JP4090137B2 - 吸収冷温水機の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷房などの冷却作用を行う冷水と、暖房などの加熱作用を行う温水とを選択的に供給することができる吸収冷温水機に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の吸収冷温水機を用いた暖房運転においては、暖房負荷が小さいときには高温再生器に投入する熱量を抑えて高温再生器から蒸発器に供給する冷媒蒸気の保有熱を少なくし、暖房負荷が大きいときには高温再生器に投入する熱量を増やして高温再生器から蒸発器に供給する冷媒蒸気の保有熱を増やし、これにより暖房負荷が小さいときには蒸発器の内部に配管した伝熱管内部を通る温水に対する加熱作用を少なくし、暖房負荷が大きいときには前記伝熱管の内部を通る温水に対する加熱作用を増やすことで、負荷の増減に対応している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の吸収冷温水機においては、暖房負荷が殆どない状態が継続して高温再生器における加熱を停止しても、蒸発器の内部に配管された伝熱管内にある温水は、この温水を暖房負荷に循環供給しているポンプのジュール熱によって加熱されるため、設定温度を超えて上昇し、安全装置が働いて設備が緊急停止することがあると云った問題点があり、この解決が課題となっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来技術の課題を解決するための具体的手段として、冷媒を多量に吸収した稀吸収液を加熱して冷媒を蒸発分離し、稀吸収液から冷媒蒸気と中間吸収液を得る高温再生器と、この高温再生器で生成して供給される中間吸収液を高温再生器で生成した冷媒蒸気で加熱してさらに冷媒を蒸発分離し、中間吸収液から冷媒蒸気と濃吸収液を得る低温再生器と、この低温再生器で中間吸収液を加熱して凝縮した冷媒液が供給されると共に、低温再生器で生成して供給される冷媒蒸気を冷却して冷媒液を得る凝縮器と、この凝縮器から供給されて冷媒液溜りに溜まった冷媒液が冷媒ポンプにより伝熱管の上に散布され、伝熱管内を流れる流体から熱を奪って冷媒が蒸発する蒸発器と、この蒸発器で生成して供給される冷媒蒸気を低温再生器から冷媒蒸気を分離して供給される濃吸収液に吸収させて稀吸収液にし、高温再生器に供給する吸収器とを備え、冷媒に蒸発熱を奪われた前記流体を蒸発器の伝熱管から被冷却部に供給して冷却作用を行うことが可能であると共に、高温再生器で加熱生成した冷媒蒸気を蒸発器に供給可能に配管接続し、高温再生器から供給される冷媒蒸気によって加熱した前記流体を蒸発器の伝熱管から被加熱部に循環供給して加熱作用を行うことも可能に構成した吸収冷温水機の加熱作用運転時において、被加熱部の負荷が小さく、蒸発器の伝熱管から被加熱部に前記流体を循環供給するポンプのジュール熱によって前記流体の温度が設定温度を超えたときに、冷媒ポンプを起動するようにした第1の制御方法と、
【0005】
前記第1の構成の制御方法において、冷媒ポンプを所定時間運転しても前記流体の温度が設定温度より下がらないときに、蒸発器の伝熱管から被加熱部に前記流体を循環供給するポンプの運転を停止するようにした第2の制御方法と、
を提供することにより、前記した従来技術の課題を解決するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に例示したものは、冷水または温水を負荷に循環供給する二重効用吸収冷温水機であり、冷媒に水を、吸収液に臭化リチウム(LiBr)水溶液を使用したものである。
【0007】
図において、1はガスバーナ1Bを備えた高温再生器、2は低温再生器、3は凝縮器、4は蒸発器、5は吸収器、6は低温熱交換器、7は高温熱交換器、8〜11は吸収液管、13は吸収液ポンプ、14〜18は冷媒管、19は冷媒ポンプ、21は図示しない冷/暖房負荷に循環供給する冷水または温水が流れる冷温水管、22は冷温水ポンプ、23は冷却水管、24と25は均圧管、26〜29は開閉弁であり、これらの機器はそれぞれ図1に示したように配管接続されており、この構成自体は従来周知である。
【0008】
そして、上記構成の二重効用吸収冷温水機において、開閉弁26・27・28・29を閉じ、冷却水管23に冷却水を流し、ガスバーナ1Bに点火して高温再生器1で稀吸収液を加熱すると、稀吸収液から蒸発分離した冷媒蒸気と、冷媒蒸気を分離して吸収液の濃度が高くなった中間吸収液とが得られる。
【0009】
高温再生器1で生成された高温の冷媒蒸気は、冷媒管14を通って低温再生器2に入り、高温再生器1で生成され吸収液管9により高温熱交換器7を経由して低温再生器2に入った中間吸収液を加熱して放熱凝縮し、凝縮器3に入る。
【0010】
また、低温再生器2で加熱されて中間吸収液から蒸発分離した冷媒は凝縮器3へ入り、冷却水管23内を流れる水と熱交換して凝縮液化し、冷媒管14から凝縮して供給される冷媒と一緒になって冷媒管16を通って蒸発器4に入る。
【0011】
蒸発器4に入って冷媒液溜りに溜まった冷媒液は、冷温水管21に接続された伝熱管21Aの上に冷媒ポンプ19によって散布され、冷温水管21を介して供給される水と熱交換して蒸発し、伝熱管21Aの内部を流れる水を冷却する。
【0012】
そして、蒸発器4で蒸発した冷媒は吸収器5に入り、低温再生器2で加熱されて冷媒を蒸発分離し、吸収液の濃度が一層高まった吸収液、すなわち吸収液管10により低温熱交換器6を経由して供給され、上方から散布される濃吸収液に吸収される。
【0013】
吸収器5で冷媒を吸収して濃度の薄くなった吸収液、すなわち稀吸収液は吸収液ポンプ13の運転により、低温熱交換器6・高温熱交換器7を経由して高温再生器1へ吸収液管8から送られる。
【0014】
上記のように吸収冷温水機の運転が行われると、蒸発器4の内部に配管された伝熱管21Aにおいて冷媒の気化熱によって冷却された冷水が、冷温水ポンプ22の運転により冷温水管21を介して図示しない冷/暖房負荷に循環供給できるので、冷房運転などが行える。
【0015】
一方、開閉弁26・27・28・29を開け、冷却水管23に冷却水を流さないでガスバーナ1Bに点火して高温再生器1で稀吸収液を加熱すると、高温再生器1で稀吸収液から蒸発した冷媒は主に流路抵抗の小さい冷媒管14・15を通って吸収器5・蒸発器4に入り、冷温水管21から供給される水と伝熱管21Aを介して熱交換して凝縮し、主にこのときの凝縮熱によって伝熱管21Aの内部を流れる水が加熱される。
【0016】
蒸発器4で加熱作用を行って凝縮した冷媒は、冷媒管17・18を通って吸収器5に入り、高温再生器1で冷媒を蒸発分離して吸収液管11から流入する吸収液と混合され、吸収液ポンプ13の運転によって低温熱交換器6・高温熱交換器66経て高温再生器1へ送られる。
【0017】
そして、蒸発器4内部の伝熱管21Aで加熱された温水を冷温水ポンプ22の運転により冷温水管21を介して図示しない冷/暖房負荷に循環供給することにより、暖房運転などが行なわれる。
【0018】
なお、冷却水管23内で停滞している冷却水が吸収器5で加熱されても、均圧管25の開閉弁29が開弁して圧力の逃げが可能であるので、冷却水管23の圧力が異常に高くなることはない。
【0019】
Cは、上記のような動作機能を有する二重効用吸収冷温水機に設けた制御器であり、マイコンや記憶手段などを備えて構成され、図示しない冷/暖房負荷に冷温水を循環供給するための冷温水管21に蒸発器4の伝熱管21Aから流れ出た冷温水の温度情報を、冷温水管21の蒸発器4出口側に設けた温度センサ30から取り込み、この冷温水の蒸発器出口側温度が所定の設定温度に維持されるように、ガスバーナ1Bに接続された図示しない加熱量制御弁の開度を調節して高温再生器1への入熱量を制御する従来周知の容量制御機能を備えている。
【0020】
すなわち、制御器Cには、予め決めた設定温度と温度センサ30が検出した冷温水の温度との差が大きければ大きいほど、ガスバーナ1Bに接続された加熱量制御弁の開度を大きくし、温度センサ30が検出した冷温水の温度が設定温度に達すると、加熱量制御弁の開度を設定開度に抑えるか、閉じる等の通常の容量制御を行うための制御プログラムを記憶手段に格納して備えている。
【0021】
また、制御器Cは、高温再生器1にある吸収液の液面が所定のレベルを維持するように吸収液ポンプ13の運転を制御すると共に、冷房運転時に温度センサ30が検出した冷水の温度が設定温度(例えば7℃)より高いときに冷媒ポンプ19を運転するための制御プログラムも記憶手段に備えている。
【0022】
さらに、この制御器Cは、蒸発器4の伝熱管21Aで設定温度(例えば55℃)に加熱した温水を冷温水管21を介して図示しない冷/暖房負荷に循環供給して暖房運転を行う際に、冷媒ポンプ19と冷温水ポンプ22とを図2に示したように制御するための制御プログラムも記憶手段に備えている。
【0023】
すなわち、制御器Cは、ステップS1においては温度センサ30によって、蒸発器4内に設置された伝熱管21Aで加熱されて冷温水管21に流れ出た温水の温度T1を検出する。
【0024】
ステップS2では、温度センサ30が検出した温水出口側温度T1が、設定温度より例えば10℃高い65℃よりさらに高いか否かを判定し、高いときにはステップS3に移行し、そうでないときにはステップS1に戻る。
【0025】
ステップS3では、図示しない冷/暖房負荷から冷温水管21を通って蒸発器4の伝熱管21Aに戻っている温水の温度T2を、冷温水管21の蒸発器4入口側に設置した温度センサ31によって検出する。
【0026】
ステップS4では、冷温水管21を流れている温水の蒸発器4への出入口温度差が0.5℃より小さいか否かを判定し、ノー、すなわち温水が冷/暖房負荷に十分に放熱して戻ってきたときにはステップS1に戻り、イエス、すなわち温水が冷/暖房負荷に殆ど放熱しないで戻ってきたときにはステップS5に移行して、冷媒ポンプ19を所定時間、例えば10秒間だけ運転する。
【0027】
冷媒ポンプ19が運転を停止した後、ステップS6に移行して温水出口側温度T1を温度センサ30によって再度検出する。
【0028】
ステップS7では温水出口側温度T1が63℃より高いか否かを判定し、高くないときにはステップS1に戻り、高いときにはステップS8に移行して冷媒ポンプ19を再び10秒間だけ運転し、その後ステップS9に移行して温水出口側温度T1を温度センサ30によってさらに検出する。
【0029】
ステップS10ではステップS7と同様の判定を行い、温水出口側温度T1が63℃より高くないときにはステップS1に戻り、ここでも63℃より高いときには、冷媒ポンプ19を運転し温度の低い冷媒液を伝熱管21Aに散布しても温水出口側温度T1が所定の設定温度にまで低下しないので、ステップS11に移行して冷温水ポンプ22の運転を停止し、さらにステップS12に移行してブザーの吹鳴、ライトの点灯・点滅などで警報を発し、制御を終了する。
【0030】
したがって、本発明によれば、ガスバーナ1Bによる加熱を停止して暖房負荷の減少に対応しているときに、冷温水ポンプ22が暖房負荷に循環供給する冷温水管21内の温水が冷温水ポンプ22のジュール熱で加熱されて温度上昇すると、その都度運転される冷媒ポンプ19によって蒸発器4の冷媒液溜りに溜まった温度の低い凝縮冷媒液が伝熱管21Aの上に散布されて内部の温水を冷却するので、冷温水管21を流れる温水の温度が異常に高くなって安全装置が作動し、設備が緊急停止すると云った不都合は殆どなくなる。
【0031】
なお、制御器Cとしては、冷媒ポンプ19の所定時間の運転、温度センサ30による温水出口側温度T1の検出、この温水出口側温度T1が63℃より高いか否かの判定を、3回以上繰り返すように構成しても良い。
【0032】
また、制御器Cとしては、一旦起動させた冷媒ポンプ19を温度センサ30が検出する温水出口側温度T1が所定の63℃より低くるとその時点で運転を停止させてステップS1に戻り、所定時間、例えば30秒間連続運転しても温水出口側温度T1が63℃より低くならないときには、冷媒ポンプ19の運転停止と、警報を出して制御を終了するように、ステップS5以降の制御を構成しても良い。
【0033】
また、制御器Cは、ステップS2、S3の動作を省略して、冷媒ポンプ19と冷温水ポンプ22の運転を制御するように構成することなども可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、高温再生器における吸収液の加熱を停止して暖房負荷の減少に対応しているときに、冷温水ポンプが暖房負荷に循環供給する温水が冷温水ポンプのジュール熱で加熱されて温度上昇すると、その都度運転される冷媒ポンプによって蒸発器の冷媒液溜りに溜まった温度の低い冷媒液が伝熱管の上に散布されて内部の温水を冷却するので、冷却設備を別途組み付けなくても、暖房負荷に循環供給する温水の温度が異常に高くなって安全装置が作動し、設備が緊急停止すると云った不都合は殆どなくなった。
【0035】
また、冷媒ポンプを運転しても前記温水の温度が設定温度まで低下しないときには、冷温水ポンプの運転を停止して温水のそれ以上の温度上昇を防止するので、設備が異常高温によって破損する危険もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】装置構成の説明図である。
【図2】制御方法の説明図である。
【符号の説明】
1 高温再生器
1B ガスバーナ
2 低温再生器
3 凝縮器
4 蒸発器
5 吸収器
6 低温熱交換器
7 高温熱交換器
8〜11 吸収液管
13 吸収液ポンプ
14〜18 冷媒管
19 冷媒ポンプ
21 冷温水管
22 冷温水ポンプ
23 冷却水管
24・25 均圧管
26〜29 開閉弁
30・31 温度センサ
C 制御器
Claims (2)
- 冷媒を多量に吸収した稀吸収液を加熱して冷媒を蒸発分離し、稀吸収液から冷媒蒸気と中間吸収液を得る高温再生器と、この高温再生器で生成して供給される中間吸収液を高温再生器で生成した冷媒蒸気で加熱してさらに冷媒を蒸発分離し、中間吸収液から冷媒蒸気と濃吸収液を得る低温再生器と、この低温再生器で中間吸収液を加熱して凝縮した冷媒液が供給されると共に、低温再生器で生成して供給される冷媒蒸気を冷却して冷媒液を得る凝縮器と、この凝縮器から供給されて冷媒液溜りに溜まった冷媒液が冷媒ポンプにより伝熱管の上に散布され、伝熱管内を流れる流体から熱を奪って冷媒が蒸発する蒸発器と、この蒸発器で生成して供給される冷媒蒸気を低温再生器から冷媒蒸気を分離して供給される濃吸収液に吸収させて稀吸収液にし、高温再生器に供給する吸収器とを備え、冷媒に蒸発熱を奪われた前記流体を蒸発器の伝熱管から被冷却部に供給して冷却作用を行うことが可能であると共に、高温再生器で加熱生成した冷媒蒸気を蒸発器に供給可能に配管接続し、高温再生器から供給される冷媒蒸気によって加熱した前記流体を蒸発器の伝熱管から被加熱部に循環供給して加熱作用を行うことも可能に構成した吸収冷温水機の加熱作用運転時において、被加熱部の負荷が小さく、蒸発器の伝熱管から被加熱部に前記流体を循環供給するポンプのジュール熱によって前記流体の温度が設定温度を超えたときに、冷媒ポンプを起動することを特徴とする吸収冷温水機の制御方法。
- 冷媒ポンプを所定時間運転しても前記流体の温度が設定温度より下がらないときに、蒸発器の伝熱管から被加熱部に前記流体を循環供給するポンプの運転を停止することを特徴とする請求項1記載の吸収冷温水機の制御方法。
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