JP3946345B2 - セグメント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相互に連結することにより、掘削穴の軸方向に沿ってトンネル壁体を構築するセグメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネルを構築する方法としては、掘削穴の内面側にセグメント(主にコンクリート製あるいはスチール製)を組み立てて筒状壁体(トンネル壁体)を構築する、いわゆるシールド工法が一般的である。
このシールド工法に用いられるセグメントとしては平面視長方形状で円弧版状のものが主流であり、まず、掘削穴の掘削現場近くの置き場に搬入した後、トンネル壁体の施工進行に伴って順次、施工現場に送り込み、セグメント同士をボルトによって接合してトンネル壁体を組み立てていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、コンクリート製セグメントは、型枠内にコンクリートを打設して製造され、型枠は消耗品となっている。トンネル壁体を構築するには、多数のセグメントを使用することとなるが、コンクリート製セグメントを製造するために、多数の型枠が必要となり、これがコスト上昇の原因になっていた。周知のように、コンクリート打設用の型枠は、繰り返し使用に不向きであるものが一般的であり、繰り返し使用が可能なものであっても、繰り返し使用数に限界がある上、価格が高いため、いずれにしても低コスト化が困難であった。
また、コンクリート製セグメントは、重量が大きいため、トンネル壁体の構築現場への搬入に手間がかかるといった問題もあった。
【0004】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、軸方向端面パネル、周方向端面パネル、底板パネルを型枠として、その内側にコンクリートが打設されるコンクリート打設空間を備えたことにより、別途、型枠を使用する必要が無くなり、低コスト化が可能になるセグメントを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、互いの接合端面同士を合わせた状態で接合されることにより、トンネル壁体を構成するセグメントであって、前記トンネル壁体の軸方向への接合端面を形成する一対の軸方向端面パネルと、前記トンネル壁体の周方向への接合端面を形成する一対の周方向端面パネルと、これら軸方向端面パネルおよび周方向端面パネルを枠状に組み上げてなるセグメント枠体の、前記トンネル壁体の外面あるいは内面に対応する位置を閉塞する底板パネルと、前記セグメント枠体および前記底板パネルによって囲まれた内側に形成され、コンクリートが打設されるコンクリート打設空間とを備え、軸方向両側の軸方向端面パネルの互いに対応する位置には、先端に成形された一方の係合端部と、該一方の係合端部と対向する反対側に成形された他方の係合端部とを備える長尺の接合部品が挿通される接合部品挿入孔が開口され、これら接合部品挿入孔に前記接合部品を挿通し、前記他方の係合端部を前記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートの前記接合部品挿入孔に露出する露出面に当接させて、前記接合部品のそれ以上の挿入を規制するとともに、前記一方の係合端部を、前記軸方向端面パネルに別途設けた係合部に挿入し、前記接合部品を回転して前記一方の係合端部が前記係合部内で係合することによって、互いに接合されるようになっていることを特徴とするセグメントを前記課題の解決手段とした。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のセグメントにおいて、前記軸方向端面パネルおよび前記周方向端面パネルの、一方に形成したホゾ部を他方に形成したアリ溝に挿入、係合させることで前記セグメント枠体が組み立てられることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のセグメントにおいて、周方向一側の周方向端面パネルと、周方向他側の周方向端面パネルとが、軸方向への挿入作業によって互いに嵌合される周方向継手によって互いに接合されるようになっていることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の1実施形態を、図1から図9を参照して説明する。
図1において、本実施形態のセグメント1は、軸方向、周方向に接合されることにより、円形筒状のトンネル壁体を構成するものである。
このセグメント1は、トンネル壁体の軸方向(図1中、紙面奥行き方向)への接合端面を形成する一対の軸方向端面パネル2、3と、前記トンネル壁体の周方向への接合端面を形成する一対の周方向端面パネル4、5とを枠状に組み上げてなるセグメント枠体6を備えている。このセグメント枠体6は、前記トンネル壁体の内面に対応する位置が底板パネル7によって閉塞され、その内側に、コンクリートが打設されるコンクリート打設空間8を備えている。そして、このセグメント1は、コンクリート打設空間8にコンクリートが打設されることで、全体として円弧版状に成形される。軸方向端面パネル2、3は、トンネル壁体の周方向に沿って湾曲している。
【0007】
軸方向端面パネル2、3と、周方向端面パネル4、5との間は、軸方向端面パネル2、3の周方向両端部に突設したホゾ部21を、周方向端面パネル4、5の軸方向両端部に形成したアリ溝22に嵌合して連結している。したがって、セグメント枠体6は、ボルト等の別部品を使用すること無く、簡便に組み立てることが可能であり、トンネル壁体の施工現場近くでの組み立ても可能である。
また、底板パネル7も、図示しない継手によって、セグメント枠体6に取り付けられる。この底板パネル7を取り付けるための継手も、ホゾ部とアリ溝の嵌合を利用したものを採用することで、ボルト等の別部品を使用すること無く、簡便な作業によって取り付けが可能である。
【0008】
本実施形態では、軸方向端面パネル2、3、周方向端面パネル4、5、底面パネル7は、いずれも、コンクリート製パネルであるが、本発明では、これに限定されず、肉厚の鋼板、鋼板と他の素材とからなる複合材料からなるパネル等、各種構成が採用可能である。また、コンクリート製パネルでは、コンクリート打設空間8に打設したコンクリートとの間に十分な定着性を容易に確保できる上、安価に製造できる利点がある。
【0009】
一方の軸方向端面パネル2の周方向両端部には、長尺の接合部品9が挿通される接合部品挿入孔2a、2bを開口、形成し、他方の軸方向端面パネル3の周方向両端部にも、前記接合部品9が挿通される接合部品挿入孔3a、3bを開口、形成している。軸方向両側の軸方向端面パネル2、3の接合部品挿入孔2a、3a同士、2b、3b同士は、互いに対応する位置に形成されており、軸方向に連通している。
また、軸方向端面パネル2の周方向両端部には、接合部品9先端の係合端部9aが挿入、係合される係合部10a、10bを、前記接続部品挿入孔2a、2bに対してずれた位置、すなわち、図1においては、接合部品挿入孔2a、2bの間に備えている。
【0010】
図2は、セグメント1を示す平面図、図3は接合部品挿入孔2aおよび係合部10aの近傍を示す正面図、図4は図3のA−A線断面矢視図である。なお、図2、図3、図4は、いずれもコンクリート打設空間8にコンクリート8aを打設した状態を示す。また、コンクリート打設空間8に配筋された鉄筋は、図示を省略している。
図2、図3、図4において、係合部10aは、軸方向端面パネル2に開口された接合部品挿入孔11と、軸方向端面パネル2のセグメント1内面側にて、前記接合部品挿入孔11を覆うようにして取り付けられた収納部品12とを備えている。収納部品12は、前記接合部品挿入孔11からセグメント1内側に挿入された接合部品9先端の係合端部9aを収納する収納空間12aを形成している。
【0011】
接合部品9先端の係合端部9aは、楕円状に成形された突起であり、前記接合部品挿入孔11は、前記係合端部9aの外形にほぼ一致する楕円状に形成されている。収納部品12は、金属等から有底円筒状に形成され、セグメント1内部にて、コンクリート打設空間8へ打設したコンクリート8aが侵入しない、収納空間12aを形成する。そして、図4に示すように、前記接合部品挿入孔11から収納空間12a内に挿入した係合端部9aを、前記収納空間12a内にて90゜回転させると、図4中仮想線に示すように、この係合端部9aが、接合部品挿入孔11の周囲の軸方向端面パネル2に係合することとなり、接合部品9が引き抜き不可能となる。また、再度、係合端部9aを回転して接合部品挿入孔11に一致させると、接合部品9の引き抜きが許可される。
なお、係合部10bも、係合部10aと同様の構成であり、接合部品挿入孔11と、収納部品12とを備えている。
【0012】
図2、図3中符号13は、接合部品誘導パイプであり、コンクリート打設空間8内にて、接合部品挿入孔2a、3a間を連結するようにして架設している。この接合部品誘導パイプ13は、接合部品9先端の係合端部9aが挿入可能な楕円状断面を有し、接合部品挿入孔2aから挿入された係合端部9aを接合部品挿入孔3aへ導く。なお、この接合部品誘導パイプ13は、コンクリート打設空間8への配筋等によって、所定位置に支持され、打設されたコンクリート8a内に埋設固定される。
【0013】
図5は、図3のB−B線断面矢視図、図6は、図3のC−C線断面矢視図である。
図2、図3、図5、図6において、接合部品挿入孔2aは円形穴であり、接合部品誘導パイプ13の端部を露出、開口させている。また、この接合部品挿入孔2aには、前記コンクリート打設空間8に打設されたコンクリート8aが、前記接合部品誘導パイプ13の上下両側に露出している。図3および図6に示すように、この接合部品挿入孔2aに露出するコンクリート8aの露出面14には、楕円状の接合部品誘導パイプ13の長軸Lの両端近傍から、前記長軸Lの中央部近傍に突設した突出部14aへ向けて、セグメント1の外方への突出量が次第に増大する傾斜部14bを形成している。この露出面14は、コンクリート打設空間8へのコンクリート8aの打設時の型形状、あるいは、コンクリート8aの打設後の切削等の加工等によって形成される。
【0014】
図2において、前記軸方向端面パネル3の接合部品挿入孔3aは、接合部品挿入孔2aと同様の円形穴であり、接合部品誘導パイプ13の端部、およびコンクリート打設空間8に打設されたコンクリート8aの一部が露出される。但し、この接合部品挿入孔3aに露出するコンクリート8aには、接合部品挿入孔2aに露出するような突出部14a、傾斜面14bを形成する必要は無く、露出面は平坦であっても良い。
【0015】
図2中矢印Dに示すように、セグメント1の接合部品挿入孔2a、3a、接合部品誘導パイプ13に挿入、連通させた接合部品9先端の係合端部9aを、前記セグメント1の軸方向に接合された別のセグメント1の係合部10bの接合部品挿入孔11に挿入すると、接合部品9の前記係合端部9aに対して対向する反対側の係合端部9bが、露出面14に当接して、接合部品9のそれ以上の挿入が規制される。なお、係合端部9bは、反対側の係合端部9aよりも大きく、接合部品誘導パイプ13を通過できないようになっている。
次いで、図3中矢印Eに示すように、接合部品9を90゜回転すると、この接合部品9の一方の係合端部9aが、係合部10b内にて回転して軸方向端面パネル2に係合し、他方の係合端部9bが、傾斜部14bに沿って移動し、突出部14aに乗り上げる。これにより、接合部品9によって、セグメント1、1間の軸方向への締結力が与えられ、セグメント1、1同士が軸方向に強固に接合される。
【0016】
図1に示すように、セグメント1、1同士の周方向の接合は、一方のセグメント1の周方向端面パネル4に形成した周方向嵌合溝4aと、他方のセグメント1の周方向端面パネル5に形成した周方向嵌合溝5aとを、共に、継手部品15と嵌合することでなされる。継手部品15は、請求項3記載の周方向継手に相当する。
図7は、周方向端面パネル4の周方向嵌合溝4aと、継手部品15とを示す。
図7において、周方向嵌合溝4aは、周方向端面パネル4の軸方向に延在し、周方向端面パネル4の軸方向一端部(図7中紙面手前)から軸方向中央部に到達している。しかも、この周方向嵌合溝4aは、周方向端面パネル4の軸方向一端部から奥側(軸方向中央部)へ行くにしたがって、次第に、開口幅(図7中上下寸法)が狭くなるテーパ状になっている。
【0017】
継手部品15は、周方向嵌合溝4aと一致する長さを有する細長楔状であり、軸方向一端部(図7中紙面手前)から軸方向他端部へ行くにしたがって次第に厚さ寸法(図7中上下)が縮小するテーパ状の嵌合本体部15aと、この嵌合本体部15aの全長に亘って、その両側に突設された係合フランジ部15b、15cとを備えている。嵌合本体部15aは、周方向端面パネル4の軸方向一端部から周方向嵌合溝4aの奥まで挿入すると、その全長が周方向嵌合溝4aと嵌合し、これに継手部品15が周方向嵌合溝4aに嵌合、固定される。ここで、嵌合本体部15aの両側の係合フランジ部15b、15cは、周方向端面パネル4を挟み込むようにしてその周方向両側に対向配置されるため、周方向嵌合溝4aへの継手部品15の挿入、嵌合は、両係合フランジ部15b、15cによってガイドされつつスムーズになされ、しかも、挿入、嵌合の完了時には、安定な嵌合状態が得られる。
なお、継手部品15の素材としては、コンクリートや鋼材等、十分な剛性を有するものが採用される。
【0018】
継手部品15を周方向嵌合溝4aに嵌合した時に、周方向端面パネル4から周方向外側(図7中左側)に突出される係合フランジ部15cは、嵌合本体部15aから厚さ方向(図7中上下)に末広がりのテーパ状になっている。しかも、この係合フランジ部15cは、軸方向一端部(図7中紙面手前)から他端部方向へ行くへしたがって、次第に厚さ寸法が縮小するテーパ状になっている。
【0019】
図8は、周方向端面パネル4に対向する周方向端面パネル5の周方向嵌合溝5a近傍を示す。
図8において、周方向嵌合溝5aは、継手部品15の係合フランジ部15cの外形と適合するテーパ状になっている。すなわち、この周方向嵌合溝5aは、周方向端面パネル5の軸方向一端部(図8中紙面手前)から軸方向中央部に亘って延在し、奥側(軸方向中央部)方向へ行くにしたがって、次第に開口幅(図8中上下)が縮小するテーパ状になっている。したがって、この周方向嵌合溝5aは、挿入された継手部品15と嵌合するようになっている。
図1に示すように、セグメント1、1同士の周方向端面パネル4、5を位置決めして当接すると、周方向嵌合溝4a、5a同士が連通する。そして、この連通された周方向嵌合溝4a、5aに継手部品15を嵌合すると、嵌合本体部15aが周方向嵌合溝4a内に収納され、係合フランジ部15cが周方向嵌合溝5a内に収納され、それぞれ嵌合する。
【0020】
図9は、セグメント1を接合して施工される円筒状のトンネル壁体20の一例を示す展開図である。
図9において、このトンネル壁体20は、セグメント1を軸方向および周方向に接合して構築される。トンネル壁体20の周方向は、複数のセグメント1を接合するとともに、最後に楔状のセグメント1aを、図9中矢印Fに示すように、軸方向に押し込むようにして接合することで、周方向に連続するリング体20Aが構築され、しかも、リング体20Aを構成するセグメント1、1a間には、前記セグメント1aによって圧縮力が与えられる。
なお、セグメント1は、コンクリート打設空間8にコンクリート8aの打設の完了したものを使用する。セグメント1aについても同様に、コンクリートの打設の完了したものを使用する。コンクリート8a打設前に、コンクリート打設空間8への鉄筋の配筋とともに、接合部品誘導パイプ13や、収納部品12等(図2参照)の設置も行う。
【0021】
このトンネル壁体20は、既設のセグメント1、1aに対して、新たなセグメント1、または1aを、矢印Fと同じ軸方向に接合して、順次、新たなリング体20Aを構築していくことで、構築される。矢印Fの方向は、トンネル壁体20の構築方向とは逆になっている。
なお、リング体20A、20A間では、軸方向に隣接するセグメント1間は、周方向にずらされ、千鳥状になっている。
【0022】
リング体20A間のセグメント1、1同士の軸方向への接合は、接合部品9によってなされる。
すなわち、図2に示すように、既設のセグメント1(図2中上側)に対して位置決めしたセグメント1(図2中下側)に露出、開口されている接合部品挿入孔2a、2bに、接合部品9を挿入し、接合部品誘導パイプ13、接合部品挿入孔3aを介して、接合部品9先端の係合端部9aを、既設のセグメント1の係合部10b、10aの接合部品挿入孔11から収納空間12内に挿入する。そして、この接合部品9を90゜回転させることで、セグメント1、1間に接合力を与える。接合部品挿入孔2aから挿入した接合部品9の係合端部9aは、既設のセグメント1の係合部10bに挿入係合され、接合部品挿入孔2bから挿入した接合部品9の係合端部9aは、既設のセグメント1の係合部10aに挿入係合される。
【0023】
リング体20Aを構成するセグメント1、1間の周方向への接合は、前述の継手部品15を介してなされる(図9中図示せず。図1参照)。
具体的に説明すると、例えば、先行して設置、固定したセグメント1の周方向端面パネル4に対して、このセグメント1に対して周方向に接合する別のセグメント1の周方向端面パネル5を突き合わせるようにして当接し、これら周方向端面パネル4、5の周方向嵌合溝4a、5aを連通させ、これら、連通された周方向嵌合溝4a、5aに、継手部品15を挿入、嵌合する。これにより、セグメント1、1間に、周方向の接合力が与えられ、強固に接合される。なお、先行して設置したセグメント1の周方向端面パネル4に、次のセグメント1を接合する場合について説明したが、逆に、周方向端面パネル5に、次のセグメント1を接合する場合も同様である。
なお、セグメント1、1a間の周方向への接合も、セグメント1、1間と同様に、軸方向へのセグメント1または1aの移動によって嵌合する継手を介してなされる。
【0024】
このように、このトンネル壁体20の構築は、接合部品9や継手部品15を使用して、セグメント1、1aを軸方向および周方向に接合していくことで簡便になされる。
ところで、接合部品挿入孔2a、2bへの接合部品9の挿入方向、周方向嵌合溝4a、5aへの継手部品15の挿入方向は、いずれも、トンネル壁体20の軸方向である。このため、セグメント1の軸方向、周方向の接合は、いずれも、軸方向への作業によって行うことができる。しかも、ボルト等の別部品が不要であり、ボルト締結等の作業も不要であるため、セグメント1の接合作業は、極めて単純化することができ、これにより機械による接合の自動化も容易になっている。
ボルト等の締結用部品が不要になることは、部品点数の削減に加えて、セグメント1の構造の単純化による施工能率の向上に寄与し、低コスト化を可能にする。また、従来、ボルト締結を行うためにセグメントに形成される締結用凹所は、トンネル壁体内面の二次覆工の際に塞ぐ等の処置が必要であったが、ボルトを使用しないセグメント1では、締結用凹所を塞ぐ必要が無く、二次覆工の作業性を大幅に向上できる。
【0025】
本実施形態のセグメント1は、コンクリート打設空間8にコンクリート8aを打設していない状態で、トンネル壁体20の施工現場近くに搬入し、搬入後に、コンクリート打設空間8にコンクリート8aを打設する。
コンクリート8aの打設前のセグメント1は、軽量であるため、容易に搬送することができる。また、軸方向端面パネル2、3、周方向端面パネル4、5、底板パネル7を組み上げず、分解した状態で搬送し、トンネル壁体20の施工現場近くで組み上げた後、コンクリート8aを打設することも可能である。この場合、搬送が一層容易になり、搬送にかかるコストも低コスト化することができる。
【0026】
また、このセグメント1は、軸方向端面パネル2、3および周方向端面パネル4、5を組み上げてなるセグメント枠体6に底板パネル7を取り付け、これらセグメント枠体6および底板パネル7を型枠として、その内側に形成されたコンクリート打設空間8内にコンクリート8aを打設することで円弧版状に形成される。したがって、このセグメント1は、コンクリート8aの打設ための型枠を別途必要とせず、別途、型枠を使用する場合と比べて、大幅な低コスト化が可能である。しかも、型枠の取り外し作業を省略できるので、コンクリート8aの打設にかかる工数を削減でき、コンクリート8aが打設されたセグメント1を短時間で簡便に形成することができる。
【0027】
なお、本発明のセグメントは、前記実施形態に限定されず、各種変更が可能である。
例えば、セグメント同士を周方向に接合する接合構造は、継手部品を使用するものに限定されず、継手部品を使用しないものも採用可能である。継手部品を使用しない接合構造についても、前記実施形態と同様に、軸方向へのセグメントの移動により嵌合する構造を採用することが好ましい。
また、前記実施形態では、セグメント枠体6のトンネル壁体内面側に位置する面を、底板パネル7によって塞いでいるが、トンネル壁体外面側を底板パネルによって塞ぐようにしても良い。底板パネルの取付位置は、セグメントのコンクリート打設位置へのコンクリートの打設作業性に鑑みて、有利な側を適宜選択する。さらに、コンクリート注入孔を確保すれば、トンネル壁体の内面側、外面側の両側に底板パネルを取り付けることも可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載のセグメントによれば、軸方向端面パネルおよび周方向端面パネルを組み上げてなるセグメント枠体の、トンネル壁体の外面あるいは内面に対応する位置を底板パネルによって閉塞したものを型枠として、その内側のコンクリート打設空間にコンクリートが打設されるようになっているので、コンクリート打設用の型枠が不要であり、低コスト化が可能である。また、コンクリート打設空間にコンクリートを打設する前であれば、軽量であるので、搬送が容易であり、トンネル壁体の施工能率を向上できるといった優れた効果を奏する。
また、軸方向両側の軸方向端面パネルの互いに対応する位置には、長尺の接合部品が連通される接合部品挿入孔が開口され、これら接合部品挿入孔に連通した接合部品先端の係合端部を、前記軸方向端面パネルに別途設けた係合部に挿入して、係合することで、互いに接合されるようになっているので、軸方向への接合を極めて簡便に行うことができるといった優れた効果を奏する。
【0029】
請求項2記載のセグメントによれば、前記軸方向端面パネルおよび前記周方向端面パネルの、一方に形成したホゾ部を他方に形成したアリ溝に挿入、係合させることで前記セグメント枠体が組み立てられるようになっているので、セグメント枠体を極めて簡便に組み立てることができる。しかも、セグメントを分解した状態で搬送することが可能になり、搬送作業性も向上するといった優れた効果を奏する。
【0031】
請求項3記載のセグメントによれば、周方向一側の周方向端面パネルと、周方向他側の周方向端面パネルとが、軸方向への挿入作業によって互いに嵌合される周方向継手によって互いに接合されるようになっているので、既設のセグメントに対して、新たに接合するセグメントを軸方向に押し込むことで、周方向に簡便に接合することができる。この周方向継手を、請求項1または請求項2に記載の構成のセグメントに適用すると、軸方向および周方向の両方向の接合を、軸方向への作業のみによって行うことができ、トンネル壁体の構築作業性が大幅に向上するといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のセグメントの1実施形態を示す斜視図である。
【図2】 図1のセグメントの軸方向の接合構造を示す平断面図である。
【図3】 図1のセグメントの軸方向端面パネルに形成した接合部品挿入孔近傍を示す正面図である。
【図4】 図3のA−A線断面矢視図であり、接合部品が係合される係合部を示す。
【図5】 図3のB−B線断面矢視図であり、接合部品挿入孔近傍を示す。
【図6】 図3のC−C線断面矢視図であり、接合部品挿入孔に露出するコンクリートの露出面を示す。
【図7】 図1のセグメント同士の周方向継手を示す斜視図である。
【図8】 図7の周方向継手に適用される周方向嵌合溝を示す斜視図である。
【図9】 図1のセグメントを用いて構築されるトンネル壁体を示す部分展開図である。
【符号の説明】
1、1a セグメント、
2、3 軸方向端面パネル、
2a、2b、3a、3b 接合部品挿入孔
4、5 周方向端面パネル、
6 セグメント枠体、
7 底面パネル、
8 コンクリート打設空間、
8a コンクリート、
9 接合部品、
9a、9b 係合端部、
10a、10b 係合部、
15 継手部品、
20 トンネル壁体、
21 ホゾ部、
22 アリ溝。
Claims (3)
- 互いの接合端面同士を合わせた状態で接合されることにより、トンネル壁体を構成するセグメントであって、
前記トンネル壁体の軸方向への接合端面を形成する一対の軸方向端面パネルと、
前記トンネル壁体の周方向への接合端面を形成する一対の周方向端面パネルと、
これら軸方向端面パネルおよび周方向端面パネルを枠状に組み上げてなるセグメント枠体の、前記トンネル壁体の外面あるいは内面に対応する位置を閉塞する底板パネルと、
前記セグメント枠体および前記底板パネルによって囲まれた内側に形成され、コンクリートが打設されるコンクリート打設空間とを備え、
軸方向両側の軸方向端面パネルの互いに対応する位置には、先端に成形された一方の係合端部と、該一方の係合端部と対向する反対側に成形された他方の係合端部とを備える長尺の接合部品が挿通される接合部品挿入孔が開口され、
これら接合部品挿入孔に前記接合部品を挿通し、前記他方の係合端部を前記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートの前記接合部品挿入孔に露出する露出面に当接させて、前記接合部品のそれ以上の挿入を規制するとともに、前記一方の係合端部を、前記軸方向端面パネルに別途設けた係合部に挿入し、前記接合部品を回転して前記一方の係合端部が前記係合部内で係合することによって、互いに接合されるようになっていることを特徴とするセグメント。 - 前記軸方向端面パネルおよび前記周方向端面パネルの、一方に形成したホゾ部を他方に形成したアリ溝に挿入、係合させることで前記セグメント枠体が組み立てられることを特徴とする請求項1記載のセグメント。
- 周方向一側の周方向端面パネルと、周方向他側の周方向端面パネルとが、軸方向への挿入作業によって互いに嵌合される周方向継手によって互いに接合されるようになっていることを特徴とする請求項1または2記載のセグメント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09370698A JP3946345B2 (ja) | 1998-04-06 | 1998-04-06 | セグメント |
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