JP3942958B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
結着樹脂中への着色剤、荷電制御剤等の添加剤の分散性を向上させ得るトナーの製造方法として、連続式2本ロール型混練機を用いて原料組成物を溶融混練する方法が提案されている(特開2001−166530号公報等)。
【0003】
しかしながら、荷電制御剤として、クロム等を含有する有機金属化合物を用いた場合には、多数枚の印字によって、画像上に白スジが発生するという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、多数枚の印字後も、画像に白スジを発生することのない耐久性に優れたトナーの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤及び有機鉄化合物をオープンロール型混練機を用いて溶融混練する工程を有するトナーの製造方法であって、前記結着樹脂が架橋ポリエステルであり、前記有機鉄化合物がアゾ系鉄錯体であり、前記オープンロール型混練機が、温度差が80〜120℃の2本ロールを有する混練機であるトナーの製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、2種以上の樹脂成分が部分的に化学結合したハイブリッド樹脂等が挙げられ、特に限定されないが、これらの中では、着色剤の分散性の観点からポリエステル及びポリエステル成分とビニル系樹脂成分とを有するハイブリッド樹脂が好ましく、ポリエステルがより好ましい。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中50〜100重量%、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは100重量%が特に好ましい。
【0007】
ポリエステルの原料モノマーとしては、2価以上のアルコールからなるアルコール成分と、2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等のカルボン酸化合物からなるカルボン酸成分が用いられる。
【0008】
アルコール成分としては、式(III):
【0009】
【化2】
Figure 0003942958
【0010】
(式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、x及びyは正の数を示し、xとyの和は1〜16である)で表される化合物が含有されていることが好ましい。
【0011】
式(I)で表される化合物としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。また、その他のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール成分等が挙げられる。
【0012】
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸、これらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜8)エステル等が挙げられる。
【0013】
なお、ポリエステルは、定着性の観点から、架橋ポリエステルであるのが好ましい。従って、アルコール成分及びカルボン酸成分の少なくとも一方には、架橋剤として3価以上のカルボン酸化合物又は3価以上のアルコールが含有されているのが好ましい。3価以上のカルボン酸化合物の含有量は、全カルボン酸成分中、5〜50モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。また、3価以上のアルコールの含有量は、全アルコール成分中、5〜50モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。
【0014】
ポリエステルはアルコール成分とカルボン酸成分を、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合させることにより製造することができる。
【0015】
ポリエステルの酸価は、着色剤の分散性、トナーの帯電性の観点から、0.5〜60mgKOH/gが好ましく、水酸基価は、1〜60mgKOH/gが好ましい。
【0016】
また、ポリエステルの軟化点は、80〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜90℃が好ましい。
【0017】
また、本発明において、ハイブリッド樹脂は、2種以上の樹脂を原料として得られたものであっても、1種の樹脂と他種の樹脂の原料モノマーから得られたものであっても、さらに2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものであってもよいが、効率よくハイブリッド樹脂を得るためには、2種以上の樹脂の原料モノマーの混合物から得られたものが好ましい。
【0018】
従って、ハイブリッド樹脂としては、各々独立した反応経路を有する二つの重合系樹脂の原料モノマー、好ましくはポリエステルの原料モノマーとビニル系樹脂の原料モノマーを混合し、該二つの重合反応を行わせることにより得られる樹脂が好ましく、具体的には、特開平10−087839号公報に記載のハイブリッド樹脂が好ましい。
【0019】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナー、フルカラートナーのいずれにも使用することができる。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
【0020】
有機鉄化合物としては、アゾ系鉄錯体、ヒドロキシカルボン酸系鉄錯体、4級アンモニウム系鉄錯体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、本発明では、結着樹脂への分散性及び相溶性の観点から、式(I):
【0021】
【化3】
Figure 0003942958
【0022】
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立してハロゲン原子又はニトロ基、R3 及びR4 は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又は−CO−NH−(C6 5 )基、Xn+はカチオン、nは1又は2の整数を示す)
で表される化合物及び式(II):
【0023】
【化4】
Figure 0003942958
【0024】
(式中、R5 〜R8 は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、Xn+及びnは前記と同じ)
で表される化合物が好ましく、式(I)で表される化合物がより好ましい。
【0025】
式中、Xn+が示すカチオンとしては、H+ 、Na+ 、K+ 、Li+ 等のアルカリ金属イオン、NH4 + 等の1価カチオン;Ca2+、Mg2+、Zn2+等の2価カチオンが挙げられ、これらの中では、1価カチオンが好ましく、NH4 + 、H+ 及びNa+ がより好ましい。
【0026】
1 及びR2 としては、ハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0027】
3 及びR4 としては、−CO−NH−(C6 5 )基が好ましい。
【0028】
5 〜R8 としては、t−ブチル基が好ましい。
【0029】
なお、式(I)で表される化合物は、特開昭61−155464号公報等にその製造方法が詳細に記載されており、これに準じて容易に合成することができるが、市販品としては、例えば、式(Ia):
【0030】
【化5】
Figure 0003942958
【0031】
(式中、Y+ はNH4 + 、H+ 又はNa+ を示す)
で表される化合物からなる「T−77」(保土谷化学工業社製)が挙げられる。
【0032】
また、式(II)で表される化合物の市販品としては、式(IIa):
【0033】
【化6】
Figure 0003942958
【0034】
で表される化合物からなる「X−11」(オリヱント化学工業社製)等の市販品として、入手することができる。
【0035】
有機鉄化合物の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましく、0.85〜2.0重量部がより好ましい。
【0036】
なお、有機鉄化合物は、トナー用荷電制御剤として公知の化合物であるが、有機鉄化合物以外の荷電制御剤が、本発明の効果を損なわない範囲で適宜併用されていてもよい。
【0037】
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂、着色剤及び有機鉄化合物を、オープンロール型混練機を用いて溶融混練する工程を有する方法であれば特に限定されない。本発明では、有機鉄化合物を用いることにより、有機クロム化合物等を含む原料をオープンロール型混練機により溶融混練した際に生じる画像の白スジの発生を防止することができる。画像の白スジの発生原因は、結着樹脂に極めて局所的な後架橋が発生し、それにより生じた非常に高い軟化点を有する微小粒子にあるものと考えられるが、本発明では、理由は不明なるも、有機鉄化合物の使用により、かかる微小粒子の発生が著しく低減するのではないかと推定される。
【0038】
溶融混練工程は、例えば、結着樹脂、着色剤及及び有機鉄化合物を含み、必要に応じて添加剤を併用した原料を、ヘンシェルミキサー等の混合機で適宜混合し、テーブルフィーダー、減算式スクリューフィーダー等を用いてオープンロール型混練機に投入して行うことができる。なお、原料は、混練機のロールをロール間で下向きに回転するように互いに逆方向に回転させたロールの上面又はその間隙に投入することが好ましい。
【0039】
本発明で用いるオープンロール型混練機としては、互いに近接して配設された2本のロールを有する二本ロール型混練機であるのが好ましく、また、生産効率と設備の簡素化の観点から連続式の混練機であるのが好ましい。
【0040】
2本のロールは互いに近接して配設されているのが好ましく、ロールの間隙は、0.01〜5mmが好ましく、0.05〜2mmがより好ましい。2本のロールは並行であっても、非並行であってもよい。
【0041】
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよい。
【0042】
ロールの回転速度は、互いに異なっているのが好ましい。回転速度が速い方のロール(高回転ロール)では、50〜150r/minが好ましく、50〜100r/minがより好ましい。また、回転速度が遅い方のロール(低回転ロール)では、高回転ロールの回転速度よりも、10〜75r/min、より好ましくは10〜30r/min低回転であるのが好ましい。
【0043】
ロールの温度は、各ロールに熱媒体を通すことにより加熱又は冷却を行うことによって調整できる。なお、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
【0044】
高回転ロールの温度は、結着樹脂の軟化点及び離型剤の融点のいずれの温度よりも高いことが好ましく、そのいずれかの高い方の温度よりも、0〜80℃高いことがより好ましく、0〜50℃高いことが特に好ましい。また、低回転ロールの温度は、結着樹脂の軟化点及び離型剤の融点のいずれの温度よりも低いことが好ましく、そのいずれかの低い方の温度よりも、0〜80℃低いことがより好ましく、40〜80℃低いことが特に好ましい。
【0045】
高回転ロールと低回転ロールの温度の差は、60〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。なお、ロールの温度は、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
【0046】
さらに、オープンロール型混練機を用いて溶融混練した混練物を、例えば、冷却、粉砕、分級工程等の公知の粉砕トナーの製造工程に供することにより、トナーを得ることができる。
【0047】
本発明により得られるトナーの体積平均粒子径は3〜15μmが好ましい。また、トナーと疎水性シリカ等の流動性向上剤等の外添剤とをスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の高速攪拌機等で攪拌混合することにより、トナー表面に外添剤を添加してもよい。
【0048】
本発明の方法により得られるトナーは、荷電制御剤として機能する有機鉄化合物の分散性が良好で、帯電性に優れているため、トナーの帯電が比較的困難な非磁性一成分現像用トナーとしても好適に用いられる。
【0049】
従って、本発明ではさらに、本発明の方法により得られたトナーを用いた非磁性一成分現像方法、即ち、本発明の方法により得られたトナーを、ブレードとの摩擦帯電により帯電させ、静電潜像に付着させる工程を有する、トナーの現像方法を提供する。かかる現像方法では、トナーの帯電がブレードとの摩擦帯電によるために、前記の如く、トナーの帯電が比較的困難であるが、本発明の方法により得られた、帯電性に優れたトナーを用いることにより、トナーの帯電を良好に行うことができる。
【0050】
【実施例】
〔軟化点〕
高化式フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)を用い、樹脂の半分が流出する温度を軟化点とする(試料:1g、昇温速度:6℃/分、荷重:1.96MPa、ノズル:1mmφ×1mm)。
【0051】
〔ガラス転移点及び融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて昇温速度10℃/分で測定する。
【0052】
〔酸価及び水酸基価〕
JIS K0070の方法により測定する。
【0053】
樹脂製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン2450g、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン975g、テレフタル酸975g、n−ドデセニル無水コハク酸804g及び酸化ジブチル錫4gの混合物を、温度計、ステンレス攪拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を装備した4つ口フラスコに入れ、電熱マントル中で230℃に昇温させて窒素気流下で反応させた。反応により生成する水が流出しなくなった時点で測定した酸価は、2.0mgKOH/gであった。
さらに、無水トリメリット酸480gを加えて約8時間反応させ、酸価が25mgKOH/gに達した時点で反応を終了させて、淡黄白色の固体として架橋ポリエステル(樹脂A)を得た。樹脂Aのガラス転移点は61℃、軟化点は133℃であった。
【0054】
樹脂製造例2
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン350g、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン975g、テレフタル酸299g、トリメリット酸2g及び酸化ジブチル錫4gの混合物を、温度計、ステンレス攪拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を装備した4つ口フラスコに入れ、電熱マントル中で230℃に昇温させて窒素気流下で反応させた。反応により生成する水が流出しなくなった時点で、フラスコ内を減圧し、樹脂製造例1と同様にして、軟化点が110℃に達するまで反応させて、白色の固体として、実質的に線状構造を有するポリエステル(樹脂B)を得た。樹脂Bのガラス転移点は64℃、酸価は6.0mgKOH/g、水酸基価は39mgKOH/gであった。
【0055】
実施例1
樹脂A 100重量部、カーボンブラック「モーガル L」(キャボット製)3.5重量部、離型剤「カルナバワックス C1」(加藤洋行社製、ヒドロキシ酸エステルの含有率:38〜40重量%、融点:79℃)3.0重量部及び式(Ia)で表される有機鉄化合物「T−77」(保土谷化学製)1.2重量部からなる原料3kgを、ヘンシェルミキサー(有効容量:10リットル)を用い、羽根回転数を2300回転/分に設定して3分間予備混合を行った。
【0056】
得られた原料混合物をテーブルフィーダーにて、オープンロール型連続式混練機「ニーデックス」(三井鉱山(株)製)に供給して混練を行い、混練物を得た。この際に使用したオープンロール型連続式混練機は、ロール外径が0.14m、有効ロール長が0.8mのものであり、運転条件は、高回転側ロール(前ロール)の回転数が75回転/分、低回転側ロール(後ロール)の回転数が50回転/分、ロール間隙が0.1mmであった。ロール内の加熱及び冷却媒体温度は、高回転ロールの原料投入側の温度を150℃、混練物排出側の温度を130℃、低回転ロールの原料投入側の温度を35℃及び混練物排出側の温度を30℃に設定した。また、原料混合物の供給速度は5kg/時、平均滞留時間は約5分間であった。
【0057】
得られた溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、2mmφのスクリーンを有するミルにて粗砕した。次に、この粗砕物を衝突板型ジェットミルにて粉砕し、さらに、サイクロン型風力分級機にて粗粉及び微粉を除去し、体積平均粒径が8.0μmの粉体を得た。なお、トナーの平均粒径は、コールターカウンターにて測定した。
【0058】
得られた粉体100重量部に対し、疎水性シリカ「TS−530」(キャボット製)2重量部を、ヘンシェルミキサーにより混合し、トナーを得た。
【0059】
実施例2
有機鉄化合物として、式(IIa)で表されるジブチルサリチル酸鉄錯体「X−11」(オリヱント化学工業社製)1.2重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
【0060】
実施例3
樹脂Aの代わりに樹脂B 100重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
【0061】
実施例4
樹脂A 100重量部の代わりに、樹脂A 40重量部及び樹脂B 60重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
【0062】
比較例1
有機鉄化合物の代わりに、ジブチルサリチル酸亜鉛錯体「ボントロンE−84」(オリヱント化学工業社製)1.2重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
【0063】
比較例2
有機鉄化合物の代わりに、ジブチルサリチル酸クロム錯体「ボントロンE−81」(オリヱント化学工業社製)1.2重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
【0064】
なお、前記実施例及び比較例のトナーの製造において、得られた溶融混練物の軟化点とトナーの軟化点をそれぞれ測定した結果を表1に示す。
【0065】
試験例1
非磁性一成分現像装置「BEAMSTAR−PriusLaser4105」(日立製作所製)にトナーを実装し、印字率5%で10000枚の画像出しを行った後、ベタ画像を印刷して、画像上の白スジの発生本数を目視にて確認した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003942958
【0067】
以上の結果より、実施例では、いずれも白スジの発生がほとんどみられず、特に、有機鉄化合物を用いた場合に、白スジの発生を低減させる効果が高いことが分かる。これに対し、有機亜鉛化合物や有機クロム化合物を用いた比較例では白スジの発生が著しく、実施例と比較例の結果の対比により、白スジの発生が溶融混練により生じた樹脂の後架橋による樹脂の軟化点上昇と深く関係しているのではないかと推定される。
【0068】
【発明の効果】
本発明により、オープンロール型混練機を用いて多数枚の印字した際にも、画像に白スジを発生することない耐久性に優れたトナーを製造することができる。

Claims (2)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤及び有機鉄化合物をオープンロール型混練機を用いて溶融混練する工程を有するトナーの製造方法であって、前記結着樹脂が架橋ポリエステルであり、前記有機鉄化合物がアゾ系鉄錯体であり、前記オープンロール型混練機が、温度差が80〜120℃の2本ロールを有する混練機であるトナーの製造方法
  2. 有機鉄化合物が、式(I):
    Figure 0003942958
    (式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立してハロゲン原子又はニトロ基、R3 及びR4 は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又は−CO−NH−(C6 5 )基、Xn+はカチオン、nは1又は2の整数を示す)
    で表される化合物である請求項1記載の製造方法。
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