JP3945955B2 - 吸収冷凍機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生器、凝縮器、蒸発器、吸収器などを連結して冷凍サイクルを構成する吸収冷凍機に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置は、蒸発器で冷却または加熱して熱負荷に供給する冷温水の温度を検出し、その温度が所定の温度になるように再生器における熱量を制御している。そして、前記冷温水の温度を検出している温度センサが故障すると、再生器で吸収液を加熱して冷媒を蒸発分離する際の所要熱量の判断ができなくなるので、運転を直ちに停止するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、熱源に天然ガスなどを使用し、冷熱発生に電力を殆ど使用しない吸収冷凍機は低コストで冷房が可能なため、ビルなどの通常の空調だけでなく、24時間運転が要求される工場の冷却工程に組み込まれることもある。
【0004】
このような用途に組み込まれた吸収冷凍機が、前記温度センサの故障により運転を停止すると、製造工程全体に影響が及び、操業停止に追い込まれることもあるので、前記温度センサが故障しても直ぐには運転を停止しなくても良いようにする必要があり、その解決が課題となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来技術の課題を解決するための具体的手段として、再生器、凝縮器、蒸発器、吸収器などを連結して冷凍サイクルを構成する吸収冷凍機において、蒸発器から熱負荷に供給されている冷温水の温度を検出する第1の温度検出手段と、熱負荷から蒸発器に戻されている冷温水の温度を検出する第2の温度検出手段と、第1の温度検出手段が検出した温度に基づいて再生器における加熱量を制御すると共に、第1の温度検出手段が異常を呈したときに再生器における加熱量制御を第2の温度検出手段が検出した温度に基づく制御に切り替える制御器と、を備えるようにした第1の吸収冷凍機と、
【0006】
前記第1の吸収冷凍機において、制御器による再生器における加熱量制御が、第1の温度検出手段が検出した温度に基づいて行われるときには、第1の温度検出手段が検出した温度に基づくPID制御を行い、第2の温度検出手段が検出した温度に基づいて行われるときには、第2の温度検出手段が検出した温度に基づく比例制御を行うようにした第2の吸収冷凍機と、
【0007】
前記第1または第2の吸収冷凍機において、第2の温度検出手段が検出した温度に基づいて再生器における加熱量を制御器が比例制御するときには、第1の温度検出手段に異常のあることを制御器が出力するようにした第3の吸収冷凍機と、
【0008】
前記第1〜第3何れかの吸収冷凍機において、第2の温度検出手段が検出した温度に基づいて再生器における加熱量を制御器が比例制御するときには、比例制御開始から所定時間が経過するのを待って制御器が運転停止信号を出力するようにした第4の吸収冷凍機と、
を提供することにより、前記した従来技術の課題を解決するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に例示したものは、冷水または温水を図示しない負荷に循環供給する二重効用吸収冷温水機であり、冷媒に水を、吸収液に臭化リチウム(LiBr)水溶液を使用したものである。
【0010】
図1において、1はガスバーナ1Bを備えた高温再生器、2は低温再生器、3は凝縮器、4は蒸発器、5は吸収器、6は低温熱交換器、7は高温熱交換器、8〜11は吸収液管、13は吸収液ポンプ、14〜18は冷媒管、19は冷媒ポンプ、21は図示しない冷/暖房負荷に循環供給する冷水または温水(ブライン)が流れる冷温水管、22は冷温水ポンプ、23は冷却水管、24は冷却水ポンプ、26〜28は開閉弁であり、それぞれ図に示したように配管接続されており、この構成自体は従来周知である。また、50はこの吸収冷温水機の制御器である。
【0011】
そして、上記構成の二重効用吸収冷温水機において、開閉弁26・27・28を閉じ、冷却水ポンプ24を起動して冷却水管23により吸収器5と凝縮器3とに冷却水を供給し、ガスバーナ1Bに点火して高温再生器1で吸収液を加熱すると、吸収液から蒸発分離した冷媒蒸気と、冷媒蒸気を分離して吸収液の濃度が高くなった中間吸収液とが得られる。
【0012】
高温再生器1で生成された高温の冷媒蒸気は、冷媒管14を通って低温再生器2に入り、高温再生器1で生成され吸収液管9により高温熱交換器7を経由して低温再生器2に入った中間吸収液を加熱して放熱凝縮し、凝縮器3に入る。
【0013】
また、低温再生器2で加熱されて中間吸収液から蒸発分離した冷媒は凝縮器3へ入り、冷却水管23内を流れる水と熱交換して凝縮液化し、冷媒管14から凝縮して供給される冷媒と一緒になって冷媒管16を通って蒸発器4に入る。
【0014】
蒸発器4に入って冷媒液溜りに溜まった冷媒液は、冷温水管21に接続された伝熱管21Aの上に冷媒ポンプ19によって散布され、冷温水管21を介して供給される水と熱交換して蒸発し、伝熱管21Aの内部を流れる水を冷却する。
【0015】
そして、蒸発器4で蒸発した冷媒は吸収器5に入り、低温再生器2で加熱されて冷媒を蒸発分離し、吸収液の濃度が一層高まった吸収液、すなわち吸収液管10により低温熱交換器6を経由して供給され、上方から散布される濃吸収液に吸収される。
【0016】
吸収器5で冷媒を吸収して濃度の薄くなった吸収液、すなわち稀吸収液は吸収液ポンプ13の運転により、低温熱交換器6・高温熱交換器7を経由して高温再生器1へ吸収液管8から送られる。
【0017】
上記のように吸収冷温水機の運転が行われると、蒸発器4の内部に配管された伝熱管21Aにおいて冷媒の気化熱によって冷却された冷水が、冷温水ポンプ22の運転により冷温水管21を介して図示しない冷/暖房負荷に循環供給できるので、冷房運転などが行える。
【0018】
一方、開閉弁26・27・28を開け、冷却水ポンプ24の運転を停止し、冷却水管23に冷却水を流さないでガスバーナ1Bに点火して高温再生器1で吸収液を加熱すると、高温再生器1で吸収液から蒸発した冷媒は主に流路抵抗の小さい冷媒管14・15を通って吸収器5・蒸発器4に入り、冷温水管21から供給される水と伝熱管21Aを介して熱交換して凝縮し、主にこのときの凝縮熱によって伝熱管21Aの内部を流れる水が加熱される。
【0019】
蒸発器4で加熱作用を行って凝縮した冷媒は、冷媒管18の開閉弁28を通って吸収器5に入り、高温再生器1で冷媒を蒸発分離して吸収液管11から流入する吸収液と混合され、吸収液ポンプ13の運転によって低温熱交換器6・高温熱交換器7を経て高温再生器1へ送られる。
【0020】
そして、蒸発器4内部の伝熱管21Aで加熱された温水を冷温水ポンプ22の運転により冷温水管21を介して図示しない冷/暖房負荷に循環供給することにより、暖房運転などが行なわれる。
【0021】
上記動作機能を有する二重効用吸収冷温水機の制御器50は、例えば図2に例示したようにセンサ監視装置51、PID制御装置52、比例制御装置53、制御切替装置54、バーナ制御装置55を備えている。
【0022】
センサ監視装置51は、冷温水管21の蒸発器4出口側に設けた温度センサ30が検出し出力している温度情報を監視して、温度センサ30の異常を検出するものであり、温度センサ30の異常を検出すると、制御切替装置54の切替接点を比例制御装置53の側に切り替えると共に、センサ異常を知らせる所要の異常信号を外部に出力して警報手段を動作、例えば警報ランプを点灯するように構成されている。
【0023】
なお、センサ監視装置51による温度センサ30の異常検出は、温度センサ30が例えば温度抵抗体と呼ばれる熱伝対を利用したものであり、その温度抵抗体が例えば0℃のときの抵抗が2KΩ、100℃のときの抵抗が2856KΩである特性のものを使用したときに、断線異常が発生すると抵抗は無限大になり、短絡異常のときは抵抗は0Ωとなるので、計測した抵抗値が2〜2856KΩの範囲にあればセンサは正常であり、前記範囲から大きく外れたときにセンサ異常と判定するように構成して、温度センサ30の異常の有無を検出することができる。
【0024】
PID制御装置52は、温度センサ30が検出した冷温水の温度と、予め設定してある設定温度に基づいてガスバーナ1Bの所要燃焼量を演算算出し、バーナ制御装置55に制御切替装置54を介して結果を出力するものであり、その演算自体は従来周知の方法により、温度センサ30が検出する冷温水温度が設定温度に速やかに収斂するように行う。
【0025】
比例制御装置53は、冷温水管21の蒸発器4入口側に設けた温度センサ31が検出した温度情報に基づいて、ガスバーナ1Bの所要燃焼量を演算算出し、バーナ制御装置55に制御切替装置54を介して結果を出力するものであり、例えば蒸発器4の伝熱管21Aで冷却して冷温水管21に流れ出す冷温水の温度を7℃に設定して冷房運転を行うときには、例えば図3に示した関係式に基づいてガスバーナ1Bの所要燃焼量を演算算出する。
【0026】
制御切替装置54は、センサ監視装置51が温度センサ30の異常を検出していないときにはPID制御装置52が演算した結果がバーナ制御装置55に出力されるように、センサ監視装置51が温度センサ30の異常を検出しているときには比例制御装置53が演算した結果がバーナ制御装置55に出力されるように、接点を切り替えるものである。
【0027】
バーナ制御装置55は、制御切替装置54を介して入力した制御信号に基づいてガスバーナ1Bの燃料制御弁と燃焼用空気制御弁とを制御するものである。
【0028】
したがって、本発明の吸収冷凍機においては、蒸発器4から熱負荷に供給する冷温水の温度を検出する温度センサ30に不具合が発生しても、熱負荷から蒸発器4に戻されている冷温水の温度を検出している温度センサ31の検出データに基づいてガスバーナ1Bの燃焼量が制御され、運転が継続される。
【0029】
しかも、図3に例示したように冷房運転時に温度センサ31が検出した冷水の温度が設定温度の7℃より低いときにはガスバーナ1Bの燃焼を停止させ、前記冷水の温度が設定温度の7℃に一致したときには前記燃焼量を20%に、前記冷水の温度が11℃の時には前記燃焼量を100%としてその間が比例制御されるので、冷温水管21から熱負荷に供給する冷水はほぼ設定の7℃に制御される。
【0030】
一方、蒸発器4で加熱して冷温水管21に流れ出す冷温水の温度を、例えば55℃に設定して暖房運転を行うときには、例えば図4示した関係式に基づいてガスバーナ1Bの燃焼量を演算算出し、上記冷房運転と同様に制御すれば良い。
【0031】
すなわち、温度センサ31が検出した温水の温度が設定温度の55℃より高いときにはガスバーナ1Bの燃焼を停止させ、前記温水の温度が設定温度の55℃に一致したときには前記燃焼量を20%に、前記温水の温度が51℃の時には前記燃焼量を100%としてその間が比例制御されるので、冷温水管21から熱負荷に供給する温水はほぼ設定の55℃に制御される。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0033】
例えば、制御器50としては、センサ監視装置51が温度センサ30の異常を検出し、制御切替装置54の接点を比例制御装置53の側に切り替えてガスバーナ1Bの燃焼量を比例制御するようになってから所定時間、例えば1時間が経過するのを待って、運転停止信号を出力するように構成することも可能である。
【0034】
制御器50をこのように構成することにより、温度センサ30の異常発生に管理者などが気づかずに行う緊急非難運転を長時間継続することが防止される。
【0035】
また、前記所定時間を管理者が設定するように設けることで、緊急避難運転時間を管理者が都合の良い時間に決定することが可能になる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、蒸発器から熱負荷に供給している冷温水の温度を検出している温度センサが故障しても、運転を直ちに停止させるのではなく、熱負荷から蒸発器に戻されている冷温水の温度を検出し、その温度に基づいて高温再生器に付設された加熱手段を制御し運転が継続されるので、24時間の連続運転が要求される工場などに設置する装置として好適であり、さらに、バックアップ装置を設ける必要がないので、製造コストの大幅な削減も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】装置構成の説明図である。
【図2】制御器の説明図である。
【図3】冷房運転時のガスバーナの燃焼量の説明図である。
【図4】暖房運転時のガスバーナの燃焼量の説明図である。
【符号の説明】
1 高温再生器
1B ガスバーナ
2 低温再生器
3 凝縮器
4 蒸発器
5 吸収器
6 低温熱交換器
7 高温熱交換器
8〜11 吸収液管
13 吸収液ポンプ
14〜18 冷媒管
19 冷媒ポンプ
21 冷温水管
22 冷温水ポンプ
23 冷却水管
24 冷却水ポンプ
26〜28 開閉弁
30・31 温度センサ
50 制御器
51 センサ監視装置
52 PID制御装置
53 比例制御装置
54 制御切替装置
55 バーナ制御装置
Claims (4)
- 再生器、凝縮器、蒸発器、吸収器などを連結して冷凍サイクルを構成する吸収冷凍機において、蒸発器から熱負荷に供給されている冷温水の温度を検出する第1の温度検出手段と、熱負荷から蒸発器に戻されている冷温水の温度を検出する第2の温度検出手段と、第1の温度検出手段が検出した温度に基づいて再生器における加熱量を制御すると共に、第1の温度検出手段が異常を呈したときに再生器における加熱量制御を第2の温度検出手段が検出した温度に基づく制御に切り替える制御器と、を備えたことを特徴とする吸収冷凍機。
- 制御器による再生器における加熱量制御が、第1の温度検出手段が検出した温度に基づいて行われるときには、第1の温度検出手段が検出した温度に基づくPID制御を行い、第2の温度検出手段が検出した温度に基づいて行われるときには、第2の温度検出手段が検出した温度に基づく比例制御を行うことを特徴とする請求項1記載の吸収冷凍機。
- 第2の温度検出手段が検出した温度に基づいて再生器における加熱量を制御器が比例制御するときには、第1の温度検出手段に異常のあることを制御器が出力することを特徴とする請求項1または2記載の吸収冷凍機。
- 第2の温度検出手段が検出した温度に基づいて再生器における加熱量を制御器が比例制御するときには、比例制御開始から所定時間が経過するのを待って制御器が運転停止信号を出力することを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の吸収冷凍機。
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