JP4388323B2 - 高純度Fe−Cr系合金の製造方法 - Google Patents

高純度Fe−Cr系合金の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高温使用環境下においても高い耐熱性と高温耐食性を有するFe−Cr(−W)系合金を工業的規模で製造する方法に関するものである。
Fe−Cr合金は、高温において優れた耐熱性や耐食性を有することから、種々の高温環境や高温腐食環境下で使用されている。しかし、近年、これら材料の長寿命化への要求は一段と強まる傾向にあり、耐熱性や高温耐食性のさらなる向上を目的とした材料開発が行われている。その成果の1つとして、Fe−Cr合金にWを添加する技術が提案されており、特に、Crを30〜80mass%含むFe−Cr合金にWを添加した場合には、耐熱性が大きく向上することが明らかにされている。
しかしながら、Fe−Cr合金は、脆化相が生成しやすく、鋳塊の冷却時に、鋳塊の表層と内部に生じた熱応力によって割れが発生し易いという問題があり、そのために、Cr含有量の高いFe−Cr合金は、工業的に製造が不可能とされていた。また、割れのない健全な鋳塊が得られたとしても、その後の熱間加工や冷間加工の際に割れを生じ易いといった問題もあった。
Fe−Cr合金の熱間加工性や冷間加工性を向上させるためには、合金中の不純物を低減させることが有効であり、例えば、特許文献1には、不純物元素の総量を200ppm以下に制限する技術が、また、特許文献2には、C,N,P,SおよびOの合計量を100ppm以下に制限する鉄クロム合金の技術が開示されている。しかし、これらの技術は、原料として超高純度の電解鉄や電解クロムを用い、なおかつ、超高真空中で溶解することにより、不純物量の低減を達成している。そのため、これらの製造方法には、高純度原料を用いるために原料コストが高い他、気密性に富んだチャンバーが必要であるために設備コストも高いという問題があった。しかも、設備的に限られた量しか溶解できないため、量産性にも劣るという問題もあった。
また、Fe−Cr合金中のC,N,P,S,Oなどの不純物を低減するには、合金原料の純度そのものを厳しく管理する必要がある。しかし、例え原料を厳選したとしても、O,Nは大気雰囲気から、また、C,P,Sは溶解中の耐火物や鋳造時に用いるタンディッシュ等からピックアップされるという問題がある。そのため、原料を汚染させないで溶解や鋳造が可能な製造技術の開発が求められている。なお、この課題に対しては、坩堝からの汚染のないコールドクルーシブルを用いた溶解法が提案されているが、現状では、まだ量産性に問題を残している。
特開平5-302152号公報 特許第2801833号公報
発明者らは、工業的規模で、Fe−Cr合金中のC,N,P,S,O等の不純物元素を低減可能な溶解方法について検討を行った結果、目標とする不純物レベルのFe−Cr合金を量産できる製造技術の開発に成功し、その成果を特願2001-317663号において提案した。上記の製造方法は、具体的には、真空誘導溶解炉を用い、CaO耐火物製の坩堝に高純度原料を装入し、10-3torr以上の真空下で、高純度原料が溶解しない温度でかつできるだけ高い温度に加熱・保持し、原料や坩堝に付着している水分等を気化除去した後、溶解炉内に速やかに高純度乾燥Arガスを導入し、このArガス雰囲気下で高純度原料を溶解し、溶湯が目標温度に達した後に適正な脱酸剤、高塩基度フラックスを添加して精練を行い、鋳造する技術である。この技術により、10-7torrという超高真空下でなくても、高純度のFe−Cr合金の製造が可能となった。
しかしながら、Fe−Cr合金の不純物を所望の含有量以下に低減できたとしても、得られた鋳塊から製品を製造するための熱間加工条件ならびに冷間加工条件についてはまだ不明の点が多く、特に、Cr含有量が30〜80mass%のFe−Cr合金は、熱間加工時や冷間加工時に亀裂や割れが多発するため、歩留が大きく低下し、工業製品としては実質的に製造不可能な状況であった。そのため、たとえFe−Cr合金にWを添加して耐熱性や高温耐食性の向上が図れたとしても、それを工業的に製造できないという問題点が残されていた。
本発明の目的は、耐熱性や高温耐食性に優れたFe−Cr(−W)合金を、割れや亀裂等の発生を招くことなく、熱間加工や冷間加工ができる方法の開発を通じて、該Fe−Cr(−W)合金を高い生産性の下に有利に製造する方法を提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記の問題点を解消すべく、熱間加工や冷間加工条件等について鋭意検討を行った。その結果、Crを30〜80mass%含有する高純度Fe−Cr合金の鋳塊は、酸可溶Al(以降、sol.Alと略記する)を適正量添加した上で、さらに、Ca,TiおよびNbを適正量添加することにより、合金中の不純物の弊害を抑制できるとともに、適正な温度範囲で熱間加工し、適正な温度で熱処理した後、適正な温度範囲で温間または冷間加工することにより、割れ、亀裂等の発生を招くことなく最終製品まで加工できることを見出した。さらに、上記知見は、Wを10mass%以下含有したFe−Cr合金にも適用できることを見出した。
上記知見に基づき開発された本発明は、Cr:30〜80mass%、sol.Al:0.01〜2.0mass%、Si:0.20mass%以下を含み、さらにCa,Ti,Nbを、それぞれ下記式(1),(2)を満足するよう含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる合金の鋳塊を、800℃以上で熱間加工を行い、その後、800〜1200℃で熱処理を施した後、温間加工もしくは冷間加工することを特徴とする高純度Fe−Cr合金の製造方法である。

1.5×S+2.0×P≦Ca≦0.1 …… (1)
10.0×(C+N)≦(Ti+Nb)≦0.7 …… (2)
ここで、S,P,Ca,C,N,TiおよびNbは各元素のmass%値を示す。
また、本発明は、上記成分組成に加えてさらに、Wを10mass%以下含有することが好ましい。
本発明によれば、Fe−Cr(−W)合金に、酸可溶Al,CaならびにTi,Nbを適正量添加することにより、合金中の不純物の弊害を抑制し、実質的に高純度化したのと同等の効果を得ることができ、さらに、Fe−Cr(−W)合金の熱間加工温度、熱処理温度さらにその後の加工温度を適正な範囲に規制することにより、割れや破断等を発生することなく高い生産性と高い歩留で、耐熱性や高温耐食性に優れたFe−Cr(−W)合金製品を製造することができる。
本発明の成分設計思想は、先に述べたように、高価な高純度原料を用いなくても、精錬時に、Al,CaならびにTi,Nbを適正量含有させ、O,S,P,C,Nを低減ならびに無害化し、実質的に高純度化したのと同等の効果を得ることにより、Fe−Cr(−W)合金をより簡易にかつ安価に製造することにある。具体的には、精錬を行う際、最初に、脱酸剤としてAlを適正量添加し、溶存OをAlと反応させてAl23系介在物として浮上・分離させ、耐火物やスラグに吸着させてOを低減する。次に、脱硫、脱燐剤としてCaを適正量添加し、溶存S,PをCaと反応させてCaSやCa32とし、耐火物やスラグに吸着させて低減する。最後に、脆化相の生成を誘発する固溶C,Nを固定するために、Tiおよび/またはNbをスタビライザーとして適正量添加するというものである。
次に、本発明において、各成分の組成範囲を規定した理由について説明する。
Cr:30〜80mass%
Crは、本発明の合金において、耐熱性、高温耐食性を確保するために最も重要な元素である。Crの含有量が30mass%未満では、本発明合金に求められている十分な耐熱性、高温耐食性が得られない。一方、Cr含有量が80mass%を超えると、液相線温度が1750℃よりも高くなるため溶解が難しくなる。よって、Cr含有量は30〜80mass%とする。さらに高い耐熱性、高温耐食性を得るためには、Crの含有量は、40mass%以上が好ましく、より好ましくは50mass%以上、さらに好ましくは65mass%以上とするのがよい。
sol.Al:0.01〜2.0mass%
上述したように、Alは、脱酸剤として添加する。Alが、酸可溶濃度(sol.Al)で0.01mass%よりも低いと脱酸不足となり、Ti,Nb添加した際、Ti,Nbの炭・窒化物を生成する前に溶湯中の残存酸素と反応してTi,Nb系酸化物を生成してしまい、C,Nのスタビライザーとしての目的が果たせなくなる。一方、sol.Alで2.0mass%よりも多く含有すると、逆に合金の靭性の低下を招く。よって、Al含有量は酸可溶濃度で0.01〜2.0mass%とする。なお、十分な脱酸反応を進行させた後、反応後に残った溶湯中のsol.Alは、溶湯中のNと反応して窒化物(AlN)を形成し、Nのスタビライザーとしての役目も担う。
Si:0.20mass%以下
Siは、合金の硬さを高める元素である。Siが0.20mass%よりも高く含まれると、合金の加工性が低下してしまうので、Si含有量は0.20mass%以下とする。好ましくは、0.15mass%以下である。
Ca:1.5×S+2.0×P≦Ca≦0.1
Caは、脱硫、脱燐剤として添加する。ただし、合金中のS含有量、P含有量がそれぞれ0.005mass%以下である場合には、加工性が十分に確保できるので必ずしも添加する必要はない。もちろん、添加しても何ら加工性、品質に悪影響を及ぼさない。しかし、S含有量、P含有量のいずれか1つでも0.005mass%よりも高い場合には、下記(1)式;
1.5×S+2.0×P≦Ca≦0.1 ……(1)
(但し、S,Pはmass%値)
を満足する範囲でCaを添加する。Ca含有量が少なく、(1)式を満たさない場合には、十分な脱S、脱Pができない。一方、Caを0.1mass%超え添加すると、精錬時に耐火物との反応が顕著になって耐火物を大きく溶損し、溶湯中のO含有量が上昇する。よって、Ca含有量は、(1)式を満足する範囲とする。なお、Caは、非常に活性な金属で蒸気圧が高いため、取り扱いに注意が必要で、工業的には、CaAl合金、鉄被覆のCaAl合金等が扱いやすく、添加歩留も安定するので好ましい。
Ti,Nb:10.0×(C+N)≦(Ti+Nb)≦0.7
Tiおよび/またはNbは,C,Nのスタビライザーとして添加する。添加する際には、上述したように、Ti,Nb系酸化物が生成しないレベルまで脱酸されていることが必要である。合金中のC,Nがそれぞれ0.0100mass%以下であれば、合金の靭性が確保できるので、必ずしも添加する必要はない。もちろん、添加しても何ら加工性、品質に悪影響を及ぼさない。しかし、C,Nのいずれか1つでも0.0100mass%よりも高い場合には、下記(2)式;
10.0×(C+N)≦(Ti+Nb)≦0.7 ……(2)
(但し、C,N,TiおよびNbはmass%値)
を満足する範囲でTiおよび/またはNbを添加する。Ti,Nb含有量が少なく、(2)式を満たさない場合には、CとNのスタビライザーとして十分な効果が得られない。一方、TiとNbを合計で0.7mass%を超えて添加すると、合金の靭性の低下を招く。よって、Ti,Nbの含有量は、(2)式を満足する範囲とする。
W:10mass%以下
上記の必須成分の他、本発明においてはさらに、Wを添加することができる。このWは、Fe−Cr合金の耐熱性、高温耐食性を向上するのに非常に有効な元素であり、要求特性に応じて添加するのが好ましい。しかし、Wは、10mass%を超えて添加しても、その効果は飽和してしまうため、添加量の上限は10mass%とする。なお、所期したWの添加効果を得るためには、0.5mass%以上添加することが好ましい。
なお、合金中のO含有量は、上記したAlやTi,Nbの添加による脱酸効果により、0.0200mass%以下に低減されるが、好ましくは0.0100mass%以下とするのがよい。また、C,N,PおよびSについても、上記(1),(2)を満たす限り、特に限定する必要はないが、熱間、温間および冷間での加工性を確保するためには、それぞれC:0.0100mass%以下、N:0.0100mass%以下、P:0.0050mass%以下、S:0.0050mass%以下に制限するのが好ましい。
次に、本発明に係る製造方法について説明する。
Fe−Cr(−W)合金の溶製は、真空誘導溶解炉等の真空精錬炉を使用して行うのが好ましい。真空誘導溶解炉を用いる場合には、CaO耐火物製の坩堝に高純度原料を装入し、10-3torr以上の真空下で、高純度原料が溶解しない温度でかつできるだけ高温度で加熱・保持し、原料や坩堝に付着している水分等を気化除去した後、溶解炉内に速やかに高純度乾燥Arガスを導入し、このArガス雰囲気下で高純度原料を溶解し、溶湯が目標温度に達した後、適正な脱酸剤、高塩基度フラックスを添加して精錬を行い、その後、鋳造して鋳塊とすることが好ましい。
得られた高純度Fe−Cr(−W)合金の鋳塊は、1000〜1300℃に加熱後、800℃以上の温度で熱間圧延あるいは熱間鍛造等の熱間加工を行う。加工温度が800℃未満では、加工時に割れが発生し、歩留が大きく低下する。一方、加工温度が1300℃よりも高くなると、加工時の割れは発生しないものの、経済的ではない。そのため、熱間加工は、800〜1300℃の温度範囲で行うのが好ましい。
熱間加工により得られた加工品に対しては、温間加工や冷間加工での割れ防止や形状の確保を目的として、800〜1200℃の温度で熱処理(焼鈍)を行う必要がある。熱処理温度が800℃未満では、熱間加工品の再結晶が十分に起こらないため、結晶粒の大きさが不均一となったり、不均一変形のために割れが発生したりする。一方、1200℃を超える熱処理温度では、粗大結晶粒が生成して組織が不均一になり、その後の加工で、割れや加工形状の悪化を招く。そのため、熱間加工後の熱処理温度は、800〜1200℃とする。なお、熱処理の均熱時間は、30秒から10分程度であればよい。
熱処理を完了した熱間加工品には、さらに温間加工あるいは冷間加工を行い製品とする。ここで温間加工とは、100℃〜再結晶温度以下の温度範囲で行う加工のことを意味する。100℃未満の温度で冷間加工を行うと、例えば板圧延の場合、耳割れや板破断等が発生し易く、歩留が低下する傾向がある。そのため、100℃以上に加熱後に、加工を施すことが好ましい。なお、本発明に合致した条件で製造した加工品では、たとえ冷間圧延で耳割れが発生したとしても、その程度は軽度であり、エッジトリム(耳切り)することにより、大きな歩留まり低下を招くことなく製品化することができる。
上記、熱間加工、熱処理および温間あるいは冷間加工条件は、Fe−Cr合金の鋳塊だけでなく、Wを10mass%以下含有するFe−Cr−W合金の鋳塊に対しても適用することができる。すなわち、本発明の成分組成を有するFe−Cr合金鋳塊またはFe−Cr−W合金鋳塊に対して、適正な温度範囲で熱間加工を行い、適正な温度範囲で熱処理を施した後、適正な温度範囲で温間または冷間加工を施すことにより、高い生産性、高い歩留で耐食性、耐熱性に優れたFe−Cr(−W)合金製品を製造することができる。
なお、上記熱間加工および冷間加工には、板圧延、条鋼圧延、管圧延、鍛造の他、伸線加工、引抜き、押出し加工等あらゆる種類の加工が含まれる。また、本発明は、Fe−Cr(−W)の鋳塊を歩留まりよく熱間加工することができるので、熱間加工製品の製造にも、好適に適用できる。
表1に示す、Cr含有量が30〜80mass%で、O,P,S,C,Nを所定量含有したFe−Cr合金を、100kg真空誘導溶解炉を用い、CaOをスタンプした坩堝内で溶解した。溶解に際しては、まず原料が冷材の状態で、炉内を0.1torrのレベルまで真空引きした後、Arガスを導入してから、原料を加熱、溶解し、溶湯が目標温度に達した後、Al脱酸を行った。その後、CaAl合金を溶湯に添加して脱硫、脱燐を行い、さらにTiならびにNbを所定量添加した後、溶湯を鋳型に鋳造し、各90kgの鋳塊を得た。ここで、表1に示すHeat No.1〜9は、本発明に係る合金であり、Heat No.10〜13は、本発明の効果をみるための比較材である。得られたFe−Cr合金の90kg鋳塊を、表2に示す条件で、板厚5mmまで熱間圧延後、熱処理と表面の酸化スケール除去を行った後、温間圧延あるいは冷間圧延により板厚0.8mmまで圧延し製品板とした。なお、この製造過程において、板割れ、板破断および板反り等の不具合の発生有無を調査し、結果を表2に併せて示した。
表1,2から明らかなように、本発明の条件を満たす成分組成と加工条件、熱処理条件で製造した実験番号A〜Iでは、加工中に割れ等の不具合の発生も無く製品化することができた。ただし、冷間で圧延を行った実験番号A,D,Gでは、圧延時、板端部に数mm深さの耳割れが認められたが、エッジトリム(耳切り)することで製品化が可能であった。
これに対して、本発明で規定した成分組成を満たしても、熱間加工条件が本発明条件を外れる実験番号J,Kでは、熱延板に大きな割れが発生し、製品化は不可能であった。また、熱延後の熱処理温度が本発明条件を外れる実験番号L〜Nでは、割れ、破断、板反りが発生し、製品化できなかった。さらに、本発明の成分組成を満たさない実験番号O〜Rでは、加工条件を満たしても熱間加工時に大きな割れが発生したり、温間、冷間圧延中に板破断や表面割れが発生したりし、製品を得ることができなかった。
Figure 0004388323
Figure 0004388323
表3に示す、Cr含有量が30〜80mass%で、O,P,S,C,Nを所定量含有したFe−Cr−W合金を、実施例1と同様にして溶解し、各90kgの鋳塊を得た。ここで、表3に示すHeat No.14〜22は、本発明に係る合金であり、Heat No.23〜26は、本発明の効果をみるための比較材である。得られたFe−Cr−W合金の90kg鋳塊を、表4に示す条件で、板厚5mmまで熱間加工し、熱処理を施した後、温間圧延あるいは冷間圧延を行い板厚0.8mmの製品板とした。上記の製造過程における割れ等の不具合の発生状況を調査し、結果を表4に併せて示した。
表3,4から明らかなように,本発明の条件を満たす成分組成かつ加工、熱処理条件の実験番号AA〜IIでは、特に不具合の発生もなく製品化することができた。ただし、冷間で圧延を行った実験番号AA,DD,GGでは、冷延時に板端部に数mm深さの耳割れが認められたが、エッジトリムすることで、歩留はやや低下したものの製品化することができた。
これに対し、本発明の成分組成を満たしても、熱間加工条件が本発明条件を外れた実験番号JJ,KKでは,熱延板に大きな割れが発生し、製品を得ることができなかった。また、熱延後の熱処理温度が本発明条件を満たさない実験番号LL,MM,NNでは、割れ、破断、板反りが発生し、製品化できなかった。さらに、本発明の成分組成を満たさない実験番号OO,PP,QQ,RRでは、加工条件を満足しても、熱間加工時に大きな割れが発生したり、温間、冷間圧延中に板破断や表面割れが発生したりし、製品化できなかった。
Figure 0004388323
Figure 0004388323

Claims (2)

  1. Cr:30〜80mass%、
    sol.Al:0.01〜2.0mass%、
    Si:0.20mass%以下を含み、
    さらにCa,Ti,Nbを、それぞれ下記式(1),(2)を満足するよう含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなる合金の鋳塊を、800℃以上で熱間加工を行い、その後、800〜1200℃で熱処理を施した後、温間加工もしくは冷間加工することを特徴とする高純度Fe−Cr合金の製造方法。

    1.5×S+2.0×P≦Ca≦0.1 …… (1)
    10.0×(C+N)≦(Ti+Nb)≦0.7 …… (2)
    ここで、S,P,Ca,C,N,TiおよびNbは各元素のmass%値を示す。
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Wを10mass%以下含有することを特徴とする高純度Fe−Cr合金の製造方法。
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