JP3940981B2 - 動圧軸受モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、へリングボーン状の動圧溝によって発生する動圧によって、シャフトと筒状のスリーブとを回転自在に保持する動圧軸受モータ、特にハードディスクドライブ装置(以下、HDDともいう)用のスピンドルモータにおける、動圧溝の形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8、図4および図7を用いて、従来技術に係るHDD用スピンドルモータの構造を説明する。
【0003】
図8は、従来技術に係るHDD用スピンドルモータの断面図である。
なお図8の断面図においてスリーブ(6)の内周面に形成された、後に述べる動圧溝部(3)(4)は、実際の円周面上のパターンとしてではなく平面に展開した図として描いてある。これは説明をより明瞭にしようとしたためである。
この事は動圧溝部(3)(4)を含んだ他の図においても同様である。
【0004】
図8において、アルミあるいはアルミ合金で形成したモータベース(1)の中央にシャフト(2)が立設されている。
モータベース(1)の上面にはコイル(11)と、コイル(11)を巻回したステータコア(10)が固定されている。
シャフト(2)はステンレス系材料で形成され、モータベース(1)に圧入接着により固定されている。
シャフト(2)の外周には、筒状のスリーブ(6)が回転自在に装着されている。
【0005】
シャフト(2)の外周面に対向する、スリーブ(6)の内周面には、2個所の動圧溝部(3)(4)が形成され、それぞれの溝部にはへリングボン(魚骨)状の動圧溝が形成されている。
動圧溝部(3)(4)とシャフト(2)との間には、粘性を有する流体である、潤滑油が保持されている。
【0006】
ここでスリーブ(6)の詳細を図4を用いて説明する。
図4は、スリーブ(6)の断面図である。
【0007】
スリーブ(6)は、銅系あるいはステンレス系材料で形成され、内周部には先に説明したように、2個所の動圧溝部(3)(4)が設けられている。
2個所の動圧溝部(3)(4)に挟まれた内周部は、動圧溝部より大きな内径寸法を有し、またスリーブ(6)の上部には、後に説明するスラスト動圧軸受機構を収納するための空間が設けられている。
【0008】
上記に説明したシャフト(2)とスリーブ(6)とが、本スピンドルモータのラジアル動圧軸受機構を構成する。
ラジアル動圧軸受機構の動作は後に説明する。
【0009】
さらに、図8に示すスピンドルモータの構成において、モータベース(1)上面に固定されたステータコア(10)は、シャフト(2)を中心として12極の構成で配置されている。
ステータコア(10)に巻回したコイル(11)は図示しない制御回路により3相駆動電流が印加される。
【0010】
スリーブ(6)の外周には、アルミ材で形成したハブ(5)が圧入接着で固定されている。
【0011】
ハブ(5)の下面(モータベース(1)に対向する面)には、ステータコア(10)に対応して8極に着磁したリング状磁石(12)と、ロータヨーク(13)とが固定されている。
【0012】
また本スピンドルモータには、以下に説明するスラスト動圧軸受機構が設けられている。
【0013】
スラスト動圧軸受機構は、シャフト(2)の上部にシャフト(2)と一体に設けられたフランジ(8)と、スリーブ(6)内部の空間内の、フランジ(8)の下面に対向する面に設けられたスラストプレート(7)と、フランジ(8)の上面に対向するブッシュ(9)と、スラストプレート(7)とブッシュ(9)とで挟持されたスペーサ(14)とで構成されている。
【0014】
スラスト動圧軸受機構は、スラストプレート(7)の上面またはフランジ(8)の下面に形成された動圧溝により、スリーブ(6)の回転によりハブ(5)を下げる方向に動圧を発生させ、同時にブッシュ(9)の下面またはフランジ(8)の上面に形成された動圧溝によりハブ(5)を上げる方向に動圧を発生させ、上下の動圧をバランスさせてハブ(5)をスラスト方向に回転自在に保持するものである。
【0015】
次にラジアル動圧軸受機構の動作を説明する。
図8において、コイル(11)に図示しない制御回路から駆動電流が印可されると、ステータコア(10)とリング状磁石(12)間の磁気力により、ハブ(5)はモータベース(1)に対して回転運動を行う。
【0016】
回転運動の際に、シャフト(2)内周部の2個所の動圧溝部(3)(4)中のへリングボン状の動圧溝の動きによって、保持された潤滑油に動圧が発生する。
【0017】
その動圧は、シャフト(2)の外周部を、中心に向かって押そうとする力である。全周から均等に動圧がシャフト(2)に加えられることで、シャフト(2)はスリーブ(6)の内周部において安定的に回転自在に支持される。
以上の様に動作することで、スリーブ(6)とシャフト(2)は、ラジアル動圧軸受機構として機能する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記に説明した、従来技術に係る、ラジアル動圧軸受機構を有するモータにおいて、以下のような課題が存在した。
【0019】
その課題は、動圧溝部(3)(4)の動圧溝を高い寸法精度で形成する事が困難であり、そのために軸方向の動圧のアンバランスを生じやすい、という点である。
【0020】
上記に説明した動圧溝を形成する方法は、例えば、特開平8−284958号公報に記載された技術の例がある。
上記公報記載の技術においては、あらかじめ筒状のブランクスリーブ(まだ動圧溝を形成していないスリーブ)を用意する。
さらに、スリーブに溝を形成するための、多数のベアリングを外周部に配置した棒状の治具であるサイジングバーを用いて動圧溝を形成しようとするものである。
【0021】
すなわち、ブランクスリーブの内部にサイジングバーを回転しつつ挿入し、ベアリングの押圧軌跡で動圧溝の形成を行う。
【0022】
動圧溝の形成作業を、スリーブ(6)の要部断面図である図7を用いて説明する。
まず、図7(A)において、最初に図の下方からスリーブ(6)にサイジングバーを回転しつつ挿入し、動圧溝部(15)のaの範囲を形成する。
【0023】
そして、溝を形成するベアリングの位置が動圧溝部の軸方向中央に達した時点で、サイジングバーの回転方向を逆転させ、同様に動圧溝部(15)のbの範囲を形成する。
【0024】
完成した動圧溝部(15)は図7(A)や同図(B)に示す如く、a部およびb部を有し、その境界線(19)は動圧溝部(15)の軸方向中央に位置するはずである。
【0025】
ところが動圧溝部(15)において境界線(19)がどこに位置するかは、ブランクスリーブの軸方向寸法のバラツキ、および動圧溝を形成中にいつサイジングバーの回転を逆転するか、という形成治具の動作タイミングに依存し、完成した動圧溝部(15)は設計値に対する誤差を有し易かった。
【0026】
すなわち、動圧溝部(15)の中央に境界線(19)を位置させようとする設計に対して、実際の完成品は、図7(A)の如く、a部がより小さな寸法となって、境界線(19)が中央より下方へ位置したり、図7(B)の如く逆にb部がより小さい寸法となって境界線(19)が中央より上方へ位置したりする場合がありうる。
【0027】
a部とb部の寸法が等しくなくアンバランスであると、動圧の軸方向(図8における上下方向)の成分が設計上はゼロであるはずのラジアル動圧軸受機構において、軸方向の動圧のアンバランスが発生してしまう。
そうすると、軸方向の動圧によって押された潤滑油が、スピンドルモータの回転時に動圧溝部(3)(4)から外部に漏出し、ラジアル動圧軸受機構が軸受として正しく機能しなくなる恐れがある。
【0028】
上記の課題を解決するために、動圧溝の形成治具の精度を上げて対応しようとすると、治具が高価になり生産コストを増加させたり、あるいは溝の形成に要する時間が増大して生産性を低下させる恐れがあった。
【0029】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ラジアル動圧軸受を有するモータにおいて、軸方向の動圧のアンバランスを解消し、動圧軸受に保持された潤滑油の漏出を防止することを目的とするものである。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願発明は手段として次の構成を有する。
筒状のスリーブと、該スリーブの内径部に挿入されたシャフトと、前記スリーブの内周面または前記シャフトの外周面における所定の軸方向長さ範囲に設けられた動圧溝部と、を備え、前記スリーブと前記シャフトとの間隙に潤滑油を保持して前記動圧溝部において発生する動圧により前記シャフトと前記スリーブとを相対的に回転自在としてなる動圧軸受モータにおいて、
前記動圧溝部は、ヘリングボーン状を呈する第1の傾斜方向で周方向に配設された複数の第1傾斜溝部及び前記第1の傾斜方向とは逆の傾斜方向で周方向に配設された複数の第2の傾斜溝部と、前記所定の軸方向長さ範囲の中央に形成され各前記複数の第1の傾斜溝部と各前記複数の第2の傾斜溝部とに連結して周回する周溝とを有し、
前記第1の傾斜溝部と前記第2の傾斜溝部との仮想交点の軸方向の位置が、前記所定の軸方向長さ範囲の中央から偏倚すると共に、前記第1の傾斜溝部と前記第2の傾斜溝部とが形成されている範囲の軸方向の長さが互いに等しいことを特徴とする動圧軸受モータである。
【0031】
以下、図1ないし図5を用いて、本願発明に係る動圧軸受モータの一実施の形態及び参考の形態として、HDD用スピンドルモータの説明を行う。
【0032】
なお、先に説明した従来技術に係るHDD用スピンドルモータと同一の機能を有する構成には同一の符号を用い、また重複して説明することを避けるために、一部説明を省略した点もある。
【0033】
図1は参考の形態における、スリーブ(6)の断面図である。
なお、本参考の形態において、スリーブ(6)を除くスピンドルモータの各構成物は、先に図8を用いて説明した、従来技術に係るHDD用スピンドルモータと同一の構成となっている。
【0034】
図1において、スリーブ(6)の内周面には2個所の動圧溝部(15)が形成されている。
図5はそのうちのひとつの動圧溝部(15)の部分詳細図である。
【0035】
動圧溝部(15)には、図7を用いて説明した従来技術に係るスピンドルモータと同様に、へリングボーン状の動圧溝が形成されている。
【0036】
さらに図5において、各動圧溝の軸方向の端点(20)(21)には、軸方向に略平行な導入溝(16)が延設されている。
【0037】
導入溝(16)を動圧溝の端点(20)(21)に延設するために要する形成治具は、先に説明した、動圧溝を形成する治具をそのまま用いることが可能である。
【0038】
すなわち、先に説明したように、サイジングバーをブランクスリーブに挿入して溝を形成する際に、導入溝(16)を形成する際にはサイジングバーを回転することなくそのまま挿入し、軸に略平行なベアリングの押圧軌跡を形成して導入溝(16)とすればよい。
【0039】
そして導入溝(16)が形成し終わったら、サイジングバーを回転させつつ挿入を続行し、図5におけるa部の動圧溝の形成を行う。
【0040】
a部の動圧溝が形成し終わったら、サイジングバーを逆転させつつさらに挿入を続行し、b部の動圧溝を形成する。
【0041】
b部の形成が終わったらサイジングバーの回転を停止して挿入を続行し、上部の導入溝(16)を形成する。
以上の工程で導入溝(16)と動圧溝との形成が終了する。
【0042】
以上説明した構造によれば、以下のような理由によって、動圧溝部(15)中のa部とb部の軸方向の長さを、従来技術に係るスピンドルモータよりも、より正確に等しくすることが可能になる。
【0043】
すなわち、図5を用いて上記に説明した参考の形態においては、a部およびb部の長さを等しくするためには、最初にサイジングバーをある方向に回転しつつ挿入してa部を形成する回転時間と、その後サイジングバーを逆方向に回転しつつ挿入してb部を形成する回転時間とが等しくなるように、動圧溝の形成治具において動作時間を管理し、さらにサイジングバーが等速度でブランクスリーブ内に挿入されるように管理すればよく、その実現は比較的容易である。
【0044】
そしてa部、b部の境界線(19)が、従来技術に係るモータと同様の理由、すなわち、スリーブ(6)の軸方向寸法バラツキと、形成治具の動作においてサージングバーを反転させるタイミングがずれることにより上下方向にずれ、図5におけるc部、d部が等しくない場合でも、所定の範囲内であれば、a部とb部との長さの等しさに影響を与えない。
【0045】
なぜならば、境界線(19)の上下のずれは導入溝(16)の範囲内で吸収されるからである。
本実施の形態において、完成したズリーブ(6)の内周面に形成した導入溝(16)は、その上下の部分で、軸方向の長さに差が生じることがある。
しかしそれにより、従来技術における問題点として先に説明した、動圧の軸方向のアンバランス、さらにそれによって生じる潤滑油の漏出等の不具合を生じることはない。
【0046】
その理由は、導入溝(16)は軸に略平行に形成されているので、モータの回転時に導入溝(16)の動きによって軸方向の動圧が発生することがなく、従って上下の導入溝(16)に長さの違いが有ったとしても、それが軸方向の動圧のアンバランスを誘起することはないからである。
【0047】
ところで、上記の説明では導入溝(16)は軸に略平行に形成されたものとして説明した。このように形成されることで効果が最大に発揮されるからである。
【0048】
しかし導入溝(16)はその他にも、軸とのなす角度を、動圧溝が軸となす鋭角よりも小さいようなパターンとして形成するようにしてもよい(図示せず)。
【0049】
その場合、導入溝(16)の長さが上下で等しくないときには、動圧溝(16)が発生する動圧の軸方向の成分は必ずしもゼロとはならないが、導入溝(16)の軸とのなす角度が、動圧溝よりは小さいので、先に図7を用いて説明した従来技術に係るスピンドルモータと比較して、動圧の軸方向のアンバランスをより低減できる効果がある。
【0050】
なお、本実施の形態におけるスリーブ(6)は、図2および図6に示す、以下に説明する様な構成である。
【0051】
図2は、本実施の形態において、上記に説明した構成とは異なるように構成したHDD用スピンドルモータの、スリーブ(6)の断面図である。
なお、スリーブ(6)以外の構成は、先に図8を用いて説明した従来技術に係るスピンドルモータと同一である。
【0052】
図2において、スリーブ(6)の内周面には、2個所の動圧溝部(15)が形成されていることは、従来技術と同様である。
【0053】
そして、各動圧溝部(15)の軸方向中央には、所定の幅を有し、動圧溝部(15)を周方向に一周するように形成された、周方向連通溝(17)が設けられている。
【0054】
図6は、周方向連通溝(17)を説明するための図であり、スリーブ(6)の内周に形成された、ひとつの動圧溝部(15)の部分詳細図である。
【0055】
図6(A)は、周方向連通溝(17)を形成する前の動圧溝部(15)である。
先に図7を用いて説明した従来技術に係るスピンドルモータと同様に、a部およびb部の境界線(19)は動圧溝部(15)の軸方向中央に位置せず、a部およびb部の軸方向長さが異なるので、先に説明したように、軸方向動圧のアンバランスが生じている。
【0056】
図6(B)は、図6(A)で示した動圧溝部(15)に周方向連通溝(17)を形成した後の状況を示したものである。
【0057】
図6(B)に示す如く周方向連通溝(17)は動圧溝部(15)が形成された後に、切削によって動圧溝部(15)の軸方向中央に所定の幅で形成される。
所定の幅とは、先に図6(A)で示した、動圧溝部(15)の境界線(19)の想定されるずれ量をカバーして十分な幅である。
【0058】
また、周方向連通溝(17)は動圧溝部(15)の中央に形成されたので、削り取られずに残った、上下に分かれた残余の動圧溝は、その軸方向の長さが等しくなる。
【0059】
すなわち、図6(B)に示す様に、残余の動圧溝であるe部とf部とは軸方向の長さが等しくなるので、図6(A)に示した動圧溝部(15)で生じていた動圧の軸方向のアンバランスが解消され、動圧軸受が保持する潤滑油の漏出を防止する効果がある。
【0060】
周方向連通溝(17)の幅と深さは、先に説明したように動圧溝の境界線(19)のバラツキを十分に吸収し、また動圧溝部(15)が発生する動圧の低下など悪影響が生じない値に、設定する必要がある。
【0061】
本出願人の実験によれば、周方向連通溝(17)の幅と深さをそれぞれ、動圧溝部(15)の軸方向長さおよび動圧溝の深さの20%以内とすることで、上記の条件が満たされる結果が得られた。
【0062】
なお、軸方向連通溝(18)を設けたスリーブ(6)の例を、図3を用いて以下に説明する。
図3は、スリーブ(6)に軸方向連通溝(18)をスリーブ(6)に設ける構成としたHDD用スピンドルモータのスリーブ(6)の断面図である。
本実施の形態において、スリーブ(6)を除く各構成要素は、先に図8を用いて説明した従来技術にかかるスピンドルモータと同一である。
【0063】
図3において、スリーブ(6)の内周面には、二つの動圧溝部(15)が形成されている。
さらに、それぞれの動圧溝部(15)には、モータの回転軸に平行で、かつ動圧溝部(15)の軸方向全長にわたる軸方向連通溝(18)が形成されている。
【0064】
軸方向連通溝(18)は、動圧溝部(15)の軸方向全長にわたって形成され、それぞれの動圧溝部(15)の上下にある空間に通じるように形成されている。
【0065】
上記の様に構成したので、スリーブ(6)の内周面にシャフト(2)を挿入し、かつ2つの部材の隙間に潤滑油等の粘性流体を保持するラジアル動圧軸受の組立作業において、隙間に残留した空気の気泡を外部に追い出す作業が、以下の理由でより容易となる。
【0066】
すなわち、本例においては、組立て時に、スリーブ(6)内でシャフト(2)を動かして気泡を軸方向連通溝(18)に追い込む様に作業を行う。
追い込まれた気泡は、軸方向連通溝(18)を通って容易に動圧軸部(15)の上下方向の外部空間に押し出されるので、ラジアル動圧軸受組立作業において、隙間に残留した気泡を排除する作業がより容易になる効果を生ずる。
【0067】
気泡が容易に排除出来ることにより、気泡が動圧溝部に残留して潤滑油等の粘性流体が動圧溝部に十分に均等に拡散せず動圧軸受機能が正常に働かない、という従来技術の動圧軸受モータで見られた不具合が解消される。
さらに、軸方向連通溝(18)は、動圧溝部(15)を軸方向に貫くように形成されているので、ラジアル動圧軸受の組立作業時に、隙間に保持すべき潤滑油等の粘性流体が軸方向連通溝(18)を経由して動圧溝部(15)全体により均一に行き渡る、という効果も生ずる。
【0068】
なお、上記に説明した本発明の一実施の形態およびその他の例において、動圧溝部(15)、導入溝(16)、周方向連通溝(17)、軸方向連通溝(18)はスリーブ(6)の内周面に形成されるものとして説明した。
【0069】
しかし本発明の実施にあたっては上記の場合に限られるものではなく、シャフト(2)の外周面に動圧溝部(15)、導入溝(16)、周方向連通溝(17)、軸方向連通溝(18)が形成されるものとしても、同様の効果を発揮する。
【0070】
また、上記の説明において、スピンドルモータの構成は、シャフト(2)はモータベース(1)に固定され、スリーブ(6)がハブ(5)に固定されたものとして説明した。
しかし本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、シャフト(2)がハブ(5)に固定され、スリーブ(6)がモータベース(1)に固定されたスピンドルモータ(図示せず)においても、上記の発明と同様の効果を発揮するものである。
【0071】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、ラジアル動圧軸受を有する動圧軸受モータにおいて、ラジアル動圧軸受で発生する軸方向の動圧のアンバランスを解消し、ラジアル動圧軸受からの潤滑油の漏出を防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考の形態の動圧軸受モータにおける、スリーブの断面図である。
【図2】 実施の形態の動圧軸受モータにおける、スリーブの断面図である。
【図3】本発明の他の例の動圧軸受モータにおける、スリーブの断面図である。
【図4】従来技術に係る動圧軸受モータにおける、スリーブの断面図である。
【図5】 参考の形態の動圧軸受モータにおける、動圧溝部の部分詳細図である。
【図6】本発明の他の例の動圧軸受モータにおける、動圧溝部の部分詳細図である。
【図7】従来技術に係る動圧軸受モータにおける、動圧溝部の部分詳細図である。
【図8】従来技術に係る動圧軸受モータの断面図である。
【符号の説明】
1 モータベース
2 シャフト
3 動圧溝部
4 動圧溝部
5 ハブ
6 スリーブ
7 スラストプレート
8 フランジ
9 ブッシュ
10 ステータコア
11 コイル
12 リング状磁石
13 ロータヨーク
14 スペーサ
15 動圧溝部
16 導入溝
17 周方向連通溝
18 軸方向連通溝
19 境界線
20 動圧溝の端点
21 動圧溝の端点
Claims (1)
- 筒状のスリーブと、
該スリーブの内径部に挿入されたシャフトと、
前記スリーブの内周面または前記シャフトの外周面における所定の軸方向長さ範囲に設けられた動圧溝部と、を備え、
前記スリーブと前記シャフトとの間隙に潤滑油を保持して前記動圧溝部において発生する動圧により前記シャフトと前記スリーブとを相対的に回転自在としてなる動圧軸受モータにおいて、
前記動圧溝部は、ヘリングボーン状を呈する第1の傾斜方向で周方向に配設された複数の第1傾斜溝部及び前記第1の傾斜方向とは逆の傾斜方向で周方向に配設された複数の第2の傾斜溝部と、前記所定の軸方向長さ範囲の中央に形成され各前記複数の第1の傾斜溝部と各前記複数の第2の傾斜溝部とに連結して周回する周溝とを有し、
前記第1の傾斜溝部と前記第2の傾斜溝部との仮想交点の軸方向の位置が、前記所定の軸方向長さ範囲の中央から偏倚すると共に、前記第1の傾斜溝部と前記第2の傾斜溝部とが形成されている範囲の軸方向の長さが互いに等しいことを特徴とする動圧軸受モータ。
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