JP3943354B2 - 液体封入型エンジンマウント - Google Patents

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    • F16F13/00Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs
    • F16F13/04Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper
    • F16F13/26Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper characterised by adjusting or regulating devices responsive to exterior conditions
    • F16F13/268Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper characterised by adjusting or regulating devices responsive to exterior conditions comprising means for acting dynamically on the walls bounding an equilibration chamber

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液体封入型エンジンマウントの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンは、回転速度に応じて周波数や振幅の大きく異なる種々の振動を発生する。近年、エンジンの広範囲の振動を吸収し得るエンジンマウントの開発が進められている。この種のエンジンマウントとしては、例えば特開2001−27279の公報「液体封入型エンジンマウント」(以下、「従来の技術」と言う)が知られている。
【0003】
上記従来の技術は、同公報の図1及び図2に示される通り、エンジン側と車体側との間にゴムブロックB(符号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)を介在させ、このゴムブロックBに相対するようにダイヤフラム23を設け、ゴムブロックBとダイヤフラム23とで囲った閉塞空間を仕切部材Gで仕切ることで主液体室A1並びに副液体室A2を設け、仕切部材Gに設けたアイドル用オリフィスGa並びに常時連通オリフィスGbで主・副液体室A1,A2間を連通し、アイドル用オリフィス下端接続口9c(アイドル用オリフィスGaの開口部9c)をダイヤフラム23にて閉塞するようにダイヤフラム23をリターンばね24で弾発し、リターンばね24の弾発力に抗してアイドル用オリフィスGaを開放させるようにダイヤフラム23を開閉弁V1並びに切替弁V2にて駆動させるようにした、液体封入型エンジンマウントである。
【0004】
エンジン始動時には、エンジンがアイドル回転域で回転する。エンジンがアイドル回転域で回転しているときには、切替弁V2を切替え、エンジンの吸気管(インテークマニホールド)27の負圧を利用してダイヤフラム23を下げることで、アイドル用オリフィスGaの開口部9cを開くことができる。
【0005】
上記従来の技術によれば、エンジンがアイドル回転域で回転し、アイドル用オリフィスGaが連通状態のときは、主・副液体室A1,A2間を連通するアイドル用オリフィスGa内及び常時連通オリフィスGb内の作動液の流れとゴムブロックBの弾性変形とによって、エンジンの振動を減衰させることができる。
一方、エンジンがアイドル回転域を越えた高回転域(すなわち、通常走行時の回転域。)で回転し、アイドル用オリフィスGaが遮断状態のときは、作動液はアイドル用オリフィスGaを流れることができない。常時連通オリフィスGb内の作動液の流れとゴムブロックBの弾性変形とによって、エンジンの振動を減衰させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術は、仕切部材G(隔壁に相当する。)の接触面にダイヤフラム23の接触面が接触することで、ダイヤフラム23にてアイドル用オリフィスGaの開口部9cを閉塞するようにしたものである。これらの接触面は平坦な面である。開口部9cをダイヤフラム23で閉塞するときには、リターンばね24の弾発力によって、平坦な接触面同士が威勢良く当って接触する。
【0007】
ところで、アイドル用オリフィスGaの開口部9cをダイヤフラム23にて閉塞している状態で、エンジンを始動したとき、始動した瞬間においては、エンジンの吸気管27に負圧がほとんど発生していない。この負圧を利用してダイヤフラム23を開くことはできない。
【0008】
このため、始動した瞬間においてはクランキングの影響等を受けて、エンジンからゴムブロックBへ比較的大きい圧縮力が反復して作用する。この圧縮力は、瞬時だけ作用した後に速やかに解消するという、極めて反復周期の小さい荷重である。ゴムブロックBに作用した圧縮力に応じて、主液体室A1内の作動液は、常時連通オリフィスGbからだけではなく、アイドル用オリフィスGaからも流れ出ようとする。圧縮力が大きいので、主液体室A1からアイドル用オリフィスGaを介してダイヤフラム23に作用する液圧も大きい。液圧がリターンばね24の弾発力よりも大きい場合には、ダイヤフラム23が仕切部材Gの接触面から僅かに離れる。この結果、アイドル用オリフィスGaの開口部9cは開く。
【0009】
ダイヤフラム23が一瞬だけ離れた後に、エンジンからの圧縮力は解消する。従って、ダイヤフラム23はリターンばね24の弾発力により戻る。このときに、仕切部材Gの接触面にダイヤフラム23の接触面が威勢良く当って接触する。平坦な接触面同士が威勢良く当るので、接触音が発生し得る。このような接触音は車室内に伝わると騒音の要因となるので、小さいことが好ましい。
【0010】
そこで本発明の目的は、主・副液室を仕切る隔壁の接触面に対し、ダイヤフラムが閉じてその接触面が当たったときの、接触音の発生を抑制することができる技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、エンジンに取付けるエンジン取付部材と、車体に取付ける車体取付部材と、これらのエンジン・車体取付部材間に介在したゴム弾性体と、このゴム弾性体に相対するようにエンジン取付部材又は車体取付部材に取付けたダイヤフラムと、これらのゴム弾性体並びにダイヤフラムにて少なくとも一部を囲った閉塞空間からなる液封室と、この液封室をゴム弾性体側の主液室並びにダイヤフラム側の副液室に仕切った隔壁と、この隔壁を通して主・副液室間を連通した互いに通過抵抗の異なる第1オリフィス並びに第2オリフィスと、この第2オリフィスの開口部をダイヤフラムにて閉塞するべくダイヤフラムを弾発して隔壁に接触させる弾発手段と、この弾発手段の弾発力に抗して第2オリフィスを開放させるようにダイヤフラムを駆動するダイヤフラム駆動手段と、を備える液体封入型エンジンマウントにおいて、隔壁の接触面又は/及びダイヤフラムの接触面に、第2オリフィスの開口部の周囲よりも大きく包囲する凸状シール部を形成し、この凸状シール部の内側及び外側の双方で、且つ隔壁の接触面又は/及びダイヤフラムの接触面に、凸状シール部の高さよりも低く形成した複数の突起を設け、凸状シール部の内側及び外側の双方に位置する複数の突起を介して、ダイヤフラムを隔壁で受けるようにしたことを特徴とする。
【0012】
ダイヤフラムが閉じてその接触面が隔壁の接触面へ当たったときに、接触面同士の全体ではなく、凸状シール部の内側及び外側の双方に位置する複数の突起を介して、ダイヤフラムを隔壁で受けるようにした。すなわち、複数の突起凸部分だけが部分的に当たる。隔壁にダイヤフラムが接触した瞬間の、接触音の発生を抑制することができる。
【0013】
2オリフィスの開口部をダイヤフラムにて閉塞した際に、隔壁の接触面とダイヤフラムの接触面との間を突起の突出高さよりも高く形成したシール凸部にてシールすることができる。従って、ダイヤフラムによる開口部のシール性を十分に確保することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る液体封入型エンジンマウントの縦断面図であり、この液体封入型エンジンマウント10は、エンジンEnに取付けるエンジン取付部材20と、車体Bdに取付ける車体取付部材30と、これらのエンジン・車体取付部材20,30間に介在してエンジン・車体取付部材20,30同士を連結したゴム弾性体40と、後述する液封室60とを備えて、エンジンEnを振動防止をしつつ支持する防振支持機構である。
【0015】
ゴム弾性体40は、エンジン取付部材20と車体取付部材30との間で伝達される振動を、弾性変形することにより吸収するゴムブロックである。このゴム弾性体40は、一端部41から他端部42にかけて大径となる概ねベル状の部材であって、他端部42に下方へ大きく開放した空洞部43を有する。
【0016】
エンジン取付部材20は、エンジンEnをボルト21にて取付けて支持する支持プレート22と、支持プレート22の下に取付るとともにゴム弾性体40の一端部41を接合した第1連結部23とからなる。
【0017】
車体取付部材30は、ゴム弾性体40における他端部42の外側面を接合した円筒状の第2連結部31と、第2連結部31の下部に取付けた円筒状の支持台34とからなる。第2連結部31は、上半部32と下半部33とを一体的に組付けた部材である。支持台34の下面を車体Bdに取付けることになる。
【0018】
さらに上記液体封入型エンジンマウント10は、ゴム弾性体40に相対するように設けたダイヤフラム50と、ゴム弾性体40並びにダイヤフラム50にて少なくとも一部を囲った閉塞空間からなる液封室60と、液封室60をゴム弾性体40側の主液室61並びにダイヤフラム50側の副液室62に仕切った隔壁70と、隔壁70を通して主・副液室61,62間を連通した第1オリフィス111並びに第2オリフィス112と、第2オリフィス112の開口部102をダイヤフラム50にて閉塞するべくダイヤフラム50を弾発して隔壁70に接触させる弾発手段137と、弾発手段137の弾発力に抗して第2オリフィス112を開放させるようにダイヤフラム50を駆動するダイヤフラム駆動手段140と、を備えたことを特徴とする。以下、具体的に説明する。
【0019】
図2は本発明に係る液体封入型エンジンマウントの要部縦断面図であり、隔壁70が、上部仕切板80と中間仕切部材90と下部仕切部材100とをこの順に上から重ね合わせた複合仕切壁であることを示す。
上部仕切板80は、第2連結部31の下端と支持台34の上端との間に挟み込んだ金属製平板であり、上下貫通した第1孔81並びに第2孔82を有する。
【0020】
中間仕切部材90は、支持台34内に嵌め込んだ円筒91の上部を天板92で塞いだ形状のゴム製品又は軟質樹脂製品であり、第1孔81に連通する第1連通路93並びに第2孔82に連通する第2連通路94を有する。第1連通路93は縦孔95を介して、円筒91の内面に形成した内周溝96に連通する。
【0021】
下部仕切部材100は、中間仕切部材90の円筒91内に嵌め込んだ、概ね下向きにしたカップ状の金属製部材であり、内周溝96に連通する第1開口部101、並びに第2連通路94に連通する第2開口部102を有する。第1開口部101は、下部仕切部材100の円筒103に内外貫通させた孔である。第2開口部102は、下部仕切部材100の天板104の中央に内外貫通させた孔であって、「第2オリフィス112の開口部102」と言い換えることもできる。
【0022】
第1オリフィス111は、常時連通する常時連通オリフィスであって、互いに連通する、第1孔81と第1連通路と縦孔95と内周溝96と第1開口部101との組合せ構造からなる。
第2オリフィス112は、エンジンEnのアイドリング時に連通するアイドル用オリフィスであって、互いに連通する、第2孔82と第2連通路94と第2開口部102との組合せ構造からなる。
【0023】
上記ダイヤフラム50は、下部仕切部材100の円筒103内に嵌め込んだ、概ね下向きにしたカップ状の弾性変形可能な薄膜部材であって、例えばゴム製品又は軟質樹脂製品である。
支持台34から延した取付盤121と下部仕切部材100のフランジ105との間に、ダイヤフラム50の下端のフランジ51を挟み込むことで、車体取付部材30にダイヤフラム50を取付けることができる。
【0024】
主液室61は、ゴム弾性体40の空洞部43と隔壁70とで囲った空間である。副液室62は、ダイヤフラム50と隔壁70とで囲った空間である。これらの主・副液室61,62間は、第1・第2オリフィス111,112を介して連通している。主・副液室61,62は、作動液を封入する空間である。
【0025】
ところで、支持台34の下面にリング状抑え盤122にて底板123を取付けることで、ダイヤフラム50の下方に空間124を設け、この空間124に弁体131を配置した。弁体131は、概ね下向きにしたカップ状の弾性変形可能な薄膜部材であって、例えばゴム製品又は軟質樹脂製品である。取付盤121と底板123との間に、弁体131の下端のフランジ132を挟み込むことで、車体取付部材30に弁体131を取付けることができる。
【0026】
この弁体131の上端は、一体に設けた金属盤133を介してダイヤフラム50の天板52の内面に一体的に取付けたものである。
空間124は、弁体131によって大気連通室134と弁開閉用空気圧室135とに仕切られることになる。大気連通室134はダイヤフラム50と弁体131とで囲った空間であり、通気路136を介して大気に連通している。弁開閉用空気圧室135は底板123と弁体131とで囲った空間である。
【0027】
弾発手段137は、圧縮コイルばねからなるリターンばねであって、底板123と弁体131の上部内面との間に介在する。このような弾発手段137は、弁体131の上部並びにダイヤフラム50を第2オリフィス112の第2開口部102側へ弾発することで、第2開口部102をダイヤフラム50にて常時閉塞するように作用する。
【0028】
以上の説明から明らかなように、ダイヤフラム50、下部仕切部材100、第2オリフィス112の第2開口部102、底板123、弁体131並びに弾発手段137の組合せ構造は、第2オリフィス112を開閉するオリフィス開閉弁138を成す。
底板123は、弁開閉用空気圧室135に連通する傾斜した接続管139を有する。
【0029】
ここで、上記図1に一旦戻って説明を続ける。上記ダイヤフラム駆動手段140は、負圧によってオリフィス開閉弁138を駆動することで、第2オリフィス112を開閉する機構であって、接続管139に配管141並びに電磁式切替弁142を介して負圧源143を接続したものである。負圧源143は、例えばエンジンEnの吸気管(インテークマニホールド)144である。
制御部145の弁制御信号を受けた弁ドライバ146が弁切替え信号を発することで、電磁式切替弁142を切替えることができる。
【0030】
図3(a),(b)は本発明に係るダイヤフラムの構成図であり、(a)は断面構造を示し、(b)は平面構造を示す。
ダイヤフラム50の天板52は、周囲よりも中央部分が低く、この中央部分がほぼ平坦である。天板52の上面53は、隔壁70(図1参照)に対する接触面である。以下、上面53のことを「ダイヤフラム50の接触面53」と言う。
【0031】
本発明は、接触面53を凹凸状に形成するとともに、接触面53の中央部分に凸状シール部55を形成したことを特徴とする。具体的には、接触面53のほぼ前面にわたって、小さい半球状の複数の突起54・・・(・・・は複数を示す。以下、同じ。)を、千鳥配列にて一体に形成した。さらには、接触面53の中央部分に平面視環状の凸状シール部55を一体に形成した。
【0032】
図4は本発明に係る下部仕切部材とダイヤフラムの関係を示す断面図であり、下部仕切部材100の天板104に対するダイヤフラム50の天板52の接触関係を示す。上述のように、ダイヤフラム50の接触面53は、下部仕切部材100の天板104における底面106に沿って緩やかに凹むとともに、中央部分がほぼ平坦な形状を呈する。以下、底面106のことを「隔壁70の接触面106」と言う。
【0033】
ダイヤフラム50の接触面53に設けた多数の突起54・・・並びに凸状シール部55は、隔壁70の接触面106に対向する。凸状シール部55は、第2オリフィスの第2開口部102の周囲を包囲するように設けたものであり、先端に丸みを有る。凸状シール部55の突出高さは、突起54・・・の突出高さよりも若干大きい(0.3〜0.5mm程度)。
【0034】
図5は本発明に係る第1オリフィス並びに第2オリフィスを示す分解した透視図であり、第1オリフィス111の作動液Lqの流れを太い矢印で示し、第2オリフィス112の作動液Lqの流れを白抜き矢印で示する。
第1連通路93は、中間仕切部材90の外周寄りに形成した螺旋状溝である。第2連通路94は、中間仕切部材90の中央寄りに形成した螺旋状溝である。
【0035】
第1オリフィス111と第2オリフィス112とは、作動液Lqの通過抵抗が互いに異なる。例えば、孔径と連通長さの少なくとも一方が互いに異なるようにした。
具体的には、第1オリフィス111は、図1に示すエンジンEnが高回転域(アイドル回転域を越えた回転域。すなわち通常走行時の回転域。)で回転しているときの振動特性を考慮して設定するものである。一方、第2オリフィス112は、エンジンEnがアイドル回転域で回転しているときの振動特性を考慮して設定するものであり、第1オリフィス111に比べて、孔径が大きく且つ連通長さが小さい。
【0036】
上部仕切板80の上方の作動液Lqは、第1オリフィス111において、太い矢印で示すように第1孔81→第1連通路93→縦孔95→内周溝96→第1開口部101の各経路を経て、下部仕切部材100の中に流れることができる。下部仕切部材100の中の作動液Lqは、この太い矢印と逆方向に流れることができる。
【0037】
一方、上部仕切板80の上方の作動液Lqは、第2オリフィス112において、白抜き矢印で示すように第2孔82→第2連通路94→第2開口部102の各経路を経て、下部仕切部材100の中に流れることができる。下部仕切部材100の中の作動液Lqは、この白抜き矢印と逆方向に流れることができる。
【0038】
次に、上記構成の液体封入型エンジンマウント10の作用について、図1、図6〜図8に基づき説明する。
図1において、制御部145は図示せぬ各種センサ信号を受けて、エンジンEnの回転速度がアイドル回転域であるか否かを常時判断している。
【0039】
エンジンEnが高回転域(アイドル回転域を越えた回転域)で回転しているときには、上記図1に示す状態になる。すなわち、制御部145は弁制御信号を発しない。電磁式切替弁142は図1の状態にある。大気連通室134並びに弁開閉用空気圧室135の各圧力は、共に大気圧である。
【0040】
この状態においては、弾発手段137が弁体131を介してダイヤフラム50を弾発することで、ダイヤフラム50は第2オリフィス112の開口部102を閉塞している。このため、主液室61並びに副液室62の作動液Lqは第2オリフィス112を通過できない。
高速回転中のエンジンEnの振動、すなわち通常振動領域の振動を、作動液Lqが第1オリフィス111を通って主・副液体室61,62間を流れるとともに、ゴム弾性体40が弾性変形することによって、減衰させることができる。
【0041】
図6は本発明に係る液体封入型エンジンマウントの作用図(その1)であり、エンジンEnが所定のアイドル回転域で回転した状態を示す。
エンジンEnがアイドル回転域で回転しているときには、制御部145は弁制御信号を発する。弁制御信号を受けた弁ドライバ146は弁切替え信号を発して、電磁式切替弁142をこの図の状態に切替える。吸気管144内が負圧なので、弁開閉用空気圧室135の圧力は負圧になる。この結果、弁体131は弾発手段137の弾発力に抗して下がる。弁体131と一体のダイヤフラム50も下がり、第2オリフィス112の開口部102を開放させる。この結果、主液室61並びに副液室62の作動液Lqは第2オリフィス112を通過し得る。
【0042】
アイドル回転域で回転するエンジンEnの振動、すなわちアイドル振動領域の振動を、作動液Lqが第1オリフィス111及び第2オリフィス112を通って主・副液体室61,62間を流れるとともに、ゴム弾性体40が弾性変形することによって、減衰させることができる。
このようにして、エンジンEnが回転速度に応じて発する、周波数や振幅の大きく異なった広範囲の振動を減衰させることができる。
【0043】
図7(a)〜(c)は本発明に係る液体封入型エンジンマウントの作用図(その2)であり、(a)はエンジンEnからゴム弾性体40に圧縮力F1が作用した状態を示し、(b),(c)はそのときのダイヤフラム50の作用を示す。
【0044】
一般に、第2オリフィス112の開口部102をダイヤフラム50にて閉塞している状態で、エンジンEnを始動したとき、始動した瞬間においては、エンジンEnの吸気管144(図1参照)に負圧がほとんど発生していない。この負圧を利用してダイヤフラム50を開くことはできない。
【0045】
このため、図7(a),(b)に示すように、始動した瞬間においてはクランキングの影響等を受けて、エンジンEnからゴム弾性体40へ比較的大きい圧縮力F1が反復して作用する。この圧縮力F1は、瞬時だけ作用した後に速やかに解消するという、極めて反復周期の小さい荷重である。ゴム弾性体40に作用した圧縮力F1に応じて、主液室61内の作動液Lqは、第1オリフィス111からだけではなく、第2オリフィス112からも流れ出ようとする。圧縮力が大きいので、主液室61から第2オリフィス112を介してダイヤフラム50に作用する液圧Prも大きい。
図7(c)に示すように、液圧Prが弾発手段137の弾発力よりも大きい場合には、ダイヤフラム50の接触面53が隔壁70の接触面106から距離δだけ僅かに離れる。この結果、第2オリフィス112の開口部102は開く。
【0046】
図8(a)〜(c)は本発明に係る液体封入型エンジンマウントの作用図(その3)であり、(a)はエンジンEnからゴム弾性体40に作用した圧縮力F1が解消した状態を示し、(b),(c)はそのときのダイヤフラム50の作用を示す。
【0047】
図8(a),(b)に示すように、ダイヤフラム50が一瞬だけ離れた後に、エンジンEnからの圧縮力F1は解消する。従って、ダイヤフラム50は弾発手段137の弾発力により戻る。このときに、図8(c)に示すように、ダイヤフラム50の接触面53が隔壁70の接触面106に威勢良く当って接触する。
【0048】
本発明のダイヤフラム50の接触面53は凹凸状に形成したことを特徴とする。ダイヤフラム50が閉じてその接触面53が隔壁70の接触面106へ当たったときに、接触面53,106同士の全体ではなく凸部分だけ、すなわち、小さい半球状の複数の突起54・・・だけが部分的に当たる。従って、ダイヤフラム50が隔壁70に接触した瞬間の接触音の発生を、簡単な構成で極めて容易に抑制することができる。
【0049】
しかも、ゴム製の小さい複数の突起54・・・である。隔壁70の接触面106に突起54・・・が当った瞬間には、突起54・・・の半球状の先端に集中荷重が作用し、極めて容易に弾性変形することで、衝撃力を吸収する。この結果、接触した瞬間の接触音の発生をより効率良く速やかに抑制することができる。
【0050】
さらに本発明のダイヤフラム50の接触面53は、第2オリフィス112の開口部102の周囲を包囲する凸状シール部55を形成したことを特徴とする。第2オリフィス112の開口部102をダイヤフラム50にて閉塞した際に、ダイヤフラム50の接触面53と隔壁70の接触面106との間を、シール凸部55にて容易にシールすることができる。従って、ダイヤフラム50による開口部102のシール性を十分に確保することができる。
【0051】
さらにまた、ダイヤフラム50の接触面53を凹凸状に形成するとともに、接触面53の中央部分に凸状シール部55を形成したので、隔壁70の接触面106を凹凸状に形成したり、接触面106にシール凸部55を形成するよりも、成形が容易である。
【0052】
なお、上記本発明の実施の形態において、ダイヤフラム50は、ゴム弾性体に相対するようにエンジン取付部材20又は車体取付部材30に取付けたものであればよい。
また、ダイヤフラム50の接触面53と隔壁70の接触面106との一方又は両方を、凹凸状に形成すればよい。
さらにまた、ダイヤフラム50の接触面53と隔壁70の接触面106との一方又は両方に、凸状シール部55を形成すればよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、隔壁の接触面又は/及びダイヤフラムの接触面に、第2オリフィスの開口部の周囲よりも大きく包囲する凸状シール部を形成し、この凸状シール部の内側及び外側の双方で、且つ隔壁の接触面又は/及びダイヤフラムの接触面に、凸状シール部の高さよりも低く形成した複数の突起を設け、凸状シール部の内側及び外側の双方に位置する複数の突起を介して、ダイヤフラムを隔壁で受けるようにしたので、ダイヤフラムが閉じてその接触面が隔壁の接触面へ当たったときに、接触面同士の全体ではなく、凸部分だけが部分的に当たる。このようにして、隔壁にダイヤフラムが接触した瞬間の接触音の発生を、簡単な構成で極めて容易に抑制することができる。
【0054】
また、第2オリフィスの開口部の周囲を包囲する凸状シール部を隔壁の接触面とダイヤフラムの接触面の一方又は両方に突起の突出高さよりも高く形成したので、第2オリフィスの開口部をダイヤフラムにて閉塞した際に、隔壁の接触面とダイヤフラムの接触面との間をシール凸部にて容易にシールすることができる。従って、ダイヤフラムによる開口部のシール性を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体封入型エンジンマウントの縦断面図
【図2】本発明に係る液体封入型エンジンマウントの要部縦断面図
【図3】本発明に係るダイヤフラムの構成図
【図4】本発明に係る下部仕切部材とダイヤフラムの関係を示す断面図
【図5】本発明に係る第1オリフィス並びに第2オリフィスを示す分解した透視図
【図6】本発明に係る液体封入型エンジンマウントの作用図(その1)
【図7】本発明に係る液体封入型エンジンマウントの作用図(その2)
【図8】本発明に係る液体封入型エンジンマウントの作用図(その3)
【符号の説明】
10…液体封入型エンジンマウント、20…エンジン取付部材、30…車体取付部材、40…ゴム弾性体、50…ダイヤフラム、53…ダイヤフラムの接触面、54…突起、55…凸状シール部、60…液封室、61…主液室、62…副液室、70…隔壁、102…第2オリフィスの開口部、111…第1オリフィス、112…第2オリフィス、137…弾発手段、140…ダイヤフラム駆動手段、En…エンジン、Bd…車体、Lq…作動液。

Claims (1)

  1. エンジンに取付けるエンジン取付部材と、車体に取付ける車体取付部材と、これらのエンジン・車体取付部材間に介在したゴム弾性体と、このゴム弾性体に相対するように前記エンジン取付部材又は前記車体取付部材に取付けたダイヤフラムと、これらのゴム弾性体並びにダイヤフラムにて少なくとも一部を囲った閉塞空間からなる液封室と、この液封室を前記ゴム弾性体側の主液室並びに前記ダイヤフラム側の副液室に仕切った隔壁と、この隔壁を通して前記主・副液室間を連通した互いに通過抵抗の異なる第1オリフィス並びに第2オリフィスと、この第2オリフィスの開口部を前記ダイヤフラムにて閉塞するべくダイヤフラムを弾発して前記隔壁に接触させる弾発手段と、この弾発手段の弾発力に抗して前記第2オリフィスを開放させるように前記ダイヤフラムを駆動するダイヤフラム駆動手段と、を備える液体封入型エンジンマウントにおいて、
    前記隔壁の接触面又は/及び前記ダイヤフラムの接触面に、前記第2オリフィスの開口部の周囲よりも大きく包囲する凸状シール部を形成し、
    この凸状シール部の内側及び外側の双方で、且つ前記隔壁の接触面又は/及び前記ダイヤフラムの接触面に、前記凸状シール部の高さよりも低く形成した複数の突起を設け、前記凸状シール部の内側及び外側の双方に位置する前記複数の突起を介して、前記ダイヤフラムを前記隔壁で受けるようにしたことを特徴とする液体封入型エンジンマウント。
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