JP3948683B2 - Fe−Ni合金の溶製方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は非金属介在物に起因した表面欠陥を抑制したFe−Ni合金の溶製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Fe−Ni合金はリードフレーム、シャドウマスク等を始めとして各種機能材料として使用されている。例えば、42重量%のNiを含有するFe−Ni合金の冷延板は電気伝導性、耐熱性、曲げ加工性、メッキ付着性およびハンダ付け性が優れているため、ICリードフレーム材として使用されている。さらに、熱膨張率が非常に小さい36重量%のNiを含有するFe−Ni合金の冷延板は、カラーテレビのシャドウマスク材や、低温の液体を保存するための容器として用いられる。これらのFe−Ni合金冷延板は用途に応じ、数mm〜数μmオーダーの製品板厚の冷延板に加工される。極めて薄い製品板厚に加工するとき、素材中にクラスター化した硬質の非金属介在物が存在すると、この非金属介在物に起因した表面疵が、圧延等の加工の際に発生しやすくなる。特に、Fe−Ni合金冷延板においては、微量のAl含有によっても、硬質のAl2 O3 系介在物のクラスターが生成しやすい傾向にある。冷延板表面疵を抑制するためには、Al2 O3 系介在物のクラスターを除去する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、クラスター除去には、十分な浮上時間を必要とし、溶鋼温度を所定の温度に所定時間、保持しておく必要がある。浮上時間の確保は容易ではなく、したがって、クラスターの除去は、限られた設備でしか達成できない。
また、連続鋳造を行う際には、タンディッシュ内に堰、フィルターを設置する必要があり、堰やフィルターの設置場所に工夫を要する。なお、フィルターなどのランニングコストも必要となり、製造コストが高くなる。
このように、生成したAl2 O3 系介在物のクラスターを除去することは困難であるため、Al2 O3 系介在物のクラスターの生成を未然に防ぐことが望まれる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、Ni:30〜50重量%、Mn:0.1 〜0.5 重量%、Si:0.01〜0.04 重量%を含有するFe−Ni合金において、Al含有量を0.003重量%以下とし、かつ、S/A≧10…(1)式(ここで、SはSi含有量、AはAl含有量を表す。)を満たすように、合金中のAl量をコントロールする、Fe−Ni合金の溶製方法により、達成される。
【0005】
【作用】
上述したように、一度生成した、Al2 O3 系介在物のクラスターを除去することは困難であるが、Al2 O3 系介在物のクラスターの生成を、未然に抑えることにより、冷延板表面疵の発生を防ぐことが可能となる。すなわち、脱酸時に適切、かつ、適量の脱酸剤を用いることにより、介在物の組成制御を行って、Al2 O3 系介在物のクラスターの生成を未然に抑えることが可能となることを見い出した。Fe−Ni合金は、普通鋼やステンレス鋼などとは介在物の生成挙動が異なり、上述したように、微量のAlでAl2 O3 系介在物が生成しやすい状況にある。しかしながら、Fe−Ni合金ではAl2 O3 系介在物の生成挙動に及ぼすAl含有量の影響については明らかではなかった。本発明はこの点に着目して、案出されたものである。
【0006】
本発明で示した、Fe−Ni合金の冷延板の化学成分組成について以下に説明する。Niは、Fe−Ni合金の熱膨張率に大きな影響を及ぼす成分である。
Ni含有量が、30から50重量%の範囲内では、合金の冷延板の熱膨張率が小さい。しかし、Ni含有量が30重量%より少ないと、熱膨張係数が極めて高くなってしまう。一方、Ni含有量が50重量%を越えても、合金の冷延板の熱膨張率が高くなる。熱膨張率の高い、Fe−Ni合金の冷延板をシャドウマスク材として使用したときには、色ずれの原因となる。一般に、シャドウマスク材,リードフレーム材,バイメタル材などはNi含有量が30から50重量%の範囲内で用いられている。
【0007】
Mnは、Fe−Ni合金を熱延した際に介在物を伸延しやすいような組成、すなわち、Mn−シリケート系の介在物にするためと、熱間加工性を付与するために含有する。しかしながら、Mn含有量が0.1 重量%より少ないと、Mn−シリケート系の介在物になりにくく、また、熱間加工性に劣る。
一方、0.5 重量%を越えて含有すると、合金板の硬度が過度に高くなり、例えば、シャドウマスク材などには適さない。
【0008】
Siについては、脱酸剤として添加するが、Si含有量が0.01重量%より少ないと、脱酸効果が少なく、非金属介在物が多くなるため、シャドウマスク材として製造する際には、エッチング穿孔欠陥を生じやすい。一方、Si含有量が0.04重量%を越えて含有すると、シャドウマスク材として製造する際、エッチング穿孔時にエッチング液が汚れて、生産性を低下させる。また、合金の硬さを増すため、リードフレーム材や、シャドウマスク材には適さない。したがって、Si含有量は、0.01〜0.04重量%に限定すべきである。
(以下余白)
【0009】
Alについては、Al2 O3 系介在物のクラスターの生成の直接の原因となるため、Al含有量の許容限界を調査した。
【0010】
Ni含有量は36重量%,Mnは0.3 重量%,Siは0.01〜0.3 重量%、Alは0.01重量%以下の含有量で、Fe−Ni系合金を500kg真空高周波誘導溶解炉で溶解し、溶鋼が所定の温度に達した後、SiおよびAl量を変化させて脱酸を行った後、約450kgの鋼塊を得た。得られた鋼塊から、介在物調査用サンプルを切り出して、介在物の形態観察を行った。さらに、鋼塊に対して1200℃の抽出温度で熱延を行い、その後、冷延を行い、板厚約0.2mm の冷延板とした。その冷延板について板表面疵の調査を行った。
【0011】
鋼塊に観察される介在物を調査した結果、図1に示すように、Si、Al含有量に応じてAl2 O3 系介在物のクラスターが生成する領域と、生成しない領域があることがわかった。Al2 O3 系介在物のクラスターが生成しない領域は、(1)式で示されることがわかった。Al含有量が0.003重量%以下で、(1)式を満足する、Si,Al含有量の場合、鋼塊に観察される介在物の組成は、Mn−シリケートであった。なお、以上の結果は、36重量%以外のNi含有量で、Mn:0.1 〜0.5 重量%、Si:0.01〜0.3 重量%での合金において、同様の結果を得られることがわかった。
【0012】
【実施例1】
Ni:36重量%,Mn:0.3 重量%を含有する、Fe−Ni合金を500kg真空高周波誘導溶解炉で溶製し、表1に示すように、Si:0.01〜0.3 重量%,Al:0.01重量%以下の範囲で、SiおよびAlを変化させ、それぞれ約450kgの鋼塊を得た。得られた鋼塊の介在物の組成、形態を調査した後、この鋼塊を1200℃で加熱、抽出し、熱間圧延、冷間圧延を行い、得られた板厚0.2mm の冷延板の表面疵を調査した。これらの調査結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明にしたがって溶製した、ヒートNo.H〜KのFe−Ni合金では、いずれも球状介在物で、クラスター化した介在物は認められず、また、冷延板に表面疵は検出されなかった。他方、比較例のヒートNo.L〜Nではクラスター化したAl2 O3 系介在物が観察され、また冷延板には
Al2 O3 系介在物の起因の表面疵が発生していた。
【0013】
【表1】
(以下余白)
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、通常の製鋼設備により、Fe−Ni合金におけるAl2 O3 系介在物のクラスターの発生を、未然に防止することができる。
合金中に、疵の原因となるようなAl2 O3 系介在物がないため、通常の熱延、冷延により、表面性状の良い、Fe−Ni合金冷延板が歩留りよく得られる。
得られた冷延板は、Fe−Ni合金の特性を活かした、各種機能材料として、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Al2 O3 系介在物のクラスター生成挙動に及ぼす、SiとAl含有量との関係を示す図である。
Claims (1)
- Ni:30〜50重量%、Mn:0.1 〜0.5 重量%、Si:0.01〜0.04重量%を含有するFe−Ni合金において、Al含有量を0.003重量%以下とし、かつ、(1)式を満たすように合金中のAl含有量をコントロールすることを特徴とするFe−Ni合金の溶製方法。
S/A≧10 …(1)
ここで、SはSi含有量(重量%)、AはAl含有量(重量%)を表す。
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JP05678495A JP3948683B2 (ja) | 1995-02-22 | 1995-02-22 | Fe−Ni合金の溶製方法 |
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JPH08225881A JPH08225881A (ja) | 1996-09-03 |
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JP (1) | JP3948683B2 (ja) |
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1995
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