JP3948056B2 - 板状濾材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はポリマー濾過用板状濾材、詳しくは主として金属繊維より構成され、重合体の製造時および紡糸、製膜などの成形時に使用される濾過精度に優れ濾圧上昇の小さい改良されたポリマー濾過用板状濾材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの重合時、及び重合されたこれらのポリマーを用いて製糸あるいは製膜などの成形を行う際にはポリマー中の異物を除去する目的で濾過が行われている。
【0003】
濾過の方法としては、一般に粒状のサンドを濾材として用い、サンド層を把持するための金網を併用する方法が多く用いられてきたが、近年では金属粒子を焼結して成型したもの、金属繊維を焼結して成型したもの、あるいはこれらを積層したものなど濾材そのものを板状に成型した板状濾材が多く用いられている。このうち、金属繊維からなる濾材、特に不織布状の細い金属繊維を焼結して得られる板状濾材は3次元的に金属繊維がランダムに且つ密に圧縮積層されており、ポリマー中の異物除去性能が高く、他の濾材と比較して濾圧も小さいことからポリマー用濾材として最近多く使用されている。このような板状濾材を使用し、製糸などの成形を安定に行うためには板状濾材にはより精度が高く(絶対濾過径が小さく)、また経時的な濾圧上昇が小さいという特性を有することが要求される。この要求に応えるために、例えば特開昭62−125013号公報では、ポリエステルの紡糸パック内で使用するステンレススチール繊維からなる不織布濾材の絶対濾過径を巻き取り糸条の単繊維繊度にあわせて設定することにより濾圧の上昇を抑制する方法が記載されている。しかし、該公報に記載されている方法は単に紡糸に使用する濾材の選択に当たり、要求される精度以上に高度な濾材を使用することによって生じる不必要な濾圧上昇トラブルを回避ための濾材の選択方法を述べているにすぎず、より高い製糸安定性を目指して濾過を強化した際の濾圧の上昇に対して何ら解決のための方法を示唆するものではない。
【0004】
他の例として、特開平4−174706号公報には圧縮強度が大きく、濾圧による圧縮変形を受けにくいステンレススチール不織布からなる濾材が記載されている。かかる濾材を使用すると濾材の圧縮変形に起因する濾圧の上昇については抑制できるものの、濾圧上昇要因の本質である濾材中の異物による濾圧の上昇を抑制する効果は期待できない。
【0005】
このように絶対濾過精度の高い金属不織布濾材を用いてポリマーなどの濾過を行う際に生じる濾圧の上昇を、濾過精度を損ねることなく抑制する手法については知られていないのが現状であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは従来の主にステンレススチールが使用されている焼結された金属不織布濾材を用いたポリマーの濾過において、経時的に濾圧上昇が起こる原因について鋭意検討を行った。その結果、かかる濾圧上昇の原因としては従来より知られている捕捉異物、具体的にはポリマーの熱劣化物や非溶解物あるいは重合工程で添加される各種添加物、触媒残渣やその凝集物がポリマーとともに流れてきて濾材上あるいは濾材内部で捕捉されたもの以外に、多くの場合において濾材を形成する金属繊維表面において、金属繊維表面上に析出する形で異物が生成、成長し、濾圧上昇の原因となっていることを見いだした。すなわち、ポリマー中に存在していた固体異物以外に濾材自身が異物生成箇所となり、濾材を構成する金属繊維表面で生成した異物により空隙率や空孔径が小さくなり濾圧の上昇につながることを見いだしたのである。金属繊維表面で発生する異物は金属繊維の比表面積が大きいほど、すなわち、繊維径の小さな高精度濾過用の濾材ほど発生しやすく、さらにこのような繊維径の小さな濾材では空孔径が小さいため異物成長による濾圧が顕著に上昇することから大きな問題となる。
【0007】
また、異物を除去すべき濾材自身が異物生成源となることは濾材で発生した異物が脱落して下流部へ流出する可能性を含んでおり、濾材の本来の目的である異物除去の観点からも問題である。
【0008】
このことから、本発明者らは特に濾過精度の高い濾材の濾圧上昇を抑制し、経時的に安定な濾過を行うためには単に使用する金属繊維の径やその充填率を最適化するだけでは不十分であり、金属繊維表面での異物生成を抑制する必要があるとの結論に達したのである。
【0009】
本発明の目的はこのように従来の金属繊維を使用したポリマー濾過で問題であった、高精度な濾過における経時的圧力上昇を抑制し、濾過特性と濾材寿命を向上させる改良された金属繊維よりなるポリマー濾過用板状濾材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明は次の構成を有する。すなわち、差圧30mmH2O時における通気量が0.5〜10L/cm2/minである主として金属繊維よりなるポリマー濾過用板状濾材において、金属繊維の表面が実質的に耐熱性樹脂で被覆されていることを特徴とするポリマー濾過用板状濾材である。
【0011】
本発明はポリマー濾過用板状濾材を構成する金属繊維の表面を耐熱性に優れる樹脂で被覆することによりポリマーと金属繊維表面との接触を絶ち、金属とポリマーの反応による金属繊維表面における異物生成を抑制するものであり、本発明の効果が良好に発揮されるのは通常濾圧上昇が生じやすい濾過精度の高いポリマー濾過用板状濾材についてである。濾過精度の目安として通気量を用いた場合の、本発明の効果が良好に発揮されるための通気量範囲としては差圧30mmH2O時において0.5〜10L/cm2/minであることが必要であり、好ましくは0.7〜7L/cm2/minさらに好ましくは1〜5L/cm2/minである。通気量が10L/cm2/minを越えるポリマー濾過用板状濾材では繊維間隙が大きく、金属繊維上への析出物などによる濾圧上昇がもともと生じにくいため得られる効果が小さくなる。一方、通気量が0.5L/cm2/min未満のポリマー濾過用板状濾材では処理し得るポリマー量が少なくなる。
【0012】
かかる本発明の効果が良好に発揮されるポリマー濾過用板状濾材の濾過精度は、処理し得るポリマー量が少なくなるのを防ぐ一方、一定の濾過効果を奏させる観点から、JISB 8356に記載の方法で測定して3μm以上50μm以下、さらには5μm以上30μm以下とするのが好ましい。本発明のポリマー濾過用板状濾材に使用される金属繊維の金属種としては各種ステンレス素材のほかニッケル、クロムなどを使用することができ、特に限定されるものではないが、硬度が高く細い繊維径のものが安定に得られることからステンレス素材が好ましい。
【0013】
より高い濾過精度と長い寿命を達成するために、金属繊維よりなるポリマー濾過用板状濾材は焼結された金属繊維不織布であることが好ましい。焼結された金属繊維不織布は単一の構成を有するものであってもよいが、さらに濾過精度と寿命を向上するために金属繊維不織布として繊維径および/または空隙率の異なる複数枚の金属繊維不織布層の積層体を使用することが好ましい。また、金属繊維不織布はその片面あるいは両面に予備濾過あるいは金属繊維不織布の保護、補強などの目的で金網状濾材を積層して使用してもよい。濾過精度の高いポリマー濾過用板状濾材の方が本発明の効果を良好に得やすいことは上述した通りであるが、処理し得るポリマー量が少なくなるのを防ぐ一方、一定の濾過効果を奏させる観点から、ポリマー濾過用板状濾材として金属繊維不織布を使用する場合にはその平均繊維径が、繊維径の異なる複数枚の金属繊維不織布を積層して使用する場合には濾材を構成する層のうち、最も繊維径の小さな金属繊維不織布層を構成する繊維の平均径を5〜30μm、さらには8〜25μmとするのが好ましい。
【0014】
ポリマー濾過用板状濾材に使用される金属繊維不織布の空隙率としては、目詰まりによる濾圧上昇を防ぐ一方、金属繊維不織布の圧縮強度が低下し、濾過中の濾圧によって変形しやすくなるのを防ぐ観点から、60〜90%、さらには70〜85%とするのが好ましい。
【0015】
ポリマー濾過用板状濾材の厚さ、目付量については目的に応じて適宜選択され得るものであるが、本発明においては、高い濾過精度と長寿命とを両立させる一方、製造コストが高くなる割に性能の向上が得られにくくなるのを防ぐ観点から、厚さ0.2〜4mm、目付量400〜6000g/cm2、さらには、厚さ0.4〜3mm、目付量500〜4000g/cm2とするのが好ましい。
【0016】
また、上記より明らかなように濾過にポリマー濾過用板状濾材を使用していてもポリマー濾過用板状濾材が実質的に濾過精度を決定していないような場合、例えば主たる濾材として粒状濾材を使用し、粒状濾材の流出を防止する目的で粒状濾材の下流側に補助的にポリマー濾過用板状濾材が用いられている場合(通常ポリマー濾過用板状濾材としては通気量が10L/cm2/min以上のものが使用される)などでは本発明の効果は得られにくい。
【0017】
本発明のポリマー濾過用板状濾材においては、ポリマー濾過用板状濾材を構成する金属繊維の表面が実質的に耐熱性の樹脂で被覆処理されている必要がある。これにより金属繊維表面とポリマーとの反応が阻害され、金属繊維表面とポリマーとの反応による異物生成の抑制および生成異物による濾圧上昇の抑制が可能になる。
【0018】
ナイロン、ポリエステルなどのポリマーの溶融成型は通常250〜300℃の高温で行われるため、金属繊維表面の被覆に使用される樹脂は十分な耐熱性を有する必要がある。使用される樹脂の耐熱性としては300℃以下に融点を有さないことが必要であり、さらには実質上融点を有さない架橋性の樹脂を使用することが好ましい。融点以外の耐熱性の指標としては熱減量が挙げられるが、必要に応じて加熱などにより架橋を行った後、さらに300℃で24時間の熱処理を行った際、熱処理の前後における重量減率が30%以下の樹脂が本発明の耐熱性樹脂としては好ましく、このような樹脂として、具体的には耐熱性樹脂としてシリコーン樹脂、ポリイミド樹脂が好適に使用できる。
【0019】
本発明に使用するシリコーン樹脂は耐熱性を有し、安定に被膜を形成できるものであれば特に限定されるものではなく、メチル系シリコーンレジン、フェニル系シリコーンレジン、シリコーン変性レジン、アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、メチル水素シリコーンなどを使用することができる。シリコーン樹脂の被膜はシリコーン樹脂を溶解あるいはエマルジョンとして含む溶液を塗布あるいは吹き付けるか、または溶液中にポリマー濾過用板状濾材を浸漬した後乾燥、必要に応じて加熱架橋することによって得られる。
【0020】
ポリイミド樹脂を被膜するには、ポリアミック酸の溶液をシリコーン樹脂の場合と同様の方法でポリマー濾過用板状濾材に塗布し、乾燥後熱処理する事によって得られる。本発明で使用されるポリアミック酸も特にその組成が限定されるものではないが、ポリアミック酸を構成するジアミン成分としては例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどが挙げられ、酸二無水物成分としてはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
【0021】
被膜の厚さは、均一な膜形成を容易とするとともに、部分的に金属繊維表面とポリマーとの隔離が不十分になるのを防ぐ一方、被覆した膜によって初期濾圧が高くなるのを防ぐ観点から、0.01〜3μm、さらには0.02〜1μmが好ましい。好ましい厚さの膜を金属繊維表面に形成することができた場合には、初期濾圧の上昇をほとんど生じることなく、金属繊維上での異物生成による濾圧の上昇を効果的に抑制することが可能になる。
【0022】
ポリマー濾過用板状濾材が複数の層から構成される場合には、その全ての層に耐熱性樹脂の被覆を行うことが好ましいが、特定の層のみに被覆処理を行ってもよい。この際には濾過精度が高く、全体の濾過精度を決定する層の被覆処理を行うことが必要であり、例えばポリマー濾過用板状濾材が金属繊維不織布と粗い金網の積層体のような場合には少なくとも通常濾過精度を決定する層である金属繊維不織布層に被覆処理が施されていなければならない。
【0023】
本発明のポリマー濾過用板状濾材はフラットなディスク形状のフィルターとして使用されてもよいし、他のさまざまな形に成型されてもよい。ポリマー濾過用板状濾材が成型される形状としてはリーフディスク形状、円筒形状、プリーツ付き円筒形状などが挙げられる。
【0024】
本発明のポリマー濾過用板状濾材を使用後洗浄し、再使用する場合には洗浄の度に被膜形成処理を施してもよいし、洗浄後も安定に被膜が残っている場合には毎回被膜形成処理を行うことなく、繰り返し使用することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本明細書中に記載した特性などの測定方法は以下の通りである。
【0026】
(1)硫酸相対粘度
試料2.5gを98%硫酸25ccに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定する。
【0027】
(2)極限粘度
試料8gをオルソクロロフェノール100mlに溶解し、その溶液粘度(η)をオストワルド粘度計を用いて25℃で測定し、次の式から極限粘度(IV)を算出する。
【0028】
IV=0.0242η+0.2634
(3)濾圧
ポリマー濾過用板状濾材上流側の静圧を隔膜式圧力計で測定する。
【0029】
(4)通気量
ポリマー濾過用板状濾材(測定面70mmφ)にポリマー濾過用板状濾材の両側の圧力差をマノメーターで計測しながら濾材に空気を通過させ、マノメーターの示す圧力差が30mmH2O時における通気量(L/cm2/min)を測定する。
【0030】
[実施例1]メチル系シリコーンレジン(東レ・ダウコーニングシリコーン製SR2400)をトルエンで固型分濃度0.2%に希釈した溶液に、直径25mm、長さ600mmの筒状に成型され、ステンレス不織布を主濾材として使用したポリマー濾過用板状濾材を30秒間浸漬した後風乾し、180℃のオーブン中で30分キュアすることにより金属繊維の表面がシリコーン樹脂で被覆されたポリマー濾過用板状濾材を得た。差圧30mmH2Oにおける通気量は3.2L/cm2/minであった。ポリマー濾過用板状濾材の構成、処理前後のポリマー濾過用板状濾材の諸特性を表1に示す。
【0031】
【表1】
重合触媒として三酸化アンチモン300ppm、リン酸150ppmを使用してポリエチレンテレフタレートの連続重合を行い、連続重合装置の最終段に得られたポリマー濾過用板状濾材を使用して重合されたポリエチレンテレフタレートの連続濾過を行った。重合後のポリマーのIVは0.70であり、色調調整のための無機粒子添加は行わなかった。ポリマー濾過用板状濾材を通過するポリマー量は1日、ポリマー濾過用板状濾材1本当たり200kgであった。
【0032】
重合開始直後と重合開始30日後、60日後の濾圧を表2に示す。
【0033】
表面が樹脂被覆されたポリマー濾過用板状濾材を使用することにより、濾圧の上昇が小さく、さらに長期間にわたって安定な重合を行うことができた。
【0034】
【表2】
[比較例1]表面に樹脂被覆を行なわない以外は、実施例1と同じポリマー濾過用板状濾材を使用して実施例1と同じ装置を使用し同じ条件でポリエチレンテレフタレートの連続重合・濾過を行った。重合開始直後と重合開始30日後の濾圧を表2に併せて示す。樹脂被覆処理を行っていないポリマー濾過用板状濾材を使用した場合には濾圧の上昇が大きく、30日以上の連続重合・濾過を行うことができなかった。
【0035】
[実施例2]フェニル系シリコーンレジン(東レ・ダウコーニングシリコーン製SH840)をトルエンで固型分濃度0.3%に希釈した溶液に、直径150mmの平板状のステンレス不織布を主濾材として使用したポリマー濾過用板状濾材を30秒間浸漬した後風乾し、180℃のオーブン中で30分キュアすることにより金属繊維の表面がシリコーン樹脂で被覆されたポリマー濾過用板状濾材を得た。差圧30mmH2Oにおける通気量は2.1L/cm2/minであった。ポリマー濾過用板状濾材の構成、処理前後のポリマー濾過用板状濾材の諸特性を表1に併せて示す。
【0036】
得られたポリマー濾過用板状濾材を使用し、色調調整のための無機粒子を含まないIV=1.20のポリエチレンチレフタレートの溶融紡糸を実施した。フィルターを通過するポリマー量は1日当たり720kgであった。
【0037】
紡糸開始直後と紡糸開始7日後、14日後の濾圧を表3に示す。
【0038】
表面が樹脂被覆されたポリマー濾過用板状濾材を使用することにより、濾圧の上昇が小さく、さらに長期間にわたって安定な紡糸を行うことができた。
【0039】
【表3】
[比較例2]表面に樹脂被覆を行なわない以外は、実施例2と同じポリマー濾過用板状濾材を使用して実施例2と同じ装置を使用し同じ条件でポリエチレンテレフタレートの紡糸を行った。
【0040】
紡糸開始直後と紡糸開始7日後の濾圧を表3に併せて示す。
【0041】
樹脂被覆処理を行っていないポリマー濾過用板状濾材を使用した場合には濾圧の上昇が大きく、7日以上の連続紡糸を行うことができなかった。
【0042】
[実施例3]メチル水素シリコーン(東レ・ダウコーニングシリコーン製SH1107)をイソプロピルアルコールで固型分濃度0.5%に希釈した溶液に、直径150mmのステンレス不織布を主濾材として使用した平板状のポリマー濾過用板状濾材を30秒間浸漬した後風乾し、180℃のオーブン中で30分キュアすることにより金属繊維の表面がシリコーン樹脂で被覆されたポリマー濾過用板状濾材を得た。差圧30mmH2Oにおける通気量は2.8L/cm2/minであった。ポリマー濾過用板状濾材の構成、処理前後のポリマー濾過用板状濾材の諸特性を表1に併せて示す。
【0043】
得られたポリマー濾過用板状濾材を使用し、酸化防止剤としてヨウ化銅を300ppm含み、色調調整のための無機粒子を含まない硫酸相対粘度3.6のナイロン6,6の溶融紡糸を実施した。フィルターを通過するポリマー量は1日当たり500kgであった。
【0044】
紡糸開始直後と紡糸開始7日後、14日後の濾圧を表3に併せて示す。
【0045】
表面が樹脂被覆されたポリマー濾過用板状濾材を使用することにより、濾圧の上昇が小さく、さらに長期間にわたって安定な紡糸を行うことができた。
【0046】
[実施例4]ポリイミドワニス(東レ(株)製トレニース#3000)をN-メチル-2-ピロリドン固型分濃度0.3%に希釈した溶液に、実施例3と同じポリマー濾過用板状濾材30秒間浸漬した後風乾し、180℃のオーブン中で30分キュアすることにより金属繊維の表面がポリイミド樹脂で被覆されたポリマー濾過用板状濾材を得た。差圧30mmH2Oにおける通気量は2.8L/cm2/minであった。得られたポリマー濾過用板状濾材を使用して実施例3と同じ装置を使用し同じ条件でナイロン6,6の溶融紡糸を行った。
【0047】
紡糸開始直後と紡糸開始7日後、14日後の濾圧を表3に併せて示す。
【0048】
表面が樹脂被覆されたポリマー濾過用板状濾材を使用することにより、濾圧の上昇が小さく、さらに長期間にわたって安定な紡糸を行うことができた。
【0049】
[比較例3]表面に樹脂被覆を行なわない以外は、実施例3と同じポリマー濾過用板状濾材を使用して実施例3と同じ装置を使用し同じ条件でナイロン6,6の溶融紡糸を行った。
【0050】
紡糸開始直後と紡糸開始7日後の濾圧を表3に併せて示す。
【0051】
樹脂被覆処理を行っていないポリマー濾過用板状濾材を使用した場合には濾圧の上昇が大きく、7日以上の連続紡糸を行うことができなかった。
【0052】
【発明の効果】
本発明の表面が耐熱性樹脂で被覆された金属繊維からなるポリマー濾過用板状濾材を用いることによって、金属繊維表面とポリマーの反応を抑制し、金属繊維表面とポリマーの反応により生成する異物による濾圧上昇や生成異物の脱落による製品への混入を低減することができる。その結果、高効率の濾過を長期間にわたって安定に行うことが可能になる。
Claims (10)
- 差圧30mmH2O時における通気量が0.5〜10L/cm2/minである主として金属繊維よりなるポリマー濾過用板状濾材において、金属繊維の表面が実質的に耐熱性樹脂で被覆されていることを特徴とするポリマー濾過用板状濾材。
- 金属繊維表面を被覆している耐熱性樹脂がシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリマー濾過用板状濾材。
- 金属繊維表面を被覆している耐熱性樹脂がポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリマー濾過用板状濾材。
- 金属繊維よりなるポリマー濾過用板状濾材が焼結された金属繊維不織布であることを特徴とする請求項1に記載のポリマー濾過用板状濾材。
- 金属繊維よりなるポリマー濾過用板状濾材が焼結された金属繊維不織布と金網状濾材の積層体であることを特徴とする請求項1に記載のポリマー濾過用板状濾材。
- 焼結された金属繊維不織布が、繊維径および/または空隙率の異なる複数枚の金属繊維不織布層の積層体であることを特徴とする請求項4または5に記載のポリマー濾過用板状濾材。
- 最も繊維径の小さな金属繊維不織布層を構成する繊維の平均径が5〜30μmであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のポリマー濾過用板状濾材。
- リーフディスク形状に成形されたことを特徴とする請求項1に記載のポリマー濾過用板状濾材。
- 円筒形状に成形されたことを特徴とする請求項1に記載のポリマー濾過用板状濾材。
- プリーツ付き円筒形状に成形されたことを特徴とする請求項1に記載のポリマー濾過用板状濾材。
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