JP3887204B2 - 2段吸収冷温水機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸発器と吸収器とを2段に分けた2段吸収冷温水機に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸収冷温水機の性能を向上させるため、たとえば実公昭61−18371号公報に記載されるように、蒸発器と吸収器とを2段に分け、それぞれ低圧蒸発器と低圧吸収器、高圧蒸発器と高圧吸収器とにし、これらを対にして使用する2段吸収冷凍機が知られている。この場合、低圧吸収器で冷媒蒸気を吸収して濃度が低下し、飽和蒸気圧の上昇した吸収液は高圧吸収器に送られ、また、高圧蒸発器で冷却されて温度が低下し、蒸気圧が低下した冷水は低圧蒸発器に流れる流路構成となっている。高圧吸収器と連通する高圧蒸発器は、負荷から戻った温度の高い冷水が流れることにより蒸気圧は高くなり、高圧吸収器との蒸気圧差を十分にとることができる。また、低圧蒸発器と連通する低圧吸収器には、高温再生器で濃縮された高濃度の吸収液を散布することで蒸気圧が低くなり、低圧蒸発器との蒸気圧差を十分にとることができる。このようにして、低圧段及び高圧段の蒸発器及び吸収器で十分に蒸気圧差をとることができる構成になっている。
【0003】
また、それぞれ2個の蒸発器及び吸収器を備え、混合冷媒を使用して凍結を防止するものとして、特開平10−205909号公報に記載の技術が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記実公昭61−18371号公報に記載のものは、蒸発器と吸収器とを2段に分け、それぞれを低圧蒸発器と低圧吸収器、高圧蒸発器と高圧吸収器とにして使用しているが、冷媒の凍結防止制御手段については配慮されていなかった。
また特開平10−205909号公報に記載のものは、第1蒸発器と第2蒸発器とを接続する配管を第2吸収器の吸収溶液中を通すことにより冷媒の凍結防止をするものであり、構造的に必ずしも十分に配慮されているとは言えなかった。
【0005】
本発明の目的は、的確な冷媒の凍結防止手段を備えた2段吸収冷温水機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の2段吸収冷温水機に係る発明の構成は、加熱源で加熱し冷媒蒸気を溶液から分離する再生器と、この再生器で分離した蒸気を凝縮する凝縮器と、この凝縮器で凝縮した冷媒を蒸発させて冷水を取り出す蒸発器と、この蒸発器で発生した冷媒蒸気を溶液に吸収させる吸収器とを備え、これら蒸発器及び吸収器を低圧蒸発器と高圧蒸発器及び低圧吸収器と高圧吸収器の2段にそれぞれ分けた2段吸収冷温水機において、前記低圧蒸発器の状態量を測定するために、前記低圧蒸発器の底と前記低圧蒸発器内の伝熱管下部との間に、この伝熱管から流下する冷媒を常時保持することのできる容器を設置して、この容器内に温度センサーを取り付け、この温度センサーからの信号をもとに、前記再生器の加熱源の加熱量を制御して凍結防止を図る制御装置を設けるものである。
【0010】
【発明実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
【0011】
参考例1〕図1は、参考例1に係る2段吸収冷温水機の系統図である。まず冷房運転時のサイクル構成について説明する。
【0012】
蒸発器1は、低圧蒸発器1aと高圧蒸発器1bとに分かれており、低圧蒸発器1aと高圧蒸発器1bとの圧力差は低圧蒸発器1aの底に溜まる冷媒の液圧によってバランスがとられている。同様に、吸収器4においても低圧吸収器4aと高圧吸収器4bとに分かれており、圧力差は低圧吸収器4aの底に溜まる溶液の液圧によってバランスがとられている。
【0013】
冷媒は冷媒ポンプ2によって冷媒配管12を循環し、この冷媒は、負荷から戻り温度の高くなっている冷水が流通する低圧蒸発器1aの低圧蒸発器伝熱管3aの表面に散布される。これにより散布された冷媒は、低圧蒸発器伝熱管3a内の冷水と熱交換して蒸発し、冷媒蒸気を発生する。発生した冷媒蒸気は、低圧蒸発器1aから低圧蒸発器1aとほぼ同じ圧力の低圧吸収器4a(厳密には、若干低くなっている)内に流入する。
【0014】
また、低圧蒸発器1aにおいて蒸発せず低圧蒸発器1aの底1cに溜まった冷媒は高圧蒸発器1bに送られ、散布装置(図示せず)によって高圧蒸発器伝熱管3bの表面に散布されて冷媒蒸気が発生する。この発生した冷媒蒸気は高圧蒸発器1bから高圧蒸発器1bとほぼ同じ圧力である高圧吸収器4b(厳密には、若干低くなっている)内に流入し、流入した冷媒蒸気は、内部に冷却水が流通する高圧吸収器伝熱管6の表面に散布される溶液(一般に臭化リチウム水溶液)に吸収される。
【0015】
さらに詳しく説明すれば、蒸発器伝熱管3の内部を流通する負荷から戻った温度の高い冷水は、はじめ高圧蒸発器1bの内部の高圧蒸発器伝熱管3bを流通して冷媒を蒸発させる。冷媒と熱交換した冷水は低圧蒸発器1aに送られ、高圧蒸発器1bの内部より低圧で、かつ高圧蒸発器1bの内部に散布された冷媒より温度の低い冷媒とさらに熱交換を行う。低圧吸収器4aでは、高温再生器10で冷媒蒸気を分離して濃度のより濃くなった溶液(以下、濃溶液という)が低圧吸収器伝熱管6aの表面に散布され、冷媒蒸気を吸収して濃度の薄い溶液となる(以下、稀溶液という)。この稀溶液は高圧吸収器4bに送られ散布装置(図示せず)によって高圧吸収器伝熱管6bの表面に散布され、溶液の蒸気圧が上昇し再び冷媒蒸気を吸収可能な状態になって冷媒蒸気を吸収する。
【0016】
冷媒蒸気を吸収してさらに濃度の薄くなった稀溶液は、溶液ポンプ5により低温溶液熱交換器7を経て一部は低温再生器8へ、残りは高温溶液熱交換器9を経て高温再生器10へ送られる。高温再生器10においては、バーナの燃焼熱15で稀溶液が加熱され、冷媒蒸気を分離する。低温再生器8においては、高温再生器10で発生した冷媒蒸気を加熱源として稀溶液が加熱されて冷媒蒸気を発生する。高温再生器10で冷媒を分離し濃くなった濃溶液は、高温溶液熱交換器9と低温溶液熱交換器7とを経て低圧吸収器4aへ送られる。低温再生器8でも同様に冷媒を分離して濃くなった濃溶液は、低温溶液熱交換器7を経て低圧吸収器4aへ送られる。低温再生器8で発生した冷媒蒸気は凝縮器11へ送られ、この冷媒蒸気は内部に冷却水が流通する凝縮器11内の伝熱管6cの表面で凝縮する。凝縮した冷媒は高圧蒸発器1bへ送られてサイクルを一巡する。
【0017】
冷媒が最も凍結しやすいのは圧力が低く、温度の最も低い低圧蒸発器1a内である。参考例1では、冷媒が溜まる低圧蒸発器1aの底1cに状態量測定手段としての温度センサー13を取り付ける構造にしている。この温度センサー13は冷媒の温度を測定し、その信号は制御装置14へ送られる。制御装置14には冷媒の凍結しない最低温度が設定されており、温度センサー13から送られてくる冷媒の温度信号が設定値以下であればバーナ15の燃焼を一時的に停止して(もしくは一時的に燃焼を弱めてもよい)冷凍能力の発生を停止させ(もしくは冷凍能力を低下させ)、凍結防止を図るように制御装置14が過熱量を制御する。温度センサー13としては、例えば測温抵抗体、熱電対、サーミスタなどを使用することができる。
【0018】
次に暖房運転時のサイクル構成について説明する。暖房運転時は、冷暖切替バルブ18を開けて高温再生器10から発生する水蒸気を蒸発器へ送り込むが、蒸発器が高圧蒸発器と低圧蒸発器とに分かれているためいくつかの場合がある。ひとつは低圧蒸発器1aに送り込む場合、ひとつは高圧蒸発器1bに送り込む場合、そしてもうひとつは低圧蒸発器1a及び高圧蒸発器1bの両方に送り込む場合がある。なお、これらの違いによって作用効果に差異はない。参考例1によれば、冷媒の最も凍結しやすい低圧蒸発器1a内に溜まる冷媒の温度を直接測定してバーナ15の燃焼量を制御しているので、冷媒の凍結防止を的確に行うことができる。
【0019】
〔実施例〕図2は、本発明の実施例に係る2段吸収冷温水機のサイクル系統図である。図中、図1と同一符号のものは同等部分であるから、その説明を省略する。図2の実施例が、図1の参考例1と異なる点は、低圧蒸発器1aの底1cと低圧蒸発器伝熱管3aの下部との間に、冷媒の一部を一時的に保持する容器16を設け、この容器16内に状態量測定手段としての温度センサー13を取り付けたものである。容器16は、上面が開放され散布された冷媒の一部を一時的に保持し、側面に開けた孔(図示せず)から冷媒を流下させる構造になっている。孔の大きさは、冷房運転時に冷媒が容器16内に溜まる程度の孔径に考慮して開けられる。したがって、常時、低圧蒸発器伝熱管3aから流下する冷媒を保持することになり、低圧蒸発器1aの底1cに溜まる冷媒量の如何にかかわらず冷媒温度を確実に測定することができる。本実施例によれば、冷房負荷が小さいために循環する冷媒量が少なく、すなわち低圧蒸発器1aの底1cに溜まる冷媒量が少なくなった場合でも、容器16内には常時冷媒が保持され、冷媒循環量に左右されずに冷媒温度を確実に測定することができ、凍結防止の信頼性が向上する。
【0020】
参考例2〕図3は、参考例2に係る2段吸収冷温水機のサイクル系統図である。図中、図1と同一符号のものは同等部分であるから、その説明を省略する。図3の参考例2が、図1の参考例1と異なる点は、低圧蒸発器1a内の状態量測定手段として低圧蒸発器1a内の圧力を利用するもので、圧力を測定するために圧力センサー17を低温蒸発器1aの壁面に取り付けたことにある。圧力センサー17を取り付ける位置は、低温蒸発器1aの側壁もしくは天井の壁面などに取り付けることができる。参考例2によれば、低圧蒸発器1a内の圧力を測定して低圧蒸発器1a内の温度を直接推定することができ、冷媒循環量に左右されずに冷媒温度を確実に推定することができ、実施例と同様に凍結防止の信頼性が向上する。
【0021】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、蒸発器及び吸収器を低圧蒸発器と高圧蒸発器及び低圧吸収器と高圧吸収器との2段に分けた2段吸収冷温水機において、低圧蒸発器内の冷媒の温度を直接測定し、もしくは低圧蒸発器内の圧力を測定して冷媒の温度を直接推定しているので、冷媒の凍結防止を的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1に係る2段吸収冷温水機のサイクル系統図である。
【図2】本発明の実施例に係る2段吸収冷温水機のサイクル系統図である
【図3】参考例2に係る2段吸収冷温水機のサイクル系統図である。

Claims (1)

  1. 加熱源で加熱し冷媒蒸気を溶液から分離する再生器と、
    この再生器で分離した蒸気を凝縮する凝縮器と、
    この凝縮器で凝縮した冷媒を蒸発させて冷水を取り出す蒸発器と、
    この蒸発器で発生した冷媒蒸気を溶液に吸収させる吸収器とを備え
    これら蒸発器及び吸収器を低圧蒸発器と高圧蒸発器及び低圧吸収器と高圧吸収器の2段にそれぞれ分けた2段吸収冷温水機において、
    前記低圧蒸発器の状態量を測定するために、前記低圧蒸発器の底と前記低圧蒸発器内の伝熱管下部との間に、この伝熱管から流下する冷媒を常時保持することのできる容器を設置して、この容器内に温度センサーを取り付け、
    この温度センサーからの信号をもとに、前記再生器の加熱源の加熱量を制御して凍結防止を図る制御装置を設ける
    ことを特徴とする2段吸収冷温水機。
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