JP3948871B2 - 消火栓装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばトンネル等の通路内に設けられる消火栓装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の消火栓装置は、ホースリールなどが収納されている本体の前面に扉板を設け、この扉板の周囲と本体の前面との隙間をなくして美観を保つための化粧枠が本体に固着され、例えば特公平7−12381号公報に示されているように、自動車等の衝突などによる思わぬ外力が化粧枠や扉板に加わったときに、本体への取付部材がその衝撃力を吸収して本体に変形を及ぼさずに、修理や取替えの部材を少なくすることが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報のように、消火栓装置の前面は、化粧枠部分が露出する程度に、その大半が埋め込まれるように設置されるとともに、交換の必要があるときには、本体から扉体と化粧枠が取り外せるように構成されている。
【0004】
しかし、とくにトンネル内のような場合に、走行車線側の側壁に位置し、走行車両が跳ね上げる水滴や粉塵によって腐食されやすく、通常、車両が道路の左側を走るのでその走行方向に気流が発生しやすく、そのため、消火栓装置に対しても左側から汚損および腐食が進むことになる。そして、消火栓装置の化粧枠や扉体は左側のみの腐食によって、その前面部分全体を交換することになってしまう。トンネル内では通常気流の方向はほぼ一定であり、偏った汚れとなるのが通常である。
【0005】
本発明は、消火栓装置の前面部分のほとんどが左側と偏った汚損および腐食をすることから、消火栓装置前面を部分的に交換可能とすることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の点に鑑み、この発明は、消火用ホースが収納される本体の前面に扉体が配置され、該扉体の外周に配置される化粧枠が前記本体と着脱可能に固定されるものであって、該化粧枠が複数部材に分割可能であり、前記扉体は、複数配置され、前記化粧枠が各扉体ごとに枠を形成するとともに、前記本体の前面の開口部を縦方向にわたる取付支柱に前記複数部材の化粧枠が固定され、前記複数の部材は各部材の側面同士が当接するように配置されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、扉体は、複数配置され、化粧枠が各扉体ごとに枠を形成しているものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明を利用する消火栓装置の正面図、図2は、図1の消火栓装置の組み立て前の斜視図である。
【0009】
ホースリール1などの消火用機器を収容している本体2の前面に開口部3が形成され、消火栓用開口部4Aおよび消火器用開口部4Bをそれぞれ備えた消火栓扉用化粧枠6Aおよび消火器扉用化粧枠6Bを、本体2へ取り付けている。その取り付けは、本体2内でその下部に固定されて前部が開口部3から前方へ突出する底板となる取付枠8と、取付枠8から本体2の上側まで断面L字状の取付支柱14、15を用い、開口部3の周囲にて本体2の前部に形成されている取付縁部9に合わせて、各化粧枠6A、6Bを配置する。各化粧枠6A、6Bの後部には、底辺以外の3辺に衝撃吸収部材12A、12Bを取り付け、さらにその後側に接触縁部10A、10Bが形成される。その接触縁部10A、10Bが本体2の取付縁部9に当接するようになっている。
【0010】
消火栓扉用化粧枠6Aは、その右側背面にボルト孔を有する略コ字状の2つの固定部材16、17が形成されるとともに、衝撃吸収部材12Aの上面側および側面側からそれぞれボルト孔を有する固定部材18、19が突出している。これらの固定部材には、それぞれ本体2側に対応するボルト孔が形成されるが、固定部材16、17は、本体2の開口部3を縦方向に支持する取付支柱14に対応し、また、固定部材18は本体2上面部分から突出した取付部材20に、固定部材19は本体側面部から突出した取付部材21に対応する。また、取付支柱14の中間部分には受座22が形成され、固定部材17の底面部分を載置できるように配置されている。したがって、本体2に対して消火栓扉用化粧枠6Aを取り付ける際に、固定部材17を受座22に載せて仮位置決めすることで、各固定部材と取付部材とのボルト孔を合わせてボルト締めすることができる。
【0011】
消火器扉用化粧枠6Bは、その下側背面にボルト孔を有する略コ字状の固定部材24が形成されるとともに、衝撃吸収部材12Bの上面側からボルト孔を有する固定部材25が突出している。これらの固定部材にも、それぞれ本体2側に対応するボルト孔が形成されるが、固定部材24は、本体2の取付枠8の前部に、また、固定部材25は本体2上面部分から開口部3に突出した取付部材26に対応する。この消火器扉用化粧枠6Bを本体2に取り付ける際には、取付枠8に載置することで、各固定部材にそれぞれの取付部材のボルト孔を合わせてボルト締めすることができる。
【0012】
また、本体2の開口部3前面を縦方向にわたる取付支柱15には、消火栓扉用化粧枠6Aおよび消火器扉用化粧枠6B取付時に接触縁部10A、10B双方が当接し、それぞれ対応するボルト孔が設けられ、取付支柱15に固定される。その際、消火栓用化粧枠6Aの衝撃吸収部材12Aの左側面と消火器扉用化粧枠6Bの衝撃吸収部材12Bの右側面とが当接するように配置される。このとき、それぞれの衝撃吸収部材12A、12Bの対応する位置にボルト孔を配置して消火栓扉用化粧枠6Aと消火器扉用化粧枠6Bとをボルト締めにより一体化してもよい。
【0013】
本体2内に配置されるホースリール1の前方には、消火栓用開口部4Aを塞ぐ消火栓扉30が設けられ、本体2へ、取付機構27を介して消火栓扉30を取り付けている。取付機構27はその台座28にホースリール1の中央の固定部1cが装架されるとともに、閉扉位置から開扉位置の間を本体2に固定されている軸受29、29の軸を支点として回動できるように本体2に設けられている可動枠36を有する。この取付機構27の可動枠36に取り付けられた消火栓扉30は、詳細に説明しないが、対応するボルト孔が設けられてボルト締めによって固定される。この消火栓扉30の周縁は、上部杵31、下部杵32、および左右杵33、34にて補強され、断面が略L字状の縦梁を用いて、衝撃吸収部材35を消火栓扉30の裏面に取り付けている。この消火栓扉30は、可動枠36に固定されて閉扉位置において消火栓扉用化粧枠6Aの開口部4Aを閉鎖する状態とされ、いわゆる前傾式の開放動作を行う。
【0014】
また、本体2内左側には図示しない消火器(2本分)が収納されるスペース38があり、その前方には消火器用開口部4Bが位置して、その消火器用開口部4Bに消火器扉44が設けられる。この消火器扉44は消火器扉用化粧枠6Bの左側にヒンジによって固定され、横開きに開閉動作を行う。また、消火器用開口部4Bの上側には、消火器扉44とは別個に機器扉43が消火器扉44と同様に取り付けられ、この機器扉43には、表示灯45や発信機46などが設けられる。
【0015】
上記のように組み立てられる消火栓装置において、衝撃吸収部材12A、Bは、走行する自動車等が化粧枠6A、6Bや消火栓扉30および消火器扉44に衝突するときに、衝撃吸収部材12A、12B等がその衝撃力を吸収する機能を有しているので、かかる機能によって本体2側が変形するのを防止する。したがって、大きな衝撃があっても、おもに衝撃吸収部材12A、12Bが変形することで本体2側には影響を及ぼさせず、変形した化粧枠6A、6Bや扉30、44を取り替えることで復旧することができる。
【0016】
さらに、消火栓装置の正面を見て左側に消火器扉44が配置されているが、交通法規の関係で自動車の衝突は左側からが圧倒的に多く、変形が左側のみであれば、消火器扉用化粧枠6Bと消火器扉44との範囲で取り替えることが可能である。同様に、消火栓装置前面の汚損とそれに基づく腐食は左側が激しく、変形の場合の如く腐食している側のみの交換で対応できる。
【0017】
なお、上記消火栓装置の構成では、前面化粧枠部分を消火器扉44側と消火栓扉30側とで分割しているが、消火器扉44側に比べて消火栓扉30側は大きいのでさらに2以上に分割してもよく、全体として数個のパーツとなるようにしてもよい。このような、化粧枠部分の分割は、交換の便宜のみでなく、施工の際の運搬や設置の作業においても負担が軽減される。
【0018】
また、消火栓装置前面の化粧枠の分割を、消火栓扉30および消火器扉44の扉ごとに行うので、扉に対する枠の位置決めが容易であり、具体的に本体2に対して消火栓扉用化粧枠6Aおよび消火器扉用化粧枠6Bが位置決めされ、両化粧枠がずれても扉の枠がずれることはない。すなわち、部材の組合せで枠を構成するのは位置決めが面倒であり、この実施形態では、それを避けるように分割している。
【0019】
そして、トンネル内などで火災が発生して消火活動を行う場合、使用者は、その火災の規模などから消火器を用いるのか、あるいは消火栓を用いるのかを判別し、消火栓を用いるときには、消火栓扉30中央のハンドル51を手前に引くことで、消火栓扉30が手前側に倒れるように開放し、その消火栓扉30の背面側に、ホースリール1も倒れてくる。このとき、消火栓扉30はホースリール1によってかなりの重量があるが、そうでなくとも扉が一気に倒れるのは危険なので、消火栓扉30の固定される可動枠36の左右両側には、本体2に固定される取付支柱14、15に接続されるダンパ39、39が設けられ、緩衝されるようになっている。そして、詳細に示さないが、ホースリール1には保形型の消火用ホースが巻き込まれるとともに、その消火用ホースの先端には消火用ノズルが接続され、この消火用ノズルは消火栓扉30の背面にホルダ等で保持されている。そして、使用者は、図示しない消火用ノズルを取り出し、詳細に示さない消火栓弁を開放して、消火用ホースを引き出しながら火災の現場に駆けつけ、火元に向けて放水を行う。
【0020】
また、消火器を用いるときには、消火器扉44右手のハンドル52を引き、消火器扉44の右側が手前へ引かれるように横開きして、その内側に図示しない消火器があることを確認する。そして、使用者は、図示しない消火器を取り出し、火災の現場に駆けつけ、火元に向けて消火剤の放出を行う。
【0021】
上記のように、消火活動以外に、機器扉43には発信機46が設けられているので、使用者が事故などの通報を行うことができ、視界が多少悪くとも表示灯45によって発信機46の位置が分かりやすいようになっている。
【0022】
上記消火栓装置において、ホースリール1が消火栓扉30とともに前方に倒れてくるいわゆる前傾リール式の構造を示しているが、このホースの格納方式はこれに限定されず、ホースリールが扉とは関係なく縦方向のまま振り出されるスイングリール式や、本体内で移動させない固定式、収納ケースを用いてその内部にホースを巻き込んだ内巻式などであってもよい。また、消火栓扉30や消火器扉44の方式も前傾式や横開きに限定されず、観音開き、縦・横引き、シャッター式、リフト式等などでもよい。さらに、消火栓装置が埋め込み設置されていなくてよいことは勿論である。
【0023】
以上のように、本発明は、消火用ホースが収納される本体の前面に扉体が配置され、該扉体の外周に配置される化粧枠が前記本体の着脱可能に固定されるものであって、該化粧枠が複数部材に分割可能であるので、自動車の衝突による変形した範囲で取り替えることが可能で、同様に、汚損やそれに基づく腐食の場合にも、腐食している側のみの交換が可能である。このような、化粧枠部分の分割は、交換の便宜のみでなく、施工の際の運搬や設置の作業においても負担が軽減される。
【0024】
また、扉体は、複数配置され、化粧枠が各扉体ごとに枠を形成しているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を利用する消火栓装置の正面図。
【図2】図1の消火栓装置の組み立て図。
【符号の説明】
2 本体
6A、6B 化粧枠
30 消火栓扉(扉体)
44 消火器扉(扉体)
Claims (1)
- 消火用ホースが収納される本体の前面に扉体が配置され、該扉体の外周に配置される化粧枠が前記本体と着脱可能に固定されるものであって、該化粧枠が複数部材に分割可能であり、
前記扉体は、複数配置され、前記化粧枠が各扉体ごとに枠を形成するとともに、前記本体の前面の開口部を縦方向にわたる取付支柱に前記複数部材の化粧枠が固定され、前記複数の部材は各部材の側面同士が当接するように配置されていることを特徴とする消火栓装置。
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