JP4458454B2 - カラートナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるカラートナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、定着性向上を目的として、低融点のワックスを含有したトナーが数多く報告されているが、低融点のワックスは、一成分現像方式では薄層ブレード上に、二成分現像方式ではキャリアに、それぞれ付着しやすく、画像劣化を生じやすい。特に透明性が要求されるフルカラートナーを含むカラートナーは、線状の低分子量の樹脂が使われているため、機械的ストレスに弱く、ワックス界面で割れてワックスが露出しやすい。ワックスの過剰な露出は、定着性、耐久性の低下を招く。従って、定着性及び耐久性のいずれにも良好なカラートナーが要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、定着性及び耐久性に優れたカラートナーを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂、ワックス及び着色剤を含有してなるカラートナーであって、前記結着樹脂が、3価以上の多価アルコール及び3価以上の多価カルボン酸化合物からなる群より選ばれた3価以上の原料モノマーを含有した単量体を用いて縮重合させて得られる、粉砕性指数が3〜21のポリエステルを含有してなり、前記ワックスの融点が60〜110℃であるカラートナーに関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明においては、低融点ワックスと特定の粉砕性指数を有するポリエステルとを組み合わせることにより、トナーの透明性を維持し、かつ定着性、耐久性を向上させることができる。
【0006】
本発明における結着樹脂は、2価以上の多価アルコールからなるアルコール成分と2価以上の多価カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とからなる単量体であって、3価以上の多価アルコール及び3価以上の多価カルボン酸化合物からなる群より選ばれた3価以上の原料モノマー、好ましくは3価以上の多価カルボン酸化合物を含有した単量体を用いて縮重合させて得られるポリエステルを含有する。このようなポリエステルの含有量は、結着樹脂中、50〜100重量%が好ましく、80〜100重量%がより好ましく、100重量%が特に好ましい。
【0007】
3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等が挙げられ、これらの中では、グリセリンが好ましい。
【0008】
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7 −ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中ではトリメリット酸及びその無水物が好ましい。
【0009】
3価以上の原料モノマーの含有量は、耐久性の観点から、全単量体中、0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜8モル%、より好ましくは0.1〜5モル%である。3価以上の原料モノマーの含有量が10モル%を超えると、樹脂の分子量分布のひろがりにより低分子量体が増加し、感光体へのフィルミングの問題が生じる。
【0010】
2価のアルコールとしては、式(I):
【0011】
【化1】
Figure 0004458454
【0012】
(式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyは正の数を示し、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5.0である)
で表される化合物、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等、エチレングリコール、プロピレングリコール、水素添加ビスフェノールA、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
【0013】
アルコール成分の主成分は、耐久性、帯電性の観点から、式(I)で表される化合物が好ましい。式(I)で表される化合物のアルコール成分中の含有量は、5モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
【0014】
また、2価のジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
【0015】
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
【0016】
ポリエステルの粉砕性指数は3〜21であり、好ましくは5〜18.5、より好ましくは7〜17.5である。粉砕性指数が3未満ではフィルミングを防止する効果が得られず、また、21を超えると、トナーが硬くなりすぎて、現像時のトナー接触の際に熱をもち易くなり、やはりフイルミングを招く。なお、粉砕性指数は実施例に記載の方法により測定され、また、複数のポリエステルからなる場合は、溶融混合したものの粉砕性指数を指す。
【0017】
ポリエステルの酸価は、環境安定性の点から1〜40mgKOH/gであり、好ましくは3〜25mgKOH/gである。
【0018】
前記ポリエステル以外にも、その他のポリエステル、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が適宜含有されていてもよい。
【0019】
低融点ワックスの融点は、定着性の観点から、60〜110℃、好ましくは65〜100℃、より好ましくは70〜90℃である。
【0020】
ワックスとしては、所望の融点を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス等のポリオレフィンワックス、カルナウバワックス、はぜろう、密ろう、鯨ろう、モンタンワックス、ライスワックス等のエステルワックス、脂肪酸アミドワックス等のアミド系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられる。これらは単独であっても、2種以上の併用であってもよいが、なかでも、定着性の観点から、カルナバワックス、ライスワックス及びフィッシャートロプシュワックスからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、カルナバワックスがより好ましい。
【0021】
低融点ワックスの含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、1〜6重量部がより好ましい。
【0022】
なお、低融点ワックスに加えて、低融点ワックス以上の融点を有するワックスが適宜含有されていてもよい。
【0023】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、プリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB 、ローダミン−B ベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、本発明のカラートナーは、モノカラートナー及びフルカラートナーのいずれにも使用することができる。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
【0024】
さらに、本発明のトナーには、荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
【0025】
本発明のトナーは、混練粉砕法等により得られる粉砕トナーが好ましく、例えば、結着樹脂、着色剤等をボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機、連続式二本ロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。さらに、トナーの表面には、必要に応じて流動性向上剤等を添加してもよい。このようにして得られるトナーの体積平均粒子径は、好ましくは3〜15μmである。
【0026】
本発明のトナーの軟化点は、保存性及び定着性の観点から、90〜150℃が好ましく、95〜140℃がより好ましく、95〜130℃が特に好ましい。
【0027】
本発明のカラートナーは、複数色を重ね合わせて画像を形成するフルカラートナーとしても好適に用いることができる。
【0028】
本発明の電子写真用トナーは、磁性体微粉末を含有するときは単独で現像剤として、また磁性体微粉末を含有しないときは非磁性一成分系現像剤として、もしくはキャリアと混合して二成分系現像剤として使用されるが、特にトナーへの負荷が大きい非磁性一成分現像方式に用いた場合に、本発明の効果が顕著に発揮される。
【0029】
【実施例】
〔酸価及び水酸基価〕
JIS K0070の方法により測定する。
【0030】
〔軟化点〕
ASTM D36−86の方法により測定する。
【0031】
〔ガラス転移点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて昇温速度10℃/分で測定する。
【0032】
〔粉砕性指数〕
粗粉砕された樹脂を篩いにかけ、16メッシュを通過し20メッシュを通過しない樹脂粉体を得る。この分級された樹脂粉末を10.00g精秤し、ミル&ミキサー MM−I型((株)日立リビングサプライ製)にて30秒間粉砕後、30メッシュの篩いにかけ、通過しない樹脂の重量(A)gを精秤し、次式により、Aの値から残存率を求め、この操作を3回行い平均して求めた値を粉砕性指数とする。
【0033】
【数1】
Figure 0004458454
【0034】
〔ワックスの融点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて昇温速度10℃/分で測定した際のピークトップの温度とする。
【0035】
樹脂製造例
表1に示す原料を、酸化ジブチル錫(エステル化触媒)とともに窒素雰囲気下、200℃で反応させて、樹脂A〜E、a〜cを得た。得られた樹脂の酸価、水酸基価、軟化点、ガラス転移点、粉砕性指数を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004458454
【0037】
実施例1〜5、比較例1、2、4(実施例2〜5は参考例である)
表2に示す樹脂100重量部、着色剤してピグメントブルー15:3 3重量部、「カルナバワックスC1」(加藤洋行社製、融点:88℃)2重量部、及び荷電制御剤「ボントロンE−84」(オリエント化学工業社製)1重量部を、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、バレル冷却装置を備えた二軸押出機で溶融混練し、冷却、粗粉砕した。その後、ジェットミルにより粉砕し、分級して得た体積平均粒子径8.5μmの粉体を得た。得られた粉体100重量部に疎水性シリカ「アエロジルR972」(日本アエロジル(株)製)0.5重量部を添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、トナーを得た。
【0038】
比較例3
「カルナバワックスC1」の代わりにポリプロピレンワックス「NP−055」(三井石油化学社製、融点:148℃)2重量部を使用した以外は、実施例5と同様にしてトナーを得た。
【0039】
試験例1
市販の非磁性一成分現像方式のフルカラー電子写真記録装置にトナーを実装し、定着速度を100mm/sec、定着温度を180℃に設定して画像出しを行った。底面が15mm×7.5mmの砂消しゴムに500gの荷重を載せ、得られた定着画像の上を5往復こすり、こする前後でマクベス社の反射濃度計(マクベス社製、RD−915)にて光学反射密度を測定し、その前後比の値をもとに、以下の評価基準から、定着性を評価する。結果を表2に示す。
【0040】
〔評価基準〕
◎:80%以上
○:70%以上、80%未満
×:70%未満
【0041】
試験例2
試験例1と同じ装置にトナーを実装し、印字率5%の画像を5000枚印刷した。5000枚印刷後(耐刷後)の感光体表面のフィルミングの状態を目視で評価した。結果を表2に示す。
【0042】
〔評価基準〕
◎:実質的にフィルミングなし
○:ややフィルミングがあるが、画像欠損なし
△:フィルミングがあるが、目立った画像欠損なし
×:多量のフィルミングがあり、縦すじなどの画像欠損あり
【0043】
【表2】
Figure 0004458454
【0044】
以上の結果より、実施例のトナーは、いずれも耐久性及び定着性に優れているのに対し、所望の粉砕性指数を有していない樹脂を結着樹脂とした比較例1、2及び3価の多価カルボン酸化合物を多量に使用した樹脂を結着樹脂とした比較例4では耐久性に、高融点ワックスを使用した比較例3では定着性に欠けている。
【0045】
【発明の効果】
本発明により、定着性及び耐久性に優れたカラートナーを提供することができる。

Claims (4)

  1. 結着樹脂、ワックス及び着色剤を含有してなるカラートナーであって、前記結着樹脂が、3価以上の多価アルコールからなる3価以上の原料モノマーを、全単量体中、0.1〜モル%含有した単量体を用いて縮重合させて得られる、粉砕性指数が7〜17.5のポリエステルを含有してなり、前記ワックスの融点が60〜110℃であるカラートナー。
  2. 3価以上の多価アルコールが、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びソルビトールからなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1記載のカラートナー。
  3. 非磁性一成分現像方式に使用される請求項1又は2記載のカラートナー。
  4. ワックスが、カルナバワックス、ライスワックス及びフィッシャートロプシュワックスからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3いずれか記載のカラートナー。
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