を形成し、積層不織布とする工程。
    (3)含水した積層不織布を搬送用支持体の下から吸引脱水する工程。
    (4)脱水した積層不織布を熱処理機を用いて、熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)の溶融する温度より高い温度で熱処理し、結合一体化する工程。
  12. 工程(2)において、湿式不織布の少なくとも一方の面に湿式抄紙ウェブを集積しながら湿式抄紙ウェブ層を形成し、積層不織布とする請求項11に記載の電池用セパレータの製造方法。
  13. 下記の工程を含むことを特徴とする電池用セパレータの製造方法。
    (1)構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(A)が質量比で0.1以上含有するスラリーから湿式抄紙機を用いて作製した湿式抄紙ウェブを、前記熱接着性繊維(A)が溶融する温度より高い温度で熱処理を施して、機械方向(MD方向)における単位目付あたりの引張強さを1.5N/5cm・(g/m2)以上とした湿式不織布を作製する工程。
    (2)構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(B)が質量比で0.1以上含有するスラリーから湿式抄紙機を用いて作製した第1湿式抄紙ウェブを、搬送用支持体に集積して第1湿式抄紙ウェブ層を作製する工程。
    (3)第1湿式抄紙ウェブ層の表面に湿式不織布を積層する工程。
    (4)構成する全繊維質量に対して熱接着性繊維(B)が質量比で0.1以上含有するスラリーから湿式抄紙機を用いて作製した第2湿式抄紙ウェブを、前記湿式不織布の表面に積層して第2湿式抄紙ウェブ層を形成し、積層不織布とする工程。
    (5)含水した積層不織布を搬送用支持体の下から吸引脱水する工程。
    (6)脱水した積層不織布を熱処理機を用いて、熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)の溶融する温度より高い温度で熱処理し、結合一体化する工程。
  14. 工程(4)において、湿式不織布の表面に第2湿式抄紙ウェブを集積しながら第2湿式ウェブ層を形成し、積層不織布とする請求項13に記載の電池用セパレータの製造方法。
  15. 熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)が同一素材からなり、鞘成分を低融点ポリオレフィン系樹脂とし、芯成分を鞘成分の融点より10℃以上高い融点を有する高融点ポリオレフィン系樹脂とした鞘芯型複合繊維からなり、熱接着性繊維(A)および熱接着性繊維(B)の鞘成分が溶融する温度より高く、芯成分が溶融する温度より10℃以上低い温度で、積層不織布を熱処理し、結合一体化する請求項11〜14のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法。
  16. 積層不織布を結合一体化した後、親水化処理する請求項11〜15のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法。
  17. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の電池用セパレータを組み込んだ電池。
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