JP3942439B2 - 鋳物切削用塗料組成物および鋳物切削方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾燥性および耐切削剤性に優れた鋳物切削用塗料組成物、および該塗料組成物を用いる鋳物切削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋳物部品、たとえばエンジンブロック等の部品は、多くの場合、鋳物切削用塗料組成物を前記素材表面に塗装、乾燥した後、水性切削剤を用いる湿式切削が行われるが、切削の際、鋳物の切削クズが飛び塗膜に付着あるいは刺さって塗膜の汚れとなり、また、切削面境の塗膜のメクレが生ずるなどの問題がある。この問題を解決するものとして、焼付型の鋳物切削用塗料組成物を用い、完全に硬化した塗膜を形成した後切削する方法もある。
また、一次防錆用としてジンクリッチプライマーや防錆油を2〜5μmの厚さに塗布し、切削加工、脱脂洗浄およびマスキングを行った後、酸化硬化型塗料で仕上げ塗装するという工程がとられているケースもあるが、これらの方法は、設備コストやランニングコストが大きな負担となる。
さらに、工程・工数短縮のために、上記酸化硬化型塗料を直接素材に塗装した後に切削加工する方法も検討したが、酸化硬化型タイプの塗料(塗膜)では、架橋密度の高い硬い塗膜となるためには、数日(2〜5日)を要し、生産ラインの工程短縮にはつながらず、採用できなかった。
【0003】
この問題を解決するためのものとして、特開平10−425号公報には、防錆油を塗布した切削加工用鋳物表面をアルカリ脱脂処理液でアルカリ脱脂処理し、乾燥後、数平均分子量2800〜20000、融点70〜170℃のエポキシ樹脂とアミノアルコールとを反応させてなるアミノ変性エポキシ樹脂及び酸性燐酸系化合物を含有する非架橋型有機溶剤系塗料を塗装し、自然乾燥後切削加工を行う、切削鋳物塗装部品の製造方法が開示されている。
しかし、特開平10−425号公報に開示されている切削鋳物塗装部品の製造方法においては、「湿式切削時に切削剤により塗膜が軟化汚れを来す」という点については考慮されておらず、前記公報に開示の塗料組成物では切削剤に耐えられない例が頻出すると推量される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、乾燥性および耐切削剤性が改善された鋳物切削用塗料組成物を提供すること、および該鋳物切削用塗料組成物を用いることにより、工数が削減され生産性がアップした鋳物切削方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的は、以下の鋳物切削用塗料組成物および鋳物切削方法を提供することにより解決される。
<1>下記組成を含む鋳物切削用塗料組成物。
前記アミン変性エポキシ樹脂は、原料エポキシ樹脂100質量部に対して、合計量1〜8質量部のモノアルカノールアミンとジアルカノールアミンによって変性されたものであり、また、前記溶剤100質量部中、プロピレングリコールモノメチルエーテルが20〜30質量部とトルエンが30〜50質量部を占める。
【0006】
<2>前記モノアルカノールアミンとジアルカノールアミンとの質量比が1:9〜9:1であることを特徴とする前記<1>に記載の鋳物切削用塗料組成物。
<3>鋳物素材に、鋳物切削用塗料組成物を乾燥塗膜厚10から100μmとなるように塗装し、常温乾燥後に切削加工を行う鋳物切削方法において、該鋳物切削用塗料組成物として、前記<1>または<2>に記載の鋳物切削用塗料組成物を用いることを特徴とする鋳物切削方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の鋳物切削用塗料組成物は、以下の成分を含む。
前記アミン変性エポキシ樹脂は、原料エポキシ樹脂100質量部に対して、合計量1〜8質量部のモノアルカノールアミンとジアルカノールアミンによって変性されたものであり、かつ、前記溶剤100質量部中、プロピレングリコールモノメチルエーテルが20〜30質量部とトルエンが30〜50質量部を占める。
【0008】
前記塗料組成物において、アミン変性エポキシ樹脂が8質量%未満であると、塗膜が脆くなり、また、20質量%を越えると、乾燥性が適切でなく、コストアップの原因となるので、前記範囲の含有量であることが必要で、特に12〜18質量%であることが好ましい。 体質顔料および/または着色顔料が15質量%未満であると、乾燥性が悪くなり、また、30質量%を越えると塗膜が脆くなるので、前記範囲の含有量であることが必要で、特に18〜25質量%であることが好ましい。
また、防錆顔料は、1質量%未満であると防錆機能が発揮できず、また10質量%を越えるとコストアップの原因となるので、前記範囲の含有量であることが必要で、特に2〜8質量%であることが好ましい。
溶剤は50質量%未満であると塗料塗布時の粘度が高くなりすぎ、また、70質量%を越えると塗料不揮発分が低過ぎ、タレを生じやすくなるので、前記範囲の含有量であることが必要で、特に52〜65質量%であることが好ましい。
【0009】
最初に数平均分子量が5500〜15000のアミン変性エポキシ樹脂について説明する。前記鋳物切削用塗料組成物において、前記アミン変性エポキシ樹脂を用いることにより、鋳物素材表面への付着性、耐食性および乾燥性が良好である。
アミン変性エポキシ樹脂とは、モノアルカノールアミンとジアルカノールアミンによって変性されたもので、これらにより変性されることにより変性エポキシ樹脂の分子量が制御される。また、原料エポキシ樹脂100質量部に対して、モノアルカノールアミンとジアルカノールアミンを合計で1〜8質量部、好ましくは4〜8質量部用いることにより乾燥性および耐切削剤性が良好となる。1質量%未満では樹脂の変性制御が難しく、また、8質量部を越えるとシンナー溶解性が悪くなるので、前記範囲が必要である。
【0010】
原料のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく、たとえば、エピコート1001(Mn900)、エピコート1002(Mn1060)、エピコート1004(Mn1600)(以上、ジャパンエポキシレジン(株)商品名)、エポミック304(Mn1400)(三井化学(株)商品名)、アラルダイト6084(Mn約1800)、アラルダイト6003(Mn約1500)、アラルダイト6002(Mn約1250)(以上、旭チバ(株)商品名)、エポトートYD−011(Mn約950)、エポトートYD−012(Mn約1300)、エポトートYD−013(Mn約1700)、エポトートYD−014(Mn約1900)(以上、東都化成(株)商品名)等を用いることができる。
原料エポキシ樹脂の分子量が500〜2400程度のものを用いるとアミン変性エポキシ樹脂を用いる塗料の乾燥性をアップさせることができる。
【0011】
前記モノアルカノールアミンとジアルカノールアミンのアルカノール部は、炭素数が1〜8程度であることが望ましく、たとえば、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ベンジルエタノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジ−2−ヒドロキシブチルアミン等が好ましく挙げられる。
モノアルカノールアミンとジアルカノールアミンとの質量比が1:9〜9:1、好ましくは4:6〜9:1の範囲にあることが、アミン変性エポキシ樹脂の分子量制御の点からみて好ましい。
【0012】
アミン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂、モノアルカノールアミンおよびジアルカノールアミンを適当な有機溶媒に溶解させ、不活性ガス導入下、加熱反応させることにより合成できる。原料エポキシ樹脂100質量部に対して、モノアルカノールアミンおよびジアルカノールアミンを合計量1〜8質量部反応させる。また触媒として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリを用いることができる。得られるアミン変性エポキシ樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン換算で求めることができる。
【0013】
アミン変性エポキシ樹脂の数平均分子量が5500〜15000の範囲にあることが、塗膜の乾燥性や耐切削剤性および溶剤溶解性(塗料化)の観点から好ましい。数平均分子量が5500未満であると所望の塗膜の乾燥性や耐切削剤性が得られず、また、15000を越えると、溶剤に対する溶解性が不十分あるいはなくなる。中でも数平均分子量が8000〜12000のものが好ましい。
【0014】
また、アミン変性エポキシ樹脂を合成する際に、ポリイソシアネート化合物をエポキシ樹脂原料に対し0.1〜2質量%添加することもできる。前記ポリイソシアネート化合物としてはHDI、IPDI等が挙げられる。
【0015】
また、本発明の鋳物切削用塗料組成物に添加される体質顔料あるいは着色顔料としては、炭酸カルシウム、クレー、珪藻土、ベントナイト、有機ベントナイト、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウムなどが挙げられ、また、着色顔料としてはカーボンブラック、ベンガラ、黄色酸化鉄、二酸化チタン、黒鉛等の無機顔料、フタロシアニンブルー、アゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。
【0016】
また、防錆顔料としては酸化亜鉛、モリブデン酸亜鉛などのモリブデン酸塩、各種リン酸塩系・シアナミド亜鉛系顔料等が用いられる。
【0017】
本発明の鋳物切削用塗料組成物に用いる溶剤は、溶剤100質量部中、プロピレングリコールモノメチルエーテルを20〜30質量部、好ましくは23〜30質量部、トルエンを30〜50質量部、好ましくは33〜47質量部用いることを特徴とする。プロピレングリコールモノメチルエーテルが20質量部未満であると溶解性が悪くなり、また、30質量部を越えると乾燥性が遅くなる。トルエンは30質量部未満であると乾燥性が悪くなり、また、50質量部を越えると溶解性が悪くなる。
他に用いうる溶剤としてはキシレン等の芳香族系溶剤、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−nプロピルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。前記のごときアミン変性エポキシ樹脂を用いることに加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルとトルエンを上記の範囲で用いることにより鋳物切削用塗料組成における樹脂の溶解性を確保しつつ乾燥性を向上させることができる。
鋳物切削用塗料組成物における溶剤の量は、各成分の溶解性、塗布適性等を考慮し適宜選択することができる。
【0018】
本発明の鋳物切削用塗料組成物に添加するその他の成分として、分散助剤、湿潤剤、表面調整剤など、塗料用添加剤を適宜配合することができる。
【0019】
本発明の鋳物切削用塗料組成物の調製は、前記各成分を、常法に従い混合することにより調製することができる。
【0020】
鋳物素材への本発明の鋳物切削用塗料組成物の塗装は、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、エアアシステッドエアレススプレーなどのスプレー塗装、浸漬塗装、刷毛塗装等の塗装手段により行うことができる。また、塗装膜厚は、乾燥膜厚で、通常、約10〜100μm、中でも約15〜50μmの範囲が好ましい。本発明の鋳物切削用塗料組成物の塗膜の乾燥は自然乾燥が可能で、一般的に、5分〜30分程度放置するだけで、切削に支障がない程度(切削の際、塗膜が器具に付着しない、切削剤により塗膜が軟化して鋳物切削クズが塗膜に付着あるいは刺さって塗膜の汚れとならない、また、切削面境の塗膜のメクレが生ずるなどの問題がない)に乾燥させることができる。なお、安定した乾燥性を保つために、塗料を常に一定の温度に保って塗装することが望ましい。
【0021】
本発明の鋳物切削用塗料組成物は、乾燥性および耐切削剤性に優れているので、被塗物を塗装前あるいは塗装後に加熱する必要がなく、塗装後、短時間自然乾燥させるだけで塗膜が十分に乾燥し、切削工程に移行させることができる。また、切削工程において切削剤により軟化することがないので鋳物切削クズが塗膜に刺さらず、塗装面を汚すこともない。
【0022】
次に、本発明の鋳物切削方法について説明する。本発明の鋳物切削方法は、ショットブラストされた鋳物表面をあらかじめ加熱することなく、鋳物切削用塗料組成物を乾燥塗膜厚10から100μmとなるように塗装し、常温乾燥後に切削加工を行うものである。前記鋳物としてはエンジンブロック、エンジンヘッドなどに用いられる鋳物等が挙げられる。
本発明の鋳物切削用塗料組成物は湿式切削およびドライ切削のどちらでも問題ない。特に湿式切削の場合は、切削剤(潤滑冷却剤)が用いられ、たとえば、アニオン界面活性剤と合成潤滑剤を主成分とし、さらにこれにノニオン界面活性剤や非鉄金属防食剤、消泡剤を加えた水性の切削剤を用いることができる。
また、切削工程の後は、洗浄、組み立て、化粧塗装等が行われる。
【0023】
本発明の鋳物切削方法は、前記のごとき鋳物切削用塗料組成物を用いるため、、短時間自然乾燥させるだけで切削加工が可能な程度に十分乾燥させることができ、かつ前記のように切削工程において塗装面が汚されないのでその後切削クズを除去するための煩雑な清掃工程を行う必要がない。したがって、本発明の鋳物切削方法はきわめて生産性に優れている。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下において、%および部は、質量%および質量部を意味する。
(1)アミン変性エポキシ樹脂の合成
1)合成例1
不活性ガス導入管を付けた2リットルのガラス製フラスコ中で、エポミックR304(三井化学(株)製)を950g、モノエタノールアミン36g、ジエタノールアミン12gを、キシレン400gに混合し、130℃で粘度が飽和するまで付加反応を進め、メチルエチルケトン400g、n−プロピルセロソルブ200gで希釈し、加熱残分50重量%、数平均分子量8,200のアミン変性エポキシ樹脂を得た。
2)合成例2
合成例1において、エポミックR304の950gを910gに変更し、かつモノエタノールアミンを50gに、ジエタノールアミンを21gに変更する他は同様にして、数平均分子量5,500のアミン変性エポキシ樹脂を得た。
3)合成例3
合成例1において、エポミックR304の950gをエピコート1001(ジャパンエポキシレジン(株)製)の940gに変更し、かつモノエタノールアミンを29gに、ジエタノールアミンを20gに変更する他は同様にして、数平均分子量8,000のアミン変性エポキシ樹脂を得た。
4)合成例4
合成例1において、モノエタノールアミンを40gに、ジエタノールアミンを7gに変更する他は同様にして、数平均分子量12,000のアミン変性エポキシ樹脂を得た。
【0025】
5)合成例5
合成例1において、エポミックR304の950gを955gに変更し、かつモノエタノールアミンを42gに、ジエタノールアミンを5gに変更する他は同様にして、数平均分子量15,000のアミン変性エポキシ樹脂を得た。
6)合成例6(比較例)
合成例1において、エポミックR304の950gを920gに変更し、モノエタノールアミンを用いず、かつジエタノールアミンを60gに変更する他は同様にして、数平均分子量1,600のアミン変性エポキシ樹脂を得た。
7)合成例7(比較例)
合成例1において、エポミックR304の950gを940gに変更し、かつモノエタノールアミンを10gに、ジエタノールアミンを50gに変更する他は同様にして、数平均分子量4,500のアミン変性エポキシ樹脂を得た。
8)合成例8(比較例)
合成例1において、エポミックR304の950gを960gに変更し、かつモノエタノールアミンを45gに、ジエタノールアミンを4gに変更する他は同様にして、数平均分子量20,000のアミン変性エポキシ樹脂を得た。
【0026】
(2)実施例1ないし3および比較例1ないし4
以下の組成の鋳物切削用塗料組成物を調製した。
アミン変性エポキシ樹脂(注1) 14.0部
炭酸カルシウム 9.0部
酸化亜鉛 1.0部
硫酸バリウム 8.0部
モリブデン酸亜鉛 3.0部
カーボンブラック 3.0部
有機ベントナイト 0.2部
有機溶剤(注2) 62.0部
(注1)アミン変性エポキシ樹脂は、合成例1で合成した樹脂溶液からの樹脂である。(合成例1の樹脂溶液(樹脂含有率50質量%)を28.0部用いた。)(注2)この溶剤の中には、前記アミン変性エポキシ樹脂溶液中の溶剤を含む。
有機溶剤は下記の表1で示す組成(質量比)である。
【0027】
【表1】
【0028】
また、表2に、実施例1ないし3および比較例1ないし4の鋳物切削用塗料組成物の溶解性と、鋳物素材に塗布した際の乾燥性の評価を示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表2から分かるように、本発明の溶剤組成を有する鋳物切削用塗料組成物は、溶解性および乾燥性が良好である。
【0031】
(3)実施例4ないし7および比較例5ないし11
実施例1のアミン変性エポキシ樹脂を合成例2ないし5のものに変更する他は、実施例1と同様にして、実施例4ないし7の鋳物切削用塗料組成物を調製した。また、実施例1のアミン変性エポキシ樹脂を合成例6ないし8のものに変更する他は、実施例1と同様にして、比較例5ないし7の鋳物切削用塗料組成物を調製した。
さらに、実施例1のアミン変性エポキシ樹脂に代え、エポキシエステル系樹脂(酸化重合型樹脂 DIC社製 WS−E5501)、またはフェノール変性アルキッド樹脂(日立化成工業株式会社製 フタルキッドP571/P575X)にそれぞれ変更する他は、実施例1と同様にして、比較例8および9の鋳物切削用塗料組成物を調製した。(比較例8および9で用いる樹脂の数平均分子量はいずれも、3000〜10000の混合系である。)
【0032】
実施例1、実施例4ないし7、および比較例5ないし9の鋳物切削用塗料組成物をそれぞれ、エンジンブロック鋳物素材に、エアレススプレー法により乾燥膜厚が20〜30μmとなるように塗装し、その際の乾燥性、塗装物の耐切削剤性および耐食性を評価した。結果を表3に示す。
<乾燥性>
塗装後、強制乾燥をせずに自然放置して20分経過した後に、芯出し切削加工(乾式)を行って、塗膜が切削機材に付着するかどうかを評価した。
◎ 塗膜が全く付着しない。
○ 塗膜が付着することがある。
△ 塗膜が少し付着する。
【0033】
<耐切削剤性>
塗装後、半日程度経過した後、切削剤(潤滑冷却剤)を用いて切削加工し、切削剤による塗膜の軟化があるかどうかを評価した。切削剤としては、アニオン界面活性剤(40%)、合成潤滑剤(25%)、ノニオン界面活性剤(3%)非鉄金属防食剤(0.9%)、消泡剤(微量)および残りが水からなる切削剤を用いた。(JIS K 5400 8.19「耐水性」の試験方法において、水の代わりに前記切削剤を用いた。)
◎ 塗膜の軟化が全く観察されなかった。
○ 塗膜の軟化が認められるが許容範囲内である。
△ 塗膜の軟化があり許容できない。
× 塗膜の軟化が著しい。
【0034】
<耐食性>
「JIS K 5400 9.1」により、耐塩水噴霧試験を行い、400時間経過後、サビ発生の有無により評価した。
◎ サビが全く発生しなかった。
○ サビ発生が表面積の10%以下であった。
【0035】
【表3】
【0036】
表3から分かるように、本発明のアミン変性エポキシ樹脂を用い、かつ特定の組成の溶剤を用いた実施例1および実施例5ないし8の鋳物切削用塗料組成物は、乾燥性、耐切削剤性および耐食性のいずれも優れている。これに対し、数平均分子量が4,500のアミン変性エポキシ樹脂を用いる比較例6は、耐食性は優れているものの、乾燥性および耐切削剤性が劣っており、鋳物切削用塗料組成物として良好な結果が得られない。さらに、酸化重合型樹脂を用いる比較例8および9においても乾燥性および耐切削剤性が劣っている。
【0037】
【発明の効果】
本発明の鋳物切削用塗料組成物は、乾燥性および耐切削剤性に優れている。すなわち、鋳物素材をあらかじめ加熱することなく、塗装後、短時間自然乾燥させるだけで塗膜は十分に乾燥し、切削工程に移行させることができる。また、切削工程において切削剤により軟化することがないので鋳物切削クズが付着したり刺さったりせず、塗装面を汚すこともない。
本発明の鋳物切削方法は、前記のごとき鋳物切削用塗料組成物を用いるため、短時間自然乾燥させるだけで切削加工が可能な程度に十分乾燥させることができ、かつ前記のように切削工程において塗装面が汚されないのでその後切削クズを除去するための煩雑な清掃工程を行う必要がない。したがって、本発明の鋳物切削方法はきわめて生産性に優れている。
Claims (3)
- 前記モノアルカノールアミンとジアルカノールアミンとの質量比が1:9〜9:1であることを特徴とする請求項1に記載の鋳物切削用塗料組成物。
- 鋳物素材に、鋳物切削用塗料組成物を乾燥塗膜厚10から100μmとなるように塗装し、常温乾燥後に切削加工を行う鋳物切削方法において、該鋳物切削用塗料組成物として、請求項1または請求項2に記載の鋳物切削用塗料組成物を用いることを特徴とする鋳物切削方法。
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