JP3946166B2 - オーブントースタの扉構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、通常下端部を中心として回動してトースター本体の前面を開閉する、オーブントースタの扉構造に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
オーブントースタの扉は、調理物の調理状態を見ることができるように、ガラス板を嵌め込んだ窓枠状に形成されている。この扉は、特許文献1にも開示されているように、前後に配置する金属製の枠体でガラス板を挟み込むことによって窓枠状に形成し、該金属製の枠体から側方に本体に支持させるための支持軸を突出させている。すなわち、図7に示すように、外面の枠体Aと、内面の枠体Bでガラス板Cを挟み込むとともに、なおかつガラス板が面方向に盲動しないように固定構造Dを内部に備えるものであった。さらに、洗浄その他の目的のために扉を着脱自在とするものでは、扉の側面に配置する支持軸のうち、少なくとも一方の支持軸を出没自在とする構造を備えている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−466号公報(図4参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のオーブントースタの扉は、内外両面から金属製の枠でガラス板を挟み込む構造であるため、内部構造を含め全体の構造が複雑でありコスト高と成っている。また、重く取り扱いにくいとともに中空構造であるため、これを洗浄する場合は、その内部に水が浸入し、内部に溜まってしまうために水洗いに適していないという欠点があった。また、扉全体が板金の組立て構造であるため、ふきんなどで扉を拭き取る場合にも引っ掛かり易く、さらに埃やパン屑が溜まり易いという欠点もあった。
【0005】
上記、従来技術の欠点に鑑み本発明は、構造が比較的簡単であって安価に製造することができるオーブントースタ用の扉構造を提供することを目的とするものである。さらに、扉外表面の大半にガラス板の外表面が表れ、従来のオーブントースタにはない開放的な印象を与えるとともに、従来のオーブントースタ用の扉構造のように中空構造ではなく、その内部に丸洗いを行っても水抜けの良いオーブントースタ用の扉であって、効率的に製造することができる構造を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため開放されたオーブントースタ本体1の前面に開閉自在に設けられる扉2を、方形枠状の扉枠3と、扉枠3に装着するガラス板4と、ガラス板4を押庄固定するための押え金具5とで構成する。
前記扉枠3はガラス板4の内表面を支持する窓枠形状とし、四辺の外周縁にそれぞれ立ち上がり片6,6を形成するとともに、一辺の立ち上がり片6にガラス板4外表面への折り返し部 6a を形成してガラス4板を抱持させる。
折り返し部 6a を形成した辺と対向する辺において、ガラス板4の端面と立ち上がり片6の間に断面略L字状の押え金具を配置し、該断面略L字状の押え金具5の一辺、具体的には上面 5d を立ち上がり片6の内面に当接させるとともに、断面略L字状の押え金具5の他の一辺、具体的には前面 5e をガラス板4の外表面に係合させる。これにより、ガラス板4を定位置に固定し、扉枠3からの脱落を阻止する。
【0007】
扉枠3の四辺の外周縁に形成する立ち上がり片6,6は、ガラス板4の周縁を支持するものであってガラス板4の前面を大きく覆うものでなく、扉外表面の大半がガラス板によって平面的に形成されるようにすることによって、外観上前面の大半にガラス面が表れ、ガラス面であるため凹凸が少なく、拭き取りなどの手入れを行い易い態様となる。
【0008】
ガラス板4を扉枠3に固定する具体的な構造は、三辺に形成する立ち上がり片6,6のうち、対向する二辺の立ち上がり片(図面の左右側縁)はガラス板4の外表面には折り返さない。残り一辺の立ち上がり片(図面の下縁)にガラス板4外表面への折り返し部6aを形成してガラス板4を抱持させる。ガラス板4の外表面への折り返し部6aを形成した辺と対向する辺に押え金具5を配置し、この押え金具5によってガラス板の押え金具5方向への移動と、一部をガラス板の外表面に係合させることによってガラス板4の前方への脱落を防止する。より具体的には、押え金具5をガラス板4の一辺に沿って平行に配置し、その一部、すなわち突出部5aでガラス板の外表面を覆うとともに、ガラス板を覆っている押え金具の一部を直角に折曲し、該折曲部5bによってガラス板4の端面を支受する。
【0009】
その他、押え金具5はガラス板4の一辺の全長に沿って配置される長さであってその両端に折り返し端面5cを備え、折り返し端面5cに係止孔7もしくは突起を形成するとともに、扉枠の立ち上がり片6に前記係止孔7もしくは突起に係合する突起8もしくは係止孔を形成することによって、押え金具5の位置決めを行なうことができる。また、押え金具5の外表面に把手9を配置し、把手9と押え金具5と扉枠3の三者を取り付けネジ10,10によって能率的に固定することができる。さらに、窓枠状に形成する扉枠3の内周に沿って、前方に向けて高くなる段部11を形成し、この段部11にガラス板4の内表面を支受させることによってガラス板4を安定した状態にしっかりと固定することができるとともに、扉枠の強度を向上させることができる。なお、外表面方向に高くなる段部11の内面側は凹所となるものであるが、方形に形成される段部の四隅をアール状に丸みを持たせて成型しておくことによって、埃やパン屑が溜まりにくく、かつ掃除のし易いものとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る、オーブントースタの扉構造の実施形態を、添付の図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るオーブントースタの扉のみの分解斜視図、図2はオーブントースタ全体の斜視図、図3はオーブントースタ全体の縦断面図である。
【0011】
オーブントースタは、外ケース1aの内部を遮熱板1bで囲むことによって加熱室12を形成し、開放される前面に開閉自在の扉2を配置することによって加熱室を閉塞することができるようにしている。加熱室12の内部には、その上下にヒータ13,13を配置するとともに、ヒータ13,13の間にパンなどの調理物を載置するための焼き網14を配置している。焼き網14は、扉2の開閉に連動させて、扉を開けたときに器外に引き出される。また、加熱室12の底面には、屑受け皿23を着脱自在に配置し、調理に伴って発生するパン屑などを、随時排出することができるようにしている。
【0012】
開放されるオーブントースタ本体1の前面、すなわち加熱室12の前面に設ける扉2は、図1に示すように方形枠状の扉枠3と、扉枠3に装着するガラス板4及び押え金具5とで構成している。扉枠3は、その全体形状を平面的な方形枠に形成し、四辺の外周縁に立ち上がり片6,6を形成している。四辺の立ち上がり片6,6のうち、左右側辺及び上辺の立ち上がり片は、枠の周縁を直角に折曲したのみであるが、下辺の立ち上がり片は、枠の周縁を直角に折曲するだけでなく、ガラス板4外表面への折り返し部6aを形成している。すなわち、扉枠3の下端部を樋形に形成することによってガラス板4の下端部分を抱持させ、ガラス板4が扉枠3から前方に脱落するのを防止している。
【0013】
図示例においては、扉枠3の上縁にも立ち上がり片6を形成しているが、ガラス板4を保持する上においては、必ずしも必要なものではない。しかしながら、扉枠3上辺の立ち上がり片6は、扉枠3の強度を向上させることと、押え金具5を安定的に配置する上においては有効である。すなわち、扉枠3の左右寸法はガラス板4の左右寸法とほぼ一致させ、左右の折り返し片6,6の間にガラス板が面方向に盲動しないように嵌め込む。これに対し、扉枠3の上下寸法はガラス板4の上下寸法よりも大きく形成している。したがって、余裕のある状態でガラス板を装着し、扉枠3の上辺部分に押え金具5を配置することによって、ガラス板4の上端部分を固定することができる。
【0014】
押え金具5は、図4からも理解されるように、その断面形状を略L字状としている。断面略L字状とした押え金具5の上面5dは、扉枠の上辺の立ち上がり片6と当接もしくは接近する状態で挿入され、上面5dと直角に折曲された前面5eの先端部分である突出部5aが、ガラス板4の上辺部分を押圧する。押え金具5の前面5eには、図1に示すように切り込みによって分割し、一部をさらに直角に折り返して折曲部5bを形成し、折曲部5bによってガラス板4の上端部分をしっかりと保持し、ガラス板4の面方向、すなわち上方への移動を阻止している。
【0015】
前記、押え金具5の折曲部5bは、図1や図5に示す実施形態では、長寸法である押え金具5の中央部分であって、左右対称位置の二箇所に配置している。より具体的には、把手9を取り付けるための締め付け位置付近に、ガラス板4の上端縁を支受する折曲部5bを形成している。その理由は、押え金具5の突出部5a付近において押え金具5と扉枠3を締め付けると、その荷重がガラス板4に直接作用しガラス板4の破損などの問題を生じるが、ガラス板4の前面を押えていない部分において、押え金具と扉枠を締め付けると、ガラス板4は押え金具5によって弾性的に押圧され、より安定するためである。
【0016】
押え金具5の左右両端部分には、例えば押え金具5の前面5eからの折返しによって、折り返し端面5cを形成している。そして、図6に示すように、折り返し端面5cに係止孔7を設けるとともに、扉枠3の立ち上がり片6に突起8を形成し、立ち上がり片6の突起8と押え金具5の係止孔7を係合させることによって、簡単かつ確実に押え金具5の位置決めを行なうことができるようにしている。立ち上がり片6に突起8を形成するには、図6に示すように、切り起こしによって簡単に形成することができる。
【0017】
扉2は、その下端部を軸支するとともに、上部に把手9を設けることによって開閉することができるようにする。扉2に設ける把手9は、どのような構造であっても扉枠の上部に設けるものであればよいが、図示例では、押え金具5の上面に把手9を取り付けるようにしている。より具体的には、押え金具5の外表面に把手9を配置し、内表面側から挿入する取り付けネジ10を用いて、把手9と押え金具5と扉枠3の三者を固定するようにしている。すなわち、押え金具5を貫通させて、扉枠3の内面側から取り付けネジ10を挿入し、把手9に螺着することによって三者を同時に、しかも正確な位置関係で固定するものである。
【0018】
このとき、押え金具5の表面には、把手9を正確な位置に支受させるために、貫通孔を中心として座15を設けるとともに、把手9には座15に嵌合するボス16を突出させている。そのため、把手9は押え金具5に対してしっかりと位置決めされ、かつ扉枠3に対して取り付けネジ10によって固定されるため、把手9と押え金具5と扉枠3の三者が強固に固定される。
【0019】
窓枠状に形成する扉枠3の主体部分は、単なる平板状であってもよいが、図示実施形態の扉では、窓枠状に形成する扉枠3の内周に沿って、前方に向けて高くなる一定幅の段部11を形成し、この段部11にガラス板4の内表面を支受させるようにしている。扉枠3の主体部分を単なる平板状に形成するものでは、平板部分の歪みを避けることができないとともに、熱によって歪みが発生する。平面的に形成した扉枠3が歪むと、ガラス板4との間に隙間が発生することになり、この隙間に埃やパン屑などの食品屑、油分などが侵入することになり見栄えやお手入れの支障となる可能性がある。
【0020】
これに対し、図示例のように、内周に沿って段部11を形成し、この段部11にガラス板4の内表面を支受させるようにしたものでは、第一に段部11を形成することによって強度が増し、扉枠3を変形しにくいものとすることができる。第二に、平面的な扉枠3でガラス板4を支受する場合は、扉枠3の平面度の狂いがガラス板の浮き上がりとなって現れ、ガラス板の安定が悪く、かつ隙間が発生する可能性があるが、段部11を形成し、この段部11にガラス板4の内表面を支受させるものでは、ガラス板4と扉枠3が線接触に近い形で接触するため、取り付け状態を安定させることができる効果がある。
【0021】
上記、方形に形成される段部11は、プレス加工の段押しによって形成する。この際、段部11の四隅は、図5に示すように、ある程度の大きさの丸みであるアール形状としている。このアール形状によって、扉2の内面に形成される段部に埃やパン屑が付着しても、隅々まで容易に拭き取ることができ、きわめて衛生的である。
【0022】
なお本発明では、扉2が薄く形成される結果、支持軸の構造を扉の内部に形成することができない。そのため、図示実施形態では、図5に示すように扉枠3の内表面の左右両側に内方に向けて軸受け部17,17を突出形成し、この軸受け部17,17に長寸法の支持軸18を装着している。すなわち、扉2は扉2の内表面に突出させた軸受け部17に軸支するものであるため、軸受け部17にまっすぐな棒状の軸を装着し、その先端をオーブントースタ本体1の側壁に軸支させると、扉2下端部の回転軌跡が大きくなる。このことは、扉を閉めたときに保持しておくべき隙間が大きくなることを意味する。そこで図示例では、支持軸18の全体形状を略門形に形成し、外側方に折曲した先端部分を前記軸受け部17に軸支させるとともに、門形に形成した支持軸17の中間部分の左右両側を、オーブントースタ本体1内部の前端部分に配置した、左右一対の軸受け金具19,19によって支持して、軸受け金具19による支持軸の軸支位置を前後方向に移動させることができるようにしている。これにより、扉2とオーブントースタ本体1との隙間をなるべく少なくすることができる。
【0023】
本発明では、外表面、すなわち前面の大半がガラス板によって構成され、ガラス板4の内表面が扉枠3によって支持される。そのため、透明なガラス板4を透して扉枠3が見えることになる。その場合、扉枠3が直接見えるのが好ましくない場合は、ガラス板4の内表面又は外表面に適当な表示21や模様22を施しておくとよい。特に、ガラス板4の内表面に各種の記載を施しておくと、記載が汚れたり剥落することがなく、表面の透明感と相俟って従来にない意匠的に斬新なものとすることができる。
【0024】
前記、扉2を開閉可能に支持する支持軸18とは別に、支持軸18よりも上方位置に焼き網支持杆20を配置している。この焼き網支持杆20は、前後方向に移動可能な焼き網14の前端部に形成した係合部14aに引っ掛けている。このように、扉枠3に設けた焼き網支持杆20を焼き網14に連結させておくと、扉2の開閉に伴って焼き網20がオーブントースタ本体1から出没し、調理物を容易に取り扱うことができる。焼き網の一部を扉に係合させ、焼き網を出没させる構造自体は公知であるが、図示例のように、焼き網14の一部を針金で形成した焼き網支持杆20で引っ掛けておく構造では、焼き網14の着脱を容易に行うことができる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明のオーブントースタの扉構造によれば、扉全体の構造を薄く簡単な構造とすることができるため、製造が容易で安価に提供することができる。
そして、本発明に係る扉枠は、ガラス板の内表面にのみ位置し、外表面にはガラス板を支持する枠がないため、外表面の拭き掃除なども容易である。また、扉を取り外して洗浄する場合にも、従来のオーブントースタの扉のように、その内部に水が浸入するといったことがなく清掃性のよいものであるが、このようなオーブントースタの扉を、ガラス板が左右両側に移動しないように、立ち上がり片を設けた状態でガラス板の上下を、支持し、ガラス板が前方に脱落しないように保持させるためガラス板を扉枠に確実に保持させ、ガラス板の上辺部分に配置する一つの押え金具によって、ガラス板の上方への移動と前方への脱落を効果的に防止し、かつ能率的に製造することができる。
さらに、ガラス板を固定する押え金具自体の扉枠に対する位置決めを、簡単かつ確実に行わせることができる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、扉枠に対する押え金具及び扉開閉のための把手の組み立てを効率的に行うことができるとともに、これらの位置関係を常に正確に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオーブントースタの扉のみの分解斜視図、
【図2】本発明に係る扉を装着したオーブントースタ全体の斜視図、
【図3】扉を開けた状態のオーブントースタの縦断面図、
【図4】一部を拡大表示した、扉のみの縦断面図、
【図5】扉を構成する扉枠と押え金具を内面側から見た斜視図、
【図6】扉枠と押え金具の係合部分の拡大断面図、
【図7】従来のオーブントースタの扉の一例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…オーブントースタ本体、 1a…外ケース、 1b…遮熱板、 2…扉、 3…扉枠、 4…ガラス板、 5…押え金具、 5a…突出部、 5b…折曲部、 5c…折り返し端面、 5d…上面、 5e…前面、 6…立ち上がり片、 6a…折り返し部、 7…係止孔、 8…突起、 9…把手、 10…取り付けネジ、 11…段部、 12…加熱室、 13…ヒータ、 14…焼き網、 15…座、 16…ボス、 17…軸受け部、 18…支持軸、 19…軸受け金具、 20…焼き網支持杆、 21…表示、 22…模様、 23…屑受け皿。
Claims (1)
- 開放されたオーブントースタ本体の前面に開閉自在に設けられる扉を、方形枠状の扉枠と、扉枠に装着するガラス板と、押え金具とで構成するオーブントースタの扉構造において、
前記扉枠はガラス板の内表面を支持する窓枠形状とし、四辺の外周縁にそれぞれ立ち上がり片を形成するとともに、一辺の立ち上がり片にガラス板外表面への折り返し部を形成してガラス板を抱持させ、
折り返し部を形成した辺と対向する辺において、ガラス板の端面と立ち上がり片の間にガラス板の一辺の全長に沿って配置される長さであって、その両端に折り返し端面を備えた断面略L字状の押え金具を配置し、該断面略L字状の押え金具の一辺を立ち上がり片の内面に当接させ、かつ断面略L字状の押え金具の他の一辺をガラス板の外表面に係合させ、該ガラス板の外表面に係合させる押え金具の辺の一部を直角に折り返して折曲部を形成してガラス板の端面を保持させるとともに、
押え金具の両端に形成した折り返し端面に係止孔もしくは突起を形成し、扉枠の立ち上がり片に前記押え金具の係止孔もしくは突起に係合する突起もしくは係止孔を形成することによって押え金具の位置決めを行なうことを特徴とするオーブントースタの扉構造。
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