JP3941703B2 - オイルスプレークラッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オイルスプレークラッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両のオイルスプレークラッチにおいては、クラッチディスクアッセンブリの摩擦面に対し潤滑オイルを吹き付けることが行われている。
【0003】
従来のオイルスプレークラッチは図14に示され、図中、1はクラッチハウジング、2はエンジンにより駆動するようにしたクランクシャフト3に接続されたフライホイール、4はクラッチディスクアッセンブリ、5はプレッシャプレート、6は図示してないオイルポンプから送給された潤滑オイルをクラッチディスクアッセンブリ4に吹き付けるための噴射ノズル、7はクラッチハウジング1の下部に取り付けられたオイルパンであり、フライホイール2、クラッチディスクアッセンブリ4、噴射ノズル6の先端側は、クラッチハウジング1内に収納されている。又、オイルパン7に溜まった潤滑オイルはオイルポンプへ戻し得るようになっている。尚、図14に示すオイルスプレークラッチは、コイルスプリングレバー式クラッチであって、プレッシャプレート5を付勢することによりクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面をフライホイール2に押し付けるためのコイルスプリング16と、該コイルスプリング16の付勢力に抗してプレッシャプレート5をクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面から引き離すためのリリースレバー18と、前記コイルスプリング16及びリリースレバー18等を覆うクラッチカバー19とを備えている。
【0004】
クラッチディスクアッセンブリ4の詳細は図15に示され、8はクランクシャフト3と同心にクラッチハウジング1内に配置された図に示すインプットシャフト17に外嵌され、クラッチの連結、離脱時にインプットシャフト17に対し摺動し得るようにしたスプラインハブ、9はスプラインハブ8の外周に固設したディスク本体、10はディスク本体9に取り付けたドーナツ板状のクラッチプレート、11はクラッチプレート10の外周部に、クラッチプレート10の径方向外方へ突出するよう取り付けたクッションプレート、12はクッションプレート11のプレッシャプレート5側に取り付けたフェーシング、13はクッションプレート11のフライホイール2側に取り付けたフェーシングであり、クッションプレート11はフェーシング12,13により挟まれた状態になっている。ここで、スプラインハブ8を外嵌させるインプットシャフト17は、図14に示す如く、クラッチハウジング1に接続されたリテーナ20に内嵌されると共に、フライホイール2側でパイロットベアリング21に支持されており、リテーナ20の外周にはレリーズベアリング22を配している。
【0005】
車両駆動時、クラッチペダルを踏んでいない場合には、クラッチディスクアッセンブリ4のフェーシング12,13の表面はプレッシャプレート5及びフライホイール2の表面と連結され、エンジンの動力はトランスミッションに伝達される。
【0006】
クラッチペダルを踏むと、クラッチディスクアッセンブリ4のフェーシング12,13の表面はプレッシャプレート5及びフライホイール2の接触面から離反し、エンジンの動力はトランスミッションには伝達されない。
【0007】
半クラッチの場合は、クラッチディスクアッセンブリ4におけるフェーシング12,13の表面とプレッシャプレート5及びフライホイール2の表面とは接触状態で摺動する。
【0008】
オイルポンプからの潤滑オイル15は、噴射ノズル6からクラッチプレート10とフェーシング12,13との間の近傍に向けて吹き付けられる。このため、潤滑オイル15はクラッチディスクアッセンブリ4における摩擦面であるフェーシング12表面の潤滑を行うと共に、フェーシング12側からオイル流路を経てフェーシング13側へも供給され、摩擦面であるフェーシング13表面の潤滑を行う。
【0009】
尚、前述の如きオイルスプレークラッチとしては、例えば、特許文献1に開示されたようなものがあり、更に、他の例のオイルスプレークラッチとしては、特許文献2に開示されたようなものがある。
【0010】
【特許文献1】
特開昭61−130622号公報
【特許文献2】
実開昭61―4027号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の如き従来のオイルスプレークラッチでは、図14に示されるように、噴射ノズル6のオイル噴射口はクラッチカバー19の外側に配設されており、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面から遠く離れているため、潤滑オイル15をクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に確実に吹き付けることが難しく、該摩擦面が温度上昇しやすくなって、クラッチディスクアッセンブリ4の摩耗寿命が短くなるという欠点を有していた。
【0012】
本発明は、斯かる実情に鑑み、潤滑オイルをクラッチディスクアッセンブリの摩擦面に確実に吹き付けることができ、該摩擦面の温度上昇を抑制して、クラッチディスクアッセンブリの摩耗寿命延長を図り得るオイルスプレークラッチを提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、クラッチディスクアッセンブリを構成するスプラインハブの前後位置の少くとも一方に、スプラインハブのインプットシャフトからクラッチディスクアッセンブリの摩擦面に向け潤滑オイルを吹き付け得るよう、潤滑オイルの吹付方向を誘導する案内手段を備え、該案内手段が、スプラインハブの前後位置の少くとも一方に配置される筒状本体に、外周方向へ延在するオイルガイド部を形成して構成された導入プレートであることを特徴とするオイルスプレークラッチ、にかかるものである。
【0014】
本発明の請求項2は、外周方向へ延在するオイルガイド部がコの字状である請求項1記載のオイルスプレークラッチ、にかかるものである。
【0015】
本発明の請求項3は、外周方向へ延在するオイルガイド部が筒状である請求項1記載のオイルスプレークラッチ、にかかるものである。
【0016】
本発明の請求項4は、オイルガイド部をスプラインハブの回転方向と逆向きに傾斜させた請求項2又は3記載のオイルスプレークラッチ、にかかるものである。
【0017】
本発明の請求項5は、オイルガイド部の通路面積を基端から先端に向かって狭くした請求項2、3又は4に記載のオイルスプレークラッチ、にかかるものである。
【0018】
本発明の請求項6は、スプラインハブのインプットシャフトを支持し得るリテーナに、導入パイプを内嵌して潤滑オイルのオイル流路を形成し、オイル流路から案内手段に向けて潤滑オイルを噴出するよう構成した請求項1〜5のいずれかに記載のオイルスプレークラッチ、にかかるものである。
【0019】
このように、請求項1によれば、案内手段により、スプラインハブのインプットシャフトからクラッチディスクアッセンブリの摩擦面に向けて潤滑オイルを誘導して吹き付け得るので、潤滑オイルの他の外方への拡散を防止すると共に、クラッチディスクアッセンブリの摩擦面の潤滑を適切に行い、結果的に、摩擦面の温度上昇を抑制してクラッチディスクアッセンブリの摩耗寿命を延長することができる。
【0020】
請求項2に示す如く、案内手段が、スプラインハブの前後位置の少くとも一方に配置される筒状本体に、外周方向へ延在するコの字状のオイルガイド部を形成して構成された導入プレートであると、コの字状のオイルガイド部により潤滑オイルを誘導してクラッチディスクアッセンブリの摩擦面に吹き付け得るので、潤滑オイルの他の外方への拡散を簡易な形状で抑制すると共に、クラッチディスクアッセンブリの摩擦面の潤滑を安価に行うことができる。
【0021】
請求項3に示す如く、案内手段が、スプラインハブの前後位置の少くとも一方に配置される筒状本体に、外周方向へ延在する筒状のオイルガイド部を形成して構成された導入プレートであると、筒状のオイルガイド部により潤滑オイルを誘導してクラッチディスクアッセンブリの摩擦面に吹き付け得るので、潤滑オイルの他の外方への拡散を確実に抑制することができると共に、クラッチディスクアッセンブリの摩擦面の潤滑を好適に行うことができる。
【0022】
請求項4に示す如く、オイルガイド部をスプラインハブの回転方向と逆向きに傾斜させると、スプラインハブの回転に伴うオイルガイド部の回転よりオイルガイド部に遠心力が作用するので、クラッチディスクアッセンブリの摩擦面に潤滑オイルを勢いよく吹き付け、潤滑オイルの他の外方への拡散を一層確実に防止することができると共に、クラッチディスクアッセンブリの摩擦面の潤滑を一層好適に行うことができる
【0023】
請求項5に示す如く、オイルガイド部の通路面積を基端から先端に向かって狭くすると、オイルガイド部の基端から先端に向かって潤滑オイルの流速が上がるので、クラッチディスクアッセンブリの摩擦面に潤滑オイルを勢いよく吹き付け、潤滑オイルの他の外方への拡散を一層確実に防止することができると共に、クラッチディスクアッセンブリの摩擦面の潤滑を一層好適に行うことができる。
【0024】
請求項6に示す如く、スプラインハブのインプットシャフトを支持し得るリテーナに、導入パイプを内嵌して潤滑オイルのオイル流路を形成し、オイル流路から案内手段に向けて潤滑オイルを噴出するよう構成すると、案内手段へ好適に潤滑オイルを供給するので、案内手段により潤滑オイルをクラッチディスクアッセンブリの摩擦面に好適に吹き付けることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0026】
図1〜図4は本発明を実施する形態の第一例であって、図中、図14、図15と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図14、図15に示す従来のものと同様であるが、第一例の特徴とするところは、図1〜図4に示す如く、潤滑オイル15をインプットシャフト17からクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に誘導して吹き付けるための案内手段の導入プレート30を配設した点にある。
【0027】
第一例の案内手段の導入プレート30は、クラッチディスクアッセンブリ4を構成するスプラインハブ8のリテーナ側端部(後方位置)に配置される筒状本体31に、外周方向へ延在するコの字状のオイルガイド部32を形成して構成されている。
【0028】
オイルガイド部32は、図2、図3に示す如く、筒状本体31のリテーナ側周囲部33を周方向に沿って所定の間隔で切り欠いて外周方向に屈曲することにより形成されたプレート状の受面板34と、受面板34の両側をリテーナ20側に屈曲することにより形成された側面板35とを備え、断面形状でコの字状に形成されて潤滑オイル15の通路を構成している。
【0029】
一方、インプットシャフト17を支持するリテーナ20は、図2、図4に示す如く、内部に導入パイプ36を嵌合することにより、リテーナ20の内周面20aと導入パイプ36の外周面36aの間に潤滑オイル15のオイル流路37を形成しており、オイル流路37のクラッチディスクアッセンブリ4側には、スプラインハブ8、導入プレート30、インプットシャフト17へ開放される開放口37aを形成し、オイル流路37の反クラッチディスクアッセンブリ側には、潤滑オイル15を供給し得る供給パイプ38の接続口37bを形成している。ここで、オイル流路37の開放口37aが向かうスプラインハブ8とインプットシャフト17の間には、スプライン接合で形成されるスプライン流路39を備えている。
【0030】
以下、本発明を実施する形態の第一例の作用を説明する。
【0031】
潤滑オイル15をクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に供給する際には、潤滑オイル15がオイルポンプ(図示せず)から供給パイプ38を介してリーテナ内のオイル流路37に供給されることにより、オイル流路37の開放口37aからスプラインハブ8及び導入プレート30へ向けて噴出し、噴出した潤滑オイル15は、スプラインハブ8、筒状本体31、インプットシャフト17によりオイルガイド部32及びスプライン流路39へ流下し、オイルガイド部32を流下する潤滑オイル15は、コの字状の通路を形成する受面板34及び側面板35により、スプラインハブ8のインプットシャフト17からクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に向かうよう、誘導されて吹き付けられる。ここで、スプライン流路39を流下した潤滑オイル15は、スプラインハブ8とインプットシャフト17の間の潤滑や、パイロットベアリング21の潤滑を行っている。
【0032】
このように、案内手段の導入プレート30により、スプラインハブ8のインプットシャフト17からクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に向けて潤滑オイル15を誘導して吹き付け得るので、潤滑オイル15の他の外方への拡散を防止すると共に、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面の潤滑を適切に行い、結果的に、摩擦面の温度上昇を抑制してクラッチディスクアッセンブリ4の摩耗寿命を延長することができる。又、図1〜4に示す第一例は、図5に示す如く、従来例に記載された噴射ノズル6を備えてもよい。
【0033】
案内手段が、スプラインハブ8のリテーナ側端部(後方位置)に配置される筒状本体31に、外周方向へ延在するコの字状のオイルガイド部32を形成して構成された導入プレート30であると、オイルガイド部32のコの字状の流路により潤滑オイル15を誘導してクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に吹き付け得るので、潤滑オイル15の他の外方への拡散を簡易な形状で抑制すると共に、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面の潤滑を安価に行うことができる。又、コの字状の流路を形成する側面板35は、潤滑オイル15が他の外方へ拡散することを有効に防止し得る。
【0034】
スプラインハブ8のインプットシャフト17を支持し得るリテーナ20に、導入パイプ36を内嵌して潤滑オイル15のオイル流路37を形成し、オイル流路37から案内手段に向けて潤滑オイル15を噴出するよう構成すると、案内手段の導入プレート30へ好適に潤滑オイル15を供給するので、導入プレート30により潤滑オイル15をクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に好適に吹き付けることができる。
【0035】
図6、図7は本発明を実施する形態の第二例であって、図中、図1〜図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、第二例の特徴とするところは、案内手段の導入プレート30に形成されたオイルガイド部32の形状を変形した点にある。
【0036】
第二例の案内手段の導入プレート40は、クラッチディスクアッセンブリ4を構成するスプラインハブ8のリテーナ側端部(後方位置)に配置される筒状本体41に、周方向へ延在する筒状のオイルガイド部42を形成して構成されている。
【0037】
ここで、オイルガイド部42は、図6、図7に示す如く、筒状本体41のリテーナ側周囲部43を周方向に沿って所定の間隔で切り欠いて外周方向に屈曲し、且つ屈曲して形成されたプレート状板を両側から湾曲して接続することにより、筒状体44が形成されている。又、オイルガイド部42は、スプラインハブ8の回転方向と逆向きに傾斜しており、更に、オイルガイド部42の通路面積を基端から先端に向かって徐々に狭くしている。一方、インプットシャフト17を支持するリテーナ20には、第一例と略同様なオイル流路37を備え、インプットシャフト17とスプラインハブ8の間にスプライン流路39を備えている。尚、筒状のオイルガイド部42は円柱、角柱等、どのような形状でもよい。
【0038】
以下、本発明を実施する形態の第二例の作用を説明する。
【0039】
潤滑オイル15をクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に供給する際には、第一例と略同様に供給パイプ38、オイル流路37を介してオイル流路37の開放口37aからスプラインハブ8及び導入プレート40へ向けて噴出し、噴出した潤滑オイル15は、スプラインハブ8、筒状本体41、インプットシャフト17によりオイルガイド部42及びスプライン流路39へ流下し、オイルガイド部42を流下する潤滑オイル15は、筒状の通路により、スプラインハブ8のインプットシャフト17からクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に向かうよう、誘導されて吹き付けられる。ここで、オイルガイド部42を流下する潤滑オイル15は、オイルガイド部42の傾斜により遠心力が作用し、又、通路面積が徐々に狭くなることにより流速が上がる。
【0040】
このように、第二例によれば、案内手段が、スプラインハブ8のリテーナ側端部(後方位置)に配置される筒状本体41に、外周方向へ延在する筒状のオイルガイド部42を形成して構成された導入プレート40であると、オイルガイド部42の筒状の流路により潤滑オイル15を誘導してクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に吹き付け得るので、潤滑オイル15の他の外方への拡散を確実に抑制することができると共に、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面の潤滑を好適に行うことができる。又、筒状の流路を形成する筒状体44は、潤滑オイル15が他の外方へ拡散することを確実に防止し得る。
【0041】
オイルガイド部42をスプラインハブ8の回転方向と逆向きに傾斜させると、スプラインハブ8の回転に伴うオイルガイド部42の回転よりオイルガイド部42に遠心力が作用するので、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に潤滑オイル15を勢いよく吹き付け、潤滑オイル15の他の外方への拡散を一層確実に防止することができると共に、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面の潤滑を一層好適に行うことができる
【0042】
オイルガイド部42の通路面積を基端から先端に向かって狭くすると、オイルガイド部42の基端から先端に向かって潤滑オイル15の流速が上がるので、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に潤滑オイル15を勢いよく吹き付け、潤滑オイル15の他の外方への拡散を一層確実に防止することができると共に、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面の潤滑を一層好適に行うことができる。
【0043】
又、第二例によれば、第一例と略同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
図8〜図10は本発明を実施する形態の第三例であって、図中、図1〜図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図1〜図4に示すものと同様であるが、第三例の特徴とするところは、図8〜図10に示す如く、潤滑オイル15をインプットシャフト17からクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に誘導して吹き付けるための案内手段の導入プレート50を他の場所に配設した点にある。
【0045】
第三例の案内手段の導入プレート50は、クラッチディスクアッセンブリ4を構成するスプラインハブ8の前方位置に配置されるよう、インプットシャフト17の先端部17aに位置する筒状本体51に、周方向へ延在するコの字状のオイルガイド部52を形成して構成されている。
【0046】
筒状本体51は、インプットシャフト17とパイロットベアリング21に挟み込まれて接続される接続部53と、接続部53からスプラインハブ8に向かうよう接続部53より一回り大きい形状で形成される段状の展開部54とを備えている。一方、インプットシャフト17を支持するリテーナ20には、第一例と略同様なオイル流路37を備え、インプットシャフト17とスプラインハブ8の間にスプライン流路39を備えている。尚、図中、21aはパイロットベアリング21を係止するストッパを示している。
【0047】
筒状本体51のオイルガイド部52は、図9、図10に示す如く、筒状本体51の展開部54の端部55を周方向に沿って所定の間隔で切り欠いて外周方向に展開することにより形成されたプレート状の受面板56と、受面板56の両側をスプラインハブ8側に屈曲することにより形成された側面板57とを備え、断面形状でコの字状に形成されて潤滑オイル15の通路を構成している。
【0048】
以下、本発明を実施する形態の第三例の作用を説明する。
【0049】
潤滑オイル15をクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に供給する際には、供給パイプ38、オイル流路37、スプライン流路39を介してスプライン流路39の開放口39aから導入プレート50へ向けて噴出し、噴出した潤滑オイル15は、筒状本体51、インプットシャフト17によりオイルガイド部52へ流下し、オイルガイド部52を流下する潤滑オイル15は、コの字状の通路を形成する受面板56及び側面板57により、スプラインハブ8のインプットシャフト17からクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に向かうよう、誘導されて吹き付けられる。ここで、導入プレート50を流下する潤滑オイル15は、パイロットベアリング21の潤滑も同時に行っている。
【0050】
このように、案内手段の導入プレート50により、スプラインハブ8のインプットシャフト17からクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に向けて潤滑オイル15を誘導して吹き付け得るので、潤滑オイル15の他の外方への拡散を防止すると共に、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面の潤滑を適切に行い、結果的に、摩擦面の温度上昇を抑制してクラッチディスクアッセンブリ4の摩耗寿命を延長することができる。又、図8〜10に示す第三例は、図11に示す如く、第一例の案内手段の導入プレート50を備えてもよいし、従来例に記載された噴射ノズル6を備えてもよい。
【0051】
案内手段が、スプラインハブ8の前方位置に配置される筒状本体51に、外周方向へ延在するコの字状のオイルガイド部52を形成して構成された導入プレート50であると、オイルガイド部52のコの字状の流路により潤滑オイル15を誘導してクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に吹き付け得るので、潤滑オイル15の他の外方への拡散を簡易な形状で抑制すると共に、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面の潤滑を安価に行うことができる。又、コの字状の流路を形成する側面板57は、潤滑オイル15が他の外方へ拡散することを有効に防止し得る。
【0052】
図12、図13は本発明を実施する形態の第四例であって、図中、図1〜図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、第四例の特徴とするところは、第三例の案内手段の導入プレート50に形成されたオイルガイド部52の形状を変形した点にある。
【0053】
第四例の案内手段の導入プレート60は、クラッチディスクアッセンブリ4を構成するスプラインハブ8の前方位置に配置されるよう、インプットシャフト17の先端部に位置する筒状本体61に、周方向へ延在する筒状のオイルガイド部62を形成して構成されている。
【0054】
ここで、筒状本体61は、インプットシャフト17とパイロットベアリング21に挟み込まれて接続される接続部63と、接続部63からスプラインハブ8に向かうよう接続部63より一回り大きい形状で形成される段状の展開部64とを備えている。一方、インプットシャフト17を支持するリテーナ20には、第一例と略同様なオイル流路37を備え、インプットシャフト17とスプラインハブ8の間にスプライン流路39を備えている。尚、筒状のオイルガイド部62は円柱、角柱等、どのような形状でもよい。
【0055】
筒状本体61の形成されるオイルガイド部62は、図12、図13に示す如く、筒状本体61の展開部64の端部65を周方向に沿って所定の間隔で切り欠いて外周方向に展開し、且つ屈曲して形成されたプレート状板を両側から湾曲して接続することにより、筒状体66が形成されている。又、オイルガイド部62は、スプラインハブ8の回転方向と逆向きに傾斜しており、更に、オイルガイド部62の通路面積を基端から先端に向かって徐々に狭くしている。
【0056】
以下、本発明を実施する形態の第四例の作用を説明する。
【0057】
潤滑オイル15をクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に供給する際には、第三例と略同様に供給パイプ38、オイル流路37、スプライン流路39を介してスプライン流路39の開放口39aから導入プレート60へ向けて噴出し、噴出した潤滑オイル15は、筒状本体61、インプットシャフト17によりオイルガイド部62へ流下し、オイルガイド部62を流下する潤滑オイル15は、筒状の通路により、スプラインハブ8のインプットシャフト17からクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に向かうよう、誘導されて吹き付けられる。ここで、オイルガイド部62を流下する潤滑オイル15は、オイルガイド部62の傾斜により遠心力が作用し、又、通路面積が徐々に狭くなることにより流速が上がる。更に導入プレート60を流下する潤滑オイル15は、パイロットベアリング21の潤滑も同時に行っている。
【0058】
このように、第四例によれば、案内手段が、スプラインハブ8の前方位置に配置される筒状本体61に、外周方向へ延在する筒状のオイルガイド部62を形成して構成された導入プレート60であると、オイルガイド部62の筒状の流路により潤滑オイル15を誘導してクラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に吹き付け得るので、潤滑オイル15の他の外方への拡散を確実に抑制することができると共に、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面の潤滑を好適に行うことができる。又、筒状の流路を形成する筒状体66は、潤滑オイル15が他の外方へ拡散することを確実に防止し得る。
【0059】
オイルガイド部62をスプラインハブ8の回転方向と逆向きに傾斜させると、スプラインハブ8の回転に伴うオイルガイド部62の回転よりオイルガイド部62に遠心力が作用するので、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に潤滑オイル15を勢いよく吹き付け、潤滑オイル15の他の外方への拡散を一層確実に防止することができると共に、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面の潤滑を一層好適に行うことができる。
【0060】
オイルガイド部62の通路面積を基端から先端に向かって狭くすると、オイルガイド部62の基端から先端に向かって潤滑オイル15の流速が上がるので、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面に潤滑オイル15を勢いよく吹き付け、潤滑オイル15の他の外方への拡散を一層確実に防止することができると共に、クラッチディスクアッセンブリ4の摩擦面の潤滑を一層好適に行うことができる。
【0061】
又、第四例によれば、第三例と略同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
尚、本発明のオイルスプレークラッチは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0063】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の請求項1〜6記載のオイルスプレークラッチによれば、噴射ノズルから噴射される潤滑オイルをクラッチディスクアッセンブリの摩擦面に確実に吹き付けることができ、該摩擦面の温度上昇を抑制して、クラッチディスクアッセンブリの摩耗寿命延長を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の第一例の全体縦断面図である。
【図2】本発明を実施する形態の第一例において案内手段及びオイル流路を拡大して示す縦断面図である。
【図3】第一例の案内手段を拡大して示す斜視図である。
【図4】オイル流路を形成するリテーナ、導入パイプ及びパイプを示す概略図である。
【図5】第一例に従来例の噴射ノズルを加えた状態を示す全体縦断面図である。
【図6】本発明を実施する形態の第二例の案内手段を示す斜視図である。
【図7】本発明を実施する形態の第二例の案内手段において潤滑オイルの流れを示す概念図である。
【図8】本発明を実施する形態の第三例の全体縦断面図である。
【図9】本発明を実施する形態の第三例において案内手段及びオイル流路を拡大して示す縦断面図である。
【図10】第三例の案内手段を拡大して示す斜視図である。
【図11】第三例に第一例の案内手段を加えた状態を示す全体縦断面図である。
【図12】本発明を実施する形態の第四例の案内手段を示す斜視図である。
【図13】本発明を実施する形態の第四例の案内手段において潤滑オイルの流れを示す概念図である。
【図14】従来のオイルスプレークラッチの一例を表わす全体縦断面図である。
【図15】図14に示すクラッチディスクアッセンブリの拡大縦断面図である。
【符号の説明】
4 クラッチディスクアッセンブリ
8 スプラインハブ
15 潤滑オイル
17 インプットシャフト
20 リテーナ
30 導入プレート(案内手段)
31 筒状本体
32 オイルガイド部
36 導入パイプ
37 オイル流路
40 導入プレート(案内手段)
41 筒状本体
42 オイルガイド部
44 筒状体
50 導入プレート(案内手段)
51 筒状本体
52 オイルガイド部
60 導入プレート(案内手段)
61 筒状本体
62 オイルガイド部

Claims (6)

  1. クラッチディスクアッセンブリを構成するスプラインハブの前後位置の少くとも一方に、スプラインハブのインプットシャフトからクラッチディスクアッセンブリの摩擦面に向け潤滑オイルを吹き付け得るよう、潤滑オイルの吹付方向を誘導する案内手段を備え、該案内手段が、スプラインハブの前後位置の少くとも一方に配置される筒状本体に、外周方向へ延在するオイルガイド部を形成して構成された導入プレートであることを特徴とするオイルスプレークラッチ。
  2. 外周方向へ延在するオイルガイド部がコの字状である請求項1記載のオイルスプレークラッチ。
  3. 外周方向へ延在するオイルガイド部が筒状である請求項1記載のオイルスプレークラッチ。
  4. オイルガイド部をスプラインハブの回転方向と逆向きに傾斜させた請求項2又は3記載のオイルスプレークラッチ。
  5. オイルガイド部の通路面積を基端から先端に向かって狭くした請求項2、3又は4記載のオイルスプレークラッチ。
  6. スプラインハブのインプットシャフトを支持し得るリテーナに、導入パイプを内嵌して潤滑オイルのオイル流路を形成し、オイル流路から案内手段に向けて潤滑オイルを噴出するよう構成した請求項1〜5のいずれかに記載のオイルスプレークラッチ。
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