JP4651796B2 - 電池用セパレーター及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用セパレーターに関するものであり、さらに詳しくは、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池等の一次電池用セパレーター、さらに鉛電池、ニッケル鉄電池、ニッケル亜鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、酸化銀亜鉛電池、アルミニウム空気電池等の二次電池用セパレーターとして好適な電池用セパレーター、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、二次電池セパレーターとしては親水性のあるポリアミド繊維や耐アルカリ性、耐酸性に優れるポリオレフィン系繊維からなる不織布が使用されている。しかしながら、ポリアミド繊維は常温で耐アルカリ性は高いが、80℃以上の高温下では加水分解によって耐久性が低下し、さらに分解物が電解液に溶け電池性能を著しく低下させる問題を生じるとともに、ポリアミド繊維は耐酸性にも劣る。そこで、ポリオレフィン系繊維に界面活性剤の塗布、スルフォン化処理、高周波グロー放電処理等の親水化処理が施されたものを利用する場合が多い。
【0003】
また、近年、電子機器の小型化、軽量化にともない、二次電池についても小型化、及び高容量化が進んでいる。これらの要求に対しては、セパレーターへの電解液の保液性を増加若しくは維持しつつ、セパレーターの厚さを薄くすることが不可欠である。最近のセパレーターは、150〜200μmの厚さのものが主流で、厚さ100μm以下のセパレーターについても多く検討されているが、現状ではセパレーターの均一性、吸液性について満足できるものを得ることは非常に困難である。この課題を克服するためにはセパレーターの低密度化が有効であるが、安易な低密度化はセパレーターの厚さ方向への貫通孔の径(ポアサイズ)が大きくなり、不織布強度の低下により電池製造が困難になったり、デンドライト耐久性が低下したりする等の問題が生じる。なお、デンドライトとは、放電時に電解液に溶け出した金属イオンが、充電時に金属電極の表面に針状に成長する現象をいい、特に過充電時に起こりやすい。デンドライト耐久性が低いと、成長したデンドライトがセパレーターを破って対極に達し、電池内部で短絡しやすくなる。
【0004】
特開平8−35192号公報には、親水性ポリオレフィン繊維が少なくとも40質量%配合された秤量15〜100g/m2以下で、密度が0.2〜0.5g/cm3のポリオレフィン系繊維紙が提案されている。このセパレーターは充分な保液性を有しているものの、厚さが薄いために強力が不十分で、デンドライト耐久性が低くく、電池内部で短絡しやすいため、充分な電池寿命が得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電池の小型化、高容量化を実現するために、厚さが薄くても高強力で、且つ電解液の吸液性に優れた電池用セパレーター、及びその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を鑑み、鋭意検討を行った結果、特定のポリプロピレン繊維を用いて不織布とし、親水化処理をすることにより、上記課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、重量平均分子量が8万〜16万であり、スルホン化処理により硫黄濃度が10〜1000ppmの親水性基が導入されたポリプロピレンからなり、単繊維繊度が0.001〜0.5dtex、かつ繊維断面が下記式(1)を満たす異形断面ポリプロピレン繊維を主体繊維として構成され、厚さが50〜250μmである不織布からなる電池用セパレーターである。
(S1/S2)≦0.8 (1)
但し、
S1:ポリプロピレン繊維の単繊維断面積
S2:S1の面積を持つ該ポリプロピレン繊維の断面周長に相当する円周を有する円の面積
また、本発明は、海成分が易溶解性または易分解性ポリマーからなり、島成分が重量平均分子量8万〜16万のポリプロピレンからなり、島成分の形状が下記式(2)を満たす海島型複合繊維を主体繊維する不織布に対し、該海島型複合繊維の海成分を溶解又は分解し得る溶剤で処理することにより、単繊維繊度0.001〜0.5dtexのポリプロピレン繊維を形成せしめ、次いで該ポリプロピレン繊維を親水化処理することを特徴とする電池用セパレーターの製造方法である。
(S3/S4)≦0.8 (2)
但し、
S3:島成分一つの断面積
S4:S3の面積を持つ該島成分の断面周長に相当する円周を有する円の面積
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る不織布を構成するポリプロピレン繊維について説明する。
本発明に使用されるポリプロピレンの重量平均分子量は8万〜16万であり、好ましくは10万〜14万である。ポリプロピレンの重量平均分子量が8万未満のものについては、溶融時の粘度が下がりすぎるために、製糸時、特にノズル内部でのポリマーの分配が不均一になり、紡出時に紡出斑が生じて均一な断面形状の繊維を得ることができない。また、逆にポリプロピレン樹脂の重量平均分子量が16万を超える場合は、溶融時の粘度が高いために、ノズルからの紡出圧が高くなりすぎ、海成分ポリマーとの圧力バランスが崩れて、目的とする島形状を構成できない問題が生じるため好ましくない。
【0009】
本発明の電池用セパレーターに使用されるポリプロピレン繊維の単繊維繊度は0.001〜0.5dtexであり、好ましくは0.01〜0.11dtexである。単繊維繊度が0.001dtex未満であると、電池用セパレーターを作成した際に、通気度の低下、及び電気抵抗の上昇を招く結果となり本発明の目的を達成できない。一方、単繊維繊度が0.5dtexを超えると、保液性アップ、及び電気抵抗低下等の利点はあるものの、充放電時の耐久性が低く、電池内部で短絡しやすいため充分な電池寿命得られないといった問題が生じる。
【0010】
0.001〜0.5dtexの単繊維繊度を有するポリプロピレン繊維を得るために本発明者らが鋭意検討した結果、海成分に易溶解性または易分解性ポリマーを用い、島成分として重量平均分子量が8万〜16万のポリプロピレンからなる海島型複合繊維が最も好ましいと判断した。これは、0.001〜0.5dtexの異型断面を有するポリプロピレン繊維を得ようとするとき、ポリプロピレン樹脂単独での紡糸では1dtex程度が限界で、それ未満の細い繊維を工業的に安定に得るのは極めて困難であるからである。海成分を構成する除去が容易なポリマーについては特に限定されるものではなく、例えば、アルカリによる分解除去が容易なポリマーとして、ポリ乳酸や、特開平6−280156号公報に示されるような芳香族核が金属スルフォネートで置換された芳香族ジカルボン酸単位、ポリオキシアルキレン単位、及び側鎖型のポリオキシアルキレン基を特定の割合で有するポリエステル樹脂や、温水による溶解除去が容易なポリビニルアルコール樹脂などが挙げられる。また、単繊維中に構成される島の数については、特に規定されるものではなく、ポリプロピレン繊維の繊度に適した島数を選択することができる。
【0011】
さらに、本発明で使用されるポリプロピレン繊維は、下記式(1)を満たすことが重要であり、下記式(1)を満たすことにより、繊維表面積が大きくなり、後述する親水性を有する基を導入することで、より親水性が向上し、電池セパレーターを構成する繊維間に適度な空隙を生み、優れた保液性を得られるのである。
(S1/S2)≦0.8・・・・・・(1)
但し、
S1:ポリプロピレン繊維の単繊維断面積
S2:S1の面積を持つ該ポリプロピレン繊維の断面周長に相当する円周を有する円の面積
【0012】
最終的に式(1)を満足するようなポリプロピレン異形断面繊維を得るためには、原料となる海島型複合繊維として、下記式(2)を満足する複合繊維を製造することが必要である。
(S3/S4)≦0.8 (2)
但し、
S3:島成分一つの断面積
S4:S3の面積を持つ該島成分の断面周長に相当する円周を有する円の面積
【0013】
かかる海島型複合繊維の製法としては様々な方法が考えられるが、ノズル内部のポリマーの分配方法を適切に制御することで実現することが可能である。S3/S4の値が0.80を超えると、丸断面のポリプロピレン繊維と比較して、保液性及び吸液性の有意差が明確でない。S3/S4(即ち、S1/S2)の下限値は特に限定されないが、0.3以上であることが好ましい。
【0014】
ポリプロピレンに結合する親水性を有する基としては、スルホン化処理により、−SO 3 H、−SO 3 M、など(ただし、MはK、Na、Mg、Ca、およびAlなどの金属元素で、それらを1種、若しくは2種以上含有するもの)を導入することが必要である。
【0015】
スルホン化処理については、スルホン化度の代用値として硫黄濃度が用いられるが、導入される硫黄濃度は10000ppm以下が必要であり、より好ましくは10〜8000ppmである。硫黄濃度が10ppm未満であると親水性に乏しいため、目的とする電池用セパレーターは得られない場合がある。また、硫黄濃度が10000ppmを超える場合は充分な親水性を付与することはできるが、そのためにスルホン化溶液への浸漬時間を長くする必要が生じる場合があり、工業的にそのような条件を取ることは好ましくない。
【0016】
親水化されたポリプロピレン繊維を主体とした不織布のポアサイズにおける最大孔径は25〜200μmが好ましく、より好ましくは40〜150μmであり、特に好ましくは40〜100μmである。ポアサイズは電池用セパレーターの必要特性である通気性、電気抵抗、及び充放電時の耐久性の代用特性でもある。
【0017】
本発明においては、電池用セパレーターを構成する繊維として上述のポリプロピレン繊維の他にバインダー繊維を混用してもさしつかえない。バインダー繊維については、単独ポリマーによる繊維、2種類以上のポリマーによる芯鞘型、サイドバイサイド型、層状分割型、放射状分割型等の複合繊維を使用する。断面形状については丸型、偏平型、繭型、中空型、T型等、特に限定されるものではない。単繊維繊度としては、0.5〜6dtexが好ましい。0.5dtex未満になると曳糸性が不良となる場合があり、一方、6dtexを超えると目的とするポアサイズを有する不織布が得られない場合がある。
バインダー繊維としては、ポリプロピレン繊維との接着性の観点からポリオレフィンを一成分とする繊維が好ましく用いられ、かかるポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、アリルシクロペンタン、アリルシクロヘキサン、アリルベンゼン、3−シクロヘキシル−1−ブテン、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロヘキサン、及び2−ビニルシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン等のオレフィン重合体、あるいはそれらの共重合体が例示される。これらの中で、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセンの重合体、あるいはそれらの共重合体の組み合わせによる複合繊維が好ましい。特にエチレン、プロピレンの重合体、あるいはそれらの共重合体による芯鞘型複合繊維が好ましい。
【0018】
バインダー繊維の配合比は不織布に対して、1〜90質量%とするのが好ましいが、電池の耐久性、不織布強力等の点から、さらに好ましくは3〜50質量%以下、特に好ましくは10〜30質量%以下とするのがよい。
【0019】
本発明の電池用セパレーターを構成する不織布の製造方法は、特に限定されず、例えば乾式法(パラレルカード法、クロスレイヤー法、ランダムウェバー法等)や湿式抄造法により製造することができる。このとき、ポリプロピレンの極細繊維を用いて不織布を製造する方法を採用してもかまわないが、製造工程での通過性の点からは、海島繊維とバインダー繊維から不織布シートを作成した後、海島繊維を構成する海成分を除去する方法を採用することが好ましい。
【0020】
湿式抄造法により不織布を製造する場合には、配合する繊維の繊維長を0.5〜30mm、特に1〜20mmとするのが分散性、均質性、製造工程の通過性等の点で好ましい。主体となる海島繊維及びバインダー繊維等の紙料を配合して水中分散させ、次いで、短網、円網、長網等の抄紙機を単独、あるいは組み合わせて抄紙し、次いでヤンキードライヤー、エアスルードライヤー等の乾燥機で乾燥させることにより容易に製造できる。この後、あるいは抄紙後に乾燥工程に入る途中で水流絡合処理を行ってもかまわない。
【0021】
また、乾式法により不織布を製造する場合には、配合する繊維の繊維長を20〜200mmとするのが好ましく、捲縮が付与された繊維を用いるのが好ましい。不織布の製造工程における通過性、セパレーターのセパレート性の点から、絡合処理を施してシートを製造することが好ましい。ただし、ニードルパンチによる絡合処理を行う場合には、使用するニードルの径が太いと電池用セパレーターとした時、ポアサイズが大きくなるので注意が必要である。生産性が高く、またセパレート性に優れたセパレーターが得られる点からは、水流絡合処理を採用することが好ましい。
【0022】
水流絡合処理としては、例えばノズル径が0.03〜0.3mmφ、より好ましくは0.09〜0.2mmφ、ピッチが0.15〜5mm、より好ましくは0.5〜1.5mmで1〜3列に配列したノズルプレート等を利用し、水圧10〜500kg/cm2の水流で1回、あるいは複数回処理する方法が考えられる。特に、バインダー繊維を配合している場合、絡合処理を施す前に、バインダー繊維の接着機能を発現させることにより、より安定に絡合処理を施すことが可能になるため、工程通過性の点から優れた効果が得られる。乾式法を採用する場合、絡合処理前に熱圧着処理を施して接着または擬似接着させることにより効率的に不織布を生産でき、さらに不織布の強力を高めることができる。
【0023】
さらに本発明によれば、セパレーターの厚さを薄くしても、機械的性能に優れ、且つ吸液量及び吸液速度の大きいものが得られる。より具体的には、本発明によればセパレーターの厚さが50〜250μm、特に80〜150μmの範囲において、裂断長が4km以上の不織布、さらに吸液量が4g/cm3以上、特に6g/cm3以上で、吸液速度が100秒/25mm以下、特に60秒/25mm以下の不織布を得ることができる。
【0024】
本発明においては、得られた不織布をそのまま用いて、または袋状態や渦巻き状態等の所望の形状に加工することにより電池セパレーターとすることができる。もちろん該不織布以外のシートと組み合わせて電池セパレーターを製造してもよい。例えば他の不織布、フィルム等と積層したり、継ぎ合わせることができる。
しかしながら、本発明の効果を効率的に利用する点からは、実質的には前述の不織布のみから電池用セパレーターを製造することが好ましい。本発明の電池用セパレーター用不織布はあらゆる電池用セパレーターに適用することができるが、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池等の一次電池用セパレーター、さらに鉛電池、ニッケル鉄電池、ニッケル亜鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、酸化銀亜鉛電池、アルミニウム空気電池等の二次電池用セパレーターとして好適である。本発明の電池セパレーターをこれらの電池に組み込むことによって、諸性能に優れた電池が得られる。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例により何等限定されるものではない。
本発明における樹脂の重量平均分子量、及び数平均分子量はGPC法により測定した。
ポアサイズについては、コールター・エレクトロニクス社製:Colter POROMETER IIにより測定した。
また、スルホン化して導入される硫黄濃度については、スルホン化繊維を酸素燃焼フラスコ法により処理された吸収液を、横河電機社製イオンクロマトアナライザーにて分析した。
【0026】
その他、電池用セパレーターの特性についての評価方法は次の通りである。
[秤量]
JIS P 8124「紙のメートル秤量測定方法」に準じて測定した。
[厚さと密度]
JIS P 8118「紙及び板紙の厚さと密度の試験方法」に準じて測定した。
[裂断長]
JIS P 8113「紙及び板紙の引張強さ試験方法」に準じて測定した。
[吸液量]
処理液として35%KOH水溶液を使用し、50mm×50mmのサンプルを用いて30秒間自然液切り後の保液量を測定した。吸液速度は処理液として35%KOH水溶液を使用し、25mm吸い上げるのに要した時間を測定した。
【0027】
〔ポリオレフィン系バインダー繊維〕
鞘成分がポリエチレン、芯成分がポリプロピレンである2.2dtexの芯鞘型複合繊維(株式会社クラレ製:「N−740」)を用いた。乾式法によりシート化する場合には捲縮を付与し、繊維を51mmに切断したものを使用した。湿式抄造法によりシート化する場合には、捲縮を付与せず、繊維を5mmに切断して使用した。
【0028】
〔易分解性ポリマー〕
易分解性ポリマーとしては、アルカリによる分解除去を考慮し、アルカリによる分解除去が容易な共重合ポリエステルを製造した。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化反応器に仕込み、280℃、2.5kg/cm2の圧力下で2時間エステル化反応を行った後、重縮合器に移し、所定量の5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを添加して、240℃で反応させた後、350ppmの三酸化アンチモン、分子量2000のポリエチレングリコールと下記化1で表されるポリオキシエチレングリシジルエーテルを10質量%添加し、さらにポリエチレングリコールとポリオキシエチレングリシジルエーテルの合計量に対して5質量%の1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルペンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンを加えて、温度を240℃から280℃まで45分かけて昇温しながら徐々に0.1mmHgまで減圧にし、以後280℃で重縮合反応を行って、共重合ポリエステルを製造した。なお、該共重合ポリエステルは、98℃、20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に浴比1:500の条件で浸漬して攪拌した際に30分以内に完全に溶解するものであった。
【化1】
【0029】
実施例1
アルカリによる分解除去が容易な共重合ポリエステルを海成分、重量平均分子量が105000のポリプロピレンを島成分とし、且つS3/S4(=S1/S2)が0.45となる十字型の島断面形状を有する、5.2dtexの海島型複合繊維(海島質量比率=50:50、島数=50島)を製糸し(この時の島成分の単糸繊度は0.052dtex)、これに機械捲縮を付与し、51mmに切断して主体繊維とした。バインダー繊維としては、鞘成分がポリエチレン、芯成分がポリプロピレンの2.2dtexの鞘芯型複合繊維を製糸し、これに捲縮を付与し、51mmに切断して使用した。この主体繊維とバインダー繊維を70:30の割合で混合し、ローラーカード、クロスラッパーを用いてクロスウェブを製造した。この後、ノズル孔径0.1mmφ、ピッチ0.6mm、ノズル配列1列のノズルプレートを使用し、水圧30kg/cm2、50kg/cm2、80kg/cm2、及び100kg/cm2の水流で表裏各1回水流絡合処理を行った。次いで、98℃、40g/LのNaOH水溶液に1時間浸漬させ、主体繊維の海成分を除去した後、150℃×20kg/cm×1.0m/分にて熱処理を行った。得られたシートを発煙硫酸にてスルホン化し、希硫酸、水の順で洗浄後、乾燥して、厚さ0.10mm、秤量44g/m2の電池用セパレーターを得た。電池用セパレーターの特性は下記の表1に示した通りである。厚さ0.15mm未満の薄さでも、電池用セパレーターとして充分な裂断長を有し、吸液量、吸液速度に優れるものであった。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例2
島成分として、重量平均分子量が105000のポリプロピレンを用い、且つS3/S4(=S1/S2)が0.63となる三角型の島断面形状を有する、5.2dtexの海島型複合繊維(海島質量比率=50:50、島数=50島)を製糸し(この時の島成分の単糸繊度は0.052dtex)、これに機械捲縮を付与し、51mmに切断して主体繊維としたこと以外は、実施例1と同様にして不織布を製造し、厚さ0.10mm、秤量45g/m2の電池用セパレーターを得た。電池用セパレーターの特性は、表1に示した通りである。電池セパレーターとして優れた値を示し、且つ充分な裂断長を有し、吸液速度に優れるものであった。
【0032】
実施例3
アルカリによる分解除去が容易な共重合ポリエステルを海成分、重量平均分子量が127000のポリプロピレンを島成分とし、且つS3/S4(=S1/S2)が0.45となる十字型の島断面形状を有する、4.7dtexの海島型複合繊維(海島重量比率=50:50、島数=37島)を製糸し(この時の島成分の単糸繊度は0.064dtex)、これを15mmに切断して主体繊維とした。バインダー繊維としては、鞘成分がポリエチレン、芯成分がポリプロピレンの2.2dtexの鞘芯型複合繊維を製糸し、これを5mmに切断して使用した。湿式抄造にあたっては、この主体繊維とバインダー繊維を70:30の割合で混合して5%のスラリーを調整し、さらにチェストにて1.0%となるように希釈し、短網の抄紙機で抄きあげた。乾燥機はヤンキードライヤーを使用し130℃処理した。得られた抄紙を秤量が90g/m2となるように重ねあわせ、ノズル孔径0.1mmφ、ピッチ0.6mm、ノズル配列1列のノズルプレートを使用し、水圧30kg/cm2、50kg/cm2、80kg/cm2、及び100kg/cm2の水流で表裏各1回水流絡合処理を行った。次いで、98℃、40g/L NaOH水溶液に1時間浸漬させ、主体繊維の海成分を除去した後、150℃×20kg/cm×1.0m/分にて熱処理を行った。得られたシートを発煙硫酸にてスルホン化し、希硫酸、水の順で洗浄後、乾燥して、厚さ0.10mm、秤量45g/m2の電池用セパレーターを得た。電池用セパレーターの特性は下記の表1に示した通りである。電池用セパレーターとして充分な値を有し、しかも吸液量、吸液速度に優れるものであった。
【0033】
実施例4
島成分として、重量平均分子量が127000のポリプロピレンを用い、且つS3/S4(=S1/S2)が0.63となる三角型の島断面形状を有する、4.7dtexの海島型複合繊維(海島質量比率=50:50、島数=37島)を製糸し(この時の島成分の単糸繊度は0.064dtex)、これを15mmに切断して主体繊維としたこと以外は、実施例3と同様にして不織布を製造し、厚さ0.10mm、秤量45g/m2の電池用セパレーターを得た。電池用セパレーターの特性は表1に示した通りである。
【0034】
比較例1
島成分として、重量平均分子量が105000のポリプロピレンを用い、且つS3/S4(=S1/S2)が0.97となる円型の島断面形状を有する、5.2dtexの海島型複合繊維(海島質量比率=50:50、島数=50島)を製糸し(この時の島成分の単糸繊度は0.052dtex)、これに機械捲縮を付与し、51mmに切断して主体繊維とした以外は実施例1と同様にして不織布を製造し、厚さ0.11mm、秤量44g/m2の電池用セパレーターを得た。電池用セパレーターの特性は、表1に示した通りである。電池用セパレーターとして充分な裂断長を有するが、本発明の実施例1〜4と比較すると吸液量、吸水速度に劣るものであった。
【0035】
比較例2
島成分として、重量平均分子量が127000のポリプロピレンを用い、且つS3/S4(=S1/S2)が1.0となる円型の島断面形状を有する、4.8dtexの海島型複合繊維(海島重量比率=50:50、島数=37島)を製糸し(この時の島成分の単糸繊度は0.065dtex)、これに機械捲縮を付与し、51mmに切断して主体繊維としたこと以外は、実施例1と同様にして不織布を製造し、厚さ0.10mm、秤量45g/m2の電池用セパレーターを得た。電池用セパレーターの特性は下記の表1に示した通りである。本発明の実施例1〜4と比較すると吸液量、吸水速度に劣るものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に使用されるポリプロピレン繊維の繊維横断面図
【図2】 本発明に使用されるポリプロピレン繊維の他の繊維横断面図
【図3】 本発明に使用されるポリプロピレン繊維の他の繊維横断面図
Claims (5)
- 重量平均分子量が8万〜16万であり、スルホン化処理により硫黄濃度が10〜1000ppmの親水性基が導入されたポリプロピレンからなり、単繊維繊度が0.001〜0.5dtex、かつ繊維断面が下記式(1)を満たす異形断面ポリプロピレン繊維を主体繊維として構成され、厚さが50〜250μmである不織布からなる電池用セパレーター。
(S1/S2)≦0.8 (1)
但し、
S1:ポリプロピレン繊維の単繊維断面積
S2:S1の面積を持つ該ポリプロピレン繊維の断面周長に相当する円周を有する円の面積 - 不織布にオレフィン系バインダー繊維が3〜50質量%含まれてなる請求項1に記載の電池用セパレーター。
- 海成分が易溶解性または易分解性ポリマーからなり、島成分が重量平均分子量8万〜16万のポリプロピレンからなり、島成分の形状が下記式(2)を満たす海島型複合繊維を主体繊維とする不織布に対し、該海島型複合繊維の海成分を溶解又は分解し得る溶剤で処理することにより、単繊維繊度0.001〜0.5dtexのポリプロピレン繊維を形成せしめ、次いで該ポリプロピレン繊維を親水化処理することを特徴とする電池用セパレーターの製造方法。
(S3/S4)≦0.8 (2)
但し、
S3:島成分一つの断面積
S4:S3の面積を持つ該島成分の断面周長に相当する円周を有する円の面積 - 不織布にオレフィン系バインダー繊維が3〜50質量%含まれてなる請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1に記載の電池用セパレーターを組み込んでなる電池。
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