JP3758739B2 - アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−亜鉛蓄電池等のアルカリ電池に用いられるセパレータ、及びその製造方法に関するものであり、具体的には、それ自身の耐熱性、耐酸化性を向上できるセパレータ、及び電池製造時の作業性を改善できる製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保全への取り組みや工場における省人化への取り組みが推進される中で、低公害型や省エネルギー型の、車両や無人搬送システムが、普及してきているが、その動力源としては、高出力で耐高温性を有する電池が要求されるため、ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−亜鉛蓄電池等のアルカリ電池が、注目されている。
【0003】
ところで、上記アルカリ電池においては、セパレータに、正負両極間を隔離する機能に加えて、充放電反応に必要且つ十分な量の電解液を両極間に確保する機能が、要求される。このため、従来では、ポリオレフィン系樹脂からなる微多孔膜又は再生セルロース膜の両面に、ポリアミド樹脂からなる親水性の、織布又は不織布を、配したものが、セパレータとして用いられてきた。しかし、ポリオレフィン系樹脂からなる微多孔膜では、充放電サイクルの繰返しによって、負極活物質であるカドミウムや亜鉛が樹枝状に成長し、即ちデンドライトが生じ、これが微孔を貫通して正極に到達し、短絡が起こるという問題があった。また、再生セルロース膜では、アルカリ電解液によって分解されやすいために、長期間の使用に耐えられないという問題があった。
【0004】
一方、上記アルカリ電池では、セパレータをジグザグに折り曲げながら、その間に正極板と負極板とを交互に順次巻き込んでいき、極群を製造するという作業を行なっている。そのため、再生セルロース膜又は微多孔膜と、織布又は不織布とを、別々に供給する必要があり、製造作業が煩雑となるという問題があった。また、巻き込み時に、再生セルロース膜又は微多孔膜と、織布又は不織布との、位置ずれが生じるという問題があった。
【0005】
上記の、セパレータの問題及び製造作業の問題を、解決するものとして、近年においては、次のようなセパレータが用いられるようになってきた。即ち、そのセパレータは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなるフィルムに、アクリル酸、メタクリル酸等の親水性ビニルモノマーをグラフト重合し、得られたグラフト膜の両面に、ポリアミド樹脂からなる親水性の、織布又は不織布を、水溶性接着剤によって一体化したものである。このセパレータによれば、(1)グラフト膜が優れた耐アルカリ性及び耐酸化性を有しているので、長期間の使用に耐えることができ、(2)グラフト膜が微孔を有さないので、デンドライトの発生を防止でき、(3)グラフト膜と、織布又は不織布とが、一体化されているので、製造作業を簡素化でき、また、作業時の位置ずれを防止できる、という効果を発揮でき、従って、電池寿命を飛躍的に向上できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の近年用いられるようになってきたセパレータでは、それを用いたアルカリ電池を高温下で使用すると、親水性のポリアミド樹脂からなる織布又は不織布が酸化され分解されて、その分解生成物によって電池の充放電性能が低下して寿命が短くなるという問題が、新たに生じることとなった。
【0007】
本発明は、そのような新たな問題も解決できる、アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の内、請求項1記載のアルカリ電池用セパレータは、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムに親水性ビニルモノマーをグラフト重合して得られたグラフト膜の両面に、織布又は不織布である布シートが接合一体化されて構成されており、布シートは、ポリオレフィン系樹脂と親水性樹脂とからなっており、上記親水性樹脂は、エチレン−ビニルアルコール共重合体であり、グラフト膜と布シートとが、エチレン−ビニルアルコール共重合体のゲル化によって接合一体化されていることを特徴としている。
【0009】
請求項1記載の発明においては、グラフト膜が優れた耐アルカリ性及び耐酸化性を有しているので、長期間の使用に耐え得るようになり、また、グラフト膜が微孔を有さないので、デンドライトの発生が防止され、しかも、グラフト膜と布シートとが一体化されているので、製造作業が簡素化され、作業時の位置ずれも防止される。そして、布シートがポリオレフィン系樹脂を含有しているので、布シートの耐酸化性が向上し、酸化分解物の発生が抑制され、酸化分解物に起因する電池の充放電性能の低下が防止される。
【0010】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が用いられ、親水性ビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
グラフト重合は、(i) ポリオレフィン系樹脂に放射線を照射した後、ポリオレフィン系樹脂を親水性ビニルモノマーを含む溶液に浸漬する方法、(ii)ポリオレフィン系樹脂を親水性ビニルモノマーを含む溶液に浸漬した状態で、ポリオレフィン系樹脂に放射線を照射する方法、のいずれで行なってもよい。放射線としては、電子線、γ線等が用いられる。
【0012】
不織布としては、乾式不織布及び湿式不織布のいずれを用いてもよい。乾式不織布とは、空気中に分散された繊維を適当な方法によって集積したウェブからなるものである。具体的には、(i) 紡糸したフィラメント繊維を直ちにシート状に形成したスパンボンドウェブ、(ii)紡糸直後に加圧熱風で延伸した微細繊維をシート状に集積したメルトブローウェブ、(iii) ステープル繊維からなるパラレルウェブ、セミランダムウェブ、等からなるものである。これらのウェブは、接着剤や熱接着性繊維によって構成繊維同士を接合したり、ニードルや高圧水流の作用によって構成繊維同士を交絡させたりすることによって、その構成繊維同士が互いに結合して一体化されて、不織布となる。湿式不織布とは、繊維材料を水中に分散させてなるスラリーを、網上に流した後に脱水することによって形成されるウェブからなるものである。このウェブも、乾式不織布の場合と同様にして、構成繊維同士が互いに結合して一体化されて、不織布となる。
【0013】
不織布の目付は特に限定されないが、目付が大きくなって厚みが増すほど、電極の挿入量が減少するので、目付は60g/m2 以下であるのが好ましい。
【0014】
なお、親水性樹脂としては、ポリビニルアルコールを用いてもよい。
【0015】
更に、請求項1記載の発明においては、親水性樹脂がゲル化して接着剤として機能するので、接着剤を用いることなく繊維同士が接着され、布シートはグラフト膜に接合される。
【0016】
請求項2記載のアルカリ電池用セパレータは、請求項1記載の構成において、布シートにおけるポリオレフィン系樹脂と親水性樹脂との配合割合が、重量比で、90:10〜50:50である。
【0017】
請求項2記載の発明において、上記配合割合とするのは、次の理由による。即ち、親水性樹脂の配合割合が10重量%未満であると、適度な水分の存在下で加熱しても親水性樹脂がゲル化しにくくなり、グラフト膜に布シートを接合させるのが困難となり、ポリオレフィン系樹脂の配合割合が50重量%未満になると、高温下における耐酸化性が低下するからである。
【0018】
請求項3記載のアルカリ電池用セパレータは、請求項1記載の構成において、布シートが、分割性複合繊維、又は分割性複合繊維にポリオレフィン系樹脂からなる繊維を混合してなるもの、又はポリオレフィン系樹脂を芯成分として有し且つ親水性樹脂を鞘成分として有してなる芯鞘複合繊維、又は該芯鞘複合繊維にポリオレフィン系樹脂からなる繊維を混合してなるもので構成されている。
【0019】
請求項3記載の発明において、分割性複合繊維を用いた場合には、ウェブに高圧水流を噴射して繊維同士を交絡させると、水流の衝撃によって複合繊維が各構成成分に分割され、繊維の表面積が増大する。そのため、親水性樹脂として水分の存在下でゲル化する性質を有するものを用いた場合には、接着剤として機能する親水性樹脂と繊維との接触面積が増加し、ゲル化しない親水性樹脂を用い、別に接着剤を用いた場合には、接着剤と繊維との接触面積が増加する。一方、芯鞘複合繊維を用いた場合には、親水性樹脂がゲル化すると、親水性樹脂と繊維との接触面積が増加する。従って、親水性樹脂や接着剤の接着機能が良好に発揮され、グラフト膜に対して布シートはより強固に接合される。
【0020】
【0021】
【0022】
請求項4記載のアルカリ電池用セパレータの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムに親水性ビニルモノマーをグラフト重合して得られたグラフト膜の両面に、ポリオレフィン系樹脂と親水性樹脂とからなる、織布又は不織布である布シートを接合一体化する、アルカリ電池用セパレータの製造方法において、布シートの親水性樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体を用い、布シート、グラフト膜、布シートの順に重ね合わせる前又は後に、布シートに水分を吸湿させ、重ね合わせたものを加圧しながら加熱乾燥させてエチレン−ビニルアルコール共重合体のゲル化によって、グラフト膜と布シートとを接合一体化させることを特徴としている。
【0023】
請求項4記載の方法においては、吸湿した布シートの親水性樹脂が、加圧・加熱の際にゲル化して接着剤として機能し、これによって、布シートとグラフト膜とが接合される。
【0024】
請求項5記載のアルカリ電池用セパレータの製造方法は、請求項4記載の構成において、加熱温度を80℃〜150℃とした。
【0025】
請求項5記載の発明において、上記温度範囲とするのは、次の理由による。即ち、80℃未満であると、親水性樹脂のゲル化が不十分となり、150℃より高いと、グラフト膜の親水性が熱によって劣化するからである。
なお、アルカリ電池用セパレータの製造方法として、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムに親水性ビニルモノマーをグラフト重合して得られたグラフト膜の両面に、ポリオレフィン系樹脂と親水性樹脂とからなる、織布又は不織布である布シートを接合一体化する、アルカリ電池用セパレータの製造方法において、グラフト膜及び布シートの少なくとも一方を、ケン化度80%以上の水溶性接着剤を溶解した溶液中に浸漬し、該一方に水溶性接着剤を含浸させ、その後、布シート、グラフト膜、布シートの順に重ね合わせ、これを加圧しながら加熱乾燥させることを特徴とする方法を採用すると、含浸された接着剤によって、布シートとグラフト膜とが接合される。布シートにおける親水性樹脂としては、ゲル化するもの、ゲル化しないもの、のいずれを用いてもよい。この方法によれば、含浸された接着剤によって、布シートとグラフト膜とを接合でき、従って、グラフト膜の両面に布シートが接合一体化されたセパレータを得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
次のようにして、本発明のセパレータAを製造した。
【0027】
(1) ポリエチレンフィルムにアクリル酸をグラフト重合して、グラフト膜を製造した。なお、このグラフト重合は、(i) ポリエチレンフィルムに放射線を照射した後、ポリエチレンフィルムをアクリル酸を含む溶液に浸漬する方法、(ii)ポリエチレンフィルムをアクリル酸を含む溶液に浸漬した状態で、ポリエチレンフィルムに放射線を照射する方法、のいずれで行なってもよい。
【0028】
(2) 一方、ポリオレフィン系樹脂であるポリプロピレンと親水性樹脂であるエチレン−ビニルアルコール共重合体との配合割合が重量比70:30であり、目付55g/m2 である、不織布を、次のようにして製造した。即ち、まず、ポリプロピレンとエチレン−ビニルアルコール共重合体とが、重量比50:50の割合で複合紡糸され、繊維断面が図1に示す構造の、分割性複合繊維(繊度3デニール、繊維長6mm)を用意した。この分割性複合繊維とポリプロピレン繊維(繊度2デニール、繊維長10mm)とを、重量比60:40の割合で混合し、湿式抄紙し、これに高圧水流を噴射して繊維を交絡させると同時に分割性複合繊維を分割させた。なお、図1において、1はポリプロピレン、2はエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
【0029】
(3) グラフト膜1枚及び不織布2枚を、1重量部のカルボキシメチルセルロースを溶解した水溶液中に浸漬し、それらにカルボキシメチルセルロースを含浸させた後、不織布、グラフト膜、不織布の順に重ね合わせ、これを、表面温度が80℃の乾燥ドラム上で乾燥させて一体化した。
【0030】
(実施形態2)
次のようにして、本発明のセパレータBを製造した。
(1) 実施形態1と同様にして同じグラフト膜を製造した。
(2) 一方、実施形態1と同様にして同じ不織布を製造した。
(3) グラフト膜1枚及び不織布2枚に、水を噴霧して吸湿させた後、不織布、グラフト膜、不織布の順に重ね合わせ、これを、表面温度が120℃の乾燥ドラム上で荷重を加えながら乾燥させて一体化した。
【0031】
(実施形態3)
次のようにして、本発明のセパレータCを製造した。
(1) 実施形態1と同様にして同じグラフト膜を製造した。
(2) 一方、ポリプロピレンとエチレン−ビニルアルコール共重合体との配合割合が重量比90:10であり、目付55g/m2 である、不織布を、次のようにして製造した。即ち、まず、実施形態1と同じ分割性複合繊維及びポリプロピレン繊維を用意し、これらを、重量比20:80の割合で混合し、湿式抄紙し、これに高圧水流を噴射して繊維を交絡させると同時に分割性複合繊維を分割させた。
(3) グラフト膜1枚及び不織布2枚を、実施形態1と同様の方法で一体化した。
【0032】
(実施形態4)
次のようにして、本発明のセパレータDを製造した。
(1) 実施形態1と同様にして同じグラフト膜を製造した。
(2) 一方、ポリプロピレンとエチレン−ビニルアルコール共重合体との配合割合が重量比50:50であり、目付55g/m2 である、不織布を、次のようにして製造した。即ち、まず、実施形態1と同じ分割性複合繊維を用意し、これのみを湿式抄紙し、これに高圧水流を噴射して繊維を交絡させると同時に分割性複合繊維を分割させた。
(3) グラフト膜1枚及び不織布2枚を、実施形態1と同様の方法で一体化した。
【0033】
(別の実施形態)
(1) 実施形態1〜4では、布シートとして、分割性複合繊維を用いて作製した不織布を用いているが、分割性複合繊維を用いて作製した織布、又は芯鞘複合繊維を用いて作製した不織布又は織布を、用いてもよい。
【0034】
(2) 実施形態1〜4では、親水性ビニルモノマーとして、アクリル酸を用いているが、メタクリル酸や他の同質のものを用いてもよい。
【0035】
(3) 実施形態1〜4では、ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレンを、親水性樹脂としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を、用いているが、両者の組合せはこれに限定されるものではなく、他の組合せでもよい。
【0036】
(比較形態1)
次のようにして、従来例のセパレータEを製造した。
(1) 実施形態1と同様にして同じグラフト膜を製造した。
(2) 一方、親水性樹脂であるポリアミド樹脂(ナイロン)からなり、目付55g/m2 の不織布を、用意した。
(3) グラフト膜1枚及び不織布2枚を、実施形態1と同様の方法で一体化した。
【0037】
(評価試験)
(1) 剥離強度の測定
セパレータA〜Eを、それぞれ幅50mm、長さ100mmの長方形に打ち抜いて試験試料を作製し、各試験試料の一端縁の片側の不織布を一部分剥離させ、その剥離部分に荷重を加えていき、剥離が進む時の荷重(g)を剥離強度として求めた。表1はその結果を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1からは、次のことがわかる。
(a) セパレータA〜Dの内、セパレータDが最も剥離強度が大きい。従って、不織布におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体の配合割合が大きいほど、不織布とグラフト膜とは強固に接着される。
(b) セパレータA,Bを比較してみるに、不織布においてエチレン−ビニルアルコール共重合体を同程度の配合割合で有していれば、接着剤を用いる方法であっても、用いない方法であっても、不織布とグラフト膜とが同程度の強度で接着される。
【0040】
また、セパレータA〜Eを、それぞれ所定の幅でジグザグに折り曲げながら、その間に正極板及び負極板を順次巻き込んでいき、極群を作製した。
この場合、いずれも作業性は良好であった。しかも、不織布とグラフト膜との間に巻きずれもなく、得られた極群は実用に耐えるものであった。極群を解体してセパレータを取り出して調べたところ、セパレータA,B,D,Eには剥離は生じていなかった。セパレータCには部分的な剥離が認められたが、実用上の問題になるほどのものではなかった。従って、不織布におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体即ち親水性樹脂の配合割合は10重量%以上であることが好ましい。
【0041】
(2) 電池性能に対する影響の測定
セパレータA〜Eをそれぞれ用いて、開放型のニッケル−カドミウム電池を作製し、各電池を、60℃の温度下で、充電電流0.1Cで10日間連続して過充電し、その後解体してセパレータの重量変化を測定し、重量保持率(%)を求めた。表2はその結果を示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2からわかるように、セパレータEは、過充電によって著しく酸化分解されて重量が低下しているが、セパレータA,B,Cは過充電に対して極めて安定であり、セパレータDは、少し重量低下があるものの、過充電に対して安定である。即ち、セパレータの耐酸化性を十分確保するためには、不織布におけるポリプロピレン即ちポリオレフィン系樹脂の配合割合は50重量%以上とするのが好ましい。
【0044】
【発明の効果】
(1) 請求項1記載のアルカリ電池用セパレータによれば、グラフト膜が用いられているので、耐アルカリ性及び耐酸化性を向上でき、長期間の使用に耐え得るようにでき、また、デンドライトの発生も防止できる。
【0045】
また、グラフト膜と布シートとが一体化されているので、極群の製造作業において、即ち、セパレータをジグザグに折り曲げながら、その間に正極板と負極板とを交互に順次巻き込んでいき、極群を製造するという作業において、グラフト膜と布シートとを別々ではなく一体に供給でき、製造作業を簡素化できる。しかも、作業時にグラフト膜と布シートとの間に位置ずれが生じるのも防止できる。
【0046】
しかも、布シートがポリオレフィン系樹脂を含有しているので、布シートの耐酸化性を向上でき、酸化分解物に起因する電池の充放電性能の低下を防止できる。
【0047】
更に、接着剤を用いることなく、ゲル化した親水性樹脂によって繊維同士を接着でき、布シートをグラフト膜に接合できる。
【0048】
(2) 請求項2記載のアルカリ電池用セパレータによれば、布シートにおいて、親水性樹脂を10重量%以上含有しているので、親水性樹脂のゲル化を確保して、グラフト膜への布シートの接合を容易に行なわせることができ、また、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含有しているので、高温下における耐酸化性を確保できる。
【0049】
(3) 請求項3記載のアルカリ電池用セパレータによれば、ゲル化した親水性樹脂又は接着剤の、露出面積を増大できるので、グラフト膜に対して布シートをより強固に接合できる。
【0050】
【0051】
(4) 請求項4記載のアルカリ電池用セパレータの製造方法によれば、吸湿した布シートの親水性樹脂が、加圧・加熱の際にゲル化して接着剤として機能するので、布シートとグラフト膜とを接合でき、従って、グラフト膜の両面に布シートが接合一体化されたセパレータを得ることができる。
【0052】
(5) 請求項5記載のアルカリ電池用セパレータの製造方法によれば、親水性樹脂のゲル化を十分に確保できるとともに、グラフト膜の親水性が熱によって劣化するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1〜4で用いた分割性複合繊維の断面図である。
【符号の説明】
1 ポリプロピレン
2 エチレン−ビニルアルコール共重合体
Claims (5)
- ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムに親水性ビニルモノマーをグラフト重合して得られたグラフト膜の両面に、織布又は不織布である布シートが接合一体化されて構成されており、
布シートは、ポリオレフィン系樹脂と親水性樹脂とからなっており、
上記親水性樹脂は、エチレン−ビニルアルコール共重合体であり、
グラフト膜と布シートとが、エチレン−ビニルアルコール共重合体のゲル化によって接合一体化されていることを特徴とするアルカリ電池用セパレータ。 - 布シートにおけるポリオレフィン系樹脂と親水性樹脂との配合割合が、重量比で、90:10〜50:50である請求項1記載のアルカリ電池用セパレータ。
- 布シートが、ポリオレフィン系樹脂と親水性樹脂とからなる分割性複合繊維、又は分割性複合繊維にポリオレフィン系樹脂からなる繊維を混合してなるもの、又はポリオレフィン系樹脂を芯成分として有し且つ親水性樹脂を鞘成分として有してなる芯鞘複合繊維、又は該芯鞘複合繊維にポリオレフィン系樹脂からなる繊維を混合してなるもので構成されている請求項1記載のアルカリ電池用セパレータ。
- ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムに親水性ビニルモノマーをグラフト重合して得られたグラフト膜の両面に、ポリオレフィン系樹脂と親水性樹脂とからなる、織布又は不織布である布シートを接合一体化する、アルカリ電池用セパレータの製造方法において、
布シートの親水性樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体を用い、
布シート、グラフト膜、布シートの順に重ね合わせる前又は後に、布シートに水分を吸湿させ、重ね合わせたものを加圧しながら加熱乾燥させてエチレン−ビニルアルコール共重合体のゲル化によって、グラフト膜と布シートとを接合一体化させることを特徴とするアルカリ電池用セパレータの製造方法。 - 加熱温度を80℃〜150℃とした請求項4記載のアルカリ電池用セパレータの製造方法。
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