JP3942095B2 - クラッチコントロールシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マニュアル操作とオート操作を備えてクラッチを断接し得るクラッチコントロールシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8〜図15は大型トラック等の大型車両に採用されている従来のクラッチコントロールシステムの一例を示すもので、図8中1は運転席に装備されたマニュアル操作に使用するクラッチペダル、2は該クラッチペダル1の踏み込みにより作動するマスタシリンダ、3はオート操作の制御をつかさどる制御装置、4は制御装置3に接続されるアクチュエータ、5はマスタシリンダ2又はアクチュエータ4からの油圧により作動するシリンダ、6はシリンダ5に接続されてリリースレバー7を介し図示しないクラッチを「断」とするクラッチブースタを示している。
【0003】
アクチュエータ4は、図9に示す如く、制御装置3からの指令により駆動するよう電動モータ8を介して軸転駆動するウォーム9を備え、ウォーム9には、支点ピン10に介して回転するウォームホイール11を噛合し、ウォームホイール11の端部には、ウォームホイール11の回転に対応して前後方向に移動し得るよう、連結ピン12を介して構成されたプッシュロッド13を配置している。ここで、ウォーム9、ウォームホイール11、プッシュロッド13はハウジング14に収納されており、ハウジング14にはピストンケース15を形成している。又、プッシュロッド13の先端には、ピストンケース15内の圧力室16を圧縮して流路17よりシリンダ5に作動油を圧送し得るようアクチュエータピストン18を配置し、圧力室にはアクチュエータピストン18をプッシュロッド13側に余勢するスプリング19を配置している。
【0004】
シリンダ5は、図10に示す如く、シリンダ本体20内に第一ピストン21及び第二ピストン22を配置し、第一ピストン21とシリンダ本体20の間には、マスタシリンダ2の流路23に接続される第一圧力室24を形成し、第一ピストン21及び第二ピストン22の間には、クラッチブースタ6にクラッチ流路25を介して接続される第二圧力室26を形成し、第二ピストン22とシリンダ本体20の間には、アクチュエータ4の流路17に接続される第三圧力室27を形成し、第二ピストン22内には、第三圧力室27と連通する第四圧力室28を形成すると共に第二圧力室26の油圧により第四圧力室28側へ押圧されるリリーフバルブ29を備え、第二圧力室26には、第一ピストン21と第二ピストン22の間に配置される第一スプリング30を備え、第四圧力室28には、リリーフバルブ29の移動により押圧されるボール31と、ボール31をリリーフバルブ29側に余勢する第二スプリング32とを配置している。又、第二ピストン22には、リリーフバルブ29及びボール31の状態により第四圧力室28及び第三圧力室27の作動油をリザーバ(図示せず)に流路33を介して排出入する連通孔34を形成している。
【0005】
クラッチブースタ6は、図8、図11に示す如く、シリンダ5からの作動油が作用するハイドロリックピストン35及びリレーピストン部36を備え、ハイドロリックピストン35の一端には、リリースレバー7に連結されるプッシュロッド37を接続し、ハイドロリックピストン35の他端には、シリンダシェル38内で移動し得る圧縮空気用ピストン39を備え、リレーピストン部36には、作動油により摺動するリレーピストン本体40と、スプリング(図示せず)に余勢されるポペットバルブ41と、空気を排出する排気ポート42とを備え、リレーピストン本体40の配置により形成される空気用流路43には、空気を流出入させるようエアータンク44を接続し、リレーピストン本体40の内部には空気用流路45を形成している。
【0006】
クラッチを操作する際には、マニュアル操作の場合、運転者がクラッチペダル1を踏み込むと、マスタシリンダ2及びシリンダ5により、クラッチ流路25を介して作動油がハイドロリックピストン35及びリレーピストン部36に到達し、リレーピストン部36では、リレーピストン本体40が図中の左側へ摺動することにより、ポペットバルブ41を、左側へ押し込んでポペットバルブ41のエア回路が開通(図11参照)し、圧縮空気がエアータンク44からポペットバルブ41のエア回路、空気用流路43、配管43aを経由してシリンダシェル38内に流入し、圧縮空気のアシストにより圧縮空気用ピストン39は左側へ押し込まれ、更にハイドロリックピストン35及びプッシュロッド37を介してリリースレバー7が押され、該リリースレバー7が作動して図示しないクラッチが「断」となる。ここで、図12に示す如く、シリンダ5の第一ピストン21は、第二圧力室26及び第一スプリング30を圧縮するよう移動することにより、クラッチ流路25を介して作動油をクラッチブースタ6に圧送している。
【0007】
また、クラッチペダル1を戻すと、マスタシリンダ2及びシリンダ5によりクラッチ流路25を介して作動油がクラッチブースタ6のハイドロリックピストン35及びリレーピストン部36から吸引され、リレーピストン部36ではリレーピストン本体40及びポペットバルブ41が図示しないスプリングの復元力により図11中の右側に戻されてエアータンク44側に対するエア回路が閉じ、シリンダシェル38内の圧縮空気用ピストン39後方の圧縮空気がリレーピストン本体40の配管43a及び空気用流路43,45を介してシリンダシェル38内の圧縮空気用ピストン39前方に入り、圧縮空気用ピストン39に連結されたハイドロリックピストン35及びプッシュロッド37が元の位置に後退してリリースレバー7が戻されることにより図示しないクラッチが「接」となる。ここで、シリンダ5の第一ピストン21は、第一スプリング30で余勢されて元の位置に戻っており、同時に作動油がクラッチブースタ6から第二圧力室26に戻っている。
【0008】
オート操作の場合、制御装置3から所定の指令があると、電動モータ8を介してウォーム9が軸転することによりウォームホイール11が回転してプッシュロッド13及びアクチュエータピストン18を押し出し、アクチュエータピストン18は圧力室16を圧縮して流路17よりシリンダ5に作動油を圧送し、シリンダ5内では、図13に示す如く、第二ピストン22が第二圧力室26及び第一スプリング30を圧縮するよう移動することにより、クラッチ流路25を介して作動油がクラッチブースタ6のハイドロリックピストン35及びリレーピストン部36に到達し、マニュアル操作と略同様な駆動をしてクラッチが「断」となる。
【0009】
また、制御装置3から所定の指令があると、電動モータ8を介してウォーム9が逆方向に軸転することによりウォームホイール11が逆回転してプッシュロッド13及びアクチュエータピストン18を引き戻し、圧力室16を元に戻すようシリンダ5から作動油を吸引し、シリンダ5内では更に第二ピストン22が第一スプリング30で余勢されて元の位置に戻り、作動油がクラッチブースタ6のハイドロリックピストン35及びリレーピストン部36から吸引され、マニュアル操作と略同様な駆動をしてリレーピストンクラッチが「接」となる。
【0010】
一方、オート操作でシリンダ5の第二ピストン22が移動している際(半クラッチの状態)に運転者が誤ってクラッチペダル1を踏み込むと、図14に示す如く、第二ピストン22の移動による作動油の量が少なくても、第一ピストン21の移動が作動油を供給して、クラッチストロークセンサ(図示せず)に必要ストロークを完了したものと判断させ、アクチュエータ4からの圧送を止めて第二ピストン22を停止させる。又、クラッチペダル1を更に踏み込んで第一ピストン21が移動した際には、図15に示す如く、シリンダ5のリリーフバルブ29がボール31を押し込み、第四圧力室28及び第三圧力室27の作動油をリザーバへ排出する。なお、第四圧力室28及び第三圧力室27には作動油が徐々にリザーバにより戻される。ここで、クラッチコントロールシステムのシリンダに関連する先行技術文献としては、下記の特許文献1や特許文献2等が既に存在している。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−269022号公報
【特許文献2】
特開2002−220661号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のクラッチコントロールシステムで、オート操作でシリンダ5の第二ピストン22が移動している際(半クラッチの状態)に、運転者が誤ってクラッチペダル1を踏み込み、且つオート操作に気づいて慌ててクラッチペダル1を戻すと、第二ピストン22がシリンダ本体20内の右側端部の位置まで急速に戻り、それに続き、第一ピストン21がシリンダ本体20内の左側端部位置に急速に戻って作動油を急にクラッチブースタ6から第二圧力室26に移動させるため、クラッチが「接」となり、車が急発進してしまうという問題があった。
【0013】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、オート操作時にクラッチペダルの誤操作によりクラッチが「接」となることを防止するクラッチコントロールシステムを提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、クラッチの断接を担うようクラッチ流路に接続されるシリンダと、該シリンダに作動油を圧送するマニュアル圧送手段と、前記シリンダに作動油を圧送するオート圧送手段とを備え、
前記シリンダは、シリンダ本体内に配置される第一ピストン及び第二ピストンと、第一ピストンと第二ピストンの間に配置されるようシリンダ本体内に固定されるサポートと、シリンダ本体と第一ピストンとの間に形成されてクラッチ流路に接続される第一圧力室と、第一ピストンとサポートとの間に形成されてオート圧送手段に接続される第二圧力室と、サポートと第二ピストンの間に形成される空間室と、第二ピストンとシリンダ本体の間に形成されてマニュアル圧送手段に接続される第三圧力室と、第一圧力室でシリンダ本体と第一ピストンの間に配置される第一スプリングと、空間室でサポートと第二ピストンの間に配置される第二スプリングとを備え、
前記第二ピストンは、第一ピストンを押し得るロッドを備え、該ロッドがサポートを貫通するように構成したことを特徴とするクラッチコントロールシステム、に係るものである。
【0015】
本発明の請求項2は、クラッチの断接を担うようクラッチ流路に接続されるシリンダと、該シリンダに作動油を圧送するマニュアル圧送手段と、前記シリンダに作動油を圧送するオート圧送手段とを備え、
前記シリンダは、シリンダ本体内に配置される第一ピストン及び第二ピストンと、第一ピストンと第二ピストンの間に配置されるようシリンダ本体内に固定されるサポートと、シリンダ本体と第一ピストンとの間に形成されてクラッチ流路に接続される第一圧力室と、第一ピストンとサポートとの間に形成されてマニュアル圧送手段に接続される第二圧力室と、サポートと第二ピストンの間に形成される空間室と、第二ピストンとシリンダ本体の間に形成されてオート圧送手段に接続される第三圧力室と、第一圧力室でシリンダ本体と第一ピストンの間に配置される第一スプリングと、空間室でサポートと第二ピストンの間に配置される第二スプリングとを備え、
前記第二ピストンは、第一ピストンを押し得るロッドを備え、該ロッドがサポートを貫通するように構成したことを特徴とするクラッチコントロールシステム、に係るものである。
【0018】
請求項1においてマニュアル操作でクラッチを断接にする際には、マニュアル圧送手段で第二ピストンを移動させることにより、第二ピストンのロッドを介して第一ピストンを押し、第一圧力室からクラッチ流路を介して作動油を圧送してクラッチを断接にする。又、オート操作でクラッチを断接にする際には、オート圧送手段で第一ピストンを押し、クラッチ流路側の圧力室からクラッチ流路を介して作動油を圧送してクラッチを断接にする。更に、オート操作でシリンダの第一ピストンが移動している際に、運転者が誤ってマニュアル圧送手段を操作した場合には、第二ピストンのロッドが第一ピストンを押し、クラッチを「断」にする。又、慌ててマニュアル圧送手段を戻した場合には、マニュアル圧送手段により作動油が吸引されて第二ピストンが元の位置に戻ると共に、第一ピストンが第二圧力室の作動油の量により大幅に後退することを防止され、クラッチの「断」を維持する。
【0019】
請求項2においてマニュアル操作でクラッチを断接にする際には、マニュアル圧送手段で第一ピストンを押し、クラッチ流路側の圧力室からクラッチ流路を介して作動油を圧送してクラッチを断接にする。又、オート操作でクラッチを断接にする際には、オート圧送手段で第二ピストンを移動させることにより、第二ピストンのロッドを介して第一ピストンを押し、クラッチ流路側の圧力室からクラッチ流路を介して作動油を圧送してクラッチを断接にする。更に、オート操作でシリンダの第一ピストン及び第二ピストンが移動している際に、運転者が誤ってマニュアル圧送手段を操作した場合には、第一ピストンが第二ピストンと離脱するよう移動してクラッチを「断」にする。又、慌ててマニュアル圧送手段を戻した場合には、マニュアル圧送手段により作動油が吸引されて第一ピストンが元の位置に戻ると共に、第一ピストンが第二ピストンのロッドに支持されて大幅に後退することを防止され、クラッチの「断」を維持する。
【0020】
このように、請求項1、請求項2によれば、オート操作時において、運転者が誤ってマニュアル圧送手段を操作し且つ慌ててマニュアル圧送手段を戻す場合でも、第一ピストンが大幅に後退することが防止されるので、クラッチが「接」となることをなくし、結果的にクラッチペダルの誤操作による車の急発進を防止することができる。又、第二ピストンのロッドがサポートを貫通すると、第一ピストン、第二ピストンをシリンダ本体の内部に収納し得るので、シリンダをコンパクトにすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1〜図6は本発明を実施する形態の第一例を示すもので、従来のシリンダ5の構造を変えたものであり、図8〜図15と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0024】
第一例のクラッチコントロールシステムのシリンダ50は、シリンダ本体51内に第一ピストン52及び第二ピストン53を左から順に配置し、第一ピストン52と第二ピストン53の間には、シリンダ本体51内に止め輪54を介して固定されるサポート55を配置している。ここで、サポート55には、シリンダ50の長手方向に延在するサポート貫通孔56を形成しており、第二ピストン53には、サポート貫通孔56を通過するよう所定長さのロッド57を備えている。又、第一ピストン52の外周両側、第二ピストン53の外周両側、及びサポート55の外周及びサポート貫通孔56の内周にはオイルシール58を備えている。
【0025】
シリンダ本体51と第一ピストン52の間には、クラッチブースタ6のクラッチ流路25に接続される第一圧力室59を形成し、第一ピストン52とサポート55の間には、オート圧送手段のアクチュエータ4の流路17に接続される第二圧力室60を形成し、サポート55と第二ピストン53の間には、空間室61を形成し、第二ピストン53とシリンダ本体51の間には、マニュアル圧送手段のクラッチペダル1のマスタシリンダ2に流路23を介して接続される第三圧力室62を形成し、第一圧力室59には、シリンダ本体51と第一ピストン52の間に位置するよう第一スプリング63を配置し、空間室61には、サポート55と第二ピストン53の間に位置するよう第二スプリング64を配置している。
【0026】
以下、本発明を実施する形態の第一例の作用を説明する。
【0027】
第一例においてマニュアル操作でクラッチを「断」とする際には、クラッチペダル1を踏み込むことによりマスタシリンダ2及び流路23を介して、図3に示す如く、シリンダ本体51内の第二スプリング64を圧縮するよう第二ピストン53を移動させ、第二ピストン53のロッド57より第一ピストン52を押して第一圧力室59及び第一スプリング63を圧縮し、第一圧力室59からクラッチ流路25を介して作動油をクラッチブースタ6に圧送してクラッチを「断」にする。又、マニュアル操作でクラッチを「接」とする際には、クラッチペダル1を戻すによりマスタシリンダ2及び流路23を介して、シリンダ本体51の第一スプリング63及び第二スプリング64を伸長させるよう第一ピストン52及び第二ピストン53を元の位置に戻し、クラッチブースタ6からクラッチ流路25を介してシリンダ本体51の第一圧力室59へ作動油を戻してクラッチを「接」にする。
【0028】
第一例においてオート操作でクラッチを「断」とする際には、制御装置3の指令でアクチュエータ4を駆動させることにより流路17を介して、図4に示す如く、第一スプリング63を圧縮するよう第一ピストン52を押し、第一圧力室59からクラッチ流路25を介して作動油をクラッチブースタ6に圧送してクラッチを「断」にする。又、オート操作でクラッチを「接」とする際には、制御装置3の指令でアクチュエータ4を逆に駆動させることにより流路17を介して、第一スプリング63を伸長させるよう第一ピストン52を元の位置に戻し、クラッチブースタ6からクラッチ流路25を介してシリンダ本体51の第一圧力室59へ作動油を戻してクラッチを「接」にする。
【0029】
図5、図6に示す如く、オート操作でシリンダ本体51の第一ピストン52が移動している際に、運転者が誤ってクラッチペダル1を踏み込んだ場合には、始めに、シリンダ本体51の第二ピストン53が移動して第二スプリング64を圧縮すると共に、ロッド57の先端が第一ピストン52に当接して第一ピストン52を押し、クラッチを「断」にする。又、オート操作に気づいて慌ててクラッチペダル1を戻した場合には、マスタシリンダ2により流路23を介して作動油が吸引されてシリンダ本体51の第二ピストン53が第一ピストン52から分離するよう元の位置に戻ると共に、第一ピストン52が第二圧力室60の作動油の量により大幅に後退することを防止され、クラッチの「断」を維持する。ここで、第二圧力室60の作動油の量は、クラッチ「断」でのクラッチストロークセンサ(図示せず)の判断がアクチュエータ4を止めることにより、変化しない。又、第二ピストン53は、クラッチを「断」にした後にサポート55に当接することにより、ロッド57が第一ピストン52を限界以上に押すことがない。
【0030】
このように、第一例によれば、オート操作時において、運転者が誤ってクラッチペダル1を踏み込み、且つオート操作に気づいて慌ててクラッチペダル1を戻す場合でも、第二ピストン53が前後に移動してクラッチペダル1の踏み込みを緩衝すると共に、第一ピストン52が第二圧力室60の作動油の量により大幅に後退することを防止されるので、クラッチが「接」となることをなくし、結果的にクラッチペダルの誤操作による車の急発進を防止することができる。
【0031】
第二ピストン53のロッド57がサポート55を貫通すると、第一ピストン52、第二ピストン53をシリンダ本体51の内部に収納し得るので、シリンダをコンパクトにすることができる。
【0032】
図7は本発明を実施する形態の第二例を示すもので、第一例のシリンダ50に対するマニュアル圧送手段及びオート圧送手段の接続を変更したものであり、第一例と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0033】
第二例のクラッチコントロールシステムのシリンダ70は、第一例と略同様に、シリンダ本体51内に第一ピストン52、第二ピストン53、サポート55、第一スプリング63、第二スプリング64を配置している。
【0034】
シリンダ本体51と第一ピストン52の間には、クラッチブースタ6のクラッチ流路25に接続される第一圧力室59を形成し、第一ピストン52とサポート55の間には、マニュアル圧送手段のクラッチペダル1のマスタシリンダ2に流路23を介して接続される第二圧力室60を形成し、サポート55と第二ピストン53の間には、空間室61を形成し、第二ピストン53とシリンダ本体51の間には、オート圧送手段のアクチュエータ4の流路17を介して接続される第三圧力室62を形成している。
【0035】
以下、本発明を実施する形態の第二例の作用を説明する。
【0036】
第二例においてマニュアル操作でクラッチを「断」とする際には、クラッチペダル1を踏み込むことによりマスタシリンダ2及び流路23を介して、第一スプリング63を圧縮するよう第一ピストン52を押し、第一圧力室59からクラッチ流路25を介して作動油をクラッチブースタ6に圧送してクラッチを「断」にする。又、マニュアル操作でクラッチを「接」とする際には、クラッチペダル1を戻すことによりマスタシリンダ2及び流路23を介して、第一スプリング63を伸長させるよう第一ピストン52を元の位置に戻し、クラッチブースタ6からクラッチ流路25を介してシリンダ本体51の第一圧力室59へ作動油を戻してクラッチを「接」にする。
【0037】
第二例においてオート操作でクラッチを「断」とする際には、制御装置3の指令でアクチュエータ4を駆動させることにより流路17を介して、シリンダ本体51内の第二スプリング64を圧縮するよう第二ピストン53を移動させ、第二ピストン53のロッド57より第一ピストン52を押して第一圧力室59及び第一スプリング63を圧縮し、第一圧力室59からクラッチ流路25を介して作動油をクラッチブースタ6に圧送してクラッチを「断」にする。又、オート操作でクラッチを「接」とする際には、制御装置3の指令でアクチュエータ4を逆に駆動させることにより流路17を介して、シリンダ本体51の第二スプリング64及び第一スプリング63を伸長させるよう第一ピストン52及び第二ピストン53を元の位置に戻し、クラッチブースタ6からクラッチ流路25を介してシリンダ本体51の第一圧力室59へ作動油を戻してクラッチを「接」にする。
【0038】
オート操作でシリンダ本体51の第一ピストン52及び第二ピストン53が移動している際に、運転者が誤ってクラッチペダル1を踏み込んだ場合には、始めに、シリンダ本体51の第一ピストン52が、第二ピストン53のロッド57から分離するよう移動してクラッチを「断」にする。又、オート操作に気づいて慌ててクラッチペダル1を戻した場合には、マスタシリンダ2により流路23を介して作動油が吸引されてシリンダ本体51の第一ピストン52が元の位置の方向へ戻り、シリンダ本体51内の第一ピストン52が、第二ピストン53のロッド57に支持されて大幅に後退することを防止され、クラッチの「断」を維持する。ここで、第三圧力室62の作動油の量は、クラッチ「断」でのクラッチストロークセンサ(図示せず)の判断がアクチュエータ4を止めることにより、変化しない。
【0039】
このように、第二例によれば、オート操作時において、運転者が誤ってクラッチペダル1を踏み込み、且つオート操作に気づいて慌ててクラッチペダル1を戻す場合でも、第二ピストン53が元の位置へ戻る作動を行うにもかかわらず、第一ピストン52が第二ピストン53のロッド57に支持されて大幅に後退することを防止されるので、クラッチが「接」となることをなくし、結果的にクラッチペダルの誤操作による車の急発進を防止することができる。
【0040】
又、第二例によれば、第一例と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
尚、本発明のクラッチコントロールシステムは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0042】
【発明の効果】
上記した本発明のクラッチコントロールシステムによれば、オート操作時において、運転者が誤ってマニュアル圧送手段を操作し且つ慌ててマニュアル圧送手段を戻す場合でも、第一ピストンが大幅に後退することを防止されるので、クラッチが「接」となることをなくし、結果的にクラッチペダルの誤操作による車の急発進を防止することができるという種々の優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の第一例のシリンダを示す断面図である。
【図2】第二ピストンを示す斜視図である。
【図3】クラッチペダルの踏込によりクラッチを「断」とした第一例のシリンダの状態を示す断面図である。
【図4】アクチュエータの作動によりクラッチを「断」とした第一例のシリンダの状態を示す断面図である。
【図5】アクチュエータの作動状態での第一例のシリンダの状態を示す断面図である。
【図6】図4からクラッチペダルを踏込んだ第一例のシリンダの状態を示す断面図である。
【図7】本発明を実施する形態の第二例のシリンダを示す断面図である。
【図8】クラッチコントロールシステムを示す概略図である。
【図9】クラッチコントロールシステムのアクチュエータを示す断面図である。
【図10】従来のシリンダを示す断面図である。
【図11】クラッチブースタのリレーピストン部を拡大して示す断面図である。
【図12】クラッチペダルの踏込によりクラッチを「断」とした従来例のシリンダの状態を示す断面図である。
【図13】アクチュエータの作動によりクラッチを「断」とした従来例のシリンダの状態を示す断面図である。
【図14】アクチュエータの作動状態でクラッチペダルを踏込んだ従来例のシリンダの状態を示す断面図である。
【図15】図14からクラッチペダルを更に踏込んだ従来例のシリンダの状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 クラッチペダル(マニュアル圧送手段)
2 マスタシリンダ(マニュアル圧送手段)
3 制御装置(オート圧送手段)
4 アクチュエータ(オート圧送手段)
25 クラッチ流路
50 シリンダ
51 シリンダ本体
52 第一ピストン
53 第二ピストン
55 サポート
57 ロッド
59 第一圧力室
60 第二圧力室
61 空間室
62 第三圧力室
63 第一スプリング
64 第二スプリング
70 シリンダ
Claims (2)
- クラッチの断接を担うようクラッチ流路に接続されるシリンダと、該シリンダに作動油を圧送するマニュアル圧送手段と、前記シリンダに作動油を圧送するオート圧送手段とを備え、
前記シリンダは、シリンダ本体内に配置される第一ピストン及び第二ピストンと、第一ピストンと第二ピストンの間に配置されるようシリンダ本体内に固定されるサポートと、シリンダ本体と第一ピストンとの間に形成されてクラッチ流路に接続される第一圧力室と、第一ピストンとサポートとの間に形成されてオート圧送手段に接続される第二圧力室と、サポートと第二ピストンの間に形成される空間室と、第二ピストンとシリンダ本体の間に形成されてマニュアル圧送手段に接続される第三圧力室と、第一圧力室でシリンダ本体と第一ピストンの間に配置される第一スプリングと、空間室でサポートと第二ピストンの間に配置される第二スプリングとを備え、
前記第二ピストンは、第一ピストンを押し得るロッドを備え、該ロッドがサポートを貫通するように構成したことを特徴とするクラッチコントロールシステム。 - クラッチの断接を担うようクラッチ流路に接続されるシリンダと、該シリンダに作動油を圧送するマニュアル圧送手段と、前記シリンダに作動油を圧送するオート圧送手段とを備え、
前記シリンダは、シリンダ本体内に配置される第一ピストン及び第二ピストンと、第一ピストンと第二ピストンの間に配置されるようシリンダ本体内に固定されるサポートと、シリンダ本体と第一ピストンとの間に形成されてクラッチ流路に接続される第一圧力室と、第一ピストンとサポートとの間に形成されてマニュアル圧送手段に接続される第二圧力室と、サポートと第二ピストンの間に形成される空間室と、第二ピストンとシリンダ本体の間に形成されてオート圧送手段に接続される第三圧力室と、第一圧力室でシリンダ本体と第一ピストンの間に配置される第一スプリングと、空間室でサポートと第二ピストンの間に配置される第二スプリングとを備え、
前記第二ピストンは、第一ピストンを押し得るロッドを備え、該ロッドがサポートを貫通するように構成したことを特徴とするクラッチコントロールシステム。
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